(実施形態1)
以下に、本発明に係るクランクシャフトの実施形態1について説明する。なお、本実施形態により本発明が限定されるものではない。
図1は、実施形態1に係るクランクシャフト1の模式図である。クランクシャフト1は、内燃機関のクランクケース内に支持される。クランクシャフト1は、内燃機関のピストンに与えられた燃焼による爆発力を往復運動から回転運動に変換するものであり、ピストンの往復運動はコネクティングロッドによりクランクシャフト1に伝達される。
クランクシャフト1は、クランクジャーナル10と、クランクアーム12と、クランクピン14とを備えている。図1に示すように、隣り合うクランクジャーナル10とクランクピン14とはクランクアーム12を介して連なっている。なお、本実施形態では、クランクシャフト1が、5つのクランクジャーナル10と、8つのクランクアーム12と、4つのクランクピン14とを備えている。
クランクジャーナル10は、不図示のクランクケースに設けられた後述するクランクベアリング30(図2参照)に回転可能に軸支される部位である。クランクピン14は、不図示のコネクティングロッドの大端部が取り付けられる部位であり、コネクティングロッドを介して不図示のシリンダ内を往復運動する不図示のピストンに連結される。クランクアーム12は、クランクジャーナル10とクランクピン14とを繋げている。
クランクジャーナル10は、クランクシャフト1の軸線AX1に一致する中心を有する。これに対して、クランクピン14は、クランクシャフト1の回転軸Aからピストン行程の半分ずれた位置に設けられ、クランクケースに取り付けられた状態でクランクシャフト1が軸線AX1周りに回転するとき、クランクシャフト1の軸線AX1を中心として同一軌道上を回る。
図2は、実施形態1に係るクランクジャーナル10周辺の断面構造を示した断面図である。クランクケースには、軸線AX1を中心として回転方向Rに回転可能にクランクジャーナル10を軸支するクランクベアリング30が設けられている。クランクベアリング30は、クランクケース内のクランク室を複数の室に区画する隔壁20に取り付けられた半円筒状の第1軸受部材であるアッパベアリング31と、不図示のボルトを通じて隔壁20に組み付けされたクランクキャップ22に取り付けられた半円筒状の第2軸受部材であるロアベアリング32と、に分割された半割型のすべり軸受として構成されている。また、隔壁20とクランクキャップ22との合わせ面と、アッパベアリング31とロアベアリング32との合わせ面とが実質的に同一の平面上に存在するように、アッパベアリング31及びロアベアリング32が隔壁20及びクランクキャップ22に取り付けられている。
隔壁20には、クランクケースに設けられたメインギャラリーからの潤滑油を、クランクジャーナル10とアッパベアリング31との間に供給するための連通油路201が設けられている。アッパベアリング31には、連通油路201と連通する半径方向に貫通した連通孔311が設けられている。また、アッパベアリング31の内周面には、周方向に油溝312が設けられている。油溝312の深さ(断面積)は、周方向で中心から端部にかけて徐々に小さくなっている。これにより、アッパベアリング31とロアベアリング32との合わせ面から油溝312内の潤滑油が漏れ出るのを抑制することができる。なお、アッパベアリング31の内周面における周方向の端部まで油溝312を到達させないようにしてもよい。これにより、アッパベアリング31とロアベアリング32との合わせ面から潤滑油が漏れ出るのを、より効果的に抑制することができる。なお、ロアベアリング32には、アッパベアリング31の連通孔311及び油溝312と同様な連通孔及び油溝のいずれもが設けられていない。
クランクジャーナル10の外周面には、周方向に90度で等間隔に4つの入口油孔101a,101b,101c,101dが設けられている。なお、以下の説明において、4つの入口油孔101a,101b,101c,101dを特に区別しないときには、単に入口油孔101ともいう。4つの入口油孔101a,101b,101c,101dは、アッパベアリング31の油溝312を経て供給される潤滑油を、クランクジャーナル10の回転位置にかかわらず少なくとも1つの入口油孔101から受け入れることが可能なように、クランクジャーナル10の外周面で開口している。
