JP2021161498A - 電解槽、電解装置、電解方法 - Google Patents

電解槽、電解装置、電解方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、リーク電流の発生が抑制されてガス純度の悪化が防止され、電解セルの薄型化及び加圧運転が可能なアルカリ水電解用複極式電解槽、アルカリ水電解用複極式電解装置、及びアルカリ水電解方法を提供することを目的とする。【解決手段】陽極と、陰極と、陽極と陰極とを隔離する隔壁と、隔壁を縁取る外枠とを備える複数の複極式エレメントが隔膜を挟んで重ね合わせられ、外枠の外方に、隔壁と外枠と隔膜とにより画成される電極室に連通する入口ヘッダーと、隔壁及び/又は外枠の内方に、隔壁と外枠と隔膜とにより画成される電極室に連通する出口ヘッダーと、を備えることを特徴とする、アルカリ水電解用複極式電解槽。【選択図】図3

Description

本発明は、アルカリ水電解用複極式電解槽、アルカリ水電解用複極式電解装置、アルカリ水電解方法に関する。
近年、二酸化炭素等の温室効果ガスによる地球温暖化、化石燃料の埋蔵量の減少等の問題を解決するため、再生可能エネルギーを利用した風力発電や太陽光発電等の技術が注目されている。
再生可能エネルギーは、出力が気候条件に依存するため、その変動が非常に大きいという性質がある。そのため、再生可能エネルギーによる発電で得られた電力を一般電力系統に輸送することが常に可能とはならず、電力需給のアンバランスや電力系統の不安定化等の社会的な影響が懸念されている。
そこで、再生可能エネルギーから発電された電力を、貯蔵及び輸送が可能な形に代えて、これを利用しようとする研究が行われている。具体的には、再生可能エネルギーから発電された電力を利用した水の電気分解(電解)により、貯蔵及び輸送が可能な水素を発生させ、水素をエネルギー源や原料として利用することが検討されている。
水素は、石油精製、化学合成、金属精製等の場面において、工業的に広く利用されており、近年では、燃料電池車(FCV)向けの水素ステーションやスマートコミュニティ、水素発電所等における利用の可能性も広がっている。このため、再生可能エネルギーから特に高純度の水素を得る技術の開発に対する期待は高い。
水の電気分解の方法としては、固体高分子型水電解法、高温水蒸気電解法、アルカリ水電解法等がある。この中で、数十年以上前から工業化されていること、大規模に実施することができること、他の水電解装置に比べると安価であること等から、アルカリ水電解は特に有力なものの一つとされている。
しかしながら、アルカリ水電解を今後エネルギーの貯蔵及び輸送のための手段として適応させるためには、前述のとおり出力の変動が大きい電力を効率的且つ安定的に利用して水電解を行うことを可能にする必要がある。そのため、アルカリ水電解用の電解セルや装置の諸課題を解決することが求められている。
例えば、アルカリ水電解用複極式電解装置において、電解液を配液又は集液する管であるヘッダー(マニホールド)の流路の長さや断面積、通電面の面積を調節することにより、装置の電気抵抗を調整し、リーク電流(逆電流)による電極の劣化を抑制して、装置の耐久性の向上を図ることが報告されている(特許文献1及び2)。
上記ヘッダーとしては、その配設態様により、代表的には、電解槽と一体化している(電解槽内部に設けられている)内部ヘッダー型と、電解槽とは独立している(電解槽の外部に設けられている)外部ヘッダー型とがある。
特開第2019−019379号公報 国際公開第2018/139597号
内部ヘッダー型アルカリ水電解用複極式電解槽の場合、リーク電流が大きくなり易く、このリーク電流により、陰極側で水素ガスの他に酸素ガスも発生する、或いは、陽極側で酸素ガスの他に水素ガスも発生することで、水素ガスと酸素ガスとの混合ガスが生成され、ガス純度が悪化するという問題がある。また、水素ガスと酸素ガスとの混合ガスは、爆発性ガスであるため、安全面でも問題である。
このリーク電流を小さくする手段の一つとして、電気抵抗を大きくすることが挙げられる。電気抵抗は、ヘッダーの流路の断面積と電解セルの厚さで決まるため、電気抵抗を大きくするには、ヘッダーの流路の断面積を小さくしたり、電解セルの厚みを増やしたりするといった設計上の調整をすることが考えられる。しかしながら、内部ヘッダー型アルカリ水電解用複極式電解槽では、その構造上、これらの設計調整が困難である。
また、内部ヘッダーの配管において均一な流量配分を得るには、内部ヘッダーの配管の各電解セル入口における流体的な抵抗が大きいことが求められる。内部ヘッダーの配管には、電解液や発生したガスを流出入させるための孔(切り欠き)があり、この孔の数を増やしたり、大きさを小さくしたりすることで各電解セル入口における流体的な抵抗を上げることが可能であるが、内部ヘッダーの構造上、これらの調整は非常に狭い範囲でしか行うことができず、困難である。更に、孔が小さ過ぎると、異物等による詰まりが生じることがあるが、内部ヘッダーでは、構造上、この孔の詰まりの視認性が悪く、詰まりの解消のためには電解槽を解枠する必要がある。
一方、外部ヘッダー型アルカリ水電解用複極式電解槽では、収集する発生ガスの体積を考慮して、入口ヘッダー(ホース)よりも出口ヘッダー(ホース)を太くしなければならない。しかしながら、出口ヘッダーの太径化に合わせて出口ヘッダーを接続するためのノズルを太くし過ぎると、ノズル同士の干渉が生じるという問題がある。更に、このノズル同士の干渉を解消するために電解セルを厚くしていくと、電解槽全体が肥大化するという問題も生じる。
また、出口ヘッダー(ホース)は、径が太くなるほど耐圧性が弱くなり、加圧運転に耐え得るものとするには、耐圧性を向上させるために出口ヘッダーを肉厚化する等が必要となる。
そこで、本発明は、リーク電流の発生が抑制されてガス純度の悪化が防止され、電解セルの薄型化及び加圧運転が可能なアルカリ水電解用複極式電解槽、アルカリ水電解用複極式電解装置、及びアルカリ水電解方法を提供することを目的とする。
即ち、本発明は以下のとおりである。
[1]
陽極と、陰極と、前記陽極と前記陰極とを隔離する隔壁と、前記隔壁を縁取る外枠とを備える複数の複極式エレメントが隔膜を挟んで重ね合わせられ、
前記外枠の外方に、前記隔壁と前記外枠と前記隔膜とにより画成される電極室に連通する入口ヘッダーと、前記隔壁及び/又は外枠の内方に、前記隔壁と前記外枠と前記隔膜とにより画成される電極室に連通する出口ヘッダーと、を備えることを特徴とする、アルカリ水電解用複極式電解槽。
[2]
前記複極式エレメントの通電面の面積をS1、前記入口ヘッダーの流路の断面積をS2i、前記出口ヘッダーの流路の断面積をS2o、前記入口ヘッダーの流路の長さをL2i、前記出口ヘッダーの流路の長さをL2oとしたときに、((S2i/S1)/L2i)/((S2o/S1)/L2o)が0.0001〜0.5である、[1]に記載のアルカリ水電解用複極式電解槽。
[3]
50〜500の複極式エレメントを有する、[1]又は[2]に記載のアルカリ水電解用複極式電解槽。
[4]
前記S1が0.1〜10mである、[2]又は[3]に記載のアルカリ水電解用複極式電解槽。
[5]
電解セルの厚さdが5〜100mmである、[1]〜[4]のいずれかに記載のアルカリ水電解用複極式電解槽。
[6]
前記入口ヘッダーの耐圧が0.1〜10MPaである、[1]〜[5]のいずれかに記載のアルカリ水電解用複極式電解槽。
[7]
前記入口ヘッダーの少なくとも一部が可撓性素材である、[1]〜[6]のいずれかに記載のアルカリ水電解用複極式電解槽。
[8]
前記入口ヘッダーの少なくとも一部が絶縁性である、[1]〜[7]のいずれかに記載のアルカリ水電解用複極式電解槽。
[9]
前記入口ヘッダーと前記外枠との間に、電気的な絶縁層を有する、[1]〜[8]のいずれかに記載のアルカリ水電解用複極式電解槽。
[10]
前記電気的な絶縁層の抵抗値が0.1MΩ以上である、[9]に記載のアルカリ水電解用複極式電解槽。
[11]
前記出口ヘッダーが、ニッケル、樹脂、及び樹脂でコーティングされた金属からなる群から選択される少なくとも1つを含む、[1]〜[10]のいずれかに記載のアルカリ水電解用複極式電解槽。
[12]
[1]〜[11]のいずれかに記載のアルカリ水電解用複極式電解槽と、
電解液を循環させるための送液ポンプと、
電解液と水素及び/又は酸素とを分離する気液分離タンクと、
水を補給するための水補給器と
を含むことを特徴とする、アルカリ水電解用複極式電解装置。
[13]
前記アルカリ水電解用電解装置への電力供給の停止時に、電力供給の停止を検知する検知器、及び、前記送液ポンプを自動停止する制御器を更に含む、[12]に記載のアルカリ水電解用電解装置。
[14]
[12]又は[13]に記載のアルカリ水電解用電解装置への電力供給の停止時に、前記送液ポンプを停止することを特徴とする、アルカリ水電解方法。
[15]
[12]又は[13]に記載のアルカリ水電解用電解装置への電力供給の停止時に、電解液の液面を前記出口ヘッダーの前記電極室への連通口より下方に制御することを特徴とする、アルカリ水電解方法。
本発明によれば、リーク電流の発生が抑制されてガス純度の悪化が防止され、電解セルの薄型化及び加圧運転が可能なアルカリ水電解用複極式電解槽、アルカリ水電解用複極式電解装置、及びアルカリ水電解方法を提供することができる。
本実施形態のアルカリ水電解用複極式電解槽の一例の全体について示す側面図である。 図1の破線四角枠の部分の電解セル内部のゼロギャップ構造部分の断面を示す図である。 本実施形態のアルカリ水電解用複極式電解槽の一例の一部の、複極式エレメント、ヘッダー、導管について示す斜視図である。 本実施形態のアルカリ水電解用複極式電解槽の一例を示す平面図である。 図4に示すアルカリ水電解用複極式電解槽を、図4の線A−Aに沿う面により切断したときの断面の一部を示す図ある。 本実施形態のアルカリ水電解用電解装置の概要を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
(アルカリ水電解用複極式電解槽)
本実施形態のアルカリ水電解用複極式電解槽は、陽極と、陰極と、前記陽極と前記陰極とを隔離する隔壁と、前記隔壁を縁取る外枠とを備える複数の複極式エレメントが隔膜を挟んで重ね合わせられ、前記外枠の外方に、前記隔壁と前記外枠と前記隔膜とにより画成される電極室に連通する入口ヘッダーと、前記外枠の内方に、前記隔壁と前記外枠と前記隔膜とにより画成される電極室に連通する出口ヘッダーと、を備えることを特徴とする。
以下、本実施形態のアルカリ水電解用複極式電解槽の一例の構成について、図を参照しながら説明する。
図1に、本実施形態のアルカリ水電解用複極式電解槽の一例の全体についての側面図を示す。
