JP7141569B2 - 電解システム及びその使用方法 - Google Patents
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Description
また、連続運転条件の場合でも、停電や機器故障等によって、想定外の面圧変動が発生し、同様の問題が発生する可能性がある。
[1]
電極を含み、前記電極からガスを発生する電解槽、及び
前記ガスの圧力に応じて前記電解槽の締め付け荷重を制御する締め付け手段を含む、ことを特徴とする電解システム。
[2]
前記締め付け荷重が、前記ガスの圧力に比例して変化する、[1]に記載の電解システム。
[3]
前記ガスの圧力が所定範囲にあるとき、前記締め付け荷重を一定値に保持する、[1]に記載の電解システム。
[4]
電解電流値を参照することにより、前記締め付け荷重を補正制御する、[1]に記載の電解システム。
[5]
前記締め付け手段にアキュムレータが含まれる、[1]~[4]のいずれかに記載の電解システム。
[6]
前記アキュムレータの容積が0.1L以上100L以下である、[5]に記載の電解システム。
[7]
前記締め付け手段が、油圧式の締め付け手段である、[1]~[6]のいずれかに記載の電解システム。
[8]
前記電解槽が、少なくとも1つの電解セルと、前記少なくとも1つの電解セルを挟むようにして前記電解槽の両端に配置された2つのプレス板とを備え、
前記2つのプレス板の一方と、前記油圧式の締め付け手段とが連結しており、
前記少なくとも1つの電解セルと前記2つのプレス板との間のうち、少なくとも、前記油圧式の締め付け手段と連結しているプレス板と前記少なくとも1つの電解セルとの間に、断熱部材を備える、[7]に記載の電解システム。
[9]
アルカリ水電解用である、[1]~[8]のいずれかに記載の電解システム。
[10]
[1]~[9]のいずれかに記載の電解システムの使用方法。
本実施形態の電解システムは、電極を含み、前記電極からガスを発生する電解槽、及び前記ガスの圧力に応じて前記電解槽の締め付け荷重を制御する締め付け手段を含む。上記電解システムは、上記電解槽と締め付け手段とを含み、さらに、電源、整流器、検知器、アキュムレータ、補助電源制御器、電解液循環ポンプ、気液分離タンク、電流測定器、電解液制御器、ガス精製装置等を含んでいてもよい。
電解システム70は、電解槽50と、電解槽50の締め付け荷重を制御する締め付け手段90とを備える。電解システム70は、さらに、電解槽から排出される電解液とガスとの混合物から電解液とガスとを分離する気液分離タンク72、電解槽の電極から発生したガスの圧力を測定する圧力計78を備えていてよい。
電解運転中の電解槽50は、締め付け荷重Fcで締め付けられている。そして、電解槽の外枠周りに設けられるガスケット7は、締め付け面圧Pgで締め付けられている。電解槽内部には、電解液による平均液頭圧力Plと、電極から発生したガスに起因する内部ガス圧力Poとが作用する。Fc、Pg、Pl、Poは、以下の関係にある。
Fc=Pg×Sg-(Po+Pl)×So
(式中、Sgはガスケットのシール面積を表し、Soはガスの受圧面積を示す。これらの面積は電解槽運転・停止に関わらず、一定とみなせる。)
また、電気抵抗を下げて電解効率を高めるとともに、過剰熱を除去するため、通常、電解液は一定レベルを保つよう制御される。したがって、電解液のレベルに直接比例する平均液頭圧力Plは一定とみなせる。以上の結果から、内部ガス圧力Poの変動が起こった場合、締め付け荷重Fcが一定のままだと、ガスケットの締め付け面圧Pgが変動してしまい、電解槽の締め付け不足や締め付け過剰が起こってしまう。
