以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
図1は、貯蔵ピットの斜視図である。
貯蔵ピット101は、原子力発電プラントにおいて原子炉にて使用された使用済みの燃料集合体や、未使用の燃料集合体が貯蔵される。燃料集合体は、複数の燃料棒である核燃料が矩形状に束ねられた集合体である。従って、燃料集合体は、いわゆる核燃料である。燃料集合体は、例えば、加圧水型軽水炉に使用する場合は、矩形状の1辺が約0.2mの正方形状で、長さが4mを超える細長い角柱形をなす。沸騰水型軽水炉に使用する場合は、矩形状の1辺が約0.15mの正方形状で、長さが約4.5mの細長い角柱形をなす。
貯蔵ピット101は、矩形状で上部が開放されたコンクリート躯体のプールとして構成されている。貯蔵ピット101は、矩形状の床面101a、および床面101aの4方向を囲む側壁の縦壁面101bを有している。この貯蔵ピット101において、床面101aに核燃料貯蔵用ラック1が配置される。核燃料貯蔵用ラック1は、詳細を後述するが、上部が開放されて上方から核燃料が挿入されるように構成されている。そして、貯蔵ピット101は、内部に冷却水103が貯留された状態で、核燃料貯蔵用ラック1に核燃料が立てられた状態で収納されて貯蔵される。
なお、貯蔵ピット101は、図には明示しないが、床面101aおよび縦壁面101bの内面であるコンクリート面にライニングが張り付けられている。ライニングは、厚さ4mm前後のオーステナイト系ステンレス鋼からなり、貯蔵ピット101の床面101aおよび縦壁面101bの内面を保護するものである。
図2は、本実施形態に係る核燃料貯蔵用ラックの側面図である。図3は、本実施形態に係る核燃料貯蔵用ラックの外枠を外した側面図である。図4は、本実施形態に係る核燃料貯蔵用ラックの部分拡大斜視図である。図5は、本実施形態に係る核燃料貯蔵用ラックにおける支持部材の平面図である。図6は、本実施形態に係る核燃料貯蔵用ラックの接続金具の平面図である。図7は、本実施形態に係る核燃料貯蔵用ラックの接続金具の平面図である。図8は、本実施形態に係る核燃料貯蔵用ラックの部分拡大平面図である。図9は、本実施形態に係る核燃料貯蔵用ラックの部分拡大平面図である。図10は、本実施形態に係る核燃料貯蔵用ラックの部分拡大側断面図である。図11は、本実施形態に係る核燃料貯蔵用ラックの部分拡大側断面図である。図12は、本実施形態に係る核燃料貯蔵用ラックの部分拡大側断面図である。図13は、本実施形態に係る核燃料貯蔵用ラックの部分拡大側断面図である。図14は、本実施形態に係る核燃料貯蔵用ラックの部分拡大側断面図である。図15は、本実施形態に係る核燃料貯蔵用ラックの部分拡大側断面図である。図16は、本実施形態に係る核燃料貯蔵用ラックにおける基盤の平面図である。図17は、本実施形態に係る核燃料貯蔵用ラックにおける脚部の平面図である。図18は、本実施形態に係る核燃料貯蔵用ラックにおける脚部の側面図である。
図2に示すように、核燃料貯蔵用ラック1は、ラック本体11と、基盤12と、脚部13と、を含み構成されている。
ラック本体11は、図2および図3に示すように、外枠11Aと、支持部材11Bと、セル11Cと、を含む。
外枠11Aは、平面視で矩形状の筒を形成し、ラック本体11の上端から下端に通じてラック本体11の外周部を覆う板材として形成されている。なお、外枠11Aは、形鋼又は矩形棒を用いてX字形状またはV字形状などの斜材とするか、平板と斜材を併用してもよい。外枠11Aおよびセル11Cは、ステンレス鋼または中性子吸収材で形成されている。中性子吸収材は、ボロン、ガドリニウムの少なくとも一方を添加したステンレス鋼や、ボロン化合物(好ましくは炭化ホウ素)、ガドリニウムの少なくとも一方を含有するアルミニウム複合材からなる。外枠11Aは、耐震強度部材であり、他の構成部材により十分な耐震強度が得られていれば省略することができる。
支持部材11Bは、図3および図4に示すように、ラック本体11の筒内において水平に配置される平面視で矩形状の板材であり、ラック本体11の筒内にて上下方向に複数設けられている。支持部材11Bは、図4および図5に示すように、複数のセル11Cを支持するため、複数の格子11Baが形成されている。本実施形態において、格子11Baは、図5の実施例においては、1つの支持部材11Bにおいて169個が13×13で整列して設けられている。支持部材11Bは、その周縁に、固着具としてのボルトが挿通される貫通孔11Bbが形成されている。貫通孔11Bbは、本実施形態において、4つの角部にそれぞれ3個、4つの辺の中央にそれぞれ2個設けられている。この支持部材11Bは、ステンレス鋼で形成されている。
支持部材11Bは、外枠11Aと接続金具14,15を介して接合される。接続金具14は、図6に示すように、平面視で角柱がL字形状に形成されている。接続金具14は、L字形状の両端部およびL字形状の角部の3箇所に上下方向に貫通する貫通孔14aが形成されている。3個の貫通孔14aは、支持部材11Bの角部に設けられた3個の貫通孔11Bbにそれぞれ連通するように設けられている。また、接続金具14は、貫通孔14aの間において貫通孔14aと交差する水平方向に貫通する2個のネジ孔14bが形成されている。また、接続金具15は、図7に示すように、平面視で角柱が水平方向に延びて形成されている。接続金具15は、両端部の2箇所に上下方向に貫通する貫通孔15aが形成されている。2個の貫通孔15aは、支持部材11Bの辺の中央に設けられた2個の貫通孔11Bbにそれぞれ連通するように設けられている。また、接続金具15は、貫通孔15aの間において貫通孔15aと交差する水平方向に貫通する1個のネジ孔15bが形成されている。
