JP2022140938A - 廃棄物の処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】金属線材に起因するトラブルを抑制し、金属線材を含む廃棄物の効率的な処理方法を提供すること。【解決手段】金属線材を含む廃棄物を加熱する加熱工程と、加熱後の廃棄物を破砕する第1の破砕工程と、破砕後の廃棄物を櫛歯式傾斜型篩いにより、篩い上と篩い下に分離する第1の篩い選別工程と、第1の篩い選別で得た篩い下を破砕する第2の破砕工程と、破砕後の廃棄物をパンチングメタル又は櫛歯式篩いにより、2粒群又は3粒群以上に篩い分ける第2の篩い選別工程と、第2の篩い選別で得た各粒群について、比重選別、渦電流選別、形状選別、色彩選別及び電磁誘導選別から選択される1以上の物理選別を行い、金属と非金属とに分離する物理選別工程を含む、廃棄物の処理方法。【選択図】なし

Description

本発明は、廃棄物の処理方法に関する。
自動車の電装部分、家電製品、通信機器、コンピュータ等の電子・電気機器の構成部材として、金属線材、被覆銅線等の線状物が使用されている。このような各種電子機器の廃棄に伴い多量の線状物が発生するため、線状物を回収して再資源化されている。例えば、銅線は有価性が高いことから、被覆銅線から銅線の回収する方法として、被覆銅線を切断した後、銅ナゲットと被覆に選別する方法が採用されている。しかし、ナゲット選別は、特に直径1mm以上の太い金属線材の回収に有効であるものの、細い金属線材は被覆との選別が困難であるため、回収されていない。
そこで、廃家電製品から微小な銅線とプラスチックを高精度で選別して回収する方法として、廃家電製品を所定の大きさに破砕し、破砕物を風力選別により発泡樹脂を取り出し、発泡樹脂を取り出した破砕物から磁気選別により鉄系金属を取り出し、鉄系金属を取り出した破砕物から渦電流選別により非鉄金属を取り出し、非鉄金属を取り出した破砕物から被覆銅線を分離した後、被覆銅線を分離した破砕物から風力選別により小塊状金属を取り出し、小塊状金属を取り出した破砕物から振動篩により微小な銅線を取り出し、最後にプラスチックを回収する方法が提案されている(特許文献1)。また、電子・電気機器部品の破砕物を風力選別して線状物と板状物とを少なくとも含む軽量物を回収し、この軽量物を互いに間隔を空けて延在する複数のロッドを有するフィルターを備える振動篩機のフィルター上に配置し、フィルターに振動を与えることにより、線状物を篩い下に篩選別する方法が提案されている(特許文献2)。
特開2003-320311号公報 国際公開第2019/151350号
しかしながら、金属線材の形状が曲線状、U字状、螺旋状等一様でないため、金属線材を含む廃棄物を破砕すると、金属線材同士が絡み合い、それに伴って粗大化し、また篩い選別の際に篩い目に金属線材が絡みつくといったトラブルが生じて装置の閉塞、運転停止が余儀なくされる。このように金属線材を含む廃棄物を効率的かつ安定に処理することは困難である。
本発明の課題は、金属線材に起因するトラブルを抑制し、金属線材を含む廃棄物の効率的な処理方法を提供することにある。
本発明者らは、金属線材を含む廃棄物を加熱して脆化し、脆化した廃棄物を破砕し、破砕後の廃棄物を特定の篩いで篩い選別し、篩い下を更に破砕して特定の篩いで篩い選別し、そして物理選別することで、金属線材同士の絡み合いや、それに伴う粗大化、篩い目への金属線材の絡みつきを抑制できるため、金属線材に起因するトラブルが解消され、効率よく安定に金属線材を含む廃棄物を処理できることを見出した。更に、脆化した廃棄物を破砕する前に、廃棄物中に含まれる金属線材同士を意図的に纏繞させることで、その後の処理において金属線材に起因するトラブルがより一層解消されるため、より効率よく安定に金属線材を含む廃棄物を処理できることを見出した。
