JP7146092B2 - 検査装置及び方法、並びにプログラム及び記録媒体 - Google Patents
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Description
検査対象の第1の方向における異なる位置の各々において、前記第1の方向とは異なる第2の方向に延在する線状部分の外観又は表面形状を検知するセンサと、
前記異なる位置のいずれかを注目位置として選択し、前記センサでの検知結果から、前記注目位置の線状部分についての前記外観又は表面形状を表す検出値の列からなる表面データを取得し、前記表面データと第1の参照データとの類似度である第1の類似度及び前記表面データと第2の参照データとの類似度である第2の類似度を算出し、前記第1の類似度及び前記第2の類似度を要素とする座標、又は前記第1の類似度及び前記第2の類似度を変数とする2つの関数を要素とする座標を算出し、
前記注目位置の線状部分についての前記表面データの取得、前記第1の類似度及び第2の類似度の算出及び前記座標の算出と同じ処理を、前記検査対象又は前記検査対象と同一の外観又は表面形状を有する製品若しくは前記製品の一部分又は加工物若しくは加工物の一部分の前記第1の方向における複数の位置において、前記第2の方向に延在する線状部分について行うことで得られた座標の群に対する、前記注目位置の線状部分について算出された前記座標の乖離度を孤立性指標として算出し、
前記孤立性指標に基づいて、前記検査対象に異常があるか否かを判定する処理回路と
を有する。
前記処理回路は、前記孤立性指標を算出する場合、前記座標の群の少なくとも一部を構成する座標と、前記注目位置の線状部分についての座標との距離、又は前記距離に対して単調増加する値のうち小さいものから一定の個数の距離又は値を抽出し、又は前記距離に対して単調減少する値のうち大きいものから一定の個数の値を抽出して、抽出された距離又は値の総和を前記孤立性指標として算出する。
検査対象の第1の方向における異なる位置の各々において、前記第1の方向とは異なる第2の方向に延在する線状部分の外観又は表面形状を検知し、
前記異なる位置のいずれかを注目位置として選択し、前記検知の結果から、前記注目位置の線状部分についての前記外観又は表面形状を表す検出値の列からなる表面データを取得し、前記表面データと第1の参照データとの類似度である第1の類似度及び前記表面データと第2の参照データとの類似度である第2の類似度を算出し、前記第1の類似度及び前記第2の類似度を要素とする座標、又は前記第1の類似度及び前記第2の類似度を変数とする2つの関数を要素とする座標を算出し、
前記注目位置の線状部分についての前記表面データの取得、前記第1の類似度及び第2の類似度の算出及び前記座標の算出と同じ処理を、前記検査対象又は前記検査対象と同一の外観又は表面形状を有する製品若しくは前記製品の一部分又は加工物若しくは加工物の一部分の前記第1の方向における複数の位置において、前記第2の方向に延在する線状部分について行うことで得られた座標の群に対する、前記注目位置の線状部分について算出された前記座標の乖離度を孤立性指標として算出し、
前記孤立性指標に基づいて、前記検査対象に異常があるか否かを判定する。
前記孤立性指標を算出する場合、前記座標の群の少なくとも一部を構成する座標と、前記注目位置の線状部分についての座標との距離、又は前記距離に対して単調増加する値のうち小さいものから一定の個数の距離又は値を抽出し、又は前記距離に対して単調減少する値のうち大きいものから一定の個数の値を抽出して、抽出された距離又は値の総和を前記孤立性指標として算出する。
実施の形態1の検査装置は、鋼索を検査対象とし、鋼索をその長尺方向に移動させながら、カメラで鋼索の周面を撮像し、撮像で得られた画像データから、外観の異常の有無を検査するものである。
ローラ群22は、鋼索11の移動方向(図で上下方向)MVの互いに異なる位置に配置された第1組のローラ22-11~22-14、第2組のローラ22-21~22-24、第3組のローラ22-31~22-34、及び第4組のローラ22-41~22-44を有する。
なお、第1組~第4組のローラの全てを駆動機構により駆動する代わりに、第1~第4組のローラのうち、一部のみを駆動機構により駆動し、残りのものは鋼索11との摩擦で連れ回りするようにしても良い。
図示の例では4つの方向から鋼索11を撮像するが、代わりに、3つの方向から鋼索11を撮像することで、鋼索11の全周の画像を得ることとしても良い。
鋼索11のうち撮像される部分を照明するための光源(図示しない)が設けられていても良い。
他のカメラ25-2~25-4と鋼索11との位置関係も上記と同様である。
