JP7141425B2 - 窒化物半導体発光素子 - Google Patents
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(窒化物半導体発光素子の構成)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る窒化物半導体発光素子の構成の一例を概略的に示す断面図である。図2は、図1に示す窒化物半導体発光素子を構成する半導体層のAl組成比(「AlNモル分率」ともいう)の一例を模式的に示す図である。この窒化物半導体発光素子1(以下、単に「発光素子1」ともいう)には、例えば、レーザダイオードや発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)が含まれる。本実施の形態では、発光素子1として、中心波長が250nm~360nmの紫外光を発する発光ダイオード(LED)を例に挙げて説明する。
基板11は、発光素子1が発する紫外光に対して透光性を有する基板である。基板11には、例えば、サファイア(Al2O3)により形成されたサファイア基板が用いられる。なお、基板11は、窒化アルミニウム(AlN)により形成されたAlN単結晶基板でもよい。
バッファ層12は、基板11上に形成されている。バッファ層12は、AlNにより形成されたAlN層である。バッファ層12は、1.0μmから4.5μm程度の膜厚を有する。バッファ層12の構造は、単層でも多層構造でもよい。なお、基板11がAlN単結晶基板の場合、バッファ層12は、必ずしも設けなくてもよい。バッファ層12上にAlGaNにより形成されたアンドープのAlGaN層を設けてもよい。
n型クラッド層30は、バッファ層12上に形成されている。n型クラッド層30は、n型AlGaNにより形成された層であり、例えば、n型の不純物としてシリコン(Si)がドープされたAlGaN層である。なお、n型の不純物としては、ゲルマニウム(Ge)、セレン(Se)、又はテルル(Te)等を用いてよい。n型クラッド層30は、1μmから4μm程度の膜厚を有し、例えば、2μmから3μm程度の膜厚を有している。
活性層50は、n型クラッド層30上に形成されている。本実施の形態では、活性層50は、3層の障壁層52a,52b,52c、及び3層の井戸層54a,54b,54cを交互に積層した量子井戸構造を有している。
電子ブロック積層体60は、活性層50上に形成されている。電子ブロック積層体60は、p型コンタクト層80側への電子の流出を抑制する役割を担う層である。電子ブロック積層体60は、活性層50側に位置する第1の電子ブロック層61と、この第1の電子ブロック層61上に位置する第2の電子ブロック層62と、を積層した構造を含んでいる。
p型コンタクト層80は、電子ブロック積層体60上、具体的には第2の電子ブロック層62上に形成されている。p型コンタクト層80は、例えば、Mg等の不純物が高濃度にドープされた、例えば、10%以下のAl組成比を有するp型AlGaNにより形成された層である。好ましくは、p型コンタクト層80は、p型のGaNにより形成されたp型GaN層である。
n側電極90は、n型クラッド層30の一部の領域上に形成されている。n側電極90は、例えば、n型クラッド層30上に順にチタン(Ti)/アルミニウム(Al)/Ti/金(Au)が順に積層された多層膜で形成される。
p側電極92は、p型コンタクト層80上に形成されている。p側電極92は、例えば、p型コンタクト層80上に順に積層されるニッケル(Ni)/金(Au)の多層膜で形成される。
次に、発光素子1の製造方法について説明する。まず、基板11上にバッファ層12を高温成長させる。次に、このバッファ層12上にn型クラッド層30、活性層50、電子ブロック積層体60及びp型コンタクト層80を順に積層して、所定の直径(例えば、50mm程度)を有する円板状の窒化物半導体積層体(「ウエハ」又は「ウェハ」ともいう)を形成する。
図3は、本発明の第2の実施の形態に係る発光素子1の構成の一例を概略的に示す断面図である。図4は、図3に示す発光素子1を構成する半導体層のAl組成比の一例を模式的に示す図である。第2の実施の形態に係る発光素子1は、p型クラッド層70を有する点で第1の実施の形態の発光素子1と相違する。以下、第1の実施の形態と異なる点を中心に説明する。
図5は、第3の実施の形態に係る発光素子1を構成する半導体層のAl組成比の一例を模式的に示す図である。第3の実施の形態に係る発光素子1は、Al組成比が膜厚の方向において傾斜するp型クラッド層70を有する点で第1の実施の形態の発光素子1と相違する。以下、第1の実施の形態と異なる点を中心に説明する。なお、第3の実施の形態に係る発光素子1の構成は、図3に示した第2の実施の形態に係る発光素子1と実質的に同一であるため、その詳細な説明は省略する。