すなわち、本発明は、次の〔1〕~〔6〕を提供するものである。
〔1〕金属線材を含む廃棄物を加熱する加熱工程と、
加熱後の廃棄物を破砕する第1の破砕工程と、
破砕後の廃棄物を櫛歯式傾斜型篩いにより、篩い上と篩い下に分離する第1の篩い選別工程と、
第1の篩い選別で得た篩い下を破砕する第2の破砕工程と、
破砕後の廃棄物をパンチングメタル又は櫛歯式篩いにより、2粒群又は3粒群以上に篩い分ける第2の篩い選別工程と、
第2の篩い選別で得た各粒群について、比重選別、渦電流選別、形状選別、色彩選別及び電磁誘導選別から選択される1以上の物理選別を行い、金属と非金属とに分離する物理選別工程
を含む、廃棄物の処理方法。
〔2〕加熱工程後、破砕工程前に、加熱後の廃棄物中の金属線材同士を纏繞させる纏繞工程を有する、前記〔1〕記載の廃棄物の処理方法。
〔3〕加熱工程において、金属線材を含む廃棄物を250~500℃に加熱する、前記〔1〕又は〔2〕記載の廃棄物の処理方法。
〔4〕第1の篩い選別工程で使用する櫛歯式傾斜型篩いの篩い目が20mm未満である、前記〔1〕~〔3〕のいずれか1項に記載の廃棄物の処理方法。
〔5〕第2の破砕工程において、篩い目が4mm以上15mm以下のスクリーンを有する破砕機で破砕する、前記〔1〕~〔4〕のいずれか1項に記載の廃棄物の処理方法。
〔6〕第2の篩い選別工程で使用するパンチングメタル又は櫛歯式篩いの篩い目が10mm以下である、
前記〔1〕~〔5〕のいずれか1項に記載の廃棄物の処理方法。
本発明によれば、金属線材に起因するトラブルを抑制できるため、効率よく安定に金属線材を含む廃棄物を処理することができる。
本発明の製造方法の一実施形態を示すフローチャートである。 本発明の製造方法の他の実施形態を示すフローチャートである。 本発明の製造方法の他の実施形態を示すフローチャートである。
以下、本発明の廃棄物の処理方法について説明する。
(第1実施形態)
本実施形態に係る廃棄物の処理方法のフローチャートを図1に示す。
本実施形態に係る処理方法は、図1に示されるように、先ず、金属線材を含む廃棄物を加熱する加熱工程を行う。本工程は、廃棄物を焼却することなく、脆化させることを目的とする。
本工程で使用する廃棄物としては、金属線材を含む廃棄物であれば特に限定されないが、例えば、自動車シュレッダーダスト、家庭用・業務用の電化製品や家具等のシュレッダーダストを挙げることができる。これら廃棄物には、ケーブル、ケーブルの端子部、プラグ、スピーカー、モーター、プリント基板、リレー、ボタン接点等の電子部品が含まれており、金属線材以外の部材として、例えば、樹脂、土砂、ガラス、紙、木くず等が含まれていても構わない。これら電子部品には、例えば、銅、真鍮、アルミニウム等の金属線材、金属箔、スプリング、固定・接続治具(ネジ、バンド、ステーブル等)、取っ手、装飾品、ステンレス鋼又は炭素鋼製のフレキシブルチューブや支持線が使用されている。
廃棄物の加熱処理は、通常、加熱炉で行う。
加熱炉としては、廃棄物を収容し、かつ所望の温度に設定できれば特に限定されないが、例えば、固定炉、ストーカー炉、ロータリーキルン炉、流動床炉、堅型炉、多段炉を挙げることができる。また、加熱炉の形状は特に限定されず、例えば、筒状、横断面矩形状等の適宜の形状を取り得る。なお、加熱炉内には、廃棄物の供給口から排出口に向かって廃棄物を搬送するためのコンベヤが装着されていても構わない。
中でも、廃棄物に含まれる有機成分の熱量を固体燃料に多く固定化し、その価値を高める観点から、加熱炉として外熱式ロータリーキルン炉を用い、低酸素雰囲気下で加熱することが好ましい。炉内雰囲気を低酸素にする方法としては、例えば、窒素や水蒸気で炉内を充満させることで低酸素とするか、あるいは主に原料自身から加熱により発生するガス(H2O、CO2、可燃性ガスなど)で炉内を充満させて低酸素としてもよい。
