以下、本発明を実施するための形態として、本発明の実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。
図1に、電子部品装着装置10を示す。電子部品装着装置10は、1つのシステムベース12と、そのシステムベース12の上に並んで配設された2つの装着機16とを有している。なお、以下の説明では、装着機16の並ぶ方向をX軸方向と称し、その方向に直角な水平の方向をY軸方向と称し、X軸方向とY軸方向と直行する方向、つまり、上下方向をZ軸方向と称する。
各装着機16は、主に、装着機本体20、搬送装置22、装着ヘッド移動装置(以下、「移動装置」と略す場合がある)23、供給装置24、装着ヘッド26を備えている。装着機本体20は、フレーム30と、そのフレーム30に上架されたビーム32とによって構成されている。
搬送装置22は、2つのコンベア装置40,42を備えている。それら2つのコンベア装置40,42は、互いに平行、かつ、X軸方向に延びるようにフレーム30に配設されている。2つのコンベア装置40,42の各々は、電磁モータ(図10参照)46によって各コンベア装置40,42に支持される回路基板をX軸方向に搬送する。また、回路基板は、所定の位置において、基板保持装置(図10参照)48によって固定的に保持される。
移動装置23は、XYロボット型の移動装置である。移動装置23は、スライダ50をX軸方向にスライドさせる電磁モータ(図10参照)52と、Y軸方向にスライドさせる電磁モータ(図10参照)54とを備えている。スライダ50には、装着ヘッド26が取り付けられており、その装着ヘッド26は、2つの電磁モータ52,54の作動によって、フレーム30上の任意の位置に移動する。
供給装置24は、フィーダ型の供給装置であり、複数のテープフィーダ70を有している。テープフィーダ70は、テープ化部品を巻回させた状態で収容している。テープ化部品は、電子部品がテーピング化されたものである。そして、テープフィーダ70は、送出装置(図10参照)76によって、テープ化部品を送り出す。これにより、フィーダ型の供給装置24は、テープ化部品の送り出しによって、電子部品を供給位置において供給する。
装着ヘッド26は、搬送装置22によって保持された回路基板に対して電子部品を装着するものである。装着ヘッド26は、図2~図4に示すように、装着ユニット82を12個備えている。そして、それら12個の装着ユニット82の各々は、先端部において、電子部品を吸着するための吸着ノズル80を保持している。ちなみに、図2は、スライダ50から取り外された状態の装着ヘッド26を示す斜視図である。図3は、カバーが取り外された状態の装着ヘッド26を示す斜視図である。図4は、装着ヘッド26の下方からの視点において示す装着ヘッド26の底面図である。
各吸着ノズル80は、負圧エア,正圧エア通路を介して、正負圧供給装置(図10参照)84に通じている。そして、各吸着ノズル80は、負圧にて電子部品を吸着保持し、僅かな正圧が供給されることで保持した電子部品を離脱する。また、概して軸状をなす装着ユニット82は、ユニット保持体86の外周部に、等角度ピッチで、軸方向が垂直となる状態に保持されている。その装着ユニット82の先端部に保持される吸着ノズル80は、図4に示すように、ユニット保持体86の下面から下方に向かって12等配の位置で延び出している。これにより、12個の吸着ノズル80は、1円周上に配置されている。
ユニット保持体86は、装着ヘッド28のヘッド本体88によって、自身の鉛直な軸線まわりに回転可能に支持されており、保持体回転装置90によって、任意の角度に回転する。これにより、1円周上に配置された複数の吸着ノズル80は、その1円周の中心を軸心として、任意の角度に回転する。
各装着ユニット82の上端部には、カムフォロアとして機能するローラ92が設けられている。各ローラ92は、ヘッド本体88に固定されたカム(図示省略)のカム面に係合しており、カム面の高さは、周方向において変化している。また、各装着ユニット82は、ユニット保持体86に上下方向に移動可能に保持されている。これにより、装着ユニット82は、ユニット保持体86の回転に伴って、上下方向に移動する。
