以下に、図1を用いて、本発明の第一実施形態に係るクレーン1について説明する。なお、本実施形態においては、クレーン1として移動式クレーン(ラフテレーンクレーン)について説明を行うが、トラッククレーン等でもよい。
図1に示すように、クレーン1は、不特定の場所に移動可能な移動式クレーンである。クレーン1は、車両2、クレーン装置6を有する。
車両2は、クレーン装置6を搬送する走行車両である。車両2は、複数の車輪3を有し、エンジン4を動力源として走行する。車両2には、アウトリガ5が設けられている。アウトリガ5は、車両2の幅方向両側に油圧によって延伸可能な張り出しビームと地面に垂直な方向に延伸可能な油圧式のジャッキシリンダとから構成されている。車両2は、アウトリガ5を車両2の幅方向に延伸させるとともにジャッキシリンダを接地させることにより、クレーン1の作業可能範囲を広げることができる。
クレーン装置6は、荷物Wをワイヤロープによって吊り上げる作業装置である。クレーン装置6は、旋回台7、ブーム9、ジブ9a、回転制御装置10、サブフックブロック11、起伏用油圧シリンダ12、メインウインチ13、メインワイヤロープ14、サブウインチ15、サブワイヤロープ16、キャビン17、及び制御装置48(図4参照)等を具備する。
旋回台7は、クレーン装置6を旋回可能に構成する駆動装置である。旋回台7は、円環状の軸受を介して車両2のフレーム上に設けられる。旋回台7は、円環状の軸受の中心を回転中心として回転自在に構成されている。旋回台7には、アクチュエータである油圧式の旋回用油圧モータ8が設けられている。旋回台7は、旋回用油圧モータ8によって一方向と他方向とに旋回可能に構成されている。
旋回用油圧モータ8は、電磁比例切換弁である旋回用バルブ22(図4参照)によって回転操作されるアクチュエータである。旋回用バルブ22は、旋回用油圧モータ8に供給される作動油の流量を任意の流量に制御することができる。つまり、旋回台7は、旋回用バルブ22によって回転操作される旋回用油圧モータ8を介して任意の旋回速度に制御可能に構成されている。旋回台7には、旋回台7の旋回位置(角度)と旋回速度とを検出する旋回角度検出手段である旋回用センサ27(図4参照)が設けられている。
ブーム9は、荷物Wを吊り上げ可能な状態にワイヤロープを支持する可動支柱である。ブーム9は、複数のブーム部材から構成されている。ブーム9は、各ブーム部材をアクチュエータである図示しない伸縮用油圧シリンダで移動させることで軸方向に伸縮自在に構成されている。ブーム9は、ベースブーム部材の基端が旋回台7の略中央に揺動可能に設けられている。
図示しない伸縮用油圧シリンダは、電磁比例切換弁である伸縮用バルブ23(図4参照)によって伸縮操作されるアクチュエータである。伸縮用バルブ23は、伸縮用油圧シリンダに供給される作動油の流量を任意の流量に制御することができる。つまり、ブーム9は、伸縮用バルブ23によって任意のブーム長さに制御可能に構成されている。ブーム9には、ブーム9の長さを検出する伸縮長さ検出手段である伸縮用センサ28(図4参照)が設けられている。
回転制御装置10は、吊り上げた荷物Wを垂直軸回りに回転させる装置である。荷物Wが垂直軸回りに回転されることによって、荷物Wの旋回姿勢が制御される。回転制御装置10は、2本掛け以上の掛け数でメインワイヤロープ14に吊り下げられる。回転制御装置10には、メインワイヤロープ14が巻き掛けられる複数のフックシーブ10aと、荷物Wを吊るメインフック10bとが設けられている。
サブフックブロック11は、荷物Wを吊る吊り具である。サブフックブロック11には、荷物Wを吊るサブフック11bが設けられている。
起伏用油圧シリンダ12は、ブーム9を起立及び倒伏させ、ブーム9の姿勢を保持するアクチュエータである。起伏用油圧シリンダ12はシリンダ部とロッド部とから構成されている。起伏用油圧シリンダ12は、シリンダ部の端部が旋回台7に揺動自在に連結され、ロッド部の端部がブーム9のベースブーム部材に揺動自在に連結されている。
起伏用油圧シリンダ12は、電磁比例切換弁である起伏用バルブ24(図4参照)によって伸縮操作される。起伏用バルブ24は、起伏用油圧シリンダ12に供給される作動油の流量を任意の流量に制御することができる。つまり、ブーム9は、起伏用バルブ24によって任意の起伏速度に制御可能に構成されている。ブーム9には、ブーム9の起伏角度を検出する旋回角度検出手段である起伏用センサ29(図4参照)が設けられている。
メインウインチ13とサブウインチ15とは、メインワイヤロープ14とサブワイヤロープ16との巻き上げ(繰り入れ)及び巻き下げ(繰り出し)を行う巻回装置である。メインウインチ13は、メインワイヤロープ14が巻きつけられるメインドラムがアクチュエータである図示しないメイン用油圧モータによって回転され、サブウインチ15は、サブワイヤロープ16が巻きつけられるサブドラムがアクチュエータである図示しないサブ用油圧モータによって回転されるように構成されている。
