JP2010067839A - 微細放電表面改質方法および微細放電表面改質装置 - Google Patents

微細放電表面改質方法および微細放電表面改質装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、絶縁物で特にプリント基板の表面改質に係り、主に微小領域に対する処理対象の表面に付着する微小な有機物除去による洗浄および親水性向上を目的とし、微小放電プラズマを用いた、薬品・溶剤レスのドライ処理によりパターン印刷部のみの表面改質を行ない、製作工程の低減、環境面負荷低減、製品の歩留まり向上ならびに工業的付加価値を高める放電表面処理装置及び放電表面処理方法に関する。
【解決手段】 基板を可動ステージ上に載置し、少なくとも一方が誘電体で覆われた高電圧電極と接地電極を有する微細放電電極と基板とを相対位置合せし、高電圧電極と接地電極との間に高電圧を印加するとともに、微細放電電極に放電ガスを供給することにより、微細放電電極に微細な非平衡放電プラズマを発生させ、前記プラズマのなかで生成される活性種を被処理基板に対して吹きつけながら、可動ステージにより基板をXY面内でX軸方向およびY軸方向に移動させ、活性種を基板の表面に次々に作用させて該表面を改質する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、絶縁物で特にプリント回路基板の表面改質に係り、主に微小領域に対する処理対象の表面に付着する微小な有機物除去による洗浄および親水性向上を目的とし、微小放電プラズマを用いた、薬品・溶剤レスのドライ処理によりパターン印刷部のみの表面改質を行ない、製作工程の低減、環境面負荷低減、製品の歩留まり向上ならびに工業的付加価値を高める微細放電表面改質方法および微細放電表面改質装置に関する。
従来、表面処理技術は主に酸化性化合物や有機溶剤を利用したウェット処理(湿式処理法)が主流であった。ウェット処理で使用される酸化性化合物や有機溶剤は人体に有害ではあるが、それら自体のコストは高くなく、その技術も確立されているため、多くの表面処理加工において利用されている。しかしながら、ウェット処理は後段に乾燥工程が必要であること、乾燥中に揮発性有機物が発生し、処理設備が必要であること、さらに処理後に酸化性化合物や有機溶剤の処理を行う必要があることなど種々の問題点がある。
近時、有害な酸化性化合物や有機溶剤に対する法的規制が強まり、処理に使用した後の規制値以下までの低減、処理中に使用される酸化性化合物や有機溶剤に替わる新たな技術の開発が強く望まれている。例えばプリント回路基板の製造工程では、図10に示すように、絶縁性基板91の表面を酸類で粗化する表面粗化工程を経て、基板91の全面に銅ペースト92を印刷塗布し、さらに紫外線感光剤(フォトレジスト)93をパターン印刷し、露光し、所定の薬剤を用いるエッチング処理を経て、所望のパターン回路を絶縁性基板91上に形成し、プリント回路基板90を得る。このエッチング処理工程では、基板全面に印刷した銅ペースト92を必要な場所のみ残して廃棄するだけでなく、随所に有害な薬剤を使用する処理が含まれている。また、使用した薬剤には不純物が混入するため再利用できないことから最終的には廃棄処分しなければならず、環境面およびコスト面の両方の観点からもドライ処理で所望のパターンを形成する方法の確立が望まれている。
酸化性化合物や有機溶剤を使用しないドライ処理に関する研究開発は近年において盛んに行われ、種々の提案がなされている。例えば特許文献1は面状の誘電体バリア放電をSFガスに対して発生させる方法を、また特許文献2ではマイクロ波放電により行う方法を、また特許文献3では真空紫外線ランプにより行う方法をそれぞれ提案している。