加熱温度は、廃棄物の脆化促進の観点から、250~500℃が好ましく、275~475℃がより好ましく、300~450℃が更に好ましい。
加熱時間は、廃棄物に含まれる樹脂の種類や容量により適宜選択可能であるが、通常30~120分であり、好ましくは60~90分である。
次に、図1に示されるように、加熱後の廃棄物を破砕する第1の破砕工程を行う。これにより、廃棄物に含まれる樹脂の塊を細粒化し、金属に付着した樹脂を剥離することができる。なお、本工程では、廃棄物に含まれる金属線材の塊はほとんど細粒化しない。
第1の破砕工程は、破砕機を使用することができる。破砕機としては廃棄物を破砕できれば特に限定されず、例えば、ジョークラッシャー、インパクトクラッシャー、ハンマークラッシャー、ロールクラッシャー、ロータリークラッシャーを適宜選択することができる。破砕機には、粒度調整を目的に所望の篩目のスクリーンを装着することが可能であり、スクリーンを装着しない場合には、固定歯、回転歯、内壁等を所望のクリアランスに調整してもよい。
破砕後の廃棄物の大きさは、粒子径D90が、通常3mm以上であり、好ましくは5mm以上である。ここで、本明細書において「粒子径D90」とは、JIS R 1629「ファインセラミックス原料のレーザ回折・散乱法による粒子径分布測定方法」に準拠して測定される、体積基準の粒度分布における累積90%粒子径をいう。なお、粒子径分布測定には、例えば、レーザ回折・散乱式粒子径分布測定装置を使用することができる。
次に、図1に示されるように、第1の破砕工程で得られた破砕物を第1の篩い選別工程に供する。これにより、篩い目に絡みつきやすい粗大な金属線材を選択的に除去できるだけでなく、粗大な金属片及び樹脂も篩い上として分離することができる。
第1の篩い選別工程は、破砕後の廃棄物を篩い目が20mm未満の櫛歯式傾斜型篩い機を用いる。
櫛歯式傾斜型篩い機は、振動式でも、固定式でもよい。
篩い目は、選別精度の向上の観点から、8mm以上17mm以下が好ましく、8mm以上15mm以下が更に好ましい。
櫛歯の断面は、四角形、逆三角形、丸形のいずれでもよく、また先端の形状は平型、円錐型、切頭型のいずれでも構わない。
傾斜角度は、金属線材が滑り落ちることを促すために、10~60°とすることが好ましく、20~55°がより好ましく、30~50°が更に好ましい。なお、傾斜角が60°を超えると、櫛歯に当たって弾かれた篩い目よりも小さい粒子が、篩い上として回収されることがある。
また、櫛歯は選別精度を上げるため、複数段設置してもよいが、金属線材が櫛歯上に留まることを防ぐため、上段又は下段の櫛歯や、それを支持するシャフトと接触させないように配置することが望ましい。
なお、櫛歯式傾斜型篩い機として市販の装置を使用してもよく、例えば、グリズリフィーダー、フィンガースクリーンを挙げることができる。
次に、図1に示されるように、第1の篩い選別で得られた篩い下を破砕する第2の破砕工程を行う。第1の篩い選別で得られた篩い下には、金属線材が多数絡みあった小さい塊が多く含まれており、それを粉砕処理することで、絡みつきにくい大きさ又は単線にまで小さくすることができる。これにより、以降の処理工程において繊維や樹脂との絡みつきを防止できる。また、繊維や綿状物も破砕処理で細かくできるメリットにある。
第2の破砕工程は、破砕機を使用することができる。破砕機としては、第1の破砕工程と同様の破砕機が例示され、適宜選択することができるが、ハンマークラッシャー、カッティングミル等のように内部にスクリーンを設置して粒径調整可能なものが好ましい。なお、スクリーンを装着しない場合には、固定歯、回転歯、内壁等を所望のクリアランスに調整してもよい。
