JP7144753B2 - プラズマ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、プラズマを発生させ得るプラズマ装置に関する。
気体の分子(原子)が主に陽イオンと電子(両者を併せて単に「荷電粒子」という。)に電離した状態となるプラズマは、様々な分野で種々の処理(加工を含む)に利用される。例えば、グロー放電等により形成される低温プラズマは、制御性に優れ、半導体層や絶縁層等の形成、DLC等の薄膜形成(特にCVD)、表面処理(表面改質)、エッチング等、各種処理に広く利用されている。
このような従来のプラズマ処理は、主に、数百Pa以下の低圧雰囲気中でなされていた。大気圧付近の雰囲気でプラズマ処理できれば、処理コストの大幅な低減等が可能となる。そこで、大気圧プラズマ装置等に関する提案が種々なされており、例えば、下記の特許文献に関連する記載がある。
特開2009-272318号公報 特開2008-98128号公報 特開2004-353066号公報
特許文献1、2では、誘電体バリア放電によりプラズマを発生させている。誘電体バリア放電では、放電電流が抑制され、電流密度が小さく、処理に必要なプラズマ密度が得られ難い。
特許文献3は、ホローカソード電極の電極孔内で、マイクロカソードプラズマ放電をさせてている。その電極孔は、いずれも僅かφ0.1mm程度の微細な丸孔である(図8、図9、[0070]等)。このような微細な電極孔を多数配設した場合(図10、図11、[0061]等)、電極孔の隣接間距離(ピッチ)が相対的に大きくなり、基材(ワーク)に照射されるプラズマ密度は、基材表面の位置により変化し易い。つまり、基材表面を均一的にプラズマ処理できない。
また、特許文献3には、絶縁物をその両側にある導体電極よりも奥側へ凹ませることにより、放電が安定する旨の記載もある(図20、[0068]等)。しかし、丸い電極孔を多数配設した場合、それらの隣接間距離による制約を受け、導体電極の凹み量をあまり大きくできない。具体的にいうと、特許文献3の凹み量(0.1mm)は、絶縁物の厚み(0.2mm)の半分にされている。本発明者の研究によれば、その程度の微小な凹みでは、放電の安定性に殆ど変化がなかった。
本発明はこのような事情に鑑みて為されたものであり、均一的または効率的なプラズマ処理を可能とする新たなプラズマ装置等を提供することを目的とする。
本発明者はこの課題を解決すべく鋭意研究した結果、貫通したスリット状の連通孔内において、露出した電極面間で放電(プラズマ発生)をさせ、連通孔の下端開口からプラズマ(ラジカル、イオン等)を被処理面へ噴出(照射)させることを着想した。これを具現化できる新たな構造のプラズマ装置を完成させた。この成果を発展させることにより、以降に述べる本発明を完成するに至った。
《プラズマ装置》
(1)本発明は、ガスが供給される導入部と、該導入部の下流側に配設され、上流側から順に積層された第1絶縁体、第1電極、第2絶縁体および第2電極を有する生成部とを備え、該生成部は、該第1絶縁体、該第1電極、該第2絶縁体および該第2電極を上流側から下流側に貫通するスリット状の連通孔を有し、さらに、該連通孔の下流側に載置されるワークを該連通孔に対して相対移動させる移動手段を備え、該第1電極と該第2電極の間に電圧を印加したときに該連通孔内で生成したプラズマを該連通孔の下端開口から相対移動する該ワークに向けて噴出し得るプラズマ装置である。
(2)本発明のプラズマ装置(単に「装置」ともいう。)によれば、先ず、連通孔内に露出した第1電極の内壁面と第2電極の内壁面との間で、放電(通常、グロー放電またはアーク放電)を生じる。そして、連通孔内に生じたプラズマ(電子、ラジカル、イオン等)は、連通孔の上流から下流に至るガス流(気流)に押し出されて、連通孔の下流側にある下端開口から流出(噴出)する。
