JP4154838B2 - プラズマ処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、穴あけ加工により生じるスミアを除去する(デスミア)ためのプラズマ処理方法に関するものであって、特に、電子部品を形成するための材料の製造や多数の内層回路を有する多層基板の製造の際に好適に用いられるものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、半導体装置などの電子部品用の多層基板はガラスクロスなどの基材にエポキシ樹脂などの樹脂を含浸させて形成した材料を用いて形成されているが、このような多層基板の層間の導通を確保するにあたっては、ドリル加工によりスルーホールを形成すると共にスルーホールの内面にスルーホールめっきを施すようにしていた。しかし、最近では回路等の高密度実装を達成するために、50〜100μm程度の直径のインナービアホールにより層間の導通を確保することが行われており、このような高密度実装の多層基板を形成するために、ガラスクロスを用いないビルドアップ法による多層基板の製造方法が開発され、しかも、レーザによりインナービアホールを形成することが行われている。
【0003】
ビルドアップ法による多層基板の製造方法の一例としては、ポリイミドのフィルムに銅箔などの金属箔を接着したり銅めっきを施し、これに回路パターンを形成した後、レーザを照射してインナービアホールとなるホール(穴)を形成し、これを複数枚積層して多層基板に形成する方法がある。
【0004】
また、ビルドアップ法による多層基板の製造方法の他例としては、外層や内層に回路を有するコア材にエポキシ樹脂などの樹脂を塗工し加熱硬化させて絶縁層を形成した後、絶縁層にレーザを照射してインナービアホールとなるホールを形成し、ホールの内面への導体形成及び絶縁層の表面への回路形成を行った後、さらに上記の絶縁層の形成工程、穴あけ工程、導体形成工程、回路形成工程を複数回順次繰り返し行うことによって多層基板に形成する方法がある。
【0005】
さらに、ビルドアップ法による多層基板の製造方法の他例としては、金属箔にエポキシ樹脂などの樹脂を塗工して樹脂付き金属箔を形成し、これをコア材の表面に重ねた後樹脂を加熱硬化させて一体化すると共に樹脂の硬化物からなる絶縁層を形成し、金属箔に回路形成を施すと共に絶縁層にレーザを照射してインナービアホールとなるホールを形成し、ホールの内面への導体形成を行った後、さらに上記の樹脂付き金属箔の一体化工程、回路形成工程、穴あけ工程、導体形成工程を複数回順次繰り返し行うことによって多層基板に形成する方法がある。
【0006】
このように近年フィルムなどのシート状物や層状などに形成された樹脂にレーザで加工することが盛んになっており、特に、その応用分野の代表的なものとして上記のような電子部品用の多層基板を製造する際に、樹脂に対してレーザで加工することが盛んになっている。
【0007】
上記のようなフィルムや絶縁層にインナービアホールとなるホールをレーザにより穴あけする加工では、レーザで樹脂を蒸散させて除去するものであるが、その際、ホールの内面(内壁)及びインナービアホールの底部となるホールの下側の導体層(内層回路)に1μm程度の厚みの樹脂の残渣が生じる。また、ホールの開口周辺においても蒸散された樹脂が再付着する。これら樹脂の残渣や再付着した樹脂は穴あけ加工で副次的に生成されるいわゆるスミアであるが、このスミアが残存したままめっきなどで導体形成を行うと、層間の導通不良が生じて多層基板の回路(電子回路)の信頼性が低下するものである。そこで、レーザによる穴あけ加工後にスミアの除去を行うようにしている。
【0008】
スミアの除去(デスミア)としては、過マンガン酸カリウムなどの酸を用いる湿式法が一般的であるが、後乾燥による樹脂の収縮やデスミア工程で多層基板が酸で汚染されるなどの問題点があった。そこで、特開平12−68653号公報には真空中で発生させたプラズマを用いてデスミア処理をすることが提案されている。すなわち、真空容器内に穴あけ加工後の被処理物(上記のシート状物や絶縁層が形成されたコア材)を配置し、真空容器内でプラズマ(真空プラズマ)を発生させ、このプラズマに含まれるイオンやラジカルのエネルギーによりデスミア処理を行うようにしている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記の公報に記載された発明では、乾式法であるために後乾燥がなくて樹脂の収縮が発生しないものであり、また、デスミア工程で多層基板が酸で汚染されることもなく、さらに酸水溶液などを用いないために取り扱いが容易となるものである。しかしながら、真空中で発生させたプラズマでデスミア処理を行うので、ホール内にプラズマが導入されにくく、特に、高アスペクト比のホール(ホールの径よりもホールの長さが非常に大きいホール)ではプラズマが非常に導入されにくく、ホールの開口よりも遠い部分ではデスミア処理が不十分となってホールの内面を均一にデスミア処理することが難しいという問題があった。また、真空容器内を真空にするための手段が必要となって装置が大掛かりになるという問題があった。さらに被処理物を一つずつ真空容器内に入れて処理するバッチ式の処理であるために、デスミア処理の効率が低いという問題があった。
【0010】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、ホールの内面に均一なデスミア処理を行うことができ、また、装置が大掛かりになることなく、さらに、効率よくデスミア処理を行うことができるプラズマ処理方法を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係るプラズマ処理方法は、樹脂を用いて形成されるシート状物1に穴あけ加工した後、シート状物1の表面やホール2内に残存するスミア3を除去するプラズマ処理方法であって、片側が吹き出し口4として開放された反応容器5よりも下側に送りローラ55と巻き取りローラ56とを配置すると共に冷媒が流通するワーク台51を送りローラ55と巻き取りローラ56の間において吹き出し口4の下側に設け、送りローラ55と巻き取りローラ56の間にシート状物1を掛架すると共に掛架したシート状物1の下面をワーク台51の表面に接触しながらシート状物1を送りローラ55から巻き取りローラ56に連続的に搬送し、反応容器5内にプラズマ生成用ガスを導入し、大気圧近傍の圧力下で反応容器5内にプラズマ6を生成し、このプラズマ6をプラズマジェットとして吹き出し口4から吹き出すことによって、上記の連続的に搬送されるシート状物1に吹き付けることを特徴とするものである。
【0012】
また本発明の請求項2に係るプラズマ処理方法は、請求項1の構成に加えて、シート状物1がポリイミドのフィルムであることを特徴とするものである。
【0013】
また本発明の請求項3に係るプラズマ処理方法は、請求項1の構成に加えて、シート状物1が金属箔20と樹脂21が接合された複合体であることを特徴とするものである。
【0016】
また本発明の請求項4に係るプラズマ処理方法は、請求項1乃至3のいずれかの構成に加えて、上記穴あけ加工がレーザによる穴あけ加工であって、上記スミア3がレーザによる穿孔時に生成されるレーザ加工残渣であることを特徴とするものである。
【0017】
また本発明の請求項5に係るプラズマ処理方法は、請求項1乃至4のいずれかの構成に加えて、プラズマ生成用ガスとして、希ガスに酸素を0.5〜5vol%添加したものを用いることを特徴とするものである。
【0018】
