次に、本発明の一実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明においては、まず、画像形成装置の一例としてのカラープリンタ1の概略構成を簡単に説明した後、本発明の特徴部分の構成について詳細に説明する。
また、以下の説明において、方向は、図1に示す方向で説明する。すなわち、図1における左側を「前」、右側を「後」とし、奥側を「左」、手前側を「右」とする。また、図1における上側を「上」、下側を「下」とする。
図1に示すように、カラープリンタ1は、本体筐体10と、トップカバー11と、本体筐体10内に設けられた給紙部20および画像形成部30と、制御部100と、を備えている。
トップカバー11は、本体筐体10の上部に配置され、後側の回動軸11Aを中心として本体筐体10に対し回動可能に設けられており、本体筐体10の上部に形成された開口10Aを開閉する。具体的には、トップカバー11は、開口10Aを閉鎖する閉鎖位置と、開口10Aを開放する開放位置とに移動可能となっている。
給紙部20は、本体筐体10内の下部に設けられ、用紙Pを収容する給紙トレイ21と、給紙トレイ21から用紙Pを画像形成部30に供給する用紙供給機構22とを備えている。給紙トレイ21内の用紙Pは、用紙供給機構22によって1枚ずつ分離されて画像形成部30に供給される。
画像形成部30は、4つの露光ヘッド40と、4つのプロセスカートリッジPCと、転写ユニット70と、定着ユニット80とを備えている。
露光ヘッド40は、その先端に発光素子と結像レンズを有し、トップカバー11から吊り下げられるようにトップカバー11に保持されており、トップカバー11を閉じた状態において、後述する感光ドラム51の上方に対向して配置されている。具体的に、露光ヘッド40は、トップカバー11の開閉によって、感光ドラム51に接近した基準位置と、当該基準位置よりも感光ドラム51から離れた退避位置との間を移動可能となっている。露光ヘッド40は、感光ドラム51の表面を露光する露光部材であり、発光素子が二値のラスタ画像に基づいて明滅することで露光を行う。
各プロセスカートリッジPCは、トップカバー11と給紙トレイ21との間で前後方向に沿って並列配置されている。各プロセスカートリッジPCは、トップカバー11が開かれた状態において、本体筐体10の開口10Aを通して着脱可能となっている。プロセスカートリッジPCは、ドラムカートリッジ50と、現像器の一例としての現像カートリッジ60とを備えている。現像カートリッジ60は、ドラムカートリッジ50に着脱可能となっている。
ドラムカートリッジ50と現像カートリッジ60は、それぞれ個別に交換可能となっている。詳しくは、プロセスカートリッジPCを本体筐体10から取り外した後、ドラムカートリッジ50から現像カートリッジ60を取り外し、現像カートリッジ60のみを個別に新品のものに交換して、元のドラムカートリッジ50に装着することが可能となっている。また、同様にして、ドラムカートリッジ50から現像カートリッジ60を取り外した後、ドラムカートリッジ50のみを個別に新品のものに交換して、元の現像カートリッジ60を組み付けることが可能となっている。
ドラムカートリッジ50は、感光体の一例としての感光ドラム51と、感光ドラム51を帯電させるスコロトロン方式の帯電器52と、クリーニングローラ54と、感光ドラム51等を支持するドラムフレーム55とを備えている。
現像カートリッジ60は、トナーを収容するトナー収容部61と、トナー収容部61内のトナーを感光ドラム51に供給する現像ローラ62とを主に備えている。トナーは、感光ドラム51上の静電潜像を現像する現像剤である。各現像カートリッジ60のトナー収容部61には、前から順にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナーが収容されている。
転写ユニット70は、給紙トレイ21とプロセスカートリッジPCとの間に設けられている。転写ユニット70は、駆動ローラ71と、従動ローラ72と、無端状の搬送ベルト73と、4つの転写ローラ74とを備えている。搬送ベルト73は、駆動ローラ71と従動ローラ72の間に張設されている。搬送ベルト73は、外側の面が各感光ドラム51に接しており、その内側には各転写ローラ74が各感光ドラム51との間で搬送ベルト73を挟持するように配置されている。
搬送ベルト73の後斜め下方には、検出部75が設けられている。検出部75は、搬送ベルト73上に形成される画質調整のためのトナー像、つまり画像の印字濃度を検出するセンサであり、搬送ベルト73の後部に対向して配置されている。なお、以下の説明では、搬送ベルト73上に形成される画質調整のための画像を、「パッチ」とも称する。検出部75は、LEDなどの発光素子と、フォトトランジスタなどの受光素子とを備えた光反射型のセンサであり、パッチに光を照射して反射光を検出している。
定着ユニット80は、プロセスカートリッジPCおよび転写ユニット70の後方に設けられ、加熱ローラ81と、加熱ローラ81に向けて押圧される加圧ローラ82とを備えている。
このような画像形成部30では、感光ドラム51の表面が、帯電器52により一様に帯電された後、露光ヘッド40によって露光されることで、感光ドラム51上に画像データに基づく静電潜像が形成される。そして、現像ローラ62に電圧を印加することで、現像ローラ62から感光ドラム51にトナーが供給され、静電潜像が可視像化されて感光ドラム51上にトナー像が形成される。つまり、現像カートリッジ60は、感光ドラム51上の静電潜像を現像している。
各感光ドラム51上に形成されたトナー像は、転写ローラ74によって、搬送ベルト73上を搬送される用紙P上に順次重ね合わせて転写される。トナー像が転写された用紙Pは、加熱ローラ81と加圧ローラ82の間を搬送されることでトナー像が熱定着される。その後、用紙Pは、搬送ローラ91によって本体筐体10内から外部に排出され、トップカバー11の上面に形成された排紙トレイ11B上に載置される。
図1および図2に示すように、制御部100には、4つのリーダライタ12と、開閉センサ13と、検出部75と、が接続されている。制御部100は、CPU、RAM、ROMおよび入出力回路を備えており、外部のコンピュータ900から出力されてくる印字ジョブと、リーダライタ12、開閉センサ13、検出部75などから出力されてくる情報と、ROM等に記憶されたプログラムやデータに基づいて各種演算処理を行うことによって、制御を実行する。具体的に、制御部100は、CPUなどの演算部110と、現像ローラ62、露光ヘッド40等を制御する制御回路120と、記憶部130とを備えている。制御部100は、記憶部130に記憶されているプログラムに基づいて動作することで、印字制御や画質調整を実行する。
リーダライタ12は、ドラムカートリッジ50に設けられた第1メモリM1に対して情報の読み取り・書き込みが可能であるとともに、現像カートリッジ60に設けられた第2メモリM2に対して情報の読み取り・書き込みが可能な装置である。制御部100は、リーダライタ12からの情報に基づいて、ドラムカートリッジ50が新品であるか否かの判断や、現像カートリッジ60が新品であるか否かの判断を行う新品検知処理を実行可能となっている。
