1)遊技機の基本構成
以下、本発明の一実施形態にかかる遊技機1(ぱちんこ遊技機)について図面を参照して詳細に説明する。まず、図1、図2を参照して遊技機1の全体構成について簡単に説明する。なお、以下の説明において、特に明示することなく「画像」というときは、動画および静止画の両方を含むものとする。また、以下で説明する各領域等には、遊技球が検出可能なセンサ(図示せず)が設けられており、当該センサにより各領域に遊技球が進入(入賞)したかどうかが検出される。「○○領域に遊技球が進入」とは、厳密には当該○○領域に設けられたセンサが遊技球を検出したことをいうものとする。
遊技機1の筐体には遊技球を発射するための発射装置908が設けられている。発射装置908を操作することで、上皿909aに貯留された遊技球が発射される。いわゆる賞球は上皿909aに払い出され、上皿909aから溢れた遊技球は下皿909bに送られる。
発射された遊技球が到達する遊技領域902は、透明板906を通じて視認される。遊技機1は手前側に遊技領域902が形成される遊技盤90を備える。遊技盤90は、ほぼ正方形の合板により成形されており、発射装置908(発射ハンドル)の操作によって発射された遊技球を遊技領域902に案内する通路を構成するガイドレール903が略円弧形状となるように設けられている。
遊技領域902には、始動領域(第一始動領域21、第二始動領域22)、大入賞領域10、アウト口907などが設けられている。各種演出を実行する表示装置91の表示領域911は、遊技盤90に形成された開口901を通じて視認可能となる領域である。なお、表示領域911の形状等は適宜変更可能である(開口901の形状や大きさ、表示装置91自体の形状や大きさを変更することで表示領域911の形状等を変更することができる)。
また、遊技領域902には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての遊技釘が複数設けられている。遊技領域902を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。
このような遊技機1では、発射装置908を操作することにより遊技領域902に向けて遊技球を発射する。遊技領域902を流下する遊技球が、大入賞領域10等の入賞領域に進入すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。
なお、遊技機1のその他の構成要素は説明を省略する。これらについては公知の遊技機と同様の構造のものが適用できる。
2)当否抽選等
当否抽選(当否判定)は、図示されない制御基板に設けられた当否抽選手段が始動領域(第一始動領域21(いわゆる特図1の始動領域)、第二始動領域22(いわゆる特図2の始動領域))への遊技球の進入を契機として実行する。具体的には、始動領域への遊技球の進入を契機として乱数源から数値(以下、当否抽選情報と称することもある。以下、第一始動領域21に遊技球が進入することで取得される当否抽選情報を第一当否抽選情報と、第二始動領域22に遊技球が進入することで取得される当否抽選情報を第二当否抽選情報とする。)が取得される。本実施形態では、当否抽選の結果として起こりうる態様としては、「大当たり」「小当たり」「はずれ」の三態様が設定されている。上記数値が予め定められた大当たりの数値と同じである場合には大当たりとなり、小当たりの数値と同じである場合には小当たりとなり、大当たりおよび小当たりのいずれでもない場合にははずれとなる。
本実施形態では、公知の遊技機と同様に、識別図柄80の組み合わせによって当否抽選結果を報知する。大当たりとなる場合には、識別図柄80(図3参照)が大当たり組み合わせ(例えば同じ図柄の三つ揃い)となる。小当たりとなる場合には、識別図柄80が小当たり組み合わせ(例えば、「3」と「7」の識別図柄80から構成される組み合わせ)となる。それ以外の組み合わせははずれを示す組み合わせである。識別図柄80の変動開始から、当否抽選結果に対応する組み合わせで停止するまでの演出を「報知演出」と称する(当該「報知演出」が実行されている期間は、いわゆる変動中の期間ということである)。上記数値は、報知演出の内容を決定するためにも利用される。なお、図示しないが、識別図柄80よりも小さく(表示領域911の外縁付近)に、識別図柄80とは別の図柄(小図柄)が表示されるようにしてもよい。報知演出の結末段階においては、当該小図柄(一の小図柄または複数の小図柄の組み合わせ)の態様が当否抽選結果に応じたものとなる。当該小図柄は、報知演出にて常時表示されるようにする(識別図柄80が表示されない状況での補助図柄として機能する)。
本実施形態では、基本的には、当否抽選情報が取得された順に対応する報知演出が開始される(識別図柄80の変動が開始される)こととなる。なお、本実施形態では、第一当否抽選情報に基づく当否抽選(第一当否抽選)の結果の報知(特図1の変動)と、第二当否抽選情報に基づく当否抽選(第二当否抽選)の結果の報知(特図2の変動)が同時期に進行する(「特図1・特図2同時変動」である)。ただし、新たに第一当否抽選情報が取得されたときに、それよりも前に取得された第一当否抽選情報に基づく当否抽選結果が報知されている際(変動中である際)には、新たに取得された第一当否抽選情報は、「第一保留情報」としてそれに対応する報知演出が開始されるまで、図示されない制御基板に設けられた記憶手段に記憶される。同様に、新たに第二当否抽選情報が取得されたときに、それよりも前に取得された第二当否抽選情報に基づく当否抽選結果が報知されている際(変動中である際)には、新たに取得された第二当否抽選情報は、「第二保留情報」としてそれに対応する報知演出が開始されるまで、図示されない制御基板に設けられた記憶手段に記憶される。当該保留情報は当否抽選情報の下位概念であるといえる。本実施形態では、第一保留情報および第二保留情報の最大の記憶数はそれぞれ四つである。保留情報として記憶された数値は、報知演出が開始される時点で当否抽選に利用される。
当否抽選情報の存在を示すマークである保留図柄70が、表示装置91の表示領域911に表示される。具体的には、当否抽選を実行するための数値が取得された順に並ぶよう、保留図柄70が表示装置91の表示領域911に表示される(図3参照)。具体的には、報知演出が開始されているものの、報知演出が終了していない(当否抽選結果の報知が完了していない)当否抽選情報(いわゆる「当該変動保留」)の存在を示す変動中保留図柄71、報知演出が開始されていない当否抽選情報(保留情報)の存在を示す変動前保留図柄72が表示される。これら保留図柄70は、対応する報知演出が開始される順(いわゆる消化順)に並ぶように表示される。また、図示しないが、遊技状態に応じて、第一当否抽選情報の存在を示す保留図柄70(第一保留図柄)と、第二当否抽選情報の存在を示す保留図柄70(第二保留図柄)の一方は表示されるものの、他方は表示されないといった制御がなされる。詳細を後述するように、遊技者は、遊技状態に応じ、第一当否抽選および第二当否抽選の一方を「主」として受ける(「主」となる当否抽選(遊技状態に応じて受けるべき当否抽選)にて大当たりや小当たり当選を目指して遊技する)ことになるところ、当該「主」となる当否抽選に対応する一方(第一保留図柄および第二保留図柄の一方)を表示し、他方を表示しないという制御がなされる。
3)抽選確率、ベース状態等
本実施形態では、大当たりに当選する確率(大当たり確率)が異なる状態として、当該確率が低い低確率状態と、低確率状態よりも高い高確率状態(確率変動(確変)状態)とが設定されている。いずれの状態においても、第一当否抽選による大当たり確率と第二当否抽選による大当たり確率は同じである。本実施形態では、低確率状態における大当たり確率が約1/320、高確率状態における大当たり確率が約1/50に設定されている。
小当たり確率は、低確率状態では0%またはほとんど当選に期待できないほど低い確率(例えば1/1000よりも低確率)とされている。高確率状態では頻繁に当選する確率(例えば、1/1.1~1/1.5程度)とされている。したがって、低確率状態では、小当たりに当選することは無い、またはほとんど無い(遊技者は「小当たり」を意識せずに遊技する)。一方、高確率状態では、小当たりに頻繁に当選することになるが、小入賞領域15に遊技球が入賞するかどうかは、遊技状態に応じて異なる(詳細は後述)。
また、始動領域への遊技球の入賞しやすさ(いわゆる「ベース」)が異なる状態として、低ベース状態と、低ベース状態よりも始動領域に遊技球が進入しやすい高ベース状態とが設定されている。本実施形態では、低ベース状態よりも、高ベース状態の方が、後述する開閉第二始動領域22bに遊技球が進入しやすい。始動領域に遊技球が進入することは当否抽選の実行を意味することから、低ベース状態よりも高ベース状態の方が当否抽選を受けやすい状態であるといえる。なお、ここでいう「当否抽選」とは、遊技状態に応じて変化する上記「主」となる当否抽選のことをいう。