これらのドライ処理は、従来のウェット処理に比べて環境面で優れていると一般には考えられているが、それぞれに解決しなければならない未解決の問題点がある。特許文献1の方法では、地球温暖化係数が二酸化炭素の23,400倍も高いSFガスを利用すること、および面状の誘電体バリア放電は放電が一箇所に集中しやすいことが問題となる。また、特許文献2の方法では、マイクロ波放電を用いるので高分子材料基板の表面が熱により損傷するおそれがあることが問題となる。また、特許文献3の方法では、真空紫外線発生のためのキセノンガスが非常に高価であること、および酸素雰囲気中では真空紫外線のほとんどが酸素に吸収されてしまうため窒素等のガス空間もしくは真空雰囲気下で処理を行う必要があることが問題となる。
特開2006−4684号公報 特開2005−347619号公報 特開2005−336615号公報
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、大気圧下において処理対象近傍で処理対象に高電圧を印加させることなく微小放電プラズマから活性種を発生させて表面と反応させることで任意の場所のみ親水性を高める処理するため、任意の位置で必要最低限の領域に対し表面改質を行なうことが可能な微小放電表面改質方法および微細放電表面改質装置を提供することを目的とする。
1)の発明に係る微細放電表面改質方法は、被処理基板を可動ステージ上に載置し、少なくとも一方が誘電体で覆われた高電圧電極と接地電極を有する微細放電電極と前記可動ステージ上の被処理基板とを相対位置合せし、前記高電圧電極と前記接地電極との間に高電圧を印加するとともに、前記微細放電電極に放電ガスを供給することにより、前記微細放電電極に微細な非平衡放電プラズマを発生させ、前記微細な非平衡放電プラズマで生成される活性種を被処理基板に対して吹きつけながら、前記可動ステージにより被処理基板をXY面内でX軸方向およびY軸方向に移動させ、前記活性種を被処理基板の表面に次々に作用させて該表面の改質を行なう方法を提案するものである。
2)の発明に係る微細放電表面改質装置は、被処理基板をXY面内でX軸方向とY軸方向に移動可能に支持する可動ステージと、微細な常温非平衡放電プラズマを発生させるために少なくとも一方が誘電体で覆われた高電圧電極と接地電極を有する微細放電電極と、前記高電圧電極と前記接地電極とに接続される高電圧供給電源と、前記微細放電電極に接続される放電ガス供給装置と、前記微細放電電極で点弧される微細な非平衡放電プラズマで生成される活性種を被処理基板に対して吹きつける手段と、を具備する装置を提案するものである。
1)及び2)の発明によれば、微細放電電極の端部で処理基板側を微小径とすることにより、その径程度の放電プラズマを得ることができる。ここで、放電プラズマを点弧するための放電ガスはアルゴンやヘリウム等の希ガスが望ましいが、装置構成や処理条件によっては一般ガスである空気や窒素、酸素を利用してもよい。なお、それらのガスを多湿化することで更なる処理効果が期待できるため、放電ガスの多湿化装置を設けてもよい。放電部の両電極間に高電圧を印加して両電極間で放電を発生させ、ガス供給部からのガスを多湿化装置に通過させることで多湿されたガスは、放電部で発生する放電内を通過した後に被処理基板まで到達する。例えば希ガスであるアルゴンガスを放電内に通過させると、下式(1) および(2) の反応に従って準安定状態にある励起状態のアルゴン原子Ar(m1), Ar(e2)が生成するか、あるいは下式(3) の反応に従って高い運動エネルギーを持つアルゴン原子Ar*が生成される。また、条件によっては下式(4) の反応に従って電離してイオン化したアルゴンイオンAr+が生成される。
e + Ar → Ar(m1) + e …(1)
e + Ar → Ar(e2) + e …(2)
e + Ar → Ar* + e …(3)
e + Ar → Ar+ + e …(4)
