以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
<第1の実施形態>
まず、図1~4を参照して、第1の実施形態に係る塗布用品の構成について説明する。図1、4に示すように、塗布用品1は、複数のシートが積層したシート状である。図4において、理解を容易にするため、各シートの厚さは誇張して描かれている。塗布用品1の平面視における形状は、例えば正方形であるが、矩形その他の多角形でもよいし、円または楕円その他の曲線で囲まれた任意の図形でもよい。塗布用品1は、保持シート3、支持シート4、および保護シート9を備えている。ここで「シート」とは、薄く平たい部材のことであるが、その厚さは均一でなくてもよく、厚さ方向の断面が湾曲した凸形状等であってもよく、表面に凹凸があってもよい。シートの表面に、エンボス加工等の加工が適宜施されていてもよい。
保持シート3は、塗布剤を保持可能なシートであればよく、特に制限はない。ここで「保持」は、堆積または含浸その他の任意の態様を含む。保持シート3は、可撓性のある基材シートの上に、塗布剤を保持可能な面が形成されたものであってよい。例えば、保持シート3は、基材シートの上に、接着剤層を介して短繊維すなわちフロック材料またはパイルが結合することで、粉末状の塗布剤を保持可能な層が形成されたものであってもよい。上記基材シートの例として、樹脂製のフィルム、織物・編物・フェルトまたは不織布、多孔性の発泡シート等が挙げられる。また、保持シート3が、織物・編物・フェルトまたは不織布、多孔性の発泡シート等で形成されていてもよい。図4で、塗布剤6は保持シート3とは別の層として描かれているが、塗布剤6が保持シート3の内部に含浸等により保持される場合には、塗布剤6は保持シート3と同じ層であってよい。図2、4に示すように、保持シート3は、表面(おもてめん。以下同じ。)301および裏面302を有している。表面301は保持シート3の第1面に相当する。裏面302は、第1面と反対側の第2面に相当する。塗布剤6が保持シート3の内部に含浸等により保持される場合には、塗布剤6は表面301だけでなく裏面302にも露出可能または滲出可能であってよい。
保持シート3は、塗布剤6を保持するための第1部分31と、塗布剤6を保持する目的を有していない第2部分32とを有している。平面視で、第1部分31は円形状である。第2部分32は、第1部分31の径方向外側に第1部分31から突出している爪状である。なお、第1部分31および第2部分32の形状は任意であり、それぞれ、矩形その他の多角形でもよいし、曲線で囲まれた、円以外の任意の図形でもよい。第1部分31は、中空リング形であってもよい。
第1部分31の表面301(第1領域に相当。)は、塗布剤6の層により覆われているか、または、塗布剤6が保持シート3の内部に含浸等により保持される場合には、第1部分31の表面301に塗布剤6が露出可能または滲出可能である。第2部分32の表面301(第2領域に相当。)は、塗布剤6の層により覆われていないか、または、塗布剤6が保持シート3の内部に含浸等により保持される場合には、第1部分31の表面301に比べ、第2部分32の表面301への塗布剤6の露出もしくは滲出が抑制されている。言い換えると、第1部分31の表面301に比べ、上記露出または滲出の可能性または程度が低い。保持シート3の裏面302の少なくとも一部は、粘着剤の層、すなわち粘着層82で覆われている。粘着層82が有する接合の力、すなわち粘着力を調整するために、例えば粘着剤の種類または塗布パターンを異ならせてもよい。本実施形態の塗布剤6は、化粧品または化粧製品の化粧料である。化粧料は、例えば、ファンデーション、チークカラー、口紅、アイシャドウ、アイブロウ、マニキュア等であってもよいし、仕上げ用すなわちメイクアップ用に限らず、メイク落とし用、スキンケア用等の基礎用、頭髪用、芳香用、薬用等の化粧料であってもよい。化粧料は、固形粉末化粧料または油性固形化粧料であってよいし、固体を主成分とするものに限らず液体を主成分とするものであってもよい。
図2、4に示すように、支持シート4は、第1支持シート41および第2支持シート42を有している。第1支持シート41は、保持シート3の裏面302を覆って支持する裏シートである。第1支持シート41は、可撓性があり、表面411および裏面412を有している。第1支持シート41は、樹脂製であってもよいし、不織布等の繊維製、または紙製等であってもよい。第2支持シート42は、保持シート3の外周を囲んで支持する外周シートである。第2支持シート42は、可撓性があり、表面421および裏面422を有している。第2支持シート42は、保持シート3と共通の材質および層構造を有していてもよいし、塗布剤6を保持していてもいなくてもよい。第2支持シート42には1つの孔423が貫通している。孔423には保持シート3が嵌まっている。第2支持シート42は、保持シート3の外縁部に対向しており、保持シート3とともに1つの本体シート5を構成している。
言い換えると、保持シート3は、本体シート5の一部であり、切れ目51により囲まれる部分である。切れ目51は、保持シート3を囲んで連続している。保持シート3は、切れ目51により、本体シート5から取り外し可能である。切れ目51は、本体シート5の厚さ方向に延び、本体シート5の表面501および裏面502に接続している。第2支持シート42における孔423の内縁部、言い換えると内周面と、保持シート3の外縁部、言い換えると外周面とは、少なくとも部分的に、互いに接している。保持シート3が本体シート5から取り外される際、孔423の内縁部に対して保持シート3の外縁部が本体シート5の厚み方向に滑る。この滑り方向では、両縁部の間に摩擦力が生じる。すなわち、第2支持シート42は、保持シート3の外縁部と分離可能に接合している。保持シート3の第2部分32は、本体シート5の一辺52に向かって延びるように第1部分31から突出した形状となっている。第2部分32の表面301は、本体シート5の表面501の一部として、第2支持シート42の表面421に連続している。