本実施形態では、始動領域として、一つの第一始動領域21と、二つの第二始動領域22が設けられている。第一始動領域21は表示領域911の下に設けられたものであり、常時開放された(常時遊技球が通過可能な)領域である。いわゆる左打ち(表示領域911の左側を遊技球が流下するように遊技球を発射させる)により第一始動領域21に遊技球が進入する可能性がある。本実施形態では、いわゆる右打ち(表示領域911の右側を遊技球が流下するように遊技球を発射させる)を行った場合には第一始動領域21に遊技球が進入する可能性はない。
第二始動領域22として、開放第二始動領域22a(検出領域)と開閉第二始動領域22bが設けられている。いずれの第二始動領域22も右打ちすることで遊技球が進入する可能性がある位置に設けられており、左打ちを行った場合にはこれらの第二始動領域22に遊技球が進入する可能性はない。開放第二始動領域22aは、常時開放された(常時遊技球が通過可能な)領域である。本実施形態では、右打ちを行えば、比較的容易に開放第二始動領域22aに遊技球が進入する。逆の見方をすれば、開放第二始動領域22aに遊技球が進入しないように(第二当否抽選情報が取得されないように)右打ちを行うことは不可能である。本実施形態における開放第二始動領域22aは、当該領域を遊技球が通過する「ゲート」タイプのものである(当該「ゲート」は、幅方向に二以上の遊技球が並ぶことができない大きさとされている)。当該領域に進入した遊技球が内部に取り込まれるタイプのものとしてもよい。
一方、開閉第二始動領域22bは、始動用開閉部材29によって入口が開閉されるものである(いわゆる「電チュー」である)。始動用開閉部材29は、開閉第二始動領域22bの入口を閉鎖する閉位置(原位置)と、入口を開放する開位置との間を往復動作可能なものである。始動用開閉部材29が閉位置に位置した状態においては、開閉第二始動領域22bに遊技球が進入することは不可能である。本実施形態における始動用開閉部材29は、遊技球が通過する通路の底面に沿うようにして前後にスライドするものであって、閉位置に位置した状態(最前端に位置した状態)においては当該通路の底面の一部を構築する。そのため、始動用開閉部材29が開位置に位置した状態(最後端に位置した状態)では当該通路に「穴」が開いたような状態となる。したがって、開閉第二始動領域22bまで到達した段階で始動用開閉部材29が開位置に位置していれば、(極めてイレギュラーな動きをしない限り)もれなく遊技球は開閉第二始動領域22bに進入する。
右打ちによって遊技球が進入する領域には、普通始動領域28が設けられている。当該普通始動領域28を通過することを契機として普通抽選が実行される。普通抽選に当選することを契機として始動用開閉部材29が開位置に変位する。低ベース状態にあるときよりも、高ベース状態にあるときの方が、当該普通抽選に当選する確率が高い。つまり、低ベース状態にあるときよりも、高ベース状態にあるときの方が、普通抽選に当選して頻繁に開閉第二始動領域22bが開放される。すなわち、低ベース状態にあるときよりも、高ベース状態にあるときの方が、容易に開閉第二始動領域22bに遊技球が進入する(この分、低ベース状態よりも高ベース状態の方が「ベース」高いということである)。普通始動領域28は、右打ちにより発射された遊技球が必然的に通過する位置(本実施形態では、右打ちされた遊技球の全てが進入する位置)に設けられている。つまり、普通始動領域28に進入しないように右打ちすることはできない。
4)大当たり
当否抽選により大当たりに当選した場合(識別図柄80が大当たりを示す組み合わせとなった場合)には、大入賞領域10(特定入賞領域)が開放される大当たり遊技状態(特定状態)に移行する。大入賞領域10は、右打ちにより発射された遊技球が進入する可能性がある位置に設けられている。本実施形態では、いわゆる左打ちを行った場合には大入賞領域10に遊技球が進入する可能性はない。
大当たり遊技は、一または複数の単位遊技を含む。各単位遊技は、いわゆる「1ラウンド」分の遊技である。例えば、「10ラウンド大当たり」は、10回の単位遊技を含む大当たり遊技である。以下の説明において、ある大当たり遊技における○回目の単位遊技を「○ラウンド目の単位遊技」と称することもある。各単位遊技は、常態において閉鎖されている大入賞領域10が所定の終了条件成立まで開放されるものである。大入賞領域10の入口は、大入賞開閉部材14により開閉される。大入賞開閉部材14は、大入賞領域10の入口を閉鎖する閉位置(原位置)と、入口を開放する開位置との間を往復動作可能なものである(いわゆるスライドアタッカーである)。大入賞開閉部材14が閉位置に位置した状態においては、大入賞領域10に遊技球が進入することは不可能である。本実施形態における大入賞開閉部材14は、遊技球が通過する通路の底面に沿うようにして前後にスライドするものであって、閉位置に位置した状態(最前端に位置した状態)においては当該通路の底面の一部を構築する。そのため、大入賞開閉部材14が開位置に位置した状態(最後端に位置した状態)では当該通路に「穴」が開いたような状態となる。したがって、大入賞領域10まで到達した段階で大入賞開閉部材14が開位置に位置していれば、(極めてイレギュラーな動きをしない限り)もれなく遊技球は大入賞領域10に進入する。
本実施形態では、単位遊技開始から所定個数の遊技球が入賞したこと(入賞条件)、および、単位遊技開始から所定時間経過したこと(時間条件)のいずれか一方の成立が終了条件として設定されている。入賞条件として設定される遊技球の入賞個数は、いわゆる「カウント」(C)と称される数である。本実施形態ではC=10に設定されている。遊技者が継続して大入賞領域10を狙って遊技球を発射し続けていれば(右打ちを行っていれば)、一の単位遊技にて所定個数の遊技球は入賞する。つまり、遊技者が継続して大入賞領域10を狙って遊技球を発射し続けていれば、入賞条件が成立して単位遊技が終了する。
また、本実施形態では、開放第二始動領域22aに遊技球が進入することを契機として1ラウンド目の単位遊技(最初の単位遊技)が開始される。したがって、大当たりに当選した後、右打ちが行わなければ1ラウンド目の単位遊技が開始されない。なお、必ずしもこのような設定としなければならないわけではない。大当たり当選後、自動的に1ラウンド目の単位遊技が開始される設定としてもよい。
5)小当たり
当否抽選により小当たりに当選した場合には、小当たり用の入賞領域(小入賞領域15と称する)が開放される小当たり遊技が実行される。小入賞領域15は、右打ちにより発射された遊技球が進入する可能性がある位置に設けられている。本実施形態では、いわゆる左打ちを行った場合には小入賞領域15に遊技球が進入する可能性はない。
小入賞領域15の入口は、小入賞開閉部材19により開閉される。小入賞開閉部材19は、小入賞領域15の入口を閉鎖する閉位置(原位置)と、入口を開放する開位置との間を往復動作可能なものである(いわゆるスライドアタッカーである)。小入賞開閉部材19が閉位置に位置した状態においては、小入賞領域15に遊技球が進入することは不可能である。本実施形態における小入賞開閉部材19は、遊技球が通過する通路の底面に沿うようにして前後にスライドするものであって、閉位置に位置した状態(最前端に位置した状態)においては当該通路の底面の一部を構築する。そのため、小入賞開閉部材19が開位置に位置した状態(最後端に位置した状態)では当該通路に「穴」が開いたような状態となる。したがって、小入賞領域15まで到達した段階で小入賞開閉部材19が開位置に位置していれば、(極めてイレギュラーな動きをしない限り)もれなく遊技球は小入賞領域15に進入する。
本実施形態では、小当たり遊技開始(小入賞領域15が開放されて)から所定の開放時間(例えば1秒)経過することで小当たり遊技が終了する(小入賞領域15が閉鎖される)。本実施形態では、一回の小当たり遊技につき、平均2個程度の遊技球の入賞が見込めるように設定されている。本実施形態では、小当たり遊技の態様は上記の一種のみである。小当たり遊技の態様として複数種の態様が設定された構成としてもよい。例えば、一回の小当たり遊技あたりの開放時間の長さ異なる複数種の態様が設定された構成とすることが考えられる。また、一回の小当たり遊技あたりの開放回数が異なる複数種の態様が設定された構成とすることも考えられる。
6)各領域の位置関係
右打ち遊技を行ったときに遊技球が進入する遊技領域902の右側においては、上述した「遊技球が進入可能な各領域」が次のような位置関係で配置されている。図4に模式的に示すように、遊技領域902の右側には、遊技球が通過する主通路40が左右に往復するように形成されている。主通路40は、上流側から見て、右から左にかけてわずかに下方に傾斜した第一段部41と、第一段部41の左端に繋がり下方に延びる第一中継部412と、第一中継部412の下端に繋がり左から右にかけてわずかに下方に傾斜した第二段部42と、第二段部42の右端に繋がり下方に延びる第二中継部423と、第二中継部423の下端に繋がり右から左にかけてわずかに下方に傾斜した第三段部43と、を有する。