カメラ25-1~25-4の各々がラインカメラである場合、各カメラは、撮像素子が並んだ方向が鋼索11の移動方向MVに対して垂直な方向に対応する方向となるように配置され、鋼索11の周方向に延在する線状部分を撮像する。鋼索11の線状部分は、ラインカメラの撮像素子の全部又は一部によって撮像される。解像度を高くするにはできるだけ多くの撮像素子で撮像されるのが望ましい。
図示の検査装置30は、図2(a)及び図2(c)に示されるカメラ25-1~25-4と、処理回路32とを有する。
メモリは、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically EPROM)等の不揮発性又は揮発性の半導体メモリであってもよいし、ハードディスク等の磁気ディスクであってもよいし、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)等の光ディスクであってもよい。
図示のコンピュータ34は、プロセッサ341及びメモリ342を備えている。
メモリ342は、プロセッサ341が実行するプログラムを記憶している。
プロセッサ341は、メモリ342に記憶されているプログラムを読み出して、実行する。
図5に示すように、処理回路32は、第1乃至第4の異常検出部35-1~35-4と、検査結果出力部36とを備える。
第1乃至第4の異常検出部35-1~35-4はそれぞれカメラ25-1~25-4に対応して設けられたものであり、各々対応するカメラから撮像データを受信して、対応するカメラの撮像範囲における異常を検出する。
以下では第1の異常検出部35-1について説明する。
図6に示される異常検出部35-1は、データ取得部41と、参照データ記憶部42と、類似度算出部43と、座標算出部45と、座標記憶部46と、孤立性指標算出部47と、異常判定部48とを備える。
カメラ25-1がエリアカメラであれば、各長尺方向位置での撮像で得られる2次元画像のうち、予め指定されている行に属し、撮像された線状部分に対応する部分のデータが、当該線状部分についての表面データDkとなる。
バイアス除去は、撮像データのうちの低周波数成分を除去する処理である。ここで言う低周波数成分とは、鋼索が全体として円柱状であること、即ち鋼索の周面の包絡面が円柱状であることによる明るさの変化の成分である。即ち、各カメラにおいては、鋼索の周面の各部分は、当該部分の、カメラの光軸に対する角度によって、カメラから見たときの明るさが変わる。鋼索の周面の各部分の、カメラの光軸に対する角度は、鋼索の周面の包絡面の、上記のカメラの光軸に対する角度と、ストランド12による凹凸とによって決まる。バイアス除去は、上記包絡面の上記のカメラの光軸に対する角度の変化による影響を除去するために行われるものである。バイアス除去を行うことで、ストランド12の凹凸による明るさの変化の成分のみを抽出することができる。
ここでいう画素値は、輝度値であっても良く、色成分値であっても良い。色成分値である場合、例えばR、G、Bのいずれかの一つの値であっても良い。以下では、輝度値であるものとし、画素値の大きさが明るさを表すものとして説明する。
表面データDkを構成する画素値は、センサとしてのカメラでの検出で得られた値であるので、検出値と言うこともある。
なお、各カメラで得られる画像は、鋼索の周面を平坦な撮像画面に投影したものであるので、周方向における長さと、撮像画像内での長さとは完全には対応せず、鋼索の周面上での周期が一定であっても、撮像画像内での行方向位置によって、1周期の長さが変化し、表面データDkにおいても、画素値の変化(行方向位置に対する変化)の周期(画像内での空間周期)が変化する。しかしながら、撮像範囲、特に表面データを取得する範囲を、カメラから見て鋼索の幅方向の中心に近い部分に限定する(両側の縁に近い部分を除く)ことで、上記の変化による影響を、小さく、無視可能にすることができる。
撮像で得られる画像Gaにおいては、各ストランド12の中心付近Gaaが最も明るく、隣接するストランド12相互の境目の付近Gabが最も暗い。実際の画像では、画像の各部の明るさは次第に連続的に変化するが、図7では、単純化のため明るい部分Gaaを白で、暗い部分Gabをドットパターンで示している。
図8は、図7の行Lkから得られる表面データDkの一例を示す。図8で、縦軸は画像の明るさを示し、横軸は、図7の点線の枠14内の行方向位置を示す。図8のxl、xrは、図7の点線の枠14の左端xl及び右端xrに対応する。
図8に示す例では、画素値が周期Tkで変化している。
図9は、そのような正弦波状の参照データRa、Rbの例を示す。図9でTkは周期を表す。
