JP7153308B2 - ディスペンサ用硬化型シリコーン組成物 - Google Patents
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Description
例えば特許文献1には、シラノール基を一分子中に2個以上有するオルガノポリシロキサン100重量部あたり、球状シリコーン樹脂粒子50~100重量部、フュームドシリカ0.1~30重量部、硬化触媒1~10000重量ppm、及び、末端がカルビノール変性されたシリコーンオイル3~30重量部を含有してなる半導体発光装置封止材用硬化性オルガノポリシロキサン組成物が開示されている。
特許文献2には、バインダー樹脂と、シリコーンオイルと、金属アルコキシドの加水分解物とを含み、前記バインダー樹脂はエポキシ変性シリコーン樹脂を含み、前記シリコーンオイルは分子の末端にアルコキシ基、カルビノール基又はエポキシ基を有する反応性シリコーンオイルを含むことを特徴とする離型性組成物が開示されている。
しかしながら、ディスペンサから吐出して用いるシリコーン組成物はチキソ性が高すぎると吐出安定性が低下するため、ディスペンサからの吐出に適したチキソ性を付与する必要がある。
一方でディスペンサからの吐出性を高めるためにシリコーン組成物の流動性を高くすると、吐出後のシリコーン組成物の高さ寸法及び幅寸法を維持できなくなるという懸念がある。さらに、シリコーン組成物を吐出する対象物の形状等によっては当該対象物の側面にシリコーン組成物を吐出して硬化させる場合があるが、シリコーン組成物の流動性が高すぎると、吐出後のシリコーン組成物が吐出対象物の側面に沿って垂れる(液ダレが起こる)などして所望の形状の硬化物が得られないことがある。
すなわち、本発明は、以下の[1]~[12]を提供する。
[1]ディスペンサから吐出させた後に硬化されるディスペンサ用硬化型シリコーン組成物であって、反応硬化型シリコーン(A)、反応性シリコーンオイル(B)、及び非反応性シリコーンオイル(C)を含有するディスペンサ用硬化型シリコーン組成物。
[2]前記反応性シリコーンオイル(B)の含有量が前記反応硬化型シリコーン(A)100質量部に対して0.1~5質量部である上記[1]に記載のディスペンサ用硬化型シリコーン組成物。
[3]前記反応性シリコーンオイル(B)がカルビノール変性シリコーンオイル、カルボキシ変性シリコーンオイル、及びエポキシ変性シリコーンオイルからなる群から選ばれる少なくとも1種である上記[1]又は[2]に記載のディスペンサ用硬化型シリコーン組成物。
[4]前記非反応性シリコーンオイル(C)の含有量が前記反応硬化型シリコーン(A)100質量部に対して10~70質量部である上記[1]~[3]のいずれか1項に記載のディスペンサ用硬化型シリコーン組成物。
[5]前記非反応性シリコーンオイル(C)がジメチルシリコーンオイルである上記[1]~[4]のいずれか1項に記載のディスペンサ用硬化型シリコーン組成物。
[6]更に、シリカ粒子を含有する上記[1]~[5]のいずれか1項に記載のディスペンサ用硬化型シリコーン組成物。
[7]前記シリカ粒子の含有量が、前記反応硬化型シリコーン(A)100質量部に対して0.1~5質量部である上記[6]に記載のディスペンサ用硬化型シリコーン組成物。
[8]前記反応硬化型シリコーン(A)が付加反応硬化型シリコーンである上記[1]~[7]のいずれか1項に記載のディスペンサ用硬化型シリコーン組成物。
[9]前記ディスペンサ用硬化型シリコーン組成物が、25℃において回転粘度計を用いて回転速度1rpmで測定される粘度を第1粘度、回転速度10rpmで測定される粘度を第2粘度としたときに、第1粘度が600Pa・s以上、1500Pa・s以下の範囲であり、かつ第2粘度に対する第1粘度の比率[第1粘度/第2粘度]が、3.0以上、10以下の範囲である上記[1]~[8]のいずれか1項に記載のディスペンサ用硬化型シリコーン組成物。