クランクジャーナル10内には、径方向外周側に軸線AX1と直交する方向の断面形状または軸線AX1方向から見た投影形状が円形状の第1内部油路である第1潤滑油路103が設けられている。なお、クランクジャーナル10内に円形状の第1潤滑油路103を設ける方法としては、例えば、鋳造や3Dプリンタなどを用いればよい。第1潤滑油路103と4つの入口油孔101a,101b,101c,101dとは、それぞれ連通しており、4つの入口油孔101a,101b,101c,101dのうちの隣り合う入口油孔101同士が第1潤滑油路103によって繋がっている。
具体的には、入口油孔101aと入口油孔101bとが、第1潤滑油路103の円弧状の油路部103aによって繋がっている。また、入口油孔101bと入口油孔101cとが、第1潤滑油路103の円弧状の油路部103bによって繋がっている。また、入口油孔101cと入口油孔101dとが、第1潤滑油路103の円弧状の油路部103cによって繋がっている。また、入口油孔101dと入口油孔101aとが、第1潤滑油路103の円弧状の油路部103dによって繋がっている。
第2内部油路である第2潤滑油路400は、第1潤滑油路103からの潤滑油を、コネクティングロッドの大端部とクランクピン14との間に供給するために、クランクジャーナル10、クランクアーム12及びクランクピン14に直線状に延びるようにして設けられている。第2潤滑油路400の一端は第1潤滑油路103と連通しており、第2潤滑油路400の他端はクランクピン14の外周面で開口している。
実施形態1に係るクランクジャーナル10においては、上述したように隣り合う入口油孔101同士を第1潤滑油路103によって繋げている。これにより、クランクジャーナル10の回転に伴って油溝312と連通する入口油孔101が変わっても、第1潤滑油路103から第2潤滑油路400、ひいてはコネクティングロッドの大端部とクランクピン14との間への供給油量の変化を抑制することができる。
図3は、比較例に係るクランクジャーナル10A周辺の断面構造を示す断面図である。図3に示した比較例に係るクランクジャーナル10Aでは、両端がクランクジャーナル10Aの外周面に開口した直線状の第1潤滑油路103Aが、クランクジャーナル10Aの中心(軸線AX1)の傍を通るように設けられている。そして、油溝312と連通した入口油孔101Aから第1潤滑油路103Aに供給された潤滑油は、クランクジャーナル10の径方向で外周側から中心側に向かって第1潤滑油路103Aを潤滑油が流れて第2潤滑油路400に供給される。
ここで、入口油孔101Aから第2潤滑油路400に向かって潤滑剤が第1潤滑油路103Aを流れる際には、クランクジャーナル10Aが回転することによって生じる遠心力に逆らう力が必要となる。そして、前記逆らう力としては、クランクジャーナル10Aの径方向で外周側から中心側に向かうほど大きな力が必要となる。そのため、その分、過剰な油圧を設定する必要があり、燃費の悪化を招くおそれがある。
これに対して、実施形態1に係るクランクジャーナル10では、円形状の第1潤滑油路103が、隣り合う入口油孔101同士を繋げるようにクランクジャーナル10の径方向外周側に設けられている。そのため、入口油孔101から第2潤滑油路400に向かって潤滑油が第1潤滑油路103を流れる際には、クランクジャーナル10の径方向で外周側から中心側に極力向かわないで潤滑剤が第1潤滑油路103を流れる。これにより、入口油孔101から第2潤滑油路400に向かって潤滑剤が第1潤滑油路103を流れる際に必要な、クランクジャーナル10が回転することによって生じる遠心力に逆らう力を低減させることができる。よって、その分、過剰な油圧を設定して第1潤滑油路103に潤滑油を供給する必要がなく、燃費向上を図ることが可能となる。