第1及び第2の参照データRa、Rbの各々は、その波数が、表面データDkを構成する画素値の明るさの変化の波数と同一であり又は近似している。
上記のように、第1の参照データRaが(Ra1,Ra2,…RaJ)で表され、第2の参照データRbが(Rb1,Rb2,…RbJ)で表される場合、第1の参照データRaと第2の参照データRbとが直交しているとは、下記の式(1)を満たすことを意味する。
類似度算出部43はまた、上記の表面データDkと第2の参照データRbとの類似度である第2の類似度qを算出する。
相関係数ρa、ρbは、以下のように定義される。
そのような点Si(p,q)の一例を図10に示す。類似度を上記の式(2a)及び(2b)の相関係数で表す場合、原点Oから点Siまで距離、即ちノルムは1より小さい値となる。
以下では、処理対象、即ち孤立性指標の算出の対象になっている長尺方向位置を注目位置と言い、注目位置についての表面データから得られた座標を単に「注目位置について算出された座標」或いは「注目位置についての座標」と言うことがある。
座標群を構成する座標の数、従って、点群を構成する点の数は、表面データの揺らぎの影響を受けないように十分に大きく、例えば予め定められた数よりも大きい数に定められている。
このように、上記の数は十分に大きいので、以下では「多数」ということがある。
座標群に属する多数の座標は、例えば検査の実施の前に検査対象である鋼索11の別の部分、又は検査対象となっている鋼索11とは別の鋼索(同じ符号11で示す)の多数の長尺方向位置において、撮像を行うことで表面データを取得し、取得した表面データに対して類似度の算出及び座標の算出を行うことで得られた座標であっても良い。
上記の「別の鋼索」は、検査対象となっている鋼索と同一の外観又は表面形状を有する別の鋼索、例えば検査対象となっている鋼索と同じ仕様のものである必要がある。この点は、以下の他の実施の形態でも同様である。
点群生成モードでは、検査対象となっている鋼索又は別の鋼索11を移動させながら鋼索11の周面を撮像することで、多数の長尺方向位置について順次表面データDkを取得し、各表面データDkについて参照データRa、Rbとの類似度p、qを求め、類似度p、qから座標Sai(p,q)を求める。
この場合、鋼索11の撮像される部分は、異常がない部分であることが望ましい。
以上のようにして、多数の長尺方向位置について求められた座標Sai(p,q)から成る点群GSaは座標記憶部46に記憶される。
記憶されている点群GSaは、検査対象が外観又は表面形状が同一の鋼索、例えば同じ仕様の鋼索である限り、使用し続けることとしても良い。
図12は、注目位置についての点Skの一例をも示す。図示の例では、点Skは点Saiで形成される円環から少し離れた位置にある。
孤立性指標の算出は例えば以下の方法で行われる。
例えば、距離di(i=1,2,…,N)を小さい順に並べ替えることで距離ei(i=1,2,…,N)を得て、距離ei(i=1,2,…,N)のうちの小さいものからNc個を抽出する。
例えば、孤立性指標AL(k)が予め定められた閾値よりも大きければ表面データを得た長尺方向位置の線状部分に異常があるとの判定がなされる。
例えば、相連続する、予め定められた数の長尺方向位置の線状部分についての孤立性指標が、閾値よりも大きい場合に、異常があるとの判定をしても良い。
検査結果出力部36は、異常検出部35-1~35-4から出力される判定結果AB(k)を受けて、集約し、検査結果として外部に出力する。例えば、図示しないモニターに出力して、検査結果を表示させても良い。代わりに又はそれに加えて、図示しないプリンタに出力して、検査結果を印字させても良い。
なお、検査結果出力部36を設ける代わりに、検査結果を記憶する記憶部を備え、後に必要になったときに読み出せるようにしても良い。記憶部を取り外し可能なメモリで構成しても良い。検査結果出力部36と、上記の記憶部とをともに備えることとしても良い。
上記の距離の代わりに、距離に対して単調増加又は単調減少する関数を用いて孤立性指標を算出することとしても良い。
また、孤立性指標算出部47が、距離に対して単調減少する関数を用いて孤立性指標を算出する場合には、算出される孤立性指標は、注目位置について求められた点Skの、点群に対する乖離度が大きい程小さい値となる。従って異常判定部48は、孤立性指標が予め定められた閾値よりも小さいときに、異常があるとの判定を行なう。
参照データRa、Rbは、他の形状の波形を持つものであっても良い。例えば、表面データDkを構成する画素値の変化と同様に変化する波形を持つものであっても良い。
実施の形態2の検査装置30で用いられる異常検出部は、図6に示される異常検出部35-1と同様のものである。