また本発明の請求項6に係るプラズマ処理方法は、請求項5の構成に加えて、希ガスとして、ヘリウムとアルゴンの少なくとも一方を用いることを特徴とするものである。
【0019】
また本発明の請求項7に係るプラズマ処理方法は、請求項1乃至6のいずれかの構成に加えて、反応容器5を絶縁材料で筒状に形成すると共に反応容器5の外側に複数の電極11、12を設け、電極11、12間に電圧を印加することによって大気圧近傍の圧力下で反応容器5内にプラズマ6を生成することを特徴とするものである。
【0020】
また本発明の請求項8に係るプラズマ処理方法は、請求項1乃至7のいずれかの構成に加えて、反応容器5の内面に沿った電気力線aが形成されるように電極11、12を配置し、幅を持ったプラズマジェットが吹き出されるように吹き出し口4をスリット状に形成することを特徴とするものである。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0024】
図1に本発明のプラズマ処理装置の一例を示す。このプラズマ処理装置は反応容器5と電圧印加手段13と搬送手段15を備えて形成されている。反応容器5は真っ直ぐな円筒状で内径を0.1〜10mmに形成したものである。また、反応容器5の上面はガス導入口16として全面に亘って開放されていると共に反応容器5の下面は吹き出し口4として全面に亘って開放されている。このような反応容器5は石英、アルミナ、イットリア部分安定化ジルコニウムなどのガラス質材料やセラミック材料などの絶縁材料で形成することができる。
【0025】
電圧印加手段13は複数の対をなす(一対の)電極11、12と電源17とで構成されている。電極11、12は円環状(リング状)に形成されており、冷却効率を高くするために熱伝導性の高い金属材料、例えば、銅、アルミニウム、真鍮、耐食性の高いステンレス鋼(SUS304など)などで形成されている。各電極11、12はその内周面を反応容器5の外周面に全周に亘って接触させるようにして反応容器5の外側に配設されている。また、吹き出し口4の上方において電極11、12は上下に対向させて配置されており、電極11、12の間に対応する位置において反応容器5内には放電空間18が形成されている。電源17は電極11、12に電気的に接続されており、パルス状又は交流(高周波)の電圧を発生するものである。そして、電源17により電極11、12の間にはパルス状又は交流(高周波)の電圧が印加されることになるが、この時に放電空間18に形成される電気力線aは反応容器5の内周面に沿って上下方向(電極11、12が並ぶ方向)に形成されることになる。尚、電極11、12の間隔L(電極11の下端と電極12の上端の間隔L)は3〜20mmに設定するのが好ましい。また、電極11、12は冷媒により冷却されるのが好ましい。
【0026】
搬送手段15は被処理物14を自動的に搬送するものであって、送りローラ55と巻き取りローラ56で構成されている。送りローラ55と巻き取りローラ56は反応容器5の吹き出し口4よりも下側において、反応容器5を挟んで互いに対向するように略水平に配置されている。これら送りローラ55と巻き取りローラ56はモーター等の駆動機(図示省略)によって同じ向きに回転駆動自在に形成されている。
【0027】
反応容器5の吹き出し口4の下側にはワーク台51が設けられている。ワーク台51はステンレス鋼管などで断面略円形の円管(円筒)で形成されており、その内側は冷媒が流通可能な流路61として形成されている。このワーク台51は送りローラ55と巻き取りローラ56よりも上側に配置されており、送りローラ55と巻き取りローラ56とワーク台51は略平行に配置されている。
【0028】
本発明ではプラズマ生成用ガスとして希ガスと酸素の混合気体を用いる。希ガスとしては、ヘリウム、アルゴン、ネオン、クリプトンなどを単独で用いたりあるいは複数種併用したりすることができるが、放電の安定性や経済性を考慮すると、アルゴンとヘリウムの少なくとも一つを用いるのが好ましい。また、酸素は希ガスの全量に対して0.5〜5vol%添加するのが好ましい。酸素の添加量が希ガスの全量に対して対して0.5vol%未満であればデスミア処理の効果が低くなる恐れがあり、酸素の添加量が5重量%を超えると放電が不安定になる恐れがある。
【0029】
このように形成されるプラズマ処理装置は、レーザによる穴あけ加工を行った後のシート状物1を被処理物14としてデスミア処理するものである。シート状物1としては、例えば、電子部品の基板を形成するためなどに用いられる長尺のものであって、ポリイミドなどの樹脂のフィルムを例示することができる。このようなシート状物1には図2(a)に示すように、レーザによる穴あけ加工によりスルーホールやインナービアホールとなるホール2が形成されているが、レーザによる穿孔時に副次的に生成されるレーザ加工残渣がスミア3としてシート状物1の表面やホール2内に残存しているものである。また、シート状物1としては、銅箔などの金属箔20の片面に樹脂21の層が接合された複合体などを例示することができる。このようなシート状物1には図2(b)に示すように、レーザによる穴あけ加工により樹脂21の層にスルーホールやインナービアホールとなるホール2が形成されるが、レーザによる穿孔時に副次的に生成されるレーザ加工残渣がスミア3としてシート状物1の樹脂21の層の表面やホール2内に残存しているものである。
【0030】
そして、上記のプラズマ処理装置を用いて長尺の被処理物14(シート状物1)にプラズマ処理(デスミア処理)を施すにあたっては、次のようにして行う。まず、送りローラ55の外周に巻かれた被処理物14の端部を巻き取りローラ56の外周に巻き付けて送りローラ55と巻き取りローラ56の間に被処理物14を掛架する。この時、反応容器5の吹き出し口4とワーク台51の上面の間を被処理物14が通過し、且つ被処理物14の下面がワーク台51の上面に接触するように掛架する。従って、被処理物14はワーク台51との接触部分を支点として上下に若干屈曲された状態となって被処理物14にテンションが掛かった状態となる。
【0031】
次に、ガス導入口16から反応容器5内にプラズマ生成用ガスを導入すると共に反応容器5内でプラズマ生成用ガスを上から下に流して放電空間18に導入し、次に、電源17により電極11、12間にパルス状又は交流の電圧を印加し、この電圧の印加により大気圧近傍の圧力下(93.3〜106.7kPa(700〜800Torr))で放電空間18にグロー状の放電を発生させると共にグロー状の放電でプラズマ生成用ガスをプラズマ化してプラズマ活性種を含むプラズマ6を生成し、この後、プラズマ6を吹き出し口4から下方にプラズマジェットとして流出させ、吹き出し口4の下側に配置された被処理物14の表面にプラズマ6を吹き付けることによって、被処理物14(シート状物1)の表面やホール2内に残存するスミア3をプラズマ6の活性種で分解したり酸化(灰化)したりすると共にさらに吹き飛ばしたりして除去することによって、デスミア処理を行うようにする。また、この時にワーク台51の流路61に水等の冷媒を流通させることによって、被処理物14を冷却することができ、被処理物14の熱的損傷を少なくすることができる。
【0032】
そして、このようにして反応容器5の吹き出し口4からプラズマ6を吹き出しながら、送りローラ55と巻き取りローラ56を回転駆動させて被処理物14を送りローラ55から巻き取りローラ56へと搬送することによって、被処理物14の全長に亘ってプラズマ6を吹き付けてプラズマ処理を連続的に施すことができるものである。
【0033】