なお、新品検知処理は、例えば、不可逆的に移動する突起を各カートリッジ50,60に設け、この突起が、本体筐体10内の検知レバーを押しているか否かを光センサであるカートリッジセンサで検出することで行ってもよい。
開閉センサ13は、トップカバー11の開閉状態を検出するセンサである。なお、開閉センサ13としては、例えば光センサなどを用いることができる。
制御部100は、コンピュータ900から出力されてくる印字ジョブに基づいて、用紙Pに画像を形成する印字制御を実行する機能を有している。制御部100は、印字制御において、二値画像である印字用パターン画像に基づいて感光ドラム51を露光する露光処理を実行する。詳しくは、制御部100は、印字制御を実行する際において、用紙Pに画像を印字する場合には、この画像の印字濃度が所定の目標濃度となるように、異なる露光濃度(階調)の複数の印字用パターン画像の中から1つの印字用パターン画像を選択して露光処理を実行する。印字用パターン画像は、図3に示すような2値の画像からなっている。露光濃度は、印字用パターン画像において、露光される画素の面積率をいう。
ここで、印字濃度とは、現像ローラ62によって現像されたトナー像の濃度であって、検出部75で検出された濃度をいう。また、目標濃度とは、印字指令で指示されている目標の濃度をいう。制御部100は、例えば、印字指令で指示された目標濃度が20%である場合には、20%の露光濃度の印字用パターン画像を選択し、この印字用パターン画像で露光処理を実行する。ただし、後述する階調設定処理により、目標濃度と露光濃度との関係が変更される。例えば、目標濃度20%に対して露光濃度20%の印字用パターン画像が関連付けられた状態から、目標濃度20%に対して露光濃度10%の印字用パターン画像が関連付けられた状態に変更された場合には、目標濃度20%で画像形成する際、露光濃度10%の印字用パターン画像で露光処理が実行される。
詳しくは、制御部100は、印字データを受信すると、受信した印字データを二値のラスタ画像に展開する展開処理を実行する。制御部100は、展開処理において、受信した印字データを、ベクトルデータあるいはビットマップデータからなるオブジェクトデータに展開する第1処理と、オブジェクトデータを、仮想の用紙内に配置して、複数のバンドデータからなるラスタ画像に展開する第2処理とを実行可能となっている。
ここで、印字データは、コンピュータ等の外部機器で作成され、ページ記述言語等で構成されたデータであり、カラープリンタ1の露光用のデータとしては扱うことができない。そこで、制御部100は、ページ記述言語等からなる印字データを、露光用のデータであるラスタ画像に展開する展開処理を行っている。そして、制御部100は、ラスタ画像の所定部分について露光処理を実行する場合、ラスタ画像の所定部分の目標濃度に応じた印字用パターン画像を選択し、この印字用パターン画像で露光処理を実行する。
制御部100は、前述したように複数の印字用パターン画像の中から目標濃度に対応した1つの印字用パターン画像を選択した後、当該印字用パターン画像を用いて露光・現像を行うことで、感光ドラム51上に目標濃度のトナー像を形成する。
なお、複数の印字用パターン画像は、露光濃度に対応し、予め記憶部130に記憶されている。また、複数の印字用パターン画像は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのそれぞれの色に対応して、予め記憶部130に記憶されている。
制御部100は、感光ドラム51の駆動時間の増加に応じて増加するパラメータに基づいて、感光ドラム51の状態が、感光ドラム51の駆動時間が第1時間以上であるときの状態である長期駆動状態であるか、または、感光ドラム51の駆動時間が第1時間以下の第2時間未満であるときの状態である短期駆動状態であるかを判断する第1判断処理を実行する機能を有している。ここで、本実施形態では、感光ドラム51の駆動時間の増加に応じて増加するパラメータとして、現時点、つまり第1判断処理での判断時から所定時間前の時点までの間における印字制御の連続実行時間を例示する。
ここで、印字制御では、すべての感光ドラム51が回転するため、印字制御の連続実行時間は、感光ドラム51を連続して駆動した時間(以下、「連続駆動時間」とも称する)に相当する。なお、少なくとも1つの感光ドラム51が交換された場合には、交換された感光ドラム51に対応した連続実行時間はリセットされる。
なお、感光ドラム51の連続駆動時間は、(1)感光ドラムの回転数、(2)現像ローラの回転数、(3)印刷枚数等、に時間換算用の規定値を掛け算して算出してもよいし、時計を使って測定してもよい。
なお、本実施形態では、前述した第1時間と第2時間を同じ時間(以下、「第1規定時間」ともいう。)とする。つまり、制御部100は、第1判断処理において、印字制御の連続実行時間が第1規定時間以上であるか否かを判断し、第1規定時間以上である場合に、感光ドラム51の状態が長期駆動状態であると判断し、第1規定時間未満である場合に、感光ドラム51の状態が短期駆動状態であると判断する。詳しくは、制御部100は、印字制御の連続実行時間が、第1規定時間以上である場合に、少なくとも1つの感光ドラム51の状態が長期駆動状態であると判断し、第1規定時間未満である場合に、すべての感光ドラム51の状態が短期駆動状態であると判断する。
制御部100は、印字されたトナー像の画質を調整するための画質調整を実行可能となっている。制御部100は、所定条件が満たされた場合に、画質調整を実行する。制御部100は、画質調整を実行するときに、検出部75での検出結果に基づいて、階調設定処理を実行する機能を有している。
ここで、本実施形態において、所定条件は、ドラムカートリッジ50が新品に交換されたという第1条件と、現像カートリッジ60が新品に交換されたという第2条件と、印字指令を受けてから印字制御を開始する前において、感光ドラム51の状態が短期駆動状態で、かつ、後述する短期駆動用テーブルが設定されていないという第3条件と、印字制御の終了後に、感光ドラム51の状態が長期駆動状態で、かつ、後述する長期駆動用テーブルが設定されていないという第4条件と、含んでいる。そして、制御部100は、第1~第4条件のいずれかの条件が満たされた場合に、画質調整を実行する。
階調設定処理において、制御部100は、画像形成部30によって所定の現像バイアスで複数種類の印字用パターン画像に対応した複数種類の印字濃度のトナー像(パターン画像)を形成し、このトナー像を検出部75によって検出する。ここで、複数種類の印字用パターン画像は、複数の露光濃度に対応した複数の印字用パターン画像であり、例えば露光濃度20%に対応した第2印字用パターン画像、露光濃度40%に対応した第3印字用パターン画像、露光濃度60%に対応した第4印字用パターン画像などが用いられる。
その後、制御部100は、検出部75で検出した結果に基づいて、目標濃度と印字用パターン画像との対応関係を設定する。このように目標濃度と印字用パターン画像との対応関係を設定することで、目標濃度と、実際に印字されるトナー像、つまり露光濃度との対応関係が設定される。