メイン用油圧モータは、電磁比例切換弁であるメイン用バルブ25m(図4参照)によって回転操作される。メイン用バルブ25mは、メイン用油圧モータに供給される作動油の流量を任意の流量に制御することができる。つまり、メインウインチ13は、メイン用バルブ25mによって任意の巻き上げ及び巻き出し速度に制御可能に構成されている。同様に、サブウインチ15は、電磁比例切換弁であるサブ用バルブ25s(図4参照)によって任意の巻き上げ及び巻き出し速度に制御可能に構成されている。メインウインチ13とサブウインチ15とには、メインワイヤロープ14とサブワイヤロープ16の巻き上げ量及び巻き出し量をそれぞれ検出する巻回用センサ30(図4参照)が設けられている。
キャビン17は、操縦席を覆うものである。キャビン17は、旋回台7に搭載されている図示しない操縦席が設けられている。操縦席には、車両2を走行操作するための操作具やクレーン装置6を操作するための旋回操作具18、伸縮操作具19、起伏操作具20、メインドラム操作具21m、サブドラム操作具21s、回転操作具49、制御操作具50等が設けられている(図4参照)。旋回操作具18は、旋回用油圧モータ8を操作することができる。伸縮操作具19は、伸縮用油圧シリンダを操作することができる。起伏操作具20は、起伏用油圧シリンダ12を操作することができる。メインドラム操作具21mは、メイン用油圧モータを操作することができる。サブドラム操作具21sは、サブ用油圧モータを操作することができる。回転操作具49は、荷物Wの垂直軸回りの回転を操作することができる。制御操作具50は、荷物Wの垂直軸回りの回転についての制御モード(「手動モード」、「旋回モード」、「回避モード」、「風向モード」)と、「巻き上げ」又は「巻き下げ」とを選択することができる。
このように構成されるクレーン1は、車両2を走行させることで任意の位置にクレーン装置6を移動させることができる。また、クレーン1は、起伏操作具20の操作によって起伏用油圧シリンダ12でブーム9を任意の起伏角度に起立させて、伸縮操作具19の操作によってブーム9を任意のブーム9長さに延伸させたりすることでクレーン装置6の揚程や作業半径を拡大することができる。また、クレーン1は、メインドラム操作具21m等によって荷物Wを吊り上げて、旋回操作具18の操作によって旋回台7を旋回させることで荷物Wを搬送することができる。
以下に、図2と図3とを用いて、クレーン1が具備する回転制御装置10について詳しく説明する。
回転制御装置10は、メインフック10bを垂直軸回りに回転させるものである。回転制御装置10は、フックシーブ10a、油圧ポンプ32、油圧モータ33、回転制御用バルブ34、回転駆動用バルブ35、リリーフ弁36~39、チェック弁40、慣性計測装置41、第1ポンプ用油路42、第2ポンプ用油路43、第1モータ用油路44、第2モータ用油路45、迂回油路46、メインフック10bを備える。回転制御装置10には、図示しない電源が設けられ、設けられた電源によって回転制御用バルブ34と回転駆動用バルブ35との電磁石が励磁される。
フックシーブ10aは、メインワイヤロープ14が巻き掛けられる部材である。フックシーブ10aは、回転自在の滑車である。フックシーブ10aは、メインワイヤロープ14の巻き上げ及び巻き下げが行われる際にメインワイヤロープ14に従動する。フックシーブ10aは、メインワイヤロープ14が巻き上げられる場合、メインワイヤロープ14からの力によって一方向に回転し、メインワイヤロープ14が巻き下げられる場合、メインワイヤロープ14からの力によって他方向に回転する。
油圧ポンプ32は、作動油を吐出するポンプである。油圧ポンプ32は、メインワイヤロープ14からフックシーブ10aに伝達される力とフックシーブ10aの回転方向によって定まる回転トルクを入力トルクとして対応する回転方向に作動される。油圧ポンプ32の吐出圧は、フックシーブ10aの回転トルクに応じて変動する。油圧ポンプ32は、油圧モータ33と閉回路接続され、油圧モータ33との間で作動油を循環させる。油圧ポンプ32は、フックシーブ10aが一方向に回転する場合(メインワイヤロープ14が巻き上げられる場合)、第1ポートから作動油を吐出する。油圧ポンプ32は、フックシーブ10aが他方向に回転する場合(メインワイヤロープ14が巻き下げられる場合)、第2ポートに作動油を吐出する。
油圧モータ33は、メインフック10bを垂直軸回りに回転させるモータである。油圧モータ33は、油圧ポンプ32から吐出された作動油によって駆動されている。油圧モータ33は、油圧モータ33の第1ポートから作動油が供給される場合、一方向に回転する。油圧モータ33は、油圧モータ33の第2ポートから作動油が供給される場合、他方向に回転する。メインフック10bは、油圧モータ33の回転に伴い、垂直軸回りに回転される。
電磁切換弁である回転制御用バルブ34は、油圧モータ33に供給される作動油の流れ方向を切り換える弁である。回転制御用バルブ34は、油圧ポンプ32と油圧モータ33との間の油路に設けられている。回転制御用バルブ34の第1ポンプ用ポートは、第1ポンプ用油路42を介して油圧ポンプ32の第1ポートが接続されている。回転制御用バルブ34の第2ポンプ用ポートは、第2ポンプ用油路43を介して油圧ポンプ32の第2ポートが接続されている。回転制御用バルブ34の第1モータ用ポートは、第1モータ用油路44を介して油圧モータ33の第1ポートに接続されている。回転制御用バルブ34の第2モータ用ポートは、第2モータ用油路45を介して油圧モータ33の第2ポートに接続されている。
