JP7155096B2 - 自動走行経路生成システム - Google Patents

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Description

本発明は、自動走行経路生成システムに関する。
特許文献1には、作業地を作業しながら走行する作業車のための自動走行システムが記載されている。この自動走行システムによる収穫作業では、まず最初に、圃場の境界線に沿った3~4周の周回走行が行われる。この作業は周囲刈りと呼ばれ、この間に作業車が走行した領域が外周領域として設定される。そして、外周領域の内側の領域が作業対象領域として設定されて、この作業対象領域に対して自動走行による作業走行が実行される。
特許文献2には、圃場の隅部で未刈り穀稈を刈り取る隅刈り作業を自動的に行うことを可能としたコンバインが記載されている。このコンバインにおいて自動隅刈りモードが実行されると、制御装置は、刈取部を上昇させてから機体を所定距離後進させて停止させ、刈取部を下降させてから、機体を所定角度旋回させて刈り取りしながら所定距離前進させて停止させる作業動作を、設定回数行うように制御する。機体の旋回角度は、図6、図10に示されるように、前進を停止する位置が刈取部の刈り幅ずつ変位するように設定される。これにより、作業動作の繰り返しによって既刈り地が徐々に拡大するように自動の隅刈りが実行される。そして、生成された既刈り地で機体の方向転換が行われ(図7、図11)、次の辺に沿った刈り取りが行われる。
特開2018-73399号公報 特開2011-24427号公報
特許文献1の記載によれば、周囲刈りの少なくとも最外周一周は、刈り残しがないように、且つ、畦にぶつからないように、手動走行で行われる。圃場のコーナー領域では、未刈り穀稈が残らないように、前進と後進とを何度も繰り返す走行が行われる。そのため、周囲刈りに長い時間を要する上に、オペレータの手動操作が必要であり、作業効率が低い。
特許文献2に記載された方式の隅刈りでは、少しずつ方向転換しながら前進・後進を繰り返して既刈り地を徐々に拡大して、比較的広い既刈り地を確保し、その既刈り地で方向転換が行われる。
そのために、非常に多数の前進・後進の切り替えが必要となる(図6~7の例では7回、図10~11の例では8回)。そうすると、隅刈り作業は自動的に行われるものの長い時間を必要とし、作業効率は低い。
本発明の目的は、圃場の隅部における自動収穫走行を効率化する手法を提供することにある。
上記目的を達成するための自動走行経路生成システムの特徴構成は、圃場の作物を収穫する収穫機における自動走行の経路を生成する自動走行経路生成システムであって、圃場の隅部の形状を取得する圃場形状取得部と、前記隅部における自動収穫走行の経路である隅部走行経路を生成する隅部走行経路生成部と、を備え、前記隅部走行経路は、前記隅部を形成する辺のうちの一辺に沿って作物を収穫しながら前進する第1経路と、前記第1経路に沿って後進する第2経路と、前記第1経路との間に未作業地を残しつつ前記第1経路と交差する方向に作物を収穫しながら前進する第3経路と、前記第3経路に沿って後進する第4経路と、前記第1経路と前記第3経路との間の未作業地の作物を収穫しながら前進する経路であって、前記第1経路と前記第3経路との間の方向に進み、旋回して前記隅部を形成する辺のうちの他辺に沿って進む状態に至る第5経路と、を含む点にある。
上記の特徴構成によれば、第1経路から第5経路の5つの経路に沿った比較的少ない前後進により、圃場の隅部における収穫を行うことができる。そして、隅部の収穫が第1~第5経路に沿った自動走行により行われるので、オペレータによる操縦に比べて収穫機の進路が精密にコントロールされて、経路間の重なりを小さくしつつ刈り残し(未作業地)の発生を抑制することができる。従って、圃場の隅部における自動収穫走行を効率化することができる。
本発明においては、前記隅部走行経路生成部は、前記収穫機の刈り幅に基づいて前記第3経路を生成すると好適である。
