JP2023132909A - 金属含有廃棄物の処理方法 - Google Patents

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恭宗 武藤
Yasumune Muto
智典 竹本
Tomonori Takemoto
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Abstract

【課題】高品位の金属を収率よく回収可能な金属含有廃棄物の処理方法を提供すること。【解決手段】金属含有廃棄物の加熱工程と、破砕工程と、破砕物を篩選別し篩上と篩下とに分離する第1の篩選別工程と、第1の篩選別工程で得られた篩下を、垂直方向に粉砕面を有する粉砕機構を備える粉砕機を用いて粉砕する粉砕工程と、粉砕工程で排出された排石を磁力選別して磁着物と非磁着物とに分離する磁力選別工程と、磁力選別工程で得られた非磁着物を篩選別し、篩上と篩下とに分離する第2の篩選別工程と、第2の篩選別工程で得られた篩上と篩下を、それぞれ揺動方向に対して平行な複数の凹部を有する波板状多孔板、又は揺動方向に対して平行な複数のスリット若しくは凹部を有するメッシュを載置した多孔板を備える比重選別機で処理を行う比重選別工程を含む、金属含有廃棄物の処理方法。【選択図】図1

Description

本発明は、金属含有廃棄物の処理方法に関する。
自動車の電装品、家電製品、通信機器、コンピュータ等の電子・電気機器は、ケーブル、ケーブルの端子部、プラグ、スピーカー、モーター、プリント基板、リレー、ボタン接点等の多くの電子機器によって構成され、これらの構成部材として、銅、真鍮、アルミ等の金属線材、金属箔が多く使用されている。また、スプリング、固定・接続治具(ネジ、バンド、ステーブルなど)、取っ手、装飾、光ファイバーの保護や補強のためのフレキシブルチューブ、支持線には、ステンレス鋼線、炭素鋼が使用されている。このような各種電子機器の廃棄に伴い、銅線をはじめ各種金属線材や、銅、ステンレスといった有価金属等が多量に発生するため、再資源化を図るべく、金属線材や有価金属等の回収が検討されている。
例えば、少なくとも鉄系金属と非鉄金属と被覆銅線とプラスチックを含む廃家電製品を所定の大きさに破砕し、次いで破砕物から磁気選別により鉄系金属を取り出し、次いで磁力選別により鉄系金属が取り出された破砕物から渦電流選別により非鉄金属を取り出し、次いで渦電流選別により非鉄金属が取り出された破砕物に対して略水平方向での振動を付与しつつ、破砕物をその下方から供給される空気流と接触させて比重選別により被覆銅線を回収する方法が提案されている(特許文献1)。また、有価金属として銅と、金、銀のいずれか又は両者を含有する含銅スクラップを焙焼して得た焙焼物を中間原料に用い、それを篩選別し、次いで篩下物を電磁誘導選別して有価金属を回収する方法も提案されている(特許文献2)。
特開2003-320311号公報 特開2018-31062号公報
しかしながら、特許文献1の廃家電破砕品には、大小様々な銅線が存在しており、アルミニウム等の他の金属も含まれるため、単純な比重選別のみで銅線を選択的に回収することは困難である。また、破砕品には微粒化した樹脂、ゴム、ガラス、繊維が多く含まれているため、銅線を回収する際に他の物質の混入が避けられない。一方、特許文献2に記載の方法は、銅を回収する操作が篩のみであるため、プラスチックを含む廃家電製品に適用した場合、プリント基板の母材であるガラス繊維布やアルミ片も篩上として回収され、銅線のみを選択的に回収することは困難である。そもそも金属線材は、曲線状、U字状、その他複雑な形状を有しており、形状が一様でないため、廃家電製品を破砕すると、金属線材同士が絡み合い、それに伴って粗大化し、また篩選別の際に篩目に金属線材が絡みつくといったトラブルが発生して装置の閉塞、運転停止が余儀なくされるのが実情である。
本発明の課題は、高品位の金属を収率よく回収可能な金属含有廃棄物の処理方法を提供することにある。