また、クランクジャーナル10の外周面に設ける入口油孔101の数としては、4つに限定されるものではなく、3つ以上であればよい。さらに、3つ以上の入口油孔101は、クランクジャーナル10の周方向に等間隔で設けられていなくてもよい。
ここで、アッパベアリング31の油溝312は、周方向で中心から端部にかけて徐々に小さくなっているため、油溝312の周方向の両端部、言い換えれば、アッパベアリング31の内周面における周方向の両端部では、入口油孔101への潤滑油の供給がほとんど行われない。そのため、クランクジャーナル10の外周面に、例えば、周方向に180度の間隔で2つの入口油孔101を設けた場合には、アッパベアリング31の内周面における周方向の両端部に2つの入口油孔101が位置と、いずれの入口油孔101にも潤滑油がほとんど供給されず、間欠給油を招いてしまう。その結果、コネクティングロッドの大端部とクランクピン14との間への供給油量が変化し、潤滑不良が生じるおそれがある。よって、3つ以上の入口油孔101は、間欠給油を防ぐことができるように、クランクジャーナル10の外周面で周方向に180度未満毎に1つの入口油孔101を設けるようにすればよい。
また、実施形態1に係るクランクジャーナル10においては、軸線AX1と直交する同一平面上に各入口油孔101が設けられている必要はなく、油溝312から潤滑油が供給可能な範囲であれば、軸線AX1と同方向に互いがずれた位置関係で各入口油孔101を設けてもよい。また、実施形態1に係るクランクジャーナル10においては、第1潤滑油路103の各油路部も、軸線AX1と直交する同一平面上に設けられている必要はなく、軸線AX1と同方向に互いがずれた位置関係で各油路部を設けてもよい。
(実施形態2)
以下に、本発明に係るクランクシャフトの実施形態2について説明する。なお、実施形態1と共通する箇所の説明は適宜省略する。
図4は、実施形態2に係るクランクジャーナル10B周辺の断面構造を示した断面図である。実施形態2に係るクランクジャーナル10Bには、周方向に90度で等間隔に4つの入口油孔101Ba,101Bb,101Bc,101Bdが設けられている。なお、以下の説明において、4つの入口油孔101Ba,101Bb,101Bc,101Bdを特に区別しないときには、単に入口油孔101Bともいう。
また、図4に示すように、クランクジャーナル10B内には、径方向外周側に軸線AX1と直交する方向の断面形状または軸線AX1方向から見た投影形状が四角形状の第1潤滑油路103Bが設けられている。第1潤滑油路103Bと4つの入口油孔101Ba,101Bb,101Bc,101Bdとは、それぞれ連通しており、4つの入口油孔101Ba,101Bb,101Bc,101Bdのうちの隣り合う入口油孔101B同士が第1潤滑油路103Bによって繋がっている。
具体的には、入口油孔101Baと入口油孔101Bbとが、第1潤滑油路103Bの直線状の油路部103Baによって繋がっている。また、入口油孔101Bbと入口油孔101Bcとが、第1潤滑油路103Bの直線状の油路部103Bbによって繋がっている。また、入口油孔101Bcと入口油孔101Bdとが、第1潤滑油路103Bの直線状の油路部103Bcによって繋がっている。また、入口油孔101Bdと入口油孔101Baとが、第1潤滑油路103Bの直線状の油路部103Bdによって繋がっている。
このように、実施形態2に係るクランクジャーナル10Bにおいては、隣り合う入口油孔101B同士を第1潤滑油路103Bによって繋げている。これにより、クランクジャーナル10Bの回転に伴って油溝312と連通する入口油孔101Bが変わっても、第1潤滑油路103Bから第2潤滑油路400、ひいてはコネクティングロッドの大端部とクランクピン14との間への供給油量の変化を抑制することができる。
また、実施形態2に係るクランクジャーナル10Bでは、四角形状の第1潤滑油路103Fを、直線状の油路部103Ba,103Bb,103Bc,103Bdを組み合わせて構成しているため、クランクジャーナル10Bの外周面から容易にドリル加工にて、クランクジャーナル10B内に第1潤滑油路103Bを製作可能である。また、このようにクランクジャーナル10Bの外周面からドリル加工にて、クランクジャーナル10B内に第1潤滑油路103Bを製作することによって、4つの油路部103Ba,103Bb,103Bc,103Bdを形成する際に、4つの入口油孔101Ba,101Bb,101Bc,101Bdも同時に形成することができる。
