JP7150749B2 - 飲料 - Google Patents
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Description
また、ビールテイスト飲料においてプリン体の含有量の低減方法として、原料となる麦芽の使用量を低減させる方法も知られている(特開2014-166169号(特許文献3)、特開2015-80457号(特許文献4))。しかしながら、このようなプリン体の低減方法では、原料となる麦芽が不足することによって、麦芽に由来するうまみや飲み応えに欠けてしまうという問題があった。
[1]
プリン体およびプロリンを含む飲料であって、
プリン体濃度が4.5mg/100mL以下であり、
プリン体濃度(mg/100mL)/プロリン濃度(mM)が0.05~1.5である飲料。
[2]
プロリン濃度が0.7mM以上である、[1]に記載の飲料。
[3]
プリン体濃度が2mg/100mL以下である、[1]または[2]に記載の飲料。
[4]
プリン体濃度が1mg/100mL以下であり、
プロリン濃度が0.8mM以上である、
[1]または[2]に記載の飲料。
[5]
麦芽飲料である、[1]~[4]のいずれかに記載の飲料。
[6]
麦芽発酵飲料である、[1]~[4]のいずれかに記載の飲料。
[7]
ビールテイスト飲料である、[1]~[6]のいずれかに記載の飲料。
[8]
[1]~[7]のいずれかに記載の飲料が容器詰めされた、容器詰飲料。
また、本明細書において、プリン体濃度(mg/100mL)/プロリン濃度(mM(1/1000モル/L))を「プリン体/プロリン濃度比」ともいう。
本発明の飲料は、プリン体およびプロリンを含む飲料であって、プリン体濃度が4.5mg/100mL以下であり、プリン体/プロリン濃度比が0.05~1.5である飲料である。一般に、プリン体はうまみや飲み応えを生み出す成分であるが、本発明の飲料は、プリン体が低減されているにもかかわらず、プリン体濃度とプロリン濃度との割合を所定の範囲内に設定することによって、飲み応えを増強することが可能である。特に、ビールテイスト飲料において、プリン体の含有量を低減しながら飲み応えを効果的に増強することができる。
本発明の飲料に含まれるプロリンとは、イミノ基を持つ環状アミノ酸であり、その製造法は特に限定されず、たとえば発酵法でも合成法でも良い。また、プロリンは、市販されているものを入手可能である。プロリンは化合物として飲食品に添加してもよく、あるいは、酵母エキスに含有する態様で添加されてもよい。プロリン濃度は、プリン体濃度(mg/100mL)/プロリン濃度(mM)が0.05~1.5であれば特に限定されないが、0.3mM以上が好ましく、0.7mM以上がさらに好ましい。
本発明の飲料は、得られる飲料がプリン体およびプロリンを含めばその原材料は限定されない。したがって、主な原材料としてプリン体、プロリンまたはその両者を十分に含まない場合、それらを添加することなどによって、本発明の飲料を製造できる。
本発明では、本発明の効果を妨げない範囲で、必要に応じて、様々な添加物を添加してもよい。例えば、着色料、泡形成剤、香料、発酵促進剤、甘味料、苦味料、酵母エキス、ペプチド含有物などのタンパク質系物質、アミノ酸などの調味料、アスコルビン酸などの酸化防止剤、各種酸味料などを本発明の効果を妨げない範囲で必要に応じて添加することができる。着色料は、飲料にビール様の色を与えるために使用するものであり、カラメル色素などを用いることができる。泡形成剤は、飲料にビール様の泡を形成させるため、あるいは飲料の泡を保持させるために使用するものであり、大豆サポニン、キラヤサポニンなどの植物抽出サポニン系物質、コーン、大豆などの植物タンパク、およびペプチド含有物、ウシ血清アルブミンなどのタンパク質系物質、酵母エキスなどを適宜使用することができる。香料は、ビール様の風味付けのために用いるものであり、ビール風味を有する香料を適量使用することができる。