図2に、本実施形態のアルカリ水電解用複極式電解槽の一例のゼロギャップ構造の側面図を、図1に示す破線四角枠の部分について示す。
図3に、本実施形態のアルカリ水電解用複極式電解槽の一例の一部の、複極式エレメント、ヘッダー、導管についての斜視図を示す。
本実施形態のアルカリ水電解用複極式電解槽50は、図1及び図2に示すとおり、陽極2aと、陰極2cと、陽極2aと陰極2cとを隔離する隔壁1と、隔壁1を縁取る外枠3とを備える複数の複極式エレメント60が隔膜4を挟んで重ね合わせられている複極式電解槽50である。
本実施形態のアルカリ水電解用複極式電解槽50では、特に限定されないが、隔膜4が陽極2a及び陰極2cと接触したゼロギャップ構造Zが形成されていることが好ましい(図2参照)。
複極式は、多数のセルを電源に接続する方法の1つであり、片面が陽極2a、片面が陰極2cとなる複数の複極式エレメント60を同じ向きに並べて直列に接続し、両端のみを電源に接続する方法である。
複極式電解槽50は、電源の電流を小さくできるという特徴を持ち、電解により化合物や所定の物質等を短時間で大量に製造することができる。電源設備は、出力が同じであれば、定電流、高電圧の方が安価でコンパクトになるため、工業的には単極式よりも複極式の方が好ましい。
((複極式エレメント))
一例のアルカリ水電解用複極式電解槽50に用いられる複極式エレメント60は、図1及び図2に示すように、陽極2aと陰極2cとを隔離する隔壁1を備え、隔壁1を縁取る外枠3を備えている。より具体的には、隔壁1は導電性を有し、外枠3は隔壁1の外縁に沿って隔壁1を取り囲むように設けられている。
なお、本実施形態では、複極式エレメント60は、通常、隔壁1に沿う所与の方向D1が、鉛直方向となるように使用してよく、具体的には、図2に示すように隔壁1の平面視形状が長方形である場合、隔壁1に沿う所与の方向D1が、向かい合う2組の辺のうちの1組の辺の方向と同じ方向となるように、使用してよい(図3〜図5参照)。そして、本明細書では、上記鉛直方向を電解液通過方向とも称する。
本実施形態では、図1に示すとおり、複極式電解槽50は複極式エレメント60を必要数積層(スタック)することで構成されている。
図1及び図2に示す一例では、複極式電解槽50は、一端からファストヘッド51g、絶縁板51i、陽極ターミナルエレメント51aが順番に並べられ、更に、陽極側ガスケット部分7、隔膜4、陰極側ガスケット部分7、複極式エレメント60が、この順番で並べて配置される。このとき、複極式エレメント60は陽極ターミナルエレメント51a側に陰極2cを向けるよう配置する。陽極側ガスケット部分7から複極式エレメント60までは、設計生産量に必要な数だけ繰り返し配置される。陽極側ガスケット部分7から複極式エレメント60までを必要数だけ繰り返し配置した後、再度、陽極側ガスケット部分7、隔膜4、陰極側ガスケット部分7を並べて配置し、最後に陰極ターミナルエレメント51c、絶縁板51i、ルーズヘッド51gをこの順番で配置する。複極式電解槽50は、全体をタイロッド51r(図1参照)や油圧シリンダー方式等の締め付け機構で締め付けることによりー体化され、複極式電解槽50となる。
複極式電解槽50を構成する配置は、陽極2a側からでも陰極2c側からでも任意に選択でき、上述の順序に限定されるものではない。
図1に示すように、複極式電解槽50では、複極式エレメント60が、陽極ターミナルエレメント51aと陰極ターミナルエレメント51cとの間に配置されている。隔膜4は、陽極ターミナルエレメント51aと複極式エレメント60との間、隣接して並ぶ複極式エレメント60同士の間、及び複極式エレメント60と陰極ターミナルエレメント51cとの間に配置されている。
また、本実施形態における複極式電解槽50では、図2〜5に示すとおり、隔壁1と外枠3と隔膜4とにより、電解液が通過する電極室5が画成されている。
本実施形態では、特に、複極式電解槽50における、隣接する2つの複極式エレメント60間の互いの隔壁1間における部分、及び、隣接する複極式エレメント60とターミナルエレメントとの間の互いの隔壁1間における部分を電解セル65と称する。電解セル65は、一方のエレメントの隔壁1、陽極室5a、陽極2a、及び、隔膜4、及び、他方のエレメントの陰極2c、陰極室5c、隔壁1を含む。
詳細には、電極室5は、外枠3との境界において、電極室5に電解液を導入する電解液入口5iと、電極室5から電解液を導出する電解液出口5oとを有する。より具体的には、陽極室5aには、陽極室5aに電解液を導入する陽極電解液入口5aiと、陽極室5aから導出する電解液を導出する陽極電解液出口5aoとが設けられる。同様に、陰極室5cには、陰極室5cに電解液を導入する陰極電解液入口5ciと、陰極室5cから導出する電解液を導出する陰極電解液出口5coとが設けられる。
本実施形態では、陽極室5a及び陰極室5cにおいて、電解液を電解槽50内部で、電極面内に均一に分配するための内部ディストリビュータを備えてもよい。また、電極室5は、電解槽50内部での液の流れを制限する機能を備えるバッフル板を備えてもよい。更に、陽極室5a及び陰極室5cにおいて、電解槽50内部での電解液の濃度や温度の均一化、及び、電極2や隔膜4に付着するガスの脱泡の促進のために、カルマン渦を作るための突起物を備えてもよい。
本実施形態における複極式電解槽50は、外枠3の外方に、電極室5に連通する入口ヘッダー10と、隔壁1及び/又は外枠3の内方に、電極室5に連通する出口ヘッダー11とを備える(図3参照)。
本実施形態の複極式電解槽50は、ガスや電解液を配液又は集液する管であるヘッダーが取り付けられる。詳細には、ヘッダーは、電極室5に電解液を入れるための入口ヘッダー10と電極室5からガスや電解液を出すための出口ヘッダー11とからなる。
本実施形態の複極式電解槽50では、入口ヘッダー10として外部ヘッダー型を採用し、出口ヘッダー11として内部ヘッダー型を採用する。
入口ヘッダー10を外部ヘッダー型とすることにより、内部ヘッダーを用いた場合と比較して、リーク電流経路を短縮することができ、リーク電流に起因するガス純度の悪化を低減することができる。また、電解セルの構造とは関係なく、ヘッダーの長さ及び径を調整することができるため、電気抵抗、流体抵抗の調整が容易である。また、外部ヘッダーであると、異物等の混入によりヘッダーが詰まった場合でも、外部ヘッダーを取り外すことで簡単に対処することができる。
また、出口ヘッダー11を内部ヘッダー型とすることにより、外部ヘッダーとは異なり、ノズルを用いる必要がないため、ノズル同士が干渉するという問題が生じなくなり、その解消ための電解セルの肥大化も回避できるため、電解セルを薄型化することができる。更に、外部ヘッダーよりも耐圧性が増すため、加圧運転にも対応可能となる。
なお、外部ヘッダー型とは、ヘッダーが複極式電解槽とは独立している(電解槽の外部に設けられている)形式をいい、複極式電解槽と絶縁性部材で区切られている等、複極式電解槽と電気的に絶縁されているものとしてよい。また、内部ヘッダー型とは、ヘッダーが複極式電解槽と一体化している(電解槽内部に設けられている)形式であり、複極式電解槽と電気的に絶縁されていないものとしてよい。
図3〜図5に示す一例では、隔壁1の端縁にある外枠3の下方に、陽極室5aに電解液を入れる外部ヘッダー型の陽極入口ヘッダー10Oaiと、陰極室5cに電解液を入れる外部ヘッダー型の陰極入口ヘッダー10Ociとを備えている。また、隔壁1の端縁にある外枠3のうちの上方に、陽極室5aから電極液を出す内部ヘッダー型の陽極出口ヘッダー11Iaoと、陰極室5cから電解液を出す内部ヘッダー型の陰極出口ヘッダー11Icoとを備えている。
また、図3〜図5に示す一例では、陽極室5a及び陰極室5cにおいて、入口ヘッダー10と出口ヘッダー11とが、電極室5の中央部を挟んで向かい合うように設けられている。
更に、図3及び図4に示すように、入口ヘッダー10には、入口ヘッダー10に配液されるガスや電解液を集める管である導管(配液管)20が取り付けられ、入口ヘッダー10と連通している。
図3及び図4に示す一例では、外枠3のうちの下方に、陽極入口ヘッダー10Oaiに連通する陽極用配液管20Oaiと、陰極入口ヘッダー10Ociに連通する陰極用配液管20Ociとを備えている。
本実施形態では、陽極室5a及び陰極室5cにおいて、入口ヘッダー10と出口ヘッダー11とは、水電解効率の観点から、離れた位置に設けられることが好ましく、電極室5の中央部を挟んで向かい合うように設けられることが好ましく、図3及び図4に示すように隔壁1の平面視形状が長方形である場合、長方形の中心に関して対称となるように設けられることが好ましい。
通常、図3及び図4に示すように、陽極入口ヘッダー10Oai、陰極入口ヘッダー10Oci、陽極出口ヘッダー11Iao、陰極出口ヘッダー11Icoは、各電極室5に1つずつ設けられるが、本実施形態では、これに限定されず、各電極室5にそれぞれ複数設けられてもよい。
また、通常、陽極用配液管20Oai、陰極用配液管20Ociは、各電極室5に1つずつ設けられるが、本実施形態では、これに限定されず、複数の電極室5で兼用されてもよい。
本実施形態における入口ヘッダー10の材質は、特に限定されないが、使用する電解液の腐食性や、圧力や温度等の運転条件に十分耐えうるものを採用する必要がある。入口ヘッダー10の材質に、鉄、ニッケル、コバルト等の金属、PTFE、ETFE、PFA、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン等の樹脂、等を採用してもよい。
また、入口ヘッダー10の材質は、電解槽50や導管20等への接続や取り扱いが容易なことから、少なくとも一部が可撓性素材であることが好ましい。可撓性素材としては、例えば、PFA、PTFE、蛇腹構造の金属(ニッケル、ステンレス)等が挙げられる。
また、本実施形態における入口ヘッダー10の材質は、電解槽50との電気的導通を遮断する観点から、少なくとも一部が絶縁性であることが好ましい。絶縁性素材としては、例えば、PFA、PTFE等が挙げられる。
また、本実施形態では、入口ヘッダー10と電解槽50との電気的導通を遮断する観点から、入口ヘッダー10と外枠3との間に、電気的な絶縁層を有することが好ましい。電気的な絶縁層としては、例えば、PFA、PTFE、EPDM等を含む層が挙げられる。
上記電気的な絶縁層の抵抗値は、電解槽50との電気的導通を遮断する観点から、0.1MΩ以上であることが好ましく、より好ましくは0.4MΩ以上、更に好ましくは1.0MΩ以上である。また、上記電気的な絶縁層の抵抗値は大きいほど好ましいため、上限は特に制限されるものではないが、通常100MΩ以下であることが好ましい。
