JP7142303B2 - 蛍光体、波長変換部材及び発光装置 - Google Patents

蛍光体、波長変換部材及び発光装置 Download PDF

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Description

本開示は、蛍光体、波長変換部材及び発光装置に関する。
従来、Ce3+で付活すると赤色光を放射する蛍光体になる無機化合物として、例えば、CaSiN(斜方晶系、空間群No.61:Pbca)、YMg(SiO(AlO)(立方晶系、空間群No.230:Ia3d)が知られている。また、上記無機化合物として、例えば、CaYMgScSi12(立方晶系、空間群No.230、Ia3d)、Li38.7RE3.3Ca5.7(LiSi3059)OF(三方晶系、空間群No.165:P3c1)が知られている。さらに、上記無機化合物として、例えば、YSiO(斜方晶系、空間群No.57:Pbcm)、CaAlSiN(斜方晶系、空間群No.36:Cmc2)が知られている。また、上記無機化合物として、例えば、La(Si,Al)11-α(正方晶系、空間群No.100:P4bm)が知られている。これらの無機化合物は、固体照明用の蛍光体として見出されたものである。
一方、発光ダイオードや半導体レーザー等の固体発光素子と蛍光体とを組み合わせた構造の発光装置が知られている。例えば、LED照明やレーザー照明等が知られている。これらは、固体照明と称される。
特許第5611960号公報 特許第6206696号公報 特表2017-536694号公報
トキン(Toquin)外、ケミカル・フィジクス・レターズ(Chemical Physics Letters)、2006年、第423号、第352-356頁 カイジュコフ(Khaidukov)外、フィジカ・ステイタス・ソリディ・アールアールエル(Physica Status Solidi RRL)、2017年、第1700016号、DOI 10.1002/pssr.201700016 マーク(Maak)外、ケミストリー・オブ・マテリアルズ(Chemistry of Materials)、2018年、第30号、第5500-5506頁 ツー(Zhu)外、ケミストリー・オブ・マテリアルズ(Chemistry of Materials)、2016年、第28号、第4829-4839頁 リー(Li)外、ケミストリー・オブ・マテリアルズ(Chemistry of Materials)、2016年、第28号、第4829-4839頁
しかしながら、Ce3+で付活すると赤色光を放射する従来の無機化合物は、種類が少ないという課題があった。このため、従来、固体照明に使用可能なCe3+付活赤色蛍光体の種類が少ないという課題があった。このように、固体照明に使用可能なCe3+付活赤色蛍光体の種類が少ないと、固体照明の演色性の調整範囲が狭くなる。
本開示はこのような課題を解決するためになされたものであり、Ce3+で付活すると赤色光を放射する新規な蛍光体、この蛍光体を用いる波長変換部材及び発光装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、第1の態様に係る蛍光体は、無機化合物と、前記無機化合物を付活する発光中心と、を含み、前記無機化合物は、希土類元素RE、Al、Si及び窒素を含み、単結晶粒子の状態で六角柱状の粒子形状を有し、前記発光中心がCe3+を含む場合に波長600nm以上650nm未満の範囲内に蛍光ピークを有する赤色光を放射することを特徴とする。
第2の態様に係る波長変換部材は、前記蛍光体を用いることを特徴とする。
第3の態様に係る発光装置は、前記蛍光体を用いることを特徴とする。
実施例に係る蛍光体の電子顕微鏡写真である。 第1の実施形態に係る波長変換部材の一例を示す概略断面図である。 第2の実施形態に係る波長変換部材の一例を示す概略断面図である。 第3の実施形態に係る波長変換部材の一例を示す概略断面図である。 第4の実施形態に係る波長変換部材の一例を示す概略断面図である。 第5の実施形態に係る波長変換部材の一例を示す概略断面図である。 第6の実施形態に係る波長変換部材の一例を示す概略断面図である。 第7の実施形態に係る波長変換部材の一例を示す概略断面図である。 実施形態に係る発光装置を説明する概略図である。 実施例1に係る蛍光体を含む焼成物のX線回折パターンである。 実施例1に係る蛍光体を含む焼成物の蛍光スペクトルである。 実施例2に係る蛍光体を含む焼成物のX線回折パターンである。 実施例2に係る蛍光体を含む焼成物の蛍光スペクトルである。 実施例3に係る蛍光体を含む焼成物の蛍光スペクトルである。
以下、実施形態に係る蛍光体(第1の蛍光体)、波長変換部材及び発光装置について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも実施形態に係る好ましい一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態等は、一例であって本開示を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、実施形態に係る最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
なお、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
[蛍光体]
実施形態に係る蛍光体(第1の蛍光体)について説明する。実施形態に係る第1の蛍光体は、無機化合物と、前記無機化合物を付活する発光中心と、を含む。
(無機化合物)
実施形態に係る蛍光体を構成する無機化合物は、発光中心で付活されるための母体結晶である。
<組成>
実施形態に係る第1の蛍光体を構成する無機化合物は、希土類元素RE、Al、Si及び窒素を含む。
ここで、希土類元素REとは、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuを意味する。無機化合物に含まれる希土類元素REとしては、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuからなる群より選択される少なくとも一つの元素が用いられる。
無機化合物に含まれる希土類元素REとしては、好ましくはY、La、Gd及びLuからなる群より選択される少なくとも一つの元素、より好ましくはLaが用いられる。希土類元素REが上記元素又はその組み合わせからなると、希土類元素REが発光しないため、発光色の制御が容易になるため好ましい。
希土類元素RE、Al、Si及び窒素を含む無機化合物としては、例えば、希土類窒化アルミノ珪酸塩、及びこの希土類窒化アルミノ珪酸塩をベースとし結晶構成元素として酸素(O)や炭素(C)を含む無機化合物が用いられる。また、無機化合物は、希土類元素RE、Al、Si及び窒素を含む限りにおいて、例えば、窒化物、酸窒化物、炭窒化物等の窒化物系物質とすることができる。
無機化合物は、希土類元素REを、通常50原子%以上、好ましくは80原子%以上含む。無機化合物が上記含有量の希土類元素REを含むと、発光中心元素を安定的に置換することができるため好ましい。
無機化合物は、REとAlとSiの原子比率(RE原子%:Al原子%:Si原子%)が、通常1:0.5~1.5:2.5~5.5、好ましくは1:0.7~1.3:3.0~5.0である。無機化合物の上記原子比率が上記範囲内にあると、蛍光体が六角柱状の粒子形状を有する蛍光体になりやすいため好ましい。
無機化合物としては、例えば、1147タイプと称される、下記一般式(1)で表される化合物を用いることができる。一般式(1)中のREは、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuからなる群より選択される少なくとも一つの元素である。
