JP7145282B2 - モルタルの製造方法と製造装置 - Google Patents
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Description
半たわみ性舗装の施工時に、一般にセメントミルクの製造は施工場所付近で行われる。例えば、セメントミルクの主な製造方法として、セメントと水を大型のポリバケツ内に入れてハンドミキサー等の撹拌機を用いて人力によって混練する製造方法が行われている。 工場で製造したセメントミルクを大きなタンクローリー車に充填して現場まで運搬する方法もあるが、コスト高であった。
また、特許文献1に記載された大規模な製造方法では、1台のトラックの荷台にミキサーと水タンクとを備え、更にセメントを詰めたフレキシブルコンテナバッグを別のトラック等の荷台からクレーン等で吊り上げて破袋し、ミキサー内に投入する必要があった。その際、投入するセメント粉体がミキサーの投入口付近に付着する等して高品質なセメントミルクができにくいことがあった。しかも、多数の作業員と大型装置等が必要であり、製造効率が悪かった。
本発明によれば、アジテータ車のミキシングドラム内に水を供給した後、ミキシングドラムを回転させながらセメント粉体またはセメント及び細骨材の混合粉体を供給して混練することで揺動する水に粉体を落下させて均一に混合でき、セメントミルク等のモルタルを施工現場等で効率的にしかも大量に製造することができる。
本発明によれば、アジテータ車の回転するミキシングドラム内に水とセメント粉体またはセメント及び細骨材の混合粉体とを同時に供給して混練することでセメントミルク等のモルタルを施工現場等で効率的にしかも大量に製造することができる。
ミキシングドラムに供給する水量を給水管の流量計によって計測して所定量で停止するよう管理することができる。
粉体供給手段に貯留された粉体の重量を計測することで、粉体供給手段からミキシングドラムに供給する粉体の重量を減算方式によって管理できる。
また、本発明のモルタルの製造装置は、前記導入管が、前記アジテータ車の形状に合わせて長手方向中間部分で屈曲または湾曲していてもよい。
図1は実施形態によるセメントミルク製造装置1を示すものであり、中央に設けたアジテータ車2と、アジテータ車2に給水管3を介して接続された給水車4と、アジテータ車2に粉体供給管5を介して接続されたバラ車6とを備えている。
図2に示すアジテータ車2は、計量された水とセメント粉体(と混和剤等)を練混ぜすることでセメントミルクを製造する車であり、トラック8の荷台に回転軸線O回りに回転可能なミキシングドラム9が設置されている。ミキシングドラム9は内部に設けた撹拌翼(図示せず)によって水とセメント粉体を混練してセメントミルクを製造する回転可能な容器であり、容量は適宜設定できるが、例えば11トン程度の大型が好ましい。
なお、導入管15は必ずしも屈曲や湾曲をしている必要はない。導入管15について長手方向一端の粉体供給管5との連結部を入口15aとし、他端を吐出口15bとする。
導入管15はホッパ11内に挿入されて上部保持部16及び下部保持部17でホッパ11に係止保持された状態で、吐出口15bはミキシングドラム9の回転軸線O方向の中央付近に位置し、吐出される粉体がミキシングドラム9のホッパ11や内奥部の壁面等に付着しないようにした。導入管15の形状や配置は回転するミキシングドラム9の内壁やホッパ11等に接触しなければ適宜位置に設定でき、回転軸線Oから外れて配置してもよい。
ミキシングドラム9内における許容配置範囲S内に導入管15の吐出口15bを配置すれば、回転するミキシングドラム9内の中央付近へセメント粉体を供給できる。そのため、その直下で揺動する水に粉体を落下させて均一に撹拌混合でき、粉体がダマになったり混合割合が部分的に不均一になったりしない。
導入管15は上部保持部16と下部保持部17等の固定具によって、または導入管15自体をホッパ11の投入口11aに固定しても良い。固定具を用いる場合、例えばシャコ万力などの器具でホッパ11または粉体供給管5に固定することができる。なお、この構成に代えて粉体供給管5を導入管15の内部へ挿入して接続しても良い。
導入管15と粉体供給管5の接続を容易にするために、可塑性を持つ補助管を設けてその一端を導入管15に固定し、補助管の他端をアジテータ車の2の下部で粉体供給管5に接続しても良い。