本発明者らは、金属含有廃棄物を加熱して破砕し、次いで破砕物を篩選別して篩上と篩下とに分離し、次いで篩下を特定の粉砕機構を備える粉砕機で粉砕し圧縮応力を印加することで、篩下に含まれる曲線状又は塊状の銅線を、直線状かつ短い長さに調整できるため、所定の形状を有する多孔板を備える比重選別機で処理することで、銅線を高収率で回収できることを見出した。
すなわち、本発明は、次の〔1〕~〔6〕を提供するものである。
〔1〕金属含有廃棄物を加熱する加熱工程と、
加熱工程後の金属含有廃棄物を破砕する破砕工程と、
金属含有廃棄物の破砕物を篩選別し、篩上と篩下とに分離する第1の篩選別工程と、
第1の篩選別工程で得られた篩下を、垂直方向に粉砕面を有する粉砕機構を備える粉砕機を用いて粉砕する粉砕工程と、
粉砕工程で排出された排石を磁力選別して磁着物と非磁着物とに分離する磁力選別工程と、
磁力選別工程で得られた非磁着物を篩選別し、篩上と篩下とに分離する第2の篩選別工程と、
第2の篩選別工程で得られた篩上と篩下を、それぞれ揺動方向に対して平行な複数の凹部を有する波板状多孔板、又は揺動方向に対して平行な複数のスリット若しくは凹部を有するメッシュを載置した多孔板を備える比重選別機で処理を行う比重選別工程
を含む、金属含有廃棄物の処理方法。
〔2〕粉砕工程において、ロールミル、エッジランナーミル、遠心ローラーミル及びディスクミルから選択される1以上の粉砕機を使用する、前記〔1〕記載の処理方法。
〔3〕加熱工程において、250~500℃に加熱する、前記〔1〕又は〔2〕記載の処理方法。
〔4〕第1の篩選別工程において、8mm以上20mm以下の篩目を使用する、前記〔1〕~〔3〕のいずれか一に記載の処理方法。
〔5〕磁力選別工程において、表面磁束密度0.1T以上の磁石を用いる、前記〔1〕~〔4〕のいずれか一に記載の処理方法。
〔6〕メッシュが平畳織メッシュ、トンキャップメッシュ、タイロッドメッシュ及びウェッジワイヤーメッシュから選択される1又は2以上である、前記〔1〕~〔5〕のいずれか一に記載の処理方法。
本発明によれば、金属含有廃棄物から高品位の金属を収率よく回収することができる。
本発明の金属含有廃棄物の処理方法の一実施形態を示すフローチャートである。 本発明に係る比重選別工程において使用可能な多孔板の一例を示す図である。 本発明に係る比重選別工程において使用可能なメッシュの一例を示す図である。 本発明に係る比重選別工程の一例を示す模式図である。
以下、本発明の金属含有廃棄物の処理方法について詳細に説明する。図1に、本発明の金属含有廃棄物の処理方法の好適な一実施形態のフローチャートを示す。
(加熱工程)
本発明の金属含有廃棄物の処理方法は、図1に示されるように、先ず、金属含有廃棄物を加熱する加熱工程に供する。
本工程の加熱は、衝撃や圧縮応力による破壊が容易となる形態に変化させる目的で、当該廃棄物中の樹脂成分を熱分解反応により脆化させる。したがって、本工程は、樹脂成分の炭化水素成分を残存させつつ加熱を行う点で、所謂炭化とは異なる。
金属含有廃棄物としては廃棄物中に金属を含むものであれば特に限定されないが、例えば、混合廃棄物を挙げることができる。ここで、本明細書において「混合廃棄物」とは、金属とプラスチック等の可燃物とが混合した状態で排出される廃棄物であって、種類ごとに分けることが難しい廃棄物をいう。
混合廃棄物の具体例としては、例えば、自動車シュレッダーダスト、シュレッダーダスト、産業系廃プラスチックを挙げることができる。シュレッダーダストとしては、自動車以外の産業廃棄物の破砕によって発生するものであれば特に限定されない。自動車以外の産業廃棄物としては、例えば、家電、自動販売機、OA機器、家具、建具を挙げることができる。産業系廃プラスチックとしては、例えば、建設系廃プラスチック、農業系廃プラスチック、漁業系廃プラスチック、海洋系廃プラスチック、金属部品付き廃プラスチックを挙げることができる。これら混合廃棄物には、プラスチックとともに、例えば、銅、真鍮、アルミニウム等の金属線材、金属箔、スプリング、固定・接続治具(ネジ、バンド、ステーブル等)、取っ手、装飾品、ステンレス鋼又は炭素鋼製のフレキシブルチューブや支持線が含まれているが、紙、ゴム、木くず、ガラスくず、コンクリートくず、陶磁器くず、鉱さい、がれき等の異物が含まれていても構わない。