尚、被処理物14の搬送速度や被処理物14と吹き出し口4の間隔は、被処理物14の種類やプラズマの生成条件等によって異なるが、被処理物14の搬送速度は0.1mm/秒〜200mm/秒に、被処理物14と吹き出し口4の間隔は2〜10mmにそれぞれ設定するのが好ましい。また、電極11、12間に印加される電圧が交流電圧の場合、その周波数は1kHz〜200MHzに設定することができる。さらに、放電空間18に印加される印加電力の密度は20〜3500W/cm3に設定することができる。印加電力の密度(W/cm3)は(放電空間18に印加される印加電力/放電空間18の体積)で定義される。さらに、反応容器5の吹き出し口4でのガス流速(プラズマ6の吹き出し速度)は2m/秒以上にすることが好ましく、これにより、デスミア処理を効率良く行うことができる。このガス流速は、例えば、反応容器5へのプラズマ生成用ガスの導入速度を変えたり吹き出し口4の開口面積を変えたりしてすることにより、所定の速度に調整することができるものである。また、ガス流速は大きいほど好ましいので、上限は特に設定されない。
【0034】
上記のようにこの実施の形態では、穴あけ加工後のシート状物1である被処理物14の表面にプラズマ6を吹き付けることによって、被処理物14の表面やホール2内に残存するスミア3をプラズマ6の活性種で分解(灰化)して吹き飛ばして除去することができ、デスミア処理を行うことができるものである。しかも、プラズマ6をプラズマジェットとして被処理物14に吹き付けるので、真空中でのプラズマ処理に比べて、被処理物14に高い圧力(流速)でプラズマ6を供給することができ、高アスペクト比のホール2であってもプラズマ6がホール2内に導入されやすくなって、ホール2の開口よりも遠い部分(ホール2の底部など)にも確実にデスミア処理を施すことができてホール2の内面を簡単に均一にデスミア処理することができるものである。
【0035】
また、この実施の形態では大気圧近傍の圧力下でプラズマ処理を行うので、真空容器や真空容器内を真空にするための真空ポンプなどの手段が必要でなく、プラズマ処理装置が大掛かりにならないようにすることができるものであり、しかも、被処理物14を一つずつ真空容器内に入れて処理する必要が無く、搬送手段15により長尺の被処理物14を連続的に搬送しながら被処理物14の全長に亘ってデスミア処理を施すことができ、デスミア処理を効率よく行うことができるものである。
【0036】
また、この実施の形態では反応容器5の内面に沿った電気力線が形成されるように、反応容器5を挟んで対向しないように電極11、12を配置するので、反応容器5の内面に対して垂直方向に電気力線が生じにくくなって電気力線による反応容器5の劣化を少なくすることができ、反応容器5の内面からその構成物質が飛び出しにくくなって被処理物14が不純物により汚染されるのを少なくすることができるものである。すなわち、反応容器5を挟んで対向するように電極11、12を対向させて配置すると、図7(b)に示すように反応容器5の内面に対して直交方向に電気力線aが形成されることになって、電気力線aによる反応容器5の劣化が大きくなるが、上記実施の形態では反応容器5の内面に沿った電気力線aが形成されるように、電極11、12を互いに上下に対向するように配置するので、図7(a)に示すように放電空間18内において電極11、12の間に反応容器5の内面に沿った上下方向の電気力線aが形成されることになって、電気力線による反応容器5の劣化を少なくすることができるものである。
【0037】
図3(a)(b)に他の実施の形態を示す。この実施の形態において反応容器5はその厚み方向(厚み方向を矢印Bで示す)に並んで対向する一対の側壁5aと、反応容器5の幅方向(幅方向を矢印Aで示す)に並んで対向する一対の側壁5bと、反応容器5の下面を構成する矩形状(底面視で長方形)の底部5cとで有底の角形筒状に形成されている。また、反応容器5の上面はガス導入口16として略全面に亘って開放されていると共に底部5cの外面である反応容器5の下面はほぼ平坦な面で形成されている。そして、図3(b)に示すように、反応容器5の下面の厚み方向の略中央部には反応容器5の長手方向(幅方向)と平行な方向に長くて幅広の吹き出し口4が形成されている。吹き出し口4はスリット状であって、反応容器5の底部5cを貫通して反応容器5内の放電空間18と連通している。
【0038】
反応容器5は厚み寸法よりも幅寸法が非常に大きく形成された扁平形状であって、反応容器5の厚み方向(幅狭方向)における内寸W、すなわち、反応容器5の厚み方向(幅狭方向)に並んで対向する一対の側壁5aの内面の対向間隔Wは、0.1〜5mmに形成するのが好ましい。このように反応容器5の厚み方向の内寸Wを0.1〜5mmにすることによって、放電空間18の体積が比較的小さくなって、放電空間18における単位空間あたりの電力を高くすることができ、つまり、放電空間18における放電空間密度を上げることができ、低電力化及び小ガス流量化を図ることができるものであり、しかも、プラズマの生成効率が高まって、プラズマ処理の能力を向上させることができるものである。
【0039】
電圧印加手段13は電極11、12が角形環状に形成されていること以外は上記の実施の形態と同様に構成されており、また、電極11、12は上記と同様にして反応容器5の外側に配設されている。そして、電極11、12の間に対応する位置において反応容器5内には放電空間18が形成されている。搬送手段15は図4に示すように、反応容器5の吹き出し口4の下側において、モーター等の駆動機(図示省略)によって一方向に略水平に進行するベルトで形成されている。
【0040】
このように形成されるプラズマ処理装置はビルドアップ法により多層基板を形成する場合に好適に用いることができるものである。以下に上記プラズマ処理装置を用いてデスミア処理を行うようにしたビルドアップ法による多層基板の製造方法を示す。
【0041】
まず、図5(a)に示すようなコア材7を用意する。このコア材7は外層や内層に回路30を有する多層プリント配線板(図5(a)のものは4層板)などを用いることができ、各層の電気的な導通はスルーホール22の内面のスルーホールめっきにより確保されている。次に、コア材7の表面にエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を塗工し、これを加熱硬化させることによって、図5(b)に示すようにコア材7の表面に絶縁層8を形成する。次に、絶縁層8にレーザを照射することによって穴あけ加工を行い、図5(c)に示すように、絶縁層8の所望の箇所にインナービアホール9となる複数個のホール2を形成する。このレーザによる穿孔時に副次的に生成されるレーザ加工残渣がスミア3として絶縁層8の表面やホール2内に残存しているものである。
【0042】
一方、プラズマ処理装置では上記の実施の形態と同様にしてプラズマ6が生成されて吹き出し口4から吹き出されている。つまり、ガス導入口16から反応容器5内にプラズマ生成用ガスを導入すると共に反応容器5内でプラズマ生成用ガスを上から下に流して放電空間18に導入し、次に、電源17により電極11、12間にパルス状又は交流の電圧を印加し、この電圧の印加により大気圧近傍の圧力下(93.3〜106.7kPa(700〜800Torr))で放電空間18にグロー状の放電を発生させると共にグロー状の放電でプラズマ生成用ガスをプラズマ化してプラズマ活性種を含むプラズマ6を生成し、この後、プラズマ6を吹き出し口4から下方にプラズマジェットとして流出させている。
【0043】