ここで連通孔はスリット状であるため、連通孔の下端開口からワークの被処理面へ照射されるプラズマは、略線状となる。移動手段により、その連通孔の下端開口に対してワークが相対移動すると、被処理面は略線状のプラズマにより均一的に走査される。こうして、被処理面全体に対して、均質的なプラズマ処理が効率的になされ得る。なお、本発明のプラズマ装置を用いれば、大気圧付近の雰囲気下にあるワークに対してもプラズマ処理が可能である。
《プラズマ処理方法/被処理物》
本発明は、上述した装置により発生されたプラズマを用いた処理(表面改質、成膜、洗浄等)の方法、または、その処理方法により得られた結果物(被処理物)としても把握され得る。
《その他》
(1)本明細書でいう上流と下流は、導入部または生成部(特に連通孔)において、ガスまたはプラズマが流れる方向に沿う。鉛直方向(実際の配置)とは関係なく、適宜、その流れる方向を上下方向ともいう。例えば、上流側にある面や端等を上面や上端等といい、その反対側である下流側にある面や端等を下面や下端等という。
(2)本明細書でいう「大気圧付近」は、敢えていうと、大気圧(P)に対して、0.01P≦P≦1.1Pを満たす気圧(P)の範囲である。通常、大気圧(P)または準大気圧(0.1P≦P<P)であればよい。標準気圧(P=1.01325×10Pa≒1×10Pa)に基づいて、例えば、1×10Pa≦P≦1×10Paを大気圧付近としてもよい。
(3)本明細書でいう「x~y」は、特に断らない限り、下限値xおよび上限値yを含む。本明細書に記載した種々の数値または数値範囲に含まれる任意の数値を新たな下限値または上限値として「a~b」のような範囲を新設し得る。本明細書でいう「x~ymm」は、特に断らない限り、xmm~ymmを意味する。他の単位系についても同様である。
プラズマ装置(一例)の概要を示す斜視図である。 その短手方向(前後方向)の断面図である。 その長手方向(左右方向)の断面図である。 プラズマ装置により実際に発生させたプラズマを示す写真である。 第1電極の内壁面と第2絶縁体の内壁面を、プラズマ発生後に観察した写真である。
上述した本発明の構成要素に、本明細書中から任意に選択した一つまたは二つ以上の構成要素を付加し得る。本明細書で説明する内容は、装置のみならず処理方法やその結果物にも適宜該当する。方法的な構成要素であっても物に関する構成要素ともなり得る。いずれの実施形態が最良であるか否かは、対象、要求性能等によって異なる。
《生成部》
(1)電極と絶縁体
生成部は、少なくとも上流側から順に、第1絶縁体、第1電極、第2絶縁体、第2電極が積層されてなる。第1電極は、第1絶縁体と第2絶縁体の間に介装されているため、第1電極に高電圧が印加されても、第1電極の外周囲にある他の金属体(例えばチャンバー等の囲い)との間で放電は生じ難い。第1電極は、その外周側も絶縁体で覆われているとよりよい。例えば、第1絶縁体、第2絶縁体および環状絶縁体(絶縁環)で形成される(閉)空間内に、第1電極が収容されているとよい。
絶縁体で包囲(囲繞)された第1電極への通電(電源への配線)は、例えば、導入部と第1電極を導電材からなる第1連結具で連結して、導入部からなされてもよい。このとき、導入部と第1電極は略同電位となるため、導入部内で放電等が生じることもない。
第2電極は、下面や外周面が絶縁体で覆われていてもよい。もっとも、第2電極とワークや他部材(ステージ、チャンバー等)との電位差が小さくなるように電源回路が構成されていれば、そのような絶縁体はなくてもよい。この場合、第2電極の下面(連通孔の下端開口)をワーク(ステージ)へより近接させ得る。そこで第2電極は、例えば、ワーク、(またはそれを載置するステージ)やそれらを囲う筐体(チャンバー)等と共に接地されているとよい。なお、ワーク等には、バイアス電位が付与されてもよい。