実施の形態2では、検査実施モードでの処理の開始後に得られる点Siを蓄積し、蓄積された点Siを用いて孤立性指標の算出を行なう。言い換えると、点群の生成を検査の実施と並行して行う。この場合、蓄積された点Siのうち、注目位置の表面データに対応する点以外の点で点群を構成し、構成された点群に対する、注目位置の表面データに対応する点の乖離度を求めれば良い。
実施の形態3の検査装置30で用いられる異常検出部は、図6に示される異常検出部35-1と同様のものである。
実施の形態3では、検査実施モードでの処理の開始後に、長尺方向における互いに異なる位置の線状部分についての表面データの取得、第1及び第2の類似度の算出及び座標の算出を行なった後に、上記の異なる位置のいずれかを選択して注目位置とし、選択された位置以外の位置を上記の多数の位置として孤立性指標の算出を行う。
上記の第1の数は、例えば、鋼索が予め定められた長さ(例えば10m)だけ移動する間に表面データが得られる長尺方向位置の数である。
このような処理はバルク処理と言うことができる。
バルク処理を行う場合にも、選択された点に対応する長尺方向位置(注目位置)に近い長尺方向位置についての表面データから得られた点を除外して孤立性指標の算出を行うのが望ましい。
図13に示される処理は、N個(Nは予め定められた数)の点Sbi(i=1、…N)が得られる毎に開始される。1からNまでの番号は、鋼索の長尺方向位置に従って各線状部分に付けられたものである。以下では、鋼索の予め定められた長さ(長尺方向の長さ)の部分について、一方から他方に順に表面データを得る場合、1からNまでの番号は表面データが得られる順を表す。
ステップST12では、点Sbi(i=1,2,…,N)の中から、点Skを選択する。
抽出された点を、Sci(i=1,2,…,N-2F-1)で表す。
ステップST14では、点Skと点Sci(i=1,2,…,N-2F-1)の各々との2次元平面上での距離di(i=1,2,…,N-2F-1)を算出する。
ステップST16では、距離ei(i=1,2,…,N-2F-1)のうち、小さいものからNc個(Nc≪N-2F-1)を抽出し、抽出した距離の総和を求める。
上記ステップST15及びST16の処理は、下記の式(4a)及び(4b)で表される。
等しくなければステップST18に進む。ステップST18では、kに1を加算する。ステップST18の次にステップST12に戻る。
ステップST17でkがn+Fに等しければ、処理を終了する。
例えば、撮像により表面データが取得される線状部分間の間隔が狭い場合、点Siは、2次元平面上に高密度にプロットされる。異常の範囲が2以上の線状部分に及び、ある線状部分及びその近傍の線状部分に掛けて異常がある場合、当該ある線状部分の表面データに対応する点と、その近傍に位置する他の線状部分の表面データに対応する点との距離が小さくなって、孤立性指標が小さい値となってしまう。上記ある線状部分の近傍に位置する線状部分の表面データについての点を除外し、近傍の線状部分以外の線状部分についての点との距離に基づいて孤立性指標を算出することで、当該線状部分の表面データに対応する点に異常の有無の判定における誤りを減らすことができる。
ステップST13で、選択された線状部分を中心として、F個前の線状部分からF個後の線状部分までを除外しているからである。
実施の形態1~3では参照データRa、Rbとして予め用意されたデータを用いている。
実施の形態4では、点群の生成のための表面データの取得、及び注目位置についての表面データDkの取得の場合と同様に、鋼索を撮像することで得られた2つの表面データを参照データRa、Rbとして用いる。
上記の2つの位置の線状部分は、異常がない部分であるのが望ましい。
異常がないことは例えば鋼索を直接目視して確認することとしてもよく、鋼索を撮像することで得られた画像を図示しないモニターに表示して、表示された画像を目視して確認しても良い。上記の方法以外でも、異常がないことが何らかの手段で保証されている場合、当該保証に基づいて、異常がないと判断しても良い。
この場合、直交関係にあるか否かは、上記の式(1)の関係を満たすか否かで判定される。
図示の異常検出部35-1bは、図6のデータ取得部41の代わりにデータ取得部41bを備える。
カメラ25-1がエリアカメラであれば、撮像画像中の互いに異なる2つの行の撮像データから生成された表面データを参照データRa、Rbとして用いても良い。
カメラ25-1がラインカメラであれば、互いに異なる2つのタイミングでの撮像で得られる2つの撮像データから生成された表面データを参照データRa、Rbとして用いても良い。例えば、あるタイミングで取得された撮像データから生成された表面データを第1の参照データRaとして用い、その後、鋼索11が予め定められた長さだけ移動したタイミングで取得された撮像データから生成された表面データを第2の参照データRbとして用いても良い。