詳しくは、装着ユニット82の複数の停止位置のうちのヘッド本体88から最も離間している停止位置である装着ステーション(最も前方に位置するステーション)に位置する装着ユニット82は、最も下方に移動する。つまり、装着ヘッド28が回路基板上に移動させられた際に、そのステーションに位置する装着ユニット82の吸着ノズル80と回路基板との距離が最も近くなる。そして、その装着ステーションの吸着ノズル80によって、電子部品が回路基板に装着される。
また、その装着ステーションのユニット保持体86の軸心を挟んで真向かいに位置するステーション、つまり、ヘッド本体88に最も近い停止位置である撮像ステーションに位置する装着ユニット82を中心に5個の装着ユニット82が最も上方に移動する。
ヘッド本体88の下端部は、図2に示すように、最も上方に位置する各装着ユニット82の吸着ノズル80の下端部より下方に延び出しており、吸着ノズル80側に屈曲されている。その屈曲された部分には、パーツカメラ96が配設されている。そして、撮像ステーションに位置する装着ユニット82の吸着ノズル80に保持される電子部品が、パーツカメラ96によって撮像される。また、ヘッド本体88の屈曲された部分の下側の面には、マークカメラ(図10参照)98が下を向いた状態で配設されている。そして、移動装置23によって装着ヘッド26が移動することで、マークカメラ98が、フレーム30上の任意の位置を撮像する。
ここで、各ステーションの位置関係を、図4を用いて説明する。12個の装着ユニット82a~82lのうち1個の装着ユニット82aが装着ステーションに位置している場合、つまり、装着ユニット82aが最も下方に移動している場合に、5個の装着ユニット82e~82iが最も上方に移動している。そして、装着ユニット82gが撮像ステーションに位置し、その装着ユニット82gの吸着ノズル80に保持される電子部品が、パーツカメラ96によって撮像される。なお、ユニット保持体86が正方向に回転する際には、図4での時計回りにユニット保持体86は回転する。
また、5個の装着ユニット82e~82iのうちのユニット保持体86の回転方向での最上流側の装着ユニット82eが位置するステーションは、後に詳しく説明するバルクフィーダ(図5参照)100から電子部品を吸着するための吸着ステーションとされている。なお、テープフィーダ70から供給される電子部品は、装着ステーションに位置する装着ユニット82aの吸着ノズル80aによって吸着される。
また、装着ヘッド26は、各装着ユニット82を各々の軸心回りに同時に自転させるユニット自転装置102を有している。ユニット自転装置102は、図3に示すように、複数の装着ユニット82の上端に設けられた複数の歯車103と、それら複数の歯車103と噛合する1つの歯車(図示省略)とから構成されている。そして、その1つの歯車の回転により、複数の歯車103が回転することで、各装着ユニット82が、各々の軸心回りに同時に回転する。これにより、各装着ユニット82によって吸着保持された電子部品の保持姿勢を変更することができる。また、装着ヘッド26は、装着ステーションおよび、吸着ステーションに位置する装着ユニット82を個別に昇降させるユニット昇降装置104を備えている。
また、吸着ステーションに位置する装着ユニット82に電子部品を供給するバルクフィーダ100は、装着ヘッド26のヘッド本体88に取り付けられている。このため、バルクフィーダ100は、移動装置23によって、装着ヘッド26とともに、フレーム30上の任意の位置に移動する。バルクフィーダ100は、図5および図6に示すように、ハウジング110と、ハウジング110の下端部に固定されたアーム部材112とを有している。なお、図5は、バルクフィーダ100の側方からの視点における透過図であり、図6は、バルクフィーダ100の上方からの視点における透過図である。
アーム部材112は、第1アーム部114と第2アーム部116と第3アーム部118とに区分けされる。第1アーム部114は、第2アーム部116および第3アーム部118と同一平面内で直行し、第2アーム部116と第3アーム部118とが反対方向に延び出している。そして、アーム部材112は、第2アーム部116において、ハウジング110の下面に固定されている。また、アーム部材112は、第3アーム部118において、ヘッド本体88にボルト締結されている。