スクリーンの孔径は、4~15mmが好ましい。孔径が小さ過ぎると、粉砕機の刃の摩耗、内部滞留が増え破砕機の負荷が高まる傾向にあり、また孔径が大き過ぎると、十分な破砕効果を得難くなる。
次に、図1に示されるように、第2の破砕工程で得られた破砕物を、第2の篩い選別工程に供し、2粒群又は3粒群以上に篩い分ける。
第2の篩い選別には、パンチングメタル又は櫛歯式篩い機を用いる。パンチングメタル又は櫛歯式篩い機を用いることで、細かい金属線材の篩い目への絡みつき、居着きを防止することができる。なお、織網(平織・綾織等)等の細い線径の篩いを使用すると、破砕工程後の金属線材の形状が曲線状、U字状、螺旋状、塊状になっているため、金網に引っかかり、又は絡みついてしまうため、篩い選別が困難になる。
パンチングメタルとしては、例えば、鋼板に複数の孔が形成されたものを使用することができる。孔の形状は、例えば、角穴(正方形、長方形等)、丸穴(円形、楕円形等)のいずれでも構わない。
櫛歯式篩い機は、例えば、網面固定式、水平運動式(面内運動式)、垂直運動式、垂直面内回転式、立体振動篩い式等のいずれでもよい。
篩い目は、10mm以下が好ましい。なお、段数が少ない場合は、後述する物理選別工程での効率が低下するため、2段以上が好ましい。
2段以上設ける場合、1機内に2つ以上の篩いを設けても、1つの篩いを有する篩いを直列で2機以上設けてもよい。この場合の篩い目は、1段目が4~10mmであることが好ましく、2段目以降の篩い目は前段の篩い目の1/2以下とすることが好ましい。
孔配列としては、例えば、60°千鳥、45°千鳥、並列を挙げることができるが、これらに限定されない。
また、孔のピッチは、ピッチ/孔径の比率が1.5~2.5であるとよい。1.5未満であると、ピッチが短いため、孔間に金属線材が絡みつきやすくなり、2.5を超えると、開孔率が小さく処理能力が低下しやすい。
次に、図1に示されるように、第2の篩い選別工程で得られた各粒群について、物理選別を行い、金属と非金属とに分離する。
金属には、金属線材(銅が多い)の他、板状又は粒状の金属も含まれており、板状又は粒状の金属の多くは、例えば、ステンレス、アルミニウム、真鍮、銅であり、金、銀、白金、パラジウム等の貴金属を含有しているものもある。
非金属には、樹脂やゴム等が含まれており、例えば、固体燃料として再利用することができる。
物理選別としては、比重選別、渦電流選別、形状選別、色彩選別及び電磁誘導選別から選択される1以上を行えばよい。
比重選別は、公知の比重選別機を用いることが可能であり、乾式及び湿式のいずれでも構わないが、乾式のテーブル式比重選別機が好ましく、エアテーブルが更に好ましい。
比重選別において、例えば、エアテーブルを用いた場合、振動式テーブルの上面に供給された廃プラスチック脆化物は、振動式テーブルを通過する空気流によって振動式テーブルの上面から浮上した状態となり、振動式テーブルの傾斜方向に付与された振動により、比重の大きい重量物が下層に、比重の小さい軽量物が上層に移動し、下層の重量物は振動式テーブルの上面から摩擦力と振動力とを受けて斜め上方へ移動し、上層の軽量物は振動式テーブルの上面から摩擦力と振動力とを受けずに斜め下方へ押し流される。そして、振動式テーブルから重量物と軽量物が別々に排出され、重産物として金属が回収され、軽量物として樹脂等の非金属が回収される。なお、金属線材は粉砕で絡みつきもほとんどなく、細かくなっており、事前に粉砕・篩い分けで粒度が整っているため、効率的に金属として回収することができる。
渦電流選別は、公知の渦電流選別機を用いることが可能であり、特に限定されないが、例えば、回転磁石式、直行ベルトコンベヤ式、回転円筒式を挙げることができる。