接続金具14は、図3および図4に示すように、支持部材11Bの各角部において3個の貫通孔11Bbに3個の貫通孔14aを連通するように配置し、連通した貫通孔14aおよび貫通孔11Bbに挿通した固着具であるボルトを締め付けることで支持部材11Bに接合される。また、接続金具15は、図3に示すように、支持部材11Bの各辺の中央において2個の貫通孔11Bbに2個の貫通孔15aを連通するように配置し、連通した貫通孔15aおよび貫通孔11Bbに挿通した固着具であるボルトを締め付けることで支持部材11Bに接合される。このとき、接続金具14,15のネジ孔14b,15bが開口する鉛直方向の面は、支持部材11Bの端面に一致または端面から突出する。そして、接続金具14,15の鉛直方向の面に外枠11Aの内側の板面を合わせ、外枠11Aの外側から接続金具14,15のネジ孔14b,15bに図2に示す固着具であるネジ16を締め付けることで支持部材11Bと外枠11Aとが接合される。
なお、接続金具14,15は、角柱に限らない。図には明示しないが、例えば、貫通孔14a,15aが設けられた板片と、ネジ孔14b,15bが設けられた板片と、で断面がL字形状に形成されたL形金具として形成されていてもよい。また、外枠11Aを省略した場合、接続金具14,15も省略できる。
セル11Cは、図8および図9に示すように、ラック本体11の上端から下端において、平面視で矩形状の筒を形成し、筒内に核燃料が上方から挿入される収納領域11Dが構成されている。収納領域11Dは、核燃料の外寸よりも広く、核燃料の長さを超える上下長さとされている。セル11Cは、支持部材11Bの格子11Baに固定される。セル11Cは、矩形筒状を構成する4枚の板材11Caからなり、各板材11Caが支持部材11Bの格子11Baの孔に固定される。図8では、板材11Caの側端面を他の板材11Caの側面に接触させてセル11Cの角部を埋めるように設けた例を示している。図9では、各板材11Caの側端面をセル11Cの角部に向けて角部に間を空けるように設けた例を示している。図9の例は、図8の例と比較して板材11Caの幅を狭く形成できる。このセル11Cは、中性子吸収材で形成されている。なお、板材11Caの厚さは、中性子吸収能力の強弱により決定されるが、板への圧延性および二枚割れを防止する目的からは、2mm~10mmとすることが好ましい。
このように、支持部材11Bの格子11Baに固定されて平面視で矩形状の筒を形成するセル11Cは、上述したように筒内に核燃料が上方から挿入される収納領域11Dが構成されている。さらに、支持部材11Bの格子11Baに固定されたセル11Cの周りには、収納領域11Dの周りを連続して囲む空間が形成される。この空間は、貯蔵ピット101の冷却水103を保有し得る冷却領域である。これにより、核燃料から放出される高速中性子を熱中性子に減速し核燃料の崩壊熱を除去できる。
セル11Cは、図10~図13に示すように、その上端および下端が支持部材11Bの格子11Baに固定されている。図10では、セル11C(板材11Ca)の上端が支持部材11Bの格子11Baの孔の内壁の高さの途中に溶接17により固定されている例を示している。図11では、セル11C(板材11Ca)の下端が支持部材11Bの格子11Baの孔の内壁の高さの途中に溶接17により固定されている例を示している。図12では、セル11C(板材11Ca)の上端が支持部材11Bの格子11Baの孔の内壁の高さの上端に合わせて固着具としての皿ネジ18により固定されている例を示している。図13では、セル11C(板材11Ca)の下端が支持部材11Bの格子11Baの孔の内壁の高さの下端に合わせて皿ネジ18により固定されている例を示している。皿ネジ18は、セル11Cの筒内に突出しないため、核燃料に干渉することがなく好ましい。また、皿ネジ18は、溶接17に比較して、中性子吸収材のセル11Cとステンレス鋼の支持部材11Bとの異材を固定することに好ましく、しかも溶接ひずみによる変形を抑制し、品質を向上できる。また、図12および図13の例では、板材11Caの上下端を面取りして、セル11Cの筒内への核燃料の挿入を案内できるようにしている。
支持部材11Bに取り付けられたセル11Cにおいて、図14および図15に示すように、ラック本体11の上端となる位置に案内部材19が設けられている。案内部材19は、セル11Cの上端に外側上方に広がって延びて設けられ、上方から挿入される核燃料をセル11Cの筒内に案内するものである。図14に示す案内部材19は、支持部材11Bの格子11Baに取り付けられたセル11Cの上端の周りを囲むように設けられて支持部材11Bに溶接17により接合されている。また、図15に示す案内部材19は、セル11Cの上端が支持部材11Bの格子11Baから上方に延び出るように設けられ、この格子11Baから上方に延び出たセル11Cの上端の周りを囲むように設けられてセル11Cに対して皿ネジ18により接合されている。なお、図15の例では、板材11Caの上下端を面取りして、セル11Cの筒内(収納領域11D)への核燃料の挿入を案内できるようにしている。なお、核燃料を案内する機能は、セル11Cの上端に、外側上方に広がって傾斜する面取を設けて代用してもよい。また、図12,図13,図15において、皿ネジ18は、軽微なプラグ溶接に代えてもよい。