第一段部41~第三段部43は、水平方向に沿う部分であって、各部分の底面は遊技球が下流方向に向かって転動可能な程度にわずかに傾斜した(水平方向に対して1度~5度の範囲で傾斜した)状態にある。上から、第一段部41、第二段部42、第三段部43の順で並び、各段部は上下方向にて少なくとも一部が重なるように配置されている。第一段部41の底面に沿うようにして大入賞開閉部材14が配置されている。つまり、第一段部41を遊技球が通過する際、大入賞開閉部材14が開位置に位置していれば遊技球は大入賞領域10に進入し、大入賞開閉部材14が閉位置に位置していれば遊技球は第一段部41を通過する(第一中継部412に移動する)。第二段部42の底面に沿うようにして始動用開閉部材29が配置されている。つまり、第二段部42を遊技球が通過する際、始動用開閉部材29が開位置に位置していれば遊技球は開閉第二始動領域22bに進入し、始動用開閉部材29が閉位置に位置していれば遊技球は第二段部42を通過する(第二中継部423に移動する)。第三段部43の底面に沿うようにして小入賞開閉部材19が配置されている。つまり、第三段部43を遊技球が通過する際、小入賞開閉部材19が開位置に位置していれば遊技球は小入賞領域15に進入し、小入賞開閉部材19が閉位置に位置していれば遊技球は第三段部43を通過する。このように、上から、大入賞開閉部材14(大入賞領域10)、始動用開閉部材29(開閉第二始動領域22b)、小入賞開閉部材19(小入賞領域15)の順で並び、各開閉部材(領域)は上下方向にて少なくとも一部が重なるように配置されている。開閉部材が開位置に位置している際には、対応する領域に遊技球が進入するため、(イレギュラーな動き等が生じなければ)それより下流の領域に遊技球は到達しないことになる。
主通路40を通過した遊技球は、検出通路45に進入する。検出通路45には開放第二始動領域22a(検出領域)が設けられている。検出通路45に進入した遊技球は必ず開放第二始動領域22aを通過することになる。つまり、右打ちされた遊技球のうち、大入賞領域10、開閉第二始動領域22b、小入賞領域15のいずれにも進入せず、検出通路45に進入した遊技球は、必ず開放第二始動領域22aを通過することになる。ゆえに、右打ちした場合には比較的容易に第二当否抽選を受けることができる。換言すれば、第二当否抽選を受けないように右打ちすることは不可能である。
なお、主通路40や検出通路45の途中に適宜アウト口(遊技球が進入しても、当否抽選の実行や賞球の払い出しがなく、進入した遊技球が内部に取り込まれる(遊技球が遊技領域902外に移動することになる)口)が設けられていてもよい。本実施形態では、大入賞領域10から開放第二始動領域22aまでの通路にはアウト口が設けられていない。
7)疑似入賞領域
図4に示すように、検出通路45の下流側には、対象通路46および別通路48が設けられている。検出通路45には開放第二始動領域22a(検出領域)が設けられているため、対象通路46や別通路48は開放第二始動領域22aを通過した遊技球が進入する通路であるということである。検出通路45を通過した遊技球はもれなく対象通路46に進入する。別通路48は、対象通路46の途中(以下、分岐箇所と称することもある)に入口が設けられたものである。具体的には、別通路48の入口を開閉する別開閉部材49が設けられており、当該別開閉部材49が開位置に位置するときに限り、別通路48内に遊技球が進入可能である。本実施形態では、対象通路46に進入した遊技球が分岐箇所まで到達した時点で別開閉部材49が開位置に位置していれば(遊技球が極めてイレギュラーな動きをしない限り)遊技球が別通路48に進入し、別開閉部材49が閉位置に位置していれば遊技球はそのまま対象通路46を流下していくように設定されている。なお、別通路48の入口は常態において開放されている(別開閉部材49は開位置が原位置である)。
別通路48の出口はアウト口となっている(以下、別通路48の出口に設けられたアウト口と特に別アウト口481と称する)。つまり、対象通路46に進入した遊技球が分岐箇所まで到達した時点で別開閉部材49が開位置に位置していれば、当該対象通路46に進入した遊技球は別アウト口481に導かれる。
対象通路46に進入した遊技球のうち、別通路48に進入しなかった遊技球はそのまま対象通路46を流下する。対象通路46における分岐箇所よりも下流側には、疑似入賞領域50が設けられている。具体的には、対象通路46における疑似入賞領域50の上側には当該通路の底面に沿うようにして前後にスライドする疑似入賞開閉部材51が設けられている。疑似入賞開閉部材51は、閉位置(原位置)に位置した状態(最前端に位置した状態)においては対象通路46の底面の一部を構築する。疑似入賞開閉部材51が開位置に位置した状態にて疑似入賞領域50の上側まで到達した遊技球はもれなく疑似入賞領域50に進入する。なお、本実施形態では、対象通路46の末端まで到達した遊技球は内部に取り込まれる。詳細を後述するように、対象通路46に進入した遊技球のうち、別通路48に進入しなかった遊技球は疑似入賞領域50に進入するよう設定されている。したがって、イレギュラーな状況が生じない限り、遊技球が末端まで到達することはない。対象通路46を行き止まりとしてもよい。
当該疑似入賞領域50は、遊技球が進入しても賞球が払い出されない領域である。また、疑似入賞領域50に遊技球が進入したとしても、遊技者の実際の利益(「出玉」に関する利益)に関係する抽選等が行われるわけではない。疑似入賞領域50に進入した遊技球は内部に取り込まれる(遊技領域902外に移動する)ため、疑似入賞領域50の機能としては「アウト口」と同じである。つまり、疑似入賞領域50に遊技球が進入することと、遊技者の実際の利益とは全くの無関係である。ただ、疑似入賞領域50は、大入賞領域10等と同じような「入賞領域」であるかのように遊技者に見える態様(「疑似的な入賞」を実現するための領域)とされている。本実施形態では、疑似入賞領域50の近傍には、「SPECIAL ATTACKER」の文字が付されており(遊技盤90の表面に付された構成であってもよいし、遊技盤90に固定された別の部材に付されていてもよい。疑似入賞領域50が「SPECIAL ATTACKER」という名称であることを遊技者が把握できる程度の近い位置に当該文字が設けられていればよい)(図2参照)、遊技球入賞で賞球が払い出される「アタッカー」であるかのように示されている。
8)遊技性
本実施形態にかかる遊技機1の遊技状態は、大きく分けて四種類に区別される(図5(a)参照)。リセットされた状態においては、遊技機1は、低確率状態かつ低ベース状態の通常遊技状態にある。通常遊技状態においては、遊技者は左打ち遊技を行い(左打ち遊技が促され)、第一始動領域21に遊技球が進入することを契機とした第一当否抽選にて大当たりに当選することを目指して遊技する(第一当否抽選が「主」として受ける当否抽選となる)。なお、通常遊技状態中に右打ち遊技を行った場合、比較的容易に開放第二始動領域22aに遊技球が進入する。つまり、比較的容易に第二保留情報が取得される。しかし、通常遊技状態中においては、第一当否抽選の結果を報知する報知演出に要する時間(第一変動時間)に比して、第二当否抽選の結果を報知する報知演出に要する時間(第二変動時間)の方が著しく長くなるように設定されている。具体的には、第一変動時間の平均は数秒~数十秒程度に設定される一方、第二変動時間の平均は十分超となるといった設定とされる。したがって、通常遊技状態にて右打ちすることで第二当否抽選により大当たり当選を目指しても、一つの当否抽選の結果の報知に長時間を要することになるから、まともに遊技をすることができないことになる。つまり、遊技者は左打ち遊技にて大当たり当選を目指すことになる。
通常遊技状態よりも遊技者に有利な遊技状態として、特別遊技状態が設定されている。本実施形態では、第一特別遊技状態、第二特別遊技状態、第三特別遊技状態が設定されている。後述するように、いずれの特別遊技状態中も遊技者は右打ち遊技を行う(右打ち遊技が促される)。特別遊技状態は、通常遊技状態とは異なり、第二変動時間が著しく長いということはなく、右打ち遊技にて第一当否抽選情報は取得されない。したがって、第二当否抽選が「主」として受ける当否抽選となる。
第一特別遊技状態は、低確率状態かつ高ベース状態である。第一特別遊技状態においては、遊技者は右打ち遊技を行う。したがって、開放第二始動領域22aに遊技球が容易に進入する。また、普通抽選に当選する確率が高いため、頻繁に開閉第二始動領域22bが開放され、当該開閉第二始動領域22bに遊技球が進入する。つまり、容易に第二当否抽選情報が取得される(第二当否抽選が実行される)。
