JP7142158B2 - 樹脂組成物、ハードコートフィルム、及びポリオルガノシルセスキオキサン - Google Patents
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Description
例えば特許文献1には、ケイ素原子に直接結合した有機基の少なくとも1つがウレア結合及び1つの(メタ)アクリロイルオキシ基を有する有機基であるシルセスキオキサン化合物を含む活性エネルギー線硬化性組成物が記載されている。また、特許文献2には、UV硬化性基、熱硬化性シラン基、ならびに、UV硬化性基と熱硬化性シラン基とを結合する少なくとも2個の炭素原子を持つ架橋基を有するオルガノシランを加水分解し、縮合した化合物を含む液体コート剤混合物が記載されている。
本発明者らが検討したところ、特許文献1や2に記載の樹脂組成物を用いたハードコートフィルムは、鉛筆硬度と繰り返し折り曲げ耐性が両立できないことが分かった。
本発明の課題は、鉛筆硬度及び繰り返し折り曲げ耐性に優れたハードコートフィルムを与える樹脂組成物、上記樹脂組成物の硬化物を含むハードコート層を有するハードコートフィルム、及びポリオルガノシルセスキオキサンを提供することにある。
[1]
水素結合を形成し得る水素原子を含む基を有するポリオルガノシルセスキオキサンを含有する樹脂組成物であって、
上記ポリオルガノシルセスキオキサンの水素結合価が3.0以上であり、側鎖長が14×10 -10 ~19×10 -10 mであり、架橋性基価が4.5~6.0であり、
上記水素結合価は、下記の式(1)で表され、上記側鎖長は、Si原子から側鎖の末端までの長さを表し、上記架橋性基価は、下記の式(5)で表される、樹脂組成物。
水素結合価=1構成単位中の水素結合を形成し得る水素原子の数/1構成単位の分子量×1000 ・・・(1)
架橋性基価=1構成単位中の架橋性基数/1構成単位の分子量×1000 ・・・(5)
[2]
上記水素結合を形成し得る水素原子を含む基が、アミド基、ウレタン基、ウレア基、及びヒドロキシル基から選ばれる少なくとも1つの基である[1]に記載の樹脂組成物。
[3]
上記ポリオルガノシルセスキオキサンが、水素結合を形成し得る水素原子を含む基を有する構成単位(S1)と、上記構成単位(S1)とは別の、架橋性基を有する構成単位(S2)とを含有する[1]又は[2]に記載の樹脂組成物。
[4]
上記構成単位(S1)が有する水素結合を形成し得る水素原子を含む基が、アミド基、ウレタン基、及びウレア基から選ばれる少なくとも1つの基である[3]に記載の樹脂組成物。
[5]
上記構成単位(S1)が、さらに架橋性基を有し、上記架橋性基が(メタ)アクリロイルオキシ基、又は(メタ)アクリルアミド基である[3]又は[4]に記載の樹脂組成物。
[6]
上記構成単位(S2)が有する架橋性基が、(メタ)アクリルアミド基である[3]~[5]のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
[7]
上記ポリオルガノシルセスキオキサンの重量平均分子量が10000~1000000である[1]~[6]のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
[8]
基材と、[1]~[7]のいずれか1項に記載の樹脂組成物の硬化物を含むハードコート層とを有するハードコートフィルム。
[9]
鉛筆硬度3H以上であり、かつ上記基材を内側にして、曲率半径2mmで180°折り曲げ試験を10万回繰り返し行った場合にクラックが発生しない[8]に記載のハードコートフィルム。
[10]
水素結合を形成し得る水素原子を含む基を有するポリオルガノシルセスキオキサンであって、
水素結合価が3.0以上であり、側鎖長が14×10 -10 ~19×10 -10 mであり、架橋性基価が4.5~6.0であり
上記水素結合価は、下記の式(1)にて表され、上記側鎖長は、上記側鎖長は、Si原子から側鎖の末端までの長さを表し、上記架橋性基価は、下記の式(5)で表される、ポリオルガノシルセスキオキサン。
水素結合価=1構成単位中の水素結合を形成し得る水素原子の数/1構成単位の分子量×1000 ・・・(1)
架橋性基価=1構成単位中の架橋性基数/1構成単位の分子量×1000 ・・・(5)
本発明は、上記[1]~[10]に係る発明であるが、以下、それ以外の事項(例えば、下記<1>~<14>)についても記載している。
水素結合を形成し得る水素原子を含む基を有するポリオルガノシルセスキオキサンを含有する樹脂組成物であって、
上記ポリオルガノシルセスキオキサンの水素結合価が3.0以上であり、側鎖長が14×10-10~19×10-10mであり、
上記水素結合価は、下記の式(1)で表され、上記側鎖長は、Si原子から側鎖の末端までの長さを表す、樹脂組成物。
水素結合を形成し得る水素原子を含む基を有するポリオルガノシルセスキオキサンを含有する樹脂組成物であって、
上記ポリオルガノシルセスキオキサンの水素結合価が3.0以上であり、架橋性基価が4.5~6.0であり、
上記水素結合価は、下記の式(1)で表され、上記架橋性基価は、下記の式(5)で表される樹脂組成物。
上記ポリオルガノシルセスキオキサンの水素結合価が3.0以上であり、側鎖長が14×10-10~19×10-10mであり、架橋性基価が4.5~6.0である<1>又は<2>に記載の樹脂組成物。
<4>
上記水素結合を形成し得る水素原子を含む基が、アミド基、ウレタン基、ウレア基、及びヒドロキシル基から選ばれる少なくとも1つの基である<1>~<3>のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
<5>
上記ポリオルガノシルセスキオキサンが、水素結合を形成し得る水素原子を含む基を有する構成単位(S1)と、上記構成単位(S1)とは別の、架橋性基を有する構成単位(S2)とを含有する<1>~<4>のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
上記構成単位(S1)が有する水素結合を形成し得る水素原子を含む基が、アミド基、ウレタン基、及びウレア基から選ばれる少なくとも1つの基である<5>に記載の樹脂組成物。
<7>
上記構成単位(S1)が、さらに架橋性基を有し、上記架橋性基が(メタ)アクリロイルオキシ基、又は(メタ)アクリルアミド基である<5>又は<6>に記載の樹脂組成物。
<8>
上記構成単位(S2)が有する架橋性基が、(メタ)アクリルアミド基である<5>~<7>のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
上記ポリオルガノシルセスキオキサンの重量平均分子量が10000~1000000である請求項1~8のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
<10>
基材と、<1>~<9>のいずれか1項に記載の樹脂組成物の硬化物を含むハードコート層とを有するハードコートフィルム。
<11>
鉛筆硬度3H以上であり、かつ上記基材を内側にして、曲率半径2mmで180°折り曲げ試験を10万回繰り返し行った場合にクラックが発生しない<10>に記載のハードコートフィルム。
水素結合を形成し得る水素原子を含む基を有するポリオルガノシルセスキオキサンであって、
水素結合価が3.0以上であり、側鎖長が14×10-10~19×10-10mであり、
上記水素結合価は、下記の式(1)にて表され、上記側鎖長は、上記側鎖長は、Si原子から側鎖の末端までの長さを表す、ポリオルガノシルセスキオキサン。
水素結合を形成し得る水素原子を含む基を有するポリオルガノシルセスキオキサンであって、
水素結合価が3.0以上であり、架橋性基価が4.5~6.0であり、
上記水素結合価は下記の式(1)で表され、上記架橋性基価は、下記の式(5)で表されるポリオルガノシルセスキオキサン。