回転制御用バルブ34は、電磁石が励磁されていない場合、スプリングの復元力でII位置にスプールが移動されることによって、第1ポンプ用油路42及び第2ポンプ用油路43と、第1モータ用油路44及び第2モータ用油路45と、の間の接続を遮断する。つまり、回転制御用バルブ34は、作動油が油圧モータ33に供給されないように作動油の流通を遮断する。これにより、油圧モータ33は、第1モータ用油路44と第2モータ用油路45の作動油の流通が遮断されるため回転が拘束される。そして、油圧モータ33の回転が拘束されることによって、メインフック10bの垂直軸回りの回転が拘束される。
回転制御用バルブ34は、I位置にスプールが移動されるように電磁石が励磁された場合、第1ポンプ用油路42と第1モータ用油路44とを接続し、第2ポンプ用油路43と第2モータ用油路45とを接続する。回転制御用バルブ34は、油圧ポンプ32が第1ポンプ用油路42に作動油を吐出している場合(メインワイヤロープ14が巻き上げられる場合)、第1モータ用油路44を介して油圧モータ33の第1ポートに作動油が供給されるように作動油の流れ方向を切り換える。これにより、油圧モータ33は、油圧モータ33の第1ポートから作動油が供給されるため一方向に回転する。メインフック10bは、一方向に回転する油圧モータ33によって、垂直軸回りに一方向に回転される。
また、回転制御用バルブ34は、油圧ポンプ32が第2ポンプ用油路43に作動油を吐出している場合(メインワイヤロープ14が巻き下げられる場合)、第2モータ用油路45を介して油圧モータ33の第2ポートに作動油が供給されるように作動油の流れ方向を切り換える。これにより、油圧モータ33は、油圧モータ33の第2ポートから作動油が供給されるため他方向に回転する。メインフック10bは、他方向に回転する油圧モータ33によって、垂直軸回りに他方向に回転される。
回転制御用バルブ34は、III位置にスプールが移動されるように電磁石が励磁された場合、第1ポンプ用油路42と第2モータ用油路45とを接続し、第2ポンプ用油路43と第1モータ用油路44とを接続する。つまり、回転制御用バルブ34は、油圧ポンプ32が第1ポンプ用油路42に作動油を吐出する場合(メインワイヤロープ14が巻き上げられる場合)、第2モータ用油路45を介して油圧モータ33の第2ポートに作動油が供給されるように作動油の流れ方向を切り換える。これにより、油圧モータ33は、油圧モータ33の第2ポートから作動油が供給されるため他方向に回転する。メインフック10bは、他方向に回転する油圧モータ33によって、垂直軸回りに他方向に回転される。
また、回転制御用バルブ34は、油圧ポンプ32が第2ポンプ用油路43に作動油を吐出する場合(メインワイヤロープ14が巻き下げられる場合)、第1モータ用油路44を介して油圧モータ33の第1ポートに作動油が供給されるように作動油の流れ方向を切り換える。これにより、油圧モータ33は、油圧モータ33の第1ポートから作動油が供給されるため一方向に回転する。メインフック10bは、一方向に回転する油圧モータ33によって、垂直軸回りに一方向に回転される。
迂回油路46は、油圧ポンプ32から吐出される作動油を油圧モータ33に供給せずに油圧ポンプ32に戻す油路である。迂回油路46は、迂回油路46の一方側が第1ポンプ用油路42に接続される。迂回油路46は、迂回油路46の他方側が第2ポンプ用油路43に接続される。油圧ポンプ32から第1ポンプ用油路42に吐出された作動油は、迂回油路46を介して第2ポンプ用油路43に循環可能である。油圧ポンプ32から第2ポンプ用油路43に吐出された作動油は、迂回油路46を介して第1ポンプ用油路42に循環可能である。つまり、油圧ポンプ32と油圧モータ33とを閉回路接続している油路において、油圧ポンプ32から吐出される作動油を油圧ポンプ32に戻すバイパス回路が回転制御用バルブ34の上流側に形成されている。
電磁開閉弁である回転駆動用バルブ35は、油圧ポンプ32から吐出される作動油を油圧モータ33に供給せずに油圧ポンプ32に戻す弁である。回転駆動用バルブ35は、迂回油路46に設けられている。
回転駆動用バルブ35は、電磁石が励磁されていない場合、スプリングの復元力でII位置にスプールが移動されることによって、迂回油路46を介して第1ポンプ用油路42と第2ポンプ用油路43とを接続する。これにより、回転駆動用バルブ35は、迂回油路46を介して油圧ポンプ32の高圧の吐出側と油圧ポンプ32の低圧の吸引側とを接続する。このため、油圧ポンプ32から吐出される作動油は、油圧モータ33に供給されずに油圧ポンプ32に戻される。
回転駆動用バルブ35は、電磁石が励磁された場合、I位置にスプールが移動されることによって、迂回油路46を介した第1ポンプ用油路42と第2ポンプ用油路43との接続を遮断する。これにより、油圧ポンプ32から吐出される作動油は、迂回油路46を介して油圧ポンプ32に戻らず、油圧モータ33に供給される。