なお、4つの油路部103Ba,103Bb,103Bc,103Bdに対して、4つの入口油孔101Ba,101Bb,101Bc,101Bdは、それぞれ各油路部の長手方向でどの位置と連通していてもよく、例えば、各油路部の図4で連通している側の端部とは反対側の端部と各入口油孔101Bとを連通させてもよい。
また、実施形態2に係るクランクジャーナル10Bでは、四角形状の第1潤滑油路103Bが、隣り合う入口油孔101B同士を繋げるようにクランクジャーナル10Bの径方向外周側に設けられている。そのため、入口油孔101Bから第2潤滑油路400に向かって潤滑油が第1潤滑油路103Bを流れる際には、クランクジャーナル10Bの径方向で外周側から中心側に極力向かわないで潤滑剤が第1潤滑油路103Bを流れる。これにより、入口油孔101Bから第2潤滑油路400に向かって潤滑剤が第1潤滑油路103Bを流れる際に必要な、クランクジャーナル10が回転することによって生じる遠心力に逆らう力を低減させることができる。よって、その分、過剰な油圧を設定して第1潤滑油路103Bに潤滑油を供給する必要がなく、燃費向上を図ることが可能となる。
図5は、クランクジャーナル10Bの入口油孔101Bc近傍の拡大断面図である。なお、実施形態2に係るクランクジャーナル10Bにおいては、4つの入口油孔101近傍の構成は同様のため、ここでは代表して入口油孔101Bc近傍について説明する。
図5に示すように、実施形態2に係るクランクジャーナル10Bでは、例えば、入口油孔101Bcから延びる油路部103Bcの軸線AX2は、入口油孔101Bcにおける接線TLの法線NLに対して、クランクジャーナル10Bの回転方向Rで上流側に傾いている。これにより、クランクジャーナル10Bの回転に伴って油溝312の潤滑油を迎えに行くような角度をつけて、動圧効果を得ることで、入口油孔101Bcでの油圧を上げることができ、前記遠心力に逆らう若干の油圧要求分を部分的または完全になくすことが可能となり、前記遠心力に逆らう力をより効果的に低減させることができる。
また、図6に示すように、入口油孔101Bcのクランクジャーナル10Bの回転方向Rで上流側に面取り部105Bcを設けても良い。これにより、クランクジャーナル10Bの回転に伴って油溝312から入口油孔101Bcに潤滑油を供給させやすくすることができる。
(変形例1)
図7は、実施形態2の変形例1に係るクランクジャーナル10C周辺の断面構造を示した断面図である。図7に示すように、変形例1に係るクランクジャーナル10Cは、周方向に90度で等間隔に4つの入口油孔101Ca,101Cb,101Cc,101Cdが設けられている。なお、以下の説明において、4つの入口油孔101Ca,101Cb,101Cc,101Cdを特に区別しないときには、単に入口油孔101Cともいう。
また、図7に示すように、クランクジャーナル10C内には、径方向外周側に軸線AX1と直交する方向の断面形状または軸線AX1方向から見た投影形状が四角形状の第1潤滑油路103Cが設けられている。第1潤滑油路103Cと4つの入口油孔101Ca,101Cb,101Cc,101Cdとは、それぞれ連通しており、4つの入口油孔101Ca,101Cb,101Cc,101Cdのうちの隣り合う入口油孔101C同士が第1潤滑油路103Cによって繋がっている。
具体的には、入口油孔101Caと入口油孔101Cbとが、第1潤滑油路103Cの直線状の油路部103Caによって繋がっている。また、入口油孔101Cbと入口油孔101Ccとが、第1潤滑油路103Cの直線状の油路部103Cbによって繋がっている。また、入口油孔101Ccと入口油孔101Cdとが、第1潤滑油路103Cの直線状の油路部103Ccによって繋がっている。また、入口油孔101Cdと入口油孔101Caとが、第1潤滑油路103Cの直線状の油路部103Cdによって繋がっている。