図16の例は、撮像データに対してバイアス除去を行うことで得られる表面データを参照データRa、Rbとして用いる場合を想定している。
データ取得部41bから出力される参照データRa、Rbは、参照データ記憶部42に記憶される。
点群の生成は、実施の形態1で説明したように検査の実施の前に行っても良く、実施の形態2及び3で説明したように、検査実施モードでの処理の開始後に行っても良い。後者の場合、実施の形態3で説明したように、バルク処理を行なっても良い。
この場合、鋼索11の撮像される部分は、異常がない部分であることが望ましい。
表面データDkの取得、類似度の算出及び座標の算出を、鋼索11の互いに異なる多数の(N個の)長尺方向位置について行うことで多数の点Sai(i=1,2,…,N)から成る点群GSaが形成される。
図17に示される点群GSaで描かれる軌跡は、図10、図11及び図12に示される軌跡と比べて真円からのずれの度合いが大きい。
点群GSaは座標記憶部46に記憶される。
バルク処理で点群の生成乃至更新を行う場合の動作は実施の形態3で説明したのと同様である。
実施の形態4では、鋼索11の、長尺方向における2つの位置の線状部分を撮像することで得られた2つの表面データを参照データRa、Rbとして用いている。
実施の形態5では、鋼索11の、長尺方向における一つの位置の線状部分を撮像することで得られた表面データから一対の互いに直交する画素値ベクトルを生成し、これらを参照データRa、Rbとして用いる。
一つの表面データから一対の互いに直交する画素値ベクトルを生成する処理は、例えばヒルベルト変換により行い得る。
図示の異常検出部35-1cは、図15のデータ取得部41bの代わりに、データ取得部41cを備え、さらに参照データ生成部51を備える。
参照データ生成モードでは、データ取得部41cは、検査対象となっている鋼索又は別の鋼索11の長尺方向における一つの位置の線状部分を撮像することで得られた表面データDrを選択して出力する。
上記の一つの位置の線状部分は異常がない部分であるのが望ましい。
実施の形態4では、参照データ生成モードにおいて、検査対象となっている鋼索又は別の鋼索11を撮像することで得られた2つの表面データを、参照データRa、Rbとして記憶し、その後点群の生成及び検査の実施のために取得される、異なる位置の線状部分についての表面データDkについての類似度の算出に繰り返し用いている。
第1の参照データRaの取得と第2の参照データRbの取得にも相互間に時間差があっても良い。
第1の位置と第2の位置とは、これらの位置の線状部分に異常がない場合に、これらの線状部分から得られる表面データが互いに直交するものとなるように、それらの相対的関係が定められる。また、第1及び第2の位置のいずれか一方は、注目位置に対して一定距離だけ離れた位置に定められる。
このように、第1及び第2の位置は、注目位置に対して関係付けられた位置であると言える。
図示の異常検出部35-1dは、図15のデータ取得部41bの代わりにデータ取得部41dを備える。図15の参照データ記憶部42は省略されている。
図20は、図7と同様の図であり、カメラ25-1での撮像で得られる画像の例を、撮像対象である鋼索11に重畳して示す。図20には、鋼索11のうち、撮像される範囲を点線の枠14で示し、枠14の内部に撮像で得られた画像の概略を示す。図20にはさらに、予め指定された3つの行Lra、Lrb、Lkが示されている。
行Lra、Lrbは、鋼索11の上記の第1及び第2の位置の線状部分がそれぞれ撮像される行である。即ち、注目位置の線状部分が行Lkに撮像されるとき、第1の位置の線状部分が行Lraに撮像され、第2の位置の線状部分が行Lbに撮像される。
図21のxl、xrは、図20の点線の枠14の左端xl及び右端xrに対応する。
座標算出部45は第1の類似度pと第2の類似度qとを要素とする2次元座標Siを算出する。
この場合、鋼索11の撮像される部分は、異常がない部分であることが望ましい。
図23では、点Saiを「・」で示す。
図示のように点Saiは、円環上の狭い範囲に集中している。集中する範囲は、鋼索11のうちの表面データを取得する線状部分相互の位置関係、従って、図20の行Lra、Lrbと、行Lkとの位置関係に依存する。
図23では、点Skが「*」で示されている。
図24は、バルク処理で蓄積される点Sbiの、2次元平面上における分布の一例を示す。
図24において、点Sbiのうち、点Skを「*」で示し、点Sbk-F~Sbk+Fを「。」で示し、Sc1~ScN-2F-1を「・」で示す。
上記の第1の長さと第2の長さとは、互いに異なっていても良く、同じであっても良い。
