JP7153228B2 - 放射線硬化型インク組成物及び記録方法 - Google Patents
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Description
〔1〕
単官能ウレタン(メタ)アクリレート5~30質量%と、
環状骨格中に窒素原子を含有する単官能含窒素モノマー5~30質量%と、を含む、
放射線硬化型インク組成物。
〔2〕
下記一般式(1)で表されるビニルエーテル基含有(メタ)アクリレート10~50%を含む、
CH2=CR1-COOR2-O-CH=CH-R3・・・(1)
(式(1)中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は炭素数2~20の2価の有機残基であり、R3は水素原子又は炭素数1~11の1価の有機残基である。)
〔1〕に記載の放射線硬化型インク組成物。
〔3〕
前記単官能含窒素モノマーが、N-ビニル系モノマーを含む、
〔1〕又は〔2〕に記載の放射線硬化型インク組成物。
〔4〕
前記単官能含窒素モノマーが、アミド系アクリレートを含む、
〔1〕~〔3〕のいずれか一項に記載の放射線硬化型インク組成物。
〔5〕
アシルホスフィンオキサイド系重合開始剤を含む、
〔1〕~〔4〕のいずれか一項に記載の放射線硬化型インク組成物。
〔6〕
ヒンダードアミン系重合禁止剤を含む、
〔1〕~〔5〕のいずれか一項に記載の放射線硬化型インク組成物。
〔7〕
色材を含む、
〔1〕~〔6〕のいずれか一項に記載の放射線硬化型インク組成物。
〔8〕
〔1〕~〔7〕のいずれか一項に記載の放射線硬化型インク組成物をインクジェット方式により吐出し、非吸収性記録媒体に付着させる吐出工程と、
付着した前記放射線硬化型インク組成物に光照射する照射工程と、を有する、
記録方法。
本実施形態の放射線硬化型インク組成物(以下、単に「インク組成物」ともいう。)は、単官能ウレタン(メタ)アクリレート5~30質量%と、環状骨格中に窒素原子を含有する単官能含窒素モノマー5~30質量%と、を含み、必要に応じて、その他のモノマー、重合開始剤、増感剤、重合禁止剤、界面活性剤、色材、及び分散剤などを含んでいてもよい。
単官能ウレタン(メタ)アクリレートは、ウレタン結合を有する(メタ)アクリル酸エステルであれば特に制限されず、例えば、ウレタン結合、および重合可能な不飽和二重結合をそれぞれ一つ有する、下記式(2)で表される化合物が挙げられる。このような単官能ウレタン(メタ)アクリレートを用いることにより、得られる記録物の密着性及び延伸性がより向上する傾向にある。単官能ウレタン(メタ)アクリレートは、一種単独で用いても、二種以上を併用してもよい。
CH2=CR4-COO-R5-OCONH-R6 ・・・(2)
(式(2)中、R4は水素原子又はメチル基を示し、R5は置換基を有してもよい二価の炭化水素基を示し、R6は置換基を有してもよい一価の炭化水素基を示す。)
単官能含窒素モノマーは、環状骨格中に窒素原子を含有し、重合性官能基を1つ有する単官能モノマーである。単官能含窒素モノマーとしては、特に制限されないが、例えば、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニルカルバゾール、N-ビニルピロリドンなどのN-ビニル系モノマー;アクリロイルモルホリンなどのアミド系アクリレートが挙げられる。このなかでも、N-ビニル系モノマー、アミド系アクリレートが好ましい。このような単官能含窒素モノマーを用いることにより、得られる記録物の密着性及び延伸性がより向上する傾向にある。単官能含窒素モノマーは、一種単独で用いても、二種以上を併用してもよい。
本実施形態のインク組成物は、上記単官能ウレタン(メタ)アクリレート及び上記単官能含窒素モノマー以外のその他のモノマーを有していてもよい。その他のモノマーは単官能であっても多官能であってもよい。その他のモノマーは、一種単独で用いても、二種以上を併用してもよい。
CH2=CR1-COOR2-O-CH=CH-R3・・・(1)
(式(1)中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は炭素数2~20の2価の有機残基であり、R3は水素原子又は炭素数1~11の1価の有機残基である。)
