JP7139448B2 - TTFields及びオーロラキナーゼ阻害剤による腫瘍の治療 - Google Patents

TTFields及びオーロラキナーゼ阻害剤による腫瘍の治療 Download PDF

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Description

関連出願の相互参照
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2018年4月9日に出願の米国仮出願第62/654,679号、及び2019年3月29日に出願の米国仮出願第62/826,114号の利益を主張するものである。
腫瘍治療電場(Tumor Treating Fields、TTFields)は、低強度、中間周波数の交流電場を印加することによって送達される有効な抗腫瘍治療方法である。今日までに、TTFields療法は、多形膠芽腫脳腫瘍を治療するためにFDAの承認を受けている。一例において、TTFields療法は、装着型で携帯可能なデバイス(Optune(登録商標))を使用して送達される。この送達システムは、4枚の接着性で非侵襲性の絶縁性「トランスデューサーアレイ」、電場発生器、充電式バッテリー及び携帯用ケースを含むことができる。トランスデューサーアレイは、腫瘍付近の皮膚に適用され、電場発生器に接続することができる。
前臨床設定においては、TTFieldsは、例えば、Inovitro(商標) TTFieldsラボベンチシステムを使用して、in vitroで印加することができる。Inovitro(商標)には、TTFields発生器と、プレート毎に8枚のセラミック製皿を含むベースプレートが含まれている。細胞は、各皿の内側に配置された22mmの丸状カバーガラスに播種される。TTFieldsは、各皿の高誘電率セラミックによって絶縁された2つの垂直なトランスデューサーアレイのペアを使用して印加される。各皿内のTTFieldsの向きは、1秒毎に90°切り替えられ、それによって細胞分裂の大部分の方向軸がカバーされる。
Bavetsiasら、Aurora Kinase Inhibitors: Current Status and Outlook、Front Oncol. 2015年; 5: 278頁 Schwartzら、Phase I study of barasertib (AZD1152)、a selective inhibitor of Aurora B kinase, in patients with advanced solid tumors、Invest New Drugs. 2013年4月;31(2):370~80頁 Kantaijianら、Phase I study assessing the safety and tolerability of barasertib (AZD1152) with low-dose cytosine arabinoside in elderly patients with AML、Clin Lymphoma Myeloma Leuk. 2013年10月;13(5):559~67頁 M. GILADIら、Mitotic Spindle Disruption by Alternating Electric Fields Leads to Improper Chromosome Segregation and Mitotic Catastrophe in Cancer Cells、Scientific Reports、2015年;5: 18046頁 R WIEDEMUTH Rら、Janus Face-Like Effects of Aurora B Inhibition: Antitumoral Mode of Action Versus Induction of Aneuploid Progeny, Carcinogenesis、2016年;37(10):993~1003頁 Cummingsら、Biphasic activation of Aurora-A kinase during the meiosis I- meiosis II transition in Xenopus oocytes、Mol. Cell. Biol. 23 (5): 1703~16頁
