JP7150374B2 - 麺および麺の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、麺および麺の製造方法に関する。
健康に毎日を過ごすためには食が重要である。例えば、日本では、厚生労働省と農林水産省が共同で策定した「食事バランスガイド」において、1日3食の各食事において、主食の他に、主菜、副菜、汁物を含んだバランスの良い献立にすることにより、必要な栄養素を全て摂取することが推奨されている。そして、この必要な栄養素の基準値として、厚生労働省は、食事摂取基準2020において、エネルギー及び各栄養素の摂取量を定めている(例えば、非特許文献1。)。このような必要な栄養素の摂取量基準は、諸外国においても策定されている。
健康を維持するためには、必要な栄養素を全て食事で摂取することが望ましい。しかし、食事のみで、しかも各食事において、必要な栄養素をバランス良く摂取するのは難しい。
そこで、1日に必要な全ての栄養素を全て含む、ドリンクタイプやビスケットタイプの栄養代替食がある(例えば、特許文献1。)。栄養代替食は、献立を考えなくても必要な栄養素を効率的に摂取でき、かつ食事の準備だけでなく食する時間を短縮することができる。
厚生労働省、日本人の食事摂取基準 インターネット<URL: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/eiyou/syokuji_kijyun.html> 特開2019-140952号公報
しかしながら、栄養代替食は栄養バランスが良く、手軽に食事代わりに摂取できるものの、風味や食感、腹持ち等の点で、食事としては物足りない。
手軽に食事代わりに摂取できるものとして、例えば、おにぎりや麺類等の主食がある。しかし、主食のみでは炭水化物に偏り、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラル、食物繊維等が不足する。このため、栄養バランスを良くするためには、副食として他の食品と組み合わせたり、サプリメントによる補充が必要となる。
本発明は、栄養素の種類と含有量が高い麺を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明の主たる発明は、麺であって、小麦タンパクの含有量が20質量%以上であることとする。
その他本願が開示する課題やその解決方法については、発明の実施形態の欄により明らかにされる。
本発明によれば、栄養素の種類と含有量が高い麺を提供することができる。
本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本発明は、例えば、以下のような構成を備える。
[項目1]
小麦タンパクの含有量が20質量%以上である、麺。
[項目2]
さらに穀物の糠を含む、項目1に記載の麺。
[項目3]
前記穀物の糠の含有量が2質量%以上10質量%以下である、項目2に記載の麺。
[項目4]
さらに豆類を含む、項目1ないし3のいずれか1つに記載の麺。
[項目5]
前記豆類は、大豆またはエンドウである、項目4に記載の麺。
[項目6]
前記豆類は大豆であり、前記大豆の含有量が3質量%以上15質量%以下である、項目5に記載の麺。
[項目7]
前記穀物は、小麦および米から選択される1種以上である、項目1ないし6のいずれか1つに記載の麺。
[項目8]
さらに、小麦全粒粉、小麦胚芽、もち米、加工デンプン、卵、海藻、酢、油脂、種実および酵母から選択される1種以上を含有する、項目1ないし7のいずれか1つに記載の麺。
[項目9]
タンパク質量が20質量%以上であり、豆類と、穀物の糠を含む、麺。
[項目10]
前記麺は、生麺である、項目1ないし9のいずれか1つに記載の麺。
[項目11]
前記麺は、パスタ用である、項目1ないし10のいずれか1つに記載の麺。
[項目12]
含有量が20質量%以上となるように小麦タンパクを用いた、麺の製造方法。
1.麺
本実施形態に係る麺は、小麦タンパクの含有量が20質量%以上である。
以下に、本実施形態に係る麺の原材料、および麺に含まれ得る原材料について説明する。
「麺」とは、小麦粉又はこれに穀類の粉やデンプンを加えたものに水や塩などを加えた生地を主として細長い形に加工した食品である。麺には生麺と乾麺がある。