また、例えば酸素ガスを用いた場合は、下式(5)および(6)の反応に従って励起状態の酸素原子O(1D)、基底状態の酸素原子O(3P)やオゾンO3が生成される。
e + O2 → O(1D) + O(3P) + e …(5)
O(3P) + O2 + M → O3 + M …(6)
さらに、多湿化ガスを用いることで、下式(7) の反応に従って水酸基ラジカル、すなわちヒドロキシルラジカル(・OH)が発生する。また、酸素原子と水が反応する下式(8) と(9) に従ってヒドロキシルラジカル(・OH)が発生する。
e + H2O → ・OH + ・H + e …(7)
O(1D) + H2O → ・OH + ・OH …(8)
O(3P) + H2O → ・OH + ・OH …(9)
上記の式(1)〜(4)では反応後のアルゴン原子は非常に高い内部エネルギーを有する。このため、これらのアルゴン原子が処理基板に衝突することにより、架橋反応が生じ、処理基板上の分子結合は切断されるため、処理対象表面の極性が変化して親水性を向上させることができるようになる。
また、式(5)〜(8)のうちオゾンO3、酸素原子で励起状態のO(1D)、基底状態のO(3P)、ヒドロキシルラジカル・OHはそれぞれ活性種であり有機物との酸化反応の反応速度が非常に速い。特に、ヒドロキシルラジカルは上記の活性種の中でも最も反応性に富み、有機物を二酸化炭素にまで反応させることができる。すなわち、ごみなどが付着した物質の表面洗浄をドライ処理で行うことが可能となる。
また、活性種は有機物と反応する際、有機物分解の中間生成物であるカルボキシル基等の官能基を生成する。これら官能基が無機高分子材料基板の表面に付着することにより、物質表面の極性が変化するため濡れ性が大幅に向上することから、接着剤における接着強度を大幅に向上させることが可能となる。また、用途に応じて供給ガス種を適宜選択して活性種の複合効果を高めてもよい。例えば上記の酸素含有ガスや窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガスなどを使用してもよい。
ヒドロキシルラジカル(・OH)の生成反応を次式(10)に示す。
e + H2O → ・OH + ・H + e …(10)
窒素ラジカル(・N)の生成反応を次式(11)に示す。
e + N2 → ・N + ・N + e …(11)
励起窒素分子の生成反応を次式(12)に示す。
e + N2 → N2* + e …(12)
上記の式(10)〜(12)式のうち、ヒドロキシラジカル(・OH)は有機物分解反応ならびに水酸基付着による親水性の向上に寄与する。窒素ラジカルは、例えばベンゼン環を有する有機物で炭素と結合する水素の間にヒドロキシラジカル(・OH)が反応した場合、水素が結合から離れる。このとき、水素との反応性の高い窒素ラジカル(・N)が近くにあるとN-H結合を形成することから、水素は再びベンゼン環に戻らずに水素が結合していた場所には例えばヒドロキシラジカル(・OH)が結合できる。このような反応が起こったときに、親水性が向上する。励起窒素分子は酸化力が高いため、有機物分解反応に寄与するだけでなくグロー放電化に寄与するとも言われており、放電の均一化が期待できる。
3)の発明では、微細放電電極は、放電ガス供給装置からの放電ガスが通流する内部流路を有する絶縁性の中空部材を有し、前記接地電極を前記中空部材の外周部に配置し、前記高電圧電極を前記中空部材の中心軸上に配置する。微小放電プラズマは絶縁材料の内側で高電圧電極の周辺に点弧するが、その一部はガス供給部から供給されるガスにより処理対象方向に吹き出される。