これに対し、本実施形態の電解システムによれば、内部ガス圧力Poをリアルタイムに測定し、測定したガス圧力値Poに応じて電解槽の締め付け荷重Fcを制御することを特徴としている。この結果、ガスケット締め付け面圧Pgをほぼ一定の範囲に保つことができ、電解運転の信頼性を向上させることができる。
なお、上記ではアルカリ電解槽を例に説明をしたが、固体高分子型や固体酸化物型など、内圧が変化し、シール構造を持った電解槽ならば適用先を問わない。
締め付け手段90としては、油圧式(図1)、空気圧式、水圧式等が挙げられる。中でも、応答性が早く、温度変化に影響されにくい油圧式の締め付け手段が好ましい。
締め付け手段90は、停電等で圧力を維持できなくなる場合に備えて、アキュムレータ(蓄圧器)96を備えていてもよい。
アキュムレータは、一般に、鋼製容器と、当該容器内に収納されたブラダ(ゴム製隔膜)とで構成されている。容器には作動流体の接続口と気体の給気口とが備えられており、ブラダを介して作動流体と気体が隔離される構造となっている。作動流体は前述の通り、油や水などから選定され、気体は一般に窒素ガスなどの不活性ガスが選定される。
気体の圧縮率(一様な圧力を受けた場合の体積変化率)は、水や油などよりも遥かに大きい。このため、作動流体の圧力変化に合わせてブラダの体積が柔軟に変化し、圧力変動を緩和することができる。
例えば、停電時にはポンプ95が停止してしまうため、遮断弁92を締め切ったとしても、電解槽50の温度低下によってシリンダー91が徐々に伸びていく。この結果、締め付け圧力が保持できなくなり、最終的に電解槽50からの液漏れ、ガス漏れに至ってしまう可能性がある。
これに対し、アキュムレータ96を備えることで、シリンダー91の伸びに応じて気体を充てんしたブラダが膨らんでいき、締め付け圧力を長時間保持することができる。
アキュムレータ96の容積は、電解槽50や締め付け手段90の設計によって異なるが、0.1L以上100L以下であることが好ましく、より好ましくは1L以上50L以下であり、さらに好ましくは2L以上20L以下である。
電解槽50の内部ガス圧力は圧力計78と同じとみなしてよい。すなわち、圧力計78の計測値の上昇を検知した場合、締め付け手段90は逃し弁93の開度制御を行ってシリンダー91に作用する油圧を増加させることで、電解槽50の締め付け面圧を一定に保つことができる。
内部ガス圧力の増加に対して油圧が増加する割合としては、例えば、内部ガス圧力の増加に対して、締め付け荷重を直線的に増加させてもよいし(図6の油圧制御1)、曲線的に増加させてもよい。
一方、内部ガス圧力が低下した時は、シリンダー91の油圧を低下させることで電解槽50の締め付け面圧を一定に保つことができる。
上記締め付け手段は、電解電流値を参照することにより、上記締め付け荷重を補正制御することができる。より高度な制御として、電解電流値を用いたフィードフォワード制御も適用できる。すなわち、電解電流値と発生ガス量とが比例関係にあることを利用した先読み制御である。フィードフォワード制御は、出力変動速度が非常に大きく、ガス圧力によるフィードフォワード制御では遅れが生じてしまう電解システムに好ましい。
また、ガス圧力を大気開放した場合も、液漏れなどを起こさない最小限の面圧を維持するため、低圧側に不感帯を設ける方法も取ることができる。図6の例では、ガス圧力が低い場合に油圧を5.6MPaGの一定値とする不感帯を設けている。
不感帯の内部ガス圧力の範囲は、電解槽の構造、電力源の種類や規模、発生するガスの種類等に応じて決めてよい。
不感帯の設定幅として、設計面圧に対し±20%程度とすることが好ましく、設計面圧に対し±10%とすることがより好ましい。
図2に、本実施形態の電解システムの一例を示す。