渦電流選別においては、例えば、コンベヤベルトの先端側に設けられた回転磁石体の移動磁界の電磁誘導作用を受けて内部に生じる誘導電流と移動磁界との相互作用によって、コンベヤベルトの先端側に搬送された廃棄物に回転磁石体の回転方向に推力を与え、飛躍しやすい板状、粒状の金属片と、飛躍しにくい金属線材(銅線主体)、飛躍しない樹脂、ガラス等の非金属に選別できる。なお、金属線材は細いため、板状、粒状の金属片に比べて飛躍しにくいが、回収板の調整によって、樹脂、ガラス等の非金属と選別可能である。また、上記した回収物を再度渦電流選別し、板状、粒状の金属片のみが回収される位置に分岐板を設置すれば、金属線材のみを回収可能である。
回転磁石体の回転数は、1500rpm以上が好ましく、3000rpm以上がより好ましく、4500rpm以上が更に好ましい。
形状選別は、板状・粒状のものだけをエアーで除去すれば、銅主体の金属線材のみを残存させることができる。
色彩選別は、銀色、黒色、灰色のものだけをエアーで除去すれば、銅や真鍮等の金属のみを残存させることができる。
電磁誘導選別は、数mm以上の粗粒の金属をエアーで吹き飛ばして回収する点で優れている。
なお、金属回収物に樹脂やガラスが混入することもあるが、その場合は粉砕機(ローラーミル、ボールミル、チューブミル等)で粉砕した後、篩い分けや風力選別で微粒分を除去すれば、金属の品位を向上できる。
(第2実施形態)
本実施形態に係る廃棄物の処理方法のフローチャートを図2に示す。
本実施形態に係る処理方法は、図2に示されるように、第1実施形態と同様に、先ず金属線材を含む廃棄物を加熱する加熱工程を行う。なお、加熱工程の具体的構成は、第1実施形態において説明したとおりである。
次に、図2に示されるように、加熱後の廃棄物について、該廃棄物中の金属線材同士を纏繞させる纏繞工程を行う。廃棄物中に含まれる金属線材同士の絡みつきを意図的に生じさせることで、以降の処理工程において金属線材に起因するトラブルをより一層抑制することができる。
纏繞工程は、加熱炉から排出された高温の廃棄物の冷却、次工程に搬送する過程で、廃棄物を掻き上げて金属線材同士の絡み合いを惹起すればよい。例えば、冷却時には、掻き上げ羽根が付いたシェルを有する間接式ロータリークーラーや、羽根が付いた軸の中を水冷しながら回転させる冷却スクリューコンベヤ等を使用することができる。また、搬送時には、羽根が付いた軸を回転可能なスクリューコンベヤ、または無軸のスパイラルを回転可能なスクリューコンベヤ等を使用することができる。このように、加熱後の廃棄物を冷却時及び/又は搬送時に掻き上げることで、樹脂主体の粒子や金属片は充填層の下部側に押し込まれ、他方金属線材は充填層の表層側に掻き上げられるため、近傍の金属線材同士が絡み合い、徐々に粗大化する。
次に、図2に示されるように、纏繞後の廃棄物を破砕する第1の破砕工程を行い、次いで破砕後の廃棄物を第1の篩い選別工程に供する。なお、破砕工程及び第1の篩い選別工程の具体的構成は、第1実施形態において説明したとおりである。
次に、図2に示されるように、第2の破砕工程で得られた破砕物を磁力選別して磁着物と非磁着物に分離する。これにより、磁着物として金属を効率よく回収でき、また磁着物への繊維等の混入を防止することができる。更に、磁着物を取り除くことで、次工程において非磁着物の処理量を低減できるだけでなく、銅線主体の金属線材を回収することができる。
磁力選別は、公知の磁力選別機を用いることが可能であり、例えば、ドラム式、プーリー式及び吊下げ式のいずれでもよく、特に限定されない。