発酵促進剤は、酵母による発酵を促進させるために使用するものであり、例えば、酵母エキス、米や麦などの糠成分、ビタミン、ミネラル剤などを単独または組み合わせて使用することができる。甘味料は、天然甘味料および合成甘味料のいずれの高甘味度甘味料も使用することができ、ショ糖誘導体、例えばスクラロースなど;合成甘味料、例えばアセスルファムK、サッカリンなどが挙げられ、これらは単独または2種以上組み合せて用いることができる。苦味料は、飲料に配合することによって味覚に苦味を知覚せしめる植物体あるいは植物抽出物であればよい。苦味料としては、姫茴香、杜松実、セージ、迷迭香、マンネンタケ、月桂樹、迷迭香、マンネンタケ、クワシン、ナリンギン、柑橘抽出物、ニガキ抽出物、コーヒー抽出物、茶抽出物、ゴーヤ抽出物、ハス胚芽抽出物、キダチアロエ抽出物、ニガヨモギ抽出物、ローレル抽出物などを用いることができる。
本発明の飲料は炭酸ガスを含んでもよく、その炭酸ガスは、原材料に含まれる炭酸ガスを利用してもよく、また、炭酸水との混和または炭酸ガスの添加などで溶解させてもよい。
本発明のビールテイスト飲料に含まれる炭酸ガスは、原材料に発酵液を用いた場合、発酵工程で炭酸ガスが発生するため、当該炭酸ガスをそのまま用いることができる。また、原材料に非発酵液を用いた場合、発酵工程で発生する炭酸ガスを利用できないため、非発酵液と炭酸水との混和、または非発酵液に炭酸ガスの添加によって、ビールテイスト飲料に炭酸ガスを溶解させることができる。
本発明の飲料の製造方法は、特に限定されないが、プリン体の含有量の多いまたは少ない原材料を選択することや、これらの原材料を増減させることによって、プリン体/プロリン濃度比を調整することができる。同様に、プロリンの含有量の多いまたは少ない原材料を選択することや、これらの原材料を増減させることによって、プリン体/プロリン濃度比を調整することができる。さらに、本発明の製造方法において、飲料の製造途中で希釈、フィルタリング等を行うことによって、プリン体濃度またはプロリン濃度を調整してもよい。
(1) 発酵液の製造
本発明のビールテイスト飲料の製造方法に用いられる発酵液は、例えば、仕込み工程、発酵工程、貯酒工程、ろ過工程、および容器詰工程などの当業者に周知のビールテイスト飲料の製造工程によって得られる。
具体的には、原料を仕込釜または仕込槽に投入し、必要に応じてアミラーゼなどの酵素を添加し、糊化、糖化を行わせ、ろ過して煮沸し、清澄タンクにて凝固タンパクなどの固形分を取り除く。その後、さらに酵母を添加して発酵させ、ろ過機などで酵母を取り除き、必要に応じて水、醸造用アルコールや添加剤などを加え、発酵液を得る。
本発明のビールテイスト飲料の製造方法に用いられる非発酵液の製造工程は、発酵工程を含まず、麦、麦芽エキス、大豆ペプチド、ホップなどと水を含む麦汁などの原液に、炭酸水または炭酸ガスと、アルコールとを混和する混和工程によって得られる。非発酵液は混和工程の他に、さらに、仕込み工程、貯酒工程、および容器詰工程などの当業者に周知のビールテイスト飲料の製造工程を含んでもよい。
本発明のビールテイスト飲料は、プリン体/プロリン濃度比を調整するために、プリン体含有量の低減化することができる。具体的には、発酵液および非発酵液を活性炭や樹脂などでフィルタリングすることによってプリン体を吸着除去する、または、発酵液および非発酵液を水や炭酸水などで希釈する、またはこれらの組み合わせによって、ビールテイスト飲料中のプリン体の含有量を低くすることができる。フィルタリングは特許文献1や2等に記載の公知の方法を用いることができる。
飲料におけるプリン体濃度とプロリン濃度との割合を所定の範囲内に調整するために、飲料などにプロリンが添加されてもよい。プロリンの添加のタイミングは特に限定されず、発酵液または非発酵液の製造前、製造途中または製造後であってもよい。また、プロリンの添加は複数回に分けられてもよい。添加されるプロリンは、麦芽等の穀物由来、豆類由来のプロリンであっても、単離生成されたプロリンであってもよい。