そして、上記のようにしてホール2が形成された絶縁層8を有するコア材7を被処理物14として上記プラズマ処理装置の搬送手段15の上に載せ、搬送手段15の進行により被処理物14を反応容器5の吹き出し口4の下側に搬送することによって、穴あけ加工後の被処理物14の絶縁層8の表面にプラズマ6を吹き付け、被処理物14(絶縁層8)の表面やホール2内に残存するスミア3をプラズマ6の活性種で分解(灰化)して吹き飛ばして除去し、デスミア処理を行うようにする。尚、被処理物14の搬送速度や印加する電圧等の条件は上記実施の形態と同様に設定することができる。
【0044】
次に、被処理物14にめっき処理を施すことによって、図5(d)に示すようにホール2の内面に導体を形成すると共に絶縁層8の表面に回路(導体)30を形成する。この後、この被処理物14に対して上記と同様の絶縁層8の形成工程、穴あけ工程、デスミア処理、導体形成工程、回路形成工程を複数回順次繰り返し行うことによって、図5(e)に示すようなホール2がインナービアホール9となった多層基板を形成することができる。
【0045】
また、ビルドアップ法による多層基板の製造方法の他例としては、銅箔等の金属箔20の片面にエポキシ樹脂などの樹脂21を塗工して形成される樹脂付き金属箔を用いる方法がある。この方法では、まず、樹脂21をコア材7の表面に接触させるようにして樹脂付き金属箔を図5(a)と同様のコア材7の表面に重ねた後、樹脂21を加熱硬化させて一体化すると共に樹脂21の硬化物からなる絶縁層8を形成することによって、図6(a)に示すように、樹脂付き金属箔をコア材7の表面に積層する。次に、金属箔20に回路形成処理を施して回路30を形成すると共に絶縁層8にレーザを照射することによって穴あけ加工を行い、絶縁層8の所望の箇所にインナービアホール9となる複数個のホール2を形成する。次に、ホール2が形成された絶縁層8を有するコア材7を被処理物14として上記プラズマ処理装置の搬送手段15の上に載せ、上記と同様にしてデスミア処理を行うようにする。次に、被処理物14にめっき処理を施すことによって、図6(b)に示すように、ホール2の内面に導体を形成する。この後、この被処理物14に対して上記と同様の樹脂付き金属箔の一体化工程、回路形成工程、穴あけ工程、デスミア処理、導体形成工程を複数回順次繰り返し行うことによって、ホール2がインナービアホール9となった図5(e)と同様の多層基板を形成することができる。
【0046】
この実施の形態では、幅を持ったプラズマジェットが吹き出されるように吹き出し口4をスリット状に形成するので、カーテンのような幅を持ったプラズマ6を吹き出し口4から吹き出しながら被処理物14あるいはプラズマ処理装置を吹き出し口4の長手方向と直交する方向に移動させて被処理物14の表面全面にプラズマを走査して吹き付けることによって、スポット的なプラズマ6を吹き出すものに比べて被処理物14の広い面積を一度にプラズマ処理することができ、広い表面積を有する被処理物14の処理時間を短くすることができるものである。
【0047】
尚、図1の実施の形態において搬送手段15を図4のものに代えても良いし、また、図4の実施の形態において搬送手段15を図1のものに代えても良い。
【0048】
図8に他の実施の形態を示す。このプラズマ処理装置はプラズマ放電中に多数のストリーマを発生させ、このストリーマを被処理物14に作用させてデスミア処理としてのプラズマ処理の処理速度を速めるものである。尚、ストリーマとは比較的電流密度が高く、フィラメント状(線状)で、比較的(グロー状の放電に比べて)発光輝度の高い放電を指す。ちなみに、グロー状の放電とは、ミクロ的には非常に微細なマイクロディスチャージの集合体であり、マクロ的には非常に均質で比較的電流密度が低く、発光輝度が低い放電を指す。
【0049】
反応容器5は上記と同様の高融点の絶縁材料(誘電体材料)で形成されるものである。また、反応容器5は厚み方向(矢印Bで示す)に並んで対向する一対の側壁5aと、幅方向(矢印Aで示す)に並んで対向する一対の側壁5bとで四周面が囲まれて角形筒状に形成されている。また、反応容器5は厚み寸法よりも幅寸法が非常に大きくなるように扁平形状に形成されており、反応容器5の幅方向が幅広方向として形成されている。
【0050】
反応容器5の上面にはガス導入口16が、反応容器5の下面には吹き出し口4がそれぞれ形成されている。ガス導入口16は反応容器5の内側の空間に連通する開口部であって、ガス導入口16の開口面積を吹き出し口4の開口面積よりも小さく形成し、且つガス導入口16の中心が反応容器5の筒軸G上に位置するようにしてガス導入口16を反応容器5の上面に開口して形成したものである。吹き出し口4は反応容器5の内側の空間に連通する開口部であって、反応容器5の下面を略全面に亘って開放することにより形成されている。そして、ガス導入口16と吹き出し口4は後述の放電空間18を挟んで反応容器5の筒軸方向(反応容器5の高さ方向(上下方向)であって、矢印Cで示す)で対向するように形成されている。
【0051】
このようにガス導入口16の開口面積を吹き出し口4の開口面積よりも小さく形成し、且つガス導入口16の中心が反応容器5の筒軸G上に位置するようにしてガス導入口16を反応容器5の上面に開口して形成することによって、非放電時での反応容器5の吹き出し口4の直下におけるガス流速は、反応容器5の幅広方向の略中央部において最も速くなり、反応容器5の幅広方向の端部になるほど徐々に遅くなるような分布となる。すなわち、このプラズマ処理装置では放電空間18に供給されるプラズマ生成用ガスのガス流速が筒軸G上において最高速となるようにプラズマ生成用ガスを供給することによって、ストリーマを放電空間18の全域に亘って均一化することができるものであり、放電中での反応容器5の吹き出し口4の直下におけるプラズマの流速分布はほぼ均一になり、従って、ほぼ均一なプラズマ処理が可能となるものである。
【0052】
放電中の放電空間18に図9に示すような流速分布を有するプラズマ生成用ガスを供給しても、図10に示すように、吹き出し口4の直下におけるプラズマの流速がフラットで均一な分布になるのは、プラズマ生成用ガスの急激な温度上昇に伴う体積膨張により、放電空間18の中央部から端部へとプラズマ生成用ガスが流れ込むためであると考えられる。そして、この実施の形態では、ガス導入口16の開口面積を吹き出し口4の開口面積よりも小さく形成することによって、供給するガス量を増やさずに放電空間18に高速でプラズマ生成用ガスを供給することができ、ストリーマの生成を放電空間18の全域に亘って均一にしながら、プラズマ処理に必要なプラズマ生成用ガスの消費量を低減することができ、ランニングコストを低減することができるものである。
【0053】
尚、ガス導入口16の開口面積は狭いほど放電空間18の中央部(筒軸G上)により高速でプラズマ生成用ガスを供給することができるが、あまりにも速すぎると放電空間18の中央部のプラズマが吹き消されて均一な処理が行えなくなる。また、反応容器5の長さがガス導入口16側に長くなるほど、すなわちガス導入口16と放電空間18の距離が長くなるほど、放電空間18の中央部でのガス流速は徐々に減少していくので、ガス導入口16の開口を小さくした効果が減少する恐れがある。そこで、放電空間18にプラズマ生成用ガスが達する前に高速のガス流速が減衰して飽和状態とならないようにするために、ガス導入口16の開口面積、吹き出し口4の開口面積、反応容器5の長さ、電極11、12の位置(放電空間18の位置)、ガス供給量などを設定するようにする。
【0054】