磁力選別では、例えば、高磁力の磁場が存在するマグネットドラムと、マグネットドラムに巻き回されたベルトコンベヤ(移動式ベルト)と、ベルトコンベヤのベルト面上に試料を供給するフィーダとを有する磁力選別装置を用いて、磁着物と非磁着物に選別する。 磁力選別機の表面磁束密度は、磁力が強すぎると、鉄や磁石の粒・粉を取り込んだ樹脂の溶融物も回収してしまうため、40~300mTが好ましい。
次に、図2に示されるように、磁力選別により得た非磁着物を第2の破砕工程に供する。なお、第2の破砕工程の具体的構成は、第1実施形態において説明したとおりである。
次に、図2に示されるように、第2の破砕工程で得た破砕物を風力選別し、重量物と軽量物に分離する。これにより、篩い下に含まれる金属、ガラス、未分解の樹脂、粒径の大きな粒子を重量物として回収し、綿状の異物、微粉、細粒を軽量物として除去することができる。
風力選別工程は、公知の風力選別機を用いることが可能であり、特に限定されないが、例えば、ジグザグ式、内部循環式を挙げることができる。
風力選別において、例えば、内部循環式を用いた場合、ファンにより下から上方向に空気の流れを作ると、篩い下に含まれる重量物は空気の流れに逆らって下方向に移動し、他方軽量物は空気の流れに乗って上方向に移動する。このようにして重量物と軽量物とに選別され、重量物が次工程に供される。
風力選別する際には、重量物側に金属、ガラス、未分解の樹脂、粒径の大きな粒子が主体になるように、風力選別の風速を設定することが好ましい。具体的には、風速は、5m/s以上が好ましく、7m/s以上がより好ましく、8m/s以上が更に好ましい。なお、風力の上限値は廃棄物の種類により適宜設定可能であり、通常30m/s以下であるが、風速が早すぎる場合、軽量物に粗大な金属、ガラス、樹脂の混入量が多くなるため、好ましくは15m/s以下である。なお、回収した軽量物は、セメントキルン等で微粉炭の代替燃料として利用できる。また、軽量物は平均粒子径(D50)が0.5~3mm程度と粒度が十分に細かいが、必要に応じてローラーミル等で粉砕を行えば、燃焼性を改善して利用しやすくなる。なお、平均粒子径(D50)とは、上記において説明した体積基準の粒度分布における累積50%粒子径をいう。
次に、図2に示されるように、風量選別により得られた重量物を、第2の篩い選別工程、物理工程に供する。なお、第2の篩い選別工程及び物理選別工程の具体的構成は、第1実施形態において説明したとおりである。
(第3実施形態)
本実施形態に係る廃棄物の処理方法のフローチャートを図3に示す。
本実施形態に係る処理方法は、図3に示されるように、第1の篩い選別工程で得られた篩い上について処理するものである。なお、第1の篩い選別工程で得られた篩い上は、上記において説明した第1実施形態、第2実施形態のいずれでもよい。
第1の篩い選別工程で得られた篩い上にも、樹脂、金属片だけでなく、金属線材も含まれている。そのため、この篩い上からも、金属と非金属を回収する。
金属線材は細く、反発力が小さいため、渦電流選別のみでは金属線材を導電産物側に回収することができない。そのため、本実施形態では、渦電流選別と比重選別とを組み合わせて行う。これにより、樹脂と金属線材を効率よく分離することができる。
比重選別は、液体又は固体を媒体とすることが可能であり、例えば、重液選別又は流動層選別を挙げることができる。なお、比重選別では、沈下物として、好ましくは比重が3以上の金属線材を回収する。
渦電流選別の具体的構成は、第1実施形態において説明したとおりである。
なお、渦電流選別と比重選別は、図3の(a)、(b)に示されるように、どちらを先に行っても構わない。いずれの順序によっても、樹脂、金属片及び金属線材の3種を回収することができる。なお、図3の(a)、(b)に示される工程は、以下のとおりである。
(a)第1の篩い選別工程で得た篩い上を渦電流選別して導電産物と非導電産物とに分離した後、非導電産物を比重選別して浮上物と沈下物とに分離し、沈下物として金属線材を回収する