本実施形態における出口ヘッダー11の材質は、特に限定されないが、使用する電解液の腐食性や、圧力や温度等の運転条件に十分耐えうるものを採用する必要がある。出口ヘッダー11の材質に、鉄、ニッケル、コバルト等の金属、PTFE、ETFE、PFA、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン等の樹脂、前記樹脂でコーティングされた前記金属等を採用してもよい。中でも、耐アルカリ性の観点から、ニッケル、樹脂、及び樹脂でコーティングされた金属からなる群から選択される少なくとも1つを含むことが好ましい。
なお、図示した例では、平面視で長方形形状の隔壁1と平面視で長方形形状の隔膜4とが平行に配置され、また、隔壁1の端縁に設けられる直方体形状の外枠の隔壁1側の内面が隔壁1に垂直となっているため、電極室5の形状が直方体となっている。しかしながら、本発明において、電極室5の形状は、図示の例の直方体に限定されることなく、隔壁1や隔膜4の平面視形状、外枠3の隔壁1側の内面と隔壁1とのなす角度等により、適宜変形されてよく、本発明の効果が得られる限り、いかなる形状であってもよい。
本実施形態では、電極室5と、入口ヘッダー10及び出口ヘッダー11との位置関係は、特に限定されず、図3及び図4に示すように、複極式エレメント60を隔壁1に沿う所与の方向D1が鉛直方向となるように使用した場合に、入口ヘッダー10は、電極室5に対して下方や側方に位置し(図示では、下方)、出口ヘッダー11は、電極室5に対して上方に位置していてよく、また、入口ヘッダー10に連通する配液管20は、電極室5に対して下方や側方に位置していてよい(図示では、下方)。
本実施形態では、入口ヘッダー10の延在方向は、特に限定されない。
また、本実施形態では、入口ヘッダー10に連通する配液管20の延在方向は、特に限定されないが、図3及び図4に示す一例のように、本発明の効果を得られやすくする観点から、導管20(陽極用配液管20Oai、陰極用配液管20Oci)は、隔壁1に垂直な方向に延びるものがあることが好ましく、導管20(陽極用配液管20Oai、陰極用配液管20Oci)のいずれもが、隔壁1に垂直な方向に延びることが更に好ましい。
本実施形態では、出口ヘッダー11の延在方向は、特に限定されないが、本発明の効果を得られやすくする観点から、図3及び図4に示す一例のように、隔壁1に垂直な方向に延びるものがあることが好ましく、出口ヘッダー11のいずれもが、隔壁1に垂直な方向に延びることがより好ましい。
なお、本実施形態のアルカリ水電解用複極式電解槽50では、電解室5内における気液の流れの乱れにより電解室5に生じる対流を低減して、局所的な電解液の温度の上昇を抑制するため、隔壁1に沿う所与の方向D1に対して平行に配置される複数の整流板6を備えていてもよい(図4参照)。
整流板6の数、長さ、隔壁1とのなす角度、及び隔壁1に沿う所与の方向D1に垂直な方向についての一定の間隔(ピッチ)は、本発明の効果が得られる限り、適宜定められてよく、一定でなくてもよい。また、整流板6は、貫通孔を有していてもよく、貫通孔の数及び隔壁1に沿う所与の方向D1についての一定の間隔(ピッチ)は、本発明の効果が得られる限り、適宜定められてよく、一定でなくてもよい。
ときに、電解セル65は、電解停止時に電解液供給配管によって形成される漏洩電流回路を介して自己放電反応を生じる。自己放電反応は、通電面に流れる電流の向きが、電解時と逆向きであるため、逆電流と呼ばれる。
陰極2c又は陽極2aは、逆電流が生じる過程で酸化還元されることで、活性化溶解或いは体積膨張収縮により、失活する場合がある。
陰極2c又は陽極2aよりも、自らが酸化還元されることで逆電流を優先的に消費する、表面積の非常に大きな構造体は、逆電吸収体と呼ばれる。
逆電吸収体を、陰極室5c内部又は陽極室5a内部で、陰極2c又は陽極2aと電気的に接続し、陰極2c又は陽極2aの電気化学的な電位を逆電吸収体の電位に保つことで、陰極2c又は陽極2aを保護することができる。
本実施形態では、陰極2c又は陽極2aが、触媒層と触媒層を支持する基材とで構成され、この触媒層や基材が、逆電吸収体の機能を備える。
本実施形態のアルカリ水電解用複極式電解槽50では、複極式エレメント60の通電面の面積をS1、入口ヘッダー10の流路の断面積をS2i、出口ヘッダー11の流路の断面積をS2o、入口ヘッダー10の流路の長さをL2i、出口ヘッダー11の流路の長さをL2oとしたときに、((S2i/S1)/L2i)/((S2o/S1)/L2o)が、0.0001〜0.5であることが好ましく、0.0001〜0.03であることがより好ましく、0.0001〜0.01であることが更に好ましく、0.0001〜0.001であることがより更に好ましい。
上記複極式エレメント60の通電面の面積S1とは、複極式エレメント60の電極(陽極2a及び陰極2c)の隔壁1に平行な面における面積をいう。なお、陽極2aと陰極2cとにおいて上記面積が異なる場合には、その平均をいうものとする。
上記入口ヘッダー10の流路の断面積S2iとは、入口ヘッダー10のうち電解液が通過する内部空間の断面積をいう。なお、入口ヘッダー10の延在方向について断面積に変化がある場合には、その断面積の平均をいうものとする。また、陽極入口ヘッダー10Oai、陰極入口ヘッダー10Ociにおいて上記断面積が異なる場合には、その平均をいうものとする。
上記出口ヘッダー11の流路の断面積をS2oとは、出口ヘッダー11のうち電解液が通過する内部空間の断面積をいう。なお、出口ヘッダー11の延在方向について断面積に変化がある場合には、その断面積の平均をいうものとする。また、陽極出口ヘッダー11Iao、陰極入口ヘッダー11Icoにおいて上記断面積が異なる場合には、その平均をいうものとする。
上記入口ヘッダー10の流路の長さL2iとは、入口ヘッダー10のうち電解液が通過する内部空間の延在長さをいう。特に、入口ヘッダー10に連通する導管(配液管)20を備える場合には、入口ヘッダー10の電解液入口5iから導管(配液管)20との接続部分までの部分についての長さをいう。また、陽極入口ヘッダー10Oai、陰極入口ヘッダー10Ociにおいて上記長さが異なる場合には、その平均をいうものとする。
上記出口ヘッダー11の流路の長さL2oとは、出口ヘッダー11のうち電解液が通過する内部空間の延在長さをいう。また、陽極出口ヘッダー11Iao、陰極出口ヘッダー11Icoにおいて上記長さが異なる場合には、その平均をいうものとする。
((S2i/S1)/L2i)/((S2o/S1)/L2o)が上記範囲であると、電解中に生じるリーク電流を低減して、リーク電流に起因するガス純度の悪化を低減することが可能となる。
更に、本実施形態のアルカリ水電解用複極式電解槽50では、複極式エレメント60の通電面の面積S1が、0.1〜10mであることが好ましく、0.15〜8mであることがより好ましく、0.2〜5mであることが更に好ましい。
通電面が小さすぎると、電解液供給ヘッダーも小さくなり、電解槽50の製作が難しくなる。また、通電面が大きすぎると、シール面圧が不均一になりやすく、電解液の漏れやガス漏洩の原因になる。
更に、本実施形態のアルカリ水電解用複極式電解槽50では、ガス純度をより高純度化させる観点、及び循環流路中に存在する固形物による流路閉塞を抑制する観点から、入口ヘッダーの流路の断面積S2iが、7.00×10−7〜3.14×10−4であることが好ましく、1.0×10−6〜2.0×10−4であることがより好ましい。
更に、本実施形態のアルカリ水電解用複極式電解槽50では、特に限定されるものではないが、上記S2iの好適範囲の場合と同様の観点から、入口ヘッダーの流路の長さL2iが、0.2〜10mであることが好ましく、0.4〜8mであることが更に好ましい。
更に、本実施形態のアルカリ水電解用複極式電解槽50では、ガス純度をより高純度化させる観点、及び循環流路中に存在する固形物による流路閉塞を抑制する観点から、出口ヘッダーの流路の断面積S2oが、1.0×10−4〜1.0×10−1であることが好ましく、1.0×10−3〜5.0×10−1であることがより好ましい。
なお、本実施形態のアルカリ水電解用複極式電解槽50において、出口ヘッダーは内部ヘッダーであるため、その流路の長さL2oは、電解セル65の厚さdや数等により定められてよい。
更に、本実施形態のアルカリ水電解用複極式電解槽50では、電解セル65の厚さdが、5〜100mmであることが好ましく、10〜70mmであることがより好ましく、20〜60mmであることが更に好ましい。
上記電解セル65の厚さdとは、隣接する2つの複極式エレメント60間の互いの隔壁1間における部分の厚さ、及び、隣接する複極式エレメント60とターミナルエレメント51a、51cとの間の互いの隔壁1間における部分の厚さであり、それぞれ、隣接する2つの複極式エレメント60の隔壁1同士の間の隔壁1に垂直な方向についての距離、及び、隣接する複極式エレメント60の隔壁1とターミナルエレメント51a、51cの隔壁1との間の隔壁1に垂直な方向についての距離をいう。上記厚さdが複極式電解槽50全体において一定でない場合には、その平均をいうものとしてよい。
電解セルの厚さdが小さすぎると、電解セル65のガス液チャンバー内のガス比率が増大しやすくなり、セル電圧が上昇しやすくなる。また、厚さdが大きすぎると、ヘッダー10の圧損の影響で均一分配が難しくなり、設置面積が大きくなりすぎる。
本実施形態のアルカリ水電解用複極式電解槽50は、加圧運転に対応した耐圧性の観点から、入口ヘッダー10の耐圧が0.1〜10MPaであることが好ましく、0.3〜5MPaであることがより好ましく、0.3〜1.5MPaであることが更に好ましく、0.3〜0.9MPaであることがより更に好ましく、0.5〜0.7MPaであることが特に好ましい。
入口ヘッダー10の耐圧は、入口ヘッダー10の材質や厚みにより調整することができる。
なお、入口ヘッダー10の耐圧は、耐圧試験の結果、破損や変形がないことにより確認することができ、より具体的には、後述する実施例に記載の方法によって求めることができる。
本実施形態のアルカリ水電解用複極式電解槽50は、50〜500の複極式エレメント60を有することが好ましく、70〜300の複極式エレメント60を有することがより好ましく、100〜200の複極式エレメント60を有することが更に好ましい。
複極式エレメント60の数(対数)が減ると、リーク電流によるガス純度の影響は緩和される一方で、対数が増加すると、電解液を各電解セル65に均一に分配することが困難になる。
また、対数が増え過ぎると、電解槽50の製作が困難になるおそれがあり、製作精度が悪い複極式エレメント60を多数スタックした場合には、シール面圧が不均一になりやすく、電解液の漏れやガス漏洩が生じやすい。