本体シート5の裏面502は、粘着層84により覆われている。保持シート3の裏面302の粘着層82は、粘着層84の一部である。また、第2支持シート42の裏面422は、粘着層83により覆われている。この粘着層83も、粘着層84の一部である。粘着層84には、保持シート3の外周の位置に切れ目510が設けられている。切れ目510は、上記切れ目51の一部であり、例えば切れ目51と同じ工程で形成されうる。切れ目510は、保持シート3を囲んで連続している。切れ目510は、粘着層84の厚さ方向に延び、粘着層84の表面および裏面に接続している。本体シート5の裏面502、すなわち粘着層84は、第1支持シート41の表面411に重畳、言い換えると対向しており、表面411と分離可能に接着している。保持シート3の裏面302、具体的には粘着層82は、粘着部として機能する。保持シート3の裏面302との粘着の力を弱めるため、第1支持シート41の表面411に剥離加工が施されていてもよい。例えば、第1支持シート41は剥離紙であってもよい。
図3、4に示すように、保護シート9は、保持シート3の表面301を覆う表(おもて)シートである。保護シート9は、可撓性のある粘着フィルムであり、樹脂製であってもよいし、不織布等の繊維製、または紙製等であってもよい。保護シート9は、表面901および裏面902を有している。保護シート9の裏面902は、本体シート5の表面501、具体的には保持シート3の表面301および第2支持シート42の表面421に重畳している。保護シート9の裏面902は、部分的に粘着層が設けられていない。図3に示すように、保護シート9における第1部分93および第2部分94の裏面902は、粘着層により覆われておらず第1部分93および第2部分94を除く部分の裏面902は、粘着層81により覆われている。第1部分93は、保持シート3の第1部分31と同じ大きさおよび形状、例えば円形であり、平面視で第1部分31と一致して重なるように配置されている。なお、保持シート3における塗布剤6の分布は、第1部分93の形状と一致していてもいなくてもよい。第2部分94は、保護シート9の一辺91に沿って延びる矩形状であり、保護シート9の外周に接続している。
保護シート9の裏面902のうち、保持シート3の第2部分32の表面301に重畳する領域903は、粘着層81により覆われており、第2部分32と分離可能に接着している。上記領域903の粘着層81は、第2部分32に対する粘着部として機能する。保護シート9の裏面902のうち、保持シート3の第1部分31の表面301に重畳する領域、具体的には第1部分93の裏面902は、粘着層81により覆われておらず、第1部分31の表面301を覆うことで、第1部分31の表面301に保持されている塗布剤6を保護するための保護部として機能する。保護シート9における第1部分93の裏面902は、例えば糊殺し加工が施されていてもよい。保護シート9の裏面902のうち、保持シート3の周囲に重畳する領域904は、粘着層81により覆われており、第2支持シート42の孔423の周囲と分離可能に接着している。上記領域904の粘着層81は、第2支持シート42に対する粘着部として機能する。なお、粘着部は、粘着機能を有する部分であればよく、平面状の粘着層81、82に限らない。例えば、粘着部は、線状、例えば直線状、曲線状または螺旋状でもよく、点状であってもよい。本実施形態のように、粘着層81、82を介して接着する場合、適度な接着力を簡便に得ることができる。
平面視で、保護シート9の第2部分94の任意の位置と保持シート3の中心、例えば第1部分31の中心とを結ぶ直線の方向、例えば図1において矢印10で示す方向を、基準剥がし方向とする。保持シート3の面内で基準剥がし方向10に対し直交する方向11における第2部分32の最大幅は、基準剥がし方向10における第2部分32の最大幅よりも大きい。平面視で、保護シート9と保持シート3の第2部分32とが粘着層81を介して接着する領域を領域Xとし、保持シート3と第1支持シート41とが粘着層82を介して接着する領域を領域Yとする。領域Xの全部は、領域Yと重なっている。領域Yは、領域Xに対し保護シート9の第2部分94と反対の側、言い換えると基準剥がし方向10の先の側に突出し、領域Xよりも第2部分94の側、言い換えると基準剥がし方向10の元の側に突出しない。領域Xは、保持シート3において、基準剥がし方向10で第2部分94の側にあり、保持シート3の外周に重なっている。言い換えると、保持シート3の外周に接続している。図1、4に示すように、平面視で、領域Xのうち第2部分94の側の端Pは、領域Yのうち第2部分94の側の端Qに対して、同じ位置にある。