[化1]
一般式: REAlSi (1)
上記一般式(1)で表される化合物は、六方晶の結晶構造を有する無機化合物であることが知られている。一方、一般式(1)で表される無機化合物に、発光中心を添加することにより、波長600nm以上650nm未満の範囲内に蛍光ピークを有する赤色光を放射する蛍光体は知られていない。このため、波長600nm以上650nm未満の範囲内に蛍光ピークを有する赤色光を放射する第1の蛍光体は、新規である。
また、無機化合物としては、例えば、下記一般式(2)で表される化合物を用いることができる。一般式(2)中のREは、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuからなる群より選択される少なくとも一つの元素である。下記一般式(2)で表される化合物を用いると、一般式(1)の組成式が電荷補償された組成式となり、欠陥を抑制することができるため好ましい。
[化2]
一般式:REAlSiC (2)
<結晶構造>
実施形態に係る第1の蛍光体を構成する無機化合物は、単結晶粒子の状態で六角柱状の粒子形状を有する。一般的に、無機化合物は、単結晶粒子の状態で、この単結晶粒子の結晶構造に由来する粒子形状を有する傾向にある。例えば、ガーネット化合物等の立方晶の結晶構造を有する無機化合物は、単結晶粒子の状態で、一般的に、多面体の粒子形状を有する。また、CaAlSiNやLa(Si,Al)11-α等の、斜方晶や正方晶の結晶構造を有する無機化合物は、単結晶粒子の状態で、一般的に、四角柱状の粒子形状を有する。さらに、BaMgAl1017等の六方晶の結晶構造を有する化合物の単結晶粒子は、一般的に、六角柱状の粒子形状を有する。このため、無機化合物が、単結晶粒子の状態で六角柱状の粒子形状を有することは、実質的に上記無機化合物が六方晶の結晶構造を有することを示す。
なお、実施形態に係る第1の蛍光体を構成する無機化合物は、単結晶粒子の状態において六角柱状の粒子形状を有する性状を示すが、実施形態に係る第1の蛍光体及びこれを構成する無機化合物の形状は六角柱状の粒子形状に限定されるものではない。無機化合物が単結晶粒子の状態において六角柱状の粒子形状を有する性状を示す限りにおいて、実施形態に係る第1の蛍光体及びこれを構成する無機化合物の実際の形状は、加工や破損により六角柱状の粒子形状を示していなくてもよい。
無機化合物が、単結晶粒子の状態で六角柱状の粒子形状を有することは、例えば、無機化合物や、無機化合物及び発光中心を含む第1の蛍光体を、走査型電子顕微鏡写真(SEM)等の電子顕微鏡写真で観察することにより、判断することができる。
無機化合物が、単結晶粒子の状態で六角柱状の粒子形状を有すると判断することができる例を、図1に示す。図1は、後述の実施例に係る第1の蛍光体の電子顕微鏡写真である。具体的には、図1(a)は、第1の蛍光体を含む焼成物を倍率300倍で観察した写真であり、図1(b)は、図1(a)で観察した焼成物中の第1の蛍光体を倍率1000倍で観察した写真である。
なお、図1(b)に示す第1の蛍光体は、無機化合物と発光中心とを含んでおり、無機化合物のみからなるものではない。しかし、実施形態に係る蛍光体において、発光中心を含む蛍光体と無機化合物とは、単結晶粒子の形状、及び結晶構造の空間群が実質的に同一である。このため、図1(b)に示す第1の蛍光体の形状と、この蛍光体を構成する無機化合物の単結晶粒子の状態での形状とは、実質的に一致する。
図1(b)に示す蛍光体粒子は、六角柱状の部分を含んでいる。実施形態に係る第1の蛍光体の形状と、この蛍光体を構成する無機化合物の単結晶粒子の状態での形状とは、実質的に一致する。このため、図1(b)に示す蛍光体粒子を構成する無機化合物は、単結晶粒子の状態で六角柱状の粒子形状を有するといえる。したがって、図1(b)に示す蛍光体粒子は、六方晶の結晶構造を有する化合物であるといえる。
<空間群>
実施形態に係る第1の蛍光体を構成する無機化合物は、単結晶粒子の状態で、好ましくは、無機結晶構造データベースICSD(Inorganic Crystal Structure Database)のCode432415で特定される空間群を有する。
ここで、Code432415で特定される空間群とは、国際表記でP6mc(No.186)と表される空間群であり、この空間群は、六方晶系の結晶構造の存在を示すものである。このため、実施形態に係る第1の蛍光体を構成する無機化合物が単結晶粒子の状態で、ICSDのCode432415で特定される空間群を有する場合、無機化合物の単結晶粒子及び無機化合物が、六方晶系の結晶構造を有するということができる。
また、実施形態に係る第1の蛍光体は、母体結晶である無機化合物に加えて発光中心を含むが、実施形態に係る第1の蛍光体の結晶構造の空間群と、母体結晶である無機化合物の結晶構造の空間群とは、同一である。このため、無機化合物が単結晶粒子の状態でICSDのCode432415で特定される空間群を有する場合、実施形態に係る第1の蛍光体は、ICSDのCode432415で特定される空間群を有し、六方晶系の結晶構造を有するといえる。
(発光中心)
発光中心は、実施形態に係る第1の蛍光体を構成する無機化合物を付活するイオンである。発光中心としては、例えば、希土類イオンや遷移金属イオンから選択されるイオンが用いられる。希土類イオンとしては、例えば、Ce3+、Pr3+、Nd3+、Sm3+、Eu3+、Tb3+、Dy3+、Ho3+、Er3+、Tm3+及びYb3+からなる群より選択される少なくとも一つのイオンが用いられる。遷移金属イオンとしては、例えば、Mn2+、Mn4+、Fe3+及びCr3+からなる群より選択される少なくとも一つのイオンが用いられる。なお、本実施形態においては、蛍光体の母体となる上記無機化合物中の元素を発光中心元素で置換した化合物が新規なものとなる。このため、実施形態に係る蛍光体では、発光中心は、Ce3+等の特定の発光中心に限定されるものではない。
上記発光中心は、好ましくはCe3+を含む。発光中心がCe3+を含む場合、発光中心はCe3+のみからなってもよいし、Ce3+に加えて他の発光中心を含んでいてもよい。実施形態に係る第1の蛍光体は、発光中心がCe3+を含む場合に、波長600nm以上650nm未満の範囲内に蛍光ピークを有する赤色光を放射することが可能である。
(形状)
実施形態に係る第1の蛍光体は、多結晶体であってもよいし、バルク単結晶であってもよい。また、実施形態に係る第1の蛍光体の形態は特に限定されるものではなく、例えば、粉末、粒状、板状、棒状、柱状が用いられる。
実施形態に係る第1の蛍光体の大きさは特に限定されるものではない。第1の蛍光体が蛍光体粉末の場合の粒子群の大きさは、例えば、地質学で定義される、粘土、シルト、砂、又は礫の粒子群とすることができる。ここで、粘土とは粒径が1/256mm以下の粒子群、シルトとは粒径が1/256mmを超え1/16mm以下の粒子群、砂とは1/16mmを超え2mm以下の粒子群、礫とは2mmを超える粒子群を意味する。
第1の蛍光体が発光装置用蛍光体粉末の場合の粒子群の大きさは、好ましくは、シルト、すなわち粒径が1/256mmを超え1/16mm以下(3.9μmを超え62.5μm以下)である。
なお、第1の蛍光体の粒子の平均的な大きさは、レーザー回折散乱式の粒度分布測定器を用いて測定した中心粒径(D50)で測定することができる。第1の蛍光体が蛍光体粉末の場合の粒子群の大きさは、中心粒径(D50)が、上記地質学で定義される、粘土、シルト、砂、又は礫の大きさになるようにしてもよい。例えば、第1の蛍光体が発光装置用蛍光体粉末の場合、蛍光体粉末の粒子群の大きさを、好ましくは、中心粒径(D50)を、シルトの大きさである、3.9μmを超え62.5μm以下とすることができる。