以下、本実施形態のアルカリ水電解用複極式電解槽50の構成要素について、詳細に説明する。
また、以下では、本発明の効果を高めるための好適形態についても詳述する。
−隔壁−
本実施形態における隔壁1の形状は、所定の厚みを有する板状の形状としてよいが、特に限定されない。
隔壁1の平面視形状としては、特に限定されることなく、矩形(正方形、長方形等)、円形(円、楕円等)としてよく、ここで、矩形は角が丸みを帯びていてもよい。
一実施形態において、隔壁1と外枠3とを溶接その他の方法で接合することで一体化してもよく、例えば、隔壁1に、隔壁1の平面に対して垂直な方向に張り出したフランジ部(陽極2a側に張り出した陽極フランジ部、陰極2c側に張り出した陰極フランジ部)を設け、フランジ部を外枠3の一部としてもよい。
なお、隔壁1は、通常、隔壁1に沿う所与の方向D1が、鉛直方向となるように、使用してよく、具体的には、図3及び図4に示すように隔壁1の平面視形状が長方形である場合、隔壁1に沿う所与の方向D1が、向かい合う2組の辺のうちの1組の辺の方向と同じ方向となるように、使用してよい。そして、本明細書では、上記鉛直方向を電解液通過方向とも称する。
隔壁1の材料としては、電力の均一な供給を実現する観点から、導電性を有する材料が好ましく、耐アルカリ性や耐熱性といった面から、ニッケル、ニッケル合金、軟鋼、ニッケル合金上にニッケルメッキを施したものが好ましい。
−電極−
本実施形態のアルカリ水電解による水素製造において、エネルギー消費量の削減、具体的には電解電圧の低減は、大きな課題である。この電解電圧は電極2に大きく依存するため、両電極2の性能は重要である。
アルカリ水電解の電解電圧は、理論的に求められる水の電気分解に必要な電圧の他に、陽極反応(酸素発生)の過電圧、陰極反応(水素発生)の過電圧、陽極2aと陰極2cとの電極2間距離による電圧とに分けられる。ここで、過電圧とは、ある電流を流す際に、理論分解電位を越えて過剰に印加する必要のある電圧のことを言い、その値は電流値に依存する。同じ電流を流すとき、過電圧が低い電極2を使用することで消費電力を少なくすることができる。
低い過電圧を実現するために、電極2に求められる要件としては、導電性が高いこと、酸素発生能(或いは水素発生能)が高いこと、電極2表面で電解液の濡れ性が高いこと等が挙げられる。
アルカリ水電解の電極2として、過電圧が低いこと以外に、再生可能エネルギーのような不安定な電流を用いても、電極2の基材及び触媒層の腐食、触媒層の脱落、電解液への溶解、隔膜4への含有物の付着等が起きにくいことが挙げられる。
本実施形態における電極2としては、電解に用いられる表面積を増加させるため、また、電解により発生するガスを効率的に電極2表面から除去するために、多孔体が好ましい。特に、ゼロギャップ電解槽の場合、隔膜4との接触面の裏側から発生するガスを脱泡する必要があるため、電極2の膜に接する面と反対に位置する面が、貫通していることが好ましい。
多孔体の例としては、平織メッシュ、パンチングメタル、エキスパンドメタル、金属発泡体等が挙げられる。
本実施形態における電極2は、基材そのものとしてもよく、基材の表面に反応活性の高い触媒層を有するものとしてもよいが、基材の表面に反応活性の高い触媒層を有するものが好ましい。
基材の材料は、特に制限されないが、使用環境への耐性から、軟鋼、ステンレス、ニッケル、ニッケル基合金が好ましい。
陽極2aの触媒層は、酸素発生能が高いものであることが好ましく、ニッケルやコバルト、鉄もしくは白金族元素等を使用することができる。これらは、所望の活性や耐久性を実現するために、金属単体や、酸化物等の化合物、複数の金属元素からなる複合酸化物や合金、或いはそれらの混合物として、触媒層を形成できる。耐久性や基材との接着性を向上させるために高分子等の有機物が含まれていてもよい。
陰極2cの触媒層は、水素発生能が高いものであることが好ましく、ニッケルやコバルト、鉄もしくは白金族元素等を使用することができる。これらは、所望の活性や耐久性を実現するために、金属単体や、酸化物等の化合物、複数の金属元素からなる複合酸化物や合金、或いはそれらの混合物として、触媒層を形成できる。耐久性や基材との接着性を向上させるために高分子材料等の有機物が含まれていてもよい。
基材上に触媒層を形成させる方法としては、めっき法、プラズマ溶射法等の溶射法、基材上に前駆体層溶液を塗布した後に熱を加える熱分解法、触媒物質をバインダー成分と混合して基材に固定化する方法、及び、スパッタリング法等の真空成膜法といった手法が挙げられる。
−外枠−
本実施形態における外枠3の形状は、隔壁1を縁取ることができる限り特に限定されないが、隔壁1の平面に対して垂直な方向に沿う内面を隔壁1の外延に亘って備える形状としてよい。
外枠3の形状としては、特に限定されることなく、隔壁1の平面視形状に合わせて適宜定められてよい。
外枠3の材料としては、導電性を有する材料が好ましく、耐アルカリ性や耐熱性といった面から、ニッケル、ニッケル合金、軟鋼、ニッケル合金上にニッケルメッキを施したものが好ましい。
−隔膜−
本実施形態のアルカリ水電解用複極式電解槽50において用いられる隔膜4としては、イオンを導通しつつ、発生する水素ガスと酸素ガスを隔離するために、イオン透過性の隔膜4が使用される。このイオン透過性の隔膜4は、イオン交換能を有するイオン交換膜と、電解液を浸透することができる多孔膜が使用できる。このイオン透過性の隔膜4は、ガス透過性が低く、イオン伝導率が高く、電子電導度が小さく、強度が強いものが好ましい。
−−多孔膜−−
多孔膜は、複数の微細な貫通孔を有し、隔膜4を電解液が透過できる構造を有する。電解液が多孔膜中に浸透することにより、イオン伝導を発現するため、孔径や気孔率、親水性といった多孔構造の制御が非常に重要となる。一方、電解液だけでなく、発生ガスを通過させないこと、すなわちガスの遮断性を有することが求められる。この観点でも多孔構造の制御が重要となる。
多孔膜は、複数の微細な貫通孔を有するものであるが、高分子多孔膜、無機多孔膜、織布、不織布等が挙げられる。これらは公知の技術により作製することができる。
高分子多孔膜の製法例としては、相転換法(ミクロ相分離法)、抽出法、延伸法、湿式ゲル延伸法等が挙げられる。
多孔膜は、高分子材料と親水性無機粒子とを含むことが好ましく、親水性無機粒子が存在することによって多孔膜に親水性を付与することができる。
−−−高分子材料−−−
高分子材料としては、例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルスルホン、ポリビニリデンフロライド、ポリカーボネート、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド、ポリテトラフルオロエチレン、パーフルオロスルホン酸、パーフルオロカルボン酸、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール、ポリケトン、ポリイミド、ポリエーテルイミド等が挙げられる。これらの中でも、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルスルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリテトラフルオロエチレン、であることが好ましく、ポリスルホンであることがより好ましい。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
多孔膜は、分離能、強度等適切な膜物性を得る為に、孔径を制御することが好ましい。また、アルカリ水電解に用いる場合、陽極2aから発生する酸素ガス及び陰極2cから発生する水素ガスの混合を防止し、かつ電解における電圧損失を低減する観点から、多孔膜の孔径を制御することが好ましい。
多孔膜の平均孔径が大きいほど、単位面積あたりの多孔膜透過量は大きくなり、特に、電解においては多孔膜のイオン透過性が良好となり、電圧損失を低減しやすくなる傾向にある。また、多孔膜の平均孔径が大きいほど、アルカリ水との接触表面積が小さくなるので、ポリマーの劣化が抑制される傾向にある。
一方、多孔膜の平均孔径が小さいほど、多孔膜の分離精度が高くなり、電解においては多孔膜のガス遮断性が良好となる傾向にある。更に、後述する粒径の小さな親水性無機粒子を多孔膜に担持した場合、欠落せずしっかりと保持することができる。これにより、親水性無機粒子が持つ高い保持能力を付与でき、長期に亘ってその効果を維持することができる。
かかる観点から、本実施形態の多孔膜においては、平均孔径は、0.1〜1.0μmの範囲であることが好ましい。多孔膜は、孔径がこの範囲であれば、優れたガス遮断性と高いイオン透過性とを両立することができる。また、多孔膜の孔径は実際に使用する温度域において制御されることが好ましい。従って、例えば90℃の環境下での電解用隔膜4として使用する場合は、90℃で上記の孔径の範囲を満足させることが好ましい。また、多孔膜は、アルカリ水電解用隔膜4として、より優れたガス遮断性と高いイオン透過性とを発現できる範囲として、平均孔径が0.1〜0.5μmであることがより好ましい。
多孔膜の平均孔径は、以下の方法で測定することができる。
多孔膜の平均孔径とは、完全性試験機(ザルトリウス・ステディム・ジャパン社製、「Sartocheck Junior BP−Plus」)を使用して以下の方法で測定した平均透水孔径をいう。まず、多孔膜を芯材も含めて所定の大きさに切り出して、これをサンプルとする。このサンプルを任意の耐圧容器にセットして、容器内を純水で満たす。次に、耐圧容器を所定温度に設定した恒温槽内で保持し、耐圧容器内部が所定温度になってから測定を開始する。測定が始まると、サンプルの上面側が窒素で加圧されていき、サンプルの下面側から純水が透過してくる際の圧力及び透過流量の数値を記録する。平均透水孔径は、圧力が10kPaから30kPaの間の圧力と透水流量との勾配を使い、以下のハーゲンポアズイユの式から求めることができる。
平均透水孔径(m)={32ηLμ/(εP)}0.5
ここで、ηは水の粘度(Pa・s)、Lは多孔膜の厚み(m)、μは見かけの流速であり、μ(m/s)=流量(m/s)/流路面積(m)である。また、εは空隙率、Pは圧力(Pa)である。
アルカリ水電解用隔膜4は、ガス遮断性、親水性の維持、気泡の付着によるイオン透過性低下の防止、更には長時間安定した電解性能(低電圧損失等)が得られるといった観点から、多孔膜の気孔率を制御することが好ましい。