第二特別遊技状態は、高確率状態かつ高ベース状態である。第一特別遊技状態においては、遊技者は右打ち遊技を行う。したがって、開放第二始動領域22aに遊技球が容易に進入する。また、普通抽選に当選する確率が高いため、頻繁に開閉第二始動領域22bが開放され、当該開閉第二始動領域22bに遊技球が進入する。つまり、容易に第二当否抽選情報が取得される(第二当否抽選が実行される)。
第二特別遊技状態(高確率状態)は、小当たり当選確率が高いため、小入賞領域15が開放されることが頻繁に発生する。しかし、これとともに、高ベース状態であるがゆえ、普通抽選に当選することで開閉第二始動領域22bが開放されることも頻繁に発生する。上述した通り、主通路40にて、小入賞領域15よりも開閉第二始動領域22bの方が上流側に位置するため、開閉第二始動領域22bが開放されている際は全ての遊技球が開閉第二始動領域22bに進入し(イレギュラーな動きをすることで偶発的に進入しない遊技球が発生することもある)、小入賞領域15に到達する遊技球が存在しなくなる。したがって、小当たりに当選して小入賞領域15が開放されても小入賞領域15に進入する遊技球の数は極めて少ない(または、このような遊技球は存在しない)。具体的には、第二特別遊技状態中における一回の小当たり当選あたりの小入賞領域15に進入する遊技球の数の期待値は、後述する第三特別遊技状態中よりも小さい。
本実施形態では、第二特別遊技状態における普通抽選の時間(変動時間)は極めて短く(0.1秒程度である)、普通抽選の当選確率はほぼ100%(99%以上)である。右打ち遊技を行った場合には、必然的に遊技球が普通始動領域28に進入し、普通抽選が実行されることになるから、ほとんどの期間において開閉第二始動領域22bは開放された状態にある。したがって、小当たりに当選して小入賞領域15が開放されても、小入賞領域15に入賞する遊技球はほとんど生じない。始動用開閉部材29が閉位置に位置する短い期間中に開閉第二始動領域22b上を通過した遊技球が小入賞領域15に到達したときに、タイミングよく当該小入賞領域15が開放していた場合に限り入賞する。
第三特別遊技状態は、高確率状態かつ低ベース状態である。第三特別遊技状態においては、遊技者は右打ち遊技を行う。したがって、開放第二始動領域22aに遊技球が容易に進入する。つまり、容易に第二当否抽選情報が取得される(第二当否抽選が実行される)。後述するように、第三特別遊技状態では、開閉第二始動領域22bへの遊技球の進入は期待できない(上述した通り、本実施形態における低ベース状態とは、高ベース状態よりも、開閉第二始動領域22bに遊技球が進入しにくい状態をいう)。
第三特別遊技状態(高確率状態)は、小当たり当選確率が高いため、小入賞領域15が開放されることが頻繁に発生する。また、低ベース状態であるがゆえ、普通抽選には当選しにくい(当選しない)。つまり、開閉第二始動領域22bが開放された状態となりにくい(開放されない)。そのため、右打ちされた遊技球は、ほとんどが開閉第二始動領域22bに進入せずに(始動用開閉部材29上を転動して)、小入賞領域15まで到達する。つまり、小入賞領域15への遊技球の入賞が頻発する。本実施形態では、右打ち遊技を継続して行っていれば、一回の小当たり当選あたりの小入賞領域15に進入する遊技球の数の期待値=2程度となるような設定とされている。したがって、第三特別遊技状態が続くほど(第三特別遊技状態にて小当たり当選を重ねるほど)、遊技者は持ち球を増やすことができる。
各遊技状態に移行する条件はどのようなものであってもよい。本実施形態では、図5(b)に示すように、基本的には当選した大当たりの種類に応じ、当該大当たり遊技終了後の遊技状態が異なるように設定されている。大当たりの種類として、第一大当たり、第二大当たり、第三大当たりが設定されている。第一大当たり遊技終了後は第一特別遊技状態に移行する。第一特別遊技状態に移行した後、当否抽選結果が100回連続してはずれとなることを契機として通常遊技状態に移行する。第二大当たり遊技終了後は第二特別遊技状態に移行する。第二特別遊技状態は次回大当たりまで継続する。第三大当たり遊技終了後は第三特別遊技状態に移行する。第三特別遊技状態は次回大当たりまで継続する。上述した通り、第三特別遊技状態は、継続すればするほど持ち球を増やすことができる状態であるため、大当たりに当選せずに第三特別遊技状態が継続することを遊技者は願うことになる。なお、本実施形態では、第一当否抽選にて大当たりに当選したときの大当たりの種類の振分(特図1の振分)と、第二当否抽選にて大当たりに当選したときの大当たりの種類の振分(特図2の振分)は同じであるが、異ならせてもよい。
9)疑似入賞領域の制御
大当たり遊技状態(特定状態)中における疑似入賞領域50の制御について説明する。なお、図面において、別開閉部材49を除く開閉部材については、開位置に位置する状態を点線で、閉位置に位置する状態を実線で示す。上述した通り、大当たり遊技状態においては、大入賞領域10(特定入賞領域)が開放される(大入賞開閉部材14が開位置に変位する)ことになる(図6(a)参照)。加えて、大当たり遊技状態においては、所定条件を満たすことで閉鎖された状態にある疑似入賞領域50が開放される(疑似入賞開閉部材51が開位置に変位する)ことになる。本実施形態では、遊技球が開放第二始動領域22a(検出領域)に進入することを契機として疑似入賞領域50が開放される(遊技球が開放第二始動領域22aに進入することが所定条件の成立とされている)(図6(b)(c)参照)。大当たり遊技状態が開始された後、疑似入賞領域50が閉鎖された状態にあるときに所定条件が成立したときには、もれなく疑似入賞領域50が開放される。つまり、所定条件成立を契機として抽選が行われ、当該抽選に当選した場合に疑似入賞領域50が開放されるというわけではない。
また、大当たり遊技状態が開始された後、遊技球が開放第二始動領域22a(検出領域)に進入することを契機として、すなわち所定条件成立を契機として、別開閉部材49が開位置から閉位置に変位する(図6(b)(c)参照)。つまり、別通路48の入口が閉鎖され、遊技球が別通路48に進入できない状態となる。したがって、対象通路46を通過する遊技球は、別通路48に進入せずに疑似入賞領域50まで到達する。別開閉部材49が開位置にあるときに所定条件が成立したときには、もれなく別開閉部材49が閉位置に変位する。つまり、所定条件成立を契機として抽選が行われ、当該抽選に当選した場合に別開閉部材49が閉位置に変位するというわけではない。
大当たり遊技状態においては右打ちされることになるが、全ての遊技球が大入賞領域10に入賞するわけではない。本実施形態では、開放第二始動領域22aに遊技球が進入することが1ラウンド目の単位遊技が開始される条件として設定されているため、1ラウンド目の単位遊技が開始されるよりも前に必ず少なくとも一の遊技球が開放第二始動領域22aに進入する。
また、ある単位遊技の終了時点から次の単位遊技が開始される時点までは大入賞領域10は閉鎖された状態にあるところ、その間に大入賞領域10まで到達した遊技球は大入賞領域10に入賞せずに通過する。大当たり遊技状態においては大入賞領域10よりも下流にある開閉第二始動領域22bや小入賞領域15も閉鎖されているためこれらの領域に遊技球が進入することはない。また、主通路40の途中にアウト口も設けられていない。したがって、大入賞領域10が開放された状態(単位遊技が実行された状態)で大入賞領域10に入賞しなかった遊技球は、必然的に開放第二始動領域22aに進入する(図6(b)参照)。なお、主通路40の途中にアウト口が設けられているとしても、大入賞領域10に入賞しなかった遊技球の全てがアウト口に導かれるわけではないから、一部の遊技球は開放第二始動領域22aに進入する。
別開閉部材49が開位置にあり、疑似入賞開閉部材51が閉位置にある状態で遊技球が開放第二始動領域22aに進入することを契機として、別開閉部材49は閉位置に、疑似入賞開閉部材51は開位置に位置する(図6(c)参照)。したがって、遊技球は別通路48に進入せず、対象通路46を流下して疑似入賞領域50まで到達する。ここで、別開閉部材49が閉位置に到達するタイミングは、上記最初の遊技球が分岐箇所に到達するタイミングよりも前とされる。また、疑似入賞開閉部材51が開位置に到達するタイミングは、上記最初の遊技球が疑似入賞領域50の上側に到達するよりも前とされる。つまり、別開閉部材49および疑似入賞開閉部材51を変位させる契機となった遊技球自体も別通路48に進入せず、疑似入賞領域50に進入することになる(図6(d)参照)。上述したように、本実施形態では、開放第二始動領域22aに遊技球が進入することが1ラウンド目の単位遊技が開始されることの契機として設定されているため、少なくとも当該遊技球は疑似入賞領域50に進入することになる。