[10]前記ディスペンサ用硬化型シリコーン組成物の硬化物の硬度が、JIS K2207-1996で規定される針入度において、30以上、190以下の範囲である上記[1]~[9]のいずれか1項に記載のディスペンサ用硬化型シリコーン組成物。
[11]上記[1]~[10]のいずれか1項に記載のディスペンサ用硬化型シリコーン組成物を硬化させた硬化物。
[12]車両部品用緩衝材である、上記[11]に記載の硬化物。
以下、本発明の実施形態に係るディスペンサ用硬化型シリコーン組成物について説明する。本明細書において「ディスペンサ用硬化型シリコーン組成物」とは、ディスペンサから吐出させた後に硬化される硬化型シリコーン組成物であり、ディスペンサを備えた容器に充填してディスペンサから吐出することにより対象物に塗布されるものである。以下、本発明の実施形態に係るディスペンサ用硬化型シリコーン組成物を単に「本発明のシリコーン組成物」ともいう。
ディスペンサ塗布用のシリコーン組成物は、吐出後に液ダレ等を起こさずに、吐出後の形状(高さ寸法、幅寸法)を維持した状態で硬化されることが好ましい。例えば携帯電子機器用筐体と、ガラスパネル等の他の部材との隙間を充填する緩衝材としてシリコーン組成物を用いる場合、ディスペンサからの吐出後にシリコーン組成物の形状が変化すると、上記接合部分に隙間ができるなどの不具合を生じるためである。
シリコーン組成物の吐出後の形状を維持するためには、例えばシリコーン組成物に対しチキソ性を付与する方法が考えられる。しかしながらチキソ性を付与すると通常はシリコーン組成物が増粘するため、ディスペンサからの吐出安定性が低下する傾向があった。
一方、ディスペンサからの吐出性を高めるためにシリコーン組成物の流動性を高くすると、吐出後のシリコーン組成物の形状維持性が低下するという問題がある。特に従来技術においては、ディスペンサからの吐出安定性と、シリコーン組成物を吐出する対象物の側面に吐出した場合にも吐出対象物の側面に沿って垂れる(以下「側面ダレ」ともいう)ことなく形状を維持することの両立が困難であった。
本発明のシリコーン組成物は、反応硬化型シリコーン(A)に対し、反応性シリコーンオイル(B)及び非反応性シリコーンオイル(C)という2種類のシリコーンオイルを含有させることで、ディスペンサ塗布に適したチキソ性及び流動性が付与され、ディスペンサ吐出性と、吐出後のシリコーン組成物の形状維持性、特に、シリコーン組成物を吐出する対象物の側面に吐出した場合の側面ダレの防止を両立できることを見出したものである。
吐出後の形状を維持する観点からは、本発明のシリコーン組成物は、更に後述するシリカ粒子を含有することが好ましい。
以下、本発明のシリコーン組成物に含有される各成分について説明する。
本発明に用いる反応硬化型シリコーン(A)は、架橋構造の形成が可能な反応性基を有するポリオルガノシロキサンを含む。ディスペンサ吐出性の観点から、当該反応硬化型シリコーンは室温(25℃)において液状であることが好ましい。反応硬化型シリコーン(A)は、好ましくは、バインダー成分である主剤と、硬化剤とを含み、該主剤が、架橋構造の形成が可能な反応性基を有するポリオルガノシロキサンであるものである。
当該反応硬化型シリコーンとしては、例えば、付加反応硬化型シリコーン、ラジカル反応硬化型シリコーン、縮合反応硬化型シリコーン、紫外線又は電子線硬化型シリコーン、及び湿気硬化型シリコーンが挙げられる。上記の中でも、反応硬化型シリコーンが付加反応硬化型シリコーンであることが好ましい。付加反応硬化型シリコーンを用いることで、得られるディスペンサ用硬化型シリコーン組成物を-10℃以上、120℃以下の温度範囲、好ましくは10℃以上、80℃以下の温度範囲でも効率よく硬化させることができるためである。付加反応硬化型シリコーンの硬化温度は、例えば、白金触媒等の添加により調整することができる。