金属含有廃棄物は、1種又は2種以上を使用することができる。
金属含有廃棄物の加熱は、加熱炉内で行うことができる。
加熱炉としては、金属含有廃棄物を収容し、かつ所望の温度に設定できれば、加熱炉の方式は問わない。例えば、固定炉、ストーカー炉、ロータリーキルン炉、流動床炉、堅型炉、多段炉を挙げることができる。
加熱炉内の雰囲気は、熱量を多く残して燃料としての価値を残存させる観点を踏まえると、低酸素雰囲気が好ましい。例えば、外熱式ロータリーキルン炉を用いると、低酸素下での加熱処理を容易にできる。ここで、本明細書において「低酸素雰囲気」とは、大気中よりも酸素濃度が低い雰囲気をいう。炉内雰囲気を低酸素にする方法としては、例えば、窒素等の不活性ガス、飽和水蒸気又は過熱水蒸気で炉内を充満させることで低酸素とするか、あるいは主に原料自身から発生するガス(H2O、CO2、低級炭化水素等の可燃性ガスなど)又は燃焼設備から発生する燃焼ガス、ボイラー蒸気等で炉内を充満させて低酸素化してもよい。
加熱温度としては樹脂成分が炭化しない温度であれば特に限定されないが、廃棄物の脆化促進の観点から、250~500℃が好ましく、275~475℃がより好ましく、300~450℃が更に好ましい。
加熱時間は、廃棄物に含まれる樹脂成分の種類や容量により適宜選択可能であるが、通常30~120分であり、好ましくは60~90分である。また、加熱処理中の温度は一定である必要はなく、例えば、連続式のロータリーキルン炉やストーカー炉を使用する場合には、原料投入部と排出部が前記温度条件の範囲内で温度勾配を有していても構わない。
加熱工程後の金属含有廃棄物には、軟質化した樹脂成分が含まれており、このような樹脂成分が後述する破砕工程への搬送時において癒着トラブルを起こすことがある。それを防止するために、加熱工程後の金属含有廃棄物を冷却してもよい。冷却は、冷却機を使用することが可能である。冷却機の方式は特に限定せず、既存の冷却器を使用することができる。例えば、水冷ジャケット式のロータリークーラーやスクリューコンベアを挙げることができる。
(破砕工程)
次に、図1に示されるように、加熱工程後の金属含有廃棄物を破砕する破砕工程を行う。これにより、金属含有廃棄物の脆化物に衝撃力を加えて細粒化するとともに、金属に付着した樹脂を剥離し、また電子基板や繊維強化プラスチックの多層構造を単層に剥離することができる。
金属含有廃棄物の破砕は、破砕機を使用することが可能であり、例えば、ジョークラッシャー、インパクトクラッシャー、ハンマークラッシャー、ロールクラッシャー、ロータリークラッシャーのいずれでもよい。破砕処理は、2回以上行ってもよい。2回以上行う場合には、同一又は異なる破砕機を使用することができる。なお、破砕機には、粒度調整を目的に所望の篩目のスクリーンを装着することが可能であり、スクリーンを装着しない場合には、固定歯、回転歯、内壁等を所望のクリアランスに調整してもよい。
(第1の篩選別工程)
次に、図1に示されるように、破砕工程により得られた金属含有廃棄物の破砕物を第1の篩選別工程に供する。これにより、ゴム片、金属片(主にアルミ)、大きな金属線材(主に鉄の太線)、単層に剥離した基板を篩上として分離することができる。そして、篩下を、後述する粉砕工程に供する。なお、これら篩上の主要成分は、鉄、アルミニウム、ケイ素であるため、そのままセメント原料として使用することができる。また、原料の種類により、篩上に鋼線やステンレス線が多く含まれる場合があり、その場合には磁力選別機によって磁着物を回収してもよい。また、篩上に含まれる銅片、アルミニウム片を渦電流選別機にて回収し、非鉄精錬用原料とすることもできる。
篩選別には、篩選別機を使用することができる。篩選別機の形式は特に限定されず、振動式、面内運動式、回転式及び固定式のいずれを使用しても構わないが、スクリーンの形状は被覆の剥離された銅線や、針金の引っかかりを防止するために、振動式の場合はグリズリー型、フィンガー型、パンチメタル方式のメッシュを用いることが好ましく、回転式の場合には、ディスクスクリーン、ロータリースクリーン、トロンメルを用いることが好ましい。