本実施形態では、大当たり遊技状態中に、疑似入賞領域50への遊技球の進入が所定時間(例えば3秒)検出されなかった場合には、疑似入賞領域50が閉鎖される、すなわち別開閉部材49が開位置に、疑似入賞開閉部材51が閉位置に変位するようにする。そして、疑似入賞領域50が閉鎖された後、遊技球が開放第二始動領域22a(検出領域)に進入したことが再度検出された場合には、それを契機として再び別開閉部材49が閉位置に、疑似入賞開閉部材51が開位置に変位するようにする。つまり、大入賞領域10に入賞しなかった遊技球が疑似入賞領域50に進入する状態となる。
このように各開閉部材が制御されるため、大当たり遊技状態にて大入賞領域10に進入せず開放第二始動領域22aまで到達した遊技球は対象通路46を通り疑似入賞領域50に進入することになる。本実施形態では、主通路40にアウト口が設けられておらず、大当たり遊技状態においては小入賞領域15や開閉第二始動領域22bにも遊技球が進入しないため、大入賞領域10に進入しなかった遊技球は開放第二始動領域22aまで到達してもれなく疑似入賞領域50に進入することになる。したがって、遊技者の視点では、大入賞領域10に入賞せずに「こぼれた遊技球」が他の入賞領域(疑似入賞領域50)に拾われているという印象を受ける。実際には、疑似入賞領域50は、遊技球の進入により賞球が払い出される領域ではない(「疑似的な入賞」を実現する領域である)ため、出玉が過大になることを抑制しつつ、遊技球の「こぼれ」が少なくなることによる大当たり遊技の爽快感を生じさせることができるという利点がある。
なお、主通路40(大入賞領域10と開放第二始動領域22aの間の通路)にアウト口が設けられ、大入賞領域10からこぼれた遊技球が当該アウト口に進入する可能性がある設定としてもよい。また、大当たり遊技状態にて小入賞領域15や開閉第二始動領域22bに遊技球が進入する可能性がある設定としてもよい。つまり、大入賞領域10に入賞しなかった遊技球の一部が開放第二始動領域22aに到達する構成としてもよい。このようにしても、当該一部の遊技球は疑似入賞領域50に「拾われる」ことになるから、上記と同様の作用が奏される。ただし、本実施形態のように、大入賞領域10に入賞しなかった遊技球の全てが開放第二始動領域22aに到達する構成とすることで、大入賞領域10からこぼれた遊技球がもれなく疑似入賞領域50に拾われるという状況を作り出すことができる。
疑似入賞領域50に遊技球が進入する度に、表示領域911に所定の画像(以下、疑似入賞画像58と称する)が表示されるようにするとよい。つまり、実際には賞球が払い出されない入賞であるにも拘わらず、敢えて当該入賞を表す画像が表示されるようにする。疑似入賞画像58の態様はどのようなものであってもよい(図6においては、(d)のみ表示領域911を示し、当該表示領域911に表示される疑似入賞画像58の一例を示す)。毎回決まった態様の疑似入賞画像58が表示されるものとしてもよいし、予め候補として設けられた複数種の態様のうちのいずれかが疑似入賞画像58として表示されるようにしてもよい。このような疑似入賞画像58が表示されるようにすることで、疑似入賞領域50に遊技球が入賞していること(大入賞領域10に入賞しなかった遊技球が拾われていること)が強調されることになる。
また、本実施形態における疑似入賞領域50は、開放第二始動領域22a(検出領域)に遊技球が進入することを契機として疑似入賞開閉部材51が変位して開放されるものである。つまり、常態において閉鎖された疑似入賞領域50が開放されるという変化が生じた上で大入賞領域10に入賞しなかった遊技球が当該領域に進入することになるため、遊技者はこぼれた遊技球が拾われているという印象をより強くすることになる。
また、本実施形態では、開放第二始動領域22a(検出領域)に遊技球が進入することを契機として別通路48の入口が閉鎖され、遊技球が対象通路46を通じて疑似入賞領域50まで導かれる状態となる。つまり、大入賞領域10からこぼれた遊技球を別通路48に進入させず強制的に疑似入賞領域50への入賞(疑似的な入賞)を実現させているようにみえるため、遊技者はこぼれた遊技球が拾われているという印象をより強くすることになる。
また、本実施形態では、疑似入賞開閉部材51を変位させる契機となった遊技球自体も疑似入賞領域50に進入するように設定されている。つまり、当該遊技球が「間に合うように」、別開閉部材49および疑似入賞開閉部材51が変位させられる。このようにすることで、疑似入賞領域50に進入しない遊技球が減ることになる。本実施形態のように、大入賞領域10に入賞しなかった遊技球の全てが開放第二始動領域22aに到達する構成とするのであれば、大入賞領域10に入賞しなかった全ての遊技球が疑似入賞領域50に拾われることになる。
また、本実施形態では、疑似入賞領域50への遊技球の進入が所定時間検出されない場合は一旦疑似入賞領域50が閉鎖され(別開閉部材49が開位置に、疑似入賞開閉部材51が閉位置に位置させられる)、再び開放第二始動領域22aに遊技球が進入することを契機として開放される(別開閉部材49が閉位置に、疑似入賞開閉部材51が開位置に位置させられる)ように設定されている。つまり、大当たり遊技を通じ、疑似入賞領域50が開放状態および閉鎖状態の一方から他方に変更することが生じる(必ず疑似入賞領域50の開放状態が維持されるというわけではない)。このようにすることで、遊技者には大入賞領域10からこぼれた遊技球が疑似入賞領域50にタイミングよく拾われているように見えるから、大当たり遊技の爽快感が向上する。
上記疑似入賞領域50に関する事項を改良、変形、具体化等した具体例を以下に示す。なお、可能な限りにおいて、以下の具体例にて説明する事項を複数組み合わせて適用した構成としてもよい。
○第一具体例
別通路48(別開閉部材49)が設けられていない(対象通路46から分岐した通路が設けられていない)構成としてもよい。つまり、開放第二始動領域22a(検出領域)を通過した遊技球がそのまま対象通路46を通じて疑似入賞領域50に到達する設定としてもよい。
なお、上記実施形態のように別通路48を設けることの利点は次の通りである。別通路48は常態において入口が開放されている通路である。そのため、大当たり遊技状態中以外の右打ちすべき状態(特別遊技状態)において、対象通路46に進入した遊技球は分岐箇所にて別通路48に進入し、疑似入賞領域50側に誘導されないことになる。したがって、疑似入賞領域50側に遊技球が誘導されるのは、大当たりに当選したことによって生じる特殊な事象であるという印象を遊技者は受ける。それゆえ、疑似入賞領域50が本当の入賞領域(遊技球の進入により賞球が払い出される領域)であるかのように遊技者が感じる蓋然性が高くなる。
上述した通り、別通路48の末端はアウト口(別アウト口481)であるが、このような印象を遊技者に与えないような態様とされているとよい。具体的には、別通路48の末端が入賞領域であるかのような印象を与える要素が別通路48の末端に付随するようにして表示されているとよい。例えば、「おまけ」といった文字が付されている態様とする。特別遊技状態中には開閉第二始動領域22bや小入賞領域15に進入しなかった遊技球の少なくとも一部が別通路48に誘導されることになるところ、別通路48の末端に入賞領域が設けられているかのような設定とすることで、開閉第二始動領域22bや小入賞領域15に入賞しなかった(これらの領域から「こぼれた」)遊技球が別の入賞領域に入賞するかのような態様を実現することができる。
○第二具体例
大当たり遊技状態が開始された後、疑似入賞領域50が開放された後は、大当たり遊技が終了するまで疑似入賞領域50の開放状態が維持されるものとする。つまり、大当たり遊技状態が開始された後、開放第二始動領域22aに遊技球が進入することで、別開閉部材49が閉位置に、疑似入賞開閉部材51が開位置に位置した後は、大当たり遊技が終了するまでこれらの開閉部材の位置が維持されるようにしてもよい。このようにしても、疑似入賞領域50が開放されて以降の大入賞領域10に入賞しなかった遊技球も疑似入賞領域50に進入することになる。
○第三具体例
疑似入賞領域50は常時開放された領域であってもよい。つまり、常態において閉鎖されており、大当たり遊技状態にて遊技球が開放第二始動領域22a(検出領域)に進入することを契機として開放されて遊技球が進入可能な状態となるのではなく、常時遊技球が進入可能な状態である構成(疑似入賞開閉部材51が設けられていない構成)とする。このようにしても、大入賞領域10からこぼれた遊技球は疑似入賞領域50に拾われることになる。ただし、上記実施形態のように常態において閉鎖されている領域が所定条件成立を契機として開放されるような態様とすることで、大入賞領域10からこぼれた遊技球が疑似入賞領域50にタイミングよく拾われているように見え、大当たり遊技の爽快感をもたらす作用に優れるという利点がある。