詳しく説明すると、階調設定処理において、制御部100は、例えば露光濃度20,40,60,80,100%に対応した各印字用パターン画像を用いて感光ドラム51上に5つの静電潜像を形成し、各静電潜像に対して、そのときに設定されている現像バイアスで現像を行うことで、5種類の印字濃度のパッチを形成する。その後、制御部100は、感光ドラム51から搬送ベルト73に転写された各パッチを検出部75で検出する。制御部100は、各パッチからの反射光の強度をそれぞれ印字濃度に換算する。そして、制御部100は、算出した各印字濃度を、それぞれ対応する露光濃度と比較し、比較した印字濃度と露光濃度が異なる場合には、印字濃度と露光濃度の対応関係を補正することで、目標濃度と印字用パターン画像の対応関係を変更する。
具体的に、目標濃度と印字用パターン画像(露光濃度)の対応関係は、階調設定処理を過去に1回も行っていない場合には、例えば、図4に2点鎖線で示すようなデフォルト値となっている。なお、以下の説明では、目標濃度と印字用パターン画像の対応関係を、「ガンマテーブル」とも称する。
ガンマテーブルは、所定の目標濃度で印字する場合において、所定の目標濃度に対応した所定の露光濃度の印字用パターンを選択するためのテーブルである。2点鎖線で示すガンマテーブル、つまりガンマテーブルのデフォルト値は、目標濃度と露光濃度とが同じ値となっている。
階調設定処理において、例えば、図に黒丸で示すように、露光濃度20%に対応した第1印字用パターン画像を用いて形成したパッチを検出部75で検出した際に、そのパッチの印字濃度が10%となってしまった場合には、制御部100は、第1印字用パターン画像を目標濃度10%に対応するパターン画像として記憶し直す。つまり、次回の印字制御において、目標濃度10%で画像形成する場合には、露光濃度20%に対応した第1印字用パターン画像で画像形成を行えば、印字濃度が10%になるため、制御部100は、目標濃度10%に対して露光濃度20%の第1印字用パターン画像を関連付ける。
また、このときの階調設定処理において、露光濃度40%の第2印字用パターン画像が検出部75で検出されたときの印字濃度が40%である場合、つまり目標濃度、露光濃度および印字濃度が一致する場合には、図に破線で示すように、目標濃度と露光濃度の関係を線形補間する。これにより、例えば、次回の印字制御において、目標濃度20%でパッチを形成する場合には、目標濃度20%のラインと図の破線との交点に相当する露光濃度Xに対応した印字用パターン画像が選択される。なお、このときのガンマテーブルは、デフォルト値(2点鎖線)のうち露光濃度40%未満のラインが図の破線のラインに置き換えられたようなテーブルとなる。つまり、図に示す黒丸と露光濃度40%に対応する白丸との間を破線の直線で示すように補う。
制御部100は、階調設定処理を実行した場合には、対応関係(ガンマテーブル)を、第1判断処理での判断結果に関連付けて記憶部130に記憶する機能を有している。詳しくは、制御部100は、第1判断処理において感光ドラム51の状態が長期駆動状態、つまり長期駆動状態であると判断した場合には、階調設定処理で設定した対応関係(ガンマテーブル)を、長期駆動状態に対応した第1対応関係として記憶部130に記憶する。なお、以下の説明では、長期駆動状態に対応した第1対応関係、つまり長期駆動状態に対応したガンマテーブルを、「長期駆動用テーブル」とも称する。
また、制御部100は、第1判断処理において感光ドラム51の状態が短期駆動状態、つまり短期駆動状態であると判断した場合には、階調設定処理で設定した対応関係を、短期駆動状態に対応した第2対応関係として第1対応関係とは別に記憶部130に記憶する。なお、以下の説明では、短期駆動状態に対応した第2対応関係、つまり短期駆動状態に対応したガンマテーブルを、「短期駆動用テーブル」とも称する。
そして、制御部100は、長期駆動用テーブルおよび短期駆動用テーブルを記憶部130に既に記憶している場合には、階調設定処理を実行しないように構成されている。詳しくは、制御部100は、第1判断処理での判断結果が長期駆動状態である場合において、長期駆動用テーブルが記憶部130に既に記憶されている場合には、階調設定処理を実行しない。また、制御部100は、第1判断処理での判断結果が短期駆動状態である場合において、短期駆動用テーブルが記憶部130に既に記憶されている場合には、階調設定処理を実行しない。
記憶部130は、前述した各印字用パターン画像、ガンマテーブルのデフォルト値、長期駆動・短期駆動用テーブルを記憶する他、制御に用いる各種閾値や、制御部100を動作させるためのプログラムなどを記憶している。
次に、制御部100の動作について詳細に説明する。制御部100は、常時、図5および図6に示す制御を実行している。詳しくは、制御部100は、図5の制御を各色についてそれぞれ個別に実行し、図6の制御をすべての色に対して実行している。
図5に示す制御において、制御部100は、まず、開閉センサ13からの信号に基づいてトップカバー11が開閉されたか否か、または、所定の色(例えばブラック)に対応した各メモリM1,M2に記憶された情報に変化があったか否かを判断する(S1)。ステップS1においてトップカバー11が開閉されておらず、かつ、各メモリM1,M2に記憶された情報に変化がないと判断した場合には(No)、制御部100は、本制御を終了する。
ステップS1においてトップカバー11が開閉された、または、各メモリM1,M2に記憶された情報に変化があったと判断した場合には(Yes)、制御部100は、各メモリM1,M2内の情報に基づいて、ドラムカートリッジ50または現像カートリッジ60が新品であるか否かを所定の色(例えばブラック)について判断する(S2)。ステップS2において各カートリッジ50,60がいずれも新品でないと判断した場合には(No)、制御部100は、本制御を終了する。
ステップS2においてドラムカートリッジ50または現像カートリッジ60が新品であると判断した場合には(Yes)、制御部100は、所定の色(例えばブラック)について、長期駆動用テーブルを設定する必要があることを示す長期駆動用フラグFhを1にするとともに、短期駆動用テーブルを設定する必要があることを示す短期駆動用フラグFcを1にする(S3)。ステップS3の後、制御部100は、所定の色(例えばブラック)について、デフォルトのガンマテーブルを用いて階調設定処理を実行する(S4)。なお、フラグFh,Fcの情報は、記憶部130に記憶される。
ステップS4の後、制御部100は、第1判断処理を実行して、感光ドラム51の状態が長期駆動状態であるか否かを判断する(S5)。ステップS5において長期駆動状態であると判断した場合には(Yes)、制御部100は、階調設定処理の結果得られるガンマテーブルを長期駆動用テーブルとして記憶部130に記憶する(S6)。ステップS6の後、制御部100は、長期駆動用フラグFhを0にして(S7)、本制御を終了する。
ステップS5において長期駆動状態でない、つまり短期駆動状態であると判断した場合には(No)、制御部100は、階調設定処理の結果得られるガンマテーブルを短期駆動用テーブルとして記憶部130に記憶する(S8)。ステップS8の後、制御部100は、短期駆動用フラグFcを0にして(S9)、本制御を終了する。