保持シート3の第2部分32との接着領域Xにおける保護シート9の剥離強度は、第1支持シート41との接着領域Yにおける保持シート3の剥離強度よりも、大きい。ここで「剥離強度」は、所定の速度での引き剥がしに際して生じる抵抗力であり、剥がし方向に対し直交する方向、言い換えると剥離先端に沿った直線方向における接着部分の単位長さ当たりの力(N/mm)で表される。剥離強度の測定方法としては、例えば所定の剥離接着強さ試験方法(JIS K6854-2、JIS K6854-3)を用いることができる。なお、所定の粘着テープ・粘着シート試験方法(JIS Z0237)により粘着力を測定してもよい。上記各試験方法で用いる試験片として、図1、4で示される実際の塗布用品を用いることができる。すなわち、剥離強度を比較する両接着領域の形状または大きさが互いに異なる試験片を用いてもよい。上記比較のための剥離強度として、例えば基準剥がし方向10における剥離強度を用いることができる。さらに、本実施形態の塗布用品1においては、保持シート3と保護シート9との剥離強度が、第1支持シート41と第2支持シート42の両方を含む支持シート4と保持シート3との剥離強度よりも大きい。これらの剥離強度を比較するため、上記各試験に準じ、実際の塗布用品を用いて、第1,第2支持シート41,42を含む支持シート4と保持シート3との剥離強度を測定してもよい。
次に、図5~7を参照して、本実施形態に係る塗布用品1の使用方法を説明する。塗布用品1はシート状であるため、携帯性に優れている。この塗布用品1からは保持シート3が取り出され、この保持シート3は塗布具2として機能する。図7に示すように、塗布具2は、シート状の塗布用具であって、その表面に塗布剤6が保持されている。塗布具2において、塗布剤6を保持している面と反対側の面は、粘着面となっている。この粘着面を介して、指に塗布具2を装着することが可能となっている。塗布具2は、第1部分31と第2部分32を有している。第1部分31の表面301には塗布剤6が保持されており、第2部分32の表面301に粘着層は存在していない。図5、6における塗布用品1の断面は、図1のIV-IV方向から見たものである。図5は、使用者が塗布用品1から保持シート3を取り出す作業(以下、取り出し作業という。)における第1のステップを示す。第1ステップで、使用者は、保護シート9を第2支持シート42から引き剥がそうとして、手の指で保護シート9の第2部分94を把持し、図5に示すように捲り上げて、第2支持シート42および第1支持シート41から引き離すとともに、更に第2部分94を基準剥がし方向10に進行させる。第2部分94は、第2支持シート42から保護シート9を剥がすために把持される把持部として機能する。
2つのシート9,42が互いに剥がれる境界である剥離先端が第2部分32に差し掛かると、保持シート3における第2部分32の表面301と保護シート9の粘着層81との接着力により、保持シート3の第2部分32の表面301が保護シート9に接着した状態で、保持シート3の裏面302の粘着層82が第1支持シート41から引き離され、剥がれる。同時に、保持シート3の外周が、第2支持シート42の孔423の内周から引き離され、切り離される。このように使用者が保護シート9を剥がす力により、保持シート3は、保護シート9との接着状態を保ったまま、第1支持シート41から引き離され、剥がされるとともに、第2支持シート42から取り外される。第1支持シート41から剥がされた保持シート3の裏面302の粘着層82は、塗布用品1の外部に露出する。
図6は、取り出し作業における第2のステップを示す。第2ステップで、使用者は、例えば手の指先を粘着層82に載せ、指先と保持シート3の裏面302とを接着させる。この状態で指を保護シート9から引き離す。指先と保持シート3の粘着層82との接着力により、保持シート3の裏面302が指先に接着した状態で、保持シート3の第2部分32が保護シート9の裏面902の粘着層81から剥がれうる。よって、図7に示すように、保持シート3が塗布用品1から取り出され塗布具2として指先に装着された状態が実現される。したがって、チップ、ブラシ、パフ等の他の道具を使わず、塗布具2を用いて塗布することができる。塗布具2が1つの指先に装着できる程度の大きさであることが、塗布対象の狭い範囲における塗布を可能とするという観点からは、好ましい。塗布対象は、人または農用、愛玩用もしくは実験用の動物の肌、粘膜、毛髪、爪等であってよい。なお、使用者は、保護シート9を本体シート5から完全には剥がさず、保護シート9の一部が第2支持シート42と接着した状態で、例えば第2部分32の裏面302がすべて第1支持シート41から剥がされ露出したとき、上記第2のステップを実行してもよい。
このように、保護シート9は、保持シート3の表面301の少なくとも一部、具体的には第2部分32の表面301と接合している。この接合の力を用いて、保持シート3を支持シート4、具体的には第1支持シート41および第2支持シート42から取り外すことが可能である。すなわち、保持シート3における第2部分32の表面301と保護シート9の裏面902とは例えば粘着層81を介して接合している。よって、第1ステップで、保持シート3の第2部分32の表面301が保護シート9に接合した状態で、使用者が保護シート9を剥がす力により、保持シート3の裏面302が第1支持シート41から引き離され、剥がれうる。同時に、保持シート3の外周が、第2支持シート42の孔423の内周から引き離され、切り離されうる。このように保持シート3は、上記接合の力により、保護シート9と接合した状態を保ったまま、第1支持シート41から引き離され、剥がされるとともに、第2支持シート42から取り外されうる。また、保護シート9と保持シート3の表面301とは、分離可能に接合している。よって、上記のように保護シート9とともに取り外された保持シート3を、保護シート9から取り外すことができる。例えば第2ステップで、保持シート3の第2部分32が保護シート9の粘着層81から剥がれうる。以上のように、保護シート9が保持シート3の表面301と分離可能に接合していることにより、保持シート3の取り出し作業を容易化できる。なお、この観点からは、保護シート9は、保持シート3の表面301の全部、すなわち第1部分31および第2部分32の表面301と分離可能に接合していてもよい。