○第四具体例
上記実施形態では、開放第二始動領域22a(検出領域)への遊技球の進入を契機に、疑似入賞領域50が開放される(別開閉部材49が閉位置に、疑似入賞開閉部材51が開位置に位置させられる)ことを説明したが、開放第二始動領域22a(検出領域)への遊技球の進入に関係なく、疑似入賞領域50が制御される構成としてもよい。一例として、時間経過に基づき、疑似入賞領域50が制御されるようにすることが考えられる。例えば、T1時間が経過するまで疑似入賞領域50が開放され(別開閉部材49が閉位置に、疑似入賞開閉部材51が開位置に位置させられる)、T2時間が経過するまで疑似入賞領域50が閉鎖される(別開閉部材49が開位置に、疑似入賞開閉部材51が閉位置に位置させられる)ことが繰り返されるようにする。
別例として、単位遊技の実行に合わせて疑似入賞領域50が制御される構成とすることが考えられる。例えば、大入賞領域10からこぼれる遊技球は単位遊技間(ラウンド間)、すなわち大入賞領域10が閉鎖されている状態にて生じやすいのであるから、大当たり遊技状態中における単位遊技間にて疑似入賞領域50が開放される(別開閉部材49が閉位置に、疑似入賞開閉部材51が開位置に位置させられる)ようにする(図7参照)。このようにする場合、単位遊技間にて大入賞領域10からこぼれた遊技球が即座に疑似入賞領域50に拾われるようにする必要がある。したがって、大入賞領域10からこぼれた遊技球ができるだけ多く疑似入賞領域50に拾われるようにするのであれば、大入賞領域10と疑似入賞領域50とはできるだけ近接して設けることが好ましい。別通路48(別開閉部材49)を設けず、大入賞領域10の直下に疑似入賞領域50が位置する(大入賞領域10と疑似入賞領域50が上下に並ぶ)ような態様とすること等考えられる。また、大入賞領域10が閉鎖されている期間の長さ(ラウンド間の長さ)よりも、疑似入賞領域50が開放される期間の長さを長くしてもよい。つまり、大入賞領域10が閉鎖されている期間と、疑似入賞領域50が開放される期間が重複していればよい。
さらなる別例として、ランダムに疑似入賞領域50の開閉が制御されるものとすることが考えられる。このようにした場合、疑似入賞領域50が開放される(別開閉部材49が閉位置に、疑似入賞開閉部材51が開位置に位置させられる)タイミングは全く遊技者に予測ができないものとなる。
本例のようにする場合、大入賞領域10からこぼれた遊技球は、タイミングがよければ疑似入賞開閉部材51に拾われる、という態様となる。このようにしても、大入賞領域10に進入しなかった遊技球の一部は疑似入賞開閉部材51に拾われることになるから、大入賞領域10からこぼれてしまう遊技球が多くなることの遊技者の苛立ちが抑制される。
10)大当たり当選時の指示
上述した通り、識別図柄80の組み合わせが大当たり組み合わせとなり、大当たり遊技が開始された後、開放第二始動領域22aに遊技球が進入することを契機として1ラウンド目の単位遊技(最初の単位遊技)が開始される(図8(b)参照)。開放第二始動領域22aに遊技球を進入させなければ1ラウンド目の単位遊技は開始されない。このように、開放第二始動領域22aは、大入賞領域10が開放される契機となる「開放契機領域」である。つまり、本実施形態における開放第二始動領域22aは、遊技球の進入が大入賞領域10を開放させる契機となる開放契機領域であり、かつ、疑似入賞領域50を開放させる(別開閉部材49を閉位置に、疑似入賞開閉部材51を開位置に位置させる)契機となる検出領域でもある。大入賞領域10の開放が大当たり遊技の開始であると捉えるのであれば、大当たりの権利を獲得した後、開放第二始動領域22aに遊技球を通過させることが、大当たり遊技の開始条件であるということである。
検出領域としての開放第二始動領域22aに遊技球が進入すると、それを契機として別開閉部材49が閉位置に、疑似入賞開閉部材51が開位置に位置し(図8(b)参照)、開放された疑似入賞領域50に遊技球が進入する。当該疑似入賞領域50に遊技球が進入することを契機として大当たり遊技中に実行されるべき演出(特定演出)が開始される(図9参照)。つまり、疑似入賞領域50は、遊技球の進入により特定演出が開始される契機となる「演出契機領域」である。本実施形態における大当たり遊技では、一または複数種の大当たり用映像のうちのいずれかが出力されるところ、演出契機領域である疑似入賞領域50への遊技球の進入を契機として当該映像の出力が開始される。なお、当該映像が最後まで出力されたときに未だ大当たり遊技が終了していない場合には最初から出力される(当該映像は循環して出力される)。
大当たりに当選した後(当否抽選結果を示す識別図柄80の組み合わせが大当たり組み合わせとなった後)、表示領域911には疑似入賞領域50(演出契機領域)を狙って遊技球を発射させる旨を遊技者に示す画像(指示画像60)が表示される。本実施形態では、疑似入賞領域50には「SPECIAL ATTACKER」という名称が付されているため、表示領域911には「SPECIAL ATTACKERを狙え」という文字を含む指示画像60が表示される(図8(a)参照)。このような指示画像60とするのはあくまで一例である。指示画像60が、疑似入賞領域50を指し示す「矢印」を含む態様とされるものとしてもよい。
また、上記のような指示画像60が表示されるとともに、または、指示画像60の代わりに、疑似入賞領域50が通常とは異なる態様(特殊態様)とされるようにしてもよい。例えば、疑似入賞領域50内または疑似入賞領域50の周囲に発光部を設け、当該発光部を発光させることで疑似入賞領域50を狙って遊技球を発射させる旨を遊技者に示すようにしてもよい。
上述した通り、大入賞領域10が開放される(1ラウンド目の単位遊技が開始される)契機となるのは、あくまで「開放第二始動領域22a(開放契機領域)への遊技球の進入」(図8(b)に示すタイミング)であり、「疑似入賞領域50(演出契機領域)への遊技球の進入」(図9に示すタイミング)ではない。つまり、開放第二始動領域22aに遊技球が進入しなければ、大当たり当選の利益を遊技者は享受することができない。したがって、通常であれば、開放第二始動領域22aを狙って遊技球を発射させる旨表示されるべきである。しかし、開放第二始動領域22aは、常に開放されている領域(ゲート)であり、目立たない領域である(大当たりに当選することによって何らかの変化が生じる領域ではない)から、当該開放第二始動領域22aを狙うべき領域として示しても遊技者はどこに遊技球を発射すればよいか分からず不安を感じるおそれがある。これを踏まえ、本実施形態では、開閉部材(疑似入賞開閉部材51)が設けられた領域(開閉される領域であることを遊技者が把握できる領域)であり、開放第二始動領域22aよりも目立つ領域である疑似入賞領域50を狙うべき領域として示す(図8(a)参照)ことで遊技者が不安を感じるおそれを低減する。疑似入賞領域50に進入する遊技球は必ず開放第二始動領域22aを通過することになるため、疑似入賞領域50を狙って遊技球を発射させても開放第二始動領域22aに遊技球が進入して大入賞領域10が開放することになる。
そして、大入賞領域10が開放される(1ラウンド目の単位遊技が開始される)のは開放第二始動領域22aに遊技球が進入することを契機としてではある(図8(b)参照)ものの、大当たり遊技用の演出である特定演出が開始されるのは疑似入賞領域50に遊技球が進入することを契機としてである(図9参照)から、遊技者には疑似入賞領域50に遊技球が進入することを契機として大当たり遊技(1ラウンド目の単位遊技)が開始されているように見える。
特に、本実施形態では、疑似入賞領域50(演出契機領域)は、開放第二始動領域22a(開放契機領域)への遊技球の進入を契機として開放される領域であるため、開放第二始動領域22aに遊技球が進入しなければ疑似入賞領域50に遊技球が進入することはない。したがって、大入賞領域10が開放される(1ラウンド目の単位遊技が開始される)よりも前に、特定演出が開始されることはない。
上記大当たり当選時の指示に関する事項を改良、変形、具体化等した具体例を以下に示す。なお、可能な限りにおいて、以下の具体例にて説明する事項を複数組み合わせて適用した構成としてもよい。
○第一具体例
疑似入賞領域50(演出契機領域)は、開放第二始動領域22a(開放契機領域)への遊技球の進入を契機として開放される領域であることを説明したが、このような関係が設定されていなくてもよい。つまり、開放第二始動領域22aへの遊技球の進入と、疑似入賞領域50の開放とが全く関係がない設定であってもよい。また、疑似入賞領域50が常時開放された領域(疑似入賞開閉部材51が設けられていない設定)としてもよい。大入賞領域10が開放される(1ラウンド目の単位遊技が開始される)よりも前に、特定演出が開始されることがないようにするのであれば、疑似入賞領域50への遊技球の進入よりも、開放第二始動領域22aへの遊技球の進入の方が先に発生する構成であればよい。基本的には、疑似入賞領域50が設けられた箇所よりも上流側に開放第二始動領域22aが設けられた設定とし、疑似入賞領域50に進入するためには開放第二始動領域22aが設けられた箇所を通過しなければならない構成とすればよい。