(特性)
実施形態に係る第1の蛍光体は、発光中心がCe3+を含む場合に波長600nm以上650nm未満の範囲内、好ましくは波長610nm以上640nm未満の範囲内に蛍光ピークを有する赤色光を放射する。第1の蛍光体が発光中心としてCe3+を含む場合、実施形態に係る第1の蛍光体は、Ce3+の電子エネルギー遷移に由来する幅の広いスペクトル形状を有し、超短残光性で、赤色の蛍光を放射する。すなわち、実施形態に係る第1の蛍光体は、発光中心がCe3+を含む場合、超短残光性の赤色蛍光体として有用である。実施形態に係る第1の蛍光体は、発光中心がCe3+を含み、波長600nm以上650nm未満の範囲内、好ましくは波長610nm以上640nm未満の範囲内に蛍光ピークを有する赤色光を放射するものであると、超短残光性の赤色蛍光体として有用である。
第1の蛍光体1は、1種で用いてもよく、又は組成、形状、大きさ等が異なる2種以上を組み合わせて用いてもよい。第1の蛍光体1として、1種の第1の蛍光体1を用いると、色ずれが起きにくいため好ましい。第1の蛍光体1として、2種以上の第1の蛍光体1を組み合わせて用いると、幅広い波長領域に発光を有することにより演色性の高い発光を得やすいため好ましい。
[波長変換部材]
実施形態に係る波長変換部材について図面を参照して説明する。実施形態に係る波長変換部材は、実施形態に係る第1の蛍光体を用いる。実施形態に係る波長変換部材は、少なくとも第1の蛍光体を用いるものであればよく、第1の蛍光体のみからなっていてもよいし、第1の蛍光体に加え、第1の蛍光体と異なる他の蛍光体(第2の蛍光体)や部材を有していてもよい。以下、実施形態に係る第1の蛍光体のみからなる波長変換部材、及び実施形態に係る第1の蛍光体と他の部材とを有する波長変換部材について説明する。
図2に示す第1の実施形態に係る波長変換部材100A(100)は、実施形態に係る蛍光体1からなる例である。図3~図8に示す第2~第7の実施形態に係る波長変換部材100B、100C、100D、100E、100F、100G(100)は、実施形態に係る第1の蛍光体1と他の部材とを有する例である。
(第1の実施形態)
図2は、第1の実施形態に係る波長変換部材の一例を示す概略断面図である。図2に示す波長変換部材100A(100)は、実施形態に係る第1の蛍光体1からなる。波長変換部材100Aを構成する第1の蛍光体1は、多結晶体又はバルク単結晶からなる板状体である。
波長変換部材100Aを構成する第1の蛍光体1は、実施形態に係る無機の多結晶体又はバルク単結晶からなる。このため、波長変換部材100Aは、無機材料のみからなり、熱伝導性や信頼性に優れる。このため、波長変換部材100Aは、放熱設計や信頼性確保が容易である。
また、波長変換部材100Aは第1の蛍光体1のみからなるため、波長変換部材100Aによれば、第1の蛍光体1の蛍光特性を顕著に示すことができる。
波長変換部材100Aは、透光性を有していてもよいし、透光性を有していなくてもよい。波長変換部材100Aが透光性を有する場合、光が波長変換部材100Aを透過する構造の発光装置を容易に形成することができる。一方、波長変換部材100Aが透光性を有さない場合、光が波長変換部材100Aを透過しない構造の発光装置を容易に形成することができる。
波長変換部材100Aが透光性を有するためには、例えば、波長変換部材100Aの膜厚を薄くしたり、波長変換部材100Aを粒界の少ない多結晶体、又は単結晶からなるものにしたりする。波長変換部材100Aが透光性を有さないためには、例えば、波長変換部材100Aの膜厚を厚くしたり、波長変換部材100Aを多孔質の多結晶体からなるものにしたりする。
波長変換部材100Aに用いられる第1の蛍光体1は、1種で用いてもよく、又は組成、形状、大きさ等が異なる2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、波長変換部材100Aの変形例として、波長変換部材100を第1の蛍光体1と樹脂等の有機材料との複合体とすることができる。例えば、粉末状等の塊状でない第1の蛍光体1と未硬化の有機材料とを混合し、有機材料を硬化させて得られる、図示しない波長変換部材100Aの変形例によれば、変形例の成形が容易であり、種々の形状の変形例の成形が可能になる。
有機材料としては、例えば、樹脂が用いられる。また、樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂が用いられる。有機材料は、透光性を有していてもよいし、透光性を有していなくてもよい。シリコーン樹脂は、透光性を有する有機材料である。
<効果>
波長変換部材100Aによれば、放熱設計や信頼性確保が容易である。
(第2の実施形態)
図3は、第2の実施形態に係る波長変換部材の一例を示す概略断面図である。図3に示す波長変換部材100B(100)は、実施形態に係る第1の蛍光体1と、第2の蛍光体2とからなる。具体的には、波長変換部材100Bは、プレート状の第1の蛍光体1と、プレート状の第2の蛍光体2とが積層された積層構造を有する。
第2の実施形態に係る波長変換部材100Bは、第1の実施形態に係る波長変換部材100Aに比較して、第2の蛍光体2をさらに有し、プレート状の第1の蛍光体1とプレート状の第2の蛍光体2とが積層される点で異なる。波長変換部材100Bと波長変換部材100Aとは、第2の蛍光体2において相違し、他の点は同じである。このため、以下、波長変換部材100Bと波長変換部材100Aとの相違点についてのみ説明する。
第2の蛍光体2とは、第1の蛍光体1と異なる蛍光体である。具体的には、第2の蛍光体2とは、蛍光体のうち、第1の蛍光体1の要件を満たさないものを意味する。第2の蛍光体2としては、例えば、緑色蛍光体及び黄色の蛍光体の少なくとも1種を用いることができる。第1の蛍光体1と第2の蛍光体2とを含む波長変換部材100Bは、波長変換部材100Aに比較して、演色性の高い白色光を得やすい。例えば、第2の蛍光体2として緑色蛍光体及び黄色の蛍光体を用いた波長変換部材100Bは、波長変換部材100Aに比較して、演色性の高い白色光を得やすい。
第2の蛍光体2は、第1の蛍光体1の要件を満たさない蛍光体である限り特に限定されない。第2の蛍光体2としては、例えば、(Y,Lu)Al12:Ce3+、(Y,Gd)Al12:Ce3+、Y(Al,Ga)12:Ce3+、Lu(Al,Ga)12:Ce3+、CaScSi12:Ce3+、CaSc:Ce3+、(La,Y)Si11:Ce3+が用いられる。第2の蛍光体2は、1種で用いてもよく、又は組成、形状、大きさ等が異なる2種以上を組み合わせて用いてもよい。
波長変換部材100Bに用いられる第1の蛍光体1は、1種で用いてもよく、又は組成、形状、大きさ等が異なる2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、波長変換部材100Bの変形例として、第1の蛍光体1を、第1の蛍光体1と樹脂等の有機材料との複合体とすることができる。例えば、粉末状等の塊状でない第1の蛍光体1と未硬化の有機材料とを混合し、有機材料を硬化させて得られる、図示しない波長変換部材100Bの変形例によれば、変形例の成形が容易であり、種々の形状の変形例の成形が可能になる。
波長変換部材100Bの変形例に用いられる有機材料の材質は、第1の実施形態に係る波長変換部材100Aの変形例に用いられる有機材料の材質と同じである。このため、有機材料についての説明は省略する。
<効果>
波長変換部材100Bは、プレート状の第1の蛍光体1と、プレート状の第2の蛍光体2と、が積層された構造を有する。波長変換部材100Bによれば、積層方向の蛍光特性の制御が容易である。