第1ポンプ用油路42には、リリーフ弁36が設けられている。第2ポンプ用油路43には、リリーフ弁37が設けられている。第1モータ用油路44には、リリーフ弁38が設けられている。第2モータ用油路45には、リリーフ弁39が設けられている。各リリーフ弁36~39は、各油路42~45から分岐した油路が各リリーフ弁36~39の入口ポートに接続され、作動油タンク47に作動油を還流させる油路が各リリーフ弁36~39の出口ポートに接続されている。各リリーフ弁36~39は、各油路42~45の作動油の油圧を設定値以下に制御する。各リリーフ弁36~39は、各油路42~45の作動油の油圧が設定値を超えた場合、油路を介して各油路42~45を流れる作動油の一部を作動油タンク47に還流する。各油路42~45の作動油が不足した場合、作動油タンク47からチェック弁40を介して、第2ポンプ用油路43に作動油が供給される。
メインフック10bは、荷物Wを吊る部材である。メインフック10bは、鉤形の部材であり、油圧モータ33によって垂直軸回りに回転される。これにより、回転制御装置10は、メインフック10bに吊られた荷物Wを垂直軸回りに回転させる。
慣性計測装置41(Inertial Measurement Unit)は、メインフック10bの三次元空間における角度(又は角速度)と加速度とを検出するセンサである。慣性計測装置41は、メインフック10bに設けられている。制御装置48は、慣性計測装置41が検出した三次元空間における角度(又は角速度)と加速度とに基づいて、車両2の進行方向やブーム9の延伸方向等の所定の基準に対するメインフック10bの垂直軸回りの角度を算出することができる。メインフック10bの垂直軸回りの回転に伴い、荷物Wが垂直軸回りに回転するため、所定の基準に対するメインフック10bの垂直軸回りの角度と、所定の基準に対する荷物Wの垂直軸回りの角度とは、等しいとみなせる。なお、慣性計測装置41は、荷物Wに設けられてもよい。
図4に示すように、制御装置48は、クレーン装置6のアクチュエータ及び回転制御装置10を制御するものである。制御装置48は、キャビン17内に設けられている。制御装置48は、実体的には、CPU、ROM、RAM、HDD等がバスで接続される構成であってもよく、あるいはワンチップのLSI等からなる構成であってもよい。制御装置48は、各アクチュエータ、センサ等の動作を制御するために種々のプログラムやデータが格納されている。なお、制御装置48は、クレーン1の制御装置と回転制御装置10の制御装置とが一体化したものとして説明するが、回転制御装置10の制御装置を回転制御装置10内に別途設けてもよい。
制御装置48は、旋回操作具18、伸縮操作具19、起伏操作具20、メインドラム操作具21m、サブドラム操作具21s、回転操作具49、及び制御操作具50に接続され、旋回操作具18、伸縮操作具19、起伏操作具20、メインドラム操作具21m、サブドラム操作具21s、回転操作具49、及び制御操作具50のそれぞれの操作量を取得することができる。
制御装置48は、旋回用バルブ22、伸縮用バルブ23、起伏用バルブ24、メイン用バルブ25m、サブ用バルブ25s、回転制御用バルブ34、及び回転駆動用バルブ35に接続され、旋回用バルブ22、伸縮用バルブ23、起伏用バルブ24、メイン用バルブ25m、サブ用バルブ25s、回転制御用バルブ34、及び回転駆動用バルブ35に制御信号を伝達することができる。
制御装置48は、旋回用センサ27、伸縮用センサ28、起伏用センサ29、巻回用センサ30、及び慣性計測装置41に接続され、旋回台7の旋回位置、ブーム長さ、起伏角度、巻き上げ量、巻き出し量、及びメインフック10bの三次元空間における角度(又は角速度)と加速度とを取得することができる。
以下に、図5と図6とを用いて、慣性計測装置41が検出するブーム9の延伸方向に対する荷物Wの垂直軸回りの角度が所定角度となるように回転制御用バルブ34と回転駆動用バルブ35とを制御するクレーン1の動作態様について説明する。フックシーブ10aを回転させるために、メインワイヤロープ14を巻き上げる(荷物Wを吊り上げる)場合とメインワイヤロープ14を巻き下げる(荷物Wを吊り下げる)場合とがあり、それぞれの場合について説明する。以下では、荷物Wの垂直軸回りの角度の基準として、車両2の進行方向とブーム9の延伸方向とを例に説明するが、オペレータが任意に定めた方向、又は方位を角度の基準(所定の基準)としてよい。
図5を用いて、フックシーブ10aを回転させるためにメインワイヤロープ14を巻き上げる場合について説明する。制御操作具50の操作によって「手動モード」、「巻き上げ」が選択され、回転操作具49の操作によってブーム9の延伸方向に対して荷物Wを垂直軸回りに角度θaだけ回転させる操作が行われたとする。このとき、制御装置48は、メイン用バルブ25mを切り換えてメインウインチ13にメインワイヤロープ14の巻き上げを行わせる(図5の(A)参照)。これにより、フックシーブ10aが一方向に回転される。