また、ハウジング110は、第1ケース部材120と第2ケース部材122とによって構成されている。それら第1ケース部材120と第2ケース部材122とは、板厚の平板状とされており、互いの面を合わせた状態で立設されている。第1ケース部材120には、図7に示すように、第2ケース部材122に合わせられる合わせ面124と反対側の面126に開口する凹部128が形成されている。そして、その凹部128の内部に、回転盤130が配設されている。なお、凹部128の下半部は、回転盤130の形状に応じて半円形状とされており、凹部128の上半分は、概して矩形とされている。そして、凹部128は、第2ケース部材122の上縁に開口している。また、図7は、図5でのAA線における断面図である。
回転盤130は、円盤形状とされており、それの中心軸回りに回転可能に第1ケース部材120の凹部128において保持されている。回転盤130には、回転駆動装置132が設けられており、回転駆動装置132の有する電磁モータ(図10参照)134の駆動によって、回転盤130が制御可能に回転する。なお、回転盤130が正方向に回転する際に、図5に示す回転盤130は反時計回りに回転する。
また、凹部128の底面136と向かい合う回転盤130の対向面138には、図8及び図9に示すように、永久磁石140が埋め込まれている。なお、図8は、図5でのBB線における断面図であり、図9は、図5でのCC線における断面図である。また、永久磁石140は、図5に示すように、回転盤130の外縁部に近い箇所に8個、埋め込まれており、それら8個の永久磁石140は8等配に位置している。
また、図8及び図9に示すように、第1ケース部材120の合わせ面124には、溝142が形成されている。溝142は、図5に示すように、円環状溝部144と下方向溝部146とに区分けされる。円環状溝部144は、回転盤130の回転軸線を中心とする部分円環形状である。下方向溝部146は、円環状溝部144の端部から連続し、概して下方向に延びる。
円環状溝部144は、回転盤130の回転に伴う永久磁石140の旋回軌跡に沿った位置に形成されている。円環状溝部144は、永久磁石140の旋回軌跡の最下端から回転盤130の正回転での回転方向に延び出し、永久磁石140の旋回軌跡の最上端を経由して、最前端(アーム部材112側の端)に至っている。一方、下方向溝部146は、円環状溝部144の下方に延び出した最前端から連続し、下方に延び出している。そして、前方(アーム部材112に向かう方向)に向かって湾曲し、概して水平な状態で第1ケース部材120の前方の側面に開口している。このため、溝142は、円環状溝部144及び、下方向溝部146の円環状溝部144に連続する一部において、図8及び図9に示すように、回転盤130に埋め込まれた永久磁石140と対向する。
また、溝142の内部には、電子部品150が収容される。溝142の深さは、図8及び図9に示すように、電子部品150の高さより僅かに深くされており、溝142の幅は、電子部品150の幅より僅かに大きくされている。そして、電子部品150は、それの幅方向が溝142の幅方向となる姿勢で溝142の内部に収容される。
このため、図8に示すように、溝142を通過する磁界が永久磁石140により形成され、溝142に収容された電子部品150に、永久磁石140の磁力が働く。なお、第1ケース部材120は、アルミニウムにより形成され、回転盤130は、樹脂により形成されている。このため、磁力は、非磁性体である第1ケース部材120及び回転盤130を通過し、溝142に収容された電子部品150への影響が担保される。ただし、図5及び図9に示すように、溝142の下方向溝部146と永久磁石140との間に、遮蔽板152が配設されており、その遮蔽板152は、鉄、具体的には、SPCC(冷間圧延鋼板)により形成されている。このため、遮蔽板152が配設された箇所において、溝142に収容された電子部品150への磁力の影響が低下若しくは、遮断される。