例えば、生麺は、一般社団法人全国公正取引協議会連合会が定める「生めん類の表示に関する公正競争規約」(一般社団法人全国公正取引協議会連合会ウェブサイト、https://www.jfftc.org/rule_kiyaku/pdf_kiyaku_hyouji/noodles.pdf)の第2条に記載のように定義される。すなわち、「生麺」とは、小麦粉等の穀粉類を主原料として製麺、成形したもの及び製麺、成形した後「ゆで」、「むし」、「油揚げ」、「半なま」又は「冷凍」の工程を経たもの(以下「加工したもの」という。)であって、「うどん」、「そば」、「中華麺」、「生マカロニ類」、「生スパゲッティ類」、「ソフトスパゲッティ式麺」、「大麦麺」、「大麦そば」、「冷麺」、「米粉麺」及び「ぎょうざの皮等」並びにこれらに準ずるものとして公正取引協議会で査定し、消費者庁長官及び公正取引委員会の承認を得たものとし、乾麺、即席麺は含まない。
乾麺は、JAS規格(任意法)・乾めん類品質表示基準(強制法)で定義が定められている(農林水産省ウェブサイト、https://www.maff.go.jp/j/kokuji_tuti/kokuji/k0000985.html)。すなわち、「乾麺」とは、「小麦粉、そば粉又は、小麦粉若しくはそば粉に大麦粉、米粉、粉茶、卵等を加えたものに食塩、水等(かんすいを除く)を加えて練り合わせた後、製めんし、乾燥したもの」とする。
したがって、本実施形態において、「麺」とは、小麦粉又はこれに穀類の粉やデンプンを加えたものに水や塩などを加えた生地を主として細長い形に加工した食品を意味し、生麺と乾麺の両方を含むものとする。また、本実施形態では即席麺は乾麺に含まれるものとし、フライ麺も乾麺に含まれるものとする。
また、本実施形態において、「麺」は「生パスタ」を含むものとする。「生パスタ」とは、小麦粉を主たる原料とし、これに水等を加えて練り合わせ、練り合わせた後に製麺したもの又は製麺した後加工したものをいう。
1.1.小麦タンパク
本実施形態に係る麺は、小麦タンパクを含み、小麦タンパクの含有量が20質量%以上である。
小麦タンパクは、グルテン(gluten)又は麩質とも呼び、穀物の胚乳から生成されるタンパク質の1種であるグルテニンとグリアジンが水を吸収して網目状につながったものである。小麦粉に水を加えてこねることで、グルテニンの「弾力はあるが伸びにくい」性質と、グリアジンの「弾力はないが粘着力が強くて伸びやすい」性質が結びつき、こねればこねるほど弾力と粘り気のある生地が得られる。このため、本実施形態に係る麺が小麦タンパクを含むことにより、麺に必要な風味を与え、弾力のある食感をつくる。
文部科学省、「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」によると、粉末状の小麦タンパク100g当たり、食物繊維 2.4g(水溶性食物繊維 0.5g、不溶性食物繊維 1.9g)、脂質 9.7g(飽和脂肪酸 1.34g、一価不飽和脂肪酸 0.82g、多価不飽和脂肪酸 4.25g)、タンパク質 72.0g、ビタミンB1 0.03mg、ビタミンB2 0.12mg、ナイアシン(ビタミンB3)3.5mg、パントテン酸(ビタミンB5) 0.61mg、ビタミンB6 0.10mg、葉酸(ビタミンB9) 34μg、ビタミンE 1.1mg、ナトリウム 60mg、カリウム 90mg、カルシウム 75mg、マグネシウム 75mg、リン 180mg、鉄分 6.6mg、亜鉛 5.0mg、銅 0.75mg、マンガン 2.67mgを含む。
このように、小麦タンパクは、その70%以上がタンパク質で構成される。このため、本実施形態に係る麺の小麦タンパクの含有量が20質量%以上であることにより、特にタンパク質の含有量が高い麺を提供することができる。
小麦タンパクの含有量は、麺全体の20質量%以上であり、30質量%以下が好ましく、27質量%以下がより好ましい。具体的には、20質量%,21質量%,22質量%,23質量%,24質量%,25質量%,26質量%,27質量%,28質量%,29質量%,30質量%であり、これら列挙した数値の何れかを上限または下限として適宜採用してもよい。小麦タンパクの含有量が前記範囲内であることにより、麺に必要な弾性等を付与し、吸水性を適当な範囲として、麺の風味や食感を高めることができる。また、後述する小麦粉とは別に配合することにより、1日に必要なタンパク質量の少なくとも1/3量、例えば、厚生労働省が定める18才以上の男性の栄養素等表示基準である81gの少なくとも1/3量を1食分の麺に含めることが可能となる。さらに、各種のミネラルや食物繊維の含有量が高い麺を提供することができる。なお、小麦タンパクの含有量は、後述する小麦粉に含まれる小麦タンパクを含んだ合計量とする。また、麺が小麦胚芽や小麦ふすまを含む場合には、これらに含まれる小麦タンパクを含んだ合計量とする。