(第3の実施形態)
図4は、第3の実施形態に係る波長変換部材の一例を示す概略断面図である。図4に示す波長変換部材100C(100)は、実施形態に係る第1の蛍光体1と、保持材3とからなる。具体的には、波長変換部材100Cは、プレート状の第1の蛍光体1と、プレート状の保持材3とが積層された積層構造を有する。
第2の実施形態に係る波長変換部材100Cは、第1の実施形態に係る波長変換部材100Aに比較して、保持材3をさらに有し、プレート状の第1の蛍光体1とプレート状の保持材3とが積層される点で異なる。波長変換部材100Cと波長変換部材100Aとは、保持材3において相違し、他の点は同じである。このため、以下、波長変換部材100Cと波長変換部材100Aとの相違点についてのみ説明する。
保持材3は、蛍光体1の保持や蛍光体1の放熱のために用いられる部材である。
保持材3は、透光性を有していてもよいし、透光性を有していなくてもよい。保持材3が透光性を有する場合、光が波長変換部材100Cを透過する構造の発光装置を容易に形成することができる。一方、保持材3が透光性を有さない場合、光が波長変換部材100Cを透過しない構造の発光装置を容易に形成することができる。
透光性を有する保持材3としては、例えば、透光性セラミックス、石英やサファイア等の単結晶、及びガラスが用いられる。透光性を有さない保持材3としては、例えば、Si、Al、Cu、Fe等の金属、又は半導体が用いられる。
波長変換部材100Cは、透光性を有していてもよいし、透光性を有していなくてもよい。波長変換部材100Cが透光性を有する場合、光が波長変換部材100Cを透過する構造の発光装置を容易に形成することができる。一方、波長変換部材100Cが透光性を有さない場合、光が波長変換部材100Cを透過しない構造の発光装置を容易に形成することができる。
波長変換部材100Cが透光性を有するためには、例えば、保持材3を粒界の少ない多結晶体、単結晶、又はガラスからなるものにする。波長変換部材100Cが透光性を有さないためには、例えば、保持材3を多孔質の多結晶体、又は金属からなるものにする。
波長変換部材100Cに用いられる第1の蛍光体1は、1種で用いてもよく、又は組成、形状、大きさ等が異なる2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、波長変換部材100Cの変形例として、第1の蛍光体1を、第1の蛍光体1と樹脂等の有機材料との複合体とすることができる。例えば、粉末状等の塊状でない蛍光体1と未硬化の有機材料とを混合し、有機材料を硬化させて得られる、図示しない波長変換部材100Cの変形例によれば、変形例の成形が容易であり、種々の形状の変形例の成形が可能になる。
波長変換部材100Cの変形例に用いられる有機材料の材質は、第1の実施形態に係る波長変換部材100Aの変形例に用いられる有機材料の材質と同じである。このため、有機材料についての説明は省略する。
<効果>
波長変換部材100Cは、プレート状の第1の蛍光体1と、プレート状の保持材3と、が積層された構造を有する。波長変換部材100Cによれば、積層方向の蛍光特性の制御が容易である。また、波長変換部材100Cによれば、第1の蛍光体1の保持や第1の蛍光体1の放熱が優れる。
(第4の実施形態)
図5は、第4の実施形態に係る波長変換部材の一例を示す概略断面図である。図5に示す波長変換部材100D(100)は、実施形態に係る第1の蛍光体1と、第1の蛍光体1と異なる無機封止材5とからなる。具体的には、波長変換部材100Dは、無機封止材5中に粒子状の第1の蛍光体1が分散された海島構造を有する。すなわち、波長変換部材100Dは、無機封止材5中に粒子状の第1の蛍光体1が包埋された構造を有する。
第4の実施形態に係る波長変換部材100Dは、第1の実施形態に係る波長変換部材100Aに比較して、無機封止材5をさらに有し、無機封止材5中に粒子状の第1の蛍光体1が分散される点で異なる。波長変換部材100Dと波長変換部材100Aとは、第1の蛍光体1の形状、無機封止材5の有無とその配置において相違し、他の点は同じである。このため、以下、波長変換部材100Dと波長変換部材100Aとの相違点についてのみ説明する。
波長変換部材100Dに用いられる第1の蛍光体1は粒子状である。第1の蛍光体1の粒径(中心粒径D50)は、例えば、3μm以上30μm以下である。第1の蛍光体1の粒径が上記範囲内にあると、蛍光体の発光強度が高く、光散乱性がよいため好ましい。
波長変換部材100Dに用いられる無機封止材5としては、例えば、ZnOが用いられる。無機封止材5は、有機封止材等の有機材料に比較して、耐熱性や放熱性に優れるため、波長変換部材100Dが高出力の光源と共に用いられる場合に好適である。ZnOは、耐熱性及び放熱性に特に優れるため好ましい。
<効果>
波長変換部材100Dは、無機封止材5中に、第1の蛍光体1が分散された海島構造を有する。波長変換部材100Dによれば、海島構造の海部(無機封止材5)を構成する材料の長所と、海島構造の島部(第1の蛍光体1)を構成する材料の長所を兼ね備える特性を持たせることが容易である。
(第5の実施形態)
図6は、第5の実施形態に係る波長変換部材の一例を示す概略断面図である。図6に示す波長変換部材100E(100)は、実施形態に係る第1の蛍光体1と、第2の蛍光体2とを含む。具体的には、波長変換部材100Eは、粒子状の第1の蛍光体1と粒子状の第2の蛍光体2とが、固着しかつ封止材8中に包埋された混合構造を有する。
第5の実施形態に係る波長変換部材100Eは、第2の実施形態に係る波長変換部材100Bに比較して、粒子状の第1の蛍光体1と粒子状の第2の蛍光体2とが、固着しかつ封止材8中に包埋されている点で異なる。波長変換部材100Eと波長変換部材100Bとは、第2の蛍光体2の配置において相違し、他の点は同じである。このため、以下、波長変換部材100Eと波長変換部材100Bとの相違点についてのみ説明する。
波長変換部材100Eに用いられる第1の蛍光体1は粒子状である。第1の蛍光体1の粒径は、例えば、3μm以上30μm以下である。第1の蛍光体1の粒径が上記範囲内にあると、蛍光体の発光強度が高く、光散乱性がよいため好ましい。
波長変換部材100Eに用いられる第2の蛍光体2の材質は、第2の実施形態に係る波長変換部材100Bに用いられる第2の蛍光体2の材質と同じである。このため、第2の蛍光体2についての説明は省略する。
波長変換部材100Eに用いられる第2の蛍光体2は粒子状である。第2の蛍光体2の粒径(中心粒径D50)は、例えば、3μm以上30μm以下である。第2の蛍光体2の粒径が上記範囲内にあると、蛍光体の発光強度が高く、光散乱性がよいため好ましい。第2の蛍光体の粒子の平均的な大きさは、レーザー回折散乱式の粒度分布測定器を用いて測定した中心粒径(D50)で測定することができる。
粒子状の第1の蛍光体1と、粒子状の第2の蛍光体2とは、封止材8中に包埋される。封止材8としては、例えば、波長変換部材100Dに用いられる無機封止材5、又は波長変換部材100Gに用いられる有機封止材6が用いられる。
<効果>
波長変換部材100Eは、粒子状の第1の蛍光体1と、粒子状の第2の蛍光体2とが、固着しかつ封止材8中に包埋された混合構造を有する。波長変換部材100Eによれば、異なる複数種類の材料の長所を兼ね備え、短所を抑制する材料設計が容易である。
(第6の実施形態)
図7は、第6の実施形態に係る波長変換部材の一例を示す概略断面図である。図7に示す波長変換部材100F(100)は、実施形態に係る第1の蛍光体1と、無機材料7とを含む。具体的には、波長変換部材100Fは、粒子状の第1の蛍光体1と、粒子状の無機材料7とが、固着しかつ封止材8中に包埋された混合構造を有する。