本実施形態では、保護シート9は、保持シート3の表面301の一部、具体的には第2部分32の表面301と分離可能に接合している。言い換えると、保持シート3の表面301の他の部分、具体的には第1部分31の表面301が、保護シート9と接合していない。よって、保持シート3の表面301において塗布剤6を保持する機能が、保護シート9と保持シート3との上記接合のための構造により妨げられにくいことから、上記保持機能の向上を図ることができる。また、図6に示すように、保護シート9と一体的に保持シート3が第1支持シート41から取り外された状態において、保持シート3の表面301の上記他の部分は、保護シート9と接合していないため、保護シート9から容易に離間しうる。よって、第2のステップにおける保護シート9からの保持シート3の取り外しを容易化できる。
なお、支持シート4は、柔軟でなくてもよい。支持シート4は、保持シート3を支持できればよく、保持シート3の裏面302の全部または保持シート3の外縁部の全部に限らず、これらの少なくとも一部と分離可能に接していればよい。また、支持シート4は、第1支持シート41と第2支持シート42のどちらかを含まなくてもよい。本実施形態では、支持シート4は、保持シート3の外縁部の少なくとも一部と分離可能に接合している第2支持シート42を含む。よって、塗布用品1に含まれた未取り出し状態の保持シート3において、第1支持シート41がない場合でも、第2支持シート42により保持シート3を支持することができる。
また、第2支持シート42により、保持シート3の周囲を保護することができる。よって、塗布剤6が塗布用品1の外周縁に露出することを防止しつつ、保持シート3の外周縁の少なくとも一部まで塗布剤6を保持することが可能となる。これにより、保持シート3の表面301の全体を小さくしつつ、塗布剤6が保持される領域を保持シート3の外周縁まで拡張することで、保持シート3において塗布剤6が占める面積を大きく確保できる。また、第2支持シート42により、塗布剤6が塗布用品1の外周縁に露出することを防止しつつ、保持シート3の外周縁の少なくとも一部まで塗布剤6を保持することが可能となるため、取り外された保持シート3の外周縁またはその近傍を塗布に使えるようになる。よって、塗布具2の塗布機能を向上できる。また、保護シート9と保持シート3の第2部分32との上記接合の力、具体的には接着力を用いて、保持シート3の外縁部と第2支持シート42との接合の力、具体的には摩擦力に抗し、保持シート3を第2支持シート42から取り外すことが可能である。例えば、保持シート3の表面301が、第2支持シート42の表面421と同一平面上にあったり、第2支持シート42の表面421に対し孔423の内部にあったりする場合、言い換えるとそのままでは第2支持シート42から保持シート3を取り外しにくい場合でも、保護シート9を剥がす際、上記接合の力、具体的には接着力を用いて、保持シート3を第2支持シート42から取り外すことが可能である。
第2支持シート42は、保持シート3とともに本体シート5を構成している。保持シート3は、本体シート5の一部であり、保持シート3を囲んで連続する切れ目51により、本体シート5から取り外し可能である。よって、本体シート5に切れ目51を設けることで保持シート3と第2支持シート42を同時に形成することが可能であるため、塗布用品1の生産性を向上できる。
本実施形態では、第2支持シート42の表面421において保持シート3を囲む部分は、保護シート9に接合、具体的には接着している。よって、保持シート3の周囲において、第2支持シート42と保護シート9との密着性が向上し、両シート42,9の間の隙間が抑制されるため、塗布剤6の保護性を向上できる。
本実施形態では、支持シート4は、保持シート3の裏面302と分離可能に接合、具体的には接着している第1支持シート41を含む。よって、第2支持シート42がない場合でも、第1支持シート41により保持シート3を支持することができる。また、第1支持シート41により保持シート3の裏面302を外部から保護することができる。また、保護シート9と保持シート3の第2部分32との上記接合の力、具体的には接着力を用いて、保持シート3の裏面302と第1支持シート41との接合の力、具体的には接着力に抗し、保持シート3を第1支持シート41から取り外すことが可能である。
なお、第1支持シート41は、保持シート3の裏面302の全部と接合していなくてもよく、少なくとも一部と接合していればよい。また、第2支持シート42がない場合、保護シート9の裏面902において保持シート3を囲む部分が、第1支持シート41に接合するようにしてもよい。この場合、保持シート3の周囲において、保護シート9と第1支持シート41との密着性が向上するため、塗布剤6の保護性を向上できる。
第1支持シート41と保持シート3との接合は、接着剤を用いる接着、例えば粘着剤を用いる粘着に限らない。ヒートシールであってもよい。また、面ファスナー、すなわち複数のフックとループ等による機械的接合、または静電気により密着する場合の電気的接合等であってもよい。本実施形態のように、保持シート3の裏面302と第1支持シート41が、粘着部を介して接着する場合、粘着剤等を用いて簡便に、分離可能な接合を実現できる。