なお、本実施形態においては、タンパク質の供給源は小麦タンパクに限られず、後述する豆類や米類等からタンパク質が供給されても構わない。このように、複数のタンパク質の供給源がある場合、本実施形態に係る麺のアミノ酸スコアを高めることができる。
1.2.豆類
本実施形態に係る麺は、さらに豆類を含むことが好ましく、その含有量は3質量%以上15質量%以下が好ましい。具体的には、3質量%,4質量%,5質量%,6質量%,7質量%,8量%,9質量%,10質量%,11質量%,12質量%,13質量%,14質量%,15質量%であり、これら列挙した数値の何れかを上限または下限として適宜採用してもよい。豆類としては、用途によって適宜選択できるが、タンパク質や食物繊維の供給源としては大豆が好ましく、食感の改善のためにはエンドウが好ましい。
大豆はタンパク質と食物繊維を豊富に含む他、各種のミネラルも豊富である。特に、大豆は豆類の中でもタンパク質の含有量が最も高い。このため、本実施形態に係る麺が大豆を含むことで、タンパク質の補給が可能となる。
大豆は、大豆として最も流通している黄大豆の他に、青大豆、黒大豆、白大豆、赤大豆、茶大豆であっても良い。例えば、黄大豆ではなく黒大豆であれば、黄大豆よりもβ-カロテンや葉酸の含有量が高く、またアントシアニンを含む。これらの大豆は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いても良い。
例えば、大豆が黄大豆である場合、文部科学省、「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」によると、国産の乾燥黄大豆100g当たり、食物繊維 17.9g(水溶性食物繊維 1.5g、不溶性食物繊維 16.4g)、脂質 19.7g(飽和脂肪酸 2.59g、一価不飽和脂肪酸 4.80g、多価不飽和脂肪酸 10.39g)、タンパク質 33.8g、ビタミンB1 0.71mg、ビタミンB2 0.26mg、ナイアシン(ビタミンB3)2.0mg、パントテン酸(ビタミンB5) 1.36mg、ビタミンB6 0.51mg、ビオチン(ビタミンB7) 38.2μg、葉酸(ビタミンB9) 27.5μg、ビタミンE 2.3mg、ナトリウム 1mg、カリウム 1900mg、カルシウム 180mg、マグネシウム 220mg、リン 490mg、鉄分 6.8mg、亜鉛 3.1mg、銅 1.07mg、マンガン 2.51mgを含む。
このように、大豆は、その30%以上がタンパク質、20%程度が食物繊維で構成されている。このため、本実施形態に係る麺が大豆を含むことにより、特にタンパク質と食物繊維の含有量が高い麺を提供することができる。
また、上記のように、大豆は、1日に必要な栄養素のうち、各種のミネラルや食物繊維の含有量が高い。このため、本実施形態に係る麺が大豆を含むことにより、各種のミネラルや食物繊維の含有量が高い麺を提供することができる。用いるときには粉末で用いることが好ましい。また、脂質量を調整する目的で、脱脂大豆を用いても良い。
さらに、大豆は、必須脂肪酸や、食物繊維、ビタミンB1、B2、E、カルシウム、カリウム、鉄の含有量が高いため、これらの栄養素の供給源となる。
また、大豆の含有量は3質量%以上15質量%以下がより好ましい。具体的には、3質量%,4質量%,5質量%,6質量%,7質量%,8量%,9質量%,10質量%,11質量%,12質量%,13質量%,14質量%,15質量%であり、これら列挙した数値の何れかを上限または下限として適宜採用してもよい。前記含有量により、麺に必要なタンパク質やその他の栄養素を補い、さらには麺の風味と食感を高めることができる。
1.3.穀物の糠
本実施形態に係る麺は、さらに穀物の糠を含むことが好ましく、その含有量は2質量%以上10質量%以下が好ましい。具体的には、2質量%,3質量%,4質量%,5質量%,6質量%,7質量%,8量%,9質量%,10質量%であり、これら列挙した数値の何れかを上限または下限として適宜採用してもよい。
糠は、穀物を精白した際に出る果皮、種皮等の部分を指す。本実施形態においては、例えば米、もち米の場合には、種子から籾殻を除いた玄米の主に胚芽、外胚乳、糊粉層を含むものとし、小麦、ライ麦等の麦類の場合には、果皮、種皮の表皮部分を含むものとする。
穀物の糠は、精白した穀物にはほとんど含まれないような食物繊維及び各種のミネラルを豊富に含む。このため、本実施形態に係る麺が穀物の糠を含むことにより、一日に必要な各栄養素を補い、さらには糠特有の成分により、麺に風味と食感を付与することができる。