また、反応容器5の上側にはヘッダー部40が設けられている。ヘッダー部40は反応容器5と同様の材料で反応容器5と一体的に形成されている。また、ヘッダー部40の上部は円筒状に形成されていると共にヘッダー部40の下部は下側ほど厚み方向の寸法が小さくなるように絞り込まれた絞り部42として形成されている。また、ヘッダー部40の閉塞された上面にはガス導入管43が突設されている。さらに、ヘッダー部40(絞り部42)の下端はガス導入口16の下側において反応容器5の外周面の全周に亘って隙間なく接合されている。従って、反応容器5のガス導入口16はヘッダー部40の絞り部42の内側において開口しているものである。
【0055】
このように形成される反応容器5には電極11、12と電源17から構成される上記と同様の電圧印加手段13が設けられており、上側の電極11の上端と下側の電極12の下端の間に対応する位置において、反応容器5の内側の空間が放電空間18として形成されている。また、反応容器5の吹き出し口4の下側には図1あるいは図4に示す搬送手段15を設けることができる。
【0056】
このプラズマ処理装置でプラズマ処理(デスミア処理)を行うにあたっては、上記の他の実施の形態と同様にして行うことができる。つまり、矢印▲1▼で示すように、ガス導入管43を通じてヘッダー部40内にプラズマ生成用ガスを供給し、この後、ヘッダー部40からガス導入口16を通じて反応容器5内にプラズマ生成用ガスを導入し、ガス導入口16から反応容器5の内側の空間にプラズマ生成用ガスを上から下に向かって流して導入すると共に電源17により電極11、12間に電圧を印加することにより、交流又はパルス状の電界を放電空間18に印加する。そして、この電界の印加により大気圧下あるいはその近傍の圧力下で放電空間18にプラズマ放電を発生させると共にこのプラズマ放電によりプラズマ生成用ガスをプラズマ化してプラズマ活性種を含むプラズマを放電空間18で生成し、このプラズマを矢印▲2▼で示すように、吹き出し口4から下方に向かってカーテンのような幅を持ったプラズマジェットとして連続的に流出させて、図1、4に示すように、吹き出し口4の下側に配置された穴あけ加工後の被処理物14に吹き付けるようにする。このようにして被処理物14に上記と同様のデスミア処理を行うことができる。この時、被処理物14が上記のような多層基板用のコア材7のような平板状の基板であって、その表面の全体に多数個のホール2が形成されている場合には、プラズマ6を吹き出しながら基板あるいはプラズマ処理装置を吹き出し口4の長手方向と直交する方向に移動させ、基板の表面全面にプラズマ6を走査して吹き付けるようにしてデスミア処理を行う。さらに、プラズマ処理装置又は被処理物14をその移動方向と直交する方向に振動させることにより、繰り返しプラズマ6が被処理物14に吹き付けられることになってデスミア処理の度合いを高めることも可能である。
【0057】
このプラズマ処理装置では、ガス流速の抵抗が限りなく小さくなるように、ヘッダー部40を反応容器5のガス導入口16の上側に設け、プラズマ生成用ガスをヘッダー部40内に導入した後、ガス導入口16から反応容器5内に導入するので、反応容器5のガス導入口16の全体から反応容器5内にプラズマ生成用ガスを偏りなく均一に供給することができ、反応容器5内に供給されるプラズマ生成用ガスの流速はガス導入口16の縁部が抵抗となって律せられることになる。その結果、反応容器5内には筒軸対称で設計通りの流速分布と流速を有するプラズマ生成用ガスが供給されやすくなり、反応容器5の吹き出し口4ではプラズマジェットが均一で一様な流速分布で吹き出されることになり、被処理物14に形成された多数個のホール2に均一にデスミア処理を施すことができるものである。
【0058】
尚、ヘッダー部40の形状は図8に示したものに限定されず、ガス導入口16に導入される以前にプラズマ生成用ガスに流速分布が発生せず、且つガス導入口16でプラズマ生成用ガスの流速が律せられるような構造であればよい。
【0059】
この実施の形態では上記のように反応容器5の外側に電極11、12を上下に対向させて配置することによって、プラズマ放電中に放電空間18で多数のストリーマを発生させやすくしたものである。電極11、12を介して放電空間18に交流あるいはパルス状の電界を印加すると放電空間18で電気力線aが生成されるが、一般的に、この電気力線aの長さで表される放電パスが短いほど放電空間18でグロー状の放電になりやすく、逆に、放電パスが長くなるほどストリーマを多く含んだ放電形態になりやすいとされている。従って、この実施の形態のような形状の反応容器5を用いた場合、図7(b)に示すように、反応容器5の側壁5aの外面のみに接触させて電極11、12を設けて筒軸方向に対して垂直な方向に電極11、12を対向させて配置すると、放電パスが非常に短くなってストリーマが発生しにくくなるものである。そこで、この実施の形態では図7(a)に示すように、電極11、12を上下に対向させて配置したもの、すなわち、電極11、12を反応容器5の筒軸方向に並べて配置したものであり、このことで、プラズマ放電中に放電空間18で生じる電気力線aがほぼ反応容器5の筒軸方向に沿って長く形成されることになって放電パスが長くなるものであり、多数のストリーマを含んだプラズマ放電が発生しやすくなるものである。
【0060】
上記のようにプラズマ放電中に放電空間18で生じる電気力線aがほぼ反応容器5の筒軸方向に沿って長く形成されるように電極11、12を上下に配置すると、多数のストリーマが発生しやすくなる。しかしながら、この構成だけでは多数のストリーマがほぼ同時に且つ継続的(連続的)に発生する放電形態を得ることができず、グロー状の放電が生じる場合がある。そこでこの実施の形態は多数のストリーマをほぼ同時に且つ継続的に発生させるためにストリーマ生成手段を備えている。すなわち、ストリーマ生成手段はプラズマ放電中の放電空間18において、電流密度の疎の部分と密の部分(この密の部分がストリーマである)を多数の箇所で発生させるものである。このようなストリーマ生成手段としては、例えば、電極11、12の隣接間距離Lを2mm以上にし、且つアルゴンを含有するプラズマ生成用ガスを用いることによって実現することができる。
【0061】
ストリーマ生成手段である電極11、12の隣接間距離Lは上側の電極11の下面と下側の電極12の上面との間の距離であり、この距離が2mm未満になると、放電パスが短くなってストリーマの数が減少する恐れがあり、しかも反応容器5の外側において電極11、12の間で火花放電が起こり、放電空間18にプラズマ放電が起こらなくなる恐れがある。電極11、12の隣接間距離Lはより多数のストリーマを発生させるために5mm以上であることが好ましい。電極11、12の隣接間距離Lの上限は特に設定されないが、隣接間距離Lが20mm以上となると、放電開始電圧が大きくなって放電の始動が困難になるために、電極11、12の隣接間距離Lは20mm未満にするのが好ましい。
【0062】
また、この実施の形態では、多数のストリーマを発生させるためのストリーマ生成手段として、アルゴンを含有するプラズマ生成用ガスを用いるようにする。一般的に大気圧あるいはその近傍の圧力下でのプラズマの生成には希ガスを用いることが有効とされており、安定したグロー状のプラズマ放電を発生させるためには特にヘリウムを用いることが有効であるとされており、従来ではこのヘリウムをプラズマ生成用ガスとして用いてきた。しかしながらこの実施の形態では多数のストリーマを含むプラズマ放電を発生させる必要があるので、ヘリウムよりもアルゴンを利用する方が有効である。すなわち、ヘリウムの準安定状態はライフタイムが長いために均質で安定なグロー状のプラズマ放電を発生させやすい反面、ストリーマを発生させにくい。従って、ヘリウムを主体としたプラズマ生成ガスを用いたプラズマ放電では被処理物の処理速度が遅くなる。一方、ヘリウムよりも電離しやすいアルゴンを主体とするプラズマ生成ガスを用いたプラズマ放電ではストリーマを数多く発生させることができるので、被処理物14に対するデスミア処理の速度を極めて速くすることができるものである。