電解システム70は、電解槽50、電解槽50の締め付け荷重を制御する締め付け手段90を含み、さらに供給電源74、電解液循環ポンプ71、気液分離タンク72(72h、72o)、濃度計75、76、流量計77、圧力計78、熱交換器79、配管81、圧力制御弁80等を含んでいてよい。
なお、図1中の矢印は、電解液又は気体が流れる方向である。
例えば、複極式は、多数の電極エレメントを電源に接続する方法の1つであり、片面が陽極2a、片面が陰極2cとなる複数の複極式エレメント60を、隔膜4を挟んで同じ向きに並べて直列に接続し、両端のみを電源に接続する方法である(図3)。上記電解槽としては、例えば、隣り合う2つのエレメント(例えば、陽極ターミナルエレメント51a、複極式エレメント60、及び陰極ターミナルエレメント51cのうちの隣り合う2つのエレメント等)において、隔膜4を挟んで一方のエレメントの陽極2aと他方のエレメントの陰極2cとを並べる構造を少なくとも1つ有する電解槽が挙げられる。隔膜4は、電解槽内の全ての隣り合う2つのエレメント間に設けられていることが好ましい。
複極式電解槽は、電源の電流を小さくできるという特徴を持ち、電解により化合物や所定の物質等を短時間で大量に製造することができる。電源設備は出力が同じであれば、低電流、高電圧の方が安価でコンパクトになるため、工業的には単極式よりも複極式の方が好ましい。
図3に示す電解槽50は、複極式電解槽である。電解槽50は、一端からファストヘッド51h、絶縁板51i、陽極ターミナルエレメント51aが順番に並べられ、更に、陽極側ガスケット部分7、隔膜4、陰極側ガスケット部分7、複極式エレメント60が、この順番で並べて配置される。このとき、複極式エレメント60は陽極ターミナルエレメント51a側に陰極2cを向けるよう配置する。陽極側ガスケット部分7から複極式エレメント60までは、設計生産量に必要な数だけ繰り返し配置される。陽極側ガスケット部分7から複極式エレメント60までを必要数だけ繰り返し配置した後、再度、陽極側ガスケット部分7、隔膜4、陰極側ガスケット部分7を並べて配置し、最後に陰極ターミナルエレメント51c、絶縁板51i、ルーズヘッド51gをこの順番で配置される。
複極式電解槽は、全体をタイロッド方式51r(図3参照)や油圧シリンダー方式等の締め付け手段により締め付けることにより一体化され、複極式電解槽となる。
複極式エレメント60は、陽極2aと、陰極2cと、陽極2aと陰極2cとを隔離する隔壁1と、隔壁1を縁取る外枠3とを備えている。各複極式エレメント60は、隔膜4を挟んで重ね合わせられている。
複極式電解槽を構成する配置は、陽極2a側からでも陰極2c側からでも任意に選択でき、上述の順序に限定されるものではない。
本実施形態では、特に、複極式電解槽50における、隣接する2つの複極式エレメント60間の互いの隔壁1間における部分、及び、隣接する複極式エレメント60とターミナルエレメントとの間の互いの隔壁1間における部分を電解セル65と称する(図4)。電解セル65は、一方の複極式エレメントの隔壁1、陽極室5a、陽極2a、及び、隔膜4、及び、他方の複極式エレメントの陰極2c、陰極室5c、隔壁1を含む。
なお、陽極と陰極の剛性を高め、2つの電極を押しつけても変形が少ない構造とし、電極室内に流れる電解液の方向を制御する観点から、電極は、整流板6(リブ)を設けてもよい(図4)。また、同様の理由から、整流板6(リブ)の先端に集電体2rを取り付け、その集電体2rの上面側、つまり、隔壁1側とは反対となる側に導電性弾性体2eを取り付け、さらに、その上面側、つまり、導電性弾性体2eに隣接して隔膜4側となる部分に電極2を重ねた少なくとも3層構造としてもよい。