ある特定の種類のがん(例えば膠芽腫)は、TTFields及びオーロラキナーゼ阻害剤(例えば、バラセルチブ(Barasertib)(AZD1152)、アリセルチブ(Alisertib)(MLN8237)、ダヌセルチブ(Danusertib)(PHA-739358)、AT9283、PF-03814735、及びAMG 900)で回復又は治療することができる。例えば、Bavetsiasら、Aurora Kinase Inhibitors: Current Status and Outlook, Front Oncol. 2015年; 5: 278頁を参照されたい。引用したすべての参考文献及び刊行物は、その全体が本明細書に組み込まれる。
本発明の一態様は、がん細胞の生存率を治療的に低下させるための医薬の製造におけるオーロラキナーゼ阻害剤を含む治療剤の使用であって、治療剤が、がん細胞に投与され、100kHz~300kHzの周波数を有する交流電場が、がん細胞に印加される、使用を対象とする。
一実施形態では、オーロラキナーゼ阻害剤は、オーロラAキナーゼ阻害剤を含む。
一実施形態では、オーロラキナーゼ阻害剤は、オーロラBキナーゼ阻害剤を含む。
一実施形態では、オーロラキナーゼ阻害剤は、MLN8237を含む。
一実施形態では、オーロラキナーゼ阻害剤は、AZD1152を含む。
一実施形態では、オーロラキナーゼ阻害剤は、AZD1152、アリセルチブ(MLN8237)、ダヌセルチブ(PHA-739358)、AT9283、PF-03814735、及びAMG 900からなる群から選択される。
一実施形態では、交流電場は、少なくとも部分的に、治療剤の投与と同時に印加される。
一実施形態では、交流電場は、少なくとも72時間の間、印加される。
一実施形態では、交流電場の周波数は、180kHz~220kHz、190kHz~210kHz、195kHz~205kHz、又は約200kHzである。
一実施形態では、オーロラキナーゼ阻害剤は、治療有効濃度でがん細胞に投与され、交流電場は、少なくとも一部のがん細胞において少なくとも1V/cmの電場強度を有する。
一実施形態では、オーロラキナーゼ阻害剤の治療有効濃度は、交流電場の非存在下で治療有効性であることが知られているオーロラキナーゼ阻害剤の投与量に対して、少なくとも50%低減される。
一実施形態では、オーロラキナーゼ阻害剤の治療有効濃度は、約12.5nM~約100nMである。
一実施形態では、オーロラキナーゼ阻害剤の治療有効濃度は、25nM~75nMである。
本発明の別の態様は、対象におけるがんを治療的に処置するための医薬の製造におけるオーロラキナーゼ阻害剤を含む治療剤の使用であって、治療剤が、治療有効濃度で対象の標的領域に投与され、100kHz~300kHzの周波数を有する交流電場が、対象の標的領域に印加される、使用を対象とする。
一実施形態では、オーロラキナーゼ阻害剤は、オーロラAキナーゼ阻害剤を含む。
一実施形態では、オーロラキナーゼ阻害剤は、オーロラBキナーゼ阻害剤を含む。
一実施形態では、オーロラキナーゼ阻害剤は、MLN8237を含む。
一実施形態では、オーロラキナーゼ阻害剤は、AZD1152を含む。
一実施形態では、がんは膠芽腫を含む。
一実施形態では、オーロラキナーゼ阻害剤は、AZD1152、アリセルチブ(MLN8237)、ダヌセルチブ(PHA-739358)、AT9283、PF-03814735及びAMG 900からなる群から選択される。
一実施形態では、治療剤の投与後、及びオーロラキナーゼ阻害剤が対象の身体から排除又は排出される前に、交流電場は、少なくとも部分的に印加される。
一実施形態では、交流電場は、少なくとも72時間の間、印加される。
一実施形態では、交流電場の周波数は、180kHz~220kHz、190kHz~210kHz、195kHz~205kHz、又は約200kHzである。
一実施形態では、交流電場は、対象の少なくとも一部の標的領域において少なくとも1V/cmの電場強度を有する。
一実施形態では、オーロラキナーゼ阻害剤の治療有効濃度は、交流電場の非存在下で治療有効性であることが知られているオーロラキナーゼ阻害剤の投与量に対して、少なくとも50%低減される。