穀物の糠の原料となる穀物としては、例えば、小麦、米、トウモロコシ、大麦、燕麦、ライ麦、ハト麦、モロコシ、アワ、キビ、ヒエ、ソバ、コウリャン、ライ小麦、ブルグル、キヌア、アマランサス等が挙げられる。大麦はもち麦であっても良い。これらの穀物の糠は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いても良い。
本実施形態で用いる米糠を得るための米の種類は限定されず、例えば、水稲、陸稲、もち米、赤米、黒米、緑米等を含む。これらは、麺に所望の特性を付与するために適宜選択することができる。例えば、赤米は、白米と比較して、リン、マグネシウム、カリウム、カルシウム、ビタミンB1、ビタミンE、食物繊維約を数倍多く含む他、タンニンを含む。黒米は、白米と比較して、カルシウム、マグネシウム、カリウム、鉄分やビタミンB・E、食物繊維を数倍多く含む他、アントシアニンを含む。緑米は、亜鉛、マグネシウム、食物繊維を豊富に含む他、葉緑素を含む。
また、これらの穀物は、種子の発生段階を問わず用いることができる。例えば、米の糠の原料となる穀物は、熟し切る前の成長著しい段階で摘み取ったもの、例えば、玄米であれば、若い玄米である青玄米であってもよい。青玄米は玄米よりも高い栄養素を持つ他、うまみ成分の1つであるアラニンを含む。また、熟した穀物よりも繊維が柔らかいため、熟した穀物特有の硬さや臭いがなく、糠がより使いやすい場合がある。
例えば、穀物の糠が米糠である場合、文部科学省、「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」によると、米糠100g当たり、食物繊維 20.5g(水溶性食物繊維 2.2g、不溶性食物繊維 18.3g)、脂質 19.6g(飽和脂肪酸 3.45g、一価不飽和脂肪酸 7.37g、多価不飽和脂肪酸 5.90g、タンパク質 13.4g、ビタミンB1 1.82mg、ビタミンB2 0.71mg、ナイアシン(ビタミンB3)4.2mg、パントテン酸(ビタミンB5) 1.34mg、ビタミンB6 1.24mg、葉酸(ビタミンB9)390μg、ビタミンE 28.3mg、ナトリウム 3mg、カリウム 1100mg、カルシウム 42mg、マグネシウム 310mg、リン 1100mg、鉄分 9.4mg、亜鉛 15.9mg、銅 0.89mg、を含む。その他、米糠は、フィチン酸、イノシトール、フェルラ酸、γ-オリザノールも含む。
穀物の糠が小麦ふすまである場合、インターネット<URL: https://www.eatsmart.jp/do/caloriecheck/detail/param/foodCode/9999030001587>によると、小麦ふすま100g当たり、食物繊維 42.8g、脂質 4.3g(飽和脂肪酸 0.63g、一価不飽和脂肪酸 0.64g、多価不飽和脂肪酸 2.21g)、タンパク質 15.6g、ビタミンB1 0.52mg、ビタミンB2 0.58mg、ナイアシン(ビタミンB3)1.30mg、パントテン酸(ビタミンB5) 2.18mg、ビタミンB6 1.3mg、β-カロテン 6μg、ビタミンE 1.5mg、ナトリウム 2mg、カリウム 1182mg、カルシウム 73mg、マグネシウム 611mg、リン 1013mg、鉄分 10.6mg、亜鉛 7.3mg、銅 0.10mg、マンガン 11.50mg、セレン 78μg、を含む。
これらの穀物の糠の中でも、小麦、米の糠が好ましい。すなわち、穀物の糠として、小麦ふすま及び小麦胚芽、米糠を用いることが好ましい。糠は穀物の精白の過程において廃棄されることが多いため、特に、小麦、米の糠は入手しやすい。このため、栄養豊富な原料を安価に入手可能となる。また、上記のように、小麦、米の糠は、各種栄養素の種類と含有量、風味等の点からも好ましい。
穀物の糠の含有量は、2質量%以上10質量%以下が好ましく、5質量%以上7質量%以下がより好ましい。具体的には、2質量%,3質量%,4質量%,5質量%,6質量%,7質量%,8量%,9質量%,10質量%であり、これら列挙した数値の何れかを上限または下限として適宜採用してもよい。前記含有量により、本実施形態に係る麺に、脂質や食物繊維、その他の栄養素を補い、さらには麺の風味と食感を高めることができる。なお、糠の含有量は、例えば、後述する小麦粉が全粒粉の場合には、その全粒粉に含まれる糠部分としての小麦ふすま及び小麦胚芽を含んだ合計量とする。
1.4.小麦胚芽