例えば、点群の2次元平面上での分布が図22、図23、図24に示す如くであり、2次元正規分布と見なせるものである場合、点群の分布特性を分析することで、注目位置についての点Skの点群に対するマハラノビス距離を算出し、算出されたマハラノビス距離を算出して、点Skの孤立性指標として用いても良い。
また、測定データの取得と参照データの取得を並行して行うので、鋼索の長尺方向における位置によって、外観の変化の仕方が変わる場合にも、異常の有無の判定を適切に行うことができる。
実施の形態6では、鋼索11の、長尺方向における2つの位置の線状部分を撮像することで得られた2つの表面データを参照データRa、Rbとして用いている。
実施の形態7では、鋼索11の、長尺方向における一つの位置の線状部分を撮像することで得られた表面データから一対の互いに直交する画素値ベクトルを生成し、これらを参照データRa、Rbとして用いる。
一つの表面データから一対の互いに直交する画素値ベクトルを生成する処理は、例えばヒルベルト変換により行い得る。
図示の異常検出部35-1eは、図19のデータ取得部41dの代わりに、データ取得部41eを備え、さらに参照データ生成部51を備える。
上記の実施の形態1~7には種々の変形を加え得る。
例えば、実施の形態1について説明した変形は、実施の形態2~7にも適用可能である。
代わり、上記の類似度p、qを座標軸に取った2次元平面(p-q平面)上での点Siの位置を極座標で表した場合の偏角θ及び動径rを求め、偏角θを一方の軸、例えば横軸に取り、動径rを他方の軸、例えば縦軸に取った2次元平面(θ-r平面)に上記の点Siの座標を変換し、該θ-r平面上での点相互間の距離をもとに、孤立性指標を算出しても良い。
カメラの代わりに、プロファイル測定器を用いても良い。プロファイル測定器を用いれば、ストランドによる鋼索の凹凸、即ち表面形状を検知して、検知結果を表す表面データを得ることができる。
カメラ、プロファイル測定器以外であっても、要するに、外観又は表面形状を検知して表面データを出力できるセンサを用いれば良い。
また、管状のものであっても良く、棒状のものであっても良く、帯状のものであっても良い。さらにシート状のものであっても良い。これらは、外観に変化があるものであっても良く、表面形状に変化があるものであっても良い。
表面形状に変化があるシート状のものとしては帆布がある。
さらにまた、検査対象は装置、構造物等、多くの部材、部品等を備えた物の一部であっても良い。例えば、装置、構造物が、外観及び表面形状の少なくとも一つが、少なくとも一つの方向に周期的に変化する部分を有する場合、当該部分を検査対象としても良い。
ここで言う外観の変化には表面の色の変化が含まれる。色の変化には、色相、彩度、明度の少なくとも一つの変化が含まれる。外観の変化はまた、光沢の有無、光沢の程度、透明度の有無、透明度の程度の変化であっても良い。
プロファイル測定器を用いれば、表面形状の変化を直接的に測定することができる。
また、実施の形態4及び5で説明した構成においては、参照データの生成も、検査対象自体から得られた表面データに基づいて行っても良く、検査対象と同一の外観又は表面形状を有する他の製品又は加工物又はその部分から得られた表面データに基づいて行っても良い。
代わりに、鋼索を固定し、カメラが移動するようにしても良い。
ドローンに車輪を設け、鋼索の周面に車輪を接触させ、転動させることで、カメラから鋼索の周面までの距離を一定に保つようにしても良い。
4つのカメラでの撮像データに対する処理を一つの異常検出部で時分割的に行うこととしても良い。
4つのカメラで鋼索の全周をカバーするようにしているが、この点も必須ではない。
例えば、鋼索の全周の一部のみを検査すればそれで足りる場合もある。
また、検査対象が帯状の物である場合など、一つのカメラで撮像を行なえば足りる場合がある。
要するに、検査対象は、外観又は表面形状が少なくとも一つの方向に周期的に変化する物であれば良い。
これらの図はエリアカメラでの撮像で得られる画像を示すものであり、符号MVはカメラに対する検査対象の相対的移動方向(当該相対的移動方向に対応する、画像中の方向)を示す。
図27に示す表面データを構成する画素値の変化(行方向位置に対する変化)は、矩形波状或いは矩形波に近い形のものであると言える。
図30の画像の場合にも、図28に示す参照データRa、Rbを用いることができる。
図33に示す表面データを構成する画素値の変化(行方向位置に対する変化)は、鋸波状或いは鋸波に近い形のものであると言える。
図36の画像について、実施の形態7で説明したように、座標算出の対象となる表面データ(測定データ)Dkの取得と、参照データRa、Rbの生成とを並行して行い、測定データDkが新たに取得される度に、参照データRa、Rbが更新される場合を想定して説明する。