基盤12は、図16に示すように、平面視で矩形状に形成された板材であり、ラック本体11の下端の基部をなす。基盤12は、支持部材11Bにおける各格子11Baに取り付けられたセル11Cがなす収納領域11Dの下端として構成される。即ち、基盤12は、セル11Cの収納領域11Dに挿入された核燃料の下端が載置され、当該核燃料を支持する。基盤12は、各セル11Cの筒内(収納領域11D)であって収納領域11Dの下端となる位置に、冷却孔12aが貫通して設けられている。冷却孔12aは、セル11Cの収納領域11Dの内部であって、収納領域11Dに挿入された核燃料に対し貯蔵ピット101の冷却水103を送る。これにより、核燃料から放出される高速中性子を熱中性子に減速し核燃料の崩壊熱を除去できる。この基盤12は、ステンレス鋼で形成されている。
また、基盤12は、その周縁に、固着具としてのボルトが挿通される貫通孔12bが形成されている。貫通孔12bは、本実施形態において、4つの角部にそれぞれ3個、4つの辺の中央にそれぞれ2個設けられている。基盤12は、最下位置の支持部材11Bに重なるように配置され、各貫通孔12bが支持部材11Bの貫通孔11Bbに連通するように配置されている。即ち、基盤12は、支持部材11Bの貫通孔11Bbに対応して配置された接続金具14,15の貫通孔14a,15aに貫通孔12bを連通するように配置され、接続金具14,15の貫通孔14a,15aと、支持部材11Bの貫通孔11Bbと、自身の貫通孔12bとに挿通した固着具であるボルトを締め付けることで支持部材11Bと接合される。このとき、接続金具14,15のネジ孔14b,15bが開口する鉛直方向の面は、支持部材11Bおよび基盤12の端面に一致または端面から突出する。そして、接続金具14,15の鉛直方向の面に外枠11Aの内側の板面を合わせ、外枠11Aの外側から接続金具14,15のネジ孔14b,15bに図2に示す固着具であるネジ16を締め付けることで基盤12が支持部材11Bおよび外枠11Aと接合される。
脚部13は、図2および図3に示すように、基盤12の底面に複数設けられている。脚部13は、図17および図18に示すように、脚本体13aと、脚端13bと、調整機構13cと、を含み構成されている。脚本体13aは、矩形箱状または円筒状に形成され、ラック本体11の外側に向くように一側部の一部を切り欠いて内部の空間に通じる開口13dが設けられている。また、脚本体13aは、開口13dと相反する面以外に開口孔13eが形成されていてもよい。脚本体13aは、内部の空間が基盤12の冷却孔12aに通じて基盤12に設けられる。従って、各開口13dおよび開口孔13eから脚本体13aの内部の空間を介して冷却孔12aから核燃料の収納領域11Dに冷却水103を通すことができ、この冷却水103により、核燃料から放出される高速中性子を熱中性子に減速し核燃料の崩壊熱を核燃料貯蔵用ラック1の外部に除去できる。脚端13bは、脚部13の下端を構成し、貯蔵ピット101の冷却水103中の床面101aに載置されるものである。従って、本実施形態にて説明する核燃料貯蔵用ラック1は、いわゆるフリースタンディング方式のラックである。脚端13bは、円盤状に形成され、床面101aに接触する底面の周縁に滑らかな曲面取が形成されている。曲面取により、床面101aとの引っ掛かりを抑え、フリースタンディング方式の核燃料貯蔵用ラック1におけるロッキングの発生を抑制できる。調整機構13cは、脚端13bが固定されて脚本体13aに頭部が配置されて挿入されるボルト13cbと、脚本体13aと脚端13bとの間でボルト13cbに配置されたナット13cnと、で構成されている。調整機構13cは、ナット13cnを回すことで、ボルト13cbの上下位置を変えることができ、これにより脚本体13aと脚端13bとの間の距離が変えられ、床面101aに載置される核燃料貯蔵用ラック1の高さを調整できる。この脚部13は、ステンレス鋼で形成されている。なお、核燃料貯蔵用ラック1は、床面101aや縦壁面101bに固定されたものであってもよい。また、調整機構13cのナット13cnは、脚本体13aの下面に溶接などで固定してボルト13cbを回すことで、脚本体13aと脚端13bとの間の距離を変えて、床面101aに載置される核燃料貯蔵用ラック1の高さを調整してもよい。さらに、調整機構13cは、ナット13cnで脚本体13aの底板13abの上面および下面を挟み込むようにダブルナットで締め付けることでボルト13cbの回り止め(緩み止め)を行ってもよい。
上述した核燃料貯蔵用ラック1において、ラック本体11は、図2および図3に示すように、複数の小ラック20が上下方向に重ねて接合されている。小ラック20の積層数は、図3に示す5個に限定されない。