内部ヘッダー型とは、電解槽50とヘッダー(電解液を配液又は集液する管)とが一体化されている形式をいう。例えば、内部ヘッダー型電解槽では、陽極入口ヘッダー及び陰極入口ヘッダーが、隔壁1内及び/又は外枠3内の下部に設けられ、且つ、隔壁1に垂直な方向に延在するように設けられ、また、陽極出口ヘッダー及び陰極出口ヘッダーが、隔壁1内及び/又は外枠3内の上部に設けられ、且つ、隔壁1に垂直な方向に延在するように設けられる。
外部ヘッダー型とは、電解槽50とヘッダー(電解液を配液又は集液する管)とが独立している形式をいう。例えば、外部ヘッダー型電解槽は、陽極入口ヘッダー及び陰極入口ヘッダー、陽極出口ヘッダー及び陰極出口ヘッダーが、電解槽の通電面に対し、垂直方向に、電解槽と並走する形で、独立して設けられる。これらのヘッダーと、各複極式エレメントが、ホースで接続される。
上記電極の種類としては、電解反応の種類に応じて適宜選択することができる。例えば、水電解装置である場合は、陽極で酸素ガス、陰極で水素ガスが発生する電極を選択することができる。また、食塩電解装置である場合は、陽極で塩素ガス、陰極で水素ガスが発生する電極を選択することができる。
また、陰極の触媒層は、水素発生能が高いことが好ましく、ニッケル、コバルト、鉄、又は白金族元素等を用いることができる。
隔壁1の材料としては、電力の均一な供給を実現する観点から、導電性を有する材料が好ましく、耐アルカリ性や耐熱性といった面から、ニッケル、ステンレス、ニッケル合金、鋼やニッケル合金上にニッケルメッキを施したものが好ましい。
上記隔膜4としては、イオンを導通しつつ、発生するガス(例えば、アルカリ水電解の場合は水素ガスと酸素ガス)を隔離するために、イオン透過性の隔膜4が使用することが好ましい。このイオン透過性の隔膜4としては、イオン交換能を有するイオン交換膜、電解液を浸透することができる多孔膜等を用いることができる。このイオン透過性の隔膜4は、ガス透過性が低く、イオン伝導率が高く、強度が強いものが好ましい。
電解槽50では、図3、4に示すように、隔壁1を縁取る外枠3同士の間に、隔膜4と共にガスケット7が挟持されることが好ましい。ガスケットは、複極式エレメント60と隔膜4との間、複極式エレメント60間を電解液と発生ガスに対してシールするために使用され、電解液や発生ガスの電解槽外への漏れや両極室間におけるガス混合を防ぐことができる。
ガスケットの材質としては、例えば、EPDMゴム等のゴムが挙げられる。
(1)電解により電解セルの温度が上昇すると、熱伝導により締め付け手段90の油温も上昇し、アキュムレータ96に封入されたガスの温度も上昇する。
(2)アキュムレータ96に封入されたガスが温度上昇により膨張すると、油圧が上昇し、電解槽50の締め付け面圧が上昇する。その結果、ガスケット7が締め付け方向に圧縮され、ガスケット7が締め付け面の外に逃げる(はみ出す)ようになる。
(3)電解が終了して電解セルの温度が低下すると、締め付け手段90の油温も低下し、アキュムレータ96に封入されたガスの温度も低下する。
(4)アキュムレータ96に封入されたガスが温度低下により収縮すると、油圧が低下し、電解槽50の締め付け面圧も低下する。しかしながら、一旦外にはみ出したガスケット7は、抵抗が大きいため元の電解前の状態に戻ることができず、外にはみ出した状態のままとなる。
(5)(1)~(4)の繰返しにより、ガスケット7のはみ出しが進行する。ガスケット7のはみ出しが進行すると、シール性が失われ、電解液や発生ガスの漏れが生じるおそれがある。加えて、ガスケット7のはみ出しが進行することにより締め付け荷重を受けるガスケット7の受圧面積が縮小し、ガスケット7の締め付け面圧が過剰となるおそれがある。過剰な締め付け面圧はガスケット7の割れを引き起こし、この割れもまたシール性を失う要因となる。