そうすれば、移動に伴う表面データの変化が連続的になるからである。
なおまたエリアカメラの場合には、列の方向が斜めとなるようにしても良い。
さらに行の方向又は列の方向を斜めにしなくても、要するに斜めの方向に並んだ撮像素子から得られる画素値から成る撮像データを表面データとして取得すれば良い。
ここで第2の方向は、直線に沿う方向とは限らない。例えば、実施の形態における鋼索の場合には、第2の方向は周面に沿う方向である。
検査対象と同一の外観又は表面形状を有する製品又は加工物又はその部分に関し、その第1の方向とは、検査対象の第1の方向に対応する方向を意味する。
Claims (14)
- 検査対象の第1の方向における異なる位置の各々において、前記第1の方向とは異なる第2の方向に延在する線状部分の外観又は表面形状を検知するセンサと、
前記異なる位置のいずれかを注目位置として選択し、前記センサでの検知結果から、前記注目位置の線状部分についての前記外観又は表面形状を表す検出値の列からなる表面データを取得し、前記表面データと第1の参照データとの類似度である第1の類似度及び前記表面データと第2の参照データとの類似度である第2の類似度を算出し、前記第1の類似度及び前記第2の類似度を要素とする座標、又は前記第1の類似度及び前記第2の類似度を変数とする2つの関数を要素とする座標を算出し、
前記注目位置の線状部分についての前記表面データの取得、前記第1の類似度及び第2の類似度の算出及び前記座標の算出と同じ処理を、前記検査対象又は前記検査対象と同一の外観又は表面形状を有する製品若しくは前記製品の一部分又は加工物若しくは加工物の一部分の前記第1の方向における複数の位置において、前記第2の方向に延在する線状部分について行うことで得られた座標の群に対する、前記注目位置の線状部分について算出された前記座標の乖離度を孤立性指標として算出し、
前記孤立性指標に基づいて、前記検査対象に異常があるか否かを判定する処理回路と
を有し、
前記処理回路は、前記孤立性指標を算出する場合、前記座標の群の少なくとも一部を構成する座標と、前記注目位置の線状部分についての座標との距離、又は前記距離に対して単調増加する値のうち小さいものから一定の個数の距離又は値を抽出し、又は前記距離に対して単調減少する値のうち大きいものから一定の個数の値を抽出して、抽出された距離又は値の総和を前記孤立性指標として算出する、
検査装置。 - 前記第1の参照データ及び前記第2の参照データの各々は、前記表面データを構成する検出値の数と同じ数の値の列から成り、
前記第1の参照データと前記第2の参照データとは直交関係又は直交関係に近い関係を有する
請求項1に記載の検査装置。 - 前記検査対象に異常がない場合に得られる前記表面データが周期的に変化する検出値の列で構成され、
前記第1の参照データ及び第2の参照データの各々は、前記検出値の周期と同一又は近似の周期の正弦波を表す値の列から成る
請求項2に記載の検査装置。 - 前記処理回路は、前記検査対象又は前記検査対象と同一の外観又は表面形状を有する製品若しくは前記製品の一部分又は加工物若しくは加工物の一部分の前記第1の方向における第1の位置の線状部分についての表面データを取得して、取得された表面データを前記第1の参照データ及び前記第2の参照データの一方として用いる
請求項2に記載の検査装置。 - 前記処理回路は、前記検査対象又は前記検査対象と同一の外観又は表面形状を有する製品若しくは前記製品の一部分又は加工物若しくは加工物の一部分の前記第1の方向における前記第1の位置とは異なる第2の位置の線状部分についての表面データを取得して、取得された表面データを前記第1の参照データ及び前記第2の参照データの他方として用いる
請求項4に記載の検査装置。 - 前記処理回路は、前記注目位置の線状部分についての表面データを取得する毎に、前記検査対象の、前記第1の方向において前記注目位置から一定距離だけ離れた第1の位置の線状部分についての表面データを取得して、取得された表面データを前記第1の参照データ及び前記第2の参照データの一方として用いる
請求項2に記載の検査装置。 - 前記処理回路は、前記注目位置の線状部分についての表面データを取得する毎に、前記検査対象の、前記第1の方向における前記第1の位置とは異なる第2の位置の線状部分についての表面データを取得して、取得された表面データを前記第1の参照データ及び前記第2の参照データの他方として用いる
請求項6に記載の検査装置。 - 前記処理回路は、前記第1の参照データ及び前記第2の参照データの一方に直交するデータを生成して、前記第1の参照データ及び前記第2の参照データの他方として用いる