水素結合価が3.0以上あり、側鎖長が14×10-10~19×10-10mであり、架橋性基価が4.5~6.0である<12>又は<13>に記載のポリオルガノシルセスキオキサン。
本発明は、水素結合を形成し得る水素原子を含む基を有するポリオルガノシルセスキオキサンを含有する樹脂組成物であって、
上記ポリオルガノシルセスキオキサンの水素結合価が3.0以上であり、側鎖長が14×10-10~19×10-10m(14~19Å)であり、
上記水素結合価は、下記の式(1)で表され、上記側鎖長は、Si原子から側鎖の末端までの長さを表す、樹脂組成物に関する。
水素結合価=1構成単位中の水素結合を形成し得る水素原子の数/1構成単位の分子量×1000 ・・・(1)
上記ポリオルガノシルセスキオキサンの水素結合価が3.0以上であり、架橋性基価が4.5~6.0であり、
上記水素結合価は、下記の式(1)で表され、上記架橋性基価は、下記の式(5)で表される樹脂組成物にも関する。
水素結合価=1構成単位中の水素結合を形成し得る水素原子の数/1構成単位の分子量×1000 ・・・(1)
架橋性基価=1構成単位中の架橋性基数/1構成単位の分子量×1000 ・・・(5)
水素結合を形成し得る水素原子を含む基を有するポリオルガノシルセスキオキサン(a1)(「ポリオルガノシルセスキオキサン(a1)」ともいう。)について説明する。
ポリオルガノシルセスキオキサン(a1)は、水素結合を形成し得る水素原子を含む基を有する。水素結合を形成し得る水素原子とは、電気陰性度が大きな原子に共有結合で結びついた水素原子であり、近傍に位置した窒素、酸素等と水素結合を形成し得るものである。
ポリオルガノシルセスキオキサン(a1)が有する水素結合を形成し得る水素原子を含む基としては、一般に知られている水素結合を形成し得る水素原子を含む基を用いることができ、アミド基、ウレタン基、ウレア基、及びヒドロキシル基から選ばれる少なくとも1つの基であることが好ましく、アミド基、ウレタン基、及びウレア基から選ばれる少なくとも1つの基であることがより好ましい。
本発明において、アミド基とは、-NH-C(=O)-で表される2価の連結基を表し、ウレタン基とは、-NH-C(=O)-O-で表される2価の連結基を表し、ウレア基とは、-NH-C(=O)-NH-で表される2価の連結基を表すものとする。
本発明において水素結合価とは、ポリオルガノシルセスキオキサン(a1)中の水素結合を形成し得る水素原子の密度を表し、下記式(1)から算出される。
構成単位とは、ポリオルガノシルセスキオキサン(a1)が有する繰り返し単位のことであり、例えば、ポリオルガノシルセスキオキサン(a1)が1種のモノマーのみから重合されてなる重合体である場合は、ポリオルガノシルセスキオキサン(a1)が有する構成単位は1種であり、2種のモノマーの共重合体である場合は、構成単位は2種となる。
本発明の一態様において、ポリオルガノシルセスキオキサン(a1)は、側鎖長が14×10-10~19×10-10mである側鎖を有する。
側鎖とは、ポリオルガノシルセスキオキサン(a1)において、Si原子に結合する鎖であって、シロキサン結合(Si-O-Si)により構成される構造部分以外の鎖を意味する。
Molecular Surface」を実行し、「Maximum Length Molecule」の数値を求める。
本発明においては、ポリオルガノシルセスキオキサン(a1)の側鎖長を14×10-10~19×10-10mとすることで、繰り返し折り曲げ耐性と鉛筆硬度を両立することができる。
側鎖長は、15×10-10~18×10-10mであることが好ましく、16×10-10~17×10-10mであることがより好ましい。
側鎖が有する元素数とは、側鎖における主鎖を構成する元素数を表し、主鎖から分岐した元素は除くものとする。例えば、i-プロピル基における元素数は2、3-アクリロイルオキシプロピル基における元素数は7と数える。
ポリオルガノシルセスキオキサン(a1)が1種の側鎖を有する、すなわち1種の構成単位を有する場合は、1構成単位における側鎖が有する元素数をポリオルガノシルセスキオキサン(a1)の側鎖が有する元素数とする。
本発明の一態様において、ポリオルガノシルセスキオキサン(a1)は架橋性基を有する。
架橋性基としては、反応することにより共有結合を形成できるものであれば特に限定はされないが、ラジカル重合性架橋性基やカチオン重合性架橋性基が挙げられる。
本発明においては、ポリオルガノシルセスキオキサン(a1)の架橋性基価を4.5~6.0とすることで、繰り返し折り曲げ耐性と鉛筆硬度を両立することができる。
架橋性基価は、4.8~5.8であることが好ましく、5.0~5.5であることがより好ましい。
構成単位(S1)は水素結合を形成し得る水素原子を含む基を有する。構成単位(S1)が有する水素結合を形成し得る水素原子を含む基は、アミド基、ウレタン基、ウレア基、及びヒドロキシル基から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、アミド基、ウレタン基、及びウレア基から選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。
水素結合を形成し得る水素原子は、構成単位(S1)中、少なくとも1つ含まれていればよく、1つ又は2つ含まれることが好ましい。
L11は置換又は無置換のアルキレン基を表し、
R11は単結合、-NH-、-O-、-C(=O)-、又はこれらを組み合わせて得られる2価の連結基を表し、
L12は置換又は無置換のアルキレン基を表し、
Q11は架橋性基を表す。
但し、一般式(S1-1)で表される構成単位は、水素結合を形成し得る水素原子を含む基を少なくとも1つ有する。
ポリオルガノシルセスキオキサンとは、加水分解性三官能シラン化合物に由来するシロキサン構成単位(シルセスキオキサン単位)を有するネットワーク型ポリマー又は多面体クラスターであり、シロキサン結合によって、ランダム構造、ラダー構造、ケージ構造などを形成し得る。本発明において、「SiO1.5」が表す構造部分は、上記のいずれの構造であってもよいが、ラダー構造を多く含有していることが好ましい。ラダー構造を形成していることにより、ハードコートフィルムの変形回復性を良好に保つことができる。ラダー構造の形成は、FT-IR(Fourier Transform Infrared Spectroscopy)を測定した際、1020-1050cm-1付近に現れるラダー構造に特徴的なSi-O-Si伸縮に由来する吸収の有無によって定性的に確認することができる。
L11が表すアルキレン基が置換基を有する場合の置換基としては、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、シリル基等が挙げられる。
L11は、無置換の炭素数2~4の直鎖状のアルキレン基が好ましく、エチレン基、又はn-プロピレン基がより好ましく、さらに好ましくはn-プロピレン基である。
-NH-、-O-、-C(=O)-を組み合わせて得られる2価の連結基としては、*-NH-C(=O)-**、*-C(=O)-NH-**、*-NH-C(=O)-O-**、*-O-C(=O)-NH-**、-NH-C(=O)-NH-、*-C(=O)-O-**、*-O-C(=O)-**、等が挙げられる。*は一般式(S1-1)におけるL11との結合手を表し、**は一般式(S1-1)におけるL12との結合手を表す。
L12が表すアルキレン基が置換基を有する場合の置換基としては、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、シリル基等が挙げられる。
L12は、炭素数1~3の直鎖状のアルキレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、又は2-ヒドロキシ-n-プロピレン基がより好ましく、メチレン基又はエチレン基がさらに好ましい。
水素結合を形成し得る水素原子を含む基としては、アミド基、ウレタン基、ウレア基、又はヒドロキシル基が挙げられる。