さらに、比較例1に係るクランクジャーナル10Cには、四角形状の第1潤滑油路103Cで対向する一対の角部を繋ぐ対角線上に、直線状のバイパス油路部103Ceが設けられている。具体的には、四角形状の第1潤滑油路103Cにおいて、油路部103Caと油路部103Cdとでなす角部と、油路部103Cbと油路部103Ccとでなす角部とを繋ぐとともに、軸線AX1と交わるように、直線状のバイパス油路部103Ceが設けられている。これにより、クランクピン14への供給油量の増加を図ったり、第1潤滑油路103Cの油路径に対して潤滑油の流量が多い場合に油圧変化を低減させたりすることが可能となる。
(変形例2)
図8は、実施形態2の変形例2に係るクランクジャーナル10D周辺の断面構造を示した断面図である。図8に示すように、変形例2に係るクランクジャーナル10Dは、周方向に90度で等間隔に4つの入口油孔101Da,101Db,101Dc,101Ddが設けられている。なお、以下の説明において、4つの入口油孔101Da,101Db,101Dc,101Ddを特に区別しないときには、単に入口油孔101Dともいう。
また、図8に示すように、クランクジャーナル10D内には、径方向外周側に軸線AX1と直交する方向の断面形状または軸線AX1方向から見た投影形状が四角形状の第1潤滑油路103Dが設けられている。第1潤滑油路103Dと4つの入口油孔101Da,101Db,101Dc,101Ddとは、それぞれ連通しており、4つの入口油孔101Da,101Db,101Dc,101Ddのうちの隣り合う入口油孔101D同士が第1潤滑油路103Dによって繋がっている。
具体的には、入口油孔101Daと入口油孔101Dbとが、第1潤滑油路103Dの直線状の油路部103Daによって繋がっている。また、入口油孔101Dbと入口油孔101Dcとが、第1潤滑油路103Dの直線状の油路部103Dbによって繋がっている。また、入口油孔101Dcと入口油孔101Ddとが、第1潤滑油路103Dの直線状の油路部103Dcによって繋がっている。また、入口油孔101Ddと入口油孔101Daとが、第1潤滑油路103Dの直線状の油路部103Ddによって繋がっている。
さらに、変形例2に係るクランクジャーナル10Dには、四角形状の第1潤滑油路103Cで対向する二対の角部をそれぞれ繋ぐ各対角線上に、直線状のバイパス油路部103De,103Dfが設けられている。具体的には、油路部103Daと油路部103Ddとでなす角部と、油路部103Dbと油路部103Dcとでなす角部とを繋ぐとともに、軸線AX1と交わるように、直線状のバイパス油路部103Deが設けられている。また、油路部103Daと油路部103Dbとでなす角部と、油路部103Dcと油路部103Ddとでなす角部とを繋ぐとともに、軸線AX1と交わるように、直線状のバイパス油路部103Dfが設けられている。これにより、クランクピン14への供給油量の増加を図ったり、第1潤滑油路103Cの油路径に対して潤滑油の流量が多い場合に油圧変化を低減させたりすることが可能となる。
(変形例3)
図9は、実施形態2の変形例3に係るクランクジャーナル10E周辺の断面構造を示した断面図である。図9に示すように、変形例3に係るクランクジャーナル10Eは、周方向に90度で等間隔に4つの入口油孔101Ea,101Eb,101Ec,101Edが設けられている。なお、以下の説明において、4つの入口油孔101Ea,101Eb,101Ec,101Edを特に区別しないときには、単に入口油孔101Eともいう。
また、図9に示すように、クランクジャーナル10E内には、径方向外周側に軸線AX1と直交する方向の断面形状または軸線AX1方向から見た投影形状が四角形状の第1潤滑油路103Eが設けられている。第1潤滑油路103Eと4つの入口油孔101Ea,101Eb,101Ec,101Edとは、それぞれ連通しており、4つの入口油孔101Ea,101Eb,101Ec,101Edのうちの隣り合う入口油孔101E同士が第1潤滑油路103Eによって繋がっている。