3)の発明によれば、高電圧電極と接地電極を近傍に配置し、ガス吹き出し口を微小なものとすることにより、微小な局所領域で高い電力密度の放電を点弧できるようになる。このため、微小領域の加工が可能となるだけでなく、密度の高い励起種や活性種をより多く発生させることができるようになることから、高処理速度、高処理効率が期待できるガス流速を大きくすることができるだけでなく、高電圧電極で被処理基板側の端部に発生する高電界が被処理基板に影響をおよぼす可能性をより低減させることができるようになる。これにより、放電内で発生した活性種をより効率よく被処理基板の表面で反応させ、さらに被処理基板を高電圧(放電プラズマ)にさらす可能性を低減させ、高電圧(放電プラズマ)による被処理基板の損傷を防ぐことができる。
4)の発明では、微細放電電極は、放電ガス供給装置からの放電ガスが通流する内部流路を有する絶縁性の中空部材と、前記中空部材の外周部に設けられた突起部と、を有し、前記高電圧電極を、前記突起部より上流側で、かつ被処理基板から離れたところで、かつ前記中空部材の外周部に配置し、前記設置電極を、前記突起部の下流側で、かつ被処理基板に近接するところに配置する。
4)の発明によれば、金属がガス空間に存在しないことから、処理対象である被処理基板の金属粉による汚染の可能性をなくすことができるようになる。また高電圧電極から処理対象への異常放電を防ぐこと、高電圧電極端部の高電界により生じる接地電極と高電圧電極間の放電を均一して発生できるようになる。これにより、被処理基板表面の損傷を防止するだけでなく、より安定した処理の制御が可能になる。
5)の発明では、前記微細放電電極から発生する微細放電プラズマの中心軸からすこし離れた位置に放電縮小化ガスを噴きつけて前記微細な非平衡放電プラズマの幅を狭める放電縮小化ガス導入部を少なくとも1つ有し、この放電縮小化ガス導入部により放電プラズマの側方から放電縮小化ガスを吹付ける。
5)の発明によれば、処理対象が絶縁物である場合、絶縁物上にガスやイオンが蓄積されることにより、絶縁物上で放電プラズマが広がる可能性がある。微小径の放電電極を使用したとしても、放電プラズマが絶縁物上で広がった場合、微小領域処理ができなくなる。この場合、放電縮小化ガスを吹付けることにより、吹付けられた場所のプラズマは消弧され、微小領域の表面改質が可能となる。例えば放電ガスにアルゴンガスを使用した場合、アルゴンガスよりも放電開始電圧の高いガスで例えば窒素ガスや酸素ガス、二酸化炭素ガス等の分子ガスを放電縮小化ガスとして用いればよい。
6)の発明では、接地電極近傍に磁石(永久磁石)または電磁石コイル(電磁誘導コイル)を設け、前記磁石または前記電磁石コイルにより形成される磁界によって前記放電プラズマを微細化するか、または被処理基板のほうに向けて前記放電プラズマを伸張させることができる。
6)の発明によれば、接地電極付近に磁界をかけることにより微小放電プラズマ内の電子分布を変化させることができるようになる。これにより、放電プラズマ内の電子をより中心軸に集中させ、さらに磁界にのせることで放電プラズマを処理対象側に伸ばす(Z軸方向に伸ばす)ことができるようになる。これにより、さらに微小領域の放電プラズマ生成が可能となる。
本発明によれば、大気圧下において処理対象近傍で任意の微小な領域に薬品や溶剤を使用することなくドライな状態で表面の改質処理を施すことが可能となる。処理対象の近傍の微小領域で放電プラズマを発生させることによって励起種や活性種を生成し、生成した活性種を処理対象の表面に反応させることにより、環境にやさしい、表面処理を行うことができる微細放電表面改質方法および微細放電表面改質装置が提供される。
以下、添付の図面を参照して本発明を実施するための種々の形態を説明する。
(第1の実施の形態)
図1と図2を参照して本発明の第1の実施の形態に係る微細放電表面改質装置を説明する。
本実施形態の微細放電表面改質装置1は、微細な非平衡放電プラズマを発生させる微細放電電極4と、ガス及び高電圧電極接続部5と、微細放電電極4に給電する高電圧供給電源6と、微細放電電極4に放電ガスを供給する放電ガス供給装置8と、被処理基板9を移動可能に支持する可動ステージ10,11とを備えている。