水素結合を形成し得る水素原子は、一般式(S1-1)で表される構成単位中、1つ又は2つ含まれることが好ましい。
水素結合を形成し得る水素原子は、一般式(S1-1)中のR11において、アミド基、ウレタン基、又はウレア基として含まれることが好ましい。
L11は置換又は無置換のアルキレン基を表し、
r11は単結合、-NH-、又は-O-を表し、
L12は置換又は無置換のアルキレン基を表し、
q11は-NH-、又は-O-を表し、
q12は水素原子又はメチル基を表す。
一般式(S1-2)中、L12は置換又は無置換のアルキレン基を表す。L12は一般式(S1-1)中のL12と同義であり、好ましい例も同様である。
q12は水素原子又はメチル基を表し、水素原子であることが好ましい。
構成単位(S2)は架橋性基を有する。架橋性基としては、ラジカル重合性架橋性基が好ましく、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、又は(メタ)アクリルアミド基であることがより好ましく、(メタ)アクリロイルオキシ基、又は(メタ)アクリルアミド基であることがさらに好ましく、(メタ)アクリルアミド基であることが特に好ましく、アクリルアミド基であることが最も好ましい。
L21は置換又は無置換のアルキレン基を表し、
Q21は架橋性基を表す。
L11が表すアルキレン基が置換基を有する場合の置換基としては、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、シリル基等が挙げられる。
L11は、無置換の炭素数2~4の直鎖状のアルキレン基が好ましく、エチレン基、又はn-プロピレン基がより好ましく、さらに好ましくはn-プロピレン基である。
L21は置換又は無置換のアルキレン基を表し、
q21は-NH-、又は-O-を表し、
q22は水素原子又はメチル基を表す。
q21は-NH-、又は-O-を表し、-NH-であることが好ましい。
q22は水素原子又はメチル基を表し、水素原子であることが好ましい。
測定装置:商品名「LC-20AD」((株)島津製作所製)
カラム:Shodex KF-801×2本、KF-802、及びKF-803(昭和電工(株)製)
測定温度:40℃
溶離液:N-メチルピロリドン(NMP)、試料濃度0.1~0.2質量%
流量:1mL/分
検出器:UV-VIS検出器(商品名「SPD-20A」、(株)島津製作所製)
分子量:標準ポリスチレン換算
ポリオルガノシルセスキオキサン(a1)の製造方法は、特に限定されず、公知の製造方法を用いて製造することができるが、例えば、加水分解性シラン化合物を加水分解及び縮合させる方法により製造できる。上記加水分解性シラン化合物としては、水素結合を形成し得る水素原子を含む基を有する加水分解性三官能シラン化合物(好ましくは下記一般式(Sd1-1)で表される化合物)、架橋性基を有する加水分解性三官能シラン化合物(好ましくは下記一般式(Sd2-1)で表される化合物)を使用することが好ましい。
下記一般式(Sd1-1)で表される化合物は、上記一般式(S1-1)で表される構成単位に対応し、下記一般式(Sd2-1)で表される化合物は、上記一般式(S2-1)で表される構成単位に対応する。
一般式(Sd2-1)中、X4~X6は各々独立にアルコキシ基又はハロゲン原子を表し、L21は置換又は無置換のアルキレン基を表し、Q21は架橋性基を表す。
一般式(Sd2-1)中のL21、及びQ21は、一般式(S2-1)中のL21、及びQ21とそれぞれ同義であり、好ましい範囲も同様である。
上記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、イソブチルオキシ基等の炭素数1~4のアルコキシ基等が挙げられる。
上記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
X1~X6としては、アルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基がより好ましい。なお、X1~X6は、それぞれ同一であっても、異なっていてもよい。
上記溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素;ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル等のエステル;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等のアミド;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール等が挙げられる。
上記溶媒としては、ケトン又はエーテルが好ましい。なお、溶媒は1種を単独で使用することも、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
上記酸触媒としては、特に限定されず、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸等の鉱酸;リン酸エステル;酢酸、蟻酸、トリフルオロ酢酸等のカルボン酸;メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸等のスルホン酸;活性白土等の固体酸;塩化鉄等のルイス酸等が挙げられる。
上記アルカリ触媒としては、特に限定されず、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム等のアルカリ金属の水酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等のアルカリ土類金属の水酸化物;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等のアルカリ金属の炭酸塩;炭酸マグネシウム等のアルカリ土類金属の炭酸塩;炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素セシウム等のアルカリ金属の炭酸水素塩;酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸セシウム等のアルカリ金属の有機酸塩(例えば、酢酸塩);酢酸マグネシウム等のアルカリ土類金属の有機酸塩(例えば、酢酸塩);リチウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムイソプロポキシド、カリウムエトキシド、カリウムt-ブトキシド等のアルカリ金属のアルコキシド;ナトリウムフェノキシド等のアルカリ金属のフェノキシド;トリエチルアミン、N-メチルピペリジン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン等のアミン類(第3級アミン等);ピリジン、2,2'-ビピリジル、1,10-フェナントロリン等の含窒素芳香族複素環化合物等が挙げられる。
なお、触媒は1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。また、触媒は、水又は溶媒等に溶解又は分散させた状態で使用することもできる。
2種以上のポリオルガノシルセスキオキサン(a1)を混合する場合の水素結合価、側鎖長、架橋性基価の算出方法は、各数値(水素結合価、側鎖長、架橋性基価)に配合比率(質量比率)を乗じた値の総和(質量平均値)を混合物における数値とする。
なお、全固形分とは溶剤以外の全成分のことである。
本発明における樹脂組成物は、重合開始剤を含むことが好ましい。
樹脂組成物中に用いるポリオルガノシルセスキオキサン(a1)が有する架橋性基がラジカル重合性架橋性基であれば、ラジカル重合開始剤を含むことが好ましく、架橋性基がカチオン重合性架橋性基であれば、カチオン重合開始剤を含むことが好ましい。
重合開始剤は、ラジカル重合開始剤であることが好ましい。ラジカル重合開始剤は、ラジカル光重合開始剤でも、ラジカル熱重合開始剤でも良いが、ラジカル光重合開始剤であることがより好ましい。