各電極は、例えば、ステンレス鋼、鉄、銅、チタン、タングステン、アルミニウム等の金属材からなる。絶縁体は、例えば、セラミックス、石英、ガラス、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイミド(例えばカプトン)等からなる。セラミックスには、例えば、耐熱性にも優れたアルミナ(Al)窒化アルミニウム(AlN)、窒化ボロン(BN)等がある。
各電極の厚さは、例えば、0.5~30mmさらには1~15mmである。各絶縁体の厚さは、例えば、0.1~20mmさらには1~10mmである。特に、第2絶縁体の厚さ(第1電極と第2電極の間隔)は、0.2~5mmさらには0.5~3mmとするとよい。この厚さが過小では絶縁体が部分的に絶縁破壊して放電が不安定となる。この厚さが過大では放電電圧が大きくなり、電源の装置コストが高くなる。
(2)連通孔
連通孔はスリット状である。スリット状とは、連通孔の横断面(ガス等の流れに対する直交断面)が、短手方向に対して長手方向に十分に長い形状である。具体的な形状は、長方形状、楕円状、長穴状等のいずれでもよい。
連通孔(下端開口)の横断面は、短手方向の最大長(a:横幅という。)に対する長手方向の最大長(b:縦幅という。)の比である縦横比(b/a)が、例えば、10~10000、50~5000さらには100~1000である。具体的な寸法は、装置の用途や仕様等に応じて調整される。敢えていうと、例えば、横幅(a)は0.1~20mmさらには0.5~10mm、縦幅(b)は20~2000mmさらには40~1000mmとされる。
横幅が過小であると、長時間の成膜により、汚染や詰まりを生じ得る。縦幅が過小であると、一走査あたりの処理領域が狭くなる。横幅が過大であると、短手方向にプラズマ密度の分布が生じ得る。縦幅が過大であると、長手方向にプラズマ密度の分布を生じ得る。
なお、スリット状の連通孔は、一列(一筋、一連、一条)あればよいが、複列あってもよい。複列の連通孔は、それぞれが平行に配設されているとよい。なお、連通孔の横断面は、ワークの形態に応じて、直線状に延在していても、左右方向、前後方向または上下方向に関して曲線状に延在していてもよい。
第2絶縁体の内壁面は、第1電極の内壁面または第2電極の内壁面よりも外周側(前後または左右)に偏位していてもよい。換言すると、連通孔を構成する内壁面のうち、第2絶縁体の内壁面が、第1電極の内壁面または第2電極の内壁面よりも、奥へ凹んでいてもよい。
この場合、第2絶縁体と第1電極または第2電極とそれらの周辺空間との間(三重点)における電界が緩和され、第2絶縁体の内壁面(沿面)に沿った絶縁破壊(短絡)が抑止される。また、第2絶縁体の内壁面が、放電の集中し易い第1電極の内周縁(縦断面の角部)または第2電極の内周縁(縦断面の角部)から遠ざかり、プラズマ処理時に汚染され難くなる。
こうして、第2電極の内壁面に沿った電極間の短絡(絶縁破壊)により、連通孔内で生じ得る不安定なアーク放電等が抑止され、連通孔の長手方向に沿って均一的なプラズマが得られる。このようなプラズマをワークの被処理面に対して、連通孔の短手方向へ走査させると、均一的なプラズマ処理が効率的になされ得る。
スリット状の連通孔は多数配設する必要がない。このため、第1電極の内壁面または第2電極の内壁面から第2絶縁体の内壁面までの距離(偏位量)の調整自由度は大きい。その偏位量(Δr)は、例えば、第2絶縁体の厚さ(t)を用いて、Δr≧t、Δr≧2tさらにはΔr≧3tとするとよい。
第2絶縁体の内壁面が対称的に偏位している(凹んでいる)場合、第1電極または第2電極の対向する内壁面間距離:d、第2絶縁体の対向する内壁面間距離:Dとすると、D=d+2ΔrまたはΔr=(D-d)/2となる。
第2絶縁体の内壁面は、少なくとも長手方向に沿って偏位しているとよい。勿論、短手方向も含めて、全周状(環状)に、第2絶縁体の内壁面が第1電極または第2電極の内壁面から偏位していてもよい。