篩目は、篩上としてゴム片、金属片、金属線材、基板等を回収する観点から、8mm以上20mm以下が好ましく、10mm以上15mm以下が更に好ましい。
(粉砕工程)
次に、図1に示されるように、第1の篩選別工程で分離された篩下を粉砕する粉砕工程を行う。本工程においては、垂直方向に粉砕面を有する粉砕機構を備える粉砕機を用いることで、篩下に含まれる可燃成分を細粒化して燃料利用に適した形状及び寸法にするとともに、破砕工程等において曲線状又は塊状等になった銅線を、粉砕時の剪断力によって短く切断しつつ、圧縮力によって形状を直線状に変化させ、またオーステナイト系ステンレスに圧縮応力を印加して結晶相をマルテンサイト相へと変化させる。そして、セメントキルン等で微粉炭の代替燃料として利用可能な細粒化した精粉と、銅線、ステンレス等を含む排石とに分離し、粉砕機下部より排石を回収する。
粉砕機には、(1)垂直方向に粉砕面を有する粉砕機構を備える粉砕機と、(2)水平方向に粉砕面を有する粉砕機構を備える粉砕機に分類される。本工程においては、上記した(1)の粉砕機を使用するが、粉砕面が垂直方向に設けられていることに起因して、粉砕面で一度圧縮・剪断された被粉砕物は、粉砕面に留まることなく粉砕機下部へと落下し、下部に設けられた掻き上げ板によって再び粉砕面へ供給されるため、曲線状又は塊状等になった銅線は、繰り返し剪断力や圧縮力が印加され、直線状かつ短い長さに調整され、またオーステナイト系ステンレスも繰り返し圧縮応力が印加されマルテンサイト相へと結晶相が変化する。これに対し、上記した(2)の粉砕機を使用すると、このような作用効果が奏されず、しかも粉砕機内で可燃成分同士の癒着が生じて連続運転が困難となる。
上記した(1)の粉砕機において、垂直方向に粉砕面を有する粉砕機構としては、例えば、ローラー間で粉砕を行う機構、ディスク間で粉砕を行う機構、又はローラーとプルリングとの間で粉砕を行う機構を挙げることができる。このような粉砕機構を備える粉砕機としては、例えば、ロールミル、エッジランナーミル、遠心ローラーミル、ディスクミルを挙げることができるが、これらに限定されない。
粉砕処理は、2回以上行ってもよい。2回以上行う場合には、同一又は異なる粉砕機を使用することができる。
(気流分級工程)
細粒化した精粉は、その燃料価値を高めるために、気流分級工程に供してもよい。これにより、粉砕時に粉砕されにくい金属くずやガラスくず等を粗粒として分離することができる。この粗粒中には、鉄・銅・アルミニウム等のベースメタルや、金・銀・白金・パラジウム等の貴金属成分を含んでいるため、物理選別(例えば、磁力選別、渦電流選別、比重選別)によって回収してもよい。
気流分級は、気流式の分級機を使用する。気流式分級機は乾式であれば、形式は特に限定されず、公知のものを使用することができる。例えば、乾式サイクロン、ローター式分級機、エルボージェット分級機等を挙げることができる。また、上記した(1)の粉砕機内に同様の気流分級機構を設け、粉砕と粉砕物の分級とを粉砕機内で連続的に行ってもよい。
気流分級は、燃料代替品として用いる細粒の平均粒径(D50)が約500μm以下となるように分級条件を設定することが好ましい。例えば、分級機内の風速や分級ローター回転数等の条件を調整すればよい。ここで、本明細書において「平均粒径(D50)」とは、JIS R 1629に準拠してレーザー回折・散乱法により試料の粒度分布を体積基準で作成したときの積算分布曲線の50%に相当する粒子径(D50)を意味する。なお、粒子径分布測定装置として、例えば、マイクロトラック(日機装株式会社製)を使用することができる。
(磁力選別工程)
次に、図1に示されるように、粉砕工程で分離された排石を磁力選別する磁力選別工程に供する。ステンレス鋼の内、汎用的に使用されるオーステナイト系ステンレスは、そのままでは磁性を有さないが、粉砕工程において圧縮応力が印加されることにより、結晶相がマルテンサイト相へと変化するため、磁着物として鉄や炭素鋼とともに、ステンレス鋼をほぼ全量回収することができる。また、磁着物を取り除くことで、次工程において非磁着物の処理量を低減することができる。
磁力選別は、公知の磁力選別機を用いることが可能であり、例えば、ドラム式、プーリー式及び吊下げ式のいずれでもよく、特に限定されない。