重合開始剤は一種のみ用いてもよく、構造の異なる二種以上を併用してもよい。
以上のラジカル光重合開始剤および助剤は、公知の方法で合成可能であり、市販品として入手も可能である。
本発明における樹脂組成物は、溶媒を含んでいてもよい。
溶媒としては、有機溶媒が好ましく、有機溶媒の一種または二種以上を任意の割合で混合して用いることができる。有機溶媒の具体例としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、n-ブタノール、i-ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;エチルセロソルブ等のセロソルブ類;トルエン、キシレン等の芳香族類;プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類;ジアセトンアルコール等が挙げられる。
本発明における樹脂組成物における溶媒の含有率は、樹脂組成物の塗布適性を確保できる範囲で適宜調整することができる。例えば、樹脂組成物の全固形分100質量部に対して、50~500質量部とすることができ、好ましくは80~200質量部とすることができる。
樹脂組成物は、通常、液の形態をとる。
樹脂組成物の固形分の濃度は、通常、10~90質量%程度であり、好ましくは20~80質量%、特に好ましくは40~70質量%程度である。
本発明における樹脂組成物は、上記以外の成分を含有していてもよく、たとえば、無機微粒子、分散剤、レベリング剤、防汚剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等を含有していてもよい。
本発明は、基材と、上記樹脂組成物の硬化物を含むハードコート層とを有するハードコートフィルムにも関する。
本発明のハードコートフィルムは、基材上に上記ハードコート層を有することが好ましい。
本発明のハードコートフィルムに用いる基材は、可視光領域の透過率が70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることが更に好ましい。
基材はポリマーを含むことが好ましい。
ポリマーとしては、光学的な透明性、機械的強度、熱安定性などに優れるポリマーが好ましい。
アミド系ポリマーとしては、芳香族ポリアミド(アラミド系ポリマー)が好ましい。
基材は、イミド系ポリマー及びアラミド系ポリマーから選ばれる少なくとも1種のポリマーを含有することが好ましい。
基材は、上記のポリマーを更に柔軟化する素材を含有しても良い。柔軟化素材とは、破断折り曲げ回数を向上させる化合物を指し、柔軟化素材としては、ゴム質弾性体、脆性改良剤、可塑剤、スライドリングポリマー等を用いることが出来る。
柔軟化素材として具体的には、特開2016-167043号公報における段落番号[0051]~[0114]に記載の柔軟化素材を好適に用いることができる。
基材には、用途に応じた種々の添加剤(例えば、紫外線吸収剤、マット剤、酸化防止剤、剥離促進剤、レターデーション(光学異方性)調節剤、など)を添加できる。それらは固体でもよく油状物でもよい。すなわち、その融点又は沸点において特に限定されるものではない。また添加剤を添加する時期は基材を作製する工程において何れの時点で添加しても良く、素材調製工程に添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。更にまた、各素材の添加量は機能が発現する限りにおいて特に限定されない。
その他の添加剤としては、特開2016-167043号公報における段落番号[0117]~[0122]に記載の添加剤を好適に用いることができる。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール化合物、トリアジン化合物、ベンゾオキサジン化合物を挙げることができる。ここでベンゾトリアゾール化合物とは、ベンゾトリアゾール環を有する化合物であり、具体例としては、例えば特開2013-111835号公報段落0033に記載されている各種ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を挙げることができる。トリアジン化合物とは、トリアジン環を有する化合物であり、具体例としては、例えば特開2013-111835号公報段落0033に記載されている各種トリアジン系紫外線吸収剤を挙げることができる。ベンゾオキサジン化合物としては、例えば特開2014-209162号公報段落0031に記載されているものを用いることができる。基材中の紫外線吸収剤の含有量は、例えば基材に含まれるポリマー100質量部に対して0.1~10質量部程度であるが、特に限定されるものではない。また、紫外線吸収剤については、特開2013-111835号公報段落0032も参照できる。なお、本発明においては、耐熱性が高く揮散性の低い紫外線吸収剤が好ましい。かかる紫外線吸収剤としては、例えば、UVSORB101(富士フイルムファインケミカルズ株式会社製)、TINUVIN 360、TINUVIN 460、TINUVIN 1577(BASF社製)、LA-F70、LA-31、LA-46(ADEKA社製)などが挙げられる。
基材として、イミド系ポリマーを含む基材を好ましく用いることができる。本明細書において、イミド系ポリマーとは、式(PI)、式(a)、式(a’)及び式(b)で表される繰り返し構造単位を少なくとも1種以上含む重合体を意味する。なかでも、式(PI)で表される繰り返し構造単位が、イミド系ポリマーの主な構造単位であると、フィルムの強度及び透明性の観点で好ましい。式(PI)で表される繰り返し構造単位は、イミド系ポリマーの全繰り返し構造単位に対し、好ましくは40モル%以上であり、より好ましくは50モル%以上であり、さらに好ましくは70モル%以上であり、特に好ましくは90モル%以上であり、最も好ましくは98モル%以上である。
本明細書において、「系化合物」とは、「系化合物」が付される化合物の誘導体を指す。例えば、「ベンゾフェノン系化合物」とは、母体骨格としてのベンゾフェノンと、ベンゾフェノンに結合している置換基とを有する化合物を指す。
基材はフィルム状であることが好ましい。
基材の厚みは、100μm以下であることがより好ましく、80μm以下であることが更に好ましく、50μm以下が最も好ましい。基材の厚みが薄くなれば、折り曲げ時の表面と裏面の曲率差が小さくなり、クラック等が発生し難くなり、複数回の折れ曲げでも、基材の破断が生じなくなる。一方、基材の取り扱いの容易さの観点から基材の厚みは3μm以上であることが好ましく、5μm以上であることがより好ましく、15μm以上が最も好ましい。
基材は、熱可塑性のポリマーを熱溶融して製膜しても良いし、ポリマーを均一に溶解した溶液から溶液製膜(ソルベントキャスト法)によって製膜しても良い。熱溶融製膜の場合は、上述の柔軟化素材及び種々の添加剤を、熱溶融時に加えることができる。一方、基材を溶液製膜法で作製する場合は、ポリマー溶液(以下、ドープともいう)には、各調製工程において上述の柔軟化素材及び種々の添加剤を加えることができる。またその添加する時期はドープ作製工程において何れでも添加しても良いが、ドープ調製工程の最後の調製工程に添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。
本発明のハードコートフィルムは上記樹脂組成物の硬化物を含むハードコート層を有する。
ハードコート層は、基材の少なくとも一方の面上に形成されていることが好ましい。
本発明のハードコートフィルムが後述の耐擦傷層を有する場合は、少なくとも1層のハードコート層を、基材と耐擦傷層との間に有することが好ましい。
本発明のハードコートフィルムのハードコート層は、ポリオルガノシルセスキオキサン(a1)を含む樹脂組成物の硬化物を含むものであり、好ましくは、ポリオルガノシルセスキオキサン(a1)及び重合開始剤を含む樹脂組成物の硬化物を含むものである。