1個の小ラック20は、複数(2個)の支持部材11Bに基づいて構成されている。小ラック20は、図2および図3では、上下2個の支持部材11Bと、各支持部材11Bの間に設けられたセル11Cと、を含む。従って、セル11Cは、ラック本体11を上下方向で分割した形態として、上下方向に分割して設けられている。小ラック20は、2個の支持部材11Bに分割されたセル11Cの上下端が取り付けられる。なお、セル11Cは、上述した4枚の板材11Caで構成する以外に、予め矩形筒状に形成されたものであってもよい。複数の小ラック20は、それぞれ同じ形状大きさの支持部材11Bおよび板材11Caにより構成することで、全て同じ形状大きさに形成できる。
そして、小ラック20を上下に重ねて接合する。この場合、上に位置する小ラック20の下側の支持部材11Bと、下に位置する上側の支持部材11Bとを重ね合わせて接合する。それぞれの支持部材11Bの格子11Baおよび貫通孔11Bbが連なるように相互の支持部材11Bを重ね合わせた後、重ね合わせた相互の支持部材11Bの各貫通孔11Bbに挿通した固着具としてのボルトを締め付ける。これにより小ラック20が上下に重ねて接合される。この小ラック20の接合の際、上述した接続金具14,15をボルトで取り付ける。最上位置となる小ラック20の上側の支持部材11Bは、他の小ラック20と接合しないため、上述した接続金具14,15のみをボルトにより締め付けて取り付ける。また、最上位置となる小ラック20のセル11Cには、案内部材19を取り付ける。また、最下位置となる小ラック20の下側の支持部材11Bは、基盤12が取り付けられるため、基盤12および接続金具14,15をボルトにより締め付けて取り付ける。基盤12には、脚部13が、固着具としてのボルト、または溶接により接合される。
そして、各支持部材11Bに固定された接続金具14,15のネジ孔14b,15bを介してネジ16を締め付けて外枠11Aが取り付けられる。外枠11Aは、各小ラック20の上下寸法に合わせて分割され、1個の小ラック20において自身の矩形状の筒をなす4枚の板材として小ラック20の4面に取り付けられ、各小ラック20の周りを囲むように取り付けられる。なお、外枠11Aを省略した場合、接続金具14,15も省略でき、この場合の各小ラック20の接合は、重ね合わせた相互の支持部材11Bの各貫通孔11Bbに挿通した固着具としてのボルトを締め付ける。
図19は、本実施形態に係る核燃料貯蔵用ラックにおける支持部材の他の例の平面図である。図20は、本実施形態に係る核燃料貯蔵用ラックにおける支持部材の他の例の側面図である。図21は、本実施形態に係る核燃料貯蔵用ラックにおける支持部材の他の例の拡大平面図である。
支持部材11Bは、図19~図21に示すように構成してもよい。この支持部材11Bは、格子11Baを構成するため、互いに直交する棒部材11Bc,11Bdを用いる。棒部材11Bcは、水平方向Aに延びるもので、当該水平方向Aに交差する水平方向Bに格子11Baをなす所定間隔で配置されている。水平方向Bの両端に配置された棒部材11Bcは、その間に配置された棒部材11Bcと比較して幅が広く形成されている。棒部材11Bdは、図19および図20に示すように、棒部材11Bcの下側に配置されている。棒部材11Bdは、水平方向Bに延びるもので、当該水平方向Bに交差する水平方向Aに格子11Baをなす所定間隔で配置されている。水平方向Aの両端に配置された棒部材11Bdは、その間に配置された棒部材11Bdと比較して幅が広く形成されている。そして、互いに交差する棒部材11Bcと棒部材11Bdは、図21に示すように、各交差部において固着具としてのボルトまたはプラグ溶接で接合される。また、図19および図20に示すように、幅が広く形成された各水平方向A,Bの両端の棒部材11Bc,11Bdは、小ラック20同士が接合されたり、接続金具14,15が取り付けられたりするための貫通孔11Bbが形成される。
図5で示す支持部材11Bは、格子11Baを構成するために孔を加工する。従って、図5で示す支持部材11Bは、孔を加工する作業で得ることができる。一方、図19~図21に示す支持部材11Bは、格子11Baを構成するために複数の棒部材11Bc,11Bdを用いて棒部材11Bc,11Bdを井桁状に交錯させて接合する。従って、図19~図21に示す支持部材11Bは、棒部材11Bc,11Bdを接続金具14及び、ボルトまたはプラグ溶接で接合する作業で得ることができる。
図22は、本実施形態に係る核燃料貯蔵用ラックの他の例の側面図である。図23は、本実施形態に係る核燃料貯蔵用ラックの他の例の側面図である。図24は、本実施形態に係る核燃料貯蔵用ラックの他の例の部分拡大斜視図である。図25は、本実施形態に係る核燃料貯蔵用ラックの他の例の部分拡大平面図である。
図22~図25は、外枠11Aの取り付けや構成の他の例を示す。