付加反応硬化型シリコーンとしては、アルケニル基含有オルガノポリシロキサン(主剤)とハイドロジェンオルガノポリシロキサン(硬化剤)とを含むものがより好ましい。例えば、主剤と硬化剤を、二つのシリンジにそれぞれ分けて保管するようにしておくことで保存安定性を向上させたディスペンサ用硬化型シリコーン組成物とすることも可能である。
本発明に用いる反応性シリコーンオイル(B)は、反応性の官能基を有し、かつ、室温(25℃)において液状のシリコーンオイルである。反応性シリコーンオイル(B)を含有することで、本発明のシリコーン組成物に適度なチキソ性が付与され、吐出後のシリコーン組成物の高さ寸法及び幅寸法を維持することができるばかりでなく、吐出対象物の側面に吐出した場合でも側面ダレを起こさずに吐出後の形状を維持することができる。
反応性シリコーンオイル(B)が有する反応性の官能基としては、ヒドロキシ基、カルボキシ基、エポキシ基、アミノ基等が挙げられる。これらの中でも、チキソ性付与効果の観点からはヒドロキシ基が好ましい。
反応性シリコーンオイル(B)としては、シロキサン結合を有する主鎖、主鎖に結合する側鎖、又は主鎖の末端に反応性の官能基を導入した、反応性の変性シリコーンオイルが好ましい。このような反応性の変性シリコーンオイルとしては、例えば、カルビノール変性シリコーンオイル、カルボキシ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル等が挙げられる。これらの中でも、カルビノール変性シリコーンオイル、カルボキシ変性シリコーンオイル、及びエポキシ変性シリコーンオイルからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、チキソ性付与効果の観点からはカルビノール変性シリコーンオイルがより好ましい。
上記反応性シリコーンオイルは、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明に用いる非反応性シリコーンオイル(C)は、前記反応性シリコーンオイル(B)以外の、室温(25℃)において液状のシリコーンオイルである。すなわち非反応性シリコーンオイル(C)は、前記反応性シリコーンオイル(B)が有する反応性の官能基を有さない。本発明のシリコーン組成物においては、反応性シリコーンオイル(B)と非反応性シリコーンオイル(C)とを併用することで、ディスペンサ吐出性と、吐出後のシリコーン組成物の形状維持性、特に、シリコーン組成物を吐出する対象物の側面に吐出した場合の側面ダレの防止を両立できる。
非反応性シリコーンオイル(C)としては、ジメチルシリコーンオイル、フェニルメチルシリコーンオイル等のストレートシリコーンオイルの他、シロキサン結合を有する主鎖、主鎖に結合する側鎖、又は主鎖の末端に非反応性の有機基を導入した、非反応性の変性シリコーンオイル等が挙げられる。非反応性の変性シリコーンオイルとしては、例えば、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アラルキル変性シリコーンオイル、フロロアルキル変性シリコーンオイル、長鎖アルキル変性シリコーンオイル、高級脂肪酸エステル変性シリコーンオイル、高級脂肪酸アミド変性シリコーンオイル、及びフェニル変性シリコーンオイルが挙げられる。
上記の中でも、良好なディスペンサ吐出性を得る観点から、非反応性シリコーンオイル(C)としてはストレートシリコーンオイルが好ましく、ストレートシリコーンオイルの中でも、ジメチルシリコーンオイルがより好ましい。
上記非反応性シリコーンオイル(C)は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明のシリコーン組成物は、更に、シリカ粒子を含有することが好ましい。シリカ粒子を含有することでシリコーン組成物に適度なチキソ性が付与され、吐出後のシリコーン組成物の形状維持性がより良好になる。