図5の(B)に示すように、制御装置48は、メインワイヤロープ14の巻き上げによって回転制御装置10が所定の高さだけ上昇した後に、回転駆動用バルブ35のスプール位置をI位置に移動させる。クレーン1は、回転制御装置10を所定の高さだけ上昇(移動)させることによって、作動油の油圧を高めて、メインフック10bの回転が開始される際に十分な回転力を発生させることができる。油圧ポンプ32から吐出される作動油は、回転駆動用バルブ35のスプール位置の移動によって、迂回油路46を介して油圧ポンプ32に戻らず、油圧モータ33に供給される。制御装置48は、回転駆動用バルブ35のスプール位置の移動と同時に、回転制御用バルブ34のスプール位置をI位置に移動させる。回転制御用バルブ34は、第1モータ用油路44を介して油圧モータ33の第1ポートに作動油が供給されるように作動油の流れ方向を切り換える。これにより、油圧モータ33が一方向に回転し、メインフック10bが垂直軸回りに一方向に回転される。
制御装置48は、慣性計測装置41によってメインフック10bがブーム9の延伸方向に対して垂直軸回りに角度θaだけ回転されたことを検出すると(図5の(A)参照)、メイン用バルブ25mを切り換えてメインウインチ13を停止させ、メインワイヤロープ14の巻き上げを停止させる。これにより、フックシーブ10aの回転が停止される。
制御装置48は、メインワイヤロープ14の巻き上げの停止と同時に、回転駆動用バルブ35のスプール位置をII位置に移動させる(図3参照)。油圧ポンプ32から吐出される作動油は、油圧モータ33に供給されずに油圧ポンプ32に戻される。制御装置48は、回転駆動用バルブ35のスプール位置の移動と同時に、回転制御用バルブ34のスプール位置をII位置に移動させる(図3参照)。回転制御用バルブ34は、作動油が油圧モータ33に供給されないように作動油の流通を遮断する。これにより、油圧モータ33の回転が拘束され、メインフック10bのブーム9の延伸方向に対する垂直軸回りの回転が拘束される。
図6を用いて、フックシーブ10aを回転させるためにメインワイヤロープ14を巻き下げる場合について説明する。メインワイヤロープ14を巻き上げる場合と同様に、制御操作具50の操作によって「手動モード」、「巻き下げ」が選択され、回転操作具49の操作によってブーム9の延伸方向に対して荷物Wを垂直軸回りに角度θaだけ回転させる操作が行われたとする。このとき、制御装置48は、メイン用バルブ25mを切り換えてメインウインチ13にメインワイヤロープ14の巻き下げを行わせる(図6の(A)参照)。これにより、フックシーブ10aが他方向に回転される。
図6の(B)に示すように、制御装置48は、メインワイヤロープ14の巻き上げによって回転制御装置10が所定の高さだけ下降した後に、回転駆動用バルブ35のスプール位置をI位置に移動させる。油圧ポンプ32から吐出される作動油は、回転駆動用バルブ35のスプール位置の移動によって、迂回油路46を介して油圧ポンプ32に戻らず、油圧モータ33に供給される。制御装置48は、回転駆動用バルブ35のスプール位置の移動と同時に、回転制御用バルブ34のスプール位置をIII位置に移動させる。回転制御用バルブ34は、第1モータ用油路44を介して油圧モータ33の第1ポートに作動油が供給されるように作動油の流れ方向を切り換える。これにより、油圧モータ33が一方向に回転し、メインフック10bが垂直軸回りに一方向に回転される。
制御装置48は、慣性計測装置41によって荷物Wがブーム9の延伸方向に対して垂直軸回りに角度θaだけ回転されたことを検出した後は、メインワイヤロープ14を巻き上げる場合と同様の制御を行って、ブーム9の延伸方向に対する荷物Wの垂直軸回りの回転を拘束させる。なお、クレーン1は、旋回台7の旋回時にメインフック10bの回転の拘束を維持することによって、旋回時のブーム9の延伸方向に対する荷物Wの垂直軸回りの角度の変動を抑制することができる。
このように構成することで回転制御装置10は、フックシーブ10aの回転によって油圧ポンプ32が作動される。回転制御装置10は、油圧ポンプ32から吐出された作動油によって油圧モータ33が駆動され、メインフック10bを垂直軸回りに回転させる。また、回転制御用バルブ34を切り換えて、メインフック10bの垂直軸回りの回転を拘束する。これにより、荷物Wを垂直軸回りに回転させる駆動源に給電する必要がない。また、クレーン1は、回転駆動用バルブ35と回転制御用バルブ34とを制御して、ブーム9の延伸方向に対する荷物Wの垂直軸回りの角度が所定角度となるように荷物Wを回転させることができる。また、荷物Wを垂直軸回りに回転させる際だけ、回転制御用バルブ34と回転駆動用バルブ35との電磁石を励磁することで、省電力化を図ることができる。
更に、回転制御装置10は、メインウインチ13によってメインワイヤロープ14の巻き上げ及び巻き出しを行ったときの駆動力を、フックシーブ10aを介して得ている。荷物Wの荷重に応じてメインフック10bの駆動に必要な動力は大きくなるが、荷物Wの荷重に応じてフックシーブ10aとメインワイヤロープ14との間の摩擦力が増加する。そのため、回転制御装置10は、荷物Wの荷重に応じた動力を、フックシーブ10aを介して効率的に得ることができる。更に、フライホイルやバッテリーなどの性能(高性能の場合、大重量となる)に依存せずにメインフック10bを駆動する動力を得ることができるため、回転制御装置10を小型軽量とすることができる。つまり、クレーン1は、荷物Wの大小に拠らず、小型の装置(回転制御装置10)でメインフック10bの回転力を発生させて、荷物Wを垂直軸回りに回転させることができる。