磁力選別では、例えば、高磁力の磁場が存在するマグネットドラムと、マグネットドラムに巻回されたベルトコンベヤ(移動式ベルト)と、ベルトコンベヤのベルト面上に試料を供給するフィーダとを有する磁力選別装置を用いて、磁着物と非磁着物とに選別する。
磁力選別機は、後述する比重選別工程の負荷を低減するために、表面磁束密度0.1T以上の磁石を用いることが好ましく、0.3T以上の磁石が更に好ましい。なお、表面磁束密度の上限値は特に限定されないが、通常1.2Tであり、好ましくは1.0Tである。
また、磁力選別機を2機以上直列に配置し、それぞれ異なる表面磁束密度に設定して磁性の異なる金属を個別に回収してもよい。例えば、1機目の表面磁束密度を0.3T未満に設定し、2機目の表面磁束密度を0.3T以上に設定することで、炭素鋼やフェライト系ステンレス等の元々強磁性を有する鋼材を1機目で回収し、粉砕工程により部分的に磁性を付与されたオーステナイト系ステンレスを2機目で回収してもよい。
(第2の篩選別工程)
次に、図2に示されるように、磁力選別により分離された非磁着物を、第2の篩選別工程に供する。これにより、後述する比重選別工程における選別効率を向上させることができる。
本工程においては、第1の篩選別工程と同様に篩選別機を使用することができる。篩選別機の形式は特に限定されず、振動式、面内運動式、回転式及び固定式のいずれを使用しても構わないが、金属線による閉塞防止の観点から、篩目の形状については、パンチメタル方式のスクリーン、グリズリーフィーダーやウェッジワイヤースクリーン、ルーバー式スクリーン、櫛刃式のスクリーンを用いることが好ましい。
篩目は、比重選別工程における選別効率の向上の観点から、2mm以上10mm以下が好ましく、4mm以上8mm以下が更に好ましい。
(比重選別工程)
次に、図1に示されるように、第2の篩選別工程で分離された篩上と篩下とを、それぞれ所定の形状を有する多孔板を備える比重選別機で処理する比重選別工程に供する。即ち、篩上と篩下を、それぞれ(i)揺動方向に対して平行な複数の凹部を有する波板状多孔板、又は(ii)揺動方向に対して平行な複数の凹部を有するメッシュ、若しくは(iii)揺動方向に対して平行な複数のスリットを有するメッシュを載置した多孔板を備える比重選別機で処理する。
第2の篩選別工程で分離された篩上と篩下には、銅線の他にアルミ、ガラスが含まれているため比重選別を行うが、多孔板として比重選別機に一般的に使用されている平板状の平織メッシュを使用すると、銅線の転がりに起因して軽産物側へ一定の量が散逸することが判明した。そのため、本発明においては、多孔板の揺動方向に対して(i)の波板状多孔板、又は(ii)若しくは(iii)のメッシュを載置した多孔板を使用することで、多孔板の揺動方向に対して銅線を平行に配向させることができる。その結果、多孔板の揺動による銅線の転がりが抑えられるため、軽産物側への散逸が抑制され、重産物での銅線回収量を大幅に増加できることを本発明者らは見出した。このような効果は、次の2点を組み合わせること、即ち、上記した(1)の粉砕機を用いて、曲線状、U字状、その他複雑な形状の銅線に繰り返し剪断力や圧縮力を印加し、直線状かつ短い長さに調整することと、形態を調整した銅線を(i)の波板状多孔板、又は(ii)若しくは(iii)のメッシュを載置した多孔板を用いて比重選別することを組み合わせることで、初めて奏される。したがって、曲線状、U字状、その他複雑な形状を有する銅線を、(i)の波板状多孔板、又は(ii)若しくは(iii)のメッシュを載置した多孔板を用いて比重選別したとしても、銅線が多孔板の揺動方向に対して平行に配向しないため、上記した効果は享受できない。
上記した(i)の波板状多孔板の一例を図2に示す。図2に示される多孔板は、多孔板の揺動方向に対して平行に複数の凹部を有する波板状(V字型)の多孔板である。また、上記した(ii)のメッシュの一例を図3(a)、(b)に示す。図3(a)に示されるメッシュは、平畳織メッシュであり、図3(b)に示されるメッシュは、トンキャップメッシュである。また、上記した(iii)のメッシュの一例を図3(c)に示す。図3(c)される多孔板は、ウェッジワイヤーメッシュである。その他、タイロッドメッシュも使用することができる。