第6の実施形態に係る波長変換部材100Fは、第5の実施形態に係る波長変換部材100Eに比較して、粒子状の第2の蛍光体2に代えて粒子状の無機材料7を用いる点で異なる。このため、以下、波長変換部材100Fと波長変換部材100Eとの相違点についてのみ説明する。
波長変換部材100Fに用いられる無機材料7の材質としては、例えば、Al、SiO、TiOが用いられる。
粒子状の第1の蛍光体1と、粒子状の無機材料7とは、固着しかつ封止材8中に包埋される。封止材8としては、例えば、波長変換部材100Dに用いられる無機封止材5、又は波長変換部材100Gに用いられる有機封止材6が用いられる。
<効果>
波長変換部材100Fは、粒子状の第1の蛍光体1と、粒子状の無機材料7とが、固着しかつ封止材8中に包埋された混合構造を有する。波長変換部材100Fによれば、異なる複数種類の材料の長所を兼ね備え、短所を抑制する材料設計が容易である。
(第7の実施形態)
図8は、第7の実施形態に係る波長変換部材の一例を示す概略断面図である。図8に示す波長変換部材100G(100)は、実施形態に係る第1の蛍光体1と、有機封止材6とからなる。具体的には、波長変換部材100Gは、有機封止材6中に第1の蛍光体1が分散された海島構造を有する。すなわち、波長変換部材100Gは、有機封止材6中に粒子状の第1の蛍光体1が包埋された混合構造を有する。
第7の実施形態に係る波長変換部材100Gは、第4の実施形態に係る波長変換部材100Dの無機封止材5を有機封止材6に代えたものである。波長変換部材100Gと波長変換部材100Dとは、第1の蛍光体1が分散する媒質において相違し、他の点は同じである。このため、以下、波長変換部材100Gと波長変換部材100Dとの相違点についてのみ説明する。
波長変換部材100Gに用いられる第1の蛍光体1は粒子状である。第1の蛍光体1の粒径は、例えば、3μm以上30μm以下である。第1の蛍光体1の粒径が上記範囲内にあると、蛍光体の発光強度が高く、光散乱性がよいため好ましい。
波長変換部材100Gに用いられる有機封止材6としては、例えば、シリコーンやシルセスシキオキサンが用いられる。このうち、シルセスシキオキサンは耐熱性が高いため好ましい。
<効果>
波長変換部材100Gは、有機封止材6中に、第1の蛍光体1が分散された海島構造を有する。波長変換部材100Gによれば、海島構造の海部(有機封止材6)を構成する材料の長所と、海島構造の島部(第1の蛍光体1)を構成する材料の長所を兼ね備える特性を持たせることが容易である。
<波長変換部材の形状及び大きさ>
上記波長変換部材100の形状や大きさは特に限定されるものではない。用途に合わせて、形状や大きさを適宜選択すればよい。形状としては、例えば、板状、棒状、柱状、錘状、球状、半球状、レンズ状等が用いられる。また、平坦又は実質的に平坦な表面を有する波長変換部材100(100A、100B、100C、100D、100G等)の表裏両面のうち少なくとも一方が凹凸を有するものであると、光取り出し効率や光散乱性が良好になる。
波長変換部材100の大きさとしては、例えば、一辺が30cmの正方体の枠の中に納まる大きさのものが用いられる。そして、発光装置用として利便性がよい大きさは、一辺が10cmの正方体の枠の中に納まる大きさであり、小型の発光装置用として利便性がよい大きさは、一辺が3cmの正方体の枠の中に納まる大きさである。なお、小さすぎる波長変換部材は扱いが困難なため、一辺が30μmの正方体の枠、特に、一辺が100μmの正方体の枠からはみ出る大きさの波長変換部材が好ましい。
[発光装置]
実施形態に係る発光装置について図面を参照して説明する。実施形態に係る発光装置は、実施形態に係る第1の蛍光体1を用いる。図9は、実施形態に係る発光装置を説明する概略図である。図9(a)は、実施形態に係る第1の発光装置10A(10)であり、図9(b)は、実施形態に係る第2の発光装置10B(10)である。
図9(a)及び(b)に示すように、発光装置10(10A、10B)は、励起源である固体発光素子101と、波長変換部材100とを備える。ここで、波長変換部材100は、上記のように、実施形態に係る第1の蛍光体1を用いるものである。また、第1の蛍光体1は、固体発光素子101が放射する励起光102を吸収して、励起光102よりも長波長の光103に変換するものである。具体的には、第1の蛍光体1は、励起源101が放射するエネルギー(励起光)102を吸収し、吸収したエネルギー102を色調制御された蛍光(励起光102よりも長波長の光)103に変換するものである。
このため、発光装置10(10A、10B)は、固体発光素子101をさらに備え、第1の蛍光体1は、固体発光素子101が放射する励起光102を吸収して、励起光102よりも長波長の光(蛍光)103に変換するものである。
なお、励起光102の一部は、第1の蛍光体1で蛍光103に変換されず、発光装置10(10A、10B)から出力されてもよい。この場合、発光装置10(10A、10B)から出力される出力光103は、励起光102の光成分と第1の蛍光体1が放射する蛍光の光成分とを含むものとなる。
実施形態に係る第1の蛍光体1は、上記のように、これまでにない光物性を有し、新規な蛍光機能を有する。このため、実施形態に係る第1の蛍光体1を用いる実施形態に係る発光装置10(10A、10B)は、これまでにない新規な出力光103を放射する発光装置になる。なお、新規な出力光103の代表例は超短残光性(10-8~10-7s)の赤色光成分を含む出力光である。この超短残光性(10-8~10-7s)の赤色光成分を含む出力光103は、Ce3+で付活された第1の蛍光体1によってもたらされる。
発光装置10(10A、10B)において、励起光102はレーザー光であり、第1の蛍光体1はCe3+で付活した第1の蛍光体1であることが好ましい。
発光装置10(10A、10B)から出力される出力光103は、相関色温度が1800K以上18000K未満の白色系の光であることが好ましい。
以下、図面を参考に実施形態に係る発光装置をより詳細に説明する。図9は、実施形態に係る発光装置を説明する概略図である。図9(a)及び図9(b)において、励起源101は、実施形態に係る波長変換部材100が備える第1の蛍光体を励起するための励起光102を生成する光源である。励起源101は、粒子線(α線、β線、電子線等)や、電磁波(γ線、X線、真空紫外線、紫外線、可視光等)を放射する放射装置を用いることができる。なお、励起源101は、紫色光又は青色光である短波長可視光を放射する放射装置を用いることが好ましい。
励起源101としては、各種の放射線発生装置や電子ビーム放射装置、放電光発生装置、固体発光素子、固体発光装置等を用いることができる。励起源101の代表的なものとしては、電子銃、X線管球、希ガス放電装置、水銀放電装置、発光ダイオード、半導体レーザーを含むレーザー光発生装置、無機又は有機のエレクトロルミネッセンス素子等が挙げられる。
図9(a)及び図9(b)において、出力光103は、励起源101が放射する励起線又は励起光102によって励起された波長変換部材100中の第1の蛍光体が放射する蛍光である。出力光103は、発光装置10(10A、10B)において照明光や表示光として用いられるものである。
図9(a)は、励起線又は励起光102を波長変換部材100に照射する方向に、波長変換部材100からの出力光103が放出される構造の発光装置10A(10)を示す。なお、図9(a)に示す発光装置10Aとしては、白色LED光源や透過型のレーザー照明装置のほか、蛍光ランプ、電子管等も挙げられる。一方、図9(b)は、励起線又は励起光102を波長変換部材100に照射する方向とは逆の方向に、波長変換部材100からの出力光103が放出される構造の発光装置10B(10)を示す。図9(b)に示す発光装置10Bとしては、反射型のレーザー照明装置、例えば、反射板付き蛍光体ホイールを用いる光源装置やプロジェクター等が挙げられる。