本発明に用いるシリカ粒子は、親水性シリカ粒子であってもよいし、疎水性シリカ粒子であってもよい。親水性シリカ粒子は、粒子の表面にシラノール基(Si-OH)を有し、シラノール基の水酸基が水素結合可能に構成されたものである。疎水性シリカ粒子は、粒子の表面の水酸基が疎水基で置換(疎水化)されたものである。シリカ粒子は、乾式法シリカ粒子であってもよいし、湿式法シリカ粒子であってもよい。シリカ粒子としては、例えば、フュームドシリカを用いることができる。
なお、本発明のシリコーン組成物には、必要に応じて、前記(A)~(C)成分及びシリカ粒子以外の添加剤をさらに含有させることもできる。但しその含有量は、シリコーン組成物中、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、より更に好ましくは5質量%以下である。
本発明のディスペンサ用硬化型シリコーン組成物の形態は、一剤型でもよいし、使用時に2剤を混合して用いる二剤型のいずれでもよい。一剤型のディスペンサ用硬化型シリコーン組成物としては、(A)成分として湿気硬化型シリコーンを含有する組成物が挙げられる。二剤型のディスペンサ用硬化型シリコーン組成物としては、(A)成分として前述した付加反応硬化型シリコーンを含有する組成物が好ましい。具体的には、主剤であるアルケニル基含有オルガノポリシロキサン等の付加反応型のオルガノポリシロキサンを含有する第1剤と、ハイドロジェンオルガノポリシロキサン等の硬化剤を含有する第2剤とから構成されることが好ましい。
本発明のシリコーン組成物は、25℃において回転粘度計を用いて回転速度1rpmで測定される粘度を第1粘度、回転速度10rpmで測定される粘度を第2粘度としたときに、第1粘度が600Pa・s以上、1500Pa・s以下の範囲であり、かつ第2粘度に対する第1粘度の比率[第1粘度/第2粘度]が、3.0以上、10以下の範囲であることが好ましい(以下、第2粘度に対する第1粘度の比率[第1粘度/第2粘度]を「チキソ比」ともいう)。上記第1粘度は、より好ましくは800Pa・s以上、1200Pa・s以下、更に好ましくは950Pa・s以上、1200Pa・s以下の範囲である。また上記チキソ比は、より好ましくは3.0以上、8.0以下、更に好ましくは3.0以上、5.0以下の範囲である。
本発明のシリコーン組成物の第1粘度及びチキソ比が上記範囲である場合、ディスペンサ吐出性と、ディスペンサから吐出させた後のシリコーン組成物の形状維持性がより良好になる。なお、シリコーン組成物の第1粘度及びチキソ比の上記範囲は、シリコーン組成物が第1剤及び第2剤から構成される場合、第1剤及び第2剤を混合した際の組成物の第1粘度及びチキソ比が上記範囲になることが好ましい。また、混合前の第1剤及び第2剤のそれぞれの第1粘度及びチキソ比が上記範囲となる場合でも良い。
シリコーン組成物の粘度及びチキソ比は、具体的には実施例に記載の方法で測定できる。
シリコーン組成物の硬化物の上記硬度は80℃で10分間硬化させた硬化物について、25℃において測定した値であり、具体的には実施例に記載の方法で測定できる。
次に、本発明のシリコーン組成物の使用方法について説明する。
本発明のシリコーン組成物を使用するには、まず、当該組成物をシリンジ等の容器に充填した後、ディスペンサにセットする。
図1及び図2に示すように、ディスペンサは、本発明のシリコーン組成物11を吐出する吐出口を有するニードルNを備えている。ディスペンサのニードルNから吐出させた組成物11は、例えば、吐出対象物21の上面(平坦面)に吐出されることにより塗布される。吐出対象物21の上面に塗布された組成物11の形状は、線状であるが、例えば、点状であってもよい。また、吐出対象物21において組成物11を塗布する部分、すなわち硬化物を設ける部分は、平坦面に限らず、凸面や凹面であってもよい。吐出対象物21の外面が側面等の傾斜面を有する場合、その傾斜面に組成物11を塗布することもできる。