図6に示す制御において、制御部100は、まず、印字指令を受信したか否かを判断する(S21)。詳しくは、ステップS21では、モノクロ(ブラック)の印字指令およびカラーの印字指令のいずれかを受信したか否かを判断している。ステップS21において印字指令を受信していないと判断した場合には(No)、制御部100は、本制御を終了する。
ステップS21において印字指令を受信したと判断した場合には(Yes)、制御部100は、第1判断処理を実行して、感光ドラム51の状態が短期駆動状態か否かを判断する(S22)。ステップS22において短期駆動状態であると判断した場合には(Yes)、制御部100は、各色について、短期駆動用フラグFcが1であるか否かを判断する(S23)。
ステップS23において少なくとも1つの色についてFc=1であると判断した場合には(Yes)、Fc=1となる色に対応した短期駆動用テーブルを設定する必要があるため、制御部100は、Fc=1となる色について、階調設定処理を実行する(S24)。具体的には、例えば、Fc=1となる色がブラック、イエローの2色である場合、制御部100は、2色のパッチを形成して、階調設定処理を実行する。なお、この際、モノクロの印字指令であっても、イエローについて階調設定処理を実行する。
ステップS24の後、制御部100は、Fc=1となる色について階調設定処理を行った後のテーブルを、Fc=1となる色についての短期駆動用テーブルとして記憶部130に記憶する(S25)。ステップS25の後、制御部100は、Fc=1となる色について、短期駆動用フラグFcを0にする(S26)。つまり、ステップS26の後は、すべての色についての短期駆動用フラグFcが、すべて0になる。
ステップS26の後、または、ステップS23において各色の短期駆動用フラグFcがすべて0であると判断した場合には(No)、制御部100は、各色の短期駆動用テーブルを露光制御用のテーブルとしてセットして(S27)、印字制御を実行する(S28)。ステップS28の後、つまり印字制御の終了後、制御部100は、第1判断処理を実行して、感光ドラム51の状態が長期駆動状態であるか否かを判断する(S29)。
ステップS29において長期駆動状態でないと判断した場合には(No)、制御部100は、本制御を終了する。ステップS29において長期駆動状態であると判断した場合には(Yes)、制御部100は、各色について、長期駆動用フラグFhが1であるか否かを判断する(S30)。
ステップS30において少なくとも1つの色についてFh=1であると判断した場合には(Yes)、Fh=1となる色に対応した長期駆動用テーブルを設定する必要があるため、制御部100は、Fh=1となる色について、階調設定処理を実行する(S31)。ステップS31の後、制御部100は、Fh=1となる色について階調設定処理を行った後のテーブルを、Fh=1となる色についての長期駆動用テーブルとして記憶する(S32)。
ステップS32の後、制御部100は、Fh=1となる色について、長期駆動用フラグFhを0にする(S33)。なお、ステップS33の後は、すべての色についての長期駆動用フラグFhが、すべて0になっている。ステップS33の後、または、ステップS30で各色の長期駆動用フラグFhがすべて0であると判断した場合には(No)、制御部100は、本制御を終了する。
ステップS22において短期駆動状態でない、つまり長期駆動状態であると判断する場合には(No)、前回の印字制御後に感光ドラム51が長期駆動状態となって、まだ、短期駆動状態に戻っていない状態であることから、各色について長期駆動用テーブルが設定された状態となっている(S32)。そのため、制御部100は、ステップS22において短期駆動状態でないと判断した場合には(No)、各色の長期駆動用テーブルを露光制御用のテーブルとしてセットして(S34)、印字制御を実行する(S28)。
次に、制御部100の動作の一例について説明する。
図5に示すように、制御部100は、所定の色について、ドラムカートリッジ50または現像カートリッジ60が新品に交換された場合には、ステップS2~S7の処理、または、ステップS2~S5,S8,S9の処理を行うことで、所定の色について、長期駆動用テーブルおよび短期駆動用テーブルのいずれかを記憶部130に記憶する。
具体的には、例えば、ブラックのドラムカートリッジ50が新品に交換された場合には、長期駆動状態の判定に用いる印字制御の連続実行時間がリセットされるため、制御部100は、階調設定処理の実行後(S4)、ステップS5でNoと判断して、ブラックについて短期駆動用テーブルを設定する(S8)。また、制御部100は、他の色についても、同様に図5の制御を実行する。例えば、制御部100は、イエローのドラムカートリッジ50が新品であり、かつ、その他の色のドラムカートリッジ50が新品でない場合には、イエローについて、階調設定処理を行った後、短期駆動用テーブルを設定し、その他の色については階調設定処理・テーブル設定を実行しない。
また、例えば、各色のドラムカートリッジ50が旧品である状況において、ブラックの現像カートリッジ60が新品に交換された場合には、制御部100は、階調設定処理の実行後(S4)、印字制御の連続実行時間に基づいて長期駆動状態の判定を行う(S5)。ステップS5において長期駆動状態であると判断した場合には(Yes)、制御部100は、ブラックについて長期駆動用テーブルを設定する(S6)。同様に、制御部100は、他の色についても図5の制御を実行する。
以上のように、制御部100が図5の制御を実行することで、各色について、少なくとも1つのガンマテーブル(長期駆動用もしくは短期駆動用)が設定されることになる。次に、図6を参照して、印字指令受信時の制御部100の動作の一例について詳細に説明する。以下の説明において、印字指令を受ける前の各色についてのテーブルの設定状況は、以下のような状況Iであることとする。
〈状況I〉
・ブラック:短期駆動用テーブルのみ設定済み
・他の色:短期駆動用・長期駆動用の両方のガンマテーブル設定済み
図6に示すように、制御部100は、印字指令を受けると(S21:Yes)、ステップS22において短期駆動状態の判定を行う。ここで、状況Iのような、いずれかの色について長期駆動用テーブルが設定されていない状況では、印字指令を受けたときの感光ドラム51の状態は、常に短期駆動状態である。つまり、前回の印字制御後に感光ドラム51の状態が長期駆動状態であれば、ステップS31,S32の処理により、すべての色について長期駆動用テーブルが設定されるので、いずれかの色について長期駆動用テーブルが設定されていないということは、前回の印字制御後の感光ドラム51の状態が短期駆動状態であり、今回の印字指令受信時も当然短期駆動状態であることを示す。
そのため、印字指令を受けたときの状況が状況Iである場合には、制御部100は、ステップS22でYesと判断する。その後、制御部100は、すべての色の短期駆動用テーブルが設定済みであることから、ステップS23でNoと判断し、階調設定処理を実行することなく、各色の短期駆動用テーブルを露光制御用のテーブルとしてセットして(S27)、印字制御を即座に実行する(S28)。
印字制御において、制御部100は、印字制御の連続実行時間を記憶する。印字制御において、印字枚数が多く、各感光ドラム51が長い時間駆動すると、各感光ドラム51が長期駆動状態となる。
