JP7151989B2 - 段差対応型のキャスター装置 - Google Patents
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Description
従来の課題に対する解決手段としては、補助輪を設けて問題を解決しようとしているものがある(特開2005-29015号公報)。また、複数の車輪を用いて段差に対応するためのキャスターが提案されている(特開2015-168415号公報)。さらに、車輪径を大きくし、段差を乗越え易くすることで対応しているものがある(実用新案登録第3177375号公報)。
この発明の目的は、走行地面にある段差に対して安全で容易にかつ速やかに対応することある。
上記本体フレームは台車など簡易走行車に取り付け可能である。
上記走行フレームは、本体フレームにこの本体フレームに対して進行方向及び後退方向である前後方向に案内手段を介して移動可能に保持されている。
上記キャスターはキャスター軸を回転中心として上記走行フレームに取り付けられている。
上記案内手段は、上記本体フレームに上記進行方向に長く形成してあるガイド孔と、ガイド孔内をスライド可能であってかつ上記走行フレームを保持しているガイドローラー保持シャフトに回転可能に軸支してあるガイドローラーとを備えている。
上記段差乗越え用駆動手段は歯部を有する作動体と、上記歯部と歯合可能である従動歯車とからなる。上記作動体は上記本体フレームに取り付けられかつ、本体フレームと共に移動可能であり、上記従動歯車は上記キャスター軸を介して上記走行フレームに取り付けられかつ、走行フレームと共に移動可能である。
上記本体フレームは上記作動体と一体に組み合わされて本体フレーム群を形成し、上記走行フレームは上記従動歯車と一体に、そして上記案内手段のガイドローラー保持シャフト及びガイドローラーと一体にそれぞれ組み合わされて走行フレーム群を形成している。
上記走行フレームは上記本体フレームの上記進行方向の移動に対して相対的に後退方向に移動する関係にある。
上記本体フレーム群に属する上記作動体及び上記走行フレーム群に属する上記従動歯車は、上記キャスターに対して上記歯部と従動歯車との歯合を通じて後退後の上記走行フレームが戻るための回転力を付与するものである。
上記作動体は端部にラック歯部を設けているラチェット歯車ラックであり、上記従動歯車はラチェット歯車であり、上記ラチェット歯車ラックは上記走行フレームの戻り進行方向の移動に伴って上記ラチェット歯車と次第に歯合可能である。
また、この発明によれば、段差を乗り越える場合、走行を一旦停止しなくても容易に安定した円滑で速やかな走行が可能となり、走行を停止してから人手で持ち上げて段差に対応する必要がなく、操作者の負担を軽減することができる。
図1~図4において、キャスター装置Cは走行面Eにある段差E1を乗越える機能を備えている。キャスター装置Cの本体は、例えば台車に装着する本体フレーム1、この本体フレームに前後方向(図1左右方向)に移動可能に連結されている走行フレーム2、この走行フレームに取り付けてあるキャスター3及びこのキャスターに対して段差乗越え可能の回転力を伝達するための段差乗換え用駆動手段4を具備している。5は、本体フレーム1を上側から覆っている本体フレームカバーである。
走行フレーム2は、図2及び図3に示すように本体フレーム1内に配置され、ガイドローラー保持シャフトであるガイドローラー保持ピン6p1,6p2及びガイドローラー6r1,6r2を通じて本体フレームに保持されている。
挿通孔21a,21bにはガイドローラー保持ピン6p1,6p2が貫通されており、保持孔21cには後述するキャスター軸3pが貫通されている(図6参照)。
一方のラチェット歯車41は図4~図6に示すように軸状の本体41aと、その中間の外周部のラチェット歯車の歯部41bとから形成されている。本体41aには軸心に支持孔41a1が貫通されており、この支持孔の両側の開口部端内にはベアリング43が装着されている。ラチェット歯車41は支持孔41a1を貫通しているキャスター軸3pを介して走行フレーム2と一体に保持されている。ラチェット歯車41の本体41aはキャスター3の軸心部に埋め込まれており、ラチェット歯車の歯部41bの両側(図6の左右)には対の走行タイヤ31がラチェット歯車を挟んで対向的に配置されている。ラチェット歯車41はキャスター3と共に、キャスター軸3pを中心として一体的に回転可能である。