一実施形態では、オーロラキナーゼ阻害剤の治療有効濃度は、約12.5nM~約100nMである。
一実施形態では、オーロラキナーゼ阻害剤の治療有効濃度は、25nM~75nMである。
更に本発明の別の態様は、がん細胞の生存率を治療的に低下させるためのオーロラキナーゼ阻害剤を含む治療剤であって、治療剤が、がん細胞に投与され、100kHz~300kHzの周波数を有する交流電場が、がん細胞に印加される、治療剤を対象とする。
一実施形態では、オーロラキナーゼ阻害剤は、オーロラAキナーゼ阻害剤を含む。
一実施形態では、オーロラキナーゼ阻害剤は、オーロラBキナーゼ阻害剤を含む。
一実施形態では、オーロラキナーゼ阻害剤は、MLN8237を含む。
一実施形態では、オーロラキナーゼ阻害剤は、AZD1152を含む。
一実施形態では、オーロラキナーゼ阻害剤は、AZD1152、アリセルチブ(MLN8237)、ダヌセルチブ(PHA-739358)、AT9283、PF-03814735及びAMG 900からなる群から選択される。
一実施形態では、交流電場は、少なくとも部分的に、治療剤の投与と同時に印加される。
一実施形態では、交流電場は、少なくとも72時間の間、印加される。
一実施形態では、交流電場の周波数は、180kHz~220kHz、190kHz~210kHz、195kHz~205kHz、又は約200kHzである。
一実施形態では、オーロラキナーゼ阻害剤は、治療有効濃度でがん細胞に投与され、交流電場は、少なくとも一部のがん細胞において少なくとも1V/cmの電場強度を有する。
一実施形態では、オーロラキナーゼ阻害剤の治療有効濃度は、交流電場の非存在下で治療有効性であることが知られているオーロラキナーゼ阻害剤の投与量に対して、少なくとも50%低減される。
一実施形態では、オーロラキナーゼ阻害剤の治療有効濃度は、約12.5nM~約100nMである。
一実施形態では、オーロラキナーゼ阻害剤の治療有効濃度は、25nM~75nMである。
本発明のさらなる別の態様は、対象におけるがんを治療的に処置するためのオーロラキナーゼ阻害剤を含む治療剤であって、治療剤が治療有効濃度で対象の標的領域に投与され、100kHz~300kHzの周波数を有する交流電場が対象の標的領域に印加される、治療剤を対象とする。
一実施形態では、オーロラキナーゼ阻害剤は、オーロラAキナーゼ阻害剤を含む。
一実施形態では、オーロラキナーゼ阻害剤は、オーロラBキナーゼ阻害剤を含む。
一実施形態では、オーロラキナーゼ阻害剤は、MLN8237を含む。
一実施形態では、オーロラキナーゼ阻害剤は、AZD1152を含む。
一実施形態では、がんは膠芽腫を含む。
一実施形態では、オーロラキナーゼ阻害剤は、AZD1152、アリセルチブ(MLN8237)、ダヌセルチブ(PHA-739358)、AT9283、PF-03814735及びAMG 900からなる群から選択される。
一実施形態では、治療剤の投与後、及びオーロラキナーゼ阻害剤が対象の身体から排除又は排出される前に、交流電場は、少なくとも部分的に印加される。
一実施形態では、交流電場は、少なくとも72時間の間、印加される。
一実施形態では、交流電場の周波数は、180kHz~220kHz、190kHz~210kHz、195kHz~205kHz、又は約200kHzである。
一実施形態では、交流電場は、対象の少なくとも一部の標的領域において少なくとも1V/cmの電場強度を有する。
一実施形態では、オーロラキナーゼ阻害剤の治療有効濃度は、交流電場の非存在下で治療有効性であることが知られているオーロラキナーゼ阻害剤の投与量に対して、少なくとも50%低減される。
一実施形態では、オーロラキナーゼ阻害剤の治療有効濃度は、約12.5nM~約100nMである。
一実施形態では、オーロラキナーゼ阻害剤の治療有効濃度は、25nM~75nMである。