印字制御の終了後において感光ドラム51の状態が長期駆動状態となった場合には、制御部100は、ステップS29でYesと判断して、ステップS30においてブラックに対応する長期駆動用フラグFhのみが1であると判断する。その後、制御部100は、ブラックについて、階調設定処理・長期駆動用テーブルの設定を行う(S31,S32)。これにより、印字制御後において感光ドラム51の状態が長期駆動状態となった場合には、すべての色について、長期駆動用テーブルが設定されることとなる。
そして、印字制御後に感光ドラム51の状態が長期駆動状態となった後、次に印字指令を受けたときに感光ドラム51の状態が長期駆動状態のままであった場合、制御部100は、ステップS22においてNoと判断し、各色の長期駆動用テーブルを露光制御用のテーブルとしてセットして(S27)、印字制御を即座に実行する(S28)。
以上によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。
目標濃度とパターン画像の対応関係であるガンマテーブルを、感光ドラム51の状態に関連付けて長期駆動用テーブルもしくは短期駆動用テーブルとして記憶するので、感光ドラム51の状態に応じたガンマテーブルで良好に画像を形成することが可能となり、感光ドラム51の状態に応じて適切な印字濃度で印字することができる。
長期駆動用テーブルおよび短期駆動用テーブルをそれぞれ設定した場合には、階調設定処理を実行しないので、階調設定処理による無駄なトナーの消費を抑えることができる。
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。以下の説明においては、前記実施形態と略同様の部材や処理には同一の符号を付し、その説明は省略する。
図7および図8に示す変形例1では、制御部100は、長期駆動用テーブルと短期駆動用テーブルの両方を設定済みである場合には、長期駆動用テーブルと短期駆動用テーブルに基づいて、長期駆動用テーブルおよび短期駆動用テーブルとは異なるガンマテーブルを示す関数を導出し、この関数に基づいて、印字制御を行うように構成されている。
具体的に、図7の制御は、図5の制御と同様の処理(S1~S5,S7,S9)を有する他、図5のステップS6の代わりに新たなステップS41の処理を有し、図5のステップS8の代わりに新たなステップS42の処理を有している。ステップS41において、制御部100は、ステップS4での階調設定処理により設定したガンマテーブルを、長期駆動用テーブルとして記憶部130に一時的に記憶する。また、ステップS42において、制御部100は、ステップS4での階調設定処理により設定したガンマテーブルを、短期駆動用テーブルとして記憶部130に一時的に記憶する。つまり、後で詳述する関数を導出した後は、長期駆動用テーブルと短期駆動用テーブルが不要になるため、制御部100は、ステップS41,S42においてガンマテーブルを一時的に記憶し、関数の導出後に削除するように構成されている。
図8の制御は、図6の制御と同様の処理(S21~S24,S26~S31,S33,S34)を有する他、新たなステップS51~S57の処理を有している。図8の制御において、制御部100は、印字指令を受けると(S21:Yes)、すべての色について、関数が導出済みであるか否かを判断する(S51)。ステップS51において少なくとも1つの色について関数が導出されていないと判断した場合には(No)、制御部100は、ステップS22において感光ドラム51の状態が短期駆動状態であるか否かを判断する。
ここで、変形例1においては、制御部100は、印字制御の連続実行時間が、第1時間以上であるときに長期駆動状態と判断し、第1時間よりも短い第2時間未満であるときに短期駆動状態であると判断することとする。つまり、長期駆動状態と判定するための閾値である第1時間と、短期駆動状態と判定するための閾値である第2時間が、前記実施形態とは異なり、異なる値に設定されていることとする。
ステップS24の後、制御部100は、Fc=1となる色について階調設定処理を行った後のテーブルを、Fc=1となる色についての短期駆動用テーブルとして一時的に記憶し(S52)、ステップS26の処理に移行する。ステップS27またはステップS34の後、制御部100は、すべての色について、短期駆動用フラグFcと長期駆動用フラグFhが、ともに0であるか否かを判断する(S53)。つまり、ステップS53において、制御部100は、すべての色について、短期駆動用テーブルおよび長期駆動用テーブルが設定されているか否かを判断する。
ステップS53において少なくとも1つの色についてFc=Fh=0の条件を満たさないと判断した場合には(No)、制御部100は、ステップS27またはステップS34でセットしたガンマテーブルで印字制御を実行する(S28)。ステップS53においてすべての色についてFc=Fh=0の条件を満たしたと判断した場合には(Yes)、制御部100は、各色について、短期駆動用テーブルおよび長期駆動用テーブルに基づいて関数を導出し、関数の導出に用いた各テーブルを記憶部130から削除する(S54)。
ステップS54の後、制御部100は、各色について、感光ドラム51の状態と関数に基づいてガンマテーブルを設定する(S55)。具体的には、ステップS55において、制御部100は、感光ドラム51の状態を示す印字制御の連続実行時間を、関数に代入することで、そのときの感光ドラム51の状態に対応したガンマテーブルを設定する。これにより、過度な長期駆動状態、程度の低い長期駆動状態、長期駆動状態と短期駆動状態の間の状態、程度の低い短期駆動状態、過度な短期駆動状態などといった感光ドラム51の任意の状態に応じたガンマテーブルが関数によって設定されることになる。
ステップS55の後、制御部100は、ステップS55で設定した各色のガンマテーブルを露光制御用のテーブルとしてセットして(S56)、印字制御を実行する(S28)。印字制御後に長期駆動状態になった場合には(S29:Yes)、制御部100は、ステップS31で階調設定処理を行った後のテーブルを長期駆動用テーブルとして記憶部130に一時的に記憶し(S57)、ステップS33の処理に移行する。
以上、変形例1によれば、長期駆動用テーブルと短期駆動用テーブルとに基づいて関数を導出するので、様々な感光ドラム51の状態に適したパターン画像で印字を行うことができる。
図9および図10に示す変形例2では、制御部100は、第1判断処理において、感光ドラム51の状態が、長期駆動状態、短期駆動状態、および、長期駆動状態と短期駆動状態との間の状態である中間状態のいずれの状態であるかを判断するように構成されている。また、制御部100は、中間状態であると判断した場合には、長期駆動用テーブルと短期駆動用テーブルとに基づいて、長期駆動用テーブルと短期駆動用テーブルの間に位置する、第3対応関係としての中間テーブルを導出するように構成されている。
なお、変形例2においては、変形例1と同様に、第1時間と第2時間が異なる値に設定されていることとする。そして、変形例2では、印字制御の連続実行時間が、第1時間以上であるときに長期駆動状態と判断し、第1時間よりも短い第2時間未満であるときに短期駆動状態であると判断し、第1時間よりも短く、かつ、第2時間以上であるときに中間状態であると判断することとする。