なお、第1電極と第2電極の間で内壁面間距離が異なるとき(つまり、各電極の内壁面に段差があるとき)、またはそれら内壁面が傾斜等しているとき、偏位量は次のように考えるとよい。第1電極の下端内周縁または第2電極の上端内周縁のうちで外周側にある方から、第2絶縁体の内周面(最内周位置)までの最短距離を偏位量(Δr)とする。
《移動手段/ステージ》
移動手段により、連通孔の下端開口から噴出するプラズマは、ワークの被処理面上を走査できる。連通孔側(生成部側)が移動しても、ワークを載置するステージが移動してもよい。
ステージは、ワークの加熱手段(ヒータ)、冷却手段(クーラ)または温度調整手段を備えてもよい。温度調整手段は、加熱手段および/または冷却手段に加えて、それらの制御手段を有する。
連通孔の下端開口からワークの被処理面までの距離(間隔)は、例えば、0.1~20mmさらには0.5~10mmとするとよい。その間隔が過大では効率的な処理ができず、その間隔が過小では連通孔内の気流やプラズマの噴出が不安定になり得る。
《電源》
電源から各電極間に、プラズマ発生に必要な電圧が印加される。電源は、直流電源でも、交流電源でも、パルス電源でもよい。交流電源またはパルス電源は、例えば、周波数を1k~100kHzさらには10k~75kHzとするとよい。
印加電圧(ピーク・ピーク値/最大と最小の電圧差)は、例えば、200~3000Vさらには400~1500Vとするとよい。通常、第2電極に対してプラズマ発生に必要な電位が、第1電極に付与される。第2電極は、例えば、接地されているとよい。ステージは、第2電極と同電位でもよいし、バイアス電位が付与されていてもよい。バイアス電圧を印加しないとき、第2電極とステージを共に接地されているとよい。金属製のチャンバーを設けるときは、そのチャンバーも接地されているとよい。
《雰囲気》
本発明の装置を用いたプラズマ処理は、種々の雰囲気下でなされ得る。例えば、低圧雰囲気中でプラズマ処理されてもよいし、大気圧付近の雰囲気下でプラズマ処理されてもよい。
プラズマ処理は、少なくともワーク周辺を準大気圧としてなされるとよい。これにより、処理に用いた原料ガスやプラズマ等の外部への漏出や拡散を防止でき、好適な作業環境が維持される。勿論、ワークを載置するステージを含む装置全体がチャンバー等内に収容された状態でプラズマ処理されてもよい。なお、排気は、ドラフト装置や真空ポンプ等によりなされる。
《ガス》
導入部には、種々のガスを供給し得る。例えば、不活性ガス(希ガス(Ar、Ne、He等)、N等)、炭化水素等の原料ガス、それらの混合ガス等である。なお、導入部へ供給するプラズマ源ガスとは別に、プラズマと反応させる原料ガスを、連通孔の下端開口近傍またはワークの表面近傍へ供給してもよい。
《用途》
本発明のプラズマ装置は、種々のプラズマ処理に用いられる。プラズマ処理は、例えば、電子部品や機械部品に対する表面改質、成膜、洗浄等である。
プラズマ装置の一例を示しつつ、本発明をより具体的に説明する。
《装置構成》
本発明の一実施例であるプラズマ装置S(単に「装置S」という。)の概要を図1に示した。また、装置Sの前後方向の断面図とその左右方向の断面図とをそれぞれ、図2Aと図2B(両図を合わせて「図2」という。)に示した。なお、説明の便宜上、前後方向、左右方向または上下方向は、図中に示した矢印方向とする。上下方向は、装置S内におけるガスまたはプラズマの流れに沿い、概ね上方側が上流側、下方側が下流側となる。
装置Sは、ガスgの導入部1と、プラズマの生成部2と、ワークwを載置するステージ3と、電源6とを備える。なお、本実施例では、大気圧下にあるワークwの被処理面にプラズマ処理する場合を例にとり説明する。準大気圧下でプラズマ処理する場合なら、少なくともワークwの被処理面の周囲を囲う容体(チャンバー等)と、その容体内の排気手段とをさらに備えるとよい。
(1)導入部1は、ガス配管が接続されるコネクタ11と、左右方向に延在する略直方体状のカバー12と、カバー12を生成部2に固定するボルト13(第1連結具)を有する。