様々なAZD1152濃度でのU87-MG細胞に対するTTFields及びAZD1152の例示的な効果を示す。 様々なAZD1152濃度でのU87-MG細胞に対するTTFields及びAZD1152の例示的な効果を示す。 様々なAZD1152濃度でのU87-MGshp53細胞に対するTTFields及びAZD1152の例示的な効果を示す。 様々なAZD1152濃度でのU87-MGshp53細胞に対するTTFields及びAZD1152の例示的な効果を示す。 様々なAZD1152濃度でのU-251神経膠腫細胞に対するTTFields及びAZD1152の例示的な効果を示す。 U87-MG細胞の例示的な顕微鏡画像であり、これらはTTFields及びAZD1152による治療後の多核細胞及び核濃縮細胞の形成を示している。 U87-MGshp53細胞の例示的な顕微鏡画像であり、これらはTTFields及びAZD1152による治療後の多核細胞及び核濃縮細胞の形成を示している。 様々なAZD1152濃度でのTTFieldsによる治療後のU87-MG細胞における倍数性の例示的な増加を示す。 様々なAZD1152濃度でのTTFieldsによる治療後のU87-MG細胞における倍数性の例示的な増加を示す。 様々なAZD1152濃度でのTTFieldsによる治療後のU87-MG細胞における倍数性の例示的な増加を示す。 様々なAZD1152濃度でのTTFieldsによる治療後のU87-MG細胞における倍数性の例示的な増加を示す。 様々なAZD1152濃度でのTTFieldsによる治療後のU87-MGshp53細胞における倍数性の例示的な増加を示す。 様々なAZD1152濃度でのTTFieldsによる治療後のU87-MGshp53細胞における倍数性の例示的な増加を示す。 様々なAZD1152濃度でのTTFieldsによる治療後のU87-MGshp53細胞における倍数性の例示的な増加を示す。 様々なAZD1152濃度でのTTFieldsによる治療後のU87-MGshp53細胞における倍数性の例示的な増加を示す。 様々なAZD1152濃度でのTTFieldsによる治療後のU87-MGshp53細胞における倍数性の例示的な増加を示す。 示したAZD1152濃度及びTTField周波数でのU87-MGに対する、TTFields単独及びAZD1152単独による治療後、並びに組合せによる治療後の正規化された細胞数を示す。 示したAZD1152濃度及びTTField周波数での原発性膠芽腫細胞株HT12347に対する、TTFields単独及びAZD1152単独による治療後、並びに組合せによる治療後の正規化された細胞数を示す。 示したように治療及び染色した原発性膠芽腫細胞株HT12347の例示的なレーザー走査顕微鏡画像を示す。 2.5Xの倍率(左)及び10Xの倍率(右)での、示したように治療した原発性膠芽腫細胞株HT12347の例示的な光学顕微鏡法を示し、左のバーは200μMを示し、右のバーは100μMを示している。 U87-MGに対する、TTFields単独及びMLN8237単独による治療、並びに組合せによる治療の後の正規化された細胞数を示す。 原発性膠芽腫細胞株HT12347に対する、TTFields単独及びMLN8237単独による治療、並びに組合せによる治療の後の正規化された細胞数を示す。 膠芽腫細胞株HT12347において、対照、TTFields単独、MLN8237単独、及び組合せにより治療した後のDNA含有量を示す、例示的なPI(ヨウ化プロピウム)染色の結果の概要である。 図9Aに対応する細胞周期ヒストグラムである。 図9Aに対応する細胞周期ヒストグラムである。 図9Aに対応する細胞周期ヒストグラムである。 対照による治療後の原発性膠芽腫細胞HT12347の例示的な光学顕微鏡画像を示す。 TTFieldによる治療後の原発性膠芽腫細胞HT12347の例示的な光学顕微鏡画像を示す。 MLN8237単独による治療後の原発性膠芽腫細胞HT12347の例示的な光学顕微鏡画像を示す。 TTFields及びMLN8237による治療後の原発性膠芽腫細胞HT12347の例示的な光学顕微鏡画像を示す。
