JP7144201B2 - 仕上げ用鏝 - Google Patents
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Description
塗装用鏝としては、例えば左官鏝が一般に知られており、広く普及している。
一方、仕上げ用鏝としては、被塗面を平滑に仕上げる鏝や、被塗面に模様を施す鏝等が存在し、様々な形状の鏝が存在する。
しかし、このような鏝では、被塗面への圧力等を一定に調整することが難しく、被塗面を平滑に仕上げるには、作業者の熟練度が大きく影響する場合がある。
さらに、被塗面を平滑に仕上げる場合には、塗装用鏝で代替したり、またヘラ等で代替する場合が多く、作業者の熟練度がより大きく影響してくるのが実情である。
1.コテ板部と取手部を有する仕上げ用鏝であって、
該コテ板部の厚さは、0.2mm以上0.8mm以下であり、
該コテ板部の縁部を下方に向けて見た正面視において、
該取手部よりも下方に位置するコテ板部の形状は、上底よりも下底の方が長い台形状部の下底に長方形状部の上辺が連結され、一体化された形状であり、
該コテ板部の台形状部の上底には、背板、接続部、及び取手部が接続され、該取手部は、該コテ板部より手前側に位置し、
該取手部は円柱状であり、
該取手部の長軸方向と、該コテ板部の縁部が平行であり、
背板、接続部、及び取手部は、コテ板部よりもたわみのないものであり、
該コテ板部の縁部は長方形状部の下辺からなり、該コテ板部の縁部の両端は丸味を帯びており、
該長方形状部の上辺に隣接する側辺の長さが15mm以上25mm以下であり、
該コテ板部の縁部が、長さ150mm以上160mm以下であり、
該台形状部の下底の両端の底角は、22°以上64°以下であり、
該台形状部の上底の長さは、80mm以上100mm以下であり、
該コテ板部の長さは、40mm以上92mm以下である、
ことを特徴とする仕上げ用鏝。
2.前記コテ板部の縁部の両端は、R2mm以上R15mm以下の丸味を帯びていることを特徴とする1.に記載の仕上げ用鏝。
2:取手部
11:コテ板部の台形状部
12:コテ板部の長方形状部
13:コテ板縁部
14:台形状部の脚部
21:接続部
22:背板
α:台形状部の下底の底角
U:台形状部の上底の長さ
B:台形状部の下底の長さ
D1:長方形状部の下辺の長さ
D2:長方形状部の側辺の長さ
β:コテ板縁部の両端の内角
R:コテ板縁部の両端の丸味
L:コテ板部の長さ
S1:取手部長軸方向の長さ
S2:取手部短軸方向の長さ
T:コテ板部の厚さ
H:コテ板部から取手部頂点までの高さ
X:基材
Y:塗料
本発明の仕上げ用鏝は、図1に示すように、コテ板部(1)と取手部(2)を有する仕上げ用鏝であり、
該コテ板部(1)の厚さ(T)は、0.1mm以上1mm以下であり、
該コテ板部(1)の縁部(13)を下方に向けて見た正面視において、
該取手部(2)よりも下方に位置するコテ板部(1)の形状は、上底よりも下底の方が長い台形状部(11)の下底に長方形状部(12)の上辺が連結され、一体化された形状であり、
該コテ板部(1)の台形状部(11)の上底には取手部(2)が接続され、該取手部(2)は、該コテ板部(1)より手前側に位置し、
該コテ板部(1)の縁部(13)は長方形状部(12)の下辺からなり、該コテ板部(1)の縁部(13)の両端は丸味を帯びていることを特徴とする。
このようなコテ板部(1)は、通常状態では略平板状のものであり、押圧することによって、たわみ、湾曲するものが好ましい。
また上記範囲内であれば、台形状部(11)と長方形状部(12)の厚さは同じでも、異なっていてもよい。また、コテ板縁部に近づくにつれ徐々に薄くなるように設定することも可能である。
このようなコテ板部(1)の材質は、特に限定されないが、例えば、樹脂製、ゴム製、金属製、紙製等を使用することができる。本発明では、特に樹脂製を使用することが好ましく、例えば、ポリエチレン樹脂製、ポリプロピレン樹脂製、ポリエチレンテレフタレート樹脂製、ポリカーボネート樹脂製、ポリ(メタ)アクリレート樹脂製、ポリ塩化ビニル樹脂製、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合樹脂(ABS樹脂)製等の樹脂製のものを使用することができる。
このような台形状部(11)は、上底よりも下底の方を長く設定することにより、上底付近ではよりたわみやすくなり、必要以上の押圧圧力を下底、さらには長方形状部(12)に伝えにくい効果がある。よって、長方形状部(12)には必要以上に押圧圧力がかかりにくく、一定水準の押圧圧力を保つことが可能である。