本実施形態に係る麺は、小麦胚芽を含むことが好ましい。小麦胚芽は、文部科学省、「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」によると、小麦胚芽100g当たり、食物繊維 14.3g(水溶性食物繊維 0.7g、不溶性食物繊維 13.6g)、脂質 11.6g(飽和脂肪酸 1.84g、一価不飽和脂肪酸 1.65g、多価不飽和脂肪酸 6.50g)、タンパク質 32.0g、ビタミンB1 3.12mg、ビタミンB2 0.21mg、ナイアシン(ビタミンB3)34.6mg、パントテン酸(ビタミンB5) 4.43mg、ビタミンB6 3.27mg、ビオチン(ビタミンB7) 38.2μg、葉酸(ビタミンB9)180μg、ビタミンE 10.4mg、ナトリウム 7mg、カリウム 1500mg、カルシウム 35mg、マグネシウム 850mg、リン 2000mg、鉄分 7.6mg、亜鉛 5.9mg、銅 0.48mg、セレン 5μg、を含む。
このため、小麦胚芽は、食物繊維や脂質、タンパク質、各種ビタミンはミネラルの供給源となる他、麺に風味や食感を付与する。この場合、小麦胚芽の含有量は、1質量%以上10質量%以下が好ましく、2質量%以上5質量%以下が食感や風味の点でより好ましく、具体的には、1質量%,2質量%,3質量%,4質量%,5質量%,6質量%,7質量%,8量%,9質量%,10質量%であり、これら列挙した数値の何れかを上限または下限として適宜採用してもよい。
1.5.卵
本実施形態に係る麺は、卵を含んでも良い。卵はタンパク質と各種ビタミンに富む他、使用することで風味や食感に優れた麺が得られる。
1.6.海藻
本実施形態に係る麺は、海藻を含んでも良い。海藻は、水溶性食物繊維であるアルギン酸とフコイダンを豊富に含むため、本実施形態に係る麺に必要な食物繊維を補う。また、本実施形態に係る麺が豊富に食物繊維を含むと、麺の腹持ちが良くなる他、麺の水分をゲル化する性質を有し、麺生地の保水力を高める。
また、海藻は、カルシウムやヨウ素等のミネラルを豊富に含むため、本実施形態に係る麺に必要なミネラルを補うことができる。さらに、海藻はうまみ成分であるグルタミン酸を豊富に含むため、本実施形態に係る麺が海藻を含むことで、麺の風味が高まる。
本実施形態で用いられる海藻としては、例えば、昆布、テングサ、オゴノリ、ワカメ、モズク、紅藻等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いても良い。用いるときには粉末にして用いることが好ましい。
これらの中でも、本実施形態で用いられる海藻は、昆布であることが好ましい。昆布は、各種ビタミンやミネラルを多く含むため、本実施形態に係る麺に対し、必要なビタミンやミネラルを供給する。昆布は、特に牛乳の6倍以上ものカルシウムを含むため、海藻として昆布を用いることで、麺にカルシウムを供給することができる。また、昆布は、食物繊維、ヨウ素、グルタミン酸を豊富に含むため、本実施形態に係る麺に必要な食物繊維を補う他、麺に所望の風味や食感を付与することができる。
1.7.種実
本実施形態に係る麺は、種実を含んでも良い。種実は、堅い皮や殻に包まれた食用の果実・種子の総称であり、堅果とも呼ばれる。種実は、タンパク質や脂質を豊富に含み、相対的に炭水化物量が低い。また、種実は、食物繊維や各種ビタミンやミネラルを豊富に含む。このため、本実施形態に係る麺が種実を含むことにより、本実施形態に係る麺に必要な各栄養素を補い、さらには各種実特有の成分により、麺に風味と食感を付与することができる。
種実としては、例えば、チアシード、アーモンド、カシューナッツ、ペカンナッツ、ブラジルナッツ、マカダミアナッツ、ピスタチオ、ヘーゼルナッツ、ココナッツ、松の実、ヒマワリの種、カボチャの種、スイカの種、シイ、クルミ、ゴマ、アマニ、麻の実(ヘンプ)、エゴマ、ケシ、トチ、ハス、松の実、落花生、カカオ等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いても良い。用いるときには粉末で用いることが好ましいが、粗挽きで用いてもよい。
本実施形態においては、種実としてチアシードを用いても良い。チアシードは、ミネラルを豊富に含み、中でもリンとマグネシウムが豊富である他、食物繊維やオメガ3脂肪酸が豊富である。このため、チアシードを用いることで、さらに栄養豊富な麺となる。また、チアシードは独特な食感を有するため、麺の風味と食感を高める。チアシードは粉末で用いることが好ましいが、粗挽きで用いてもよい。