図22に示す例では、上述と同様の小ラック20ごとに上下方向に分割された外枠11Aが用いられている。そして、上下に連ねて配置される各外枠11Aを連結するように、各外枠11Aを接続板21が跨いで接合している。接続板21は、角部ではL金具として形成されていることが好ましく、各辺では平金具として形成されている。接続板21は、上述した接続金具14,15にネジ16を締め付けて取り付けられる。従って、接続板21で上下に連ねて配置される各外枠11Aを連結することで、外枠11Aの接合強度を向上できる。なお、最下位置の外枠11Aは、接続板21を介して基盤12に接合される。
図23に示す例では、外枠11A’は、全ての小ラック20の上下寸法に合わせた上下寸法に形成され、自身の矩形状の筒をなす4枚の板材として全ての小ラック20を跨ぎ4面に取り付けられ、全ての小ラック20の周りを囲むように取り付けられる。外枠11A’は、上述した接続金具14,15にネジ16を締め付けて取り付けられる。
図24および図25に示す例では、外枠11A,11A’は、小ラック20やラック本体11の角部となる突き合わせられる側端部に、串歯状となるように凸片11Aaと凹部11Abとが上下方向で交互に設けられている。凸片11Aaは、貫通孔11Acが形成されている。凸片11Aaと凹部11Abは、角部で突き合わせられる各外枠11A,11A’において互い違いに設けられている。このため、各外枠11A,11A’を角部で突き合わせた場合、一方の凸片11Aaが他方の凹部11Abに嵌まり、図25に示すように、角部から各凸片11Aaが直角に突出する。そして、直角に突出した各凸片11AaにL字金具26を添わせ、このL字金具26と貫通孔11Acに固着具であるボルト27を締め付けることで、各外枠11A,11A’を接合する。外枠11A,11A’は、の支持部材11Bへの接合は、接続金具14,15にネジ16を締め付けて取り付ける。なお、図は省略するが、L字金具26においてボルト27を締め付ける箇所には、ボルト27を締め付けるための貫通孔を有する。
図26は、核燃料の側面図である。図27は、核燃料の平面図である。図28は、核燃料の底面図である。
図26~図28に示すように、核燃料51は、上述したようにセル11Cに挿入される燃料集合体として構成されている。核燃料51は、複数の燃料棒52を有している。燃料棒52は、図には明示しないが、円筒形状の燃料被覆管の内部に核燃料ペレットが燃料被覆管の長さ方向に複数配置される。核燃料51は、燃料棒52と、複数の燃料棒52を束ねる支持格子53と、複数の燃料棒52の長さ方向の上部に設けられた上部ノズル54と、複数の燃料棒52の長さ方向の下部に設けられた下部ノズル55と、を備えている。支持格子53は、複数の燃料棒52を挿通する複数の格子を構成しており、複数の燃料棒52を長さ方向の複数箇所(図26では10箇所)に所定間隔毎に設けられている。上部ノズル54は、図27に示すように、平面視で矩形状に形成され、4つの角部に上方に突出する上部突起54Aが設けられている。対向する2つの角部の上部突起54Aは、突出面に上部支持孔54Aaが形成されている。下部ノズル55は、図28に示すように、平面視で矩形状に形成され、4つの角部に下方に突出する下部突起55Aが設けられている。対向する2つの角部の下部突起55Aは、突出面に下部支持孔55Aaが形成されている。上部支持孔54Aaおよび下部支持孔55Aaは、核燃料51が原子炉に配置された際に、原子炉内に支持することに用いられる。上部ノズル54および下部ノズル55は、図には明示しないが、核燃料51が原子炉に配置された際に、制御棒が挿入される制御棒案内管と、炉内計装用検出器が挿入される炉内計装用案内管との長さ方向の上端部および下端部を固定する。また、セル11Cに挿入された核燃料51は、基盤12に下部ノズル55が載置され支持される。
図29および図30は、本実施形態に係る核燃料貯蔵用ラックの上端部の部分拡大側断面図である。図31および図32は、本実施形態に係る核燃料貯蔵用ラックの下端部の部分拡大側断面図である。
図29および図30に示すように、本実施形態の核燃料貯蔵用ラック1は、セル11Cに核燃料51が挿入された状態で、上部ノズル54をセル11Cの内部に位置決めする上部位置決機構23を有する。図29に示す上部位置決機構23は、セル11Cの上端部に設けられた案内部材19の周りを囲むように設けられて、案内部材19に嵌める枠部23aと、枠部23aからセル11Cの上方に延びる腕部23bと、腕部23bからセル11Cの内部に向かって下方に延びる上部支持ピン23cと、を含む。上部支持ピン23cは、核燃料51における上部ノズル54の上部支持孔54Aaに挿通できるように構成されている。従って、上部位置決機構23は、セル11Cに核燃料51が挿入された状態で、枠部23aを案内部材19に嵌め、上部支持ピン23cを核燃料51における上部ノズル54の上部支持孔54Aaに挿通する。これにより、核燃料51における上部ノズル54がセル11Cの内部に位置決めされる。
図30に示す上部位置決機構23は、セル11Cの上端部に設けられた案内部材19の周りを囲むように設けられて、案内部材19に嵌める枠部23aと、枠部23aからセル11Cの上方に延びる腕部23bと、腕部23bからセル11Cの内部に向かって下方に延びる上部支持楔23dと、を含む。上部支持楔23dは、セル11Cに挿入された核燃料51における上部ノズル54とセル11Cの内壁との隙間(1mm~50mm程度)に挿通できるように構成されている。従って、上部位置決機構23は、セル11Cに核燃料51が挿入された状態で、枠部23aを案内部材19に嵌め、上部支持楔23dを上部ノズル54とセル11Cの内壁との隙間に挿通する。これにより、核燃料51における上部ノズル54がセル11Cの内部に位置決めされる。