プラズマ源となるガスgは、ガス源からコネクタ11の内部を通じてカバー12内へ供給され、カバー12内から後述の連通孔20へ均一的に導入される。なお、コネクタ11は、カバー12の上面側に、ネジまたは溶接等により固定される。
ボルト13は導電性を有する金属製(例えばステンレス鋼)であり、後述する絶縁板211を貫通して、電極板221のネジ穴に螺合する。ここで、ボルト13は絶縁板211を遊貫している。このため、装置Sの稼働中に生成部2(特に電極板221)が高温になっても、熱応力(熱膨張差)に起因した絶縁板211の損傷(割れ等)が抑止される。
(2)生成部2は、上方から順に、絶縁板211(第1絶縁体)、電極板221(第1電極)および絶縁環213、絶縁板212(第2絶縁体)、電極板222(第2電極)が積層されてなる。絶縁板211、絶縁板212、電極板221および電極板222は長方形状であり、絶縁環213は長方形の環状である。
絶縁板211、絶縁環213および絶縁板212は、ボルト23により連結されている。ボルト23は、それらを遊貫し、電極板222のねじ穴に螺合している。絶縁板211、絶縁環213および絶縁板212により形成された長方形筒状の窪み(空間)に、電極板221が収容されている。絶縁環213の内周面と電極板221の外周面との間には、電極板221の熱膨張量を考慮した隙間がある。
ちなみに、各絶縁板および絶縁環はセラミックス(例えばアルミナ)からなり、各電極板は金属(例えばステンレス鋼)からなり、ボルト23はセラミックス(例えばアルミナ)からなる。
(3)生成部2の略中央には、上下方向に貫通し、左右方向に延在するスリット状のノズル20が一つ形成されている。ノズル20は、絶縁板211の孔2110、電極板221の孔2210、絶縁板212の孔2120、電極板222の孔2220が積層されてなる。
電極板221と電極板222の間に高電圧が印加されると、孔2210の内壁面2210aと孔2220の内壁面2220aとの間で放電が生じて、ノズル20内にプラズマpが発生する。プラズマpは、上流から下流に向かうノズル20内の気流により押し出されて、ノズル20の下端開口20bから噴出する。
孔2110の内壁面2110a、孔2210の内壁面2210a、孔2220の内壁面2220aは、上下方向に全周囲で面一状である。一方、これら各内壁面に対して、孔2120の内壁面2120aは、外周側へ偏位している。つまり、内壁面2120aは、ノズル20を構成する他の内壁面に対して全周囲で凹んでいる。
図2Aに示すように、内壁面2120aの対向面間距離:D、他の内壁面の対向面間距離:d、他の内壁面に対する内壁面2120aの偏位量:Δrとすると、D=d+2Δrとなる。但し、内壁面2120aの偏位は、前後対称または左右対称とした。絶縁板212の厚さ:tとすると、Δr≧t(D≧d+2t)とするとよい。
(4)ステージ3は、基台31と、基台31内に内蔵されたヒータ32(加熱手段)と、基台31を面方向(X軸方向および/Y軸方向)へ移動される駆動機構(図略)と、ヒータ32と駆動機構を制御する制御装置(図略)とを備える。ヒータ32と制御装置により、基台31に載置されたワークwの温度管理がなされる(温度調整手段)。駆動機構と制御装置により、基台31に載置されたワークwの位置管理(処理範囲の調整等)がなされる(移動手段)。
(5)電源6は、電極板221と電極板222の間に、プラズマ生成に必要な高電圧を印加する。電極板221への通電は、カバー12およびボルト13を介してなされる。また、電極板222およびステージ3(基台31)は共に接地されている。
《プラズマ生成》
(1)次のような装置Sを実際に試作した。電極板221、222にはステンレス鋼(SUS304)の圧延板を、絶縁板211、212と絶縁環213にはアルミナ(Al)の焼成体を用いた。電極板221と絶縁環213の厚みは2mm、電極板222の厚みは1mm、絶縁板211の厚みは2mm、絶縁板212の厚み(t)は1mmとした。