ただし、上記実施形態のように、開放第二始動領域22aへの遊技球の進入を契機として疑似入賞領域50が開放されるようにすることで、開放第二始動領域22aへの遊技球の進入が疑似入賞領域50への遊技球の進入のための必須条件となるため、大入賞領域10が開放される(1ラウンド目の単位遊技が開始される)よりも前に、特定演出が開始されることが確実に防止される。
○第二具体例
大入賞領域10が開放される(1ラウンド目の単位遊技が開始される)時点と、特定演出が開始される時点が大きく乖離しなければ遊技者が違和を感じてしまうおそれは低いと考えるのであれば、疑似入賞領域50(演出契機領域)への遊技球の進入が、開放第二始動領域22a(開放契機領域)への遊技球の進入よりも先に生じうる設定としてもよい。疑似入賞領域50に向かって遊技球を発射させれば、ほぼ確実に開放第二始動領域22aに遊技球が進入することになるように両領域が配置されているのであれば、進入の順序は問わない設定としてもよい。
○第三具体例
特定演出(疑似入賞領域50(演出契機領域)への遊技球の進入を契機として開始される演出)として、いわゆる昇格演出等の大当たりの種別を報知する演出が実行されるものとする(図10参照)。この種の演出それ自体は公知であるため詳細な説明を省略するが、大当たり当選時にはいずれの種類の大当たりに当選したのか明確に示されず、大当たり遊技中の演出によりどの種類の大当たりに当選したのか報知するというような態様のものが考えられる。大当たり遊技終了後に設定される遊技状態を大当たり遊技中に示すものであるともいえる。一例として、第一大当たり(大当たり遊技終了後の遊技状態が第一特別遊技状態(低確率・高ベース)となる大当たり)および第二大当たり(大当たり遊技終了後の遊技状態が第二特別遊技状態(高確率・高ベース)となる大当たり)のいずれに当選したのか当選時には不明である大当たり遊技において、当該大当たりが第一大当たりおよび第二大当たりのいずれであるのかを報知する演出が特定演出として実行される構成とすることが考えられる。具体的には、例えば、疑似入賞領域50(演出契機領域)への遊技球の進入を契機として、味方側キャラクタと敵側キャラクタが戦うバトル演出が特定演出として開始されるようにすることが考えられる(図10(a)参照)。第二大当たり当選時には、味方側キャラクタが勝利する遊技者に有利な結末(図10(b)参照)に至り、第一大当たり当選時には、味方側キャラクタが敗北する遊技者に不利な結末(図10(c)参照)に至る。
○第四具体例
疑似入賞領域50(演出契機領域)への遊技球の進入を契機として特定演出が開始されるとともに、当該特定演出が開始された後、疑似入賞領域50への遊技球の進入を契機として当該特定演出が進行する設定とする。一例として、所定の演出要素が段階的に変化していく演出(ステップアップ演出)が特定演出として実行されるようにすることが考えられる。具体的には、例えば、表示領域911に表示される所定の演出画像65の色が段階的に変化していく演出を特定演出とする。「白」(最低段階)→「青」→「緑」→「赤」→「虹」(最高段階)というように段階的に変化していく可能性があり、いずれの段階まで進行するかに応じて遊技者に有利な事象が発生するか否か(例えば、大当たり遊技終了後の遊技状態が遊技者に有利な遊技状態となるか否か)が示唆されるものとする。有利な事象が発生するか否かに応じ、進行しうる最大の段階が内部的に決まっているものとする(以下、当該内部的に決められる最大の段階を限界段階と称する)。例えば、ある特定演出にて限界段階が「緑」に設定されたのであれば、当該特定演出にて「赤」や「虹」が表示されることはない。有利な事象が発生する場合ほど限界段階が高くなる。
このような構成であることを前提とし、特定演出が開始された(図11(a)参照)後、疑似入賞領域50への遊技球の進入を契機として、段階のステップアップ(色の変化)が生じる可能性がある(図11(b)参照)ものとする。具体的には、現在の段階が限界段階に到達していない状況(現在の段階が限界段階未満である状況)にて、疑似入賞領域50に遊技球が進入することを契機として所定の抽選(進行抽選)を行い、進行抽選に当選した場合に段階のステップアップが生じるようにする。特定演出が実行されている最中(演出画像65が表示されている最中)は、遊技者に対し、疑似入賞領域50を狙って遊技球を発射させるべき旨の表示がなされるようにする。これとともに、演出画像65の色が変化するかもしれないことを示唆するような表示(例えば、「SPECIAL ATTACKERを狙って色を変化させろ」といった表示)がなされるようにするとよい(図11(a)参照)。なお、現在の段階が限界段階に到達した場合には、それ以上のステップアップは発生しない(進行抽選は行われない)。また、二段階以上のステップアップが一気に起こりうる設定としてもよい。
このように、疑似入賞領域50(演出契機領域)を、特定演出を開始させる契機となる領域としてだけでなく、特定演出の進行が発生する契機となる領域として用いることができる。本例のように、疑似入賞領域50への遊技球の進入を契機として段階のステップアップが生じうるようにすることで、疑似入賞領域50を利用した遊技の趣向性向上を実現することができる。
本例では、特定演出により遊技者に有利な事象が発生するか否かが示唆されることを説明したが、示唆される対象は種々考えられる。例えば、いわゆる「設定推測」演出として特定演出が発生するようにすることも考えられる。一例として、高設定(遊技者に有利な設定)であるほど、限界段階が高くなるような構成とすることが考えられる(図12参照)。また、所定の段階までステップアップした場合には、一または複数の設定のうちのいずれかが確定するという構成とすることが考えられる(図12に示した例では「虹」までステップアップした場合、最高設定である「設定6」が確定する)。
11)0秒大当たり演出
本実施形態にかかる遊技機1は、報知演出を構成する演出として、0秒大当たり演出(以下、特殊確定演出と称することもある)を実行することが可能である。特殊確定演出は、大当たりが確定したことを示す画像(以下、確定画像30と称することもある)が表示領域911に表示されるものであるが、識別図柄80の変動開始(以下、単に「変動開始」と称することもある)と略同時に当該確定画像30が表示される点が特徴である(図13(b)参照)。つまり、前の変動が終了し(図13(a)参照)、変動開始と略同時に表示される確定画像30(図13(b)参照)により大当たりが確定したことを遊技者が把握できる演出である。本実施形態では、確定画像30として少なくとも一部が虹色(レインボー)を呈する画像が表示される。
当該確定画像30が所定時間(例えば1秒)表示されることをもって報知演出(以下、特殊確定演出が実行される報知演出(変動)を特殊当たり変動と称する)は終了する。つまり、当該所定時間の長さは、特殊当たり変動の長さと一致する。その後、即座に疑似入賞領域50(演出契機領域)を狙って遊技球を発射させることを促す指示画像60の表示がなされる(図13(c)参照)。遊技球が開放第二始動領域22a(開放契機領域)に進入することを契機として、大入賞領域10が開放される(1ラウンド目の単位遊技が開始される)。
特殊当たり変動では、大当たりであることを示す識別図柄80の組み合わせが表示されなくてもよい。つまり、「識別図柄80が揃う」動作が実行されなくてもよい。特殊当たり変動は、開始と略同時に確定画像30が表示されることで大当たりが報知される変動であるから、識別図柄80にて大当たりを報知することは困難であるとして識別図柄80が表示されないようにしてもよい(上述した小図柄は大当たりを示す態様とされる)。ただし、大当たり遊技が開始された後は、大当たりに当選したことを示す識別図柄80の組み合わせが表示されるようにしてもよい(図13(c)では表示領域911の左上に表示される)。
このような特殊確定演出が実行されるようにすることで、遊技者に対し、驚きを与える大当たり報知が可能となる。
上記0秒大当たり演出(特殊確定演出)に関する事項を改良、変形、具体化等した具体例を以下に示す。なお、可能な限りにおいて、以下の具体例にて説明する事項を複数組み合わせて適用した構成としてもよい。
○第一具体例
所定の先読み演出が発生した場合に限り、特殊確定演出が発生しうるものとする。先読み演出自体は周知であるため詳細な説明を省略する。先読み演出は、ある当否抽選結果(対象当否抽選結果)を報知する報知演出(対象報知演出)よりも前に終了する一または複数の報知演出(先の報知演出)を利用して対象当否抽選結果が大当たりとなる蓋然性が高まったことを示唆するものである。