【0063】
そして、この実施の形態ではアルゴンをプラズマ生成用ガスの全量に対して30体積%以上含有させることが好ましく、より好ましくは50体積%以上を含有させるようにする。アルゴンの含有量が30体積%未満であれば、多数のストリーマをほぼ同時に確実に発生させることができなくなる恐れがある。尚、より多くのストリーマを発生させるためにプラズマ生成用ガスの全体をアルゴンとしてもよいが、アークが発生しやすくなるためにアルゴンの含有率は100体積%に若干満たない(100体積%未満)とし、残りをヘリウムなどの他のガスにするのが好ましい。また、ヘリウムよりも電離しやすいガスであればアルゴンの代わりに用いることができるが、コスト等を考慮するとアルゴンを用いるのがよい。
【0064】
但し、被処理物14が導電性を有する場合は、被処理物14へアークが発生するのを抑制するアーク抑制手段として、ヘリウムを3体積%以上含有するプラズマ生成用ガスを用いるのが好ましい。ヘリウムの含有率がプラズマ生成用ガスの全量に対して3体積%未満であれば、反応容器5と被処理物(特に導電性を有する被処理物)14との間にアークが発生して被処理物14が損傷する恐れがある。アーク抑制手段としては他に、反応容器5の吹き出し口4から被処理物を遠ざける、電極11、12を反応容器1の吹き出し口4から大きく離して配置することによって放電空間18から被処理物14を遠ざける、あるいは放電空間18に印加する電力を小さくするなどの手段が挙げられるが、いずれも処理速度を極端に低下させる原因となるので好ましくなく、この実施の形態のように、プラズマ生成用ガスにヘリウムを3体積%以上含有させることによって、処理速度の低下を招くことなく被処理物14との間でアークの発生を抑制することができる。尚、ヘリウムの含有率を高くしすぎると上記のアルゴンの含有率が少なくなってしまい多くのストリーマを発生させることができなくなる恐れがあるので、ヘリウムの含有率の上限は50体積%とするのが好ましい。
【0065】
また、プラズマ生成用ガスしては、上記のアルゴンやヘリウム以外にネオンやクリプトンなどの希ガスを用いることができる。あるいは希ガスと反応性ガスの混合気体を用いることもできる。しかしながら上述のように、ストリーマの発生のしやすさの観点から希ガスとしては主にアルゴンを用いるのが好ましい。また、反応性ガスは上記と同様に酸素を用いることができる。
【0066】
上記のようにこの実施の形態のプラズマ処理装置はストリーマ生成手段を備えるので、プラズマ放電中に放電空間18に多数のストリーマをほぼ同時且つ継続的に生成することができる。しかしながら、生成したストリーマが放電空間18の一定の個所で発生し続けると、ストリーマの生成箇所に対応する部分のみの処理速度が速くなって被処理物14に処理ムラが発生する。そこでこの実施の形態では放電空間18の至る所でストリーマの生成と消滅を繰り返し発生させることにより、反応容器5の幅広方向における放電空間18の全域に亘って多数のストリーマが略均一に生成されるようにするためのストリーマ均一化手段を備えている。すなわち、ストリーマ均一化手段はプラズマ放電中の放電空間18において電流密度の疎密の分布を経時的に変化させることにより、多数のストリーマを放電空間18の全域に亘ってほぼ均一に発生させるようにしたものである。
【0067】
このようなストリーマ均一化手段は、放電時に放電空間18のガス導入口16側の端部におけるプラズマ生成用ガスのガス流速(平均ガス流速であって、筒軸G上のガス流速と等しい)を5m/秒以上の高速にすることによって実現することができる。すなわち、放電空間18の上側から導入されるプラズマ生成用ガスの流速を放電空間18の直上において5m/秒以上にすることによりストリーマ均一化手段を構成するものであり、これにより放電空間18内での温度ムラを解消して多数のストリーマを放電空間18の全域に亘ってほぼ均一化して発生させるようにするものである。
【0068】
ストリーマを含んだプラズマ放電の場合、ストリーマが発生している箇所の温度はストリーマが発生していない箇所よりも温度が高く、よって、ストリーマが発生している箇所では気体分子の電離や反応容器5の内面からの二次電子の放出が起こりやすいが、この二次電子の放出が頻繁に起こっている箇所ではストリーマが発生しやすくなる。つまり、一旦、ストリーマが発生した箇所ではストリーマの生成が持続される傾向が高く、このためにストリーマは同一の箇所でのみ発生し続けることになり、放電空間18の全域に亘って均一にストリーマを発生させることができない。そこで、この実施の形態では放電空間18に供給されるガス流速を5m/秒以上と高速にすることによって、放電空間18内の温度ムラ(温度のバラツキ)を解消してストリーマが同一の箇所でのみ発生し続けることを防止したものであり、このことで、至る所でストリーマの生成と消滅を繰り返し発生させて反応容器5の幅広方向における放電空間18の全域に亘って多数のストリーマが略均一に生成されるようにするものである。すなわち、プラズマ生成用ガスの供給による冷却効果によって、ストリーマの空間的均一化が達成されるのである。従って、放電空間18に供給されるガス流速が5m/秒未満であれば、プラズマ生成用ガスによる冷却効果が小さくなって上記のような効果を得ることができなくなる恐れがある。また、あまりに高速にするとプラズマが吹き消されてしまう恐れがあるので、放電空間18に供給されるガス流速は40m/秒以下にするのが好ましい。
【0069】
放電空間18に供給されるプラズマ生成用ガスの反応容器5内における平均ガス流速vは、簡易的には反応容器5の放電空間18の断面積S、放電空間18へ供給するガス流量Qにより、v=Q/Sの式で与えられる。従って、放電空間18へのプラズマ生成用ガスの供給量が多いほど又は反応容器5の放電空間18の断面積が小さいほど平均ガス流速が大きくなり、ストリーマを空間的に均一に発生させやすいが、プラズマ生成用ガスの供給量を多くすると、被処理物14のプラズマ処理にかかるコストが高くなるために、工業的利用には不利となる恐れがある。そこで、反応容器5の放電空間18の断面積を小さくして放電空間18に供給されるガス流速を上記のように高速にするのが好ましい。
【0070】
そこで、この実施の形態では反応容器5の狭い方(厚み方向)の内寸(特に、放電空間18における反応容器5の内寸)を1〜5mmに形成するのが好ましく、このことで、プラズマ生成用ガスの供給量を増やさずに反応容器5内の放電空間18に供給されるガス流速を速くすることができるものである。また、反応容器5の放電空間18の断面積を小さくすることによって、放電空間18の体積を小さくすることができ、低電力化を容易に図ることができるものであり、この低電力化により高周波放射ノイズの減少をも図ることができるものである。
【0071】