図6は、上述した実施の形態に係る発光素子1の発光出力の測定結果の一例を示す図である。横軸の「実施例1」は、第1の実施の形態に係る発光素子1の測定結果を示し、「実施例2」は、第2の実施の形態に係る発光素子1の測定結果を示し、「実施例3」は、第3の実施の形態に係る発光素子1の測定結果を示している。発光出力は、種々の公知の方法で測定することが可能であるが、本実施例では、一例として、上述したn側電極90及びp側電極92の間に一定の電流(例えば、100mA)を流し、発光素子1の下側に設置した光検出器により測定した。
次に、以上説明した実施の形態から把握される技術思想について、実施の形態における符号等を援用して記載する。ただし、以下の記載における各符号等は、特許請求の範囲における構成要素を実施の形態に具体的に示した部材等に限定するものではない。
[2]前記活性層(50)は、前記障壁層(52)のAl組成比よりも小さいAl組成比を有する井戸層(54)をさらに備え、前記第2の電子ブロック層(62)のAl組成比は、前記井戸層(54)のAl組成比よりも大きい、前記[1]に記載の窒化物半導体発光素子(1)。
[3]前記第2の電子ブロック層(62)は、前記第1の電子ブロック層(61)の膜厚よりも大きい膜厚を有する、前記[1]又は[2]に記載の窒化物半導体発光素子(1)。
[4]前記第2の電子ブロック層(62)及び前記p型コンタクト層(80)の間に、前記第2の電子ブロック層(62)のAl組成比よりも小さく、前記井戸層(54)のAl組成比よりも大きいAl組成比を有するp型のAlGaNにより形成されたp型クラッド層(70)をさらに備える、前記[1]から[3]のいずれか1つに記載の窒化物半導体発光素子(1)。
[5]前記p型クラッド層(70)は、膜厚の方向において傾斜するAl組成比を有する、前記[4]に記載の窒化物半導体発光素子(1)。
[6]前記第1の電子ブロック層(61)のAl組成比は、80%以上であり、前記第2の電子ブロック層(62)のAl組成比は、40%以上90%以下である、前記[1]から[5]のいずれか1つに記載の窒化物半導体発光素子(1)。
11…基板
12…バッファ層
30…n型クラッド層
30a…露出面
50…活性層
52,52a,52b,52c…障壁層
54,54a,54b,54c…井戸層
60…電子ブロック積層体
61…第1の電子ブロック層
62…第2の電子ブロック層
70…p型クラッド層
80…p型コンタクト層
90…n側電極
92…p側電極
Claims (7)
- AlGaN系の障壁層及び前記障壁層のAl組成比よりも小さいAl組成比を有する井戸層を含む活性層と、
前記活性層の上側に位置するp型コンタクト層と、
前記活性層及び前記p型コンタクト層の間に位置する電子ブロック積層体と、
前記活性層の下側に位置するn型クラッド層と、
を備え、
前記電子ブロック積層体は、
前記活性層側に位置し、前記障壁層のAl組成比よりも大きく、前記活性層側の一端から前記p型コンタクト層側の他端に亘って一定値であるAl組成比を有する第1の電子ブロック層と、
前記p型コンタクト層側に位置し、前記障壁層のAl組成比よりも小さく、前記第1の電子ブロック層側の一端から前記p型コンタクト層側の他端に亘って一定値であるAl組成比を有する第2の電子ブロック層と、
を備え、
前記第2の電子ブロック層及び前記p型コンタクト層の間に、前記第2の電子ブロック層のAl組成比よりも小さく、前記井戸層のAl組成比よりも大きいAl組成比を有するp型のAlGaNにより形成されたp型クラッド層をさらに備え、
前記電子ブロック積層体の上側に位置する各半導体層のAl組成比は、前記第2の電子ブロック層のAl組成比よりも小さく、
前記第2の電子ブロック層のAl組成比は、前記n型クラッド層のAl組成比よりも大きい、
窒化物半導体発光素子。 - 前記p型クラッド層のAl組成比は、前記n型クラッド層のAl組成比よりも小さい、
請求項1に記載の窒化物半導体発光素子。 - 前記第2の電子ブロック層のAl組成比と前記p型クラッド層のAl組成比との差は、前記p型クラッド層のAl組成比と前記井戸層のAl組成比との差よりも大きい、
請求項1又は2に記載の窒化物半導体発光素子。 - 前記第2の電子ブロック層は、前記第1の電子ブロック層の膜厚よりも大きい膜厚を有する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の窒化物半導体発光素子。 - 前記第2の電子ブロック層は、前記第1の電子ブロック層の膜厚の5倍以上20倍以下の膜厚を有する、
請求項4に記載の窒化物半導体発光素子。 - 前記p型クラッド層は、膜厚の方向において傾斜するAl組成比を有する、
請求項1に記載の窒化物半導体発光素子。 - 前記第1の電子ブロック層のAl組成比は、80%以上であり、
前記第2の電子ブロック層のAl組成比は、40%以上90%以下である、
請求項1から6のいずれか1項に記載の窒化物半導体発光素子。
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