一または複数の先の報知演出中には、所定の先読み画像31が表示されるものとする。当該先読み画像31は、確定画像30と色違いの部分を含むものである。つまり、確定画像30では「虹」色である部分が、その他の色とされた画像である。本実施形態では、「色」が同じであると仮定すれば、先読み画像31と確定画像30は同一態様である。先読み画像31の当該「色」の候補として、「青」、「緑」、「赤」が設定されている。「青」である場合よりも「緑」である場合の方が、「緑」である場合よりも「赤」である場合の方が、対象報知演出にて特殊確定演出が実行されやすく(確定画像30が表示されやすく)なる。つまり、先読み演出としての対象当否抽選結果の大当たり信頼度は、「青」、「緑」、「赤」の順で高くなる。複数の先の報知演出が実行される場合には、信頼度が高まる方向に先読み画像31の色がステップアップする可能性もある(図14(a)(b)参照)。最終的に対象報知演出にて特殊確定演出が実行される(図14(c-1)参照)こともあれば、特殊確定演出が実行されない(図14(c-2)参照)こともある。図14(c-1)の結果に至ることが先読み画像31のステップアップにより示唆されるということである。なお、先の報知演出が実行されている最中においては、どのタイミングで対象報知演出が開始されるのか(どの保留が先読み対象の保留となるのか)遊技者が確実に見出すことはできない
このように先読み演出(先読み画像31)の表示がなされることで、当該先読み演出は確定画像30が表示されることの示唆として機能することになる。つまり、先読み演出として「色」が変化しうる先読み画像31が表示されるから、最終的に当該色が「虹」となることに期待するという流れの遊技性を実現することができる。
先の報知演出においては、報知演出の終了時点(はずれ報知時点)まで先読み画像31が表示され続けるようにするとよい。このようにすることで、対象報知演出にて特殊確定演出が実行されることとなる場合、対象報知演出の一つ前の報知演出にて表示された先読み画像31(「虹」以外の色の画像)が、対象報知演出の開始と同時に確定画像30(「虹」の画像)に変化するという流れの先読み演出となる。
○第二具体例
上記実施形態における特殊確定演出は、表示領域911に確定画像30が表示されるものであることを説明したが、画像が表示される態様に限られない。例えば、スピーカより所定の確定音が出力される態様であってもよい。また、筐体に設けられた発光部が所定態様で発光する(例えば、虹色で発光する)態様であってもよい。また、これらの組み合わせであってもよい。
○第三具体例
高ベース状態に限り特殊確定演出が発生しうるものとする。高ベース状態は、低ベース状態に比べて一の報知演出に要する時間が短く設定されるいわゆる時短状態であるところ、当該時短状態に限り特殊確定演出が発生しうる設定とする。上述した通り、特殊確定演出は変動開始直後に大当たりが報知されるものであり、報知演出に要する時間が短いものであるから、時短状態特有の演出である設定とする。
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
上記実施形態にかかる遊技機1は、小当たり当選により持ち球を増やすことができる遊技状態(第三特別遊技状態)が設定されたものであるが、このような遊技状態が設定されていない遊技機に対しても同様の技術思想が適用可能である。
上記実施形態から得られる具体的手段(遊技機)を以下に列挙する。
・手段1-1
常態において閉鎖されており、特定状態に移行することで開放される領域であって、遊技球の進入を契機として賞球が払い出される特定入賞領域と、常態において閉鎖されており、前記特定状態にて所定条件を満たすことで開放される、前記特定入賞領域に進入しなかった遊技球が進入しうる領域であって、遊技球が進入しても賞球が払い出されない疑似入賞領域と、を備えることを特徴とする遊技機。
上記遊技機では、特定入賞領域に進入しなかった遊技球が疑似入賞領域に拾われることになるため、遊技球の「こぼれ」が少なくなることによる遊技の趣向性向上(爽快感向上)に資する。
・手段1-2
前記特定入賞領域に進入しなかった遊技球が進入可能な検出領域を備え、前記検出領域に遊技球が進入することを契機として、前記疑似入賞領域が開放されることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
このように、疑似入賞領域が開放されるという変化が生じた上で特定入賞領域に進入しなかった遊技球が疑似入賞領域に進入することになるため、遊技者は特定入賞領域からこぼれた遊技球が疑似入賞領域に拾われているという印象をより強くすることになる。
・手段1-3
前記検出領域よりも下流に設けられた通路として、前記疑似入賞領域に向かう対象通路と、当該対象通路とは異なる別通路が設けられており、前記検出領域に遊技球が進入することを契機として、前記別通路の入口が閉鎖されて遊技球が前記対象通路を通過して前記疑似入賞領域に向かう状態とされることを特徴とする手段1-2に記載の遊技機。
このように、特定入賞領域からこぼれた遊技球を別通路に進入させず強制的に疑似入賞領域に向かわせるようにすることで、遊技者はこぼれた遊技球が拾われているという印象をより強くすることになる。
・手段1-4
前記特定入賞領域に進入しなかった遊技球が前記検出領域を通過するように構成されていることを特徴とする手段1-2または手段1-3に記載の遊技機。
このようにすることで、特定入賞領域に進入しなかった遊技球が発生した場合、すぐに疑似入賞領域が開放されることになる(特定入賞領域に進入しなかった最初の遊技球が疑似入賞領域の開放の契機となる)。
・手段1-5
前記疑似入賞領域が閉鎖された状態にて前記検出領域を通過した遊技球が、前記疑似入賞領域が開放されるまでに当該疑似入賞領域に到達するように構成されていることを特徴とする手段1-2から手段1-4のいずれかに記載の遊技機。
このようにすることで、疑似入賞領域の開放の契機となった遊技球も疑似入賞領域に拾われることになる。
・手段1-6
前記特定入賞領域に進入しなかった遊技球が前記疑似入賞領域に進入するように構成されていることを特徴とする手段1-1から手段1-5のいずれかに記載の遊技機。
このように、特定入賞領域に進入しなかった遊技球がもれなく疑似入賞領域に拾われるようにすることで、遊技者の爽快感が高められる。
・手段2-1
当否抽選結果が当たりとなった場合に特定入賞領域が開放される当たり遊技を実行する当たり遊技実行手段と、当否抽選結果が当たりとなった後の遊技球の進入が、前記特定入賞領域が開放される契機となる開放契機領域と、当否抽選結果が当たりとなった後の遊技球の進入が、前記当たり遊技中に実行される特定演出が開始される契機となる演出契機領域と、を備えることを特徴とする遊技機。
上記遊技機によれば、演出契機領域を狙って遊技球を発射させるように遊技者に指示を出し、狙いを分かりやすくすること(遊技を分かりやすくすること)が可能である。
・手段2-2
前記開放契機領域は、常態において開放された領域であることを特徴とする手段2-1に記載の遊技機。
常態において開放された領域は目立ちにくい。したがって、遊技球を進入させる目標の領域として、開放契機領域を設定するのではなく、演出契機領域を設定することが好ましい。
・手段2-3
前記演出契機領域は、常態において閉鎖され、当否抽選結果が当たりとなった場合に開放される領域であることを特徴とする手段2-1または手段2-2に記載の遊技機。
常態において閉鎖された領域(何らかの条件成立を契機として開放されるであろうと遊技者が考える領域)は、(常態において開放された領域)よりも目立つ領域であるため、遊技球を進入させる目標の領域として演出契機領域を設定するとよい。
・手段2-4
前記開放契機領域は、前記演出契機領域を狙って遊技球を発射させることで遊技球が進入する領域であり、当否抽選結果が当たりとなった後、前記演出契機領域を狙って遊技球を発射させる旨の画像が表示装置に表示されることを特徴とする手段2-3に記載の遊技機。
このように、演出契機領域を狙って遊技球を発射させるよう、画像による指示がだされるとよい。
・手段2-5
当否抽選結果が当たりとなった後、前記開放契機領域に遊技球が進入することを契機として、前記演出契機領域が開放されることを特徴とする手段2-3または手段2-4に記載の遊技機。
このようにすることで、特定入賞領域が開放されるよりも前に、特定演出が開始されてしまうことが防止される。
・手段2-6
前記特定演出は、前記演出契機領域に遊技球が進入することを契機として進行するものであることを特徴とする手段2-1から手段2-5のいずれかに記載の遊技機。
演出契機領域は、特定演出の進行にも利用することができる。上記のようにすることで、演出契機領域に遊技球を進入させるほど、特定演出が進行するという面白みのある遊技性が実現される。