重合開始剤は、放射線の照射によって活性種を生成し、上記モノマーの重合を開始させるものであれば特に限定されない。このような重合開始剤としては、特に制限されないが、例えば、芳香族ケトン類、アシルホスフィンオキサイド化合物、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物(チオキサントン化合物、チオフェニル基含有化合物など)、α-アミノアルキルフェノン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、及びアルキルアミン化合物が挙げられる。重合開始剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
増感剤は、紫外~短波可視である300~450nm付近の波長を有する光を吸収可能であり、且つ400~500nm付近の波長を有する蛍光を発光可能な無色ないし弱く着色した化合物である。増感剤を含むことにより、硬化性がより向上する傾向にある。
重合禁止剤としては、特に限定されないが、例えば、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)、1-o-2,3,5-トリメチルヒドロキノン、2-tert-ブチルヒドロキノンに代表されるヒドロキノン類;カテコール、4-メチルカテコール、4-tert-ブチルカテコールに代表されるカテコール類;フェノール、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、p-メトキシフェノール、クレゾール、ピロガロール、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシトルエン、2,2'-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2'-メチレンビス(4-エチル-6-ブチルフェノール)、及び4,4'-チオビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)に代表されるフェノール類;4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジニル-1-オキシルに代表される2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-N-オキシル骨格を有する化合物、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン骨格を有する化合物、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-N-アルキル骨格を有する化合物、及び2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-N-アシル骨格を有する化合物に代表されるヒンダードアミン類が挙げられる。なお、重合禁止剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
界面活性剤としては、特に制限されないが、例えば、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤が挙げられる。この中でも、シリコーン系界面活性剤が好ましい。
色材としては、特に制限されないが、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、酸化鉄、酸化チタンなどの無機顔料;キナクリドン系顔料、キナクリドンキノン系顔料、ジオキサジン系顔料、フタロシアニン系顔料、アントラピリミジン系顔料、アンサンスロン系顔料、インダンスロン系顔料、フラバンスロン系顔料、ペリレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ペリノン系顔料、キノフタロン系顔料、アントラキノン系顔料、チオインジゴ系顔料、ベンツイミダゾロン系顔料、イソインドリノン系顔料、アゾメチン系顔料、及びアゾ系顔料等の有機顔料が挙げられる。顔料は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