樹脂組成物の硬化物は、少なくとも、ポリオルガノシルセスキオキサン(a1)の架橋性基が重合反応により結合してなる硬化物を含むことが好ましい。
本発明のハードコートフィルムのハードコート層における、上記樹脂組成物の硬化物の含有率は、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることが更に好ましい。
ハードコート層の膜厚は特に限定されないが、0.5~30μmであることが好ましく、1~25μmであることがより好ましく、2~20μmであることが更に好ましい。
ハードコート層の膜厚は、ハードコートフィルムの断面を光学顕微鏡で観察して算出する。断面試料は、断面切削装置ウルトラミクロトームを用いたミクロトーム法や、集束イオンビーム(FIB)装置を用いた断面加工法などにより作成できる。
本発明のハードコートフィルムはさらに耐擦傷層を有することが好ましい。
本発明のハードコートフィルムが耐擦傷層を有する場合、少なくとも1層の耐擦傷層を、ハードコート層の基材と反対側の表面上に有することが好ましい。
本発明のハードコートフィルムの耐擦傷層は、ラジカル重合性化合物(c1)を含む耐擦傷層形成用組成物の硬化物を含むことが好ましい。
ラジカル重合性化合物(c1)(「化合物(c1)」ともいう。)について説明する。
化合物(c1)は、ラジカル重合性基を有する化合物である。
化合物(c1)におけるラジカル重合性基としては、特に限定されず、一般に知られているラジカル重合性基を用いることができる。ラジカル重合性基としては、重合性不飽和基が挙げられ、具体的には、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基などが挙げられ、(メタ)アクリロイル基が好ましい。なお、上記した各基は置換基を有していてもよい。
化合物(c1)は、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物であることが好ましく、1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物であることがより好ましい。
化合物(c1)の分子量は特に限定されず、モノマーでもよいし、オリゴマーでもよいし、ポリマーでもよい。
上記化合物(c1)の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
1分子中に2個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート等が好適に例示される。
1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステルが挙げられる。具体的には、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート,ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート,ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、高架橋という点ではペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、もしくはジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、又はこれらの混合物が好ましい。
本発明における耐擦傷層形成用組成物は、ラジカル重合開始剤を含むことが好ましい。
ラジカル重合開始剤は一種のみ用いてもよく、構造の異なる二種以上を併用してもよい。また、ラジカル重合開始剤は光重合開始剤でも良く、熱重合開始剤でも良い。
耐擦傷層形成用組成物中のラジカル重合開始剤の含有率は、特に限定されるものではないが、例えば化合物(c1)100質量部に対して、0.1~200質量部が好ましく、1~50質量部がより好ましい。
本発明における耐擦傷層形成用組成物は、溶媒を含んでいてもよい。
溶媒としては、前述の樹脂組成物が含んでいてもよい溶媒と同様である。
本発明における耐擦傷層形成用組成物における溶媒の含有率は、耐擦傷層形成用組成物の塗布適性を確保できる範囲で適宜調整することができる。例えば、耐擦傷層形成用組成物の全固形分100質量部に対して、50~500質量部とすることができ、好ましくは80~200質量部とすることができる。
耐擦傷層形成用組成物は、通常、液の形態をとる。
耐擦傷層形成用組成物の固形分の濃度は、通常、10~90質量%程度であり、好ましくは20~80質量%、特に好ましくは40~70質量%程度である。
耐擦傷層形成用組成物は、上記以外の成分を含有していてもよく、たとえば、無機粒子、レベリング剤、防汚剤、帯電防止剤、滑り剤、溶媒等を含有していてもよい。
特に、滑り剤として下記の含フッ素化合物を含有することが好ましい。
含フッ素化合物は、モノマー、オリゴマー、ポリマーいずれでもよい。含フッ素化合物は、耐擦傷層中で化合物(c1)との結合形成あるいは相溶性に寄与する置換基を有していることが好ましい。この置換基は同一であっても異なっていてもよく、複数個あることが好ましい。
この置換基は重合性基が好ましく、ラジカル重合性、カチオン重合性、アニオン重合性、縮重合性及び付加重合性のうちいずれかを示す重合性反応基であればよく、好ましい置換基の例としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基が挙げられる。その中でもラジカル重合性基が好ましく、中でもアクリロイル基、メタクリロイル基が特に好ましい。
含フッ素化合物はフッ素原子を含まない化合物とのポリマーであってもオリゴマーであってもよい。
一般式(F): (Rf)-[(W)-(RA)nf]mf
(式中、Rfは(パー)フルオロアルキル基又は(パー)フルオロポリエーテル基、Wは単結合又は連結基、RAは重合性不飽和基を表す。nfは1~3の整数を表す。mfは1~3の整数を表す。)
ここで、(パー)フルオロアルキル基は、フルオロアルキル基及びパーフルオロアルキル基のうち少なくとも1種を表し、(パー)フルオロポリエーテル基は、フルオロポリエーテル基及びパーフルオロポリエーテル基のうち少なくとも1種を表す。耐擦傷性の観点では、Rf中のフッ素含有率は高いほうが好ましい。
(パー)フルオロアルキル基は、直鎖構造(例えば-CF2CF3、-CH2(CF2)4H、-CH2(CF2)8CF3、-CH2CH2(CF2)4H)であっても、分岐構造(例えば-CH(CF3)2、-CH2CF(CF3)2、-CH(CH3)CF2CF3、-CH(CH3)(CF2)5CF2H)であっても、脂環式構造(好ましくは5員環又は6員環で、例えばパーフルオロシクロへキシル基及びパーフルオロシクロペンチル基並びにこれらの基で置換されたアルキル基)であってもよい。
上記pf及びqfはそれぞれ独立に0~20の整数を表す。ただしpf+qfは1以上の整数である。
pf及びqfの総計は1~83が好ましく、1~43がより好ましく、5~23がさらに好ましい。
上記含フッ素化合物は、耐擦傷性に優れるという観点から-(CF2O)pf-(CF2CF2O)qf-で表されるパーフルオロポリエーテル基を有することが特に好ましい。
Wとして、好ましくは、エチレン基、より好ましくは、カルボニルイミノ基と結合したエチレン基である。
本発明で用いられる含フッ素化合物のMwは400以上50000未満が好ましく、400以上30000未満がより好ましく、400以上25000未満が更に好ましい。
本発明のハードコートフィルムの耐擦傷層は、化合物(c1)を含む耐擦傷層形成用組成物の硬化物を含むものであることが好ましく、より好ましくは、化合物(c1)及びラジカル重合開始剤を含む耐擦傷層形成用組成物の硬化物を含むものである。
耐擦傷層形成用組成物の硬化物は、少なくとも、化合物(c1)のラジカル重合性基が重合反応してなる硬化物を含むことが好ましい。