以下に、図7と図8とを用いて、旋回台7の旋回中に車両2の進行方向に対する荷物Wの垂直軸回りの角度の変動を抑制するように回転制御用バルブ34と回転駆動用バルブ35とを制御するクレーン1の制御態様について説明する。上限高さHmaxと下限高さHminとは、フックシーブ10aを回転させて油圧ポンプ32を駆動させる際の、回転制御装置10の高さの上限と下限とである。クレーン1は、上限高さHmaxと下限高さHminとの間で回転制御装置10を移動させることによって、荷物Wが移動される範囲が限定されるため、荷物Wと障害物とが接触又は衝突しないようにすることができる。所定高さHaは、回転制御用バルブ34と回転駆動用バルブ35とのスプール位置を移動させる条件となる回転制御装置10の高さである。クレーン1は、所定高さHaを条件として用いることによって、作動油の油圧を高めて、メインフック10bの回転が開始される際に十分な回転力を発生させることができる。角度θbは、旋回台7の旋回を開始するときの、車両2の進行方向に対するメインフック10bの垂直軸回りの角度である。所定角度θcは、角度θbから所定の範囲内の角度である。クレーン1は、車両2の進行方向に対するメインフック10bの垂直軸回りの角度が所定角度θcを超えると、車両2の進行方向に対するメインフック10bの垂直軸回りの角度の変動を抑制するように回転制御用バルブ34と回転駆動用バルブ35との制御を行う。
図8の(A)に示すように、制御操作具50の操作によって「旋回モード」、「巻き上げ」が選択され、旋回操作具18の操作によって旋回台7を旋回させる操作が行われたとする。このとき、車両2の進行方向に対するメインフック10bの垂直軸回りの角度は、角度θbである(図7のθ1参照)。制御装置48は、メイン用バルブ25mを切り換えてメインウインチ13を停止させ、メインワイヤロープ14の巻き上げ及び巻き下げを停止させている。これにより、フックシーブ10aの回転が停止している。
制御装置48は、回転駆動用バルブ35のスプール位置をII位置に移動させている。油圧ポンプ32から吐出される作動油は、油圧モータ33に供給されずに油圧ポンプ32に戻される。制御装置48は、回転制御用バルブ34のスプール位置をII位置に移動させている。回転制御用バルブ34は、作動油が油圧モータ33に供給されないように作動油の流通を遮断する。これにより、油圧モータ33の回転が拘束され、メインフック10bの垂直軸回りの回転が拘束されている。メインフック10bの垂直軸回りの回転が拘束されているため、旋回台7の旋回に伴い車両2の進行方向に対するメインフック10bの垂直軸回りの角度が増加する。
図8の(B)に示すように、制御装置48は、車両2の進行方向に対するメインフック10bの垂直軸回りの角度が所定角度θcに到達した場合(図7のθ2参照)、メイン用バルブ25mを切り換えてメインウインチ13にメインワイヤロープ14の巻き上げを行わせる。これにより、フックシーブ10aが一方向に回転される。
制御装置48は、メインワイヤロープ14の巻き上げによって回転制御装置10が所定高さHaだけ上昇した後に、回転駆動用バルブ35のスプール位置をI位置に移動させる。油圧ポンプ32から吐出される作動油は、回転駆動用バルブ35のスプール位置の移動によって、迂回油路46を介して油圧ポンプ32に戻らず、油圧モータ33に供給される。制御装置48は、回転駆動用バルブ35のスプール位置の移動と同時に、回転制御用バルブ34のスプール位置をI位置に移動させる。回転制御用バルブ34は、第1モータ用油路44を介して油圧モータ33の第1ポートに作動油が供給されるように作動油の流れ方向を切り換える。これにより、油圧モータ33が一方向に回転し、メインフック10bが垂直軸回りに一方向に回転される。そして、メインフック10bの回転に伴い、車両2の進行方向に対するメインフック10bの垂直軸回りの角度が減少する。
図8の(C)に示すように、制御装置48は、車両2の進行方向に対するメインフック10bの垂直軸回りの角度が角度θbに戻った場合(図7のθ3参照)、メイン用バルブ25mを切り換えてメインウインチ13を停止させ、メインワイヤロープ14の巻き上げを停止させる。これにより、フックシーブ10aの回転が停止される。
制御装置48は、メインワイヤロープ14の巻き上げの停止と同時に、回転駆動用バルブ35のスプール位置をII位置に移動させる。油圧ポンプ32から吐出される作動油は、油圧モータ33に供給されずに油圧ポンプ32に戻される。制御装置48は、回転駆動用バルブ35のスプール位置の移動と同時に、回転制御用バルブ34のスプール位置をII位置に移動させる。回転制御用バルブ34は、作動油が油圧モータ33に供給されないように作動油の流通を遮断する。これにより、油圧モータ33の回転が拘束され、メインフック10bのブーム9の延伸方向に対する垂直軸回りの回転が拘束される。メインフック10bの垂直軸回りの回転が拘束されているため、旋回台7の旋回に伴い車両2の進行方向に対するメインフック10bの垂直軸回りの角度が再び増加していく。