本実施形態において種実を含む場合は、その含有量は、合計で1質量%以上3質量%以下が好ましく、具体的には、1質量%,2質量%,3質量%であり、これら列挙した数値の何れかを上限または下限として適宜採用してもよい。種実の含有量が前記範囲内であることにより、麺の風味や食感、さらには栄養価を高めることができる。
1.8.小麦粉
本実施形態に係る麺は小麦粉を含むことが好ましい。小麦粉は、一般的に麺生地の主原材料となる材料であり、炭水化物を多く含む。このため、麺生地が小麦粉を含むことで、エネルギーの供給源となる主食である麺の提供が可能となる。
小麦粉は、タンパク質として上述の小麦タンパクを含むが、ビタミンやミネラルの含有量は多くはない。そこで、上述した各原材料と組み合わせて麺生地とすることで、糖質の含有量が高くならないよう抑制しつつ、栄養素の種類と含有量が高い麺を提供することができる。ここで、糖質とは、炭水化物から食物繊維を除いたものである。
本実施形態に係る麺の原材料において、小麦粉は、精白した小麦粉であっても良いし、全粒粉であっても良い。全粒粉は上記の小麦ふすま等を上記の糠として含むものであり、その割合は15質量%程度である。このため、小麦粉として全粒粉を用いることにより、本実施形態に係る麺に必要なビタミンやミネラル、脂質、タンパク質、食物繊維を補うことができる。また、全粒粉は、上記の小麦タンパクを10~13質量%程度含む。
小麦粉の含有量は、小麦粉として全粒粉を含む場合には、15質量%以上25質量%以下が好ましい。具体的には、15質量%,16質量%,17質量%,18質量%,19質量%,20質量%,21質量%,22質量%,23質量%,24質量%,25質量%であり、これら列挙した数値の何れかを上限または下限として適宜採用してもよい。小麦粉の含有量が前記範囲内であることにより、麺に必要な炭水化物を供給できるとともに、麺の風味を高めることができる。また、上述した原材料と組み合わせることにより、一般の麺生地と比べて小麦粉の含有量の低減が可能となり、糖質の含有量の低減が可能となる。
1.9.酢
本実施形態に係る麺は、酢を含んでも良い。麺が酢を含有すると、菌の発育が阻害され菌の増殖による麺の劣化を妨げることが出来る。
本実施形態で使用される酢としては、例えば、穀物酢、醸造酢等が挙げられる。酢は粉末であっても液体であっても良い。
本実施形態において酢の含有量は、0.5質量%以上3質量%以下が好ましい。具体的には、0.5質量%,1質量%,2質量%,3質量%であり、これら列挙した数値の何れかを上限または下限として適宜採用してもよい。酢の含有量が前記範囲内であることにより、麺の風味や食感、品質を高めることができる。
1.10.油脂
本実施形態に係る麺は、油脂を含んでも良い。油脂は、麺の味にコクを出して風味を出したり、食感をソフトにする。
油脂としては、動物脂、または植物油が挙げられる。動物脂としては、バター、牛脂、ラード等が挙げられる。植物油としては、アマニ油、エゴマ油、オリーブ油、ゴマ油、米糠油、サフラワー油、大豆油、調合油、トウモロコシ油、ナタネ油、パーム油、パーム核油、ヒマワリ油、ブドウ油、綿実油、ヤシ油、落花生油が挙げられる。その他、粉末油脂、マーガリン、ショートニングであっても良い。油脂として粉末油脂を用いても良い。本実施形態においては、油脂として植物油が好ましく、ぶどう油やアマニ油が好ましい。これらの油脂は、不飽和脂肪酸の供給源となる。
油脂の含有量は、0.5質量%以上2質量%以下が好ましい。具体的には、0.5質量%,1質量%,2質量%であり、これら列挙した数値の何れかを上限または下限として適宜採用してもよい。油脂の含有量が前記範囲内であることにより、麺の風味や食感を高め、品質を安定させることができる。
1.11.その他の原材料
本実施形態に係る麺は、生地の上記に挙げた原材料以外の成分を含んでも良い。その他の原材料としては、特に制限されないが、例えば、従来公知の麺生地に用いられる原材料や、食品にビタミンやミネラル等を付与したり、風味や食感を付与する原材料が挙げられる。そのような原材料としては、例えば、麦芽、麦芽糖、米粉、もち米粉、イモ類、野菜、デンプン、砂糖等の糖類、塩、乳製品、ゼラチン、茶葉、酒精、酵母等が挙げられる。また、いわゆるスーパーフードを使用することもできる。
例えば、麺は酵母を含んでも良い。酵母は、ビタミンB群をはじめとする各種ビタミン、ミネラル、アミノ酸、核酸、食物繊維等の供給源となる。