上記の特徴構成によれば、収穫機の刈り幅に基づいて第3経路が生成されるので、第1経路と第3経路との間に残される未作業地の幅が刈り幅に応じた適切なものとなる。従って、隅部走行経路の自動収穫走行の終了後に隅部に残る未作業地を小さくすることができる。
本発明においては、前記隅部走行経路生成部は、前記収穫機の旋回半径に基づいて前記第3経路を生成すると好適である。
収穫機の旋回半径が変化すると、第5経路における旋回軌跡を変化させる必要があり、旋回軌跡の内側の領域の大きさ及び位置が変化する。第5経路の旋回軌跡の内側に未作業地が大きく残っていると、収穫機の旋回により当該未作業地の作物を倒したり踏んだりして、作物のロスが生じる可能性がある。上記の特徴構成によれば、収穫機の旋回半径に基づいて第3経路が生成されるので、第5経路における旋回軌跡の内側の領域を適切に既作業地にすることができ、作物のロスを低減することができる。
本発明においては、前記隅部走行経路生成部は、前記収穫機の穀粒貯留部に貯留された穀粒の貯留量に基づいて前記第3経路を生成すると好適である。
穀粒貯留部に貯留された穀粒の貯留量が大きくなると、収穫機の重量が増加するので、収穫機の旋回半径を大きくする必要がある。上記の特徴構成によれば、穀粒貯留部に貯留された穀粒の貯留量に基づいて第3経路が生成されるので、第5経路における旋回軌跡の内側の領域を適切に既作業地にすることができ、作物のロスを低減することができる。
本発明においては、前記隅部走行経路生成部は、圃場の状態に基づいて前記第3経路を生成すると好適である。
収穫機の旋回半径は、圃場の状態に応じて変化させる必要がある。例えば、圃場が柔らかい湿田である場合には、旋回半径を大きくする必要がある。上記の特徴構成によれば、圃場の状態に基づいて第3経路が生成されるので、第5経路における旋回軌跡の内側の領域を適切に既作業地にすることができ、作物のロスを低減することができる。
コンバインの左側面図である。 圃場における初期周回走行を示す図である。 αターン周回走行パターンによる自動走行を示す図である。 Uターン周回走行パターンによる自動走行を示す図である。 制御部に関する構成を示すブロック図である。 隅部走行経路の一例を示す図である。 隅部走行経路の一例を示す図である。
以下、圃場の作物を収穫する収穫機における自動走行の経路を生成する自動走行経路生成システムの一例について図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では、矢印Fの方向を「機体前側」、矢印Bの方向を「機体後側」とする。左右を示す場合には、機体前側を向いた状態における右手側を「右」、左手側を「左」とする。機体を地面に配置した状態における鉛直方向上側を「上」、鉛直方向下側を「下」とする。
〔コンバインの全体構成〕
図1に、収穫機の一例である自脱型のコンバインが示されている。このコンバイン1には、機体10と、クローラ式の走行装置11と、が備えられている。機体10の前部には、圃場の植立穀稈を刈り取って収穫する収穫部12が設けられている。
機体10において収穫部12の後方に、運転部13が設けられている。運転部13は、機体10の前部における右側に位置する。運転部13の左方に、収穫部12により収穫された収穫物を搬送する搬送部14が設けられている。
搬送部14の後方に、搬送部14により搬送された収穫物を脱穀処理する脱穀装置15が設けられている。脱穀装置15の後部に、排藁を切断処理する排藁処理装置16が設けられている。
運転部13の後方且つ脱穀装置15の右方に、脱穀装置15により得られた穀粒を貯留する穀粒タンク17(「穀粒貯留部」の一例)が設けられている。穀粒タンク17には、穀粒タンク17に貯留されている穀粒の量を検出する貯留量センサ17a(図5参照)が設けられている。
穀粒タンク17の後方に、穀粒タンク17に貯留された穀粒を外部に排出する排出装置18が設けられている。排出装置18は、上下方向に延びる旋回軸心周りで旋回可能である。