制御装置48は、車両2の進行方向に対するメインフック10bの垂直軸回りの角度が所定角度θcに再び到達した場合(図7のθ4参照)、メインワイヤロープ14の巻き上げ、回転駆動用バルブ35のスプール位置のI位置への移動、回転制御用バルブ34のスプール位置のI位置への移動を行って、車両2の進行方向に対するメインフック10bの垂直軸回りの角度を減少させる。
制御装置48は、回転制御装置10の高さが上限高さHmaxに到達した場合、メイン用バルブ25mを切り換えてメインウインチ13にメインワイヤロープ14の巻き下げを行わせる。これにより、フックシーブ10aが他方向に回転される。
制御装置48は、メインワイヤロープ14の巻き下げの開始と同時に、回転制御用バルブ34のスプール位置をIII位置に移動させる。回転制御用バルブ34は、第1モータ用油路44を介して油圧モータ33の第1ポートに作動油が供給されるように作動油の流れ方向を切り換える。これにより、油圧モータ33が一方向に回転し、メインフック10bが垂直軸回りに一方向に回転される。そして、メインフック10bの回転に伴い、車両2の進行方向に対するメインフック10bの垂直軸回りの角度が減少する。
このように構成することで回転制御装置10は、旋回台7の旋回時にフックシーブ10aの回転によって油圧ポンプ32を作動させて、油圧ポンプ32から吐出された作動油によって駆動される油圧モータ33がメインフック10bを垂直軸回りに回転させる又はメインフック10bの垂直軸回りの回転を拘束する。これにより、荷物Wを垂直軸回りに回転させる駆動源に給電を必要とせず、旋回台7の旋回時における、車両2の進行方向に対する荷物Wの垂直軸回りの角度の変動を抑制できる。
次に、図4と図9とを用いて、本発明に係るクレーン1の第二実施形態であるクレーン1について説明する。なお、以下の各実施形態に係るクレーン1は、図1から図8に示すクレーン1において、その説明で用いた名称、図番、符号を用いることで、同じものを指すこととし、以下の実施形態において、既に説明した実施形態と同様の点に関してはその具体的説明を省略し、相違する部分を中心に説明する。また、以下の実施形態において、制御操作具50の操作によって「巻き上げ」又は「巻き下げ」が選択されているものとする。荷物Wが垂直軸回りに回転される際に、「巻き上げ」が選択されている場合、メインワイヤロープ14が巻き上げられ、「巻き上げ」が選択されている場合、メインワイヤロープ14が巻き下げられるものとする。
図4に示すように、カメラ51は、画像を撮影する装置である。カメラ51は、ブーム9の先端部分に設けられている(図1参照)。制御装置48は、カメラ51が撮影した画像を取得することができ、画像認識によって画像上の荷物Wの領域や地物の領域を認識することができる。また、制御装置48は、画面上の荷物Wの領域から、車両2の進行方向やブーム9の延伸方向等の所定の基準に対する荷物Wの垂直軸回りの角度を算出することができる。従って、カメラ51は、荷物Wの垂直軸回りの角度を検出するセンサでもある。
以下に、図9を用いて、荷物Wと障害物とが接触又は衝突しないように回転制御用バルブ34と回転駆動用バルブ35とを制御するクレーン1の動作態様について説明する。資材W1は、荷物Wの設置位置(吊り下げ位置)周辺の地面に設置されている。上方から見た場合に荷物Wと資材W1とが重なって見える部分があるため、荷物Wを垂直軸回りに回転させずに荷物Wを吊り下げると、荷物Wと資材W1とが接触又は衝突してしまう。
制御操作具50の操作によって「回避モード」が選択されているものとする。制御装置48は、カメラ51が撮影した画像から、画像認識によって画像上の荷物Wの領域と資材W1の領域とを認識する。ブーム9の延伸方向に対する荷物Wの垂直軸回りの角度に応じて、画像上の荷物Wの領域と資材W1の領域との最短距離が変動する。例えば、ブーム9の延伸方向に対する荷物Wの垂直軸回りの角度が角度θdのときに、画像上の荷物Wの領域と資材W1の領域との最短距離は、距離L1である(図9の(A)参照)。ブーム9の延伸方向に対する荷物Wの垂直軸回りの角度が角度θe又は角度θfのときに、画像上の荷物Wの領域と資材W1の領域との最短距離は、距離L2である(図9の(B)参照)。
制御装置48は、ブーム9の延伸方向に対する荷物Wの垂直軸回りの所定角度毎に、画像上の荷物Wの領域と資材W1の領域との最短距離を算出する。そして、制御装置48は、各距離のうち最大の距離である角度になるように荷物Wを垂直軸回りに回転させる。例えば、制御装置48は、ブーム9の延伸方向に対する荷物Wの垂直軸回りの角度が角度θdのときに、最短距離が最大となるため、ブーム9の延伸方向に対して荷物Wを垂直軸回りに角度θdだけ回転させる(図9の(A)参照)。
或いは、制御装置48は、最短距離が所定距離以上である、ブーム9の延伸方向に対する荷物Wの垂直軸回りの角度を算出する。所定距離は、上述の最大となる最短距離よりも、小さい距離である。そして、制御装置48は、算出した角度の範囲内で荷物Wを垂直軸回りに回転させる。例えば、所定距離が距離L2であるとすると、制御装置48は、最短距離が距離L2以上である、ブーム9の延伸方向に対する荷物Wの垂直軸回りの角度を算出する。算出した角度は、角度θeから角度θfとなる(図9の(B)参照)。オペレータは、回転操作具49の操作によって、角度θeから角度θfの範囲内で、荷物Wを垂直軸回りに回転させる。なお、クレーン1は、画像上の荷物Wの領域と資材W1の領域とが重複している間は、警報を出力してもよい。