具体的に、図9の制御は、図5の制御のすべての処理(S1~S9)を有する他、新たなステップS71,S72の処理を有している。図9の制御において、制御部100は、ステップS5において長期駆動状態でないと判断すると(No)、感光ドラム51の状態が短期駆動状態であるか否かを判断する(S71)。
ステップS71において短期駆動状態であると判断した場合には(Yes)、制御部100は、ステップS8の処理に移行する。ステップS71において短期駆動状態でない、つまり中間状態であると判断した場合には(No)、制御部100は、ステップS4で階調設定処理を行った後のガンマテーブルを短期駆動用テーブルとして記憶部130に暫定的に記憶して(S72)、本制御を終了する。
なお、本実施形態では、中間状態であると判断した場合には、階調設定処理を行った後のガンマテーブルを短期駆動用テーブルとして暫定的に記憶したが、本発明はこれに限定されず、階調設定処理を行った後のガンマテーブルを、長期駆動用テーブルまたは中間テーブルとして暫定的に記憶してもよい。
図10の制御は、図6の制御のすべての処理(S21~S34)を有する他、新たなステップS81~S86の処理を有している。図10の制御において、制御部100は、ステップS22において短期駆動状態でないと判断すると(No)、感光ドラム51の状態が長期駆動状態であるか否かを判断する(S81)。
ステップS81において長期駆動状態であると判断した場合には(Yes)、制御部100は、ステップS34の処理に移行する。ステップS81において長期駆動状態でない、つまり中間状態であると判断した場合には(No)、制御部100は、すべての色について、中間テーブルが設定されているか否かを判断する(S82)。
ステップS82においてすべての色について中間テーブルが設定されていると判断した場合には(Yes)、制御部100は、各色の中間テーブルを露光制御用のテーブルとしてセットして(S83)、印字制御を実行する(S28)。ステップS82において中間テーブルが設定されていないと判断した場合には(No)、制御部100は、すべての色について、短期駆動用フラグFcと長期駆動用フラグFhが、ともに0であるか否かを判断する(S84)。
ステップS84においてすべての色についてFc=Fh=0の条件を満たしたと判断した場合には(Yes)、制御部100は、各色について、短期駆動用テーブルおよび長期駆動用テーブルに基づいて中間テーブルを導出する(S85)。なお、ステップS85において、中間テーブルを導出すると、制御部100は、中間テーブルの導出に用いた各テーブルを記憶部130から削除する。ステップS85の後、制御部100は、ステップS83の処理に移行する。
ステップS84において少なくとも1つの色についてFc=Fh=0の条件を満たさないと判断した場合には(No)、制御部100は、ステップS6,S8等で設定した長期駆動用テーブルまたは短期駆動用テーブルを露光制御用のテーブルとしてセットして(S86)、印字制御を実行する(S28)。なお、ステップS86において、例えば所定の色について、長期駆動・短期駆動の両方のテーブルが設定されている場合には、そのときの感光ドラム51の状態に近い状態のテーブルを露光制御用のテーブルとしてセットしてもよい。つまり、印字制御の連続実行時間が第1時間に近い場合には、長期駆動用テーブルをセットし、第2時間に近い場合には短期駆動用テーブルをセットしてもよい。
以上、変形例2によれば、感光ドラム51の状態が中間状態であっても、中間テーブルを利用して、中間状態に適したパターン画像で印字を行うことができる。
図11および図12に示す変形例3では、制御部100は、現像ローラ62の駆動時間に基づいて、現像ローラ62の状態が、現像ローラ62の駆動時間が第3時間以上であるときの状態である長期駆動状態であるか、または、現像ローラ62の駆動時間が第3時間以下の第4時間未満であるときの状態である短期駆動状態であるかを判断する第3判断処理を実行可能となっている。つまり、変形例3において、制御部100は、感光ドラム51の状態が長期駆動状態または短期駆動状態であるかを判断する第1判断処理と、現像ローラ62の状態が長期駆動状態または短期駆動状態であるかを判断する第3判断処理を実行可能となっている。なお、現像ローラ62の駆動時間は、例えば、感光ドラム51の駆動時間と同じ値、つまり印字制御の連続実行時間とすることができる。
また、制御部100は、第1判断処理および第3判断処理において判断した感光ドラム51の状態と現像ローラ62の状態が一致しない場合には、階調設定処理を実行して、当該階調設定処理で設定したガンマテーブルを、暫定的な短期駆動用テーブルとして記憶部130に記憶する機能を有している。さらに、制御部100は、暫定的な短期駆動用テーブルが記憶部130に記憶された状態において第1判断処理および第3判断処理を実行して、感光ドラム51の状態および現像ローラ62の状態がともに短期駆動状態であると判断した場合には、階調設定処理を実行して、新たな短期駆動用テーブルを設定して、暫定的な短期駆動用テーブルに上書きする機能を有している。
具体的に、図11の制御は、図5の制御のすべての処理(S1~S9)を有する他、新たなステップS91,S92の処理を有している。図11の制御において、制御部100は、ステップS4の後、第1判断処理および第3判断処理を実行し、各判断処理の判断結果に基づいて、感光ドラム51・現像ローラ62の状態が一致しているか否かを判断する(S91)。つまり、ステップS91において、制御部100は、感光ドラム51・現像ローラ62の状態が、ともに長期駆動状態であるか、または、ともに短期駆動状態であるか否かを判断する。
ステップS91において一致していると判断した場合には(Yes)、制御部100は、ステップS5の処理に移行する。ステップS91において一致していないと判断した場合には(No)、制御部100は、ステップS4で階調設定処理を行った後のガンマテーブルを、短期駆動用テーブルとして暫定的に記憶して(S92)、本制御を終了する。
なお、本実施形態では、ステップS91において一致していないと判断した場合には、階調設定処理を行った後のガンマテーブルを短期駆動用テーブルとして暫定的に記憶したが、本発明はこれに限定されず、階調設定処理を行った後のガンマテーブルを、長期駆動用テーブルまたは中間テーブルとして暫定的に記憶してもよい。
図12の制御は、図6の制御のすべての処理(S21~S34)を有する他、新たなステップS101の処理を有している。図12の制御において、制御部100は、印字指令を受けると(S21:Yes)、感光ドラム51・現像ローラ62の状態が一致しているか否かを判断する(S101)。
ステップS101において一致していると判断した場合には(Yes)、制御部100は、ステップS22の処理に移行する。ステップS101において一致していないと判断した場合には(No)、制御部100は、ステップS27の処理に移行する。
ここで、図11の制御において、例えば、制御部100が、ブラックについて、短期駆動用テーブルを暫定的に記憶部130に記憶した場合には(S92)、図12の制御のステップS27において、制御部100は、暫定的な短期駆動用テーブルを露光制御用のテーブルとしてセットする。