他方のラチェット歯車ラック42には一端部(図1右端部)にラチェット歯車41のラチェット歯車の歯部41bと歯合可能であるラック歯部42aを切ってあり、他端部側に止めピン孔42b及びフック状のストッパ部42cを設けている棒状のものである。ラチェット歯車ラック42は止めピン孔42bを貫通している止めピン42pに回転可能に取り付けられている。止めピン42pは、その両端部が本体フレーム1の側板11に組立孔11c2(図5)に嵌め込まれた状態で支持されている。ストッパ部42cはばね止めピン7pに当接可能であって、このばね止めピンにより時計方向の所定角度の回転が規制される。
ラチェット歯車41とラチェット歯車ラック42とは、通常、図1に示すように歯合関係はなく、ラチェット歯車の歯部41bとラック歯部42aとは離れて互いの歯合が解除されていて、ラチェット歯車ラックの駆動力がラチェット歯車に伝わらないニュートラル状態にある。
(1)本体フレーム1と走行フレーム2との関係
両フレーム1,2は互いに相対的な移動関係にある。すなわち、走行フレーム2は本体フレーム1内を前後方向に移動可能に配置されている。本体フレーム1と走行フレーム2とを横切るようにガイドローラー保持ピン6p1,6p2が渡されている。ガイドローラー保持ピン6p1,6p2は走行フレーム2の両側板21に、これら側板を貫通した状態でガイドローラー6r1,6r2を通じて保持されている。ガイドローラー6r1,6r2はガイドローラー保持ピン6p1,6p2の両端部にこれらの保持ピンを回転中心として取り付けられ、走行フレーム2の各側板21の外側に露出状態にある。また、一方のガイドローラー保持ピン6p1のガイドローラー6r1は本体フレーム1のガイド孔11aに係合され、ガイド孔内を回転しながらガイド孔に沿って前後方向にスライド可能である。また、他方のガイドローラー保持ピン6p2のガイドローラー6r2は本体フレーム1のガイド孔11bに係合され、ガイド孔内を回転しながらガイドローラー保持ピン6p2と共に前後方向にスライド可能である。
このように、走行フレーム2が本体フレーム1の内側に案内手段であるガイドローラー保持ピン6p1,6p2及びガイドローラー6r1,6r2を通じて保持されると共に、本体フレームの両側板11の案内手段であるガイド孔11a,11bに沿って、前後に移動することができる。
(2)走行フレーム2とキャスター3との関係
キャスター3は軸心部に配置してあるラチェット歯車41のベアリング43に軸支されているキャスター軸3pを通じて走行フレーム2に一体的に保持されている。このため、キャスター3は走行フレーム2の進行方向に従動可能である。
(3)段差乗換え用駆動手段4におけるラチェット歯車41とラチェット歯車ラック42との関係
ラチェット歯車ラック42のラック歯部42aがラチェット歯車41の歯部41bより少し外れた状態で定位置が設定されている。ラチェット歯車ラック42はキャスター3の後退に伴って、ラック歯部42aがラチェット歯車41の歯部41bと歯合する。
(4)本体フレーム1と走行フレーム2との相対的連動関係
走行フレーム2が定位置を保っている状態では、本体フレーム1には止めピン42pを用いて取り付けているラチェット歯車ラック42のラック歯部42aが走行フレーム2に装着しているラチェット歯車の歯部41bより少し外れた状態で定位置が設定されている。このため、走行面Eが平坦な場合は、キャスター3の前進回転(図1反時計方向の回転)又は後退回転時は、ラチェット歯車ラック42のラック歯部42aとラチェット歯車の歯部41bとは互いに噛み合うことなく、自在に回転することができ、両フレーム1,2の相互の連動関係は絶たれて、ニュートラル状態が確保されている。
しかし、キャスター3が、走行面Eにある段差E1に当って、走行フレーム2の全体が停止した場合には、例えば台車に装着してある本体フレーム1はこの台車と共に移動する。そして、本体フレーム1に組入れてあるラチェット歯車ラック42も本体フレームと一体的に前進移動する。この結果、ラチェット歯車ラック42は前進しながらラック歯部42aがやがて走行フレーム2側のラチェット歯車41の歯部41bと噛み合い、このラチェット歯車が従動歯車となる。この互いの噛み合いにより生じるラチェット歯車ラック42の回転力が段差E1によって停止しているラチェット歯車41と一体に組み立てられているキャスター3に伝達されて、キャスター自体の回転力により容易に段差を乗越えることができる。
このようにニュートラル状態から、段差E1があって走行フレーム2が定位置を保てない状態では、走行フレームのラチェット歯車41の歯部41bと本体フレーム1のラチェット歯車ラック42のラック歯部42aと歯合して、両フレームの相対的連動関係が成立し、ラチェット歯車とラチェット歯車ラックとが協動して、ラチェット歯車ラックの駆動力がラチェット歯車を介してキャスター3に伝えられ、段差乗越えのための回転力として作用する。