このように構成することで回転制御装置10は、カメラ51が撮影した画像から荷物Wと資材W1とを認識し、フックシーブ10aの回転によって油圧ポンプ32を作動させて、油圧ポンプ32から吐出された作動油によって駆動される油圧モータ33がメインフック10bを垂直軸回りに回転させる又はメインフック10bの垂直軸回りの回転を拘束する。これにより、荷物Wを垂直軸回りに回転させる駆動源に給電を必要とせず、荷物Wと資材W1とが接触又は衝突することを回避、防止できる。
次に、図10と図11とを用いて、本発明に係るクレーン1の第三実施形態であるクレーン1について説明する。
図11に示すように、カメラ51は、画像を撮影する装置である。カメラ51は、ブーム9の先端部分に設けられている(図1参照)。制御装置48は、カメラ51が撮影した画像を取得することができ、画像認識によって画像上の荷物Wの領域を認識することができる。制御装置48は、画面上の荷物Wの領域から、車両2の進行方向やブーム9の延伸方向等の所定の基準に対する荷物Wの垂直軸回りの角度を算出することができる。従って、カメラ51は、荷物Wの垂直軸回りの角度を検出するセンサでもある。
風向センサ52は、風向を検出するセンサである。風向センサ52は、回転制御装置10の筐体に設けられている(図1参照)。回転制御装置10の筐体がカメラ51に対して垂直軸回りに回転しないため、カメラ51に対する風向センサ52の向きが一定である。このため、風向センサ52は、カメラ51が撮影した画像上における風向を検出できる。制御装置48は、風向センサ52が検出した風向を取得することができる。
表示装置53は、画像を表示する装置である。表示装置53は、キャビン17内に設けられている。制御装置48は、カメラ51が撮影した画像を表示装置53に表示させることができる。表示装置53は、タッチパネルを備えており、オペレータがタッチパネル上で情報を入力することもできる。制御装置48は、タッチパネル上で入力された情報を取得できる。
以下に、図11を用いて、荷物Wの所定箇所が風上方向を向くように回転制御用バルブ34と回転駆動用バルブ35とを制御するクレーン1の動作態様について説明する。
制御操作具50の操作によって「風向モード」が選択され、表示装置53の画面上で、荷物Wの所定箇所Pの位置情報が入力されたとする。制御装置48は、カメラ51が撮影した画像から、画像認識によって画像上の荷物Wの領域を認識する。制御装置48は、風向センサ52によって風向を検出する。制御装置48は、荷物Wの所定箇所Pが風上方向を向く、ブーム9の延伸方向に対する荷物Wの垂直軸回りの角度(角度θg)及び回転方向(一方向)を算出する。制御装置48は、ブーム9の延伸方向に対して荷物Wを垂直軸回りに一方向にθgだけ回転させる(図11の(A)参照)。
ブーム9の延伸方向に対して荷物Wを垂直軸回りに一方向に角度θgだけ回転させた後に、風向が変化したとする。制御装置48は、カメラ51が撮影した画像から、画像認識によって画像上の荷物Wの領域を認識する。制御装置48は、風向センサ52によって風向を検出する。制御装置48は、荷物Wの所定箇所Pが風上方向を向く、ブーム9の延伸方向に対する荷物Wの垂直軸回りの角度(角度θh)及び回転方向(他方向)を算出する。制御装置48は、ブーム9の延伸方向に対して荷物Wを垂直軸回りに角度θhだけ他方向に回転させる(図11の(B)参照)。このように、クレーン1は、風向が変化しても、荷物Wの所定箇所Pが風上方向を向くように荷物Wを垂直軸回りに回転させることができる。クレーン1は、旋回台7の旋回、ブーム9の伸縮、起伏を行う間も同様に、荷物Wの所定箇所Pが風上方向を向くように荷物Wを垂直軸回りに回転させることができる。
このように構成することで回転制御装置10は、カメラ51が撮影した画像から荷物Wを認識し、風向センサ52から風向を認識し、フックシーブ10aの回転によって油圧ポンプ32を作動させて、油圧ポンプ32から吐出された作動油によって駆動される油圧モータ33がメインフック10bを垂直軸回りに回転させる又はメインフック10bの垂直軸回りの回転を拘束する。これにより、荷物Wを垂直軸回りに回転させる駆動源に給電を必要とせず、荷物Wへの風の影響を抑制できる。
上述の実施形態において、メインワイヤロープ14の巻き上げ及び巻き下げを行って、フックシーブ10aを回転させる構成を例に説明したが、本願の技術的思想は、ワイヤロープが2本掛け以上でフックブロックが吊り下げられるクレーンに適用できる。
上述の実施形態は、代表的な形態を示したに過ぎず、一実施形態の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。更に種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、更に特許請求の範囲に記載の均等の意味、及び範囲内のすべての変更を含む。