また、給水の動力としては、流量計20と連動した水中ポンプを設置することが好ましい。給水量が一定量に達した時点で水中ポンプへの電力供給を遮断し、供給を止めるシステムがより好ましい。
重量計22は、一つの秤で計量する大型の定置型台貫でも良いが、複数の小型の秤で計量すればバラ車6の移動が容易になって好ましい。また、重量計22と無線で連動し、減算方式でセメント粉体の排出量を演算して、自動表示および記録することが可能な管理装置を設置してもよい。
図1において、アジテータ車2を半たわみ性舗装現場に移動させて停車させ、その近傍に給水車4とバラ車6を停車させる。そして、アジテータ車2の空のミキシングドラム9内に給水車4から水中ポンプ等によって給水管3を介して給水が行われる(S100)。ミキシングドラム9への給水量は給水管3に設置した流量計20によって計測できる。
導入管15の吐出口15bはミキシングドラム9内の回転軸線O方向中央付近に位置するため、供給されるセメント粉体は確実にミキシングドラム9内に貯留された水に落下する。そのため、センメント粉体はミキシングドラム9のホッパ11や内奥部の壁面等に付着したりダマなどを形成したりすることなく水と均一に混合させられる。
そして、ミキシングドラム9内の撹拌羽根によって水とセメント粉体が良く撹拌混練させられる(S103)。こうして、ミキシングドラム9内で水とセメント粉体を良く混練して所定量のセメントミルクを効率よく製造できる。製造されたセメントミルクはシュート13を介して空隙率の大きな開粒度タイプのアスファルト舗装体に投入して充填させ、その空隙に浸透させる(S104)。そして、硬化された半たわみ性舗装は一般の密粒度アスファルト舗装と比較して塑性変形抵抗性、明色性、耐油性及び難燃性に優れている。
セッティング段階では、図1に示すように、供水手段として給水車4を使用し、電動ポンプを給水車4の水タンク4aに設置する。水タンク4aの電動ポンプに給水管3として内径φ50mmのジャバラ管を接続し、この給水管3を、流量計20を介してアジテータ車2のホッパ11からミキシングドラム9内へ延ばして設置する。
粉体供給管5として、バラ車6に付属する内径φ100mmのジャバラ管をアジテータ車2の導入管15内部へ挿入して連結する。
まず、表1に示す量の水をミキシングドラム9内へ供給する。水の供給量は給水管3に設置した流量計20を用いて計測する。給水終了後、ミキシングドラム9の撹拌羽根を回転駆動させて、例えば15min-1程度の高速攪拌を開始する。
粉体供給手段として10t~20t程度のバラ車6を使用する。表1に示す量のセメント粉体をバラ車6から粉体供給管5を通して圧送し、導入管15を介してミキシングドラム9内の回転軸線O方向中央付近の吐出口15bから吐出する。セメント粉体の供給量は無線式重量計を用いて減算方式で管理する。
そして、ミキシングドラム9を3分間高速攪拌して(15min-1程度)、セメントミルクを製造し、その後、空隙率の大きな開粒度タイプのアスファルト舗装面の施工箇所へ排出する。
本実施例によるセメントミルク製造方法で製造したセメントミルクが、有効であるか否かを確認する。そのため、上述した製造方法で製造したセメントミルクを実施例とし、従来の製造方法である、ハンドミキサーを用いてセメントと水を大型容器内で混合することで製造したセメントミルクを比較例とする。製造したセメントミルクの各配合を表1に示す。
(1)セメント強度:セメントミルク圧縮強度試験方法(JIS A 1108に準ずる)
(2)セメントの流動性:充填モルタルの流動性試験方法(JSCE-F-1999に準ずる)
なお、(1)のセメント強度は実施例と比較例のセメントミルクを、同一の空隙率の大きな開粒度タイプのアスファルト舗装体に所定量充填させた後の養生期間における材齢1日と材齢7日で圧縮強度(N/mm2)を測定した。実施例と比較例の品質試験(1)、(2)の結果は、表2に示す通りになった。漏斗時間(秒)は目標値10~14秒に対して実施例と比較例はいずれも許容範囲に収まっている。また、圧縮強度は実施例の方が比較例より高いことを確認できた。
よって、本実施例は、表2に示すように、比較例(従来の製造方法)と同等の品質のセメントミルクを製造できることが証明された。また、表1に示すようにセメントミルクの製造量は実施例の方がはるかに多い。
しかも、アジテータ車2のミキシングドラム9でセメント粉体を混練してセメントミルクを製造できるため、半たわみ性舗装等の施工現場等で効率的に製造できる。