(b)第1の篩い選別工程で得た篩い上を比重選別して浮上物と沈下物とに分離した後、沈下物を渦電流選別して導電産物と非導電産物とに分離した後、非導電産物として金属線材を回収する
以上、本発明を好適な実施形態に基づいて詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。例えば、第1の実施形態において、加熱工程後、第1の破砕工程前に、加熱後の廃棄物について、該廃棄物中の金属線材同士を纏繞させる纏繞工程を行ってもよい。纏繞工程により廃棄物中に含まれる金属線材同士の絡み合いを意図的に惹起することで、以降の処理工程において金属線材に起因するトラブルをより一層抑制することができる。また、第2実施形態においては、第1の篩い選別工程で得られた篩い下について、磁力選別工程及び風力選別工程を行ったが、磁力選別工程及び風力選別工程は、加熱工程後、物理選別工程前のいずれかにおいて任意の順序で行うことが可能である。
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態をさらに具体的に説明する。但し、本発明は、下記の実施例に限定されるものではない。
本実施例で使用した装置は、以下のとおりである。
(1)加熱炉
外熱式ロータリーキルンを用いた。
(2)冷却・搬送機
間接式ロータリークーラー、水冷式有軸スクリューコンベヤ(いずれも北興化工機製)の順に連結して用いた。
(3)破砕機
・第1の破砕工程
ハンマークラッシャー(MHM-50R、御池鐵工所製)にスクリーンφ30mmを装着して用いた。
・第2の破砕工程
ハンマークラッシャー(MHM-50R、御池鐵工所製)にスクリーンφ4~15mmを装着して用いた。
(4)第1の篩い選別工程で使用した篩い分け機
櫛歯式傾斜型篩い分け機を用いた。仕様は、以下のとおりである。
外径φ8mmの丸棒、篩い目(=各丸棒の間隔)8~20mm、傾斜角40°、固定式
(5)風力選別機
ジグザグ式風力選別機(御池鐵工所製)を用いた。
(6)磁力選別機
ドラム型磁力選別機(RENS-φ318×350L、日本マグネティックス製)を用いた。
(7)第2の篩い選別工程で使用した篩い分け機
・1段目の篩い選別
以下のいずれかを使用した。なお、仕様も併せて示す。
(a)櫛歯篩い分け機
外径φ8mmの丸棒、篩い目(=各丸棒の間隔)10mm、傾斜角40°、固定式(振動式ではない)
(b)円筒振動式篩い分け機(KF-1000-3D、興和工業所製)
パンチングメタル(丸孔60°千鳥)、孔径4mm(ピッチ6mm)又は10mm(ピッチ15mm)
(c)円筒振動式篩い分け機(KF-1000-3D、興和工業所製)
織網(綾織)、10mm
・2段目の篩い選別
以下のいずれかを使用した。なお、仕様も併せて示す。
(d)櫛歯篩い分け機
外径φ8mmの丸棒、篩い目(=各丸棒の間隔)4mm、傾斜角40°、固定式(振動式ではない)
(e)円筒振動式篩い分け機(KF-1000-3D、興和工業所製)
パンチングメタル(丸孔60°千鳥)、孔径2mm(ピッチ3mm)又は4mm(ピッチ6mm)
(f)円筒振動式篩い分け機(KF-1000-3D、興和工業所製)
織網(綾織)、4mm
実施例1~4及び比較例1~12
金属線材を含む廃棄物として、家庭用・業務用の電化製品、家具等を含むシュレッダーダストを用い、図2に示すフローチャートにしたがって処理した。具体的には、以下のとおりである。
(加熱工程)
廃棄物を、350℃の加熱炉内に1000kg/hの速度で供給して脆化させた。
(纏繞工程)
加熱炉から搬出された加熱工程後の廃棄物を、間接式ロータリークーラー、水冷式有軸スクリューコンベヤの順に搬送しながら冷却した。なお、搬送中、廃棄物を巻き上げて金属線材の絡み合いを助長させた。