本発明のハードコートフィルムの耐擦傷層における耐擦傷層形成用組成物の硬化物の含有率は、耐擦傷層の全質量に対して60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上が更に好ましい。
耐擦傷層の膜厚は、繰り返し折り曲げ耐性の観点から、3.0μm未満であることが好ましく、0.1~2.0μmであることがより好ましく、0.1~1.0μmであることが更に好ましい。
本発明のハードコートフィルムは、優れた鉛筆硬度を有する。
本発明のハードコートフィルムは、鉛筆硬度が3H以上であることが好ましく、4H以上であることがより好ましい。
鉛筆硬度は、 JIS(JISは、Japanese Industrial Standards(日本工業規格)である) K5400に従い評価することが出来る。
本発明のハードコートフィルムは、優れた繰り返し折り曲げ耐性を有する。
本発明のハードコートフィルムは、基材を内側にして、曲率半径2mmで180°折り曲げ試験を10万回繰り返し行った場合にクラックが発生しないことが好ましい。
繰り返し折り曲げ耐性は具体的には以下のように測定する。
ハードコートフィルムから幅15mm、長さ150mmの試料フィルムを切り出し、温度25℃、相対湿度65%の状態に1時間以上静置させる。その後、180°耐折度試験機((株)井元製作所製、IMC-0755型)を用いて、基材を内側にして繰り返し折り曲げ耐性の試験を行う。上記試験機は、試料フィルムを直径4mmの棒(円柱)の曲面に沿わせて曲げ角度180°で長手方向の中央部分で折り曲げた後、元に戻す(試料フィルムを広げる)という動作を1回の試験とし、この試験を繰り返し行うものである。上記180°折り曲げ試験を繰り返し行った場合にクラックが発生するか否かを目視で評価する。
本発明のハードコートフィルムの製造方法について説明する。
本発明のハードコートフィルムの製造方法は、下記工程(I)、(II)を含む製造方法であることが好ましい。また、ハードコートフィルムが耐擦傷層を有する場合は、さらに下記工程(III)、(IV)を含む製造方法であることが好ましい。
(I)基材上に、ポリオルガノシルセスキオキサン(a1)を含む樹脂組成物を塗布してハードコート層塗膜を形成する工程
(II)上記ハードコート層塗膜を硬化することによりハードコート層を形成する工程
(III)上記ハードコート層上に、ラジカル重合性化合物(c1)を含む耐擦傷層形成用組成物を塗布して耐擦傷層塗膜を形成する工程
(IV)上記耐擦傷層塗膜を硬化することにより耐擦傷層を形成する工程
工程(I)は、基材上にポリオルガノシルセスキオキサン(a1)含む樹脂組成物を塗布してハードコート層塗膜を設ける工程である。
基材、ポリオルガノシルセスキオキサン(a1)、及び樹脂組成物については前述したとおりである。
工程(II)は、上記ハードコート層塗膜を硬化することによりハードコート層を形成する工程である。なお、ハードコート層塗膜を硬化するとは、ハードコート層塗膜に含まれるポリオルガノシルセスキオキサン(a1)の架橋性基の少なくとも一部を重合反応させることをいう。
工程(III)は、上記ハードコート層上に、ラジカル重合性化合物(c1)を含む耐擦傷層形成用組成物を塗布して耐擦傷層塗膜を形成する工程である。
ラジカル重合性化合物(c1)、及び耐擦傷層形成用組成物については前述したとおりである。
工程(IV)は、上記耐擦傷層塗膜を硬化することにより耐擦傷層を形成する工程である。
フォルダブルデバイスとしては、例えば、有機エレクトロルミネッセンスデバイスなどが挙げられる。
水素結合価が3.0以上であり、側鎖長が14×10-10~19×10-10mであり、
上記水素結合価は、下記の式(1)にて表され、上記側鎖長は、上記側鎖長は、Si原子から側鎖の末端までの長さを表す、ポリオルガノシルセスキオキサンにも関する。
水素結合価が3.0以上であり、架橋性基価が4.5~6.0であり、
上記水素結合価は下記の式(1)で表され、上記架橋性基価は、下記の式(5)で表されるポリオルガノシルセスキオキサンにも関する。
水素結合価、側鎖長、及び架橋性基価は、それぞれ上記樹脂組成物において記載した水素結合価、側鎖長、及び架橋性基価と同様であり、好ましい範囲も同様である。
上記ポリオルガノシルセスキオキサンにおいて、水素結合価は3.0以上であり、側鎖長が14×10-10~19×10-10mであり、架橋性基価が4.5~6.0であることが好ましい。
(ポリイミド粉末の製造)
攪拌器、窒素注入装置、滴下漏斗、温度調節器及び冷却器を取り付けた1Lの反応器に、窒素気流下、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)832gを加えた後、反応器の温度を25℃にした。ここに、ビストリフルオロメチルベンジジン(TFDB)64.046g(0.2mol)を加えて溶解した。得られた溶液を25℃に維持しながら、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物(6FDA)31.09g(0.07mol)とビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)8.83g(0.03mol)を投入し、一定時間撹拌して反応させた。その後、塩化テレフタロイル(TPC)20.302g(0.1mol)を添加して、固形分濃度13質量%のポリアミック酸溶液を得た。次いで、このポリアミック酸溶液にピリジン25.6g、無水酢酸33.1gを投入して30分撹拌し、さらに70℃で1時間撹拌した後、常温に冷却した。ここにメタノール20Lを加え、沈澱した固形分を濾過して粉砕した。その後、100℃下、真空で6時間乾燥させて、111gのポリイミド粉末を得た。
100gの上記ポリイミド粉末を670gのN,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)に溶かして13質量%の溶液を得た。得られた溶液をステンレス板に流延し、130℃の熱風で30分乾燥させた。その後フィルムをステンレス板から剥離して、フレームにピンで固定し、フィルムが固定されたフレームを真空オーブンに入れ、100℃から300℃まで加熱温度を徐々に上げながら2時間加熱し、その後、徐々に冷却した。冷却後のフィルムをフレームから分離した後、最終熱処理工程として、さらに300℃で30分間熱処理して、ポリイミドフィルムからなる、厚み30μmの基材S-1を得た。
3-アミノプロピルトリメトキシシラン300ミリモル(53.8g)、メチルイソブチルケトン166gを混合し、この溶液を5℃以下に冷却した。冷却した溶液に、2-アクリロイルオキシエチルイソシアネート300ミリモル(42.3g)を滴下し、反応後室温まで上昇させた。
その後、アクリル酸3-(トリメトキシシリル)プロピル300ミリモル(70.3g)、トリエチルアミン7.39g、及びアセトン434gを混合したものを上記溶液に加え、さらに純水73.9gを、滴下ロートを使用して30分かけて滴下した後50℃に加熱し、重縮合反応を10時間行った。
その後、反応溶液を冷却し、1N(mol/L)塩酸水溶液12mLで中和後、1-メトキシ-2-プロパノール600gを添加後、30mmHg、50℃の条件で濃縮し、固形分濃度30質量%の2-メトキシ-1-プロパノール溶液として透明液状の生成物であるポリオルガノシルセスキオキサン(SQ1-1)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl3,ppm):δ6.3-6.5(d,アクリル部CH2=CHCO2),δ6.0-6.2(m,アクリル部CH2=CHCO2),δ5.8-5.9(m,アクリル部CH2=CHCO2),δ4.0-4.3(m,アクリル部の隣CH2=CHCO2CH2、ウレア部のNH),δ2.8-3.6(m,ウレア部の隣CH2),δ1.4-1.8(m,シリル部の隣CH2),δ0.4-0.8(m,メチレン部CH2CH2CH2Si).