図31および図32に示すように、本実施形態の核燃料貯蔵用ラック1は、セル11Cに核燃料51が挿入された状態で、下部ノズル55をセル11Cの内部に位置決めする下部位置決機構24を有する。図31に示す下部位置決機構24は、セル11Cの下端部であって基盤12からセル11Cの内部に向かって上方に延びる下部支持ピン24aを含む。下部支持ピン24aは、核燃料51における下部ノズル55の下部支持孔55Aaに挿通できるように構成されている。従って、下部位置決機構24は、セル11Cに核燃料51が挿入された状態で、下部支持ピン24aを核燃料51における下部ノズル55の下部支持孔55Aaに挿通する。これにより、核燃料51における下部ノズル55がセル11Cの内部に位置決めされる。
図32に示す下部位置決機構24は、セル11Cの下端部であって基盤12からセル11Cの内部に向かって上方に延びる下部支持楔24bを含む。下部支持楔24bは、核燃料51における下部ノズル55とセル11Cの内壁との隙間(1mm~50mm程度)に挿通できるように構成されている。従って、下部位置決機構24は、セル11Cに核燃料51が挿入された状態で、下部支持楔24bを下部ノズル55とセル11Cの内壁との隙間に挿通する。これにより、核燃料51における下部ノズル55がセル11Cの内部に位置決めされる。
ところで、図3に示すように、本実施形態の核燃料貯蔵用ラック1では、支持部材11Bは、上下位置が核燃料51の各支持格子53の上下位置に揃えるように設けられている。図3では、核燃料51を概略図として支持格子53を上下位置の4箇所に配置した例を示している。そして、支持部材11Bは、各支持格子53の上下位置に揃うように各支持格子53の水平位置に存在するように設けられている。また、支持部材11Bは、核燃料51の上部ノズル54および下部ノズル55の水平位置にも存在する。
このように、上述した本実施形態の核燃料貯蔵用ラック1は、個々の核燃料51が上方から挿入される複数のセル11Cと、各セル11Cを支持する支持部材11Bと、を備え、2個の支持部材11Bに各セル11Cの上下端が取り付けられた複数の小ラック20と、各セル11Cを上下方向に連ねるように各小ラック20が上下に重ねて接合されたラック本体11と、を含む。
この核燃料貯蔵用ラック1によれば、複数の小ラック20を上下に重ねて接合したラック本体11を構成することで、小ラック20が軽量になり、大容量の楊重設備を必要としないことから、容易に製造できる。また、上下に重ねて接合された各小ラック20は、2個の支持部材11Bに各セル11Cの上下端が取り付けられた構成であるため、小ラック20を多数にすることで支持部材11Bの数が多くなり、その分各支持部材11Bの強度を抑えて軽量化でき、穿孔などの加工が容易になり、容易に製造できる。また、小ラック20を多数にすることで支持部材11Bの数が多くなり、セル11Cに挿入される核燃料51の各支持点(支持格子53、上部ノズル54、下部ノズル55)の地震荷重を低減することができ、その分各支持部材11Bの厚さを薄くするなど強度を抑えて軽量化でき、穿孔などの加工が容易になり、容易に製造できる。また、各小ラック20を同一かつ簡易な定形寸法構造のブロックにより構成すれば、品質のばらつきのない、同一品質を得ることができる。また、同一な定形寸法構造の小ラック20は、量産性に優れ、生産性を高めることができる。
また、本実施形態の核燃料貯蔵用ラック1では、小ラック20ごとに周りを囲む外枠11Aを備えることが好ましい。
従って、各外枠11Aも軽量になり、大容量の楊重設備を必要としないことから、容易に製造できる。
また、本実施形態の核燃料貯蔵用ラック1では、ラック本体11の上端から下端に渡り周りを囲む外枠11Aを備えることが好ましい。
従って、複数の小ラック20を上下に重ねて接合したラック本体11を構成することで、小ラック20が軽量になり、大容量の楊重設備を必要としないことから、容易に製造でき、このため外枠11Aは、ラック本体11の上端から下端に渡り周りを囲むように構成してもよい。
また、本実施形態の核燃料貯蔵用ラック1では、支持部材11Bは、矩形筒状の各セル11Cを個々に支持する格子11Baが形成され、セル11Cは、矩形筒状を構成する4枚の板材11Caからなり、各小ラック20の支持部材11Bの格子11Baに上下端が取り付けられていることが好ましい。
従って、セル11Cにおける核燃料の収納領域11Dを構成するにあたり、従来では、板材に切り込みや突起を設けて格子形状に組み合わせる構成があるが、本実施形態のように4枚の板材11Caの上下端を、各小ラック20の支持部材11Bの格子11Baに取り付けた構成のため、格子形状のようにセル11Cの間を繋ぐ部材がなく、小ラック20が軽量になり、容易に製造できる。しかも、格子形状のようにセル11Cの間を繋ぐ部材がないことから、セル11Cの間に冷却水を保有できる冷却領域が遮られることなく連通するため、冷却水の流通を促進し、冷却効果を向上できる。なお、必要ならば、外枠11Aの上端付近すなわち各小ラック20の上部に取り付く支持部材11Bの直下、並びに外枠11Aの下端付近すなわち下部に取り付く支持部材11Bの直上に、適宜な個数および広さを有する通水孔を設けてもよい。この通水孔は、セル11Cの内部に収納された核燃料を、セル11Cの外面からも効率よく冷却できる。