運転部13の前部における左側部分には、衛星測位モジュール19が設けられている。衛星測位モジュール19は、GPS(Global Positioning System)衛星からの信号を受信して、その信号に基づいて、コンバイン1の自車位置を示す測位データを生成する。
運転部13には、管理端末22(図5参照)が配置されている。管理端末22は、種々の情報を表示可能に構成されている。管理端末22が、コンバイン1の自動走行に関する種々の設定(優先する走行パターンの設定など)の入力操作を受け付け可能に構成されてもよい。
外部の通信ネットワークに接続可能な通信部23(図5参照)が設けられている。通信部23は、当該通信ネットワークを通じて外部のサーバ等と通信可能に構成されている。
コンバイン1は走行装置11により自走可能に構成されており、収穫部12によって圃場の植立穀稈を刈り取りながら走行装置11により走行する収穫走行が可能なように構成されている。
〔コンバインによる収穫作業〕
自脱型のコンバイン1による圃場での収穫作業について、図2-4を参照しながら説明する。本実施形態では、図2に示されるように、圃場が矩形である例が説明される。
まず最初に、図2に示されるように、圃場における外周側の領域において圃場の境界線に沿って周回するように、収穫走行が行われる(初期周回走行)。この初期周回走行によって既作業地となった領域は外周領域SAとして設定され、外周領域SAの内側の未作業地は作業対象領域CAとして設定される(図3参照)。
外周領域SAは、作業対象領域CAの植立穀稈の収穫を自動走行により行う際に、コンバイン1が方向転換(後述するターン走行)するためのスペースとして用いられる。また、外周領域SAは、穀粒の排出場所や燃料の補給場所への移動を行うためのスペースとしても用いられる。
初期周回走行は、外周領域SAの幅をある程度広く確保するために、2周~4周程度行われる。本実施形態では、初期周回走行は自動走行により行われる。
初期周回走行に続いて、自動走行により作業対象領域CAの植立穀稈が収穫される。なお本実施形態では、圃場において植立穀稈を収穫しながら自動走行することを「自動収穫走行」と記載し、一の自動収穫走行と次の自動収穫走行との間に行われるターンを含む自動走行を「ターン走行」と記載する。
作業対象領域CAにおける自動収穫走行及びターン走行は、所定の走行パターンに沿って行われる。走行パターンとしては、図3に示されるαターン周回走行パターンと、図4に示されるUターン周回走行パターンが例示される。
αターン周回走行パターンは、矩形の作業対象領域CAの4つの辺に平行な走行経路を順に走行し、ターン走行をαターン走行にて行う走行パターンである。αターン走行は、前進と、旋回走行を含む後進走行と、前進と、により実行される。αターン周回走行パターンによる自動走行は、図3に示されるように、渦巻き状の走行となる。
Uターン周回走行パターンは、矩形の作業対象領域CAの対向する2辺に平行な走行経路を交互に外側から順に走行し、ターン走行をUターン走行にて行う走行パターンである。Uターン走行は、旋回走行を含む前進走行のみにより実行される。Uターン周回走行パターンによる自動走行は、図4に示されるように、αターン周回走行パターンと同様に渦巻き状の走行となる。本実施形態では、Uターン周回走行パターンで走行する走行経路を、作業対象領域CAの条方向に平行な2辺に平行な経路とする。
αターン周回走行パターンによる自動走行は、外周領域SAの幅が狭くてUターン周回走行パターンによる自動走行が実行し難い場合に、Uターン周回走行パターンに先立って行われる。外周領域SAの幅が十分に大きく、Uターン周回走行パターンによる自動走行が可能な場合には、αターン周回走行パターンによる自動走行は実行されなくてもよい。
〔制御に関する構成〕
図5に示されるように、コンバイン1の制御部80は、自車位置算出部81、圃場形状取得部82、領域算出部83、情報取得部84、経路算出部85(「隅部走行経路生成部」の一例)、及び走行制御部86を備えている。
自車位置算出部81は、衛星測位モジュール19が生成した測位データに基づいて、コンバイン1の位置座標を経時的に算出する。