詳しくは、図9に示すように、第1ケース部材120の回転盤130と対向する底面136には、凹部154が形成されており、その凹部154の深さ寸法は、遮蔽板152の厚さ寸法より僅かに小さくされている。そして、その凹部154に遮蔽板152が嵌め込まれている。このため、遮蔽板152の凹部154に嵌め込まれる側の面と反対側の面が、第1ケース部材120の底面136から回転盤130に向って突出した状態で、永久磁石140と対向している。ただし、遮蔽板152と永久磁石140とは離間しており、接触していない。このような構造により、磁性体である遮蔽板152に沿って磁界が形成され、溝142まで及ばない。このため、遮蔽板152が配設された箇所において、溝142に収容された電子部品150への磁力の影響が低下若しくは、遮断される。
なお、遮蔽板152の配設箇所は、図5に示すように、溝142の下方に向って延び出す部分、つまり、下方向溝部146と対向する位置であり、かつ、回転盤130と対向する位置である。このため、下方向溝部146がアーム部材112の側に向って湾曲し、回転盤130から離れる箇所に、遮蔽板152は配設されていない。このような構造により、電子部品150が下方向溝部146に収容され、永久磁石140が埋め込まれた回転盤130と対向している際に、その下方向溝部146に収容された電子部品150への磁力の影響が低下若しくは、遮断される。
また、第2ケース部材122は、図7に示すように、合わせ面155において、第1ケース部材120に合わせられており、その合わせ面155に開口する凹部156が形成されている。詳しくは、凹部156は、第1ケース部材120の合わせ面124に形成された溝142を覆うように形成されている。ただし、凹部156は、図5に示すように、概して半円形状とされており、回転盤130の回転軸線および円環状溝部144の一部、具体的には、円環状溝部144の最下端から後方に延び出し、最上端に至る部分を覆う状態で形成されている。そして、第1ケース部材120と第2ケース部材122とが互いの合わせ面124,155で合わせられ、その凹部156の開口が、第1ケース部材120の合わせ面124により塞がれている。これにより、第2ケース部材122の凹部156と第1ケース部材120の合わせ面124とによって、収納部157が区画されている。
円環状溝部144の凹部156によって覆われている部分は、凹部156の内部、つまり、収納部157に開口している。また、円環状溝部144は、上述したように、永久磁石140の旋回軌跡に沿って形成されている。このため、収納部157内に収容されている電子部品150は、永久磁石140の磁力によって、円環状溝部144の内部に収容される。そして、回転駆動装置132の駆動により、回転盤130が正方向に回転することで、円環状溝部144内に収容された電子部品150が回転盤130の回転方向に移動する。
ただし、円環状溝部144の凹部156によって覆われていない部分は、第2ケース部材122の合わせ面155によって塞がれている。つまり、円環状溝部144の凹部156によって覆われていない部分は、断面形状が矩形のトンネル状となっている。このため、回転盤130の回転に伴って、円環状溝部144の内部に収容されている電子部品150が、トンネル状の円環状溝部144に達すると、円環状溝部144からはみ出している電子部品150は、凹部156の側壁158によって、トンネル状の円環状溝部144内への侵入を阻止される。
具体的には、半円形状の凹部156の側壁158は、溝142が形成された合わせ面124に対して直角に立設されており、側壁158の上端部が、円環状溝部144の最上端付近に位置している。そして、側壁158より上流側に位置する円環状溝部144は、収納部157に開口しており、側壁158より下流側に位置する円環状溝部144は、トンネル状とされている。このため、円環状溝部144からはみ出している電子部品は、円環状溝部144の最上端付近において側壁158に当接し、収納部157からの送り出しが阻止される。これにより、円環状溝部144内に適切に収容された電子部品のみが、収納部157から送り出される。
また、アーム部材112には、図6に示すように、上面に開口するとともに、第1ケース部材120の前方側の側面に開口している下方向溝部146に連続する溝166が形成されている。溝166の内寸は、溝142の内寸と略同じとされており、溝166にも電子部品150が収容される。また、溝166は、第1アーム部114に向かって湾曲されており、第1アーム部114の端面まで延び出している。その端面への溝166の開口の内側には、ピン162が立設されており、そのピン162によって溝166内を送り出されてきた電子部品が停止させられる。つまり、ピン162が立設された箇所が、バルクフィーダ100の電子部品の供給位置となる。