また、下底の両端の底角(α)は、20°以上70°以下(さらには25°以上65°以下)であることが好ましい。このような底角(α)であることにより、被塗面への押圧圧力等をより一定に調整しやすく、平滑に仕上げることができる。
また、両端の底角(α)は、同一でも異なっていても良いが、両端の底角(α)が同一であれば、等脚台形状となり、より均一に押圧圧力をかけやすくなるため好ましい。なお、両端の底角(α)が同一である場合は、底角(α)が30°以上60°以下(さらには35°以上55°以下)であることが好ましい。
また、台形状部(11)の脚部(14)は、直線でもよいし、湾曲していてもよい。湾曲している場合は、湾曲線の頂点と頂点を結んだ直線に置き換えて底角を測定すればよい。
また、下辺の長さ(D1)と下底の長さ(B)は、同じでも異なっていてもよいが、異なる場合は、下辺の長さ(D1)のほうが長いものを使用することが好ましい。
また長方形状部(12)の側辺の長さ(D2)は、5mm以上50mm以下(さらには8mm以上40mm以下)であることが好ましい。側辺の長さ(D2)がこのような範囲であることによって、被塗面への押圧圧力を一定水準に保つことができる。側辺の長さ(D2)が短すぎると、被塗面への局所的な押圧が起こりやすくなる。また側辺の長さ(D2)が長すぎると、長方形状部(12)全面に均一な圧力がかかり難く、ムラが発生する場合がある。
コテ板部(1)の縁部(13)が丸味を帯びていることにより、塗り継ぎ部分が目立ちにくく、大面積でも塗装ムラ(塗り継ぎムラ)を抑制し、作業者の熟練度に頼ることなく、優れた平滑仕上げを施すことができる。
特に、コテ板部(1)の縁部(13)の両端が、R2mm以上R15mm以下(R2mm以上R10mm以下)の丸味を帯びていることが好ましい。なお、R2mmとは半径2mmの円の孤という意味である。
また長方形状部(12)の内角は、85°以上95°以下(好ましくは90°)である。特に、コテ板部(1)の縁部(13)の両端の内角(β)は、85°以上90°以下(好ましくは90°)であることが好ましい。
このような取手部(2)は、コテ板部の縁部を下方に向けて見た正面視において、該コテ板部より手前側に位置するように接続する。
接続手法は、特に限定されず、例えば、接続部(21)や背板(22)を用意し、コテ板部(1)と背板(22)を接着させて取手部(2)を接続する方法、あるいはコテ板部(1)を背板(22)で挟み込んで取手部(2)を接続する方法等が挙げられる。本発明では特に、コテ板部(1)面に対し、略垂直方向に取手部(2)を接続することが好ましい。
このような取手部(2)を設けることによって、仕上げ用鏝が持ちやすく、押圧圧力を調整しやすくなる。このような取手部(2)が無い場合、例えばヘラのような塗装器具では、作業中に被塗面と手、腕等が接触しやすく、作業性に問題が生じることがある。特に、大面積の作業においては、大幅な作業ロスとなることがある。
また取手部(2)の短軸方向の長さ(S2)は、持ちやすい大きさであれば特に限定されず、10mm以上40mm以下、さらには12mm以上30mm以下であることが好ましい。また、長軸方向の長さ(S1)は、特に限定されないが50mm以上200mm以下さらには60mm以上150mm以下であることが好ましい。特に長軸方向の長さ(S1)は、台形状部(11)の上底の長さ(U)と同じまたは近似するものが好ましい。また、背板の大きさも、上記短軸方向の長さ(S2)、長軸方向の長さ(S1)の範囲内であることが好ましい。
また、コテ板部(1)から取手部(2)頂点までの高さ(H)は、特に限定されないが、30mm以上80mm以下であることが好ましい。
このような取手部(2)は、コテ板部(1)全体に均一に押圧圧力をかけやすく、また押圧圧力の調整がしやすい。
取手部(2)、接続部(21)、背板(22)の材質は、コテ板部(1)よりもたわみのないものであれば特に限定されず、金属製、木製、セラミック製、樹脂製等を用いることができる。
なお、本発明でいうコテ板部(1)は、台形状部(11)と長方形状部(12)とからなるものであるが、該台形状部(11)の上底は、該コテ板部の縁部を下方に向けて見た正面視、例えば、正面図(図2)において、取手部(2)(または背板(22))との境界線とみなす。また、取手部(2)(または背板(22))が小さい場合は、背板(22)の下辺の延長線と、台形状部(11)の脚部(14)との交点を結ぶ辺を上底とみなす。