保持シート3の裏面302に限らず、第1支持シート41の表面411に粘着部が設けられていてもよい。本実施形態のように、第1支持シート41が、保持シート3の裏面302の少なくとも一部に設けられた粘着部、具体的には粘着層82を介して、裏面302と分離可能に接着している場合、この粘着部に手指等を載せることで、保持シート3と手指等とを接着することができる。保持シート3を塗布用品1から取り出した後は、保持シート3の裏面302に手指等が接着することで、保持シート3を手指等に保持しやすい。保持シート3を塗布用品1から取り出す際には、保持シート3の裏面302に手指等を接着させ、この接着の力で保持シート3を保護シート9から剥がすことができる。手指等が保持シート3の表面301に触れる必要がないため、塗布剤6と手指等との干渉、およびこれによる塗布剤6の脱落または手指等の汚れ等を抑制できる。
本実施形態は、保持シート3を塗布用品1から取り出す際、保護シート9と保持シート3との接合の力を用いて、保持シート3を第2支持シート42から取り外すことが可能である。よって、この取り外しの際、保護シート9と保持シート3の塗布剤6とが互いに強く押し付けられるおそれが少ない。また、保護シート9と保持シート3との接合の力を用いて、保持シート3を第2支持シート42の表面421の側から取り外すことが可能であるため、第1支持シート41に切れ目を入れる等の加工が必要となりにくい。
保持シート3の第2部分32の表面301と保護シート9とが接合している部分である領域Xは、保持シート3の外周に重なっている。言い換えると、当該外周に接続している。よって、使用者が保護シート9を剥がそうとする力は、保護シート9と保持シート3の第2部分32との上記接合の力を介して、保持シート3の外縁部、すなわち保持シート3と第2支持シート42との接合部分により近い位置で作用する。このため、保護シート9と保持シート3との上記接合の力を用いて、保持シート3を第2支持シート42から剥がすことが容易となる。
保持シート3の第2部分32の表面301と保護シート9とが接合している部分である領域Xは、保持シート3の表面301のうち保護シート9の把持部である第2部分94の側にある。ここで、表面301のうち第2部分94の側とは、例えば、基準剥がし方向10における表面301の両端の中点を基準として第2部分94の側であってよい。よって、使用者が第2部分94の側から保護シート9を剥がそうとする際、保持シート3において塗布剤6を保持している部分である第1部分31の表面301から保護シート9が引き離されることが抑制される。特に、保持シート3の裏面302の少なくとも一部が第1支持シート41と分離可能に接合している場合に、効果的に抑制される。これにより、塗布剤6が外部に大きく露出することが防止されるため、保持シート3の取り出し時における塗布剤6の保護性を向上できる。また、保護シート9と保持シート3との上記接合の力は、第2部分94により近い位置で作用する。このため、上記接合の力を用いて、保持シート3を第2支持シート42から剥がすことが容易となる。この観点からは、保持シート3において、領域Xは、その全部が第2部分94の側になくてもよく、その一部が第2部分94と反対の側にあってもよい。この場合、領域Xにおいて、第2部分94の側にある部分の総面積が、第2部分94と反対の側にある部分の総面積より大きくてもよい。
保持シート3の裏面302と第1支持シート41とが接合している部分である領域Yは、保持シート3の第2部分32の表面301と保護シート9とが接合している部分である領域Xに対し、基準剥がし方向10で一方側のみ、本実施形態では保護シート9の第2部分94と反対の側のみにある。よって、領域Yが領域Xに対し基準剥がし方向10で両側にある場合に比べ、保持シート3の第2部分32の表面301と保護シート9とが接合する力を用いて、保持シート3を基準剥がし方向10に沿って第1支持シート41から剥がすことが容易である。言い換えると、使用者が、実際の剥がし方向を、基準剥がし方向10に対し角度をつけることで調整する必要が、少ない。よって、保持シート3を第1支持シート41から取り外す作業を容易化できる。この観点からは、領域Yが領域Xに対し基準剥がし方向10で第2部分94の側のみにあってもよい。
なお、基準剥がし方向10は、使用者が保護シート9を剥がす蓋然性が高い方向であればよい。例えば保護シート9の表面901に剥がし開始位置が表示ないし示唆される場合、この剥がし開始位置と保持シート3の例えば中心とを結ぶ直線の方向を基準剥がし方向10としてもよい。
また、保持シート3の裏面302において、保持シート3の面に沿う方向で、保持シート3の表面301における保護シート9との接合部分である領域Xと重なる部分、すなわち第2部分32の裏面302は、その少なくとも一部が、第1支持シート41と接合していなくてもよい。例えば粘着層82を有しなくてもよい。この場合、保持シート3の第2部分32の表面301と保護シート9とが接合する力を用いて、保持シート3を第1支持シート41から剥がそうとする際、保護シート9との上記接合に係る保持シート3の部分である第2部分32が第1支持シート41から離れやすいため、より円滑に保持シート3を第1支持シート41から剥がすことができる。