微細放電電極4は、高電圧供給電源6に接続された高電圧電極2および接地電極3を有している。高電圧電極2および接地電極3のうちの少なくとも一方は誘電体により覆われ、両電極2,3間が絶縁されている。両電極2,3間にはガス流路が形成されており、このガス流路にガス及び高電圧電極接続部5を介して放電ガス供給装置8から放電ガスとして例えばアルゴンガスが供給され、接地電極3の近傍に形成された噴出口41からガスプラズマが噴射され、被処理基板9に吹き付けられるようになっている。
被処理基板9は、可動ステージ10,11の上に載置され、可動ステージ10,11によりX軸およびY軸の各方向に所望の速度と距離に移動されるようになっている。すなわち、第1の可動ステージ10はX軸に沿って延び出すX軸駆動機構10aによりX軸方向にスライド駆動され、第2の可動ステージ11はY軸に沿って延び出すY軸駆動機構11aによりY軸方向にスライド駆動されるようになっている。なお、可動ステージ10,11の電源(図示せず)には図示しない制御器の出力部が接続され、X軸駆動機構10aおよびY軸駆動機構11aの動作が制御されるようになっている。本実施形態では、可動ステージとして2方向に移動可能なX−Yテーブルの例を示したが、さらにZ軸方向に移動可能な昇降駆動機構を有するようにしてもよい。また、さらにZ軸まわりに回転可能なθ軸回転駆動機構を追加してもよい。
上記装置を用いて被処理基板の表面を改質処理する場合について説明する。
先ず被処理基板9を可動ステージ10,11の上に載置する。被処理基板9の上面には所定厚さの銀や銅が印刷塗布されている。可動ステージ10,11をX軸方向とY軸方向に移動させて、被処理基板9の所定の部位を微細放電電極4に対して位置合せする。必要に応じて微細放電電極4または被処理基板9のいずれか一方又は両方をZ軸方向に昇降させ、微細放電電極4と被処理基板9との相互間距離を所望の間隔に調整する。
放電ガス供給装置8から微細放電電極4に所定流量のアルゴンガスを供給するとともに、高電圧供給電源6により微細放電電極4の高電圧電極2と接地電極3との間に所定の高電圧を印加して、両電極2,3間に微細放電プラズマを発生させる。点弧された微細放電プラズマはアルゴンガス流にのって移動し、噴出口41から噴き出され、上式(1)〜(4)に従う反応により微細放電プラズマ中に生成される活性種が被処理基板9に対して吹きつけられる。これにより被処理基板9の所望の微細領域が表面改質される。
次に、図2を参照して放電電極と被処理基板との相互間距離が放電プラズマに及ぼす影響について説明する。
ガスプラズマ噴出口41から被処理基板9までの距離L1が近すぎると、図2の(a)に示すように、放電プラズマ7aが末広がりに広がる。また、被処理基板が絶縁物の場合、電荷が被処理基板上に蓄積されるため、より顕著に放電プラズマの末広がり現象が生じやすくなる。これにより所望の微細領域に対して表面処理を行うことができない。
ガスプラズマ噴出口41から被処理基板9までの距離L2が適正であると、図2の(b)に示すように、放電プラズマ7bの径が絞られて微小になり、所望の微細領域に対して適正に表面処理を行うことができる。
ガスプラズマ噴出口41から被処理基板9までの距離L3が遠すぎると、図2の(c)に示すように、放電プラズマ7cが被処理基板9の表面まで届かなくなり、表面処理することができない。
本実施形態によれば、微細放電電極の端部で被処理基板側を微小径とすることにより、その径程度の放電プラズマを得ることができる。
(第2の実施の形態)
図3を参照して本発明の第2の実施の形態に係る微細放電表面改質装置を説明する。なお、本実施形態が上記の実施形態と重複する部分の説明と図示を省略する。