発光装置10(10A、10B)の具体例として好ましいものは、蛍光体を用いる半導体発光装置、照明光源、照明装置、表示装置等であり、特にレーザー照明やレーザープロジェクターである。
発光装置10(10A、10B)は固体発光素子101をさらに備え、実施形態に係る第1の蛍光体1又は波長変換部材100は、固体発光素子101が放射する励起光102を吸収して、励起光102よりも長波長の光に変換することが好ましい。また、固体発光素子101は、短波長可視光を放射することが好ましい。励起源101として固体発光素子を用いることにより、衝撃に強い全固体の発光装置10(10A、10B)、例えば固体照明を実現することが可能となる。なお、このような構成の発光装置10(10A、10B)は、屋外照明、店舗照明、調光システム、施設照明、海洋照明、プロジェクター、及び内視鏡のいずれかの用途に好適に用いることができる。
このように、発光装置10(10A、10B)は、実施形態に係る第1の蛍光体1又は波長変換部材100を備える。実施形態に係る第1の蛍光体1は、発光装置の製造の面で好ましい粒子サイズ、形状及び性状を備える。このため、発光装置10(10A、10B)が実施形態に係る第1の蛍光体1又は波長変換部材100を備えると、製造が容易であり、さらに高出力かつ超短残光性の暖色光成分を放射する発光装置が得られる。
発光装置10(10A、10B)では、励起源101として、440nm以上475nm未満の波長範囲内にピークを有する青色光を放射する発光素子をさらに備え、当該青色光は実施形態に係る第1の蛍光体1を励起することが好ましい。このような構成にすると、青色光と、実施形態に係る第1の蛍光体1が放射する暖色光との加法混色により、白色系の光を放射する発光装置が得られる。
すなわち、出力光103は、励起光102の光成分と第1の蛍光体1が放射する蛍光の光成分を少なくとも含むことによって白色系の光を構成している。
なお、発光装置10(10A、10B)において、実施形態に係る第1の蛍光体が放射する蛍光成分は、照明光又は表示画素として用いられることが好ましい。このような構成にすると、照明装置又は表示装置として使用可能な発光装置を得ることができる。
ここで、励起光102は、レーザー光であり、第1の蛍光体1は、Ce3+で付活した蛍光体であることが好ましい。この場合、蛍光出力飽和が小さく高出力の点光源として機能する発光装置10(10A、10B)が得られる。
なお、出力光103は、相関色温度が1800K以上18000K未満、特に2800K以上7000K未満の白色系の光であることが好ましい。この場合、照明光としての需要が多い白色光を放射する発光装置が得られる。
発光装置10(10A、10B)において、固体発光素子101はレーザーダイオードであり、かつCe3+付活蛍光体以外の蛍光体を含まない構成にすることも好ましい。このような構成にすると、レーザー光による蛍光出力飽和を起こしにくい超短残光性のCe3+付活蛍光体をレーザー光で照射する構成の発光装置になるため、高出力の点光源とすることが容易な発光装置10(10A、10B)が得られる。
なお、波長変換部材100を照射するレーザー光の光密度は、例えば、3W/mm以上100W/mm未満である。光密度が3W/mm未満の場合には、LED照明との違いが不明瞭となり、差別化商品としての価値が低い発光装置になる。一方、光密度が100W/mmを超える場合には、波長変換部材100のエネルギー損失に起因する発熱が無視できない課題を有する発光装置になるおそれが生じる。
なお、一般照明用として好ましいレーザー光102の光密度(最大値)は、3W/mm以上20W/mm未満である。内視鏡用として好ましいレーザー光102の光密度(最大値)は、10W/mm以上50W/mm未満である。プロジェクター用として好ましいレーザー光102の光密度(最大値)は、40W/mm以上100W/mm未満である。
実施形態に係る発光装置10(10A、10B)は、発光する機能を備えた電子装置を広く包含するものであり、何らかの光を発する電子装置であれば特に限定されるものではない。また、発光装置10(10A、10B)は、照明光源及び照明装置並びに表示装置等も包含する。このため、レーザーダイオードを備える照明装置やプロジェクター等も発光装置10(10A、10B)とみなされる。
実施形態に係る発光装置10(10A、10B)は、照明光源、照明装置、照明システム、表示装置、表示システムのいずれかであることが好ましく、このような構成にすると、需要が多い照明用途や表示用途に好ましい発光装置になる。また、実施形態に係る発光装置10(10A、10B)は、最近の技術進展が目覚しいIoT又はAIを用いた発光装置に応用することもできる。
以下、本実施形態を実施例によりさらに詳細に説明するが、本実施形態はこれら実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
固相反応を用いる調製手法を用いて、実施例に係る蛍光体を合成し、その特性を評価した。なお、実施例はCe3+で付活した蛍光体とし、以下の化合物粉末を主原料として使用した。
窒化ランタン(LaN):太平洋セメント株式会社製
窒化セリウム(CeN):太平洋セメント株式会社製
窒化アルミニウム(AlN):株式会社高純度化学研究所製
窒化珪素(Si):株式会社デンカ製
炭化珪素(SiC):株式会社高純度化学研究所製
なお、LaNとCeNが吸湿しやすい化合物であることを考慮して、これらの化合物原料の秤量と混合については、乾燥窒素を充填したグローブボックス中で行った。
上記化合物原料を用い、[(1-x)LaN・xCeN]:AlN:Si:SiCのモル比が、3:3:2:3の割合(表1に示すグラム割合)となるように秤量した。次に、乳鉢と乳棒を用いて乾式混合することによって得た混合物を焼成原料とした。
Figure 0007142303000001
焼成原料をモリブデンるつぼに移し、高圧窒素炉を用いて、1800℃の高圧窒素中(0.5MPa)で2時間焼成することにより、焼成物を合成した。なお、昇温速度と降温速度は、600℃/時間とした。
合成された焼成物は褐色であったが、波長405nmの紫色光を照射すると赤色光を放射する粒子を目視観察できた。焼成物は赤色蛍光体を含むものであり、全部ではないものの、赤色蛍光体を合成することができた。すなわち、希土類窒化物と窒化アルミニウムと窒化珪素と炭化珪素の混合物を、窒素雰囲気中で反応させる製造方法により、本実施例に係る蛍光体を生成し得ることが分かった。
(評価)
合成した焼成物及びその中に含まれる赤色蛍光体(本実施例に係る蛍光体)について、電子顕微鏡を用いた観察、組成評価、結晶構造解析、及び発光スペクトル測定を行った。
なお、事前に、光学顕微鏡を用いて赤色光を放射する粒子を観察したところ、赤色光を放射する粒子の形状は六角柱状(六角板状を含む)であった。
<電子顕微鏡観察>
実施例に係る蛍光体を、電子顕微鏡(製品名:VE-9800、株式会社キーエンス製)を用いて観察した。図1(a)及び(b)は、各々、倍率300倍で観察した焼成物と、その中の倍率1000倍で拡大観察した赤色光を放射する蛍光体粒子(本実施例に係る蛍光体)の電子顕微鏡写真である。
図1(a)より、焼成物は本実施例に係る蛍光体を多く含んでいることが分かった。また、図1(b)より、合成された本実施例に係る蛍光体の粒子の形状は六角柱状であることが分かった。蛍光体の粒子の形状は六角柱状であることは、本実施例に係る蛍光体が六方晶の結晶構造を有する化合物であることを示すものである。