請求項4又は6に記載の検査装置。 - 前記複数の位置の線状部分についての、前記センサによる検知、及び前記処理回路による前記表面データの取得、前記第1及び第2の類似度の算出及び前記座標の算出が行われた後に、
前記注目位置についての、前記センサによる検知、及び前記処理回路による前記表面データの取得、前記第1及び第2の類似度の算出、前記座標の算出及び前記孤立性指標の算出が行われる
請求項1から8のいずれか1項に記載の検査装置。 - 前記センサは、前記検査対象の第1の方向における、予め定められた数の、互いに異なる位置において、前記検査対象の前記第1の方向とは異なる第2の方向に延在する線状部分の外観又は表面形状を検知し、
前記処理回路は、前記異なる位置のうちの少なくとも一部を順に選択して前記注目位置とし、前記異なる位置のうちの選択された位置以外の位置を前記複数の位置として前記座標の群を形成する
請求項1に記載の検査装置。 - 検査対象の第1の方向における異なる位置の各々において、前記第1の方向とは異なる第2の方向に延在する線状部分の外観又は表面形状を検知し、
前記異なる位置のいずれかを注目位置として選択し、前記検知の結果から、前記注目位置の線状部分についての前記外観又は表面形状を表す検出値の列からなる表面データを取得し、前記表面データと第1の参照データとの類似度である第1の類似度及び前記表面データと第2の参照データとの類似度である第2の類似度を算出し、前記第1の類似度及び前記第2の類似度を要素とする座標、又は前記第1の類似度及び前記第2の類似度を変数とする2つの関数を要素とする座標を算出し、
前記注目位置の線状部分についての前記表面データの取得、前記第1の類似度及び第2の類似度の算出及び前記座標の算出と同じ処理を、前記検査対象又は前記検査対象と同一の外観又は表面形状を有する製品若しくは前記製品の一部分又は加工物若しくは加工物の一部分の前記第1の方向における複数の位置において、前記第2の方向に延在する線状部分について行うことで得られた座標の群に対する、前記注目位置の線状部分について算出された前記座標の乖離度を孤立性指標として算出し、
前記孤立性指標に基づいて、前記検査対象に異常があるか否かを判定し、
前記孤立性指標を算出する場合、前記座標の群の少なくとも一部を構成する座標と、前記注目位置の線状部分についての座標との距離、又は前記距離に対して単調増加する値のうち小さいものから一定の個数の距離又は値を抽出し、又は前記距離に対して単調減少する値のうち大きいものから一定の個数の値を抽出して、抽出された距離又は値の総和を前記孤立性指標として算出する、
検査方法。 - 検査対象の第1の方向における異なる位置の各々において、前記第1の方向とは異なる第2の方向に延在する線状部分の外観又は表面形状を検知することで得られる検知結果を用いて前記検査対象を検査する検査方法であって、
前記異なる位置のいずれかを注目位置として選択し、前記検知結果から、前記注目位置の線状部分についての前記外観又は表面形状を表す検出値の列からなる表面データを取得し、前記表面データと第1の参照データとの類似度である第1の類似度及び前記表面データと第2の参照データとの類似度である第2の類似度を算出し、前記第1の類似度及び前記第2の類似度を要素とする座標、又は前記第1の類似度及び前記第2の類似度を変数とする2つの関数を要素とする座標を算出し、
前記注目位置の線状部分についての前記表面データの取得、前記第1の類似度及び第2の類似度の算出及び前記座標の算出と同じ処理を、前記検査対象又は前記検査対象と同一の外観又は表面形状を有する製品若しくは前記製品の一部分又は加工物若しくは加工物の一部分の前記第1の方向における複数の位置において、前記第2の方向に延在する線状部分について行うことで得られた座標の群に対する、前記注目位置の線状部分について算出された前記座標の乖離度を孤立性指標として算出し、
前記孤立性指標に基づいて、前記検査対象に異常があるか否かを判定し、
前記孤立性指標を算出する場合、前記座標の群の少なくとも一部を構成する座標と、前記注目位置の線状部分についての座標との距離、又は前記距離に対して単調増加する値のうち小さいものから一定の個数の距離又は値を抽出し、又は前記距離に対して単調減少する値のうち大きいものから一定の個数の値を抽出して、抽出された距離又は値の総和を前記孤立性指標として算出する、
検査方法。 - 請求項12に記載の検査方法における処理をコンピュータに実行させるためのプログラム。
- 請求項13に記載のプログラムを記録したコンピュータで読取り可能な記録媒体。
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