また、本実施形態の核燃料貯蔵用ラック1では、最上位置の小ラック20に位置するセル11Cの上端に外側上方に広がって延びる案内部材19が取り付けられていることが好ましい。
従って、核燃料51を上方からセル11Cの内部に挿入するときに、案内部材19により核燃料51の挿入を案内でき、核燃料51の挿入作業を容易にできる。
また、本実施形態の核燃料貯蔵用ラック1では、上下に重なる各小ラック20が固着具の締め付けにより接合されていることが好ましい。
従って、各小ラック20が固着具の締め付けにより接合してあることで、各小ラック20の組み立ての溶接量を大幅に削減でき、溶接ひずみによる変形を抑制し、精度の高い品質が得られる。
また、本実施形態の核燃料貯蔵用ラック1では、各支持部材11Bは、核燃料51の水平方向の振動モードの支持点(支持格子53、上部ノズル54、下部ノズル55)の水平位置に揃えて設けられていることが好ましい。
核燃料は、セル11Cの中で、支持点(支持格子53、上部ノズル54、下部ノズル55)を基にその間が水平方向に振動する振動モードによる変位が加わる。従って、各支持部材11Bを核燃料51の振動モードの支持点の水平位置に揃えて設けたことで、振動モードによる変位を抑制し支持点あたりの地震荷重を低減できる。しかも、支持点あたりの地震荷重を低減したことで、セル11Cひいては核燃料貯蔵用ラック1全体の変位を抑制できる。この結果、貯蔵する核燃料51の健全性を高めることができる。また、支持点あたりの地震荷重を低減したことで、その分各支持部材11Bの厚さを薄くするなど強度を抑えて軽量化でき、穿孔などの加工が容易になり、容易に製造できる。
また、本実施形態の核燃料貯蔵用ラック1では、セル11Cに核燃料51が挿入された状態で、上部ノズル54をセル11Cの内部に位置決めする上部位置決機構23を有することが好ましい。
従って、上部ノズル54を位置決めすることで、上部ノズル54における振動モードによる変位を抑制し地震荷重を低減できる。
また、上部位置決機構23は、上部ノズル54の上部支持孔54Aaに挿通される上部支持ピン23cを有していることが好ましい。
従って、上部ノズル54に予めある上部支持孔54Aaを利用して上部ノズル54を位置決めできる。
また、本実施形態の核燃料貯蔵用ラック1では、セル11Cに核燃料51が挿入された状態で、下部ノズル55をセル11Cの内部に位置決めする下部位置決機構24を有することが好ましい。
従って、下部ノズル55を位置決めすることで、下部ノズル55における振動モードによる変位を抑制し地震荷重を低減できる。
また、下部位置決機構24は、下部ノズル55の下部支持孔55Aaに挿通される下部支持ピン24aを有していることが好ましい。
従って、下部ノズル55に予めある下部支持孔55Aaを利用して下部ノズル55を位置決めできる。
また、本実施形態の核燃料貯蔵用ラック1の製造方法は、個々の核燃料51が上方から挿入される複数のセル11Cと、各セル11Cを支持する支持部材11Bと、を備える核燃料貯蔵用ラックの製造方法であって、2個の支持部材11Bに各セル11Cの上下端を取り付けた小ラック20を複数構成する工程と、各セル11Cを上下方向に連ねるように各小ラック20を上下に重ねて接合してラック本体11を構成する工程と、を含む。
この核燃料貯蔵用ラック1の製造方法によれば、複数の小ラック20を上下に重ねて接合してラック本体11を構成することで、小ラック20が軽量になり、大容量の楊重設備を必要としないことから、容易に製造できる。また、上下に重ねて接合された各小ラック20は、2個の支持部材11Bに各セル11Cの上下端が取り付けられた構成であるため、小ラック20を多数にすることで支持部材11Bの数が多くなり、その分各支持部材11Bの強度を抑えて軽量化でき、穿孔などの加工が容易になり、容易に製造できる。また、小ラック20を多数にすることで支持部材11Bの数が多くなり、セル11Cに挿入される核燃料51の各支持点(支持格子53、上部ノズル54、下部ノズル55)の地震荷重を低減することができ、その分各支持部材11Bの厚さを薄くするなど強度を抑えて軽量化でき、穿孔などの加工が容易になり、容易に製造できる。また、各小ラック20を同一かつ簡易な定形寸法構造のブロックにより構成すれば、品質のばらつきのない、同一品質を得ることができる。また、同一な定形寸法構造の小ラック20は、量産性に優れ、生産性を高めることができる。
また、本実施形態の核燃料貯蔵用ラック1の製造方法では、小ラック20ごとに周りを囲むように外枠11Aを取り付ける工程をさらに含むことが好ましい。
従って、各外枠11Aも軽量になり、大容量の楊重設備を必要としないことから、容易に製造できる。
また、本実施形態の核燃料貯蔵用ラック1の製造方法では、ラック本体11の上端から下端に渡り周りを囲むように外枠11Aを取り付ける工程をさらに含むことが好ましい。