具体的には、入口油孔101Eaと入口油孔101Ebとが、第1潤滑油路103Eの直線状の油路部103Eaによって繋がっている。また、入口油孔101Ebと入口油孔101Ecとが、第1潤滑油路103Eの直線状の油路部103Ebによって繋がっている。また、入口油孔101Ecと入口油孔101Edとが、第1潤滑油路103Eの直線状の油路部103Ecによって繋がっている。また、入口油孔101Edと入口油孔101Eaとが、第1潤滑油路103Eの直線状の油路部103Edによって繋がっている。
さらに、変形例3に係るクランクジャーナル10Eには、四角形状の第1潤滑油路103Cの4つの油路部103Ea,103Eb,103Ec,103Edのうち隣り合う油路部同士をそれぞれ繋ぐ、4つのバイパス油路部103Ee,103Ef,103Eg,103Ehが設けられている。
具体的には、油路部103Eaと油路部103Edとを、クランクジャーナル10Eの径方向内周側で繋ぐように、直線状のバイパス油路部103Eeが設けられている。また、油路部103Eaと油路部103Ebとを、クランクジャーナル10Eの径方向内周側で繋ぐように、直線状のバイパス油路部103Efが設けられている。また、油路部103Ebと油路部103Ecとを、クランクジャーナル10Eの径方向内周側で繋ぐように、直線状のバイパス油路部103Egが設けられている。また、油路部103Ecと油路部103Edとを、クランクジャーナル10Eの径方向内周側で繋ぐように、直線状のバイパス油路部103Ehが設けられている。これにより、クランクピン14への供給油量の増加を図ったり、第1潤滑油路103Eの油路径に対して潤滑油の流量が多い場合に油圧変化を低減させたりすることが可能となる。
(変形例4)
図10は、実施形態2の変形例4に係るクランクジャーナル10F周辺の断面構造を示した断面図である。図10に示すように、変形例4に係るクランクジャーナル10Fは、周方向に90度で等間隔に4つの入口油孔101Fa,101Fb,101Fc,101Fdが設けられている。なお、以下の説明において、4つの入口油孔101Fa,101Fb,101Fc,101Fdを特に区別しないときには、単に入口油孔101Fともいう。
また、図10に示すように、クランクジャーナル10F内には、径方向外周側に軸線AX1と直交する方向の断面形状または軸線AX1方向から見た投影形状が四角形状の第1潤滑油路103Fが設けられている。四角形状の第1潤滑油路103Fは、直線状の油路部103Fa,103Fb,103Fc,103Fdによって各辺が構成されている。第1潤滑油路103Fと4つの入口油孔101Fa,101Fb,101Fc,101Fdとは、それぞれ第1潤滑油路103Fの各辺で連通している。
具体的には、第1潤滑油路103Fの油路部103Faと入口油孔101Faとが、油路部103Faの長手方向中央部で連通している。また、第1潤滑油路103Fの油路部103Fbと入口油孔101Fbとが、油路部103Fbの長手方向中央部で連通している。また、第1潤滑油路103Fの油路部103Fcと入口油孔101Fcとが、油路部103Fcの長手方向中央部で連通している。また、第1潤滑油路103Fの油路部103Fdと入口油孔101Fdとが、油路部103Fdの長手方向中央部で連通している。
また、図10に示すように、クランクジャーナル10Fでは、4つの入口油孔101Fa,101Fb,101Fc,101Fdのうちの隣り合う入口油孔101F同士が第1潤滑油路103Fによって繋がっている。
具体的には、入口油孔101Faと入口油孔101Fbとが、油路部103Faと油路部103Fbとによって繋がっている。また、入口油孔101Fbと入口油孔101Fcとが、油路部103Fbと油路部103Fcとによって繋がっている。また、入口油孔101Fcと入口油孔101Fdとが、油路部103Fcと油路部103Fdとによって繋がっている。また、入口油孔101Fdと入口油孔101Faとが、油路部103Fdと油路部103Faとによって繋がっている。