また、アジテータ車2はセメント粉体をミキシングドラム9内の回転軸線O方向中央付近の水中に落下して均一に混合できるため、均一な混合比のセメントミルクを効率よく製造できる。
また、導入管15に代えて、管体を半割した断面略円弧状のシューター等を取り付けてもよく、これらは導入ガイドを構成する。
2 アジテータ車
3 給水管
4 給水車
5 粉体供給管
6 バラ車
9 ミキシングドラム
11 ホッパ
15 導入管
20 流量計
22 重量計
Claims (6)
- アジテータ車のミキシングドラムに給水管を介して水を供給する工程と、
前記ミキシングドラムへの給水終了後に、前記ミキシングドラムを回転させた状態で、圧送装置を用いてセメント粉体またはセメント及び細骨材の混合粉体を前記ミキシングドラム内に供給する工程と、
前記水とセメント粉体またはセメント及び細骨材の混合粉体とを混練する工程と、を備え、
投入口を通して前記ミキシングドラム内の中央付近に延びる導入管を備えており、前記導入管を通してセメント粉体またはセメント及び細骨材の混合粉体を前記ミキシングドラム内に供給するようにし、
前記導入管の吐出口の許容設置範囲は、
前記ミキシングドラムの側面視における前記ミキシングドラムの回転軸線方向の一端部から他端部までの全長をLとし、
平面視における前記ミキシングドラムの最大幅をWとすると、
回転軸線方向ではその中心点から両側にそれぞれL/4の長さの範囲内とされ、かつ、幅方向では回転軸線から両側にW/4の範囲内とされていることを特徴とするモルタルの製造方法。 - アジテータ車のミキシングドラムを回転させる工程と、
前記ミキシングドラムを回転させた状態で、給水管を介して水を供給すると同時に、セメント粉体またはセメント及び細骨材の混合粉体を前記アジテータ車のミキシングドラムに圧送装置を用いて供給する工程と、
前記水とセメント粉体またはセメント及び細骨材の混合粉体とを混練する工程と、を備え、
投入口を通して前記ミキシングドラム内の中央付近に延びる導入管を備えており、前記導入管を通してセメント粉体またはセメント及び細骨材の混合粉体を前記ミキシングドラム内に供給するようにし、
前記導入管の吐出口の許容設置範囲は、
前記ミキシングドラムの側面視における前記ミキシングドラムの回転軸線方向の一端部から他端部までの全長をLとし、
平面視における前記ミキシングドラムの最大幅をWとすると、
回転軸線方向ではその中心点から両側にそれぞれL/4の長さの範囲内とされ、かつ、幅方向では回転軸線から両側にW/4の範囲内とされていることを特徴とするモルタルの製造方法。 - 前記水を供給する給水管に流量計を設置し、該流量計によって水の供給量を計測するようにした請求項1または2に記載されたモルタルの製造方法。
- 前記セメント粉体またはセメント及び細骨材の混合粉体を貯留して前記ミキシングドラムに供給する粉体供給手段に重量計を設置し、該重量計によって前記セメント粉体またはセメント及び細骨材の混合粉体の供給量を計測するようにした請求項1から3のいずれか1項に記載されたモルタルの製造方法。
- 回転可能なミキシングドラムを備えたアジテータ車と、
前記ミキシングドラムに水を供給する給水手段と、
回転する前記ミキシングドラムにセメント粉体またはセメント及び細骨材の混合粉体を供給する圧送装置を備えた粉体供給手段と、
前記ミキシングドラムの内部に吐出口を有していて前記粉体供給手段から供給される前記セメント粉体またはセメント及び細骨材の混合粉体をミキシングドラム内に吐出する導入管と、を備え、
前記ミキシングドラム内に水を供給した後、或いは水の供給と同時に前記セメント粉体またはセメント及び細骨材の混合粉体を前記導入管を通して前記ミキシングドラム内に吐出して混練するように構成され、
前記導入管の前記吐出口は、
前記ミキシングドラムの側面視における前記ミキシングドラムの回転軸線方向の一端部から他端部までの全長をLとし、
平面視における前記ミキシングドラムの最大幅をWとすると、
回転軸線方向ではその中心点から両側にそれぞれL/4の長さの範囲内、かつ、幅方向では回転軸線から両側にW/4の範囲内に設けられていることを特徴とするモルタルの製造装置。 - 前記導入管は、前記アジテータ車の形状に合わせて長手方向中間部分で屈曲または湾曲している請求項5に記載されたモルタルの製造装置。
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