比重選別機としては公知の形式の装置を用いることができるが、乾式比重選別機が好ましく、下部からの送風と振動の作用で選別するエアテーブル選別機が更に好ましい。
本工程の好適な態様の一例を、図4に示す。図4は、(i)の波板状多孔板を使用した比重選別工程を示す。図4に示されるように、傾斜した多孔板を振動させながら、多孔板の下方から空気を多孔板に吹き上げることで、被選別物の内、比重の重い粒子を多孔板の上側に、比重の軽い粒子を多孔板の下側に分離するとともに、銅線を揺動方向に対して平行方向に配向させることができる。これにより、多孔板の揺動による銅線の転がりが抑えられ、軽産物側への散逸が抑制され、重産物として銅線を回収することができる。
(i)の波板状多孔板、並びに(ii)又は(iii)のメッシュ及びこれらを載置する多孔板は、エアー貫通用の孔を有するが、孔の形状は、円形でも、矩形でもよく、特に限定されない。
孔径は、使用する多孔板及びメッシュの種類により適宜選択可能であるが、例えば、波板状多孔板、平畳織メッシュ、トンキャップメッシュを使用する場合、振動方向に対して垂直方向の目開きが0.5mm以下であることが好ましく、0.3mm以下が更に好ましい。また、タイロッドメッシュを使用する場合、織目構造の短手方向の目開きが0.5mm以下であることが好ましく、0.3mm以下が更に好ましい。
なお、孔径の下限値は、エアーを貫通できれば特に限定されないが、通常0.05mmであり、好ましくは0.1mmである。
なお、被選別物に含まれる銅の内、板や球の形状を有する粒子については、多孔板の上側で回収することが可能である。
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態をさらに具体的に説明する。但し、本発明は、下記の実施例に限定されるものではない。
実施例1
金属含有廃棄物として、家庭用・業務用の電化製品、家具等を含むシュレッダーダストを用い、図1に示すフローチャートにしたがって処理した。具体的には、以下のとおりである。
(加熱工程)
シュレッダーダストを、390℃の加熱炉内に1000kg/hの速度で供給し、加熱した。加熱炉として外熱式ロータリーキルンを用い、加熱工程後の回収量は750kg/hであった。
(冷却工程)
加熱工程後のシュレッダーダストを窒素雰囲気下にて間接式ロータリークーラー、冷却スクリューコンベヤにて冷却し、スクリューコンベヤを用いて破砕工程に搬送した。
(破砕工程)
冷却工程後のシュレッダーダストをハンマークラッシャーで破砕した。なお、ハンマークラッシャーには、開口径30mmのスクリーンを装着した。
(第1の篩選別工程)
シュレッダーダストの破砕物を、篩目10mmの円筒振動篩で篩選別し、篩下を回収した。
(粉砕工程・気流分級工程)
遠心リングローラーミルを用い、当該ミル内に設けた強制渦型遠心分級機により、篩下の粉砕と粉砕物の分級とをミル内で連続的に行い、気流にて排出される精粉と、ミル下部から排出される排石とに分離した。
(磁力選別工程)
排石を、表面磁束密度0.3Tにて磁力選別し、磁着物と非磁着物に分離した。
(第2の篩選別工程)
非磁着物を、篩目10mmの円筒振動篩で篩選別し、篩上と篩下とに分離した。
(比重選別工程)
篩上と篩下を、それぞれ表1に示す多孔板を有する左右2方向式のエアテーブルを使用して比重選別し、重産物と、軽産物とに分離した。
破砕工程、磁力選別工程、第2の篩選別工程及び比重選別工程で採用した条件を表1に示す。
実施例2
第2の篩選別工程において、篩目を表1に示すものに変更し、比重選別工程において、表1に示すメッシュを載置した多孔板を用いたこと以外は、実施例1と同様の操作により処理した。
実施例3
比重選別工程において、表1に示すメッシュを載置した多孔板を用いたこと以外は、実施例1と同様の操作により処理した。
実施例4
比重選別工程において、表1に示すメッシュを載置した多孔板を用いたこと以外は、実施例2と同様の操作により処理した。
比較例1
粉砕工程を行わなかったこと以外は、実施例1と同様の操作により処理した。