なお、図1の場合においては、ニードルNの吐出方向は、吐出対象物21に対して、垂直方向とし、ニードルNから吐出された直後の組成物11の高さや幅は、ニードル径Dの寸法と同様とする。また、ニードル形状(吐出された組成物11の形状)は、円や楕円、三角形、四角形、多角形等の組成物11をニードルNから吐出できればニードル形状は限定されない。
また、図2においては、例えばジェット式のディスペンサ装置によって、組成物11が点状になるように微量塗布目的で行っても良い。
本発明は、前記ディスペンサ用硬化型シリコーン組成物を硬化させた硬化物も提供する。本発明のシリコーン組成物及びそれを硬化させた硬化物は、例えば、車両用途、電子機器用途、及び建築用途における防水用、防振用材料として好適に用いられる。より具体的には、携帯型電子機器用筐体とガラスパネルとの隙間を充填する防水用緩衝材や、ベゼル、シフトパネル等の自動車部品の外周に塗布して用いる車両部品用緩衝材として有用である。これらの中でも、本発明のシリコーン組成物の硬化物は車両部品用緩衝材であることが好ましい。
本実施例では、以下の方法により各例で得られたシリコーン組成物を評価した。
ディスペンサ用硬化型シリコーン組成物の調製直後(後述する第1剤及び第2剤の混合直後)の25℃における粘度(Pa・s)を、B型粘度計(BROOKFIELD社製回転粘度計、DV-E)を用いて、スピンドル(SC4-14)の回転速度を1rpm及び10rpmに設定して測定した。粘度の値は、それぞれの回転速度においてスピンドルを2分間回転させた後の値を読み取った。なお、回転速度が1rpmのときの粘度を第1粘度、10rpmのときの粘度を第2粘度とした。
上記方法で測定した第1粘度及び第2粘度の値から、第2粘度に対する第1粘度の比率[第1粘度/第2粘度]をチキソ比として算出した。
ディスペンサ用硬化型シリコーン組成物の第1剤及び第2剤をそれぞれシリンジに充填し、ディスペンサ(武蔵エンジニアリング社製)にセットした。次に、ディスペンサのスクリューノズルによって第1剤及び第2剤を混合しながらディスペンサのニードル(ニードル径D:0.58mm、円孔)から間隔Gを0.80mmで取りながら吐出させ、基材表面(平面)にディスペンサ用硬化型シリコーン組成物を60mmの長さの直線状に塗布した。
直線状に塗布したディスペンサ用硬化型シリコーン組成物の、室温(25℃)、24時間経過後の高さ寸法H(mm)及び幅寸法W(mm)を測定した。測定地点は、直線状に塗布したディスペンサ用硬化型シリコーン組成物の前半地点(10mm地点)、中間地点(30mm地点)、後半地点(50mm)の3点に設定した。表1では、この3地点における寸法変化率の平均値での評価とした。
(平面における高さ寸法変化率)
上記方法で測定した高さ寸法H(mm)と、上記ニードル径D(mm)とを下記式(1)に代入することで、高さ寸法変化率を求めた。
高さ寸法変化率(%)=(H-D)×100/D・・・(1)
上記より求めた高さ寸法変化率を下記基準で判定した。高さ寸法変化率が0%に近いほど、高さ寸法の維持性が良好であることを示す。つまり、高さ寸法変化率が0%とは、シリコーン組成物11が、吐出された直後のニードル径Dと同様の高さ寸法を保っている状態である。
A:高さ寸法変化率が-10%以上0%以下
B:高さ寸法変化率が-20%以上-10%未満
C:高さ寸法変化率が-20%未満
(平面における幅寸法変化率)
上記方法で測定した幅寸法W(mm)と上記ニードル径D(mm)とを下記式(2)に代入することで、幅寸法変化率を求めた。
幅寸法変化率(%)=(W-D)×100/D・・・(2)
上記より求めた幅寸法変化率を下記基準で判定した。幅寸法変化率が0%に近いほど、幅寸法の維持性が良好であることを示す。つまり、幅寸法変化率0%とは、シリコーン組成物11が、吐出された直後のニードル径Dと同様の幅寸法を保っている状態である。
A:幅寸法変化率が0%以上10%以下