アーム部材112には、さらに、上面に開口するとともに、溝166のピン162が形成されている直前の部分に連続するエア溝168が形成されている。なお、エア溝168の内寸は、溝166の内寸より小さくされており、エア溝168への電子部品150の収容は不能とされている。また、エア溝168には、エア吸引装置(図10参照)170が接続されており、エア吸引装置170によりエア溝168からエアが吸引される。これにより、溝166の内部において、ピン162が立設された箇所、つまり、供給位置に向かってエアが吸引され、溝166の内部において、電子部品150が供給位置に向って搬送される。
なお、アーム部材112の上面は、カバー(図示省略)によって覆われており、溝166およびエア溝168はトンネル状とされている。また、溝166のピン162が立設された位置、つまり、電子部品の供給位置を覆う位置には、切欠き部(図示省略)が形成されており、その切欠き部を介して、電子部品の供給が行われる。
また、電子部品が収納される収納部157、つまり、第2ケース部材122に形成された凹部156は、第2ケース部材122の上面および下面に開口しており、それぞれの開口には、シャッタ186,188が設けられている。各シャッタ186,188はスライドさせることで、開閉可能とされている。これにより、シャッタ186を開けることで、収納部157内に電子部品を補充し、シャッタ188を開けることで、収納部157内に収納されている電子部品をバルクフィーダ100の外部に排出することが可能となっている。
上記構造とされたバルクフィーダ100では、収納部157内にバラバラの状態で電子部品が収納されており、それらバラバラの状態の複数の電子部品が1列に整列され、連なった状態で供給位置まで送り出される。具体的には、収納部157内に収納されている電子部品が、永久磁石140の磁力によって、円環状溝部144の内部に収容される。そして、回転駆動装置132の駆動により、回転盤130が正方向に回転することで、永久磁石140も正方向に回転し、円環状溝部144内に収容された電子部品が、永久磁石140の磁力により回転盤130の回転方向に搬送される。この際、円環状溝部144の内部で、複数の電子部品が1列に整列され、連なった状態となる。
回転盤130の回転に伴って、円環状溝部144の内部に収容されている電子部品が、トンネル状の円環状溝部144に達すると、円環状溝部144からはみ出している電子部品は、凹部156の側壁158に当接する。これにより、側壁158に当接した電子部品は、収納部157の下方に落下する。そして、円環状溝部144内に適切に収容された電子部品のみが、回転盤130の回転に伴って、円環状溝部144内をさらに移動する。
更に、回転盤130の回転に伴って、電子部品は、円環状溝部144の内部から下方向溝部146の内部に搬送される。下方向溝部146では、上述したように、下方向溝部146が形成された第1ケース部材120と永久磁石140が埋め込まれた回転盤130との間に遮蔽板152が配設されているため、磁力の影響が低下若しくは、遮断される。このため、下方向溝部146において、電子部品150は永久磁石140の磁力によって搬送されない。ただし、下方向溝部146は、下方に向って延び出しているため、電子部品150は、下方向溝部146の内部において、自重によって下方に向って落下する。
また、電子部品150が落下する下方向溝部146の下端部は、前方に向って湾曲している。このため、電子部品150が下方向溝部146の下端部に接近するほど、電子部品150の自重による落下速度は低下する。ただし、下方向溝部146の下端部に連通する溝166には、上述したように、エア溝168が接続されており、エア溝168を介して、溝166からエアが吸引される。このため、下方向溝部146において、自重により落下してきた電子部品150は、エアの吸引により、溝166に向って搬送される。つまり、下方向溝部146の下流側において、電子部品150の搬送が、エアの吸引により担保されている。そして、電子部品150は、溝166において、エアの吸引により、エア溝168に向って搬送されることで、最終的に、溝166の第1アーム部114の端面への開口に立設されたピン162に当接する。これにより、バルクフィーダ100では、バラバラの状態で収容されていた複数の電子部品が、1列に整列された状態で供給位置まで送り出される。