「治療する」という用語は、改善すること、抑制すること、増殖を低減すること、転移を抑制すること、及び同様のことを行うために医薬を処方することを意味する。本明細書に記載のオーロラBキナーゼ阻害剤は、患者に投与するために薬学的に許容される担体と組み合わせて使用することができる。用語「生存率を低下させる」とは、本明細書で使用される場合、増殖を低減すること、アポトーシスを誘導すること、又はがん細胞を死滅させることを意味する。用語「治療有効濃度」とは、本明細書で使用される場合、その意図した目的(例えば、がんの治療)を達成するのに十分な1種又は複数の薬物の濃度を意味する。例えば、Schwartzら、Phase I study of barasertib (AZD1152)、a selective inhibitor of Aurora B kinase, in patients with advanced solid tumors、Invest New Drugs. 2013年4月;31(2):370~80頁(48時間の持続注入としての150mg及び2回の2時間注入として投与された220mg(110mg/日、1、2、15及び16日目)の最大許容AZD1152投与量); Kantaijianら、Phase I study assessing the safety and tolerability of barasertib (AZD1152) with low-dose cytosine arabinoside in elderly patients with AML、Clin Lymphoma Myeloma Leuk. 2013年10月;13(5):559~67頁を参照されたい。
序論
TTFieldsは、極性微小管に方向性力を加え、正常な有糸分裂紡錘体の構築を妨げる。微小管力学に対するそのような干渉は、異常な紡錘体形成とその後の有糸分裂停止又は遅延をもたらす。細胞は、有糸分裂停止又は細胞分裂への進行中に死滅する可能性がある。これは、正常な又は異常な異数体後代の形成に至る可能性がある。四倍体細胞の形成は、スリッページを介した有系分裂終了によって起こり得るか、不適切な細胞分裂中に起こり得る。異常娘細胞は、その後の静止期に死滅し得るか、永久的な停止を受け得るか、又は追加の有糸分裂によって増殖し、そこでそれらはさらなるTTFields攻撃を受ける可能性がある。その全体が参照により本明細書に組み込まれる、M. GILADIら、Mitotic Spindle Disruption by Alternating Electric Fields Leads to Improper Chromosome Segregation and Mitotic Catastrophe in Cancer Cells、Scientific Reports、2015年;5: 18046頁を参照されたい。
TTFieldsの効率を増強する有望な方法は、TTFieldsと一緒に相乗的に作用し、中期-後期移行及び終期を延長する薬物の使用である。詳細には、染色体パッセンジャー複合体の成分に干渉する阻害剤又は薬物、特にオーロラBキナーゼに影響を及ぼす阻害剤又は薬物は、TTFieldsとの組合せによる使用における優れた候補である。
オーロラBは、染色体パッセンジャータンパク質(CPP)を表す。これは、内部セントロメアタンパク質(INCENP/INCENP)、BIRC5/Survivin、及びCDCA8/Borealinとともに安定性複合体に構築され、染色体パッセンジャー複合体(CPC)を形成する。オーロラBキナーゼ活性は、シンテリック及びメロテリックな微小管-動原体接合の修正に関与しており、したがって、後期の開始前、姉妹染色分体の反対紡錘体極へのバイオ配向における重要な因子である。オーラBは、CPCのそのパートナーと協力して、p53の変異状態とは無関係に分離、染色体の完全性を保護するため、細胞の生存にとって重要である。その全体が参照により本明細書に組み込まれる、R WIEDEMUTH Rら、Janus Face-Like Effects of Aurora B Inhibition: Antitumoral Mode of Action Versus Induction of Aneuploid Progeny, Carcinogenesis、2016年;37(10):993~1003頁を参照されたい。