アクリル酸2-ヒドロキシエチル300ミリモル(34.8g)、メチルイソブチルケトン100g、イソシアナトプロピルトリメトキシシラン300ミリモル(61.5g)、ネオスタンU-600 50mgを混合し、60℃で5時間反応させた。
その後、アクリルアミド3-(トリメトキシシリル)プロピル300ミリモル(70.0g)、トリエチルアミン7.39g、及びアセトン434gを混合したものを上記溶液に加え、さらに純水73.9gを、滴下ロートを使用して30分かけて滴下した後50℃に加熱し、重縮合反応を10時間行った。
その後、反応溶液を冷却し、1N塩酸水溶液12mLで中和後、1-メトキシ-2-プロパノール600gを添加後、30mmHg、50℃の条件で濃縮し、固形分濃度30質量%の2-メトキシ-1-プロパノール溶液として透明液状の生成物であるポリオルガノシルセスキオキサン(SQ3-1)を得た。
上記ポリオルガノシルセスキオキサン(SQ3-1)の合成において、アクリルアミド3-(トリメトキシシリル)プロピルをアクリル酸3-(トリメトキシシリル)プロピルに変更した以外は上記ポリオルガノシルセスキオキサン(SQ3-1)の合成と同様にして、ポリオルガノシルセスキオキサン(SQ4-1)を合成した。
アクリルアミド2-ヒドロキシエチル300ミリモル(34.5g)、メチルイソブチルケトン100g、イソシアナトプロピルトリメトキシシラン300ミリモル(61.5g)、ネオスタンU-600 50mgを混合し、60℃で5時間反応させた。
その後、アクリルアミド3-(トリメトキシシリル)プロピル300ミリモル(70.0g)、トリエチルアミン7.39g、及びアセトン434gを混合したものを上記溶液に加え、さらに純水73.9gを、滴下ロートを使用して30分かけて滴下した後50℃に加熱し、重縮合反応を10時間行った。
その後、反応溶液を冷却し、1N塩酸水溶液12mLで中和後、1-メトキシ-2-プロパノール600gを添加後、30mmHg、50℃の条件で濃縮し、固形分濃度30質量%の2-メトキシ-1-プロパノール溶液として透明液状の生成物であるポリオルガノシルセスキオキサン(SQ5-1)を得た。
3-グリシジルプロピルトリメトキシシラン300ミリモル(70.8g)とアクリルアミド3-(トリメトキシシリル)プロピル300ミリモル(70.0g)、トリエチルアミン7.39g、及びアセトン434gを混合したものを上記溶液に加え、さらに純水73.9gを、滴下ロートを使用して30分かけて滴下した後50℃に加熱し、重縮合反応を10時間行った。
その後、アクリル酸0.3ミリモル(21.6g)とp-トルエンスルホン酸50gを添加し、60℃で、10時間反応させた。
その後、反応溶液を冷却し、1N塩酸水溶液12mLで中和後、1-メトキシ-2-プロパノール600gを添加後、30mmHg、50℃の条件で濃縮し、固形分濃度30質量%の2-メトキシ-1-プロパノール溶液として透明液状の生成物であるポリオルガノシルセスキオキサン(SQ6-1)を得た。
3-アミノプロピルトリメトキシシラン300ミリモル(53.8g)、テトラヒドロフラン300g、トリエチルアミン300ミリモル(30.4g)を混合し、この溶液を5℃以下に冷却した。冷却した溶液に、クロロ酢酸クロリド300ミリモル(33.6g)を滴下し、反応後室温まで上昇させた。
得られた溶液に酢酸エチル300g、水300gを添加し、分液後、有機相を濃縮させた。
得られた濃縮物に、テトラヒドロフラン300g、アクリル酸300ミリモル(21.6g)、トリエチルアミン300ミリモル(30.4g)を混合し、50℃で6時間反応させた。その後、酢酸エチル600g、水600gを添加し、分液後、有機相を濃縮させた。
得られた濃縮物に、トリエチルアミン7.39g、及びアセトン434gを混合したものを加え、さらに純水73.9gを滴下ロートを使用して30分かけて滴下した後50℃に加熱し、重縮合反応を10時間行った。その後、反応溶液を冷却し、1N塩酸水溶液12mLで中和後、1-メトキシ-2-プロパノール600gを添加し、30mmHg、50℃の条件で濃縮して、固形分濃度30質量%の2-メトキシ-1-プロパノール溶液として透明液状の生成物であるポリオルガノシルセスキオキサン(SQ7-1)を得た。
(SQ7-1)の重縮合反応前の濃縮物にアクリルアミド3-(トリメトキシシリル)プロピル300ミリモル(70.0g)を加え、その後、(SQ7-1)と同様の重縮合反応により、固形分濃度30質量%の2-メトキシ-1-プロパノール溶液として透明液状の生成物であるポリオルガノシルセスキオキサン(SQ8-1)を得た。
アクリル酸2-ヒドロキシエチル600ミリモル(69.6g)、メチルイソブチルケトン200g、イソシアナトプロピルトリメトキシシラン600ミリモル(123.0g)、ネオスタンU-600 50mgを混合し、60℃で5時間反応させた。
その後、トリエチルアミン7.39g、及びアセトン434gを混合したものを上記溶液に加え、さらに純水73.9gを、滴下ロートを使用して30分かけて滴下した後50℃に加熱し、重縮合反応を10時間行った。
その後、反応溶液を冷却し、1N塩酸水溶液12mLで中和後、1-メトキシ-2-プロパノール600gを添加後、30mmHg、50℃の条件で濃縮し、固形分濃度30質量%の2-メトキシ-1-プロパノール溶液として透明液状の生成物であるポリオルガノシルセスキオキサン(SQ-1x)を得た。
3-アミノプロピルトリメトキシシラン600ミリモル(107.6g)、メチルイソブチルケトン332gを混合し、この溶液を5℃以下に冷却した。冷却した溶液に、2-アクリロイルオキシエチルイソシアネート600ミリモル(84.6g)を滴下し、反応後室温まで上昇させた。
その後、トリエチルアミン7.39g、及びアセトン434gを混合したものを上記溶液に加え、さらに純水73.9gを、滴下ロートを使用して30分かけて滴下した後50℃に加熱し、重縮合反応を10時間行った。
その後、反応溶液を冷却し、1N塩酸水溶液12mLで中和後、1-メトキシ-2-プロパノール600gを添加後、30mmHg、50℃の条件で濃縮し、固形分濃度30質量%の2-メトキシ-1-プロパノール溶液として透明液状の生成物であるポリオルガノシルセスキオキサン(SQ-2x)を得た。
アクリルアミド3-(トリメトキシシリル)プロピル600ミリモル(140.0g)、トリエチルアミン7.39g、及びアセトン434gを混合したものを上記溶液に加え、さらに純水73.9gを、滴下ロートを使用して30分かけて滴下した後50℃に加熱し、重縮合反応を10時間行った。
その後、反応溶液を冷却し、1N塩酸水溶液12mLで中和後、1-メトキシ-2-プロパノール600gを添加後、30mmHg、50℃の条件で濃縮し、固形分濃度30質量%の2-メトキシ-1-プロパノール溶液として透明液状の生成物であるポリオルガノシルセスキオキサン(SQ-3x)を得た。
2モル/Lメチルアミンのメタノール溶液120ミリモル(60mL)、メチルイソブチルケトン166gを混合し、この溶液を5℃以下に冷却した。冷却した溶液に、2-アクリロイルオキシエチルイソシアネート120ミリモル(16.9g)を滴下し、反応後室温まで上昇させた。
その後、アクリル酸3-(トリメトキシシリル)プロピル480ミリモル(112.5g)、トリエチルアミン7.39g、及びアセトン434gを混合したものを上記溶液に加え、さらに純水73.9gを、滴下ロートを使用して30分かけて滴下した後50℃に加熱し、重縮合反応を10時間行った。