本実施形態では、図1、4に示すように、保持シート3の面に沿う方向で、保持シート3の第2部分32と保護シート9との接合部分である領域Xのうち保護シート9の把持部すなわち第2部分94の側の端Pは、保持シート3と第1支持シート41との接合部分である領域Yのうち第2部分94の側の端Qに対して、同じ位置にある。よって、保持シート3の第2部分32の表面301と保護シート9とが接合する力を用いて、保持シート3を第1支持シート41から剥がそうとする際、基準剥がし方向10の先の側に剥がすことが容易である。言い換えると、実際の剥がし方向を、基準剥がし方向10とは反対の側、言い換えると基準剥がし方向10の元の側に戻して調整する必要が、少ない。よって、保持シート3を第1支持シート41から取り外す作業をより容易化できる。なお、保持シート3の面に沿う方向で、端Pが、端Qに対して、第2部分94の側にあってもよい。この場合も、保持シート3を基準剥がし方向10の先の側に剥がすことを容易化できる。なお、上記「同じ位置」は、厳密に同じ位置に限らず、製造上の理由等による若干のズレを含みうる。例えば、カッターで切れ目51を形成する際、表面301において切れ目51を挟む両側に凹みが発生しうる。この場合、領域Xの端Pが、領域Yの端Qに対して、上記凹みの分だけ、保持シート3の表面301に沿う方向で保持シート3の外縁より内側にずれる可能性がある。また、第2支持シート42における孔423の内縁部と、保持シート3の外縁部との間の摩擦を低減するため、表面301において切れ目51を含む領域に意図的に凹みを形成し、上記内縁部と上記外縁部とが接触する厚み方向寸法を小さくする場合もありうる。上記「同じ位置」は、上記凹みに起因する例えば0.5~1mm程度のズレを含む。
保護シート9と保持シート3との剥離強度は、保持シート3と支持シート4との剥離強度よりも、大きい。よって、保護シート9と保持シート3との接合の力を用いて、保持シート3を支持シート4から取り外すことを、容易化できる。例えば、保護シート9と保持シート3の第2部分32との接合部分である領域Xにおける剥離強度は、保持シート3と第1支持シート41との接合部分である領域Yにおける剥離強度よりも、大きい。これにより、保持シート3の取り出し時に生じる、領域Xにおける接合の力を、領域Yにおける接合の力よりも大きくすることが、容易となる。よって、領域Xにおける接合の力を用いて、保持シート3を第1支持シート41から取り外すことを、容易化できる。例えば、第1支持シート41の表面411に剥離加工を施すことで、領域Yにおける剥離強度を容易に低下させることができる。
保護シート9と保持シート3の第2部分32との接合部分である領域Xの、基準剥がし方向10に対し直交する方向11における最大幅は、基準剥がし方向10における最大幅よりも大きい。よって、保護シート9と保持シート3の第2部分32とを互いに引き剥がす際に生じる抵抗力、すなわち保持シート3を支持シート4から取り外すための、保護シート9と保持シート3との上記接合の力を、効率的に得ることができる。言い換えると、領域Xの面積を抑制できる。
なお、基準剥がし方向10に対し直交する方向11における領域Xの最大幅が、上記方向11における領域Yの最大幅より大きくてもよい。この場合も、保持シート3の取り出し時に生じる、領域Xにおける接合の力を、領域Yにおける接合の力よりも大きくすることが、容易となる。よって、両領域の剥離強度とは独立に、保護シート9と保持シート3の第2部分32との接合の力を用いて保持シート3を第1支持シート41から取り外すことを、容易化できる。
なお、保護シート9と保持シート3の第2部分32との接合は、接着剤を用いる接着、例えば粘着剤を用いる粘着に限らない。例えば、ヒートシールであってもよい。また、面ファスナー等による機械的接合、または静電気により密着する場合の電気的接合であってもよい。塗布剤6が粘着性である場合、その粘着力を利用して、保護シート9と保持シート3とが分離可能に接合するようにしてもよい。これらの場合、保持シート3の表面301において、塗布剤6を保持する領域と、保護シート9と接合する領域とが重なってもよい。これにより、保持シート3の表面301に保持可能な塗布剤6の量を増やすことが可能である。
本実施形態では、保持シート3の表面301は、塗布剤6を保持している第1領域である第1部分31の表面301、および、塗布剤6を保持していない第2領域である第2部分32の表面301を有し、保護シート9は、第2部分32の表面301と分離可能に接合している。このように、保護シート9と分離可能に接合している第2部分32の表面301が塗布剤6を保持していないため、第2部分32の表面301における上記接合のための構造の自由度を増し、適度な接合力を簡便に得ることができる。ここで、第2部分32の表面301が塗布剤6を保持していないとは、第2部分32の表面301が塗布剤6により覆われていないか、または第2部分32の表面301への塗布剤6の露出もしくは滲出の可能性もしくは程度が第1部分31の表面301よりも低いことを意味する。なお、上記観点からは、第2部分32の表面301が塗布剤6を保持することを妨げるよう、特別な処理を第2部分32に施すか、または保持シート3への塗布剤6の設置方法を工夫してもよい。
本実施形態では、保護シート9と保持シート3の第2部分32とが、粘着部を介して接着している。よって、粘着剤等を用いて簡便に、上記分離可能な接合を実現できる。なお、保護シート9の裏面902に限らず、保持シート3の表面301の一部、例えば第2部分32の表面301に粘着部が設けられていてもよい。本実施形態のように、第2部分32の表面301が、保護シート9に設けられた粘着部である粘着層81を介して保護シート9と分離可能に接着している場合、保持シート3の表面301における粘着部の存在を抑制可能であるため、塗布具2と塗布対象である肌等との接着を防止し、塗布具2の使用感または操作性を向上できる。なお、保持シート3の表面301のうち保護シート9の粘着部に重畳する領域の少なくとも一部が、塗布剤6により覆われているか、または、塗布剤6が露出可能もしくは滲出可能であってもよい。