圃場形状取得部82は、収穫作業を行う圃場の形状を取得する。特に、圃場形状取得部82は、圃場の隅部の形状を取得する。詳しくは、圃場形状取得部82は、圃場の隅部を形成する辺の形状を取得する。
圃場形状取得部82による圃場の形状の取得は、通信部23を通じた外部サーバとの通信により行われてもよいし、オペレータによる管理端末22への入力操作により行われてもよいし、USBメモリ等からのデータの転送により行われてもよいし、機体10に搭載されたカメラやドローン(無線飛翔体)に搭載されたカメラによる圃場の撮影により行われてもよい。
領域算出部83は、自車位置算出部81が算出したコンバイン1の経時的な位置座標に基づいて、外周領域SA及び作業対象領域CAを算出する。より具体的には、領域算出部83は、自車位置算出部81が算出したコンバイン1の経時的な位置座標に基づいて、圃場の外周側における周回走行(初期周回走行)でのコンバイン1の走行軌跡を算出する。そして、領域算出部83は、算出されたコンバイン1の走行軌跡に基づいて、コンバイン1が植立穀稈を収穫しながら走行した圃場の外周側の領域を外周領域SAとして算出する。また、領域算出部83は、算出された外周領域SAよりも圃場内側の領域を作業対象領域CAとして算出する。
例えば、図2においては、圃場の外周側における周回走行(初期周回走行)においてコンバイン1が走行した経路が矢印で示されている。図示例では、コンバイン1は、3周の周回走行を行っている。そして、この初期周回走行が完了すると、圃場は図3に示される状態となる。
領域算出部83は、図3に示されるように、コンバイン1が植立穀稈を収穫しながら走行した圃場の外周側の領域を外周領域SAとして算出し、算出された外周領域SAよりも圃場内側の領域を作業対象領域CAとして算出する。
情報取得部84は、経路算出部85が隅部走行経路(後述)を生成するために用いる情報を取得する。詳しくは情報取得部84は、コンバイン1の刈り幅、コンバイン1の旋回半径、コンバイン1の穀粒タンク17に貯留された穀粒の貯留量、及び収穫作業を行う圃場の状態を取得する。例えば、情報取得部84は、コンバイン1のスペックが記憶されたメモリ(図示なし)から、コンバイン1の刈り幅及び旋回半径を取得する。情報取得部84は、穀粒タンク17の貯留量センサ17aから、穀粒タンク17に貯留された穀粒の貯留量を取得する。情報取得部84は、通信部23を通じて外部サーバと通信し、収穫作業を行う圃場の状態を示す情報を取得する。圃場の状態とは、例えば圃場の乾燥状態(湿田であるか否か)や固さ、土質等である。
経路算出部85は、コンバイン1の自動走行のための走行経路を算出(生成)する。詳しくは経路算出部85は、圃場の外周側の領域における初期周回走行(図2)のための初期走行経路FLと、作業対象領域CAにおけるαターン周回走行パターンによる自動走行(図3)のためのα走行経路ALと、作業対象領域CAにおけるUターン周回走行パターンによる自動走行(図4)のためのU走行経路ULと、を算出する。以下、具体的に説明する。
経路算出部85は、圃場形状取得部82が取得した圃場の形状に基づいて、初期走行経路FLを生成する。経路算出部85が算出する初期周回走行のための初期走行経路FLは、図2に示されるように、圃場の境界線に沿って渦巻き状に周回する経路であって、その最外周の経路は、圃場の隅部における自動収穫走行の経路である隅部走行経路CLを含んでいる。経路算出部85は、情報取得部84が取得した情報、すなわちコンバイン1の刈り幅、コンバイン1の旋回半径、コンバイン1の穀粒タンク17に貯留された穀粒の貯留量、及び収穫作業を行う圃場の状態に基づいて、隅部走行経路CLを算出する。経路算出部85が算出する隅部走行経路CLの詳細については後述する。
経路算出部85は、領域算出部83の算出結果に基づいて、作業対象領域CAの内側においてα走行経路AL及びU走行経路ULを算出する。本実施形態では、α走行経路AL及びU走行経路ULは、作業対象領域CAの4つの辺に平行に延びるメッシュ状の直線経路と、2つの直線経路を繋ぐターン経路と、を含む。