反応容器5の狭い方の内寸(以下、「スリット幅」と記載することがある)が1mmより小さいと、反応容器5の吹き出し口4の断面形状の寸法精度が、被処理物14の処理領域内でのプラズマ処理の均一性に大きく影響を与えるようになる。すなわち、反応容器5の幅広方向でのスリット幅の寸法が、反りやうねり等により位置によってばらついてくると、反応容器5の吹き出し口4の直下におけるプラズマガス(プラズマジェット)の流速が幅広方向の位置によってばらつくことになり、この結果、プラズマ処理速度も被処理物14の処理領域内で不均一になる恐れがある。そして、反りやうねりによる寸法誤差のスリット幅に対する割合は、スリット幅が狭くなるほど大きくなるために、反応容器5のスリット幅は1mm以上にするのが好ましい。さらに、反応容器5のスリット幅を1mm未満にすると、被処理物14を移動させて面状に処理する場合に、同一ポイントでのプラズマジェットの照射時間が短くなるので、十分なプラズマ処理ができなくなる恐れがある。一方、スリット幅が5mmより大きくなると、反応容器5内でのガス流速を上記のように高速にするためには、多量のプラズマ生成用ガスを供給しなければならず、コストパフォーマンスが低下する恐れがあり、好ましくない。また、スリット幅が広くなるほど、放電空間18への印加電力が一定の場合、放電空間18の単位体積当たりの電力量(パワー密度)が低下するので、十分な処理速度が得られない恐れがあり、好ましくない。
【0072】
そしてこの実施の形態では上記のように、反応容器5内に積極的に多数のストリーマを生じさせるためのストリーマ生成手段と、多数のストリーマを反応容器5の幅広方向における放電空間18の全域に亘ってほぼ均一に発生させるためのストリーマ均一化手段を備えるので、ストリーマが均一に発生している放電形態となり、ストリーマの疎密の分布が経時的に異なるようになるものであり、この結果、高速でしかも処理域内で均一なプラズマ処理が可能となるものである。
【0073】
一般的にストリーマが形成される放電では電流密度が相対的に高く、活性種の密度も高くなるために処理速度を速くすることができるが、ライン状にプラズマ処理を行う場合には、被処理物14の部位によって処理速度が大きく異なり、処理ムラが発生する恐れがある。すなわち、放電空間18におけるストリーマの発生箇所の下流域では処理速度が速くなり、ストリーマの存在しない箇所の下流域では処理速度が遅くなり、その結果、被処理物14のプラズマによる処理領域内でプラズマ処理(デスミア処理)の度合いにバラツキが生じることになる。そして、従来より、このような処理ムラが発生しないように、プラズマ処理領域内での処理速度の均一化が望まれていた。
【0074】
そこで、この実施の形態では反応容器5内に積極的に多数のストリーマを生じさせるためのストリーマ生成手段と、多数のストリーマを反応容器5の幅広方向における放電空間18の全域に亘ってほぼ均一に発生させるためのストリーマ均一化手段を備えることによって、高速でしかも処理域内で均一なデスミア処理を可能にしたのである。
【0075】
尚、電極11、12は吹き出し口4のより近傍に配設するのが好ましく、このことで、放電空間18と被処理物14の距離が縮まって処理速度を向上させることができる。但し、電極11、12をあまりにも吹き出し口4に近づけすぎると、放電空間18と被処理物14の距離が近くなりすぎて被処理物14との間でアークが発生する恐れがあるので、アークが発生しない程度に電極11、12を吹き出し口4に近接させるのがよい。また、被処理物14への熱的なダメージを抑えるために、電極11、12の内部に冷却水を流すなどして放電空間18の温度を低下させるのが好ましい。
【0076】
【実施例】
以下本発明を実施例によって具体的に説明する。
【0077】
(実施例1)
ポリイミド(カプトン)で構成される厚さ50μmのフィルム(シート状物1)に、出力42Wの炭酸ガスレーザを照射することによって、孔径が50μmの貫通孔(ホール2)を形成した。これを図1に示すプラズマ処理装置を用いてデスミア処理を行った。反応容器5は石英製で外径が5mm、内径が3mmの円筒管で形成した。プラズマ生成用ガスとしてはヘリウムを0.5リットル/分、アルゴンを1リットル/分、酸素を0.05リットル/分の流量で反応容器5に導入した。また、電極11、12の間には周波数が13.56MHzの高周波電圧を印加し、印加電力を100Wとした。また、吹き出し口4から吹き出されるプラズマ6の速度(ガス速度)は3.6m/秒とした。また、搬送手段15によるシート状物1の搬送速度は20mm/秒とした。
【0078】
そして、デスミア処理の前後で貫通孔を電子顕微鏡で観察した結果、処理前では多量のスミア3が貫通孔内及び貫通孔の開口周辺に観察されたが、処理後では完全にスミアが除去されていることが確認された。
【0079】
(実施例2)
銅箔(金属箔20)にエポキシ樹脂(樹脂24)を塗工して厚さ50μmの樹脂付き金属箔(シート状物1)を形成し、これを加熱してエポキシ樹脂を硬化させることによって絶縁層8を形成し、絶縁層8に出力42Wの炭酸ガスレーザを照射することによって、孔径が50μmのビアホール(ホール2)を形成した。これを図3に示すプラズマ処理装置を用いてデスミア処理を行った。反応容器5は石英製で扁平形状の角筒管であって、吹き出し口4の大きさを2.5mm×35mmに形成した。プラズマ生成用ガスとしてはヘリウムを2リットル/分、アルゴンを8リットル/分、酸素を0.3リットル/分の流量で反応容器5に導入した。また、電極11、12の間には周波数が60MHzの高周波電圧を印加し、印加電力を600Wとした。また、吹き出し口4から吹き出されるプラズマ6の速度(ガス速度)は2.5m/秒とした。また、搬送手段15によるシート状物1の搬送速度は10mm/秒とした。
【0080】
そして、デスミア処理の前後でビアホールを電子顕微鏡で観察した結果、処理前では多量のスミア3がビアホール内及びビアホールの底部の銅箔上及びビアホールの開口周辺に観察されたが、処理後では完全にスミアが除去されていることが確認された。そして、デスミア処理前においてビアホールの内面にめっき処理を施して導体を形成すると導通不良が生じたが、デスミア処理後においてビアホールの内面にめっき処理を施して導体を形成すると導通性が良好であった。
【0081】
(実施例3)
ポリイミド(カプトン)で構成される厚さ70μmのフィルム(シート状物1)に、出力50Wの炭酸ガスレーザを照射することによって、孔径が50μmの貫通孔(ホール2)を形成した。これを被処理物14として図8に示すプラズマ処理装置を用いてデスミア処理を行った。反応容器5は板厚1mmの石英ガラスを用い、内寸においてスリット幅(反応容器5の狭い方の内寸)1.5mm、幅寸法56mm、高さ80mmの幅広状の角筒状に形成した。また、ガス導入口16の大きさを1.5mm×16mm、吹き出し口4の大きさを1.2mm×50mmに形成した。対をなす一対の電極11、12は銅で作製し、その表面に金メッキ処理を施した。また、電極11、12の内部には冷却水の流路を設け、この流路に冷却水を循環させて電極11、12及び放電空間18を冷却できるように形成した。また、電極11、12の隣接間距離Lは5mmに設定して電源17と接続した。
【0082】
このような構成のプラズマ処理装置に大気圧下において、ヘリウムを4リットル/分、アルゴンを14リットル/分、酸素を0.6リットル/分の流量で混合したプラズマ生成用ガスを供給した。このプラズマ処理装置において、非放電時における吹き出し口4からのガスの吹き出し速度は5.2m/秒であって、この値は放電時において放電空間18のガス導入口16側の端部におけるプラズマ生成用ガスの流速を示す。また、放電時に吹き出し口4から吹き出されるプラズマ6の速度(ガス速度)は2.3m/秒とした。
【0083】
そして、13.56MHzの周波数で600Wの印加電力で高周波電界を放電空間18に印加してプラズマ放電を生じさせると共に吹き出し口4からプラズマ6を吹き出させて被処理物14の表面に供給し、プラズマ処理を行った。プラズマ処理は、反応容器5の吹き出し口4の下側(下流)において、被処理物14を反応容器5(吹き出し口4)の幅方向と直交する方向に10mm/秒で移動させるようにして行った。