従って、複数の小ラック20を上下に重ねて接合したラック本体11を構成することで、小ラック20が軽量になり、大容量の楊重設備を必要としないことから、容易に製造でき、このため外枠11Aは、ラック本体11の上端から下端に渡り周りを囲むように構成してもよい。
また、本実施形態の核燃料貯蔵用ラック1の製造方法では、支持部材11Bは、矩形筒状の各セル11Cを個々に支持する格子11Baが形成され、セル11Cは、矩形筒状を構成する4枚の板材11Caからなり、小ラック20を構成する工程では、支持部材11Bの格子11Baにセル11Cの各板材11Caの上下端を取り付けて矩形筒状に構成することが好ましい。
従って、セル11Cにおける核燃料の収納領域11Dを構成するにあたり、従来では、板材に切り込みや突起を設けて格子形状に組み合わせる構成があるが、本実施形態のように4枚の板材11Caの上下端を、各小ラック20の支持部材11Bの格子11Baに取り付ける工程により、格子形状のようにセル11Cの間を繋ぐ部材がなく、小ラック20が軽量になり、容易に製造できる。しかも、格子形状のようにセル11Cの間を繋ぐ部材がないことから、セル11Cの間に冷却水を保有できる冷却領域が遮られることなく連通するため、冷却水の流通を促進し、冷却効果を向上できる。
また、本実施形態の核燃料貯蔵用ラック1の製造方法では、各支持部材11Bを、核燃料51の水平方向の振動モードの支持点(支持格子53、上部ノズル54、下部ノズル55)の水平位置に揃えるように設けることが好ましい。
核燃料は、セル11Cの中で、支持点(支持格子53、上部ノズル54、下部ノズル55)を基にその間が水平方向に振動する振動モードによる変位が加わる。従って、各支持部材11Bを核燃料51の振動モードの支持点の水平位置に揃えて設ける工程により、振動モードによる変位を抑制し支持点あたりの地震荷重を低減できる。しかも、支持点あたりの地震荷重を低減したことで、セル11Cひいては核燃料貯蔵用ラック1全体の変位を抑制できる。この結果、貯蔵する核燃料51の健全性を高めることができる。また、支持点あたりの地震荷重を低減したことで、その分各支持部材11Bの厚さを薄くするなど強度を抑えて軽量化でき、穿孔などの加工が容易になり、容易に製造できる。
図33は、本実施形態に係る核燃料貯蔵用ラックの他の例の側面図である。図34は、本実施形態に係る核燃料貯蔵用ラックにおける支持部材の他の例の平面図である。図35は、本発明の実施形態に係る核燃料貯蔵用ラックにおける支持部材の他の例の部分拡大側断面図である。
図33に示す核燃料貯蔵用ラック61は、上述した核燃料貯蔵用ラック1と同様に、ラック本体11と、基盤12と、脚部13と、を含み構成されている。また、ラック本体11も、上述した核燃料貯蔵用ラック1と同様に、外枠11Aと、支持部材11Bと、セル11Cと、を含む。ただし、核燃料貯蔵用ラック61は、小ラック20を含んでいない点で上述した核燃料貯蔵用ラック1と異なる。図33では、上述した核燃料貯蔵用ラック1と同等の構成に同一の符号を付して説明を省略する。また、核燃料貯蔵用ラック61は、小ラック20を含んでいない点以外は、上述した核燃料貯蔵用ラック1と同様に構成できる。
核燃料貯蔵用ラック61は、個々の核燃料51が上方から挿入される複数のセル11Cと、各セル11Cを支持するように各セル11Cの上下方向に複数設けられた支持部材11Bと、を備え、支持部材11Bが、核燃料51の水平方向の振動モードの支持点(支持格子53、上部ノズル54、下部ノズル55)の水平位置に揃えて設けられている。
また、核燃料貯蔵用ラック61の製造方法は、各支持部材11Bを、核燃料51の水平方向の振動モードの支持点(支持格子53、上部ノズル54、下部ノズル55)の水平位置に揃えるように設ける。
上述したように、核燃料は、セル11Cの中で、支持点(支持格子53、上部ノズル54、下部ノズル55)を基にその間が水平方向に振動する振動モードによる変位が加わる。核燃料貯蔵用ラック61および核燃料貯蔵用ラック61の製造方法によれば、各支持部材11Bを核燃料51の振動モードの支持点の水平位置に揃えて設けるため、振動モードによる変位を抑制し支持点あたりの地震荷重を低減できる。しかも、支持点あたりの地震荷重を低減したことで、セル11Cひいては核燃料貯蔵用ラック61全体の変位を抑制できる。この結果、貯蔵する核燃料51の健全性を高めることができる。また、支持点あたりの地震荷重を低減したことで、その分各支持部材11Bの厚さを薄くするなど強度を抑えて軽量化でき、穿孔などの加工が容易になり、容易に製造できる。
ところで、核燃料貯蔵用ラック61において、支持部材11Bを図34および図35に示すように構成できる。ここでの支持部材11Bは、周縁から水平方向の外側に突出する突出片11Beが複数形成されている。各突出片11Beは、貫通孔11Bfが形成されている。この突出片11Beは、図35に示すように、外枠11Aに形成された貫通孔11Adを内側から外側に貫通して貫通孔11Bfと共に外側に延び出る。そして、貫通孔11Bfに楔部材25を差し込み、楔部材25に抜止部材25aを溶接して抜け止めする。従って、楔部材25に抜止部材25aを溶接固定すれば、外枠11Aおよび支持部材11Bの溶接ひずみを回避できるため、精度の高い品質が得られる。