変形例4にクランクジャーナル10Fでは、第1潤滑油路103Fの辺部と入口油孔101Fとが連通していることによって、図4に示したクランクジャーナル10Bのように、第1潤滑油路103Bの角部と入口油孔101Bとが連通している場合よりも、入口油孔101Fから第1潤滑油路103Fにクランクジャーナル10Fの径方向で外周側から中心側に向かって長い距離を潤滑油が流れることになる。一方で、図3に示した比較例に係るクランクジャーナル10Aに比べれば、クランクジャーナル10Fの径方向で外周側から中心側に向かって潤滑剤が流れる距離が短い。そのため、入口油孔101Fから第2潤滑油路400に向かって潤滑剤が第1潤滑油路103Fを流れる際に必要な、クランクジャーナル10Fが回転することによって生じる遠心力に逆らう力を、比較例に係るクランクジャーナル10Aよりも低減させることができる。よって、その分、過剰な油圧を設定して第1潤滑油路103Fに潤滑油を供給する必要がなく、燃費向上を図ることが可能となる。
(実施形態3)
以下に、本発明に係るクランクシャフトの実施形態3について説明する。なお、実施形態1と共通する箇所の説明は適宜省略する。
図11は、実施形態3に係るクランクジャーナル10G周辺の断面構造を示した断面図である。実施形態3に係るクランクジャーナル10Gには、周方向に90度で等間隔に4つの入口油孔101Ga,101Gb,101Gc,101Gdが設けられている。なお、以下の説明において、4つの入口油孔101Ga,101Gb,101Gc,101Gdを特に区別しないときには、単に入口油孔101Gともいう。
また、図11に示すように、クランクジャーナル10G内には、径方向外周側に軸線AX1と直交する方向の断面形状または軸線AX1方向から見た投影形状が八角形状の第1潤滑油路103Gが設けられている。八角形状の第1潤滑油路103Gは、クランクジャーナル10Gの径方向で外周側に凸となった角部107Ga,107Gb,107Gc,107Gdをそれぞれ有する4つの折れ線状の油路部103Ga,103Gb,103Gc,103Gdによって各辺が構成されている。
第1潤滑油路103Gと4つの入口油孔101Ga,101Gb,101gc,101Gdとは、それぞれ連通しており、4つの入口油孔101Ga,101Gb,101Gc,101Gdのうちの隣り合う入口油孔101G同士が第1潤滑油路103Gによって繋がっている。
具体的には、入口油孔101Gaと入口油孔101Gbとが、第1潤滑油路103Gの折れ線状の油路部103Gaによって繋がっている。また、入口油孔101Gbと入口油孔101Gcとが、第1潤滑油路103Gの折れ線状の油路部103Gbによって繋がっている。また、入口油孔101Gcと入口油孔101Gdとが、第1潤滑油路103Gの折れ線状の油路部103Gcによって繋がっている。また、入口油孔101Gdと入口油孔101Gaとが、第1潤滑油路103Gの折れ線状の油路部103Gdによって繋がっている。
実施形態3に係るクランクジャーナル10Gでは、隣り合う入口油孔101G同士が、クランクジャーナル10Gの径方向で外周側に凸となった角部107Gを有する折れ線状の油路部によって繋がっている。そのため、実施形態3に係るクランクジャーナル10Gの第1潤滑油路103Gを流れる潤滑油は、図4に示したクランクジャーナル10Bに設けられた四角形状の第1潤滑油路103Bよりも、図2に示したクランクジャーナル10の円形状の第1潤滑油路103に近い経路を流れることになる。すなわち、入口油孔101Gから第2潤滑油路400に向かって潤滑油が第1潤滑油路103Gを流れる際には、図4に示した四角形状の第1潤滑油路103Bが設けられたクランクジャーナル10Bよりも、クランクジャーナル10Gの径方向で外周側から中心側に向かうことなく潤滑剤が第1潤滑油路103Gを流れる。そのため、入口油孔101Gから第2潤滑油路400に向かって潤滑剤が第1潤滑油路103Gを流れる際に必要な、クランクジャーナル10Gが回転することによって生じる遠心力に逆らう力を、図4に示したクランクジャーナル10Bよりも低減させることができる。よって、その分、過剰な油圧を設定して第1潤滑油路103Gに潤滑油を供給する必要がなく、燃費向上を図ることが可能となる。