ガス遮断性や低電圧損失等を高いレベルで両立させるといった観点から、多孔膜の気孔率の下限は30%以上であることが好ましく、35%以上であることがより好ましく、40%以上であることが更に好ましい。また、気孔率の上限は70%以下であることが好ましく、65%以下であることがより好ましく、55%以下であることが更に好ましい。多孔膜の気孔率が上記上限値以下であれば、膜内をイオンが透過しやすく、膜の電圧損失を抑制できる。
多孔膜の気孔率とは、アルキメデス法により求めた開気孔率をいい、以下の式により求めることができる。
気孔率P(%)=ρ/(1+ρ)×100
ここで、ρ=(W3−W1)/(W3−W2)であり、W1は多孔膜の乾燥質量(g)、W2は多孔膜の水中質量(g)、W3は多孔膜の飽水質量(g)である。
気孔率の測定方法としては、純水で洗浄した多孔膜を3cm×3cmの大きさで3枚に切出して、測定サンプルとする。まず、サンプルのW2及びW3を測定する。その後、多孔膜を50℃に設定された乾燥機で12時間以上静置して乾燥させて、W1を測定する。そして、W1、W2、W3の値から気孔率を求める。3枚のサンプルについて気孔率を求め、それらの算術平均値を気孔率Pとする。
多孔膜の厚みは、特に限定されないが、100〜700μmであることが好ましく、より好ましくは100〜600μm、更に好ましくは200〜600μmである。
多孔膜の厚みが、上記下限値以上であると、突刺し等で破れにくく、電極間がショートしにくい。また、ガス遮断性が良好となる。また、上記上限値以下であると、電圧損失が増大しにくい。また、多孔膜の厚みのばらつきによる影響が少なくなる。
また、隔膜の厚みが、100μm以上であると、突刺し等で破れにくく、電極間がショートしにくい。また、ガス遮断性が良好となる。600μm以下であると、電圧損失が増大しにくい。また、多孔膜の厚みのばらつきによる影響が少なくなる。
多孔膜の厚みが、250μm以上であれば、一層優れたガス遮断性が得られ、また、衝撃に対する多孔膜の強度が一層向上する。この観点より、多孔膜の厚みの下限は、300μm以上であることがより好ましく、350μm以上であることが更に好ましく400μm以上でることがより一層好ましい。一方で、多孔膜の厚みが、700μm以下であれば、運転時に孔内に含まれる電解液の抵抗によりイオンの透過性を阻害されにくく、一層優れたイオン透過性を維持すことができる。かかる観点から、多孔膜の厚みの上限は、600μm以下であることがより好ましく、550μm以下であることが更に好ましく、500μm以下であることがより一層好ましい。
−−−親水性無機粒子−−−
多孔膜は、高いイオン透過性及び高いガス遮断性を発現するために親水性無機粒子を含有していることが好ましい。親水性無機粒子は多孔膜の表面に付着していても良いし、一部が多孔膜を構成する高分子材料に埋没していても良い。また親水性無機粒子が多孔膜の空隙部に内包されると、多孔膜から脱離しにくくなり、多孔膜の性能を長時間維持できる。
親水性無機粒子としては、例えば、ジルコニウム、ビスマス、セリウムの酸化物又は水酸化物;周期律表第IV族元素の酸化物;周期律表第IV族元素の窒化物、及び周期律表第IV族元素の炭化物からなる群より選ばれる少なくとも1種の無機物が挙げられる。これらの中でも、化学的安定性の観点から、ジルコニウム、ビスマス、セリウムの酸化物、周期律表第IV族元素の酸化物がより好ましく、ジルコニウム、ビスマス、セリウムの酸化物が更に好ましく、酸化ジルコニウムがより更に好ましい。
親水性無機粒子の形態は、微粒子形状であることが好ましい。
−−多孔性支持体−−
隔膜4として多孔膜を用いる場合、多孔膜は多孔性支持体と共に用いてよい。好ましくは、多孔膜が多孔性支持体を内在した構造であり、より好ましくは、多孔性支持体の両面に多孔膜を積層した構造である。また、多孔性支持体の両面に対称に多孔膜を積層した構造であってもよい。
多孔性支持体としては、例えば、メッシュ、多孔質膜、不織布、織布、不織布及びこの不織布に内在する織布とを含む複合布等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。多孔性支持体のより好適な態様としては、例えば、ポリフェニレンサルファイドのモノフィラメントで構成されるメッシュ基材、又は不織布及び該不織布内に内在する織布とを含む複合布等が挙げられる。
−−イオン交換膜−−
イオン交換膜としては、カチオンを選択的に透過させるカチオン交換膜とアニオンを選択的に透過させるアニオン交換膜があり、いずれの交換膜でも使用することができる。
イオン交換膜の材質としては、特に限定されず、公知のものを用いることができる。例えば、含フッ素系樹脂やポリスチレン・ジビニルベンゼン共重合体の変性樹脂が好適に使用できる。特に耐熱性及び耐薬品性等に優れる点で、含フッ素系イオン交換膜が好ましい。
含フッ素系イオン交換膜としては、電解時に発生するイオンを選択的に透過する機能を有し、かつイオン交換基を有する含フッ素系重合体を含むもの等が挙げられる。ここでいうイオン交換基を有する含フッ素系重合体とは、イオン交換基、又は、加水分解によりイオン交換基となり得るイオン交換基前駆体、を有する含フッ素系重合体をいう。例えば、フッ素化炭化水素の主鎖を有し、加水分解等によりイオン交換基に変換可能な官能基をペンダント側鎖として有し、かつ溶融加工が可能な重合体等が挙げられる。
含フッ素系共重合体の分子量は、特に限定されないが、該前駆体を、ASTM:D1238に準拠して(測定条件:温度270℃、荷重2160g)測定されたメルトフローインデックス(MFI)の値で0.05〜50(g/10分)であることが好ましく、0.1〜30(g/10分)であることがより好ましい。
イオン交換膜が有するイオン交換基としては、スルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基等のカチオン交換基、4級アンモニウム基等のアニオン交換基が挙げられる。
イオン交換膜は、イオン交換基の当量質量EWを調整することによって、優れたイオン交換能と親水性を付与することができる。また、より小さなクラスター(イオン交換基が水分子を配位及び/又は吸着した微小部分)を数多く有するように制御でき、耐アルカリ性やイオン選択透過性を向上する傾向にある。
この当量質量EWは、イオン交換膜を塩置換し、その溶液をアルカリ又は酸溶液で逆滴定することにより測定することができる。当量質量EWは、原料であるモノマーの共重合比、モノマー種の選定等により調整することができる。
イオン交換膜の当量質量EWは、親水性、膜の耐水性の観点から300以上であることが好ましく、親水性、イオン交換能の観点から1300以下であることが好ましい。
イオン交換膜の厚みは特に制限されないが、イオン透過性や強度の観点から、5〜300μmの範囲が好ましい。
イオン交換膜の表面の親水性を向上させる目的で、表面処理を施してもよい。具体的には、酸化ジルコニウム等の親水性無機粒子をコーティングする方法や、表面に微細な凹凸を付与する方法が挙げられる。
イオン交換膜は、膜強度の観点から、補強材と共に用いることが好ましい。補強材としては、特に限定されず、一般的な不織布や織布、各種素材からなる多孔膜が挙げられる。この場合の多孔膜としては、特に限定されないが、延伸されて多孔化したPTFE系膜が好ましい。
((ゼロギャップ構造))
ゼロギャップ型セルにおける複極式エレメント60では、極間距離を小さくする手段として、電極2と隔壁1との間に弾性体であるバネを配置し、このバネで電極2を支持する形態をとることが好ましい。例えば、第1の例では、隔壁1に導電性の材料で製作されたバネを取り付け、このバネに電極2を取り付けてよい。また、第2の例では、隔壁1に取り付けた電極リブにバネを取り付け、そのバネに電極2を取り付けてよい。なお、このような弾性体を用いた形態を採用する場合には、電極2が隔膜4に接する圧力が不均一にならないように、バネの強度、バネの数、形状等必要に応じて適宜調節する必要がある。
−電極室−
本実施形態における複極式電解槽50では、図2に示すとおり、隔壁1と外枠3と隔膜4とにより、電解液が通過する電極室5が画成されている。
本実施形態においては、複極式電解槽の入口ヘッダー10及び出口ヘッダー11の配設態様は、それぞれ外部ヘッダー10O型及び内部ヘッダー10I型であるところ、陽極2a及び陰極2c自身が占める空間も電極室5の内部にある空間であるものとしてよい。また、特に、気液分離ボックスが設けられている場合、気液分離ボックスが占める空間も電極室5の内部にある空間であるものとしてよい。
−整流板−
本実施形態のアルカリ水電解用複極式電解槽50では、隔壁1に整流板6(陽極整流板6a、陰極整流板6c)が取り付けられ、整流板6が電極2と物理的に接続されていることが好ましい。かかる構成によれば、整流板6が電極2の支持体となり、ゼロギャップ構造Zを維持しやすい。
ここで、整流板6に、電極2が設けられていてもよく、整流板6に、集電体2r、導電性弾性体2e、電極2がこの順に設けられていてもよい。
前述の一例のアルカリ水電解用複極式電解槽50では、陰極室5cにおいて、整流板6−集電体2r−導電性弾性体2e−電極2の順に重ね合わせられた構造が採用され、陽極室5aにおいて、整流板6−電極2の順に重ね合わせられた構造が採用されている。
なお、前述の一例のアルカリ水電解用複極式電解槽50では、陰極室5cにおいて上記「整流板6−集電体2r−導電性弾性体2e−電極2」の構造が採用され、陽極室5aにおいて上記「整流板6−電極2」の構造が採用されているが、本発明ではこれに限定されることなく、陽極室5aにおいても「整流板6−集電体2r−導電性弾性体2e−電極2」構造が採用されてもよい。
整流板6(陽極整流板6a、陰極整流板6c)には、陽極2a又は陰極2cを支える役割だけでなく、電流を隔壁1から陽極2a又は陰極2cへ伝える役割を備えることが好ましい。
本実施形態のアルカリ水電解用複極式電解槽50では、整流板6の少なくとも一部が導電性を備えことが好ましく、整流板6全体が導電性を備えことが更に好ましい。かかる構成によれば、電極たわみによるセル電圧の上昇を抑制することができる。
整流板6の材料としては、一般的に導電性の金属が用いられる。例えば、ニッケルメッキを施した軟鋼、ステンレススチール、ニッケル等が利用できる。
隣接する陽極整流板6a同士の間隔、又は隣接する陰極整流板6c同士の間隔は、電解圧力や陽極室5aと陰極室5cの圧力差等を勘案して決められる。
整流板6(陽極整流板6a、陰極整流板6c)の長さは、隔壁1のサイズに応じて、適宜に定められてよい。
整流板6の高さは、隔壁1から各フランジ部までの距離、ガスケット7の厚さ、電極2(陽極2a、陰極2c)の厚さ、陽極2aと陰極2cとの間の距離等に応じて、適宜に定められてよい。
また、整流板6の厚みは、コストや製作性、強度等も考慮して、0.5〜5mmとしてよく、1〜2mmのものが用いやすいが、特に限定されない。