分散剤を含むことにより色材の分散性がより向上する傾向にある。分散剤としては、特に限定されないが、例えば、高分子分散剤などの顔料分散物を調製するのに慣用されている分散剤が挙げられる。その具体例として、ポリオキシアルキレンポリアルキレンポリアミン、ビニル系ポリマー及びコポリマー、アクリル系ポリマー及びコポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、アミノ系ポリマー、含珪素ポリマー、含硫黄ポリマー、含フッ素ポリマー、並びにエポキシ樹脂のうち一種以上を主成分とするものが挙げられる。高分子分散剤の市販品として、味の素ファインテクノ社製のアジスパーシリーズ、LUBRIZOL社製のソルスパーズシリーズ(Solsperse 36000等)、BYK社製のディスパービックシリーズ、及び楠本化成社製のディスパロンシリーズが挙げられる。
本実施形態の記録方法は、上記放射線硬化型インク組成物をインクジェット方式により吐出し、非吸収性記録媒体に付着させる吐出工程と、付着した放射線硬化型インク組成物に光照射する照射工程と、を有する。
付着工程は、放射線硬化型インク組成物を、記録媒体に付着させる工程である。放射線硬化型インク組成物は、機械的な変形によりキャビティーの容積を変化させる圧電素子などの電気機械変換素子や、熱を発することによりインクに気泡を発生させ吐出させる電子熱変換素子などを有するインクジェットヘッドを用いて吐出し、記録媒体に付着させることができる。
硬化工程は、記録媒体に付着した放射線硬化型インク組成物を、放射線照射手段により硬化させる工程である。紫外線照射手段としては特に限定されないが、例えば、UV-LED光源を用いることができる。UV-LED光源を用いることにより、メタルハライド光源や水銀灯を用いる場合と比較して、記録装置の小型化及び高寿命化、並びに記録方法の高効率化及び低コスト化が可能となる。
下記の実施例及び比較例において使用したインク組成物用の主な材料は、以下の通りである。
〔単官能ウレタン(メタ)アクリレート〕
2-(ブチルカルバモキシル)エチルアクリレート(長興材料工業 EM2080 (オリゴマー6101)、表では「6101」と略記した)
〔単官能含窒素モノマー〕
n-ビニルカプロラクタム(表では「nVC」と略記した)
アクリロイルモルホリン(表では「ACMO」と略記した)
〔その他のモノマー〕
VEEA(アクリル酸2-(2-ビニロキシエトキシ)エチル、日本触媒社製商品名、下記表では「VEEA」と略記した。)
ビスコート#192(フェノキシエチルアクリレート、大阪有機化学社製商品名、下記表では「PEA」と略記した。)
SR508(ジプロピレングリコールジアクリレート、サートマー社製商品名、下記表では「DPGDA」と略記した。)
〔光開始剤〕
Irgacure 819(BASF社製商品名、アシルホスフィンオキサイド系光ラジカル重合開始剤、表では「819」と略記した。)
Speedcure TPO(Lambson社製商品名、アシルホスフィンオキサイド系光ラジカル重合開始剤、表では「TPO」と略記した。)
〔増感剤〕
Speedcure DETX(Lambson社製商品名、チオキサントン系化合物、表では「DETX」と略記した。)
〔禁止剤〕
LA-7RD(2,2,6,6-テトラメチル-4-ヒドロキシピペリジン-1-オキシル、ADEKA社製商品名、表では「LA-7RD」と略記した。)
MEHQ(p-メトキシフェノール)
〔界面活性剤〕
BYK-UV3500(シリコーン系界面活性剤、ビックケミー・ジャパン株式会社、表では「BYK-UV3500」と略記した。)
〔顔料〕
Pigment Blue 15:3
〔分散剤〕
solsperse36000(LUBRIZOL社製、表では「solsperse36000」と略記した。)
各材料を下記の表1に示す組成で混合し、十分に撹拌し、各インク組成物を得た。なお、下記の表1中、数値の単位は質量%であり、合計は100.0質量%である。
レオメータ(MCR-300、Physica社製商品名)を用いて、温度20℃、Shear Rate 200s-1における粘度を測定した。評価基準は下記のとおりである。
A:20mPa・s未満
B:20mPa・s以上30mPa・s未満
C:30mPa・s以上
インクジェットプリンターPX-G5000(セイコーエプソン株式会社製)を用いて、放射線硬化型インク組成物をそれぞれのノズル列に充填した。常温、常圧下でPVCフィルム(3M株式会社製、商品名「IJ180-10」)上に、インクのドット径が中ドットで印刷物の膜厚が10μmとなるようなベタパターン画像を印刷すると共に、キャリッジの横に搭載した紫外線照射装置内のUV-LEDから照射強度が100mW/cm2となるように385nmの波長で第1照射をしてから、照射強度が1000mW/cm2で積算光量が700mJ/cm2となるように395nmの波長で第2照射をしてベタパターン画像を硬化させた。以上のようにして、PVCフィルム上にベタパターン画像が印刷された記録物を作製した。