ノズル20の下端開口20bは1mm×25mmとした。孔2110、2210、2220の前後方向に対向する内壁面間距離(d)は1mmとした。孔2120の内壁面2120aの偏位量(Δr)は0mmまたは1mmとした。換言すると、孔2120の前後方向に対向する内壁面間距離(D)はdmmまたは(d+2)mmとした。電源にはパルス電源を用いた。
(2)導入部1へ窒素ガスを供給し、電極板221と電極板222の間にパルス電圧(600V(Peak to Peak 値)、周波数50kHz、矩形波)を印加した。電極板222の下面側を観察したところ、図3Aに示すように、ノズル20の下端開口20bに、紫色のグロー放電が観られ、線状のプラズマpの発生(噴出)が確認された。
但し、図3Bに示すように、絶縁板212の内壁面2120aを偏位させないとき(Δr=0mm)、絶縁板212の端部に、放電が集中して焼けた痕跡(放電集中痕)が観られた。一方、絶縁板212の内壁面2120aを、その板厚(t)分だけ偏位させたとき(Δr=t=1mm)、そのような放電集中痕は観られなかった。
このような相違は、次のような要因によると推察される。大気圧付近の雰囲気中でプラズマを発生させる場合、低圧プラズマよりも、電極板221の内壁面2210aと電極板222の内壁面2220aとの間に高電圧が印加される。絶縁板212の内壁面2120aが偏位していないとき、汚染等された内壁面2120aに沿って、内壁面2210aと内壁面2220aの間で短絡(絶縁破壊)が生じ易くなると考えられる。一方、内壁面2120aの偏位量が十分であると、内壁面2120aは汚染等され難くなる。また、内壁面2210aと内壁面2220aの間にも、空間が確実に形成され、内壁面2120aに沿った短絡(絶縁破壊)は生じ難くなると考えられる。こうして、内壁面2120aの偏位により、電極間(内壁面2210aと内壁面2220aの間)の放電が安定したと推察される。
以上から、本発明のプラズマ装置を用いれば、略線状のプラズマを安定的に生成でき、そのプラズマをワークの被処理面へ噴射させつつ走査すれば、被処理面の均質的なプラズマ処理を効率的に行える。
S プラズマ装置
1 導入部
2 生成部
20 ノズル(連通孔)
211 絶縁板(第1絶縁体)
212 絶縁板(第2絶縁体)
221 電極板(第1電極)
222 電極板(第2電極)
3 ステージ

Claims (5)

  1. ガスが供給される導入部と、
    該導入部の下流側に配設され、上流側から順に積層された第1絶縁体、第1電極、第2絶縁体および第2電極を有する生成部とを備え、
    該生成部は、該第1絶縁体、該第1電極、該第2絶縁体および該第2電極を上流側から下流側に貫通するスリット状の連通孔を有し、
    該連通孔は、該第2絶縁体の内壁面が、該第1電極の内壁面または該第2電極の内壁面よりも外周側に偏位しており、
    さらに、該連通孔の下流側に載置されるワークを該連通孔に対して相対移動させる移動手段を備え、
    該第1電極と該第2電極の間に電圧を印加したときに該連通孔内で生成したプラズマを該連通孔の下端開口から相対移動する該ワークに向けて噴出し得るプラズマ装置。
  2. 前記第2絶縁体の内壁面は、少なくとも長手方向に沿って偏位している請求項1に記載のプラズマ装置。
  3. 前記第1電極の内壁面または前記第2電極の内壁面から、前記第2絶縁体の内壁面までの偏位量は、少なくとも該第2絶縁体の厚さ以上である請求項1または2に記載のプラズマ装置。
  4. 前記移動手段は、前記ワークを載置するステージを移動させる請求項1~3のいずれかに記載のプラズマ装置。
  5. 前記ステージは、前記ワークの加熱手段を有する請求項4に記載のプラズマ装置。
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