なお、六角柱状の粒子における、六角柱の底面又は上面を横方向から観察したときの最大幅(W)は1μm以上100μm未満、特に3μm以上60μm未満の範囲内にあることが分かった。また、六角柱の高さ(H)は、1μm以上50μm未満、特に3μm以上30μm未満の範囲内にあることが分かった。さらに、WとHの数値の大きさが、W>Hの関係にある六角平板状の粒子が大半であることが分かった。
なお、相対的に厚みが大きい六角平板状の粒子(Hの大きさがWに近い粒子)が多いことが分かった。このため、本実施例に係る蛍光体は、可視光の光吸収特性の面で有利な蛍光体であることが分かった。
<組成分析>
表2は、図1(b)に示す本実施例に係る蛍光体の粒子の構成元素や組成をエネルギー分散型X線分析(EDX、装置名:製)で評価した結果をまとめた表である。表2中の数値の単位は原子%である。
なお、表2中のガス化元素(N、O、C)のEDX分析は、通常、ノイズ成分となる吸着ガスの影響を多く受け、測定精度に劣るデータとなる。このため、ガス化元素(N、O、C)のEDX分析結果は、参考データとして開示する。
表2には、参考のため、市販のLaSi11:Ce3+蛍光体(以後、「LSN」と称する)の評価結果も示した。LSNの評価は、原子数の定量分析精度を確認するために行ったものである。
Figure 0007142303000002
表2より、本実施例に係る蛍光体は、少なくとも、ランタン(La)とセリウム(Ce)とアルミニウム(Al)とシリコン(Si)を少なくとも含むことが分かった。ここで、仕込み組成を考慮すると、本実施例に係る蛍光体は、さらに、少なくとも窒素(N)も含んでいるとみなすことができる。また、本実施例に係る蛍光体は、希土類元素RE(LaとCeの合計量)とAlとSiの原子比率(RE:Al:Si)が、概ね1:1.2:3.3であることが分かった。すなわち、本実施例に係る蛍光体は、少なくとも、RE:Al:Siが、1:1±0.5:4.0±1.5、特に、1:1±0.3:4.0±1.0、となる組成を有する蛍光体であることが分かった。
これに対して、LSN蛍光体のRE:Al:Siの原子比率は、概ね3:0:6.3であった。LSNの実際の組成のRE:Si:Nの原子比率は3:6:11であるため、表2に示した本実施例に係る蛍光体のRE:Al:Siの原子比率が概ね正しいことが分かった。
<結晶構造把握>
実施例に係る蛍光体の結晶構造を把握する目的で、本実施例に係る蛍光体を含む焼成物の結晶構造物を、X線回折装置(製品名:MultiFlex、株式会社リガク製)を用いて行った。
図10(a)は、本実施例に係る蛍光体を含む焼成物のX線回折パターンである。なお、同パターンは、X線回折装置(製品名:MultiFlex、株式会社リガク製)を用いる測定によって得たものである。
参考のため、図10(b)、(c)及び(d)に、無機結晶構造データベース(ICSD)のCode432415、152974、及び130022で特定される結晶構造を有する化合物のパターンを示した。Code432415は、LaAlSiのパターンである。Code152974は、LaSiCのパターンである。Code130022は、LaSiのパターンである。
図10(a)と、図10(b)、(c)及び(d)と、を比較したところ、前記焼成物のX線回折パターンの主体は、ICSDのCode432415で特定される化合物であるLaAlSiと同じパターンになっていることが分かった。また、前記焼成物のX線回折パターンは、LaAlSiと同じパターンに加え、Code152974で特定される化合物と、Code130022で特定される化合物の強度の小さいパターンが加わったものになっていることが分かった。ここで、Code152974で特定される化合物はLaSiCである。LaSiCの強度の小さいパターンを、図10(a)中、▼で示す。また、Code130022で特定される化合物はLaSiである。LaSiの強度の小さいパターンを、図10(a)中、◆で示す。
表2の結果及び図10(a)より、焼成物は、ICSDのCode432415で特定される結晶構造を有する化合物と同じ結晶構造を有する化合物を主体とし、これに少量のLaSiCとLaSiが混入した混合物であることが分かった。
ここで、ICSDのCode432415で特定される結晶構造は六方晶系である。一方、LaSiCの結晶構造は斜方晶系(Pnma、No.62)又は単斜晶系(P2/c、No.14)であり、LaSiの結晶構造は斜方晶系(P2、No.19)である。このため、焼成物中に含まれる本実施例に係る蛍光体は、ICSDのCode432415で特定される結晶構造を有する化合物と同じ六方晶系の結晶構造を有する化合物であることが分かった。
なお、Ce3+を添加したLaSiは440nm付近に蛍光ピークを有する青色蛍光体であるLaSi:Ce3+として知られている。また、Ce3+を添加したLaSiCは非発光物質であることを確認した。
<発光スペクトル測定>
実施例に係る蛍光体の蛍光スペクトルを把握する目的で、本実施例に係る蛍光体を含む前記焼成物の蛍光体の蛍光スペクトルを、瞬間マルチ測光システム(製品名:QE-1100、大塚電子株式会社製)を用いて評価した。なお、可視光の励起下における本実施例に係る蛍光体が放射する赤色光の蛍光強度が弱かったため、蛍光スペクトル測定時の励起波長は310nmとした。
図11は、本実施例に係る蛍光体を含む焼成物の蛍光スペクトルである。図11より、前記焼成物の蛍光スペクトルは、440nm付近に蛍光ピークを有する青色光成分BCと、620nm付近に蛍光ピークを有する赤色光成分RCが混在するものであることが分かった。
なお、上記のように、本焼成物は、ICSDのCode432415で特定される結晶構造を有する化合物と同じ結晶構造を有する化合物と、LaSiCと、LaSiとの混合物である。また、Ce3+が混入したLaSiC:Ce3+は非発光物質であり、Ce3+が混入したLaSi:Ce3+は青色蛍光体である。
これらを考慮すると、図11中の赤色光成分RCは、本実施例に係る蛍光体、すなわち、Ce3+が混入したICSDのCode432415で特定される結晶構造を有する化合物と同じ結晶構造を有する化合物、による赤色の蛍光とみなすことができる。
したがって、Ce3+で付活された実施例に係る蛍光体は、従来存在していない、以下の特性(1)~(3)を兼ね備える赤色蛍光体でことが分かった。特性(1):単結晶粒子が、六角柱状の粒子形状を有する。特性(2):窒化物系の蛍光体であり、少なくとも希土類元素(RE)とAlとSiを含む。特性(3):赤色光を放射する。
[実施例2]
固相反応を用いる調製手法を用いて、実施例に係る蛍光体を合成し、その特性を評価した。なお、実施例はCe3+で付活した蛍光体とし、以下の化合物粉末を主原料として用いた。
窒化ランタン(LaN):太平洋セメント株式会社製
窒化セリウム(CeN):太平洋セメント株式会社製
窒化アルミニウム(AlN):株式会社高純度化学研究所製
窒化珪素(Si):株式会社デンカ製
炭化珪素(SiC):株式会社高純度化学研究所製
なお、LaNとCeNが吸湿しやすい化合物であることを考慮して、これらの化合物原料の秤量と混合については、乾燥窒素を充填したグローブボックス中で行った。
上記化合物原料を用い、[(1-x)LaN・xCeN]:AlN:Si:SiCのモル比が、1:1:1:1の割合(表3に示すグラム割合)となるように秤量した。次に、乳鉢と乳棒を用いて乾式混合することによって得た混合物を焼成原料とした。
Figure 0007142303000003
焼成原料をモリブデンるつぼに移し、高圧窒素炉を用いて、1950℃の高圧窒素中(0.5MPa)で2時間焼成することにより、焼成物を合成した。なお、昇温速度と降温速度は、600℃/時間とした。