走行制御部86は、走行装置11及び収穫部12を制御可能に構成されている。そして走行制御部86は、自車位置算出部81が算出したコンバイン1の位置座標と、経路算出部85が算出した初期走行経路FL、α走行経路AL、及びα走行経路ALに基づいて、コンバイン1の自動走行を制御する。具体的には、走行制御部86は、領域算出部83が算出した経路の内から次に走行する経路を順次設定し、設定した走行経路に沿ってコンバイン1が走行するように、コンバイン1の走行装置11を制御する。
〔隅部走行経路〕
経路算出部85が算出する隅部走行経路CLは、図6に示されるように、第1経路R1、第2経路R2、第3経路R3、第4経路R4、及び第5経路R5を含む。以下の説明では、隅部を形成する辺のうちの一辺を辺L1、他辺を辺L2とする。
第1経路R1は、辺L1に沿って作物を収穫しながら前進する経路である。本実施形態では、第1経路R1は、辺L2に突き当たるまで前進する経路である。第2経路R2は、第1経路R1に沿って後進する経路である。コンバイン1が第1経路R1を自動収穫走行することにより、コンバイン1が通過する領域A1の植立穀稈が収穫され、既刈り地となる。
第3経路R3は、第1経路R1との間に未作業地NYを残しつつ第1経路R1と交差する方向に作物を収穫しながら前進する経路である。本実施形態では、第3経路R3は、まず辺L1に沿って前進し、地点P3より辺L1から離れる方向に旋回しながら前進し、辺L1及び辺L2と交差する方向へL2に突き当たるまで前進する経路である。第3経路R3における旋回の半径は、第5経路R5における旋回の半径(旋回半径RA1)よりも大きい。第3経路R3における旋回の半径は、旋回の内側の作物を倒したり踏んだりしない程度に大きいと好ましい。第4経路R4は、第3経路R3に沿って後進する経路である。
コンバイン1が第3経路R3を自動収穫走行することにより、コンバイン1が通過する領域A3の植立穀稈が収穫され、既刈り地となる。そして領域A1、領域A3、及び辺L2に囲まれた領域が、未作業地NYとして残る。本実施形態では、第3経路R3は、第5経路R5の自動収穫走行により既刈り地となる領域A5の圃場内側の領域、特に、領域A5の弧状の部分の内側領域INが、第3経路R3の自動収穫走行により既作業地となるように、経路算出部85により算出される。
第5経路R5は、第1経路R1と第3経路R3との間の未作業地NYの作物を収穫しながら前進する経路であって、第1経路R1と第3経路R3との間の方向に進み、旋回して隅部を形成する辺L2に沿って進む状態に至る経路である。本実施形態では、第3経路R3は、まず辺L1に沿って前進し、地点P3より辺L1から離れる方向に旋回しながら前進し、辺L2に沿って前進する経路である。
第5経路R5において旋回を開始する地点P5は、第3経路R3において旋回を開始する地点P3よりも、辺L2に近い。また、第5経路R5における旋回の半径(旋回半径RA1)は、第3経路R3における旋回の半径よりも小さい。すなわち、第5経路R5を自動収穫走行する際、コンバイン1は、地点P3よりも辺L2に近づいてから、第3経路R3における旋回よりも小さな旋回半径RA1で旋回する。
コンバイン1が第5経路R5を自動収穫走行することにより、コンバイン1が通過する領域A5の植立穀稈が収穫され、既刈り地となる。すなわち、未作業地NYにおける領域A5と重なる領域の植立穀稈が収穫される。従って、未作業地NYには、第5経路R5の自動収穫走行により収穫されない作物が存在することになる。
隅部走行経路CLが、第3経路R3及び第4経路R4を含まない場合を考える。この場合においても、コンバイン1が第5経路R5を自動収穫走行すると、コンバイン1は辺L2に沿って進む状態となり、初期周回走行を続行することができる。しかし、第5経路R5を走行中にコンバイン1が地点P5で旋回を開始すると、コンバイン1の機体左右方向左方は未刈り地であり、また旋回半径RA1が比較的小さいことから、コンバイン1の左方の植立穀稈を倒したり、走行装置11で植立穀稈を踏みつけてしまうおそれがある。植立穀稈の倒伏や踏みつけを抑制するために旋回半径RA1を大きくすることが考えられるが、旋回を開始する地点P5を辺L2から遠くする必要があり、辺L2との間の未刈り地が極めて大きくなるため実用的でない。