少なくとも、電解セルと、油圧式締め付け手段90に連結するプレス板との間に断熱部材を備えることにより、電解中に電解セルが高温になった際に、電解槽から油圧式締め付け手段90への熱伝導を低減することができる。これにより、上記(1)~(4)に記載されるような油圧の変化を低減することができるため、特に油圧自動制御機構の無い油圧式締め付け手段90を用いた電解システムにおいて有効である。また、油圧自動制御機構を有する油圧式締め付け手段90を備えた電解槽システムにおいても、停電時など、アキュムレータ96のみによって油圧を保持する状態となった場合に有効である。また、油圧の変化を低減することにより、ガスケット7が圧縮されて外にはみ出るのを防ぐことができるため、ガスケット7のシール性喪失を低減することができる。
プレス板は、電解セルを挟むようにして電解槽50の両端に配置され、油圧式締め付け手段90からの締め付け荷重により電解槽50に締め付け面圧を与える。
プレス板としては、例えば、図3の電解槽50におけるファストヘッド51h及びルーズヘッド51g(但し、電解槽50の締め付け手段はタイロッド式から油圧式に変更)がこれに相当し、また、例えば、図5のルーズヘッド51gが、油圧式締め付け手段90に連結するプレス板に相当する。
プレス板の材質としては、特に制限されるものではなく、従来公知のものを使用することができる。具体的には、ステンレス鋼、機械構造用炭素鋼、ニッケル等が挙げられる。
断熱部材は、電解セル(複数の電解セルが連結している場合は、連結した電解セルスタック)とプレス板との間に配置されて、電解中の電解セルからプレス板への熱伝導を低減する。これにより、電解中に電解セルが高温になった際に、プレス板を介した電解セルから油圧式締め付け手段90への熱伝導を低減することができ、油温の上昇を抑えることができる。
断熱部材は、少なくとも、油圧式締め付け手段90と連結している方のプレス板と電解セル(複数の場合は電解セルスタック)との間に配置されていればよいが、両方のプレス板と電解セル(複数の場合は電解セルスタック)との間に配置されている方がより好ましい。
断熱部材の材質としては、熱伝導率が小さいものが好ましく、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ塩化ビニル、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリオキシメチレン(POM)等が挙げられる。中でも、熱伝導率が低く、電気絶縁性も期待できるPTFE、ポリ塩化ビニルが好ましい。
また、断熱部材の電解温度における熱伝導率Aは、プレス板の電解温度における熱伝導率Bよりも小さいことが好ましい。熱伝導率Aが熱伝導率Bよりも小さいことにより、プレス板に接続している油圧式締め付け手段90への熱伝導が低減し、油温の上昇を低減することができるため、アキュムレータ96に封入されたガスの温度上昇及び膨張を低減することができ、油圧の上昇を防ぐことができる。
なお、上記熱伝導率は、保護熱板法などの定常法により測定される値である。
なお、上記体積抵抗率は、定電圧印加/漏洩電流測定方式により測定される値である。
断熱部材は、電気絶縁性も有する場合、絶縁板(例えば、図3の電解槽50における絶縁板51i、但し、電解槽50の締め付け手段はタイロッド式から油圧式に変更)を兼ねてもよい。また、断熱部材と絶縁板の両方を備える場合、断熱部材、絶縁板、プレス板の順に配置されていてもよいし、絶縁板、断熱部材、プレス板の順に配置されていてもよい。
圧力計78は、電解槽内に設置してもよいし、電解槽外に設置してもよい。ただし、電解槽本体は電圧が印加されるため、電送式の圧力計の設置が不適な場合があることから、電解槽外に圧力計を設置されることが一般的である。出口配管に大きな圧損が発生するようなシステムでない限り、電解槽内のガス圧力と電解槽下流のガス圧力はほぼ等しいとみなしてよい。