その後、反応溶液を冷却し、1N塩酸水溶液12mLで中和後、1-メトキシ-2-プロパノール600gを添加後、30mmHg、50℃の条件で濃縮し、固形分濃度30質量%の2-メトキシ-1-プロパノール溶液として透明液状の生成物であるポリオルガノシルセスキオキサン(SQ-4x)を得た。
3-グリシジルプロピルトリメトキシシラン600ミリモル(141.6g)、トリエチルアミン7.39g、及びアセトン434gを混合したものを上記溶液に加え、さらに純水73.9gを、滴下ロートを使用して30分かけて滴下した後50℃に加熱し、重縮合反応を10時間行った。
その後、反応溶液を冷却し、1N塩酸水溶液12mLで中和後、1-メトキシ-2-プロパノール600gを添加後、30mmHg、50℃の条件で濃縮し、固形分濃度30質量%の2-メトキシ-1-プロパノール溶液として透明液状の生成物であるポリオルガノシルセスキオキサン(SQ-5x)を得た。
上述の方法にて算出した各ポリマーの水素結合価、側鎖長、側鎖元素数、及び架橋性基価については、表1に示す。
<樹脂組成物の調製>
(樹脂組成物HC-1)
上記ポリオルガノシルセスキオキサン(SQ1-1)を含有する2-メトキシ-1-プロパノール溶液に、イルガキュア127(Irg.127)(ラジカル重合開始剤)、及びMIBK(メチルイソブチルケトン)を添加し、各含有成分の含有量を以下のように調整し、ミキシングタンクに投入、攪拌した。得られた組成物を孔径0.45μmのポリプロピレン製フィルターで濾過し、樹脂組成物HC-1とした。
イルガキュア127(Irg.127) 5.0質量部
MIBK 4.6質量部
厚さ30μmのポリイミド基材S-1上に上記樹脂組成物HC-1をワイヤーバー#18を用いて、硬化後の膜厚が18μmとなるようにバー塗布し、基材上にハードコート層塗膜を設けた。
次いで、ハードコート層塗膜を120℃で1分間乾燥した後、25℃、酸素濃度100ppm(parts per million)の条件にて空冷水銀ランプを用いて、照度18mW/cm2、照射量160mJ/cm2の紫外線を照射した。このようにしてハードコート層塗膜を硬化して、基材上に、ハードコート層を有する実施例1の積層体(ハードコートフィルム)を得た。
用いるポリオルガノシルセスキオキサン(SQ1-1)を、(SQ1-2)~(SQ8-1)、(SQ-1x)~(SQ-5x)に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2~11、比較例1~5のハードコートフィルムをそれぞれ製造した。
製造した各実施例及び比較例のハードコートフィルムを、以下の方法によって評価した。評価結果を表1に示す。
JIS(JISは、Japanese Industrial Standards(日本工業規格)である) K5400に従い鉛筆硬度評価を行った。各実施例および比較例のハードコートフィルムを、温度25℃、相対湿度60%で2時間調湿した後、ハードコート層の表面の異なる5箇所について、JIS S 6006に規定するH~9Hの試験用鉛筆を用いて4.9Nの荷重にて引っ掻いた。その後、目視で傷が認められる箇所が0~2箇所であった鉛筆の硬度のうち、最も硬度の高い鉛筆硬度を評価結果とした。鉛筆硬度は、「H」の前に記載される数値が高いほど、硬度が高く好ましい。
製造した各実施例及び比較例のハードコートフィルムから幅15mm、長さ150mmの試料フィルムを切り出し、温度25℃、相対湿度65%の状態に1時間以上静置させた。その後、180°耐折度試験機((株)井元製作所製、IMC-0755型)を用いて、基材を内側にして繰り返し折り曲げ耐性の試験を行った。使用した試験機は、試料フィルムを直径4mmの棒(円柱)の曲面に沿わせて曲げ角度180°で長手方向の中央部分で折り曲げた後、元に戻す(試料フィルムを広げる)という動作を1回の試験とし、この試験を繰り返し行うものである。
上記180°折り曲げ試験を30万回以上繰り返し行った場合にクラックが発生しないものをAとし、10万回以上、30万回未満までにクラックが発生したものをBとし、10万回未満までにクラックが発生したものをCとして評価した。
なお、クラックの発生の有無は目視で評価した。
本出願は、2019年5月17日出願の日本特許出願(特願2019-93792)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
Claims (10)
- 水素結合を形成し得る水素原子を含む基を有するポリオルガノシルセスキオキサンを含有する樹脂組成物であって、
前記ポリオルガノシルセスキオキサンの水素結合価が3.0以上であり、側鎖長が14×10-10~19×10-10mであり、架橋性基価が4.5~6.0であり、
前記水素結合価は、下記の式(1)で表され、前記側鎖長は、Si原子から側鎖の末端までの長さを表し、前記架橋性基価は、下記の式(5)で表される、樹脂組成物。
水素結合価=1構成単位中の水素結合を形成し得る水素原子の数/1構成単位の分子量×1000 ・・・(1)
架橋性基価=1構成単位中の架橋性基数/1構成単位の分子量×1000 ・・・(5) - 前記水素結合を形成し得る水素原子を含む基が、アミド基、ウレタン基、ウレア基、及びヒドロキシル基から選ばれる少なくとも1つの基である請求項1に記載の樹脂組成物。
- 前記ポリオルガノシルセスキオキサンが、水素結合を形成し得る水素原子を含む基を有する構成単位(S1)と、前記構成単位(S1)とは別の、架橋性基を有する構成単位(S2)とを含有する請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
- 前記構成単位(S1)が有する水素結合を形成し得る水素原子を含む基が、アミド基、ウレタン基、及びウレア基から選ばれる少なくとも1つの基である請求項3に記載の樹脂組成物。
- 前記構成単位(S1)が、さらに架橋性基を有し、前記架橋性基が(メタ)アクリロイルオキシ基、又は(メタ)アクリルアミド基である請求項3又は4に記載の樹脂組成物。
- 前記構成単位(S2)が有する架橋性基が、(メタ)アクリルアミド基である請求項3~5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 前記ポリオルガノシルセスキオキサンの重量平均分子量が10000~1000000である請求項1~6のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 基材と、請求項1~7のいずれか1項に記載の樹脂組成物の硬化物を含むハードコート層とを有するハードコートフィルム。
- 鉛筆硬度3H以上であり、かつ前記基材を内側にして、曲率半径2mmで180°折り曲げ試験を10万回繰り返し行った場合にクラックが発生しない請求項8に記載のハードコートフィルム。
- 水素結合を形成し得る水素原子を含む基を有するポリオルガノシルセスキオキサンであって、
水素結合価が3.0以上であり、側鎖長が14×10-10~19×10-10mであり、架橋性基価が4.5~6.0であり
前記水素結合価は、下記の式(1)にて表され、前記側鎖長は、前記側鎖長は、Si原子から側鎖の末端までの長さを表し、前記架橋性基価は、下記の式(5)で表される、ポリオルガノシルセスキオキサン。
水素結合価=1構成単位中の水素結合を形成し得る水素原子の数/1構成単位の分子量×1000 ・・・(1)
架橋性基価=1構成単位中の架橋性基数/1構成単位の分子量×1000 ・・・(5)
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