本発明の飲料は、容器に充填・密閉して、容器詰めとすることができる。いずれの形態・材質の容器を用いてもよく、容器の例としては、ビン、缶、樽、またはペットボトルが挙げられる。
プリン体濃度の測定は、液体クロマトグラフ-質量分析法を用いて実施した。
市販されているビール製品(プリン体濃度:9mg/100mL、プロリン濃度4.5mM)を炭酸水で3倍に希釈した3倍希釈飲料(プリン体濃度:3mg/100mL、プロリン濃度1.5mM)を調製した。このようにして得られた3倍希釈飲料にプロリン(マルゴコーポレーション社製)を添加しプロリン濃度2mMの飲料を得た。
前記ビール製品を炭酸水で10倍に希釈した10倍希釈飲料(プリン体濃度:0.9mg/100mL、プロリン濃度0.45mM)を調製した。このようにして得られた10倍希釈飲料にプロリン(マルゴコーポレーション社製)を添加しプロリン濃度0.9mMの飲料を得た(実施例2)。
実施例2と同様に、前記10倍希釈飲料にプロリンを添加し、プロリン濃度が3mMの飲料(実施例3)、9mMの飲料(実施例4)および18mMの飲料(実施例5)を得た。
前記ビール製品を炭酸水で希釈した飲料にプロリンを添加し、プリン体濃度0.35mg/100mL、プロリン濃度0.9mMの飲料を得た。
前記ビール製品を炭酸水で180倍に希釈した180倍希釈飲料(プリン体濃度:0.05mg/100mL、プロリン濃度0.025mM)を調製し、当該飲料にプロリンを添加しプロリン濃度0.9mMの飲料を得た。
前記市販されているビール製品(プリン体濃度:9mg/100mL、プロリン濃度4.5mM)を比較例1、3倍希釈飲料を比較例2、10倍希釈飲料を比較例3、180倍希釈飲料を比較例4とした。
前記10倍希釈飲料(プリン体濃度:0.9mg/100mL、プロリン濃度0.45mM)(比較例3)にグリシン(マルゴコーポレーション社製)を添加しグリシン濃度0.9mMの飲料を得た。
0:ない
1:感じる
2:強く感じる
3:とても強く感じる
で評価し、1.5以上を合格とした。
また、ビールテイスト飲料としての総合評価について0~3(0.5刻み)
0:不可
1:可
2:良
3:優良
で評価した。
これらの結果は表1のとおりであった。
また、比較例5は、比較例3の飲料にプロリンと同様に甘みを呈するアミノ酸の1種であるグリシンを添加してプリン体濃度/グリシン濃度1.00に調整した飲料であるが、プロリンを添加してプリン体濃度/プロリン濃度1.00に調整した実施例2と異なり、飲み応えが十分に向上せず、飲料としての総合評価も十分に向上しなかった。このことから、アミノ酸の中でもプリン体濃度に対するプロリン濃度の割合が、特に飲み応えの付与に効果的に効いていることがわかった。
Claims (7)
- プリン体およびプロリンを含む飲料であって、
プリン体濃度が0.35mg/100mL以下であり、
プリン体濃度(mg/100mL)/プロリン濃度(mM)が0.05~0.39であり、
プロリン濃度が0.3~0.9mMであり、
ビールテイスト飲料である、
飲料。 - プリン体およびプロリンを含む、非発酵の飲料であって、
プリン体濃度が4.5mg/100mL以下であり、
プリン体濃度(mg/100mL)/プロリン濃度(mM)が0.05~1.5であり、
ビールテイスト飲料である、
飲料。 - プロリン濃度が0.7mM以上である、請求項1又は2に記載の飲料。
- プロリン濃度が9mM以上である、請求項2に記載の飲料。
- 前記ビールテイスト飲料が、麦芽飲料である、請求項1~4のいずれかに記載の飲料。
- 前記ビールテイスト飲料が、麦芽発酵飲料である、請求項1及び3~4のいずれかに記載の飲料。
- 請求項1~6のいずれかに記載の飲料が容器詰めされた、容器詰飲料。
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