米粉は玄米粉であっても良く、玄米粉は発芽玄米粉であっても良い。イモ類は、ジャガイモ、サトイモ、サツマイモ、ヤーコン、キクイモ等が挙げられる。野菜は、炭水化物量が多いカボチャ、レンコン、ニンジン等が挙げられる。デンプンは、片栗粉、キャッサバデンプン、加工デンプン等が挙げられる。糖類は、白糖、黒砂糖、和三盆糖、三温糖、加工糖、液糖、粉あめ、水あめ、ブドウ糖、果糖、異性化液糖、黒蜜、ハチミツ、メープルシロップ、還元水あめ等が挙げられる。塩は、食塩、精製塩、岩塩等が挙げられる。乳製品は、生乳、加工乳、全粉乳、脱脂粉乳、生クリーム、ヨーグルト、チーズ、ホエーパウダー等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いても良い。
1.12.麺の製造方法
本実施形態に係る麺の製造方法は、含有量が20質量%以上となるように小麦タンパクを用いる。
すなわち、本実施形態に係る麺は、上記原材料を任意の順序で全て混合し、得られた混合粉に所定量の水を加えて混練し、生地を得る。その後、得られた生地をダイスを用いて押し出し成形したり、平たくのばした後に所定の形状に加工することにより得る。また、麺の形状はこれに限定されず、すいとんやニョッキ、ラザニアのような形状であっても良い。得られた麺はお湯で茹でる等の加熱手段により加熱し、好みにより味付けて食すことができる。
1.13.効果
以上説明したように、本実施形態に係る麺は、上記原材料の選択と組み合わせにより、また、小麦タンパクの含有量が20質量%以上であることにより、栄養素の種類と含有量が高い麺を提供することができる。
また、上記原材料の選択と組み合わせと、その特徴的な含有量により、満足できる風味を兼ね備えた美味しい麺を提供することができる。
麺は主食となるだけでなく、具材を工夫することで一品だけで食べられることが多く、特に日本人にとってなじみやすい。また、本実施形態に係る麺は、他の食材と組み合わせることなく、麺だけで多くの栄養素を摂取できるため、具材や、主菜、副菜等を組み合わせることなく、麺だけで食事代わりとすることができる。このように、本実施形態に係る麺によれば、栄養素の種類と含有量が高い、これだけで食事として成立する麺の提供が可能となる。
なお、本実施形態に係る麺に他の食材を組み合わせることで、所望の栄養素の摂取量を高くすることができ、体の健康状態等にあわせた食事の提供が可能となるのは言うまでもない。
2.実施例
以下、本発明を実施例および比較例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、「%」は質量基準である。
2.1.麺の材料の調整
表1に記載の配合例で材料を準備し、麺を製造した。表1において、数値は全体量に対する百分率で表して小数第1位まで表している。
Figure 0007150374000001
表1において、小麦タンパクの合計量は、小麦胚芽中に32%、小麦ふすま中に16%、全粒粉中に12%含むものとし、これらの合計量に実際に配合した小麦タンパク量を足した合計量で表した。同様に、タンパク質合計量は、大豆粉中に34%、米糠中に13%、もち米中に4%、チアシード中に17%、アマニ中に18%含むものとし、これらの合計量と、小麦タンパク合計量と大豆タンパク量との合計量で表した。糠の合計量は、全粒粉中に糠として外皮を15%含むものとし、米糠量と小麦ふすま量との合計量で表した。
また、表1において、その他とは、塩化カリウム、ビタミンミックス、酵母、調味料等の混合物である。
2.2.麺の製造
表1に記載の原材料のうち水以外を全て混合し、混合粉を得た。得られた混合粉に表1の割合となるように水を加えて混練し、得られた生地を平たく延ばした上で平麺状に切り出し成形し、平麺状(幅4mm、厚さ1mm)のパスタを得た。得られたパスタを2分茹で、その後食した。
なお、各例で得られた麺製造時の栄養残存率を全ての栄養素について分析・算出した。栄養残存率は、以下に示す栄養分析法を用いて行った分析値と、元の材料に含まれる栄養価の計算値との差分を求めて算出した。
栄養分析法は以下の通りであり、一般財団法人日本食品分析センターの分析方法を参考に行った。すなわち、炭水化物は食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)による計算値(100-(水分+タンパク質+脂質+灰分))、食物繊維は酵素-重量法、タンパク質は燃焼法、脂質は酸分解法、n-3系脂肪酸およびn-6系脂肪酸はガスクロマトグラフィー法、カルシウム、銅、鉄、マグネシウム、マンガン、リンおよび亜鉛はICP発光分析法、クロム、ヨウ素、モリブデンおよびセレンはICP質量分析法、カリウムおよびナトリウムは原子吸光光度法、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKおよびアスコルビン酸パルミチン酸エステルは高速液体クロマトグラフィー法、ナイアシン、パントテン酸、ビタミンB6、ビオチン、葉酸およびビタミンB12は微生物定量法により分析した。熱量は修正アトウォーター法により算出した。