本実施形態では、保持シート3の表面301のうち保護シート9の粘着部に重畳する領域である第2部分32の表面301は、塗布剤6により覆われていないか、または塗布剤6の露出もしくは滲出が抑制されている。具体的には、第2部分32の表面301への塗布剤6の露出または滲出の可能性または程度が、第1部分31の表面301よりも低い。よって、保護シート9と第2部分32との接着力を容易に向上できる。また、第2部分32が塗布具2の把持部として機能しうる。すなわち、使用者が、塗布具2を使用して塗布を行う際、または塗布具2の使用後にこれを廃棄する際、第2部分32を把持することで、塗布剤6が指に付着することを防止できる。
保護シート9の裏面902のうち塗布剤6に重畳する部分、言い換えると保持シート3の第1部分31に重畳する部分は、粘着層81で覆われていない。よって、塗布剤6が粘着層81に付着して保持シート3から剥がされることが抑制される。なお、上記重畳する部分の少なくとも一部が粘着層81で覆われていなければ、この一部に関して塗布剤6の上記剥離が抑制されうる。
<第2の実施形態>
次に、図8を参照して、第2の実施形態に係る塗布用品1について説明する。第1の実施形態と共通する点については、説明を省略する。塗布用品1は、平面視で例えば矩形状である。1つの塗布用品1が、塗布具2として機能しうる保持シート3を複数、本実施形態では8つ、含んでいる。第2支持シート42は、孔423を8つ有している。1つの第2支持シート42が、8つの保持シート3とともに1つの本体シート5を構成している。各保持シート3は、平面視で円形である。第2部分32は、保持シート3の外周の一部と円弧とで区画された凸レンズ形状である。第1支持シート41は、保持シート3の裏面302に設けられた粘着層82を介して、裏面302と分離可能に接着している。保持シート3の表面301は、塗布剤6を保持している第1部分31の表面301と、保護シート9に設けられた粘着層81を介して保護シート9と分離可能に接合している第2領域である第2部分32の表面301とを有している。
8つの保持シート3は、第1列3Aと第2列3Bに配列されている。各列3A,3Bでは、本体シート5の一辺52、言い換えると保護シート9の第2部分94が延びる方向に、4つの保持シート3が一列に並んでいる。第1列3Aの保持シート3と第2列3Bの保持シート3とは、上記方向で互いにずれており、互い違いに並ぶ。各保持シート3において、第2部分32は、辺52の側、言い換えると第2部分94の側にある。第1列3Aの各保持シート3において、第2部分32は、辺52または第2部分94が延びる方向の一方側にある。第2列3Bの各保持シート3において、第2部分32は、上記方向の他方側にある。
本実施形態の塗布用品1は、塗布具2として機能しうる保持シート3を複数有している。よって、各保持シート3が互いに異なる色または種類の塗布剤6を有することができるため、例えば一連の塗布作業を1つの塗布用品1によって実現可能となる。なお、保持シート3の数は任意である。また、各保持シート3が互いに異なる形状または大きさを有していてもよい。
保護シート9は、保護シート9を剥がすために把持される把持部である第2部分94を有している。保持シート3の面に沿う方向で、保持シート3の第2部分32は、表面301のうち第2部分94の側にある。よって、使用者が第2部分94の側から保護シート9を剥がそうとする際、複数の保持シート3について、第1の実施形態と同様、第2支持シート42から剥がすことが容易となる。
複数の保持シート3のうち、一部の保持シート3、具体的には第1列3Aの保持シート3の第2領域である第2部分32は、保護シート9の把持部である第2部分94が延びる方向の一方側にあり、他の一部の保持シート3、具体的には第2列3Bの保持シート3の第2領域である第2部分32)は、上記方向の他方側にある。よって、基準剥がし方向10または実際の剥がし方向が、図8に示す方向10A,10Bのいずれであっても、いずれか一部の保持シート3について、上記のように第2支持シート42から剥がすことが容易となる。例えば、基準剥がし方向10または実際の剥がし方向が方向10Aであるとき、第1列3Aの保持シート3について、上記のように第2支持シート42から剥がすことが容易となる。
複数の保持シート3は、保護シート9の把持部である第2部分94が延びる方向に並んでいる。よって、使用者が第2部分94の側から保護シート9を剥がそうとする際、複数の保持シート3、例えば第1列3Aの保持シート3を一度に、第1支持シート41および第2支持シート42から分離することが容易となる。
第1列3Aの保持シート3と第2列3Bの保持シート3とは、辺52または第2部分94が延びる方向で互いにずれており、互い違いに並ぶ。このように配置することにより、保持シート3を取り外しやすくなるとともに、複数の保持シート3を密に配列して塗布用品1の全体の大きさを小さくすることができる。
<第3の実施形態>