本実施形態の隅部走行経路CLは、第5経路R5よりも前に走行する第3経路R3を含んでいるので、第5経路R5の自動収穫走行により既刈り地となる領域A5の圃場内側の領域、特に、領域A5の弧状の部分の内側領域INが既刈り地となっている。これにより、第5経路R5の自動収穫走行における旋回半径RA1の旋回による植立穀稈の倒伏や踏みつけが抑制される。
経路算出部85は、コンバイン1の刈り幅W(図6)に基づいて、隅部走行経路CLを生成する。具体的には、経路算出部85は、刈り幅Wに基づいて、第1経路R1~第5経路R5と圃場の端部(辺L1、辺L2)との距離を決定する。また、刈り幅Wに応じて、第5経路R5の自動収穫走行により既刈り地となる領域A5の圃場内側の領域(内側領域IN)の位置等が変化する。経路算出部85は、刈り幅Wに応じて位置等が変化する内側領域INが第3経路R3の自動収穫走行により既作業地となるように、第3経路R3を算出する。例えば、図6の例よりも刈り幅Wが大きい場合、経路算出部85が算出する第1経路R1、第2経路R2は、図中下へ移動する。第5経路R5は、図中右下へ移動する。第5経路R5の移動に伴い、第3経路R3は、図中右下へ移動する。
経路算出部85は、コンバイン1の旋回半径に基づいて、隅部走行経路CL、特に第3経路R3~第5経路R5を生成する。ここでコンバイン1の旋回半径、特に、第5経路R5のように自動走行で前進しながら旋回する場合の旋回半径は、スペック上、所定の値に定められている。しかし、穀粒タンク17に貯留された穀粒の量が多い場合には、コンバイン1の総重量が大きくなる。その場合、穀粒の量が少ない場合と同じ旋回半径で旋回すると、圃場に大きな凹凸を形成してしまう可能性があるので、旋回半径を大きくすると好ましい。また、圃場の水気が多い場合や柔らかい場合には、轍ができやすいため、旋回半径を大きくすると好ましい。本実施形態では、経路算出部85は、情報取得部84が取得するコンバイン1の旋回半径(スペック上定められた旋回半径)穀粒タンク17の穀粒の貯留量、及び収穫作業を行う圃場の状態に基づいて、第5経路R5の旋回の半径を決定し、決定した旋回半径に基づいて第3経路R3~第5経路R5を生成する。
図7には、図6の第5経路R5の旋回半径RA1よりも大きい旋回半径RA2に基づいて生成された隅部走行経路CLが示されている。図示例における地点P5(第5経路R5において旋回を開始する点)は、図6の例に比べて、辺L2からの距離が大きい。第5経路R5の旋回半径RA2は、図6の第5経路R5の旋回半径RA1よりも大きい。それに伴い、領域A5の弧状の部分の内側領域INの位置が図6の場合に比べ図中右下に移動し、第3経路R3が図6の場合に比べ図中右下に移動している。
〔他の実施形態〕
〔1〕上記の実施形態では、経路算出部85が初期走行経路FLを算出し、初期周回走行の全体が自動収穫走行により行われる例が説明されたが、初期周回走行の一部が手動走行により行われてもよい。
〔2〕情報取得部84による情報の取得は、上記の実施形態に示される例に限られない。例えば、情報取得部84が、コンバイン1の刈り幅、旋回半径を、通信部23を通じて外部サーバ等から取得してもよいし、操作入力部(例えば管理端末22)を通じたオペレータの操作入力に基づいて取得してもよい。情報取得部84が、圃場の状態を、コンバイン1に備えられたカメラやセンサ等から取得してもよい。
〔3〕上記の実施形態では、第5経路R5における旋回の半径が、経路算出部85により、コンバイン1の旋回半径(スペック上定められた旋回半径)穀粒タンク17の穀粒の貯留量、及び収穫作業を行う圃場の状態に基づいて決定されたが、操作入力部(例えば管理端末22)を通じたオペレータの操作入力に基づいて決定されてもよい。