比較例2
粉砕工程を行わなかったこと以外は、実施例2と同様の操作により処理した。
比較例3
粉砕工程を行わなかったこと以外は、実施例3と同様の操作により処理した。
比較例4
粉砕工程を行わなかったこと以外は、実施例4と同様の操作により処理した。
比較例5
比重選別工程において、表1に示すメッシュを載置した多孔板を用いたこと以外は、実施例1と同様の操作により処理した。
比較例6
比重選別工程において、表1に示メッシュを載置した多孔板を用いたこと以外は、実施例1と同様の操作により処理した。
比較例7
比重選別工程において、表1に示すメッシュを載置した多孔板を用いたこと以外は、実施例1と同様の操作により処理した。
Figure 2023132909000002
実施例1~4及び比較例1~7において、比重選別工程で得られた篩上と篩下の重産物を混合し、また篩上と篩下の軽産物を混合した。そして、重産物及び軽産物の回収割合、銅の品位、並びに比重選別工程で得られた銅の回収率について評価した。
〔評価〕
1.銅の品位の分析
JIS M 8121に準拠して銅の品位を分析した。
2.銅の回収率
原料(シュレッダーダスト)の投入量と、重産物質量及び軽産物質量の合計量に銅の品位を乗じた値に基づいて、下記式により回収率を算出した。
回収率(%)=(A+B)/C×100
〔式中、Aは重産物質量と、該重産物に含まれる銅の品位とを乗じた値を示し、Bは軽産物質量と、該軽産物に含まれる銅の品位とを乗じた値を示し、Cは、原料(シュレッダーダスト)の投入量と、原料に含まれる銅の品位とを乗じた値を示す。〕
Figure 2023132909000003
表2から、金属線材を含む廃棄物を加熱して破砕し、次いで破砕物を篩選別して篩上と篩下とに分離し、次いで篩下を特定の粉砕機構を備える粉砕機で粉砕することで、曲線状、U字状、その他複雑な形状の銅線が繰り返し剪断力や圧縮力が印加され、直線状かつ短い長さに調整できるため、それを所定の形状を有する多孔板又はメッシュを備える比重選別機で処理することで、銅線を高収率で回収できることがわかる。

Claims (6)

  1. 金属含有廃棄物を加熱する加熱工程と、
    加熱工程後の金属含有廃棄物を破砕する破砕工程と、
    金属含有廃棄物の破砕物を篩選別し、篩上と篩下とに分離する第1の篩選別工程と、
    第1の篩選別工程で得られた篩下を、垂直方向に粉砕面を有する粉砕機構を備える粉砕機を用いて粉砕する粉砕工程と、
    粉砕工程で排出された排石を磁力選別して磁着物と非磁着物とに分離する磁力選別工程と、
    磁力選別工程で得られた非磁着物を篩選別し、篩上と篩下とに分離する第2の篩選別工程と、
    第2の篩選別工程で得られた篩上と篩下を、それぞれ揺動方向に対して平行な複数の凹部を有する波板状多孔板、又は揺動方向に対して平行な複数のスリット若しくは凹部を有するメッシュを載置した多孔板を備える比重選別機で処理を行う比重選別工程
    を含む、金属含有廃棄物の処理方法。
  2. 粉砕工程において、ロールミル、エッジランナーミル、遠心ローラーミル及びディスクミルから選択される1以上の粉砕機を使用する、請求項1記載の処理方法。
  3. 加熱工程において、250~500℃に加熱する、請求項1又は2記載の処理方法。
  4. 第1の篩選別工程において、8mm以上20mm以下の篩目を使用する、請求項1~3のいずれか1項に記載の処理方法。
  5. 磁力選別工程において、表面磁束密度0.1T以上の磁石を用いる、請求項1~4のいずれか1項に記載の処理方法。
  6. メッシュが平畳織メッシュ、トンキャップメッシュ、タイロッドメッシュ及びウェッジワイヤーメッシュから選択される1又は2以上である、請求項1~5のいずれか1項に記載の処理方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN118142975A (zh) * 2024-05-09 2024-06-07 山东科力华电磁设备有限公司 一种有色金属分选设备

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