−ガスケット−
本実施形態のアルカリ水電解用複極式電解槽50では、隔壁1を縁取る外枠3同士の間に隔膜4を有するガスケット7が挟持されることが好ましい。
ガスケット7は、複極式エレメント60と隔膜4の間、複極式エレメント60間を電解液と発生ガスに対してシールするために使用され、電解液や発生ガスの電解槽外への漏れや両極室間におけるガス混合を防ぐことができる。
ガスケット7の一般的な構造としては、エレメントの枠体に接する面に合わせて、電極面をくり抜いた四角形状又は環状である。このようなガスケット2枚で隔膜4を挟み込む形でエレメント間に隔膜4をスタックさせることができる。更に、ガスケット7は、隔膜4を保持できるように、隔膜4を収容することが可能なスリット部を備え、収容された隔膜4がガスケット7両表面に露出することを可能にする開口部を備えることも好ましい。これにより、ガスケット7は、隔膜4の縁部をスリット部内に収容し、隔膜4の縁部の端面を覆う構造がとれる。したがって、隔膜4の端面から電解液やガスが漏れることをより確実に防止できる。
ガスケット7の材質としては、特に制限されるものではなく、絶縁性を有する公知のゴム材料や樹脂材料等を選択することができる。
ゴム材料や樹脂材料としては、具体的には、天然ゴム(NR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、シリコーンゴム(SR)、エチレン−プロピレンゴム(EPT)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、フッ素ゴム(FR)、イソブチレン−イソプレンゴム(IIR)、ウレタンゴム(UR)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)等のゴム材料、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)やテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)、クロロトリフルオエチレン・エチレン共重合体(ECTFE)等のフッ素樹脂材料や、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエチレン、ポリイミド、ポリアセタール等の樹脂材料を用いることができる。これらの中でも、弾性率や耐アルカリ性の観点でエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、フッ素ゴム(FR)が特に好適である。
ガスケット7は、補強材が埋設されていてもよい。これにより、スタック時に枠体に挟まれて押圧されたときに、ガスケット7が潰れることを抑制でき、破損を防止し易くできる。
このような補強材は公知の金属材料、樹脂材料及び炭素材料等が使用でき、具体的には、ニッケル、ステンレス等の金属、ナイロン、ポリプロピレン、PVDF、PTFE、PPS等の樹脂、カーボン粒子や炭素繊維等の炭素材料が挙げられる。
ガスケット7のサイズは、特に制限されるものではなく、電極室5や膜の寸法に合わせて設計すればよいが、幅が10〜40mmにするのがよい。
この場合、ガスケット7がスリット部を備える場合、スリット部のサイズはスリットの内寸が膜のサイズより縦横で0.5〜5mm大きくなるようにするのがよい。
ガスケット7の厚みは、特に制限されるものではなく、ガスケット7の材質や弾性率、セル面積に応じて設計される。好ましい厚みの範囲としては、1.0〜10mmが好ましく、3.0〜10mmがより好ましい。
また、ガスケット7がスリット部を備える場合、スリット部の開口幅としては、膜の厚みの0.5〜1.0倍としてよい。
ガスケット7の弾性率は、特に制限されるものではなく、電極2の材質やセル面積に応じて設計される。好ましい弾性率の範囲としては、100%変形時の引張応力で、0.20〜20MPaの範囲がより好ましく、シーリング特性やスタック時のセル強度の観点から、1.0〜10MPaの範囲がより好ましい。
なお、引張応力は、JIS K6251に準拠して、測定することができる。例えば、島津製作所社製のオートグラフAGを用いてよい。
特に、本実施形態では、ガスケット7の厚みが3.0〜10mmであり、100%変形時の引張応力で1.0〜10MPaであることが、電極たわみによるセル電圧の上昇を抑制する観点、また、シーリング特性やスタック時のセル強度の観点から、好ましい。
本実施形態においては、ガスケット7の表面を絶縁性の樹脂シート(例えば、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂等)で覆うことが好ましい。このようにすることにより、複数のエレメント60間では相互に絶縁された状態となるので、通電工程(電解液の電気分解が行われる工程)でそれぞれのエレメント60に蓄積された電荷が、停止工程(電解液の電気分解が停止している工程)において他のエレメント60に影響することを抑制することができる。
−ヘッダー−
アルカリ水電解用複極式電解槽50は、電解セル65毎に、陰極室5c、陽極室5aを有する。電解槽50で、電気分解反応を連続的に行うためには、各電解セル65の陰極室5cと陽極室5aとに電気分解によって消費される原料を十分に含んだ電解液を供給し続ける必要がある。
電解セル65は、複数の電解セル65に共通する入口ヘッダー10と呼ばれる電解液の供給配管と繋がっている。一般に、陽極用配液管は陽極入口ヘッダー10ai、陰極用配液管は陰極入口ヘッダー10ciと呼ばれる。電解セル65はホース等を通じて各電極用配液管と繋がっている。
また、電解セル65は、複数の電解セル65に共通する出口ヘッダー11と呼ばれる電解液の集液配管と繋がっている。一般に、陽極用集液管は陽極出口ヘッダー11ao、陰極用集液管は陰極出口ヘッダー11coと呼ばれる。
入口ヘッダー10及び出口ヘッダー11の材質は特に限定されないが、使用する電解液の腐食性や、圧力や温度等の運転条件に十分耐えうるものを採用する必要がある。ヘッダー10の材質に、鉄、ニッケル、コバルト、PTFE、ETFE,PFA、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン等を採用しても良い。
本実施形態において、電極室5の範囲は、隔壁1の外端に設けられる外枠3の詳細構造により、変動するところ、外枠3の詳細構造は、外枠3に取り付けられる入口ヘッダー10及び出口ヘッダー11の配設態様により異なることがある。
アルカリ水電解用複極式電解槽50では、出口ヘッダー11が、複極式電解槽50と一体化された内部ヘッダーであり、陽極出口ヘッダー11Iao及び陰極出口ヘッダー11Icoが、隔壁1内及び/又は外枠3内の上部に設けられる。
図3〜図5に示す例では、隔壁1の端縁にある外枠3のうちの上方に位置する部分の一部に、陽極出口ヘッダー11Iaoと陰極出口ヘッダー11Icoとを備えている。
また、アルカリ水電解用複極式電解槽50では、入口ヘッダー11が、複極式電解槽50と独立している外部ヘッダーであり、陽極入口ヘッダー10Oaiと、陰極入口ヘッダー10Ociとが、電解セル65の通電面に対し、垂直方向に、電解槽50と並走する形で、独立して設けられる。この陽極入口ヘッダー10Oai及び陰極入口ヘッダー10Ociと、各電解セル65が、ホースで接続される。
図3及び図4に示す例では、隔壁1の端縁にある外枠3のうちの下方に位置する部分に設けられた入口ヘッダー10用貫通孔に、管腔状部材が設置され、管腔状部材が、陽極入口ヘッダー10Oai及び陰極入口ヘッダー10Ociに接続されている。
−気液分離ボックス−
複極式電解槽50において、その内部に電解によって発生した気体と、電解液を分離する気液分離ボックスを有してもよい。気液分離ボックスの取付位置は、特に限定されないが、陽極室5aと陽極出口ヘッダー11Iaoとの間や、陰極室5cと陰極出口ヘッダー11Icoとの間に取付けられてもよい。
気液分離ボックスの表面は、電解液の腐食性や、圧力や温度等の運転条件に十分耐えうる材質のコーティング材料で、被覆されていても良い。コーティング材料の材質は、電解槽内部での漏洩電流回路の電気抵抗を大きくする目的で、絶縁性のものを採用してもよい。コーティング材料の材質に、EPDM、PTFE、ETFE、PFA、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン等を採用してもよい。
(アルカリ水電解用電解装置)
図6に、本実施形態のアルカリ水電解用電解装置の概要を示す。
本実施形態のアルカリ水電解用電解装置70は、本実施形態のアルカリ水電解用複極式電解槽50と、電解液を循環させるための送液ポンプ71と、電解液と水素及び/又は酸素とを分離する気液分離タンク72と、電解により消費した水を補給するための水補給器73とを有する。
本実施形態のアルカリ水電解用電解装置70によれば、本実施形態のアルカリ水電解用複極式電解槽の効果を得ることができる。
すなわち、本実施形態によれば、リーク電流の発生を抑制されてガス純度の悪化が防止され、電解セルの薄型化及び加圧運転が可能であるため、再生可能エネルギー等の変動電源下で運転する場合でも、長期にわたって高いエネルギー変換効率を維持することができる。
以下、本実施形態のアルカリ水電解用電解装置70の構成要素について説明する。
−送液ポンプ−
本実施形態において用いられる送液ポンプ71としては、特に限定されず、適宜定められてよい。
−気液分離タンク−
本実施形態において用いられる気液分離タンク72は、電解液と水素ガスとを分離する水素分離タンク72hと、電解液と酸素ガスとを分離する酸素分離タンク72oとを含む。
水素分離タンク72hは陰極室5cに接続され、酸素分離タンク72oは陽極室5aに接続されて用いられる。
アルカリ水電解システムの気液分離タンク72は、陽極室5a用に用いられる酸素分離タンク72oと、陰極室5cに用に用いられる水素分離タンク72hの二つが備えられる。
陽極室5a用の気液分離タンク72は、陽極室5aで発生した酸素ガスと電解液を分離し、陰極室5c用の気液分離タンク72は、陰極室5cで発生した水素ガスと電解液を分離する。
電解セル65から電解液と発生ガスが混合した状態で排出されたものを、気液分離タンク72に流入させる。気液分離が適切に行われなかった場合は、陰極室5cと陽極室5aの電解液が混合したときに、酸素ガス、水素ガスが混合されてしまい、ガスの純度が低下する。最悪の場合、爆鳴気を形成してしまう危険性がある。
気液分離タンク72に流入したガスと電解液は、ガスはタンク上層の気相へ、電解液はタンク下層の液相に分かれる。気液分離タンク72内での電解液の線束と、発生したガス気泡の浮遊する速度と、気液分離タンク72内の滞留時間によって、気液分離の度合いが決まる。