B:幅寸法変化率が10%より大きく、20%以下
C:幅寸法変化率が20%より大きい
上記した平面における寸法変化率と同様の方法でディスペンサ用硬化型シリコーン組成物11をディスペンサのニードルから吐出させ、基材表面(平面)にディスペンサ用硬化型シリコーン組成物を60mmの長さの直線状に塗布した。図3、4に示すように、室温(25℃)において、塗布直後に基材を平面に対し60°の角度に傾け、そして、直線状に塗布したディスペンサ用硬化型シリコーン組成物の、室温(25℃)において基材を傾けてから1時間経過後の高さ寸法H(mm)及び幅寸法W(mm)を測定した。測定地点は、直線状に塗布したディスペンサ用硬化型シリコーン組成物の前半地点(10mm地点)、中間地点(30mm地点)、後半地点(50mm)の3点に設定した。表1では、この3点における寸法変化率の平均値での評価とした。
(側面における高さ寸法変化率)
上記方法で測定した高さ寸法H(mm)と、上記ニードル径D(mm)とを下記式(1)に代入することで、高さ寸法変化率を求めた。
高さ寸法変化率(%)=(H-D)×100/D・・・(1)
上記より求めた高さ寸法変化率を下記基準で判定した。高さ寸法変化率が0%に近いほど、高さ寸法の維持性が良好であることを示す。つまり、高さ寸法変化率が0%とは、組成物11が、吐出された直後のニードル径Dと同様の高さ寸法を保っている状態である。
A:高さ寸法変化率が-10%以上0%以下
B:高さ寸法変化率が-20%以上-10%未満
C:高さ寸法変化率が-20%未満
(側面における幅寸法変化率)
上記方法で測定した幅寸法W(mm)と上記ニードル径D(mm)とを下記式(2)に代入することで、幅寸法変化率を求めた。
幅寸法変化率(%)=(W-D)×100/D・・・(2)
上記より求めた幅寸法変化率を下記基準で判定した。幅寸法変化率が0%に近いほど、幅寸法の維持性が良好であることを示す。つまり、幅寸法変化率0%とは、組成物11が、吐出された直後のニードル径Dと同様の幅寸法を保っている状態である。
A:幅寸法変化率が0%以上10%以下
B:幅寸法変化率が10%より大きく、20%以下
C:幅寸法変化率が20%より大きい
平面における寸法変化率の評価時と同様の手順で、ディスペンサ用硬化型シリコーン組成物をディスペンサのニードルから吐出させた際の吐出挙動を目視観察により確認し、下記基準で判定した。
A:全く抵抗感なく吐出されている
B:多少引っかかる感じはあるが、問題なく吐出されている
C:完全に引っかかっている感じで、吐出性が良くない
ディスペンサ用硬化型シリコーン組成物を80℃で10分間硬化させた硬化物について、25℃において、JIS K2207-1996に規定される針入度を測定した。針入度が30以上であれば、硬化物の硬度が良好であることを示す。
(A)成分である付加反応硬化型シリコーン(A1)を構成する主剤、反応性シリコーンオイル(B)であるカルビノール変性シリコーンオイル(B1)、及び非反応性シリコーンオイル(C)であるジメチルシリコーンオイル(C1)を混合することで第1剤を調製した。一方で、(A)成分である付加反応硬化型シリコーン(A1)を構成する硬化剤、シリカ粒子、上記(B1)及び(C1)成分を混合することで第2剤を調製した。第1剤及び第2剤の合計量における各成分の配合量(質量部)は表1に示す通りである。
得られた第1剤と第2剤とを用いてディスペンサ用硬化型シリコーン組成物を調製し、前記方法により各種評価を行った。結果を表1に示す。
ディスペンサ用硬化型シリコーン組成物の配合を表1に示す通りに変更したこと以外は、実施例1と同様の方法でディスペンサ用硬化型シリコーン組成物を調製し、各種評価を行った。結果を表1に示す。
(A1)付加反応硬化型シリコーン
(B1)カルビノール変性シリコーンオイル、動粘度:170mm2/s (25℃)
(B2)カルボキシ変性シリコーンオイル、動粘度:2000mm2/s (25℃)