本実施形態の微細放電表面改質装置1Aでは、微細放電電極4Aが内部流路を有する絶縁性の中空部材42を備えている。この中空部材42の内部流路には絶縁性のガス及び高電圧電極接続部5を介して放電ガス供給装置8の供給口が連通し、ガス供給装置8から供給される放電ガスが通流するようになっている。放電ガスは、内部流路を通流した後に、中空部材42の先端に開口するガスプラズマ噴出口41から吹き出されるようになっている。
また、中空部材42の中心軸上には高電圧電極2が配置されている。さらに、中空部材42の外周部には接地電極3が配置されている。中空部材42を構成する絶縁材料には例えば石英やパイレックス(登録商標)等のガラスやアルミナや窒化珪素のようなセラミック材料を用いることが好ましい。これらの材料は絶縁性とともに耐熱性および機械的強度を備えているからである。
放電ガスを供給し、直流電源6から高電圧電極2と接地電極3との間に所定の高電圧を印加すると、両電極2,3間に微細な非平衡放電プラズマが生成される。生成された放電プラズマ7は、噴出口41から被処理基板9に吹き付けられ、被処理基板9の表面を改質する。
本実施形態によれば、ガス流路を絶縁性の材料で構成し、金属がガス空間に存在しないようにしていることから、処理対象である被処理基板の金属粉による汚染の可能性をなくすことができるようになる。高電圧電極2と接地電極3を近傍に配置し、微細放電電極4のガスプラズマ噴出口41を所望する処理幅を実現するために最適な径(最適値は実施形態によって変わるが、例えば直径180±20μm)とすることにより、微小な局所領域で放電を点弧できるようになる。このため、微小領域の加工が可能となるだけでなく、エネルギーの高い励起種や活性種をより多く発生させることができるようになることから、高処理速度と高処理効率を期待できるようになるだけでなく、高電圧電極2で被処理基板側の端部に発生する高電界が被処理基板9に影響をおよぼす可能性をより低減させることができるようになる。これにより、放電プラズマ7内で発生した活性種をより効率よく被処理基板9の表面で反応させ、さらに被処理基板9を高電圧(放電プラズマ)にさらす可能性を低減させ、高電圧(放電プラズマ)による被処理基板9の損傷を防ぐことができる。
(第3の実施の形態)
図4を参照して本発明の第3の実施の形態に係る微細放電表面改質装置を説明する。なお、本実施形態が上記の実施形態と重複する部分の説明と図示を省略する。
本実施形態の微細放電表面改質装置1Bでは、微細放電電極4Bが内部流路を有する絶縁性の中空部材42および突起部13を備えている。突起部13は、高電圧電極2と接地電極3との間に配置され、中空部材42の外周部から外方に張り出すように突出している。
本実施形態によれば、突起部13により高電圧電極2から被処理基板9への異常放電を有効に防ぐことができ、また高電圧電極2の端部の高電界により生じる両電極2,3間の放電プラズマを均一に生成できるようになる。これにより被処理基板9の表面の損傷を防止できるばかりでなく、より安定した処理の制御が可能になる。
(第4の実施の形態)
図5〜図7を参照して本発明の第4の実施の形態に係る微細放電表面改質装置を説明する。なお、本実施形態が上記の実施形態と重複する部分の説明と図示を省略する。
本実施形態の微細放電表面改質装置1Cでは、微細放電電極4から発生する微細放電プラズマ7の中心軸からすこし離れた所定の位置に放電縮小化ガスを噴きつけて微細放電プラズマの幅を狭める放電縮小化ガス導入部17を少なくとも1つ備えている。放電縮小化ガス導入部17には放電極小化ガス供給源15が接続されている。
放電縮小化ガス導入部17は、図6に示すように、本実施形態では微細放電電極4を中心としてその周囲に4つの放電縮小化ガス導入部17が均等配置されている。なお、本実施形態では放電縮小化ガス導入部17を4つ配置したが、本発明はこれのみに限定されるものではなく、1つだけであってもよく、さらに2つ、3つ、5つ、6つ、7つ、8つ、又はそれ以上を配置することができる。