(第1の破砕工程)
纏繞工程後の廃棄物を、ハンマークラッシャーで破砕した。なお、ハンマークラッシャーには、開口径20mmのスクリーンを装着して篩い下を採取した。
(第1の篩い選別工程)
破砕工程で得た篩い下を、表1に示す篩いを用いて篩い選別し、篩い上と篩い下に分離した。
(磁力選別工程)
風力選別工程で得た重量物を、磁力3000ガウスにて磁力選別し、磁着物と非磁着物に分離した。
(第2の破砕工程)
磁力選別工程で得た非磁着物を、ハンマークラッシャーで破砕した。なお、ハンマークラッシャーには、開口径4~15mmのスクリーンを装着して篩い下を採取した。
(風力選別工程)
第2の篩い選別工程で得た篩い下を、風速9.0m/sにて風力選別し、重量物と軽量物に分離した。
(第2の篩い選別工程)
風力選別工程で得た重量物を、表1に示す篩いを用いて篩い選別し、篩い上と篩い下に分離した(1段目)。
篩い下を、更に表1に示す篩いを用いて篩い選別し、篩い上と篩い下に分離した(2段目)。
(物理選別)
第2の篩い選別工程で得た3粒群について、エアテーブルを用いて金属と非金属とに分離した。
各実施例及び比較例の第1及び第2の篩い選別工程で使用した篩い分け機、並びに第1及び第2の粉砕選別工程で使用した粉砕機の種類を表1に示す。また、各工程における回収物の収支を表2に示す。なお、表1において、「―」と表記されているものは、当該工程を行わなかったことを意味し、また表において、工程の途中で選別不良となった場合には、それ以降の工程の収支結果を示していない。
Figure 2022140938000001
Figure 2022140938000002
表1から、金属線材を含む廃棄物を加熱して脆化し、脆化した廃棄物を破砕し、破砕後の廃棄物を特定の篩いで篩い選別し、篩い下を更に破砕して特定の篩いで篩い選別し、そして物理選別することで、金属線材に起因するトラブルを抑制できるため、効率よく安定に金属線材を含む廃棄物を処理できることがわかる。

Claims (6)

  1. 金属線材を含む廃棄物を加熱する加熱工程と、
    加熱後の廃棄物を破砕する第1の破砕工程と、
    破砕後の廃棄物を櫛歯式傾斜型篩いにより、篩い上と篩い下に分離する第1の篩い選別工程と、
    第1の篩い選別で得た篩い下を破砕する第2の破砕工程と、
    破砕後の廃棄物をパンチングメタル又は櫛歯式篩いにより、2粒群又は3粒群以上に篩い分ける第2の篩い選別工程と、
    第2の篩い選別で得た各粒群について、比重選別、渦電流選別、形状選別、色彩選別及び電磁誘導選別から選択される1以上の物理選別を行い、金属と非金属とに分離する物理選別工程
    を含む、廃棄物の処理方法。
  2. 加熱工程後、破砕工程前に、加熱後の廃棄物中の金属線材同士を纏繞させる纏繞工程を有する、請求項1記載の廃棄物の処理方法。
  3. 加熱工程において、金属線材を含む廃棄物を250~500℃に加熱する、請求項1又は2記載の廃棄物の処理方法。
  4. 第1の篩い選別工程で使用する櫛歯式傾斜型篩いの篩い目が20mm未満である、請求項1~3のいずれか1項に記載の廃棄物の処理方法。
  5. 第2の破砕工程において、篩い目が4mm以上15mm以下のスクリーンを有する破砕機で破砕する、請求項1~4のいずれか1項に記載の廃棄物の処理方法。
  6. 第2の篩い選別工程で使用するパンチングメタル又は櫛歯式篩いの篩い目が10mm以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載の廃棄物の処理方法。
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