【0084】
そして、デスミア処理の前後で貫通孔を電子顕微鏡で観察した結果、処理前では多量のスミア3が貫通孔内及び貫通孔の開口周辺に観察されたが、処理後では完全にスミア3が除去されていることが確認された。
【0085】
【発明の効果】
上記のように本発明の請求項1の発明は、樹脂を用いて形成されるシート状物に穴あけ加工した後、シート状物の表面やホール内に残存するスミアを除去するプラズマ処理方法であって、片側が吹き出し口として開放された反応容器よりも下側に送りローラと巻き取りローラとを配置すると共に冷媒が流通するワーク台を送りローラと巻き取りローラの間において吹き出し口の下側に設け、送りローラと巻き取りローラの間にシート状物を掛架すると共に掛架したシート状物の下面をワーク台の表面に接触しながらシート状物を送りローラから巻き取りローラに連続的に搬送し、反応容器内にプラズマ生成用ガスを導入し、大気圧近傍の圧力下で反応容器内にプラズマを生成し、このプラズマをプラズマジェットとして吹き出し口から吹き出してシート状物に吹き付けるので、真空中でのプラズマ処理に比べてシート状物に高い圧力でプラズマを供給することができ、高アスペクト比のホールであってもプラズマがホール内に導入されやすくなって、ホールの開口よりも遠い部分にも確実にデスミア処理を施すことができてホールの内面を簡単に均一にデスミア処理することができるものである。また、大気圧近傍の圧力下でプラズマ処理を行うので、真空容器や真空容器内を真空にするための真空ポンプなどの手段が必要でなく、装置が大掛かりにならないようにすることができるものであり、しかも、シート状物を一つずつ真空容器内に入れて処理する必要が無く、例えば、長尺のシート状物を連続的に搬送しながらシート状物の全長に亘ってデスミア処理を施すことができ、デスミア処理を効率よく行うことができるものである。
【0087】
また、本発明の請求項5の発明は、プラズマ生成用ガスとして、希ガスに酸素を0.5〜5vol%添加したものを用いるので、プラズマ中に酸素のラジカルを生成することができ、デスミア処理の効果を高くすることができると共に反応容器内に安定した放電を発生させてプラズマを効率よく生成することができるものである。
【0088】
また、本発明の請求項6の発明は、希ガスとして、ヘリウムとアルゴンの少なくとも一方を用いるので、安価なヘリウムやアルゴンを用いることによって、ランニングコストを低く抑えることができるものである。
【0089】
また、本発明の請求項7の発明は、反応容器を絶縁材料で筒状に形成すると共に反応容器の外側に複数の電極を設け、電極間に電圧を印加することによって反応容器内にプラズマを生成するので、電極がプラズマに直接曝されることが無くなってプラズマによりスパッタリングを受けないようにすることができると共に電極がプラズマ生成用ガスにより腐食されないようにすることができ、電極へのダメージが少なくなって寿命を長くすることができるものである。しかも、スパッタリングや腐食により不純物が生じないので、長期間の使用であっても被処理物が不純物より汚染されないようにすることができるものである。
【0090】
また、本発明の請求項8の発明は、反応容器の内面に沿った電気力線が形成されるように電極を配置し、幅を持ったプラズマジェットが吹き出されるように吹き出し口をスリット状に形成するので、電気力線による反応容器の劣化を少なくすることができ、反応容器の内面からその構成物質が飛び出しにくくなって被処理物が不純物により汚染されるのを少なくすることができるものであり、しかも、幅を持ったプラズマジェットを吹き出すことによって、スポット的なプラズマを吹き出すものに比べて被処理物の広い面積を一度にプラズマを供給することができ、被処理物に設けた多数個のホールを一度にデスミア処理することができて処理時間を短くすることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態の一例を示す断面図である。
【図2】 (a)(b)は同上のスミアの付着した状態を示す断面図である。
【図3】 同上の他の実施の形態の一例を示し、(a)は斜視図、(b)は底面図である。
【図4】 参考例の断面図である。
【図5】 参考例の多層基板の製造工程の一例を示し、(a)〜(e)は断面図である。
【図6】 同上の多層基板の製造工程の他例を示し、(a)(b)は断面図である。
【図7】 同上の電気力線を示し、(a)(b)は断面図である。
【図8】 同上の他の実施の形態の一例を示す斜視図である。
【図9】 同上の非放電時における吹き出し口直下でのガス流速分布を示すグラフである。
【図10】 同上の放電時における吹き出し口直下でのガス流速分布を示すグラフである。
【符号の説明】
1 シート状物
2 ホール
3 スミア
4 吹き出し口
5 反応容器
6 プラズマ
11 電極
12 電極
14 被処理物
15 搬送手段
51 ワーク台
55 送りローラ
56 巻き取りローラ
a 電気力線
Claims (8)
- 樹脂を用いて形成されるシート状物に穴あけ加工した後、シート状物の表面やホール内に残存するスミアを除去するプラズマ処理方法であって、片側が吹き出し口として開放された反応容器よりも下側に送りローラと巻き取りローラとを配置すると共に冷媒が流通するワーク台を送りローラと巻き取りローラの間において吹き出し口の下側に設け、送りローラと巻き取りローラの間にシート状物を掛架すると共に掛架したシート状物の下面をワーク台の表面に接触しながらシート状物を送りローラから巻き取りローラに連続的に搬送し、反応容器内にプラズマ生成用ガスを導入し、大気圧近傍の圧力下で反応容器内にプラズマを生成し、このプラズマをプラズマジェットとして吹き出し口から吹き出すことによって、上記の連続的に搬送されるシート状物に吹き付けることを特徴とするプラズマ処理方法。
- シート状物がポリイミドのフィルムであることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理方法。
- シート状物が金属箔と樹脂が接合された複合体であることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理方法。
- 上記穴あけ加工がレーザによる穴あけ加工であって、上記スミアがレーザによる穿孔時に生成されるレーザ加工残渣であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のプラズマ処理方法。
- プラズマ生成用ガスとして、希ガスに酸素を0.5〜5vol%添加したものを用いることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のプラズマ処理方法。
- 希ガスとして、ヘリウムとアルゴンの少なくとも一方を用いることを特徴とする請求項5に記載のプラズマ処理方法。
- 反応容器を絶縁材料で筒状に形成すると共に反応容器の外側に複数の電極を設け、電極間に電圧を印加することによって反応容器内にプラズマを生成することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のプラズマ処理方法。
- 反応容器の内面に沿った電気力線が形成されるように電極を配置し、幅を持ったプラズマジェットが吹き出されるように吹き出し口をスリット状に形成することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のプラズマ処理方法。
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