次に、図9、10を参照して、第3の実施形態に係る塗布用品1について説明する。第1または第2の実施形態と共通する点については、説明を省略する。図9に示すように、塗布用品1は、平面視で例えば矩形状である。1つの塗布用品1が、塗布具2として機能しうる保持シート3を複数、本実施形態では2つ、含んでいる。第2支持シート42は、孔423を2つ有している。1つの第2支持シート42が、2つの保持シート3とともに1つの本体シート5を構成している。保持シート3の第1部分31は、平面視で矩形状である。第2部分32は、第1部分31の1つの短辺から本体シート5の一辺52の側、言い換えると保護シート9の第2部分94の側に突出した形状となっている。
保護シート9は、2つの保持シート3の間の領域で分割可能に設けられている。具体的には、保護シート9は、切れ目90を有している。切れ目90は、保護シート9の厚さ方向に延びて保護シート9の表面901および裏面902に接続している。切れ目90は、保護シート9の面に沿って2つの保持シート3の間を延び、保護シート9の外周に接続している。保護シート9のうち、塗布剤6に重畳する領域、言い換えると保持シート3の第1部分31に重畳する領域の少なくとも一部、具体的には第5部分95は、透明である。2つの保持シート3の第1部分31に対応して、第5部分95は2つある。
保護シート9の表面901には、当該塗布用品1の塗布剤6と同じまたは同種の塗布剤を収容する他の塗布用品のイラストが、印刷等により描かれている。上記他の塗布用品は、例えば化粧用品であり、従来から塗布剤6が収容されていた製品、または塗布用品1と同じブランドの製品等である。描かれた化粧用品100は、塗布剤としての化粧品101と、それを収容する容器102を含むコンパクトのイラストである。図9では、化粧品101として2種類のチークカラーを収容する容器102の蓋が開かれた状態が描かれている。第5部分95のそれぞれは、容器102において2種類のチークカラーを収容する各部分に対応するように配置されている。
取り出し作業における第2ステップで、使用者は、例えば手の指を粘着層82に載せ、保持シート3の第2部分32を保護シート9の裏面902の粘着層81から剥がす。上記手の指は、1本の指全体でもよいし、2本以上の指の一部でもよい。また、手掌の一部等でもよい。これにより、図10に示すように、保持シート3が取り出され手指に装着された状態が実現される。第1実施形態の保持シート3に比べ、第1部分31が大きいため、容易に、塗布対象の広い範囲に塗布可能である。
保護シート9は、複数の保持シート3の間で分割可能に設けられている。よって、保持シート3ごとに保護シート9を剥がすことで、使用する保持シート3のみを塗布用品1から取り出し、使用しない保持シート3を塗布用品1に残しておくことができる。なお、保護シート9は、上記分割を可能にするため、切れ目90に代えて、脆弱部、例えばミシン目または凹部、具体的には保護シート9の表面901または裏面902のいずれかに接続する切れ込み等を有していてもよい。また、保護シート9とともに、第2支持シート42を、複数の保持シート3の間で分割可能としてもよい。この場合、1つの塗布用品1を、1以上の保持シート3を含む複数の塗布用品1に分割することができる。
本実施形態の塗布用品1では、保護シート9のうち塗布剤6に重畳する領域を介して塗布剤6を視認可能であるため、塗布用品1から保持シート3を取り出す前に、実際の塗布剤6を確認することができる。すなわち、保護シート9のうち塗布剤6に重畳する領域の少なくとも一部、具体的には第5部分95は、透明である。よって、使用者は、保護シート9の表面901から第5部分95を通して塗布剤6の実際の色または質感等を確認可能である。なお、第5部分95は、それを通して保護シート9の表面901の側から使用者が塗布剤6の色等を視認することができればよく、透光性を有するもの、例えば半透明なものまたは網点印刷されたもの等であってもよい。
保護シート9の表面901には、当該塗布用品1の塗布剤6と同じまたは同種の塗布剤を収容する他の塗布用品、具体的には化粧用品100が描写されている。よって、当該塗布用品1が他の塗布用品と同じまたは同種の塗布剤6を含むことを、使用者に直感的に知らせることができる。なお、上記描写は、イラストに限らず写真等により行われてもよく、何らかの意味で表されていればよい。また、表面901に描写されるものは、塗布用品に限らず、塗布剤6が塗布される対象、例えば人の顔またはその部分等であってもよい。この場合、塗布剤6の塗布対象を、使用者に直感的に知らせることができる。保護シート9に描写された塗布用品の塗布剤収容部分または塗布対象が、透明であるか、または透光性を有しており、これらを透過して塗布剤6の色等を視認できるようにすれば、実際の使用状態を使用者が容易に想像することができる。また、表面901に描写されるものは、塗布剤の色または質感を示唆する物品であってもよい。例えば、塗布剤6がマカロンカラーのアイシャドウである場合に、塗布剤6と同じ色味を有する菓子のマカロンが、塗布剤6の色または仕上がりをイメージさせるモチーフとして、表面901に描かれていてもよい。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明の技術的範囲はかかる例に限定されない。本発明の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、塗布剤は、化粧料に限らず、制汗料、整髪料、消毒剤その他の薬剤等であってもよい。第3の実施形態の保護シートの構成、すなわち保護シートの表面に他の塗布用品のイラストが描かれていたり、保護シートのうち塗布剤に重畳する領域の少なくとも一部が透明であったり透光性を有していたりする構成を、第1または第2の実施形態の塗布用品に適用してもよい。