2.3.評価結果
例1~例12の全てにおいて、その配合により、特にタンパク質量、脂質量、食物繊維量、ビタミンおよびミネラルの種類と含有量が高いと考えられ、また、上記で麺と定義した麺が得られた。特に、例5~例12では、市販の生パスタと同程度の食感と味を有していた。また、計算値により、日本において厚生労働省が定めた栄養素等表示基準値(18才以上、基準熱量2,200kcal)に基づく1日分の基準値の1/3のうち、特に、タンパク質、脂質や食物繊維の基準を満たすものを1食分で得ることができた。また、小麦タンパク、大豆、穀物の糠の含有量が高いことにより、炭水化物量は基準値の1/3以下に抑えることができた。
以上により、本実施形態に係る麺によれば、栄養素の種類と含有量が高い麺を提供することができた。
以上、本実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物も含まれる。

Claims (11)

  1. 小麦タンパクと穀物の糠と小麦全粒粉と大豆粉とを含み、
    前記小麦タンパクの含有量が20質量%以上30質量%以下であり、前記小麦タンパクの含有量は、原材料として含んでもよい小麦胚芽中に含まれる小麦タンパクの量と、原材料として含まれる小麦全粒粉中に含まれる小麦タンパクの量と、原材料として含まれる小麦タンパクの量との合計量であり、
    前記穀物の糠の含有量が5質量%以上10質量%以下であり、前記穀物の糠の含有量は、前記原材料として含まれる小麦全粒粉中に含まれる小麦ふすまの量と、原材料として含まれる米糠の量との合計量であり、
    前記原材料として含まれる小麦全粒粉の含有量が15質量%以上22質量%以下であり、
    前記原材料として含まれる大豆粉の含有量が3質量%以上15質量%以下であり、
    前記原材料として含まれる、前記穀物の糠としての米糠の含有量が3質量%以上6質量%以下である、麺。
  2. 前記原材料として含まれる小麦全粒粉の含有量は16質量%以上22質量%以下である、請求項1に記載の麺。
  3. 前記小麦ふすまの含有量が、2質量%以上4質量%以下である、請求項1又は2に記載の麺。
  4. 原材料として、さらに、油脂を含み、前記油脂の含有量が0.5質量%以上2質量%以下である、請求項1ないしのいずれか1項に記載の麺。
  5. 前記原材料として含まれる大豆粉の含有量が3質量%以上14質量%以下である、請求項1ないしのいずれか1項に記載の麺。
  6. 原材料として、さらに、もち米、加工デンプン、卵、海藻、酢、種実および酵母から選択される1種以上を含有する、請求項1ないしのいずれか1項に記載の麺。
  7. 前記麺に含まれる前記小麦タンパクの含有量が、22質量%以上26質量%以下である、請求項1ないしのいずれか1項に記載の麺。
  8. 前記原材料として含まれる小麦胚芽の含有量が、2質量%以上5質量%以下である、請求項1ないしのいずれか1項に記載の麺。
  9. 前記麺は、生麺である、請求項1ないしのいずれか1項に記載の麺。
  10. 前記麺は、パスタ用である、請求項1ないしのいずれか1項に記載の麺。
  11. 小麦タンパクと穀物の糠と小麦全粒粉と大豆粉とを含む麺の製造方法であって、
    前記小麦タンパクの含有量が20質量%以上30質量%以下であり、前記小麦タンパクの含有量は、原材料として含んでもよい小麦胚芽中に含まれる小麦タンパクの量と、原材料として含まれる小麦全粒粉中に含まれる小麦タンパクの量と、原材料として含まれる小麦タンパクの量との合計量であり、
    前記穀物の糠の含有量が5質量%以上10質量%以下であり、前記穀物の糠の含有量は、前記原材料として含まれる小麦全粒粉中に含まれる小麦ふすまの量と、原材料として含まれる米糠の量との合計量であり、
    前記原材料として含まれる小麦全粒粉の含有量が15質量%以上22質量%以下であり、
    前記原材料として含まれる大豆粉の含有量が3質量%以上15質量%以下であり、
    前記原材料として含まれる、前記穀物の糠としての米糠の含有量が3質量%以上6質量%以下である、麺の製造方法。
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