また、コテ板部(1)と取手部(2)(接続部(21)、背板(22))を接続しやすいように、コテ板部(1)の台形状部(11)の上底のさらに上には、例えば背板(22)と同形状の部分を設け、該部分と背板(22)とを接続しやすいようにすることもできる。
適用できる塗料としては、特に限定されず、一般的に建築物等の塗装に使用可能な塗料であればよい。
例えば、建築用耐候性上塗り塗料(JISK5658:2010)、鋼構造物用耐候性塗料(JISK5659:2008)、つや有合成樹脂エマルションペイント(JISK5660:2008)、建築用防火塗料(JISK5661:1970)、合成樹脂エマルションペイント(JISK5663:2008)、路面標示用塗料(JISK5665:2011)、多彩模様塗料(JISK5667:2003)、合成樹脂エマルション模様塗料(JISK5668:2010)、アクリル樹脂系非水分散形塗料(JISK5670:2008)、鉛・クロムフリーさび止めペイント(JISK5674:2008)、屋根用高日射反射率塗料(JISK5675:2011)、建物用床塗料(JISK5970:2008)、建築用塗膜防水材(JISA6021:2011)、建築用仕上塗材(JISA6909:2014)等が挙げられる。また、フッ素樹脂塗材やシリコン樹脂塗材等にも適用できる。
本発明の仕上げ用鏝は、特に2色以上有する多彩模様塗料においても適用でき、多彩の模様を壊すことなく、平滑に仕上げることができる。
シーラーを施した基材(スレート板)(X)上に、多彩模様塗料(Y)を塗付量0.5kg/m2でスプレー塗装し、多彩模様を施した。
多彩模様塗料(Y):アクリル樹脂エマルション、白色ゲル粒子(アクリル樹脂エマルション、酸化チタンを主成分とする着色顔料を含む粒状ゲル粒子、粒子径約5mm)、黒色ゲル粒子(アクリル樹脂エマルション、黒色酸化鉄を主成分とする着色顔料を含む粒状ゲル粒子、粒子径約4mm)を含む多彩模様塗料。
スプレー塗装直後、表1に示す仕上げ用鏝(図1、図5~図15)を用いて図4のように平滑仕上げを行い評価した。また、ヘラ(図16)についても同様の評価を行った。
評価は、次の通りである。評価は表1に示す。
A:押圧圧力を意識することなく、上下左右どの方向にもスムーズに動かすことができ、作業性に優れていた。
B:押圧圧力を意識することなく、スムーズに動かすことができ、作業性は良好であった。
C:押圧圧力が変化すると、一部塗装ムラが発生し、スムーズに動かすことが困難であった。
D:塗料が手に接触してしまい、作業性に劣っていた。
A:多彩模様の模様を維持しながら、表面を平滑に、かつ、ムラなく仕上げることができた。
B:多彩模様の模様を維持しながら、表面をほぼ平滑に、かつ、ムラなく仕上げることができた。
C:多彩模様の模様を維持できたが、塗りムラが目立ってしまった。
D:多彩模様の模様を維持できなかった。
Claims (2)
- コテ板部と取手部を有する仕上げ用鏝であって、
該コテ板部の厚さは、0.2mm以上0.8mm以下であり、
該コテ板部の縁部を下方に向けて見た正面視において、
該取手部よりも下方に位置するコテ板部の形状は、上底よりも下底の方が長い台形状部の下底に長方形状部の上辺が連結され、一体化された形状であり、
該コテ板部の台形状部の上底には、背板、接続部、及び取手部が接続され、該取手部は、該コテ板部より手前側に位置し、
該取手部は円柱状であり、
該取手部の長軸方向と、該コテ板部の縁部が平行であり、
背板、接続部、及び取手部は、コテ板部よりもたわみのないものであり、
該コテ板部の縁部は長方形状部の下辺からなり、該コテ板部の縁部の両端は丸味を帯びており、
該長方形状部の上辺に隣接する側辺の長さが15mm以上25mm以下であり、
該コテ板部の縁部が、長さ150mm以上160mm以下であり、
該台形状部の下底の両端の底角は、22°以上64°以下であり、
該台形状部の上底の長さは、80mm以上100mm以下であり、
該コテ板部の長さは、40mm以上92mm以下である、
ことを特徴とする仕上げ用鏝。 - 前記コテ板部の縁部の両端は、R2mm以上R15mm以下の丸味を帯びていることを特徴とする請求項1に記載の仕上げ用鏝。
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