以上、変形例3によれば、印字指令を受けたときに感光ドラム51・現像ローラ62の状態が一致しない場合には、暫定的な短期駆動用テーブルを露光制御用のテーブルとしてセットするので、暫定的な短期駆動用テーブルによって、印字を良好に行うことができる。また、短期駆動用テーブルを暫定的に記憶部130に記憶した場合には、短期駆動用フラグFcを0にしない、つまりステップS92の後にFc=0にする処理を設けないので、その後、感光ドラム51・現像ローラ62の状態がともに短期駆動状態になった場合には、ステップS101,S22,S23の各処理でYesと判断されて、新たな短期駆動用テーブルを設定することができる(S24,S25)。これにより、感光ドラム51・現像ローラ62の状態がともに短期駆動状態となる場合に対応した新たな短期駆動用テーブルによって、印字制御を良好に行うことができる。
図13に示す変形例4では、制御部100は、温湿度の変化に応じて階調設定処理を実行する機能を有している。具体的に、図13の制御は、図6の制御のすべての処理(S21~S34)を有する他、新たなステップS110~S113の処理を有している。なお、図13において、図6の制御における後半の各処理については、図示を省略する。また、変形例4において、トップカバー11の開閉状態に基づいて実行する制御は、図5の制御と同様である。
図13の制御において、制御部100は、印字指令を受けると(S21:Yes)、前回の階調設定処理からの温湿度変化が所定範囲内であるか否かを判断する(S110)。ここで、ステップS110の処理は、例えば温度および湿度を検出する温湿度センサからの信号に基づいて実行することができる。なお、本体筐体10は、温湿度センサを有している。
ステップS110において温湿度変化が所定範囲内であると判断した場合には(Yes)、制御部100は、ステップS22の処理に移行する。ステップS110において温湿度変化が所定範囲内ではないと判断した場合には(No)、制御部100は、フラグFc,Fhを参照することなく、全色について、階調設定処理を実行する(S111)。つまり、温湿度変化が所定範囲外である場合には、フラグFc,Fhがどのような値であっても、階調設定処理が実行される。
ステップS111の後、制御部100は、感光ドラム51の状態が長期駆動状態であるか短期駆動状態であるかを判断し、ステップS111で設定したガンマテーブルを感光ドラム51の状態に対応したテーブルとして記憶部130に記憶するとともに(S112)、露光制御用のテーブルとしてセットする。具体的には、ステップS112において、感光ドラム51の状態が長期駆動状態であると判断した場合には、制御部100は、ガンマテーブルを長期駆動用テーブルとして記憶部130に記憶するとともに、露光制御用のテーブルとしてセットする。また、ステップS112において、感光ドラム51の状態が短期駆動状態であると判断した場合には、制御部100は、ガンマテーブルを短期駆動用テーブルとして記憶部130に記憶するとともに、露光制御用のテーブルとしてセットする。
ステップS112の後、制御部100は、全色について、ステップS112で判断した感光ドラム51の状態に対応したフラグを0にして(S113)、印字制御を実行する(S28)。具体的には、ステップS112で判断した感光ドラム51の状態が長期駆動状態である場合には、制御部100は、ステップS113において、全色について、長期駆動用フラグFhを0にする。また、ステップS112で判断した感光ドラム51の状態が短期駆動状態である場合には、制御部100は、ステップS113において、全色について、短期駆動用フラグFcを0にする。
以上、変形例4によれば、温湿度変化が所定範囲外である場合には、フラグFc,Fhがどのような値であっても、階調設定処理を実行するので、温湿度の環境に適した印字制御を行うことができる。
図14および図15に示す変形例5では、制御部100は、第1判断処理での判断結果が、記憶部130に記憶されている判断結果と異なるか否かを判断する第2判断処理を実行し、第2判断処理において異なると判断した場合には、階調設定処理を実行し、今回のガンマテーブルおよび判断結果を、前回のガンマテーブルおよび判断結果に上書きする機能を有している。
具体的に、図14の制御は、図5の制御のステップS1,S2,S4,S5を有する他、新たなステップS121,S122の処理を有している。図14の制御において、制御部100は、ステップS2でYesと判断すると、階調設定処理を実行する(S4)。ステップS5において長期駆動状態であると判断した場合には(Yes)、ステップS4で設定したガンマテーブルを記憶部130に記憶するとともに、長期駆動状態であることを示す状態情報を記憶部130に記憶する(S121)。ステップS5において短期駆動状態であると判断した場合には(No)、ステップS4で設定したガンマテーブルを記憶部130に記憶するとともに、短期駆動状態であることを示す状態情報を記憶部130に記憶する(S122)。
詳しくは、ステップS121またはステップS122において、記憶部130の第1領域に、ガンマテーブルを記憶し、記憶部130の第2領域に、感光ドラム51の状態を示す状態情報を記憶する。そして、第1領域および第2領域にガンマテーブルおよび状態情報が既に記憶されている場合には、制御部100は、新たなガンマテーブルおよび状態情報を、既に記憶されている各情報に上書きする。具体的には、例えば、第2領域に長期駆動状態を示す状態情報が記憶されている状態で、ステップS122を実行する場合には、制御部100は、短期駆動状態を示す状態情報を、第2領域に記憶されている長期駆動状態を示す状態情報に上書きする。
図15の制御は、図6の制御のステップS21,S28と、図14の制御のステップS4,S5,S121,S122を有する他、新たなステップS131の処理を有している。図15の制御において、制御部100は、印字指令を受けると(S21:Yes)、前回記憶部130に記憶した状態情報に対して、感光ドラム51の状態に変化があったか否かを判断する(S131)。詳しくは、ステップS131において、制御部100は、感光ドラム51の状態が長期駆動状態であるか短期駆動状態であるか判断し、その判断結果と、記憶部130に記憶されている判断結果(状態情報)が異なるか否かを判断する第2判断処理を実行することで、感光ドラム51の状態に変化があったか否かを判断する。
ステップS131において感光ドラム51の状態に変化がない、例えば今回の判断結果が短期駆動状態であり、記憶部130に記憶した判断結果が短期駆動状態である場合には(No)、制御部100は、階調設定処理を行うことなく、印字制御を実行して(S28)、本制御を終了する。なお、印字制御では、記憶部130に記憶されているガンマテーブルに基づいて露光制御が実行される。
ステップS131において感光ドラム51の状態に変化があった、例えば今回の判断結果が長期駆動状態であり、記憶部130に記憶した判断結果が短期駆動状態である場合には(Yes)、制御部100は、全色について、階調設定処理を実行し(S4)、ステップS4で設定したガンマテーブルを、そのときの感光ドラム51の状態とともに記憶部130に記憶する(S5,S121,S122)。ステップS121またはステップS122の後、制御部100は、記憶部130に記憶されているガンマテーブルに基づいて印字制御を実行する(S28)。