上記電解液循環ポンプ71としては、特に限定されず、適宜定められてよい。
上記電解液循環ポンプ71により、電解槽50中及び配管81を流れる電解液を循環させることができる。
上記気液分離タンク72は、電解液と電解槽で発生する気体とを分離するタンクであることが好ましく、電解槽の陽極で発生する気体と電解液とを分離する陽極側気液分離タンク72o及び電解槽の陰極で発生する気体と電解液とを分離する陰極側気液分離タンク72hであることが好ましい。
例えば、アルカリ水電解の場合、陽極で酸素、陰極で水素が発生する。この場合、上記陽極側気液分離タンク72oは酸素分離タンクであり、上記陰極側気液分離タンク72hは水素分離タンクである。
上記配管81としては、特に限定されず、適宜定められてよい。
上記配管81は、電解液を電解槽50外へ流す配管である。例えば、図1に示すように、電解槽50と気液分離タンク72、気液分離タンク72と電解液循環ポンプ71、電解液循環ポンプ71と電解槽50とをつなぐことができる。
なお、気液分離タンク72で分離した気体と圧力計78、圧力制御弁80、濃度計75、76は、気体用の管でつながれていることが好ましい。
上記供給電源は、直流電源であることが好ましい。
なお、停電時や電源停止時等の供給電源からの電力の供給が止まった際等にも電解槽の締め付けの変動が発生することがあるため、一定電源を用いる場合でも本発明は有効である。上記一定電源としては、グリッドを通して供給される電力の電力源、蓄電池電源等が挙げられる。グリッドを通して供給される電力源は、火力、原子力等の安定な電力源由来の電源であってもよいし、再生可能エネルギー出力由来等の変動電源と安定な電源由来の電源との組み合わせであってもよい。
本実施形態の使用方法は、上述の本実施形態の電解システムを用いる。
例えば、電解槽に電力を供給して、電解槽で電解反応を生じさせ、電極から発生するガス圧力に応じて電解槽の締め付け荷重を制御させて用いる。
アルカリ水電解である場合、電解液として、アルカリ塩が溶解したアルカリ性の水溶液を用いてよく、NaOH水溶液、KOH水溶液等を使用し、陰極で発生する水素ガスの製造、及び/又は陽極で発生する酸素ガスの製造に用いてよい。
固体高分子水電解である場合、陽極上での水の電気分解とイオン交換膜を通じたプロトン移動により、陰極で発生する水素ガスの製造、及び/又は陽極で発生する酸素ガスの製造に用いてよい。
食塩電解である場合、電解液として、塩水、及びNaOHを使用し、陰極で発生する水素ガスの製造、及び/又は陽極で発生する塩素ガスの製造に用いてよい。
このガス圧力変動に対し、図6の2種類の油圧制御方法を適用したシミュレーション結果を図8、9にそれぞれ示す。水素ガス圧力に応じて締め付け装置の油圧を直線的に増加させる油圧制御1を適用した実施例(図8)では、ガス圧力の変動に応じて油圧も細かく上下するが、締め付け面圧は2MPaで変動はほとんど起きない。
一方、不感帯を設けた油圧制御2を適用した実施例(図9)では、大きなガス圧力変動に対しては油圧が応答しているが、ガス圧力の細かな変動に対し、油圧は反応しないことが分かる。この結果、締め付け面圧にガス圧力変動が反映されるが、2MPa±0.2MPaの範囲の変動にとどまっているので、気密性や部材損傷などの悪影響は無いものとみなせる。
停電が起きると、油圧ポンプ95が停止するが、自動的に遮断弁92も閉止し、油圧シリンダー91内の油圧を保つように作用する。続いて、電解槽50内の水素ガス、酸素ガスが安全のために自動的に大気中へ開放される。この結果、油圧はガスケット7が単独で受けることとなり、ガスケット7の締め付け面圧が上昇する。