また、放電縮小化ガス導入部17は、図7に示すように、水平線に対して角度θに傾けた姿勢で、かつガスが被処理基板9に衝突する狙い位置をガスプラズマ中心点から少し離れた位置になる焦点ずれ距離L4としている。このような放電縮小化ガス導入部17により放電プラズマ7が微小な径に絞られ、微細領域の表面改質処理が可能になる。
ちなみに処理対象が絶縁物(例えばフレキシブルプリント基板)である場合、絶縁物上に電荷(イオン)が蓄積されることにより、図2の(a)に示すように、絶縁物上で放電プラズマが広がる可能性があり、微小径の放電電極を使用したとしても、放電プラズマが絶縁物上で広がった場合、微小領域処理ができなくなることがある。
本実施形態によれば、放電縮小化ガスを吹付けることにより、ガス吹付け領域のプラズマは消弧され、その結果、放電プラズマが細くなるため、微小領域の表面改質処理が可能となる。この場合に、例えば放電ガスにアルゴンガスを使用した場合、アルゴンガスよりも放電開始電圧の高いガスで例えば窒素ガスや酸素ガスを放電縮小化ガスとして用いることができる。
(第5の実施の形態)
図8を参照して本発明の第5の実施の形態に係る微細放電表面改質装置を説明する。なお、本実施形態が上記の実施形態と重複する部分の説明と図示を省略する。
本実施形態の微細放電表面改質装置1Dでは、他の放電縮小化手段20として接地電極3の近傍に永久磁石または電磁石コイル21(直流電源22に接続されている)を設け、永久磁石または電磁石により形成される磁界によって放電プラズマ7を微細化または処理対象への伸長を行なうようにしている。具体的には、電磁石コイル21を接地電極3の直下、すなわちガスプラズマ噴出口41に近接するところに配置している。
本実施形態によれば、接地電極の近傍領域に磁界を印加することにより微小放電プラズマ内の電子分布を変化させることができるようになり、放電プラズマ内の電子をより中心軸に集中させることができる。さらに磁界を印加することで放電プラズマを処理対象側に伸ばす(Z軸方向に伸ばす)ことができるようになる。これにより、さらに微小領域の放電プラズマ生成が可能となる。
(第6の実施の形態)
図9を参照して本発明の第6の実施の形態に係る微細放電表面改質装置を説明する。なお、本実施形態が上記の実施形態と重複する部分の説明と図示を省略する。
本実施形態の微細放電表面改質装置1Eでは、上記の電磁石21/直流電源22からなる放電縮小化手段20と突起部13とを組み合わせ用いている。
本実施形態によれば、接地電極の近傍領域に磁界を印加することにより微小放電プラズマ内の電子密度分布を変化させることができるようになり、放電プラズマ内の電子をより中心軸に集中させることができるとともに、突起部により高電圧電極から被処理基板への異常放電を有効に防ぐことができるようになる。また、高電圧電極の端部の高電界により生じる高電圧電極と接地電極との間の放電プラズマを均一に生成できるようになり、被処理基板の表面の損傷を防止できるばかりでなく、より安定した処理の制御が可能になる。さらに磁界を印加することで放電プラズマを処理対象側に伸ばす(Z軸方向に伸ばす)ことができるようになる。
本発明は、プリント基板製造装置において電気回路形成前の絶縁材料に対して誘電物質印刷前の濡れ性向上する際に利用することができる。
本発明の第1の実施形態に係る微細放電表面改質装置を示す構成ブロック斜視図。 (a)〜(c)は電極/基板間の距離と放電プラズマとの関係をそれぞれ示す図。 本発明の第2の実施形態に係る微細放電表面改質装置の要部を示す構成ブロック図。 本発明の第3の実施形態に係る微細放電表面改質装置の要部を示す構成ブロック図。 本発明の第4の実施形態に係る微細放電表面改質装置を示す構成ブロック図。 放電電極を取り囲む放電縮小化ガス導入部の配置を示す平面図。 放電縮小化ガス導入部のガス吹き付け狙い位置を示す側面図。 本発明の第5の実施形態に係る微細放電表面改質装置の要部を示す構成ブロック図。 本発明の第6の実施形態に係る微細放電表面改質装置の要部を示す構成ブロック図。 従来のプリント回路基板を作製する方法を説明するための被処理基板の断面図。