本体フレームカバー5の前側に開けてある開口部51には本体フレーム1の連結板12が嵌め込まれている。そして、本体フレームカバー5の両側面には止めピン5pの止めピン孔(図示せず。)が開けられており、止めピン孔を利用して止めピン5pによって本体フレームカバーの側面と本体フレーム1の側板11とを連結する。
なお、図8では本体フレーム1と走行フレーム2との相対的移動関係を明確にするために、本体フレーム及びこの本体フレームと一体に移動する部材を鎖線で示し、走行フレーム及びこの走行フレームと一体に移動する部材を実線で示している。
図7に示すように、台車Dにはその底部の前側に取り付けベースTを介してキャスター装置Cを、後側に従動車輪(図示せず。)をそれぞれ取り付けてある。
台車Dが走行面E上を走行する過程において、走行面が平坦な時は、本体フレーム1側に一体に取り付けてあるラチェット歯車ラック42のラック歯部42aは、走行フレーム2側のキャスター3と一体に組み立てられているラチェット歯車41の歯部41bとは歯合することなく、ニュートラル状態では台車の前後方向の動きが自在である。
台車Dの走行中に、図8(α)に示すように、走行面Eに段差E1があって、この段差にキャスター3が当ってその場に停止した時でも、この台車を前方に押し続けると、台車に取り付けられている本体フレーム1が走行フレーム2に対して、リセットばね7の戻りばね力に抗してそのまま前方向(図左方向)に移動する。
ところが、走行フレーム2は本体フレーム1と一体に組み込まれていないので、すなわち本体フレームとは相対的移動関係にあるので、図8(β)に示すように、本体フレームの前進(進行)に伴ってガイド孔11a,11b内をガイドローラー6r1,6r2が相対的にスライドして、ガイドローラー保持ピン6p1,6p2を介して走行フレームがリセットばね7のばね力に抗して相対的に後退する。このため、本体フレーム1側のラチェット歯車ラック42のラック歯部42aは、走行フレーム2側に装着してあるキャスター3と一体であるラチェット歯車41の歯部41bと歯合して、さらに前方に進行駆動する。この歯合に基づいてニュートラル状態が解除される。ラック歯部42aは、ラチェット歯車41の歯部41bと歯合しながら前進駆動するので、この駆動力がラチェット歯車に伝えられて、ラチェット歯車は反時計方向に従動回転する。その結果、ラチェット歯車41とラチェット歯車ラック42との歯合に伴うラチェット歯車の回転力は段差E1に当り停止状態にあるキャスター3に伝達され、キャスター自体に段差乗越え能力を持たせることから、キャスターはその回転力を通じて段差を円滑に乗越えることができることになる。
キャスター3が段差E1上に達して段差を乗越えて行く過程において、走行フレーム2はリセットばね7の復帰ばね力によって円滑かつ速やかに現状に復帰しながら本体フレームと共に前進する。
また、走行フレーム2に装着してあるキャスター3は、走行タイヤ31を保持する本体41aの円周に組み込んであるラチェット歯車41を形成している。
さらに、走行フレーム2のガイドローラー保持ピン6p1,6p2のうちの一方のガイドローラー保持ピン6p1に、引きばねとなるリセットばね7の一方を係合すると共に、リセットばねの他方を、本体フレーム1の組立孔11c3を通しているばね止めピン7pを用いて止めることにより、走行フレーム2は本体フレーム1のガイド孔11a,11bに沿って常に定位置を保つことができる。
また、本体フレーム1側には、一方の端部を止めピン42pで止め、もう一方の端部に適度の範囲にラック歯部42aを形成しているラチェット歯車ラック42を設け、このラチェット歯車ラックのラック歯部と、走行フレーム2に装着したキャスター3と同心のラチェット歯車41の歯部41bとは少し外れた状態で設定されている。
走行面Eが平坦な場合、ニュートラル時にはキャスター3はその前回転又は後回転時においては、ラチェット歯車41の歯部41bとラック歯部42aとは噛み合うことがないから、自在に回転する。
走行面Eにある段差E1にキャスター3が当って走行フレーム2ごと停止した場合、台車又はベビーカートなどの簡易走行車Dに装着している本体フレーム1は、簡易走行車と一緒に移動するため、本体フレーム側に組み入れてあるラチェット歯車ラック42が一体的に移動する。このことで、ラック歯部42aが走行フレーム2に装着しているラチェット歯車41の歯部41bと噛み合うことにより、段差で停止しているラチェット歯車41と一体となっているキャスター3に回転力を伝達し、この結果、キャスター自体の回転力で容易に段差を乗越えることができる。