〔4〕上記の実施形態では、圃場が矩形であり、隅部が直交する2辺により形成される例が説明されたが、圃場及び隅部の形状はこれに限られない。例えば、圃場は多角形でもよいし、圃場の辺の一部又は全部が曲線でもよい。圃場の隅部が3辺以上で形成されてもよいし、2辺が交差する角度が鋭角又は鈍角でもよい。隅部を形成する辺の一部又は全部が曲線でもよい。この場合、例えば当該曲線を複数の直線で近似することにより、隅部走行経路の算出が可能である。
〔5〕上記の実施形態では、なお、第1経路R1と第3経路R3との間の未作業地NYの作物は第5経路R5の自動収穫走行により収穫されるが、全ての作物が収穫されることは必須ではなく、収穫されずに残る作物の存在(すなわち未作業地の存在)は許容される。また、第5経路R5における旋回軌跡の内側が第3経路R3の自動収穫走行により既作業地となるが、第5経路R5における旋回軌跡の内側の全ての領域が既作業地であることは必須ではない。
〔6〕上記の実施形態では、隅部走行経路CLが第1経路R1~第5経路R5を含む例が説明された。第3経路R3及び第4経路R4の組が、複数組含まれてもよい。
また、隅部走行経路が第1経路R1及び第2経路R2を含まない形態も可能である。例えば、経路算出部85が算出する隅部走行経路が、
隅部を形成する辺のうちの一辺との間に未作業地を残しつつ当該一辺と交差する方向に作物を収穫しながら前進する前進経路(第3経路R3に対応)と、
前記前進経路に沿って後進する後進経路(第4経路R4に対応)と、
前記一辺と前記前進経路との間の未作業地の作物を収穫しながら前進する経路であって、前記一辺と前記前進経路との間の方向に進み、旋回して隅部を形成する辺のうちの他辺に沿って進む状態に至る旋回経路(第5経路R5に対応)と、を含むように、経路算出部85が構成されてもよい。
本実施形態によれば、圃場の隅部に比較的大きな未作業地が残るが、隅部における旋回を迅速に行うことができ、圃場の隅部における自動収穫走行を効率化することができる。
本発明は、自脱型のコンバインだけでなく、普通型のコンバイン等の種々の収穫機に利用可能である。
1 :コンバイン(収穫機)
82 :圃場形状取得部
85 :経路算出部(隅部走行経路生成部)
CL :隅部走行経路
L1 :辺(一辺)
L2 :辺(他辺)
NY :未作業地
R1 :第1経路
R2 :第2経路
R3 :第3経路
R4 :第4経路
R5 :第5経路
RA1 :旋回半径
RA2 :旋回半径
W :刈り幅

Claims (5)

  1. 圃場の作物を収穫する収穫機における自動走行の経路を生成する自動走行経路生成システムであって、
    圃場の隅部の形状を取得する圃場形状取得部と、
    前記隅部における自動収穫走行の経路である隅部走行経路を生成する隅部走行経路生成部と、を備え、
    前記隅部走行経路は、
    前記隅部を形成する辺のうちの一辺に沿って作物を収穫しながら前進する第1経路と、
    前記第1経路に沿って後進する第2経路と、
    前記第1経路との間に未作業地を残しつつ前記第1経路と交差する方向に作物を収穫しながら前進する第3経路と、
    前記第3経路に沿って後進する第4経路と、
    前記第1経路と前記第3経路との間の未作業地の作物を収穫しながら前進する経路であって、前記第1経路と前記第3経路との間の方向に進み、旋回して前記隅部を形成する辺のうちの他辺に沿って進む状態に至る第5経路と、を含む自動走行経路生成システム。
  2. 前記隅部走行経路生成部は、前記収穫機の刈り幅に基づいて前記第3経路を生成する請求項1に記載の自動走行経路生成システム。
  3. 前記隅部走行経路生成部は、前記収穫機の旋回半径に基づいて前記第3経路を生成する請求項1又は2に記載の自動走行経路生成システム。
  4. 前記隅部走行経路生成部は、前記収穫機の穀粒貯留部に貯留された穀粒の貯留量に基づいて前記第3経路を生成する請求項3に記載の自動走行経路生成システム。
  5. 前記隅部走行経路生成部は、圃場の状態に基づいて前記第3経路を生成する請求項3又は4に記載の自動走行経路生成システム。
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