ガスが分離された後の電解液は、タンク下方の流出口から流出し、電解セル65に再び流入することで循環経路を形成する。タンク上方の排出口から排出された酸素、及び水素ガスは、いずれもアルカリミストを含んだ状態であるため、排出口の下流に、ミストセパレーターや、クーラー等の、余剰ミストを液化し気液分離タンク72に戻すことが可能な装置を取り付けることが好ましい。
気液分離タンク72には、内部に貯留する電解液の液面高さを把握するために、液面計を備えることも可能である。
また、前記気液分離タンク72は、圧力解放弁を備えることが好ましい。これにより電解で発生するガスによる圧力の上昇を受けても、設計圧力を超えた場合、安全に圧力を下げることが可能となる。
気液分離タンク72への流入口は、気液分離性を向上させる上で、電解液面よりも上面に位置することが好ましいが、これに限定されるものではない。
循環停止時の電解槽中の液面の低下を防ぐ目的で、気液分離タンク72内の電解液面を電解槽上面よりも高いことが好ましいが、これに限定されるものではない。
電解セル65と気液分離タンク72との間に遮断弁を付けることが好ましいが、これに限定されるものではない。
気液分離タンク72の材料には、ニッケル等の耐アルカリ性金属が用いられる。一方、鉄等の汎用金属をタンク筐体材料として用いる場合においては、タンク内部の電解液接触面に、フッ素系樹脂等で被覆処理を施したものを用いることもあるが、本発明における気液分離タンク72の素材を限定するものではない。
気液分離タンク72の容量は、設置容積を考慮すると、小さい方が好ましいが、容積が小さすぎると、陰極2cと陽極2aの圧力差が大きくなった場合や電解電流値に変動が生じた場合、タンク内の液面が変動するため、この変動分を考慮する必要がある。
また、タンク高さも同様に、高さが低い場合は、上記変動の影響を受けやすいため、高くすることが好ましい。
−水補給器−
本実施形態において用いられる水補給器73としては、特に限定されず、適宜定められてよい。
水としては、一般上水を使用してもよいが、長期間に渡る運転を考慮した場合、イオン交換水、RO水、超純水等を使用することが好ましい。
−その他−
本実施形態のアルカリ水電解用電解装置70は、複極式電解槽50、気液分離タンク72、水補給器73以外にも、整流器74、酸素濃度計75、水素濃度計76、流量計77、圧力計78、熱交換器79、圧力制御弁80を備えてよい。
また、本実施形態のアルカリ水電解用電解装置70は、更に、電力供給の停止時に、電力供給の停止を検知する検知器、及び、送液ポンプを自動停止する制御器を更に備えることが好ましい。検知器及び制御器を備えることで、再生可能エネルギーのように、変動が激しい電力源下でも、人為的な操作なしに、自己放電の影響を効率的に低減することが可能になる。
(アルカリ水電解方法)
本実施形態のアルカリ水電解方法は、本実施形態のアルカリ水電解用電解装置70を用いて、実施することができる。
方法の好適な条件を以下に記載する。
本実施形態において用いられる電解液としては、アルカリ塩が溶解されたアルカリ性の水溶液としてよく、例えば、NaOH水溶液、KOH水溶液等が挙げられる。
アルカリ塩の濃度としては、20〜50質量%が好ましく、25〜40質量%がより好ましい。
本実施形態では、イオン導電率、動粘度、冷温化での凍結の観点から、25〜40質量%のKOH水溶液が特に好ましい。
本実施形態のアルカリ水電解方法において、電解セル65内にある電解液の温度が80〜130℃であることが好ましい。
上記温度範囲とすれば、高い電解効率を維持しながら、ガスケット7、隔膜4等の電解装置70の部材が熱により劣化することを効果的に抑制することができる。
電解液の温度は、85〜125℃であることが更に好ましく、90〜115℃であることが特に好ましい。
本実施形態のアルカリ水電解方法において、電解セル65に与える電流密度としては、0.5〜20kA/mであることが好ましく、1〜15kA/mであることが更に好ましい。
特に、変動電源を使用する場合には、電流密度の下限と上限を上記範囲にすることが好ましい。
本実施形態のアルカリ水電解方法において、電解セル65内の圧力としては、0.1〜10MPaであることが好ましく、0.3〜5MPaであることがより好ましく、0.3〜1.5MPaであることが更に好ましく、0.3〜0.9MPaであることがより更に好ましく、0.5〜0.7MPaであることが特に好ましい。
本実施形態では、前述のアルカリ水電解用電解装置70の構成要素を用いて、例えば、図6に示すような構成のアルカリ水電解用電解装置70を作製することができるが、これに限定されるものではない。
また、本実施形態では、アルカリ水電解用複極式電解槽への電力供給の停止時に、送液ポンプを停止することが好ましい。一つの循環経路から電解槽の陰極室と陽極室に電解液を分配する構成においては、送液ポンプを停止することで、電解液に溶存する水素と酸素の混合及び混合した水素と酸素の放出を防止することができる。これにより、運転停止中に装置内のガス純度が悪化することを抑制することが可能となる。
以上、図面を参照して、本発明の実施形態のアルカリ水電解用複極式電解槽、アルカリ水電解用電解装置、アルカリ水電解方法について例示説明したが、本発明のアルカリ水電解用複極式電解槽、アルカリ水電解用電解装置、アルカリ水電解方法は、上記の例に限定されることはなく、上記実施形態には、適宜変更を加えることができる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
実施例及び比較例で用いた測定方法及び評価方法について、以下に説明する。
(入口ヘッダーの耐圧)
入口ヘッダーの耐圧は、入口ヘッダーを気密状態とした上で、液体又は気体により加圧し、破損、変形、封入した液体又は気体の漏れがないことを評価することで耐圧(MPa)を確認した。
(入口リーク電流及び出口リーク電流)
入口リーク電流及び出口リーク電流は、それぞれ、電解中又は電解槽電圧が残留している間にヘッダーの一部をクランプメーターで囲い、ヘッダーに流れる電流値(A)を測定することにより、得た。
構造上、クランプメーターによる測定が困難な場合は、ヘッダー内の参照極に対する電位を電解槽の積層方向(隔壁1に垂直な方向)に2点以上測定して求めたヘッダー内の電位差Vを、ヘッダー内の電解液の電気抵抗Rで除した値を、リーク電流値とした。
(水素中酸素濃度O/H
電解により生成した水素ガスの純度の指標である水素中酸素濃度O/H(体積ppm)を、生成した水素ガスの一部を採取し、ガルバニ式酸素センサー、ガスクロマトグラフ及び熱伝導度検出器(TCD)を組み合わせた装置を用いて測定した。
(酸素中水素濃度H/O
電解により生成した酸素ガスの純度の指標である酸素中水素濃度H/O(体積ppm)を、生成した酸素ガスの一部を採取し、接触燃焼式センサーを用いて測定した。
[実施例1、2]
電解槽として、表1に示す個数の複極式エレメント60(11個のゼロギャップ型電解セル65、図2)が図1に示すように並べられた複極式電解槽50を用いた。陽極2aとしてはニッケル(触媒層コバルト)を用い、陰極2cとしてはニッケル(触媒層白金・パラジウム)を用いた。また、電解液は、水酸化カリウム水溶液とした。
ヘッダー、導管については、図3及び図4に示すように、電解槽50の筐体の外方に、電解液を配液するための陽極用配液管20Oai及び陰極用配液管20Ociを設けた。更に、これらの導管20から電極室5に電解液を通過させる入口ヘッダー10としてのホース(陽極入口ヘッダー10Oai、陰極入口ヘッダー10Oci)を、外部から取り付けた。
ここで、図3及び図4に示すように、入口ヘッダー10(陽極入口ヘッダー10Oai、陰極入口ヘッダー10Oci)のいずれもが、複極式エレメント60の隔壁1の下方から外方に延びるように、配置した。また、図3及び図4に示すように、陽極用配液管20Oai及び陰極用配液管20Ociのいずれもが、複極式エレメント60の隔壁1に垂直な方向に延びるように、配置した。
また、図3〜図5に示すように、出口ヘッダー11(陽極出口ヘッダー11Iao、陰極出口ヘッダー11Ico)を、いずれもが複極式エレメント60の隔壁1の側方の2辺に対して平行に延びるように(隔壁1の上方の辺及び下方の辺に対して直交して延びるように)、配置した。
また、図3〜図5に示すように、陽極用集液管20Iao及び陰極用集液管20Icoのいずれもが、複極式エレメント60の隔壁1に垂直な方向に延びるように、配置した。
なお、入口ヘッダー10の材質はPFA、陽極用配液管20Oai、及び陰極用配液管20Oci、出口ヘッダー11、陽極用集液管20Iao、及び陰極用集液管20Icoの材質はニッケルとした。
陽極室5a及び陰極室5cの入口ホースから、陽極室5a及び陰極室5cに電解液が流入し、陽極室5a及び陰極室5cの陽極出口ヘッダー11Iao及び陰極出口ヘッダー11Icoから、電解液及び生成ガスが電解槽50外へ流出する構造とした。
陰極入口ヘッダー10Ociを介して陰極室5cへ、陰極室5cから陰極出口ヘッダー11Icoを介して電解槽50外へ、電解液を流した。また、陽極入口ヘッダー10Oaiを介して陽極室5aへ、陽極室5aから陽極出口ヘッダー11Iaoを介して電解槽50外へ、電解液を流した。電解液は、鉛直方向に対して下方から上方へ流れ、電極面に沿って上昇した。
陰極室5cでは、電解により水素ガスが発生し、陽極室5aでは、電解により酸素ガスが発生するため、陰極出口ヘッダー11Icoでは電解液と水素ガスとの混相流となり、陽極出口ヘッダー11Iaoでは電解液と酸素ガスとの混相流となった。
複極式エレメント60に取り付けた電極(陽極5a及び陰極5c)の面積S1、入口ヘッダー10(陽極入口ヘッダー10Oai、陰極入口ヘッダー10Oci)の流路の断面積S2i、出口ヘッダー11(陽極出口ヘッダー11Iao、陰極出口ヘッダー11Ico)の流路の断面積S2o、入口ヘッダー10の流路の長さL2i、出口ヘッダー11の流路の長さL2o、電解セル65の厚さdは、それぞれ表1に示す値に調整した。
図6に示すように、送液ポンプにより、陽極室、酸素分離タンク(陽極用気液分離タンク)、陽極室の循環を、また、陰極室、水素分離タンク(陰極用気液分離タンク)、陰極室の循環を行った。
整流器から複極式電解槽に、各々の陰極及び陽極の面積S1に対して、6kA/mとなるように電流を流した。
測定結果を表1に示す。
[比較例1、2]
入口ヘッダー10及び出口ヘッダー11を、いずれも内部ヘッダー型とした以外は、実施例と同様にしてアルカリ水電解用複極式電解槽及び電解装置を作製した。