(評価)
合成した焼成物について、結晶構造解析、及び発光スペクトル測定を行った。
なお、事前に、電子顕微鏡を用いて粒子を観察したところ、粒子の形状は六角柱状(六角板状を含む)であった。
[実施例3]
固相反応を用いる調製手法を用いて、実施例に係る蛍光体を合成し、その特性を評価した。なお、実施例はCe3+で付活した蛍光体とし、以下の化合物粉末を主原料として用いた。
窒化ランタン(LaN):太平洋セメント株式会社製
窒化セリウム(CeN):太平洋セメント株式会社製
窒化アルミニウム(AlN):株式会社高純度化学研究所製
窒化珪素(Si):株式会社デンカ製
なお、LaNとCeNが吸湿しやすい化合物であることを考慮して、これらの化合物原料の秤量と混合については、乾燥窒素を充填したグローブボックス中で行った。
上記化合物原料を用い、[(1-x)LaN・xCeN]:AlN:Si:SiCのモル比が、3:3:4:0の割合(表4に示すグラム割合)となるように秤量した。次に、乳鉢と乳棒を用いて乾式混合することによって得た混合物を焼成原料とした。
Figure 0007142303000004
焼成原料をモリブデンるつぼに移し、高圧窒素炉を用いて、1950℃の高圧窒素中(0.5MPa)で2時間焼成することにより、焼成物を合成した。なお、昇温速度と降温速度は、600℃/時間とした。
(評価)
合成した焼成物について、結晶構造解析、及び発光スペクトル測定を行った。
なお、事前に、電子顕微鏡を用いて粒子を観察したところ、粒子の形状は六角柱状(六角板状を含む)であった。
<結晶構造把握>
実施例に係る蛍光体の結晶構造を把握する目的で、本実施例に係る蛍光体を含む焼成物の結晶構造物を、X線回折装置(製品名:MultiFlex、株式会社リガク製)を用いて行った。
図12(e)は、本実施例に係る蛍光体を含む焼成物である実施例2のX線回折パターンである。また、図12(f)は、本実施例に係る蛍光体を含む焼成物である実施例3のX線回折パターンである。なお、同パターンは、X線回折装置(製品名:MultiFlex、株式会社リガク製)を用いる測定によって得たものである。
参考のため、図12(b)、(c)及び(d)に、無機結晶構造データベース(ICSD)のCode432415、152974、及び130022で特定される結晶構造を有する化合物のパターンを示した。Code432415は、LaAlSiのパターンである。Code152974は、LaSiCのパターンである。Code130022は、LaSiのパターンである。
図12(e)と、図12(b)、(c)及び(d)と、を比較したところ、前記焼成物のX線回折パターンの主体は、ICSDのCode432415で特定される化合物であるLaAlSiと同じパターンになっていることが分かった。また、前記焼成物のX線回折パターンは、LaAlSiと同じパターンに加え、Code130022で特定される化合物の強度の小さいパターンが加わったものになっていることが分かった。Code130022で特定される化合物はLaSiである。LaSiの主要なピークパターンを、図12(e)中、◆で示す。
また、図12(f)より、焼成物は、ICSDのCode130022で特定される化合物であるLaSiと同じ結晶構造を有する化合物を主体とすることが分かった。また、焼成物は、ICSDのCode432415で特定される化合物であるLaAlSiの強度の小さいパターンが加わったものになっていることが分かった。LaSiの主要なピークパターンを、図12(f)中、◆で示す。
この結果、実施例に係る蛍光体は、炭素(C)を含むことでICSDのCode432415で特定される化合物であるLaAlSiと同じ構造を有する化合物を安定的に合成できることがわかった。
LaAlSi化合物は、カチオンであるLaが3価、Alが3価、Siが4価であるため、カチオンの価数の合計は22となる。一方で、アニオンであるNは3価であるため、アニオンの価数の合計は21となり、カチオンとアニオンの価数が合っていないことがわかる。そのため、ICSDのCode432415で特定される結晶構造を安定的に合成するためには電荷補償が必要であると考えられる。本実施例では、炭素(C)を含むことでICSDのCode432415で特定される化合物であるLaAlSiと同じ構造を有する化合物を安定的に合成できている。このため、実施例に係る蛍光体は、(La,Ce)AlSiCかこれに近い組成の蛍光体であると推測される。また、他の電荷補償として、(La,Ce)Al(Si4-x,Al)Nσや(La,Ce)Al(Si,Al)N等も同様に、LaAlSiと同じ構造を有する化合物を安定的に合成できると推察される。
また実施例2及び実施例3の発光スペクトルを、それぞれ図13及び図14に示す。評価は実施例1と同様にした。実施例2及び実施例3に係る蛍光体ではともに赤色発光を確認することができた。
特願2019-011431号(出願日:2019年1月25日)の全内容は、ここに援用される。
以上、実施例に沿って実施形態に係る内容を説明したが、本実施形態はこれらの記載に限定されるものではなく、種々の変形及び改良が可能であることは、当業者には自明である。
本開示によれば、Ce3+で付活すると赤色光を放射する新規な蛍光体、この蛍光体を用いる波長変換部材及び発光装置を提供することができる。
1 蛍光体(第1の蛍光体)
2 蛍光体(第2の蛍光体)
3 保持材
5 無機封止材
6 有機封止材
7 無機材料
8 封止材
10 発光装置
100 波長変換部材
101 励起源(固体発光素子)
102 励起光
103 出力光
BC 青色光成分
RC 赤色光成分

Claims (13)

  1. 無機化合物と、
    前記無機化合物を付活する発光中心と、を含み、
    前記無機化合物は、希土類元素RE、Al、Si及び窒素を含み、単結晶粒子の状態で六角柱状の粒子形状を有し、
    前記発光中心がCe3+を含む場合に波長600nm以上650nm未満の範囲内に蛍光ピークを有する赤色光を放射することを特徴とする蛍光体。
  2. 前記無機化合物は、REとAlとSiの原子比率(RE:Al:Si)が、1:0.2~1.8:1.5~5.5である請求項1に記載の蛍光体。
  3. 前記REは、Laを含む請求項2に記載の蛍光体。
  4. 前記発光中心はCe3+である請求項1~3のいずれか1項に記載の蛍光体。
  5. 波長600nm以上650nm未満の範囲内に蛍光ピークを有する赤色光を放射する請求項4に記載の蛍光体。
  6. 前記無機化合物は、単結晶粒子の状態で、無機結晶構造データベースICSDのCode432415で特定される空間群を有する請求項1に記載の蛍光体。
  7. 前記無機化合物は、一般式:REAlSiCで表される請求項1~6のいずれか1項に記載の蛍光体。
  8. 請求項1~7のいずれか1項に記載の蛍光体を用いることを特徴とする波長変換部材。
  9. 請求項1~7のいずれか1項に記載の蛍光体を用いることを特徴とする発光装置。
  10. 固体発光素子をさらに備え、前記蛍光体は、前記固体発光素子が放射する励起光を吸収して、前記励起光よりも長波長の光に変換する請求項9に記載の発光装置。
  11. 前記発光装置から出力される出力光は、前記励起光の光成分と前記蛍光体が放射する蛍光の光成分とを含む請求項10に記載の発光装置。
  12. 前記励起光はレーザー光であり、前記蛍光体はCe3+で付活した蛍光体である請求項10又は11に記載の発光装置。
  13. 前記発光装置から出力される出力光は、相関色温度が1800K以上18000K未満の白色系の光である請求項10に記載の発光装置。
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