また、実施形態3に係るクランクジャーナル10Gでは、各入口油孔101Gから延びる第1潤滑油路103Gの各油路部の軸線が、各入口油孔101Gにおける接線の法線に対して、クランクジャーナル10Gの回転方向Rで上流側に傾くように、第1潤滑油路103Gの各油路部を設けることが好ましい。これにより、クランクジャーナル10Gの回転に伴って油溝312の潤滑油を迎えに行くような角度をつけて、動圧効果を得ることで、各入口油孔101Gでの油圧を上げることができ、前記遠心力に逆らう若干の油圧要求分を部分的または完全になくすことが可能となる。
また、各入口油孔101Gのクランクジャーナル10Gの回転方向Rで上流側に面取り部を設けても良い。これにより、クランクジャーナル10Gの回転に伴って油溝312から各入口油孔101Gに潤滑油を供給させやすくすることができる。
(実施形態4)
以下に、本発明に係るクランクシャフトの実施形態4について説明する。なお、実施形態1と共通する箇所の説明は適宜省略する。
図12は、実施形態4に係るクランクジャーナル10H周辺の断面構造を示した断面図である。実施形態4に係るクランクジャーナル10Hには、周方向に120度で等間隔に3つの入口油孔101Ha,101Hb,101Hcが設けられている。なお、以下の説明において、3つの入口油孔101Ha,101Hb,101Hcを特に区別しないときには、単に入口油孔101Hともいう。
また、図12に示すように、クランクジャーナル10H内には、径方向外周側に軸線AX1と直交する方向の断面形状または軸線AX1方向から見た投影形状が三角形状の第1潤滑油路103Hが設けられている。第1潤滑油路103Hと3つの入口油孔101Ha,101Hb,101Hcとは、それぞれ連通しており、3つの入口油孔101Ha,101Hb,101Hcのうちの隣り合う入口油孔101H同士が第1潤滑油路103Hによって繋がっている。
具体的には、入口油孔101Haと入口油孔101Hbとが、第1潤滑油路103Hの直線状の油路部103Haによって繋がっている。また、入口油孔101Hbと入口油孔101Hcとが、第1潤滑油路103Hの直線状の油路部103Hbによって繋がっている。また、入口油孔101Hcと入口油孔101Haとが、第1潤滑油路103Hの直線状の油路部103Hcによって繋がっている。
これにより、実施形態4に係るクランクジャーナル10Hでは、入口油孔101Hから第2潤滑油路400に向かって潤滑油が第1潤滑油路103Hを流れる際には、図3に示した比較例に係るクランクジャーナル10Aよりも、クランクジャーナル10Hの径方向で外周側から中心側に向かうことなく潤滑剤が第1潤滑油路103Hを流れる。そのため、入口油孔101Hから第2潤滑油路400に向かって潤滑剤が第1潤滑油路103Hを流れる際に必要な、クランクジャーナル10Hが回転することによって生じる遠心力に逆らう力を、図3に示した比較例に係るクランクジャーナル10Aよりも低減させることができる。よって、その分、過剰な油圧を設定して第1潤滑油路103Hに潤滑油を供給する必要がなく、燃費向上を図ることが可能となる。
また、実施形態4に係るクランクジャーナル10Hでは、各入口油孔101Hから延びる第1潤滑油路103Hの各油路部の軸線が、各入口油孔101Hにおける接線の法線に対して、クランクジャーナル10Hの回転方向Rで上流側に傾くように、第1潤滑油路103Hの各油路部を設けることが好ましい。これにより、クランクジャーナル10Hの回転に伴って油溝312の潤滑油を迎えに行くような角度をつけて、動圧効果を得ることで、各入口油孔101Hでの油圧を上げることができ、前記遠心力に逆らう若干の油圧要求分を部分的または完全になくすことが可能となる。
また、各入口油孔101Hのクランクジャーナル10Hの回転方向Rで上流側に面取り部を設けても良い。これにより、クランクジャーナル10Hの回転に伴って油溝312から各入口油孔101Hに潤滑油を供給させやすくすることができる。