符号の説明
1,1A,1B,1C,1D…微細放電表面改質装置、
2…高電圧電極、3…接地電極、
4…微細放電電極、41…ガスプラズマ噴出口、42…絶縁性中空部材、
5…ガス及び高電圧電極接続部、6…高電圧供給電源、
7,7a,7b,7c…微小放電プラズマ(微細な常温非平衡放電プラズマ)、
8…放電ガス供給装置(アルゴンガス供給装置)、
9…被処理基板、9a…放電プラズマ処理部、
10…Xステージ(可動ステージ)、10a…X軸駆動機構、
11…Yステージ(可動ステージ)、11a…Y軸駆動機構、
13…突起部、
15…放電縮小化ガス供給装置、
17…放電縮小化ガス導入部、
20…放電縮小化電磁誘導部、
21…電磁石コイル(電磁誘導コイル)、22…直流電源。

Claims (6)

  1. 被処理基板を可動ステージ上に載置し、
    少なくとも一方が誘電体で覆われた高電圧電極と接地電極を有する微細放電電極と前記可動ステージ上の被処理基板とを相対位置合せし、
    前記高電圧電極と前記接地電極との間に高電圧を印加するとともに、前記微細放電電極に放電ガスを供給することにより、前記微細放電電極に微細な非平衡放電プラズマを発生させ、
    前記微細な非平衡放電プラズマで生成される活性種を被処理基板に対して吹きつけながら、前記可動ステージにより被処理基板をXY面内でX軸方向およびY軸方向に移動させ、前記活性種を被処理基板の表面に次々に作用させて連続に該表面を改質することを特徴とする微細放電表面改質方法。
  2. 被処理基板をXY面内でX軸方向とY軸方向に移動可能に支持する可動ステージと、
    微細な常温非平衡放電プラズマを発生させるために少なくとも一方が誘電体で覆われた高電圧電極と接地電極を有する微細放電電極と、
    前記高電圧電極と前記接地電極とに接続される高電圧供給電源と、
    前記微細放電電極に接続される放電ガス供給装置と、
    前記微細放電電極で点弧される微細な非平衡放電プラズマで生成される活性種を被処理基板に対して吹きつける手段と、
    を具備することを特徴とする微細放電表面改質装置。
  3. 前記微細放電電極は、前記放電ガス供給装置からの放電ガスが通流する内部流路を有する絶縁性の中空部材を有し、
    前記接地電極は前記中空部材の外周部に配置され、
    前記高電圧電極は前記中空部材の中心軸上に配置されていることを特徴とする請求項2記載の装置。
  4. 前記微細放電電極は、前記放電ガス供給装置からの放電ガスが通流する内部流路を有する絶縁性の中空部材と、前記中空部材の外周部に設けられた突起部と、を有し、
    前記高電圧電極は、前記突起部より上流側で、かつ被処理基板から離れたところに、かつ前記中空部材の外周部に配置され、
    前記設置電極は、前記突起部の下流側で、かつ被処理基板に近接するところに配置されていることを特徴とする請求項2記載の装置。
  5. 前記微細放電電極から発生する微細放電プラズマの中心軸からすこし離れた位置に放電縮小化ガスを噴きつけて前記微細な非平衡放電プラズマの幅を狭める放電縮小化ガス導入部を少なくとも1つ有することを特徴とする請求項3または4のいずれか1項記載の装置。
  6. 接地電極近傍に磁石または電磁石コイルを設け、前記磁石または前記電磁石コイルにより形成される磁界によって前記放電プラズマを微細化するか、または被処理基板のほうに向けて前記放電プラズマを伸張させることを特徴とする請求項3または4のいずれか1項記載の装置。
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