このように、キャスター3が走行面Eの段差E1に当り、キャスターが停止した場合、その状態で本体フレーム1を前方に進めてもキャスターを通じて本体フレーム1がそのまま走行するが、この過程では内蔵するラチェット歯車41とラチェット歯車ラック42とが噛み合って、ラチェット歯車を介してキャスター自体に回転力が伝達されるので、この回転力でキャスターが段差を自ら登って乗越えることができる。
また、キャスター3の径が小さくても、段差乗越え能力に優れ、例えば台車Dの積載荷物が重い場合、作業者は、一旦台車の前に回って手で前輪を持ち上げて、段差E1の上に乗せて対応する必要はなく、またベビーカートでは、踏切のレールの溝などに落車した場合、ベビーカートごと持ち上げて対応する必要がなく、台車又はベビーカートなどの使用が容易になると共により安全に使用することができる。
キャスター装置Cでは、台車やベビーカートのように前輪となるキャスターと後輪とを有する簡易走行車に限られず、キャスターのみを有する一輪車に適用しても、使用上の容易性や安全性を確保することはできる。
D 台車(簡易走行車)
E 走行面
E1 段差
1 本体フレーム
11 側板
11a,11b ガイド孔(案内手段)
2 走行フレーム
21 側板
21a,21b 挿通孔
21c 保持孔
3 キャスター
3p キャスター軸
4 段差乗換え用駆動手段
41 ラチェット歯車(従動歯車)
41a 本体
41b ラチェット歯車の歯部
42 ラチェット歯車ラック(作動体)
42a ラック歯部(歯部)
42b 止めピン孔
42p 止めピン
5 本体フレームカバー
6p1,6p2 ガイドローラー保持ピン(案内手段であるガイドローラー保持シャフト)
6r1,6r2 ガイドローラー(案内手段)
7 リセットばね(戻り弾性手段)
7p ばね止めピン
8 弾性体
Claims (3)
- 簡易走行車に取り付け可能である本体フレームと、
上記本体フレームに対して、上記簡易走行車の進行方向及び後退方向である前後方向に案内手段を介して相対的に移動可能に保持してある走行フレームと、
上記走行フレームにキャスター軸を回転中心として取り付けてあるキャスターと、
上記キャスターに対してその回転力を付与する段差乗越え用駆動手段と
を具備しており、
上記走行フレームは上記本体フレームの上記進行方向の移動に対して相対的に後退方向に移動する関係にあり、
上記案内手段は、上記本体フレームに上記進行方向に長く形成してあるガイド孔と、ガイド孔内をスライド可能であってかつ上記走行フレームを保持しているガイドローラー保持シャフトに回転可能に軸支してあるガイドローラーとを備えており、
上記段差乗越え用駆動手段は歯部を有する作動体と、上記歯部と歯合可能である従動歯車とからなり、
上記作動体は上記本体フレームに取り付けられかつ、本体フレームと共に移動可能であり、
上記従動歯車は上記キャスター軸を介して上記走行フレームに取り付けられかつ、走行フレームと共に移動可能であり、
上記作動体及び上記従動歯車は、上記キャスターに対して上記歯部と従動歯車との歯合を通じて上記走行フレームが後退後の進行方向に戻るための回転力を付与するものであり、
上記作動体は端部にラック歯部を設けているラチェット歯車ラックであり、上記従動歯車はラチェット歯車であり、上記ラチェット歯車ラックは上記走行フレームの戻り進行方向の移動に伴って上記ラチェット歯車と次第に歯合可能であることを特徴とする段差対応型のキャスター装置。 - 走行フレームに対して戻りの進行方向にばね力を付与している戻り弾性手段を設けてあることを特徴とする請求項1記載の段差対応型のキャスター装置。
- 戻り弾性手段は本体フレームと走行フレームとの間に掛け渡されているリセットばねであることを特徴とする請求項2記載の段差対応型のキャスター装置。
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Citations (4)
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JP2016016321A (ja) | 2014-07-10 | 2016-02-01 | フォルヴェルク・ウント・ツェーオー、インターホールディング・ゲーエムベーハーVorwerk & Compagnie Interholding Gesellshaft Mit Beschrankter Haftung | 自動走行床掃除機である移動装置 |
JP2016147031A (ja) | 2015-02-10 | 2016-08-18 | 有限会社宮沢製作所 | 段差乗り越え車輪装置 |
JP2016203654A (ja) | 2015-04-15 | 2016-12-08 | 株式会社ユーエイキャスター | 段差対応型のキャスター装置 |
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