さらに時間が経過すると、発熱源が無いので電解槽50の温度は徐々に低下し、熱収縮によって電解槽50の長さが短くなる。この結果、油圧シリンダー91が徐々に伸びる(例えば、図1の場合は、油圧シリンダー91のピストンが徐々に右へ移動する)が、油圧供給源が無いため、油圧は急激に低下する。このため、アキュムレータ96無しの油圧式締め付け手段90を用いた場合のシミュレーション結果(図10A)では、およそ30時間後にガスケット7の締め付け面圧が下限値1.5MPaに達し、さらに停電が長時間に亘った場合、電解液漏れなどの事象発生が懸念される面圧に達しうる。
一方、アキュムレータ96を備える油圧式締め付け手段90を用いた場合、油圧シリンダー91が伸びた分、アキュムレータ96内に封入されたガス(ガスバッグ)が膨らむことで、油圧は高いレベルを維持することができる。そのため、アキュムレータ96を備える場合のシミュレーション結果(図10B及び図10C)では、100時間経過後も十分な締め付け面圧を保つことが確認された。なお、図10Bは容積が5Lのアキュムレータ96を用いた場合、図10Cは容積が10Lのアキュムレータ96を用いた場合のシミュレーション結果である。
2 電極
2a 陽極
2c 陰極
2e 導電性弾性体
2r 集電体
3 外枠
4 隔膜
5 電極室
6 リブ
7 ガスケット
50 電解槽
51h ファストヘッド
51g ルーズヘッド
51i 絶縁板
51a 陽極ターミナルエレメント
51c 陰極ターミナルエレメント
51r タイロッド
60 複極式エレメント
65 電解セル
70 電解システム
71 電解液循環ポンプ
72 気液分離タンク
72h 陰極側気液分離タンク
72o 陽極側気液分離タンク
74 供給電源
75 濃度計
76 濃度計
77 流量計
78 圧力計
79 熱交換器
80 圧力制御弁
81 配管
90 締め付け手段
91 シリンダー
92 遮断弁
93 逃がし弁
94 タンク
95 ポンプ
96 アキュムレータ
Z ゼロギャップ構造
Claims (10)
- 電極を含み、前記電極からガスを発生する電解槽、及び
前記ガスの圧力に応じて前記電解槽の締め付け荷重を制御する締め付け手段を含む、ことを特徴とする電解システム。 - 前記締め付け荷重が、前記ガスの圧力に比例して変化する、請求項1に記載の電解システム。
- 前記ガスの圧力が所定範囲にあるとき、前記締め付け荷重を一定値に保持する、請求項1に記載の電解システム。
- 電解電流値を参照することにより、前記締め付け荷重を補正制御する、請求項1に記載の電解システム。
- 前記締め付け手段にアキュムレータが含まれる、請求項1~4のいずれか一項に記載の電解システム。
- 前記アキュムレータの容積が0.1L以上100L以下である、請求項5に記載の電解システム。
- 前記締め付け手段が、油圧式の締め付け手段である、請求項1~6のいずれか一項に記載の電解システム。
- 前記電解槽が、少なくとも1つの電解セルと、前記少なくとも1つの電解セルを挟むようにして前記電解槽の両端に配置された2つのプレス板とを備え、
前記2つのプレス板の一方と、前記油圧式の締め付け手段とが連結しており、
前記少なくとも1つの電解セルと前記2つのプレス板との間のうち、少なくとも、前記油圧式の締め付け手段と連結しているプレス板と前記少なくとも1つの電解セルとの間に、断熱部材を備える、請求項7に記載の電解システム。 - アルカリ水電解用である、請求項1~8のいずれか一項に記載の電解システム。
- 請求項1~9のいずれか一項に記載の電解システムの使用方法。
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