以上のような変形例5であっても、感光ドラム51の状態に応じたガンマテーブルで良好に画像を形成することが可能となるので、感光ドラム51の状態に応じて適切な印字濃度で印字することができる。
図5の制御では、第1判断処理(S5)において感光ドラム51の駆動時間に基づいて感光ドラム51の状態を直接判断したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図16に示すように、第1判断処理(S5)の結果を、フラグA(n)を用いて間接的に判断してもよい。具体的に、図16のフローチャートは、図5のフローチャートと同様の処理(S1~S9)を有する他、新たなステップS61,S62を有している。
図16に示す制御では、制御部100は、ステップS5で感光ドラム51の状態が長期駆動状態であると判断すると(Yes)、長期駆動状態であることを示すフラグA(n)を1にする(S141)。ステップS141の後、または、ステップS5でNoと判断した場合、制御部100は、フラグA(n)=1であるか否かを判断する(S142)。
ステップS142においてフラグA(n)=1であると判断した場合には(Yes)、制御部100は、階調設定処理後のガンマテーブルを長期駆動用テーブルとして記憶する(S6)。また、ステップS142においてフラグA(n)=1でないと判断した場合には(No)、制御部100は、階調設定処理後のガンマテーブルを短期駆動用テーブルとして記憶する(S8)。このような形態でも、前記実施形態と同様の効果を得ることができる。
前記実施形態では、画質調整において、階調設定処理のみを実行したが、本発明はこれに限定されず、例えば、画質調整において、階調設定処理と、現像バイアスを設定するバイアス設定処理とを実行してもよい。
詳しくは、制御部100は、所定条件が満たされた場合には、バイアス設定処理を実行し、その後、階調設定処理を実行するように構成されていてもよい。なお、以下に、バイアス設定処理について詳細に説明する。
バイアス設定処理において、制御部100は、画像形成部30で所定の露光濃度に対応した第1印字用パターン画像を用いてパターン画像を形成し、検出部75で検出した結果に基づいて、現像バイアスを設定する。詳しくは、制御部100は、バイアス設定処理において、所定の露光濃度に対応した第1印字用パターン画像を用いて印字されたパターン画像、つまりトナー像が所定の印字濃度となるような現像バイアスを算出する。ここで、所定の露光濃度、および所定の印字濃度は、一例として40%であり、制御部100は、第1印字用パターン画像として、図3に示した40%の印字用パターン画像を選択する。詳しくは、バイアス設定処理において、制御部100は、2種類の現像バイアスを用いて、2つの第1印字用パターン画像に対応した2つのトナー像を形成する。より詳しくは、制御部100は、バイアス設定処理において、第1印字用パターン画像を用いて感光ドラム51上に2つの静電潜像を形成し、2つの静電潜像に対して2種類の現像バイアスでそれぞれ現像を行うことで、感光ドラム51上に2種類の印字濃度のパッチを形成する。その後、制御部100は、各パッチを感光ドラム51から搬送ベルト73に転写し、搬送ベルト73上の各パッチを検出部75で検出する。そして、制御部100は、検出部75で検出した各パッチからの反射光の強度を印字濃度に換算し、2種類の印字濃度と2種類の現像バイアスとに基づいて印字濃度が目標濃度になる現像バイアスを算出する。
前記実施形態では、長期駆動状態であるかの判断に、印字制御の連続実行時間(感光ドラム51の連続駆動時間)を用いたが、本発明はこれに限定されず、感光体の駆動時間の合計を用いてもよい。つまり、所定時間内の感光体の駆動時間が断続的に存在する場合には、これらの駆動時間の合計を、判断処理に用いるパラメータとしてもよい。なお、この場合、制御部は、所定時間内の感光体の駆動時間の合計が第2規定時間未満であることを条件として、短期駆動状態であると判断し、所定時間内の感光体の駆動時間の合計が第2規定時間未満でないことを条件として、長期駆動状態であると判断することができる。
なお、所定時間は、前記実施形態のような、判断処理の判断時から所定時間前の時点までの間の期間に限定されるものではない。例えば、所定時間は、以下の(1)~(6)に示すような期間に設定してもよい。
(1)現像器の交換の際に操作するカバーを閉鎖位置から開放位置へ移動を開始した時点から所定時間前の時点までの期間。つまり、カバーの開閉を検知する開閉センサによって、カバーが開放されたことを検知した時点から所定時間前の時点までの期間を、所定時間としてもよい。
(2)カバーを開放位置から閉鎖位置へ移動した時点から所定時間前の時点までの期間。つまり、カバーの開閉を検知する開閉センサによって、カバーが閉じられたことを検知した時点から所定時間前の時点までの期間を、所定時間としてもよい。
(3)画像形成部への通電を開始した時点から所定時間前の時点までの期間。
(4)画像形成部への通電を終了した時点から所定時間前の時点までの期間。
(5)印字指令を受信した時点から所定時間前までの時点の期間。
(6)カバーが閉鎖位置にある状態で、メモリにアクセスした時点から所定時間前の時点までの期間。
また、感光体の駆動時間は、感光体とともに駆動するその他の部材の駆動時間等に適宜置き換えてもよい。例えば、感光体の駆動時間は、現像ローラの駆動時間、現像バイアスの印加時間、帯電バイアスの印加時間、印字枚数などであってもよい。
なお、現像カートリッジのICチップ内にガンマテーブルを記憶してもよい。この場合、階調設定処理を実行したカラープリンタ1のシリアル番号をガンマテーブルと共に現像カートリッジのICチップ内に記憶し、すでに階調設定処理を実施したカラープリンタ1と当該現像カートリッジとの組み合わせであれば、一度、当該現像カートリッジがカラープリンタ1の筐体から取り外された後再度取り付けられた場合でも、制御部100は、階調設定処理を再度実行せずに当該現像カートリッジのICチップからガンマテーブルを読みだしてもよい。また、当該現像カートリッジのICチップにガンマテーブルを記憶していない場合でも、別の現像カートリッジが装着されたと制御部100が判断したときは、制御部100は、Fh=1、Fc=1として階調設定処理を実行してもよい。
前記実施形態では、感光体として感光ドラム51を例示したが、本発明はこれに限定されず、感光体は、例えばベルト状の感光体であってもよい。
前記実施形態では、検出部75で読み取るためのパッチを搬送ベルト73に形成したが、本発明はこれに限定されず、パッチは、例えば用紙などのその他の転写媒体に形成してもよく、検出部として転写媒体に形成されたパッチを検出する読取装置を用いてもよい。あるいは、感光体上にパッチを形成して検出してもよい。
前記実施形態では、カラープリンタ1に本発明を適用したが、本発明はこれに限定されず、その他の画像形成装置、例えばモノクロのプリンタ、複写機、複合機などに本発明を適用してもよい。
前記した実施形態および変形例で説明した各要素を、任意に組み合わせて実施してもよい。