(B3)エポキシ変性シリコーンオイル、動粘度:2500mm2/s (25℃)
(C1)ジメチルシリコーンオイル、動粘度:300,000mm2/s (25℃)
シリカ粒子(疎水性フュームドシリカ粉末)、平均一次粒子径:7nm
これに対し、(C)成分を含有しない比較例1のシリコーン組成物は吐出性が十分でなく、硬化物の硬度も低いものであった。また、(B)成分を含有しない比較例2のシリコーン組成物は吐出後の形状維持性に劣るものであった。
当該シリコーン組成物の硬化物は、例えば車両用途、電子機器用途、及び建築用途における防水用、防振用材料として好適に用いられる。
21:吐出対象物
Claims (12)
- ディスペンサから吐出させた後に硬化されるディスペンサ用硬化型シリコーン組成物であって、
前記ディスペンサ用硬化型シリコーン組成物が、反応硬化型シリコーン(A)、反応性シリコーンオイル(B)、及び非反応性シリコーンオイル(C)を含有し、
前記反応硬化型シリコーン(A)が、主剤及び硬化剤からなり、かつ、前記反応性シリコーンオイル(B)以外であり、
前記反応性シリコーンオイル(B)が、ヒドロキシ基、カルボキシ基、エポキシ基、及びアミノ基からなる群から選択される少なくとも1種である反応性の官能基を有し、
前記ディスペンサ用硬化型シリコーン組成物が、25℃において回転粘度計を用いて回転速度1rpmで測定される粘度を第1粘度、回転速度10rpmで測定される粘度を第2粘度としたときに、第1粘度が600Pa・s以上、1500Pa・s以下の範囲であり、かつ第2粘度に対する第1粘度の比率[第1粘度/第2粘度]が、3.0以上、10以下の範囲であるディスペンサ用硬化型シリコーン組成物。 - 前記反応性シリコーンオイル(B)の含有量が前記反応硬化型シリコーン(A)100質量部に対して0.1~5質量部である請求項1に記載のディスペンサ用硬化型シリコーン組成物。
- 前記反応性シリコーンオイル(B)がカルビノール変性シリコーンオイル、カルボキシ変性シリコーンオイル、及びエポキシ変性シリコーンオイルからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2に記載のディスペンサ用硬化型シリコーン組成物。
- 前記非反応性シリコーンオイル(C)の含有量が前記反応硬化型シリコーン(A)100質量部に対して10~70質量部である請求項1~3のいずれか1項に記載のディスペンサ用硬化型シリコーン組成物。
- 前記非反応性シリコーンオイル(C)がジメチルシリコーンオイルである請求項1~4のいずれか1項に記載のディスペンサ用硬化型シリコーン組成物。
- 更に、シリカ粒子を含有する請求項1~5のいずれか1項に記載のディスペンサ用硬化型シリコーン組成物。
- 前記シリカ粒子の含有量が、前記反応硬化型シリコーン(A)100質量部に対して0.1~5質量部である請求項6に記載のディスペンサ用硬化型シリコーン組成物。
- 前記反応硬化型シリコーン(A)が付加反応硬化型シリコーンである請求項1~7のいずれか1項に記載のディスペンサ用硬化型シリコーン組成物。
- 前記反応硬化型シリコーン(A)が、主剤であるアルケニル基含有オルガノポリシロキサンと、硬化剤であるハイドロジェンオルガノポリシロキサンからなる付加反応硬化型シリコーンである、請求項1~8のいずれか1項に記載のディスペンサ用硬化型シリコーン組成物。
- 前記ディスペンサ用硬化型シリコーン組成物の硬化物の硬度が、JIS K2207-1996で規定される針入度において、30以上、190以下の範囲である請求項1~9のいずれか1項に記載のディスペンサ用硬化型シリコーン組成物。
- 請求項1~10のいずれか1項に記載のディスペンサ用硬化型シリコーン組成物を硬化させた硬化物。
- 車両部品用緩衝材である、請求項11に記載の硬化物。
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