なお、バルクフィーダ100では、下方向溝部146において、下方向溝部146が形成された第1ケース部材120と永久磁石140が埋め込まれた回転盤130との間に遮蔽板152が配設され、磁力の影響が低下若しくは、遮断されることで、電子部品150の適切な搬送が担保されている。詳しくは、従来のバルクフィーダでは、下方向溝部146において、第1ケース部材120と回転盤130との間に遮蔽板152は、配設されていなかった。このため、下方向溝部146においても、電子部品150に永久磁石140の磁力が作用していた。そして、下方向溝部146において、電子部品150が自重により落下する際に、落下する電子部品150に磁力が作用し、自重による電子部品150の落下が阻害される。このため、従来のバルクフィーダでは、電子部品150の落下速度が低下し、溝166においてエアが吸引されていても、下方向溝部146の下端部において電子部品150が滞る場合があった。一方、バルクフィーダ100では、下方向溝部146において、第1ケース部材120と回転盤130との間に遮蔽板152が配設されており、下方向溝部146への磁力の影響が低下若しくは、遮断されることで、電子部品150の適切な搬送が担保される。
また、バルクフィーダ100は、装着ヘッド26に固定されており、複数の吸着ノズル80のうちの吸着ステーションに位置する吸着ノズル80eが、バルクフィーダ100の供給位置となる溝166の先端の上方に位置する。これにより、吸着ステーションに位置する吸着ノズル80eが、ユニット昇降装置104によって下方に移動することで、バルクフィーダ100の供給位置まで搬送された電子部品150が、吸着ノズル80eにより吸着保持される。
また、装着機16は、図10に示すように、制御装置190を備えている。制御装置190は、コントローラ192と、複数の駆動回路194と、画像処理装置196とを備えている。複数の駆動回路194は、上記電磁モータ46,52,54,134、基板保持装置48、送出装置76、正負圧供給装置84、保持体回転装置90、ユニット自転装置102、ユニット昇降装置104、エア吸引装置170に接続されている。コントローラ192は、CPU,ROM,RAM等を備え、コンピュータを主体とするものであり、複数の駆動回路194に接続されている。これにより、搬送装置22、移動装置23等の作動が、コントローラ192によって制御される。また、コントローラ192は、画像処理装置196にも接続されている。画像処理装置196は、パーツカメラ96及びマークカメラ98によって得られた画像データを処理するものであり、コントローラ192は、画像データから各種情報を取得する。
装着機16では、上述した構成によって、回路基板に対して電子部品を装着する装着作業を行う。具体的には、コントローラ192の指令により、回路基板が、コンベア装置40,42によって作業位置まで搬送され、その位置において、基板保持装置48によって保持される。次に、装着ヘッド26が、移動装置23の作動により、回路基板の上方に移動し、マークカメラ98が回路基板を撮像する。そして、その撮像により得られた撮像データに基づいて、コントローラ192が、コンベア装置40,42による回路基板の保持位置誤差などを演算する。
また、バルクフィーダ100では、上述した手順に従って、供給位置に向って電子部品150が搬送されており、装着ヘッド26の吸着ステーションに位置する吸着ノズル80により、バルクフィーダ100の供給位置に搬送された電子部品150が保持される。そして、電子部品150が吸着ノズル80により保持されると、ユニット保持体86が回転し、電子部品150を保持していない吸着ノズルが吸着ステーションに移動してくる。このため、新たに吸着ステーションに移動してきた吸着ノズルが、バルクフィーダ100の供給位置から電子部品を保持する。このように、装着ヘッド26では、バルクフィーダ100から電子部品が吸着ノズル80により保持される毎に、ユニット保持体86が順次回転し、吸着ステーションに位置する吸着ノズルによりバルクフィーダ100から電子部品が順次保持される。