A:硬化膜の剥離は認められないか、剥離が認められる格子が5%以下。
B:格子の5%超35%以下に硬化膜の剥離が認められた。
C:格子の35%超に硬化膜の剥離が認められた。
上記のようにして得られたインク組成物をバーコーターを用いて、塩ビフィルム(JT5829R、MACtac製)上に厚さ10μmとなるように塗布した。次いで、メタルハライドランプ(アイグラフィックス社製)を用いて、400mJ/cm2のエネルギーで硬化させて塗膜を形成した。上記塗膜を形成した塩ビフィルムの剥離紙を剥がし、幅1cm、長さ8cmの短冊状に切り出して試験片を作製した。各インク組成物の試験片について、引張試験機(TENSILON、ORIENTEC社製)を用いて延伸性としての伸び率を測定した。伸び率は、クラックが発生した時点での数値とした。評価基準は以下のとおりである。
A:100%以上
B:30%以上、100%未満
C:30%未満
上記のようにして得られたインク組成物を密閉容器に入れて60℃の環境下で4週間放置し、放置の前後におけるインクの粘度をHAAKEレオメータRS75により測定した。次いで、インクの粘度の変化率を以下の式により求めた。評価基準は以下のとおりである。
粘度変化率={(4週間後の粘度値)/(初期粘度値)×100}-100(%)
(評価基準)
A:粘度変化率が2%未満
B:粘度変化率が2%以上3%未満
C:粘度変化率が3%以上
上記のようにして得られたインク組成物をバーコーターを用いて、PETフィルム(PET50A PLシン〔商品名〕、リンテック社製)上に塗布した。その後、波長が395nmであるLEDを用いて紫外線を照射して塗膜を硬化させた。得られた塗膜の厚さは8μm(硬化後膜厚)であった。硬化した塗膜(硬化膜)を、綿棒を用いて100g加重で10回擦り、傷が付かなくなる時点の硬化エネルギー(照射エネルギー)を求めた。なお、照射エネルギー[mJ/cm2]は、光源から照射される被照射表面における照射強度[mW/cm2]を測定し、これと照射継続時間[s]との積から求めた。照射強度の測定は、紫外線強度計UM-10、受光部UM-400(いずれもコニカミノルタセンシング社(KONICA MINOLTA SENSING, INC.)製)を用いて行った。評価基準は下記のとおりである。
A:200mJ/cm2以下
B:200超300mJ/cm2以下
C:300mJ/cm2超
Claims (8)
- 単官能ウレタン(メタ)アクリレート5~30質量%と、
環状骨格中に窒素原子を含有する単官能含窒素モノマー5~30質量%と、
下記一般式(1)で表されるビニルエーテル基含有(メタ)アクリレートと、 を含む、
CH 2 =CR 1 -COOR 2 -O-CH=CH-R 3 ・・・(1)
(式(1)中、R 1 は水素原子又はメチル基であり、R 2 は炭素数2~20の2価の有機残基であり、R 3 は水素原子又は炭素数1~11の1価の有機残基である。)
放射線硬化型インク組成物。 - 前記ビニルエーテル基含有(メタ)アクリレートを10~50質量%含む、
請求項1に記載の放射線硬化型インク組成物。 - 前記単官能含窒素モノマーが、N-ビニル系モノマーを含む、
請求項1又は2に記載の放射線硬化型インク組成物。 - 前記単官能含窒素モノマーが、アミド系アクリレートを含む、
請求項1~3のいずれか一項に記載の放射線硬化型インク組成物。 - アシルホスフィンオキサイド系重合開始剤を含む、
請求項1~4のいずれか一項に記載の放射線硬化型インク組成物。 - ヒンダードアミン系重合禁止剤を含む、
請求項1~5のいずれか一項に記載の放射線硬化型インク組成物。 - 色材を含む、
請求項1~6のいずれか一項に記載の放射線硬化型インク組成物。 - 請求項1~7のいずれか一項に記載の放射線硬化型インク組成物をインクジェット方式により吐出し、非吸収性記録媒体に付着させる吐出工程と、
付着した前記放射線硬化型インク組成物に光照射する照射工程と、を有する、
記録方法。
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