入口ヘッダー10(陽極入口ヘッダー10Iai、陰極入口ヘッダー10Ici)及び出口ヘッダー11(陽極出口ヘッダー11Iao、陰極出口ヘッダー11Ico)を、いずれもが複極式エレメント60の隔壁1の側方の2辺に対して平行に延びるように(隔壁1の上方の辺及び下方の辺に対して直交して延びるように)、配置した。
また、導管20(陽極用配液管20Iai、陰極用配液管20Ici、陽極用集液管20Iao、陰極用集液管20Ico)のいずれもが、複極式エレメント60の隔壁1に垂直な方向に延びるように、配置した。
また、入口ヘッダー10と出口ヘッダー11とを、平面視で長方形の電極室5において電極室5の中央部を挟んで向かい合うように設け、陽極室5a及び陰極室5cの陽極入口ヘッダー10Iai及び陰極入口ヘッダー10Iciから、陽極室5a及び陰極室5cに電解液が流入し、陽極室5a及び陰極室5cの陽極出口ヘッダー11Iao及び陰極出口ヘッダー11Icoから、電解液及び生成ガスが電解槽50外へ流出する構造とした。
陰極入口ヘッダー10Iciを介して陰極室5cへ、陰極室5cから陰極出口ヘッダー11Icoを介して電解槽50外へ、電解液を流した。また、陽極入口ヘッダー10Iaiを介して陽極室5aへ、陽極室5aから陽極出口ヘッダー11Iaoを介して電解槽50外へ、電解液を流した。電解液は、鉛直方向に対して下方から上方へ流れ、電極面に沿って上昇した。
陰極室5cでは、電解により水素ガスが発生し、陽極室5aでは、電解により酸素ガスが発生するため、陰極出口ヘッダー11Icoでは電解液と水素ガスとの混相流となり、陽極出口ヘッダー11Iaoでは電解液と酸素ガスとの混相流となった。
複極式エレメント60に取り付けた電極(陽極5a及び陰極5c)の面積S1、入口ヘッダー10(陽極入口ヘッダー10Iai、陰極入口ヘッダー10Ici)の流路の断面積S2i、出口ヘッダー11(陽極出口ヘッダー11Iao、陰極出口ヘッダー11Ico)の流路の断面積S2o、入口ヘッダー10の流路の長さL2i、出口ヘッダー11の流路の長さL2o、電解セル65の厚さdは、それぞれ表1に示す値に調整した。
測定結果を表1に示す。
[比較例3〜5]
入口ヘッダー10及び出口ヘッダー11を、いずれも外部ヘッダー型とした以外は、実施例と同様にしてアルカリ水電解用複極式電解槽及び電解装置を作製した。
複極式電解槽50の筐体の外方に、電解液を配液及び集液するための導管20(陽極用配液管20Oai、陰極用配液管20Oci、陽極用集液管20Oao、陰極用集液管20Oco)を設けた。更に、この電解槽50では、これらの導管20から電極室5に電解液を通過させる入口ヘッダー10及び出口ヘッダー11としてのホース(陽極入口ヘッダー10Oai、陰極入口ヘッダー10Oci、陽極出口ヘッダー11Oao、陰極出口ヘッダー11Oco)を、外部から取り付けた。
ここで、入口ヘッダー10及び出口ヘッダー11(陽極入口ヘッダー10Oai、陰極入口ヘッダー10Oci、陽極出口ヘッダー11Oao、陰極出口ヘッダー11Oco)のいずれもが、複極式エレメント60の隔壁1の側方から外方に延びるように、配置した。また、導管20(陽極用配液管20Oai、陰極用配液管20Oci、陽極用集液管20Oao、陰極用集液管20Oco)のいずれもが、複極式エレメント60の隔壁1に垂直な方向に延びるように、配置した。
また、入口ホースと出口ホースとを、平面視で長方形の電極室5において電極室5の中央部を挟んで向かい合うように設け、陽極室5a及び陰極室5cの入口ホースから、陽極室5a及び陰極室5cに電解液が流入し、陽極室5a及び陰極室5cの出口ホースから、電解液及び生成ガスが電解槽50外へ流出する構造とした。
陰極入口ヘッダー10Ociを介して陰極室5cへ、陰極室5cから陰極出口ヘッダー11Ocoを介して電解槽50外へ、電解液を流した。また、陽極入口ヘッダー10Oaiを介して陽極室5aへ、陽極室5aから陽極出口ヘッダー11Oaoを介して電解槽50外へ、電解液を流した。電解液は、鉛直方向に対して下方から上方へ流れ、電極面に沿って上昇した。
陰極室5cでは、電解により水素ガスが発生し、陽極室5aでは、電解により酸素ガスが発生するため、陰極出口ヘッダー11Ocoでは電解液と水素ガスとの混相流となり、陽極出口ヘッダー11Oaoでは電解液と酸素ガスとの混相流となった。
複極式エレメント60に取り付けた電極(陽極5a及び陰極5c)の面積S1、入口ヘッダー10(陽極入口ヘッダー10Oai、陰極入口ヘッダー10Oci)の流路の断面積S2i、出口ヘッダー11(陽極出口ヘッダー11Oao、陰極出口ヘッダー11Oco)の流路の断面積S2o、入口ヘッダー10の流路の長さL2i、出口ヘッダー11の流路の長さL2o、電解セル65の厚さdは、それぞれ表1に示す値に調整した。
測定結果を表1に示す。
Figure 2021161498
実施例1及び2では、入口ヘッダーが外部ヘッダーであるため、比較例1及び2と比較して、入口ヘッダーのリーク電流を大幅に抑制することができ、ガス純度が改善された。
また、実施例1及び2では、出口ヘッダーが内部ヘッダーであるため、比較例3〜5と比較して、入口ヘッダーの耐圧(電解装置の耐圧)が向上した。
本発明のアルカリ水電解用複極式電解槽、アルカリ水電解用複極式電解装置、及びアルカリ水電解方法によれば、リーク電流の発生を抑制し、ガス純度が良好で、電解セルの薄型化及び加圧運転が可能であるため、再生可能エネルギー等の変動電源下で運転する場合でも、幅広い出力範囲にわたる安定的な運転及び高効率的な電解が可能である。
1 隔壁
2 電極
2a 陽極
2c 陰極
2e 導電性弾性体
2r 集電体
3 外枠
4 隔膜
5 電極室
5a 陽極室
5c 陰極室
5i 電解液入口
5o 電解液出口
5ai 陽極電解液入口
5ao 陽極電解液出口
5ci 陰極電解液入口
5co 陰極電解液出口
6 整流板
6a 陽極整流板(陽極リブ)
6c 陰極整流板(陰極リブ)
7 ガスケット
10、11 ヘッダー
10O 外部ヘッダー
10Oai 陽極入口ヘッダー(陽極入口側ホース)
10Oao 陽極出口ヘッダー(陽極出口側ホース)
10Oci 陰極入口ヘッダー(陰極入口側ホース)
10Oco 陰極出口ヘッダー(陰極出口側ホース)
11I 内部ヘッダー
11Iai 陽極入口ヘッダー
11Iao 陽極出口ヘッダー
11Ici 陰極入口ヘッダー
11Ico 陰極出口ヘッダー
20 導管
20Oai、20Iai 陽極用配液管
20Oao、20Iao 陽極用集液管
20Oci、20Ici 陰極用配液管
20Oco、20Ico 陰極用集液管
50 複極式電解槽
51g ファストヘッド、ルーズヘッド
51i 絶縁板
51a 陽極ターミナルエレメント
51c 陰極ターミナルエレメント
51r タイロッド
60 複極式エレメント
65 電解セル
70 電解装置
71 送液ポンプ
72 気液分離タンク
72h 水素分離タンク
72o 酸素分離タンク
73 水補給器
74 整流器
75 酸素濃度計
76 水素濃度計
77 流量計
78 圧力計
79 熱交換器
80 圧力制御弁
D1 隔壁に沿う所与の方向(電解液通過方向)
S1 複極式エレメントの通電面の面積
S2i 入口ヘッダーの流路の断面積
S2o 出口ヘッダーの流路の断面積
L2i 入口ヘッダーの流路の長さ
L2o 出口ヘッダーの流路の長さ
Z ゼロギャップ構造
d 電解セルの厚さ

Claims (15)

  1. 陽極と、陰極と、前記陽極と前記陰極とを隔離する隔壁と、前記隔壁を縁取る外枠とを備える複数の複極式エレメントが隔膜を挟んで重ね合わせられ、
    前記外枠の外方に、前記隔壁と前記外枠と前記隔膜とにより画成される電極室に連通する入口ヘッダーと、前記隔壁及び/又は外枠の内方に、前記隔壁と前記外枠と前記隔膜とにより画成される電極室に連通する出口ヘッダーと、を備えることを特徴とする、アルカリ水電解用複極式電解槽。
  2. 前記複極式エレメントの通電面の面積をS1、前記入口ヘッダーの流路の断面積をS2i、前記出口ヘッダーの流路の断面積をS2o、前記入口ヘッダーの流路の長さをL2i、前記出口ヘッダーの流路の長さをL2oとしたときに、((S2i/S1)/L2i)/((S2o/S1)/L2o)が0.0001〜0.5である、請求項1に記載のアルカリ水電解用複極式電解槽。
  3. 50〜500の複極式エレメントを有する、請求項1又は2に記載のアルカリ水電解用複極式電解槽。
  4. 前記S1が0.1〜10mである、請求項2又は3に記載のアルカリ水電解用複極式電解槽。
  5. 電解セルの厚さdが5〜100mmである、請求項1〜4のいずれか一項に記載のアルカリ水電解用複極式電解槽。
  6. 前記入口ヘッダーの耐圧が0.1〜10MPaである、請求項1〜5のいずれか一項に記載のアルカリ水電解用複極式電解槽。
  7. 前記入口ヘッダーの少なくとも一部が可撓性素材である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のアルカリ水電解用複極式電解槽。
  8. 前記入口ヘッダーの少なくとも一部が絶縁性である、請求項1〜7のいずれか一項に記載のアルカリ水電解用複極式電解槽。
  9. 前記入口ヘッダーと前記外枠との間に、電気的な絶縁層を有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載のアルカリ水電解用複極式電解槽。
  10. 前記電気的な絶縁層の抵抗値が0.1MΩ以上である、請求項9に記載のアルカリ水電解用複極式電解槽。
  11. 前記出口ヘッダーが、ニッケル、樹脂、及び樹脂でコーティングされた金属からなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載のアルカリ水電解用複極式電解槽。
  12. 請求項1〜11のいずれか一項に記載のアルカリ水電解用複極式電解槽と、
    電解液を循環させるための送液ポンプと、
    電解液と水素及び/又は酸素とを分離する気液分離タンクと、
    水を補給するための水補給器と
    を含むことを特徴とする、アルカリ水電解用複極式電解装置。
  13. 前記アルカリ水電解用電解装置への電力供給の停止時に、電力供給の停止を検知する検知器、及び、前記送液ポンプを自動停止する制御器を更に含む、請求項12に記載のアルカリ水電解用電解装置。
  14. 請求項12又は13に記載のアルカリ水電解用電解装置への電力供給の停止時に、前記送液ポンプを停止することを特徴とする、アルカリ水電解方法。
  15. 請求項12又は13に記載のアルカリ水電解用電解装置への電力供給の停止時に、電解液の液面を前記出口ヘッダーの前記電極室への連通口より下方に制御することを特徴とする、アルカリ水電解方法。
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