また、ユニット保持体86の回転に伴って、電子部品を保持する吸着ノズル80が撮像ステーションに移動してくると、撮像ステーションにおいて、吸着ノズル80に保持された電子部品がパーツカメラ96により撮像される。そして、その撮像により得られた撮像データに基づいて、コントローラ192が、吸着ノズル80による電子部品の保持位置誤差などを演算する。なお、バルクフィーダ100は、装着ヘッド26に固定されているため、装着ヘッド26が移動している際においても、バルクフィーダ100から部品を保持することができるため、サイクルタイムの短縮を図ることが可能である。
また、装着ヘッド26は、必要とする数の電子部品をバルクフィーダ100から保持すると、回路基板の上方に移動し、装着ステーションに位置する装着ユニット82が、ユニット昇降装置104の作動により下降する。これにより、その装着ユニット82の吸着ノズル80に保持された電子部品150が回路基板に装着される。なお、先に演算された電子部品の保持位置誤差,回路基板の保持位置誤差を考慮して、回路基板への電子部品の装着作業が実行される。
なお、上記実施例において、バルクフィーダ100は、部品搬送装置および部品供給装置の一例である。第1ケース部材120は、ケースの一例である。永久磁石140は、磁石の一例である。溝142は、搬送経路の一例である。下方向溝部146は、下降領域の一例である。遮蔽板152は、磁力低下機構および遮蔽板の一例である。エア吸引装置170は、エア吸引装置の一例である。
また、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することが可能である。具体的には、例えば、上記実施例では、遮蔽板152の素材として、鉄が採用されているが、参加クロム,コバルトなどの種々の磁性体を採用することが可能である。また、磁性体に限定されず、非磁性体を、遮蔽板152の素材として採用してもよい。ただし、非磁性体が遮蔽板152の素材として採用される場合は、遮蔽板152の厚さ寸法をある程度大きくする必要がある。
また、上記実施例では、遮蔽板152により下方向溝部146に影響する磁力が低下若しくは、遮断されているが、種々の機構により、下方向溝部146に影響する磁力が低下若しくは、遮断されてもよい。具体的には、例えば、永久磁石140の経路と溝142との間の距離が、円環状溝部144と下方向溝部146とで異なるような機構を採用してもよい。つまり、永久磁石140の経路と下方向溝部146との間の距離が、永久磁石140の経路と円環状溝部144との間の距離より長くなるように構成してもよい。また、磁力の強さを変更可能な磁石を採用し、円環状溝部144に対応する経路において、磁石の磁力を強め、下方向溝部146に対応する経路において、磁石の磁力を弱めてもよい。このように構成することでも、遮蔽板152が配設された場合と同様の効果を得ることができる。
また、上記実施例では、電子部品が自重で落下する下方向溝部146に対応して遮蔽板152が配設されているが、種々の領域に遮蔽板152を配設することができる。具体的には、例えば、溝142において、エアの吸引若しくは噴出により電子部品が搬送される領域がある場合に、その領域に対応して遮蔽板152が配設されてもよい。このように遮蔽板152を配設することで、エアの吸引若しくは噴出による電子部品の搬送が、磁力により遮られないため、エアの吸引若しくは噴出による電子部品の適切な搬送が担保される。
また、上記実施例では、下方向溝部146の下流側において、エアの吸引により、電子部品が搬送されているが、エアの噴出,振動,電子部品の搬送経路の傾斜など、種々の方法により、電子部品を搬送してもよい。
また、上記手法を用いて搬送される物は、電子部品に限られず、種々の物の搬送に本発明を適用することができる。さらに言えば、上記実施例では、本発明が、電子部品を供給位置まで搬送するバルクフィーダ100に適用されているが、ボールフィーダ,スティックフィーダなどの部品供給装置に適用されてもよい。また、部品供給装置に限定されず、単に部品を搬送する装置,部品の供給とは異なる目的で部品を搬送する装置などに、本発明が適用されてもよい。