本明細書に記載した研究は、腫瘍細胞に対するTTFieldsの効果がオーロラキナーゼの化学的阻害を介した細胞質分裂のさらなる阻害によって拡大される可能性があるという仮説を試験するために実施された。より詳細には、この研究は、GBMを治療するため、TTFieldsをオーロラBキナーゼ阻害剤AZD1152と組み合わせることを調べた。別の例においては、TTFieldsによる治療の前、途中、又は後に、限定するものではないが、ダヌセルチブ(PHA-739358)、AT9283、PF-03814735、及びAMG 900を含む、追加のオーロラBキナーゼ阻害剤を使用することができる。オーロラAキナーゼは、中心体の成熟及び分離と関連があり、紡錘体の構築及び安定に影響を及ぼす。例えば、Cummingsら、Biphasic activation of Aurora-A kinase during the meiosis I- meiosis II transition in Xenopus oocytes、Mol. Cell. Biol. 23 (5): 1703~16頁を参照されたい。
TTFieldsとオーロラBキナーゼ阻害剤AZD1152の組合せ治療の効果は、3種類の異なる神経膠腫細胞株:U87-MG、U87-MGshp53及びU-251において試験した。TTFields(1.75V/cm RMS、200kHz)は、Inovitroシステムを使用して72時間印加された。AZD1152は、培地に100nmol/L以下の濃度で添加した。細胞数、細胞周期、及びクローン原性の可能性は、治療の終了時に決定した。多核細胞の形成は、クリスタルバイオレットで染色した細胞の顕微鏡画像を使用して決定した。
TTFieldsとAZD1152による組合せ治療は、それぞれの単独治療と比較して、U251細胞、U87-MG細胞及びU87-MGshp53細胞の数が有意に減少した(二元配置ANOVA、3種類の細胞株すべてにおいてp<0.001)。治療終了時の細胞傷害効果だけでなくクローン原性の可能性も考慮に入れる全体的効果は、それぞれの単独治療と比較して、U87-MG細胞、U87-MGshp53細胞及びU-251細胞の有意な減少を示した(二元配置ANOVA、3種類の細胞株すべてにおいてp<0.001)。治療後にクリスタルバイオレットで染色したU87-MG細胞及びU87-MGshp53細胞の顕微鏡画像は、AZD1152(25nM)単独で治療した細胞と比較して、TTFields及びAZD1152(25nM)に暴露された細胞においては多核細胞の高有病率を示した。TTFields及び高投与量のAZD1152(50~100nM)で治療した細胞は、核凝縮率の増加を示した。
本明細書に記載した結果は、TTFieldsとオーロラBキナーゼ阻害剤AZD1152の組合せが神経膠腫細胞に対する有効な治療になり得ることと、相乗作用がそれらの2つの治療法の間に存在するように思われることを明示している。また、本明細書に記載した結果は、TTFieldsとオーロラAキナーゼ阻害剤MLN8237の組合せが神経膠腫細胞に対する有効な治療になり得ることも明示している。
方法
細胞培養及び薬物
TTFieldsとAZD1152の組合せ治療の効果は、以下のヒト神経膠腫細胞株:U87-MG (ATCC)、U-251 (ECACC)及びEG87-MGshp53 (Dr. Achim Temmeから提供いただいたもの)を使用して試験した。すべての細胞を、5% CO2を供給した加湿型インキュベーターで増殖させた。細胞を、10% FBS、2mmol/Lのグルタミン、Pen-Strep溶液(100ユニット/mlのペニシリン及び0.1mg/mlのストレプトマイシン)、1mmol/Lのピルビン酸ナトリウム及び1% NEAAを補充したEMEMで維持した。U87-MGshp53細胞は、400mg/mLのジェネティシンによる選択下で維持した。AZD1152はイスラエルのSigma社から入手した。
細胞傷害性アッセイ及び全体的効果
TTFields(1.6V/cm RMS、200kHz)は、Inovitroシステムを使用して72時間印加された。治療の終了時に、腫瘍細胞増殖の阻害を細胞数に基づいて定量的に分析した。U87-MG、U87-MGshp53及びU-251のクローン原性生存率は、6枚のウェル皿に三通りの300細胞/皿をプレーティングすることにより試験した。2~3週間後、細胞をクリスタルバイオレットで染色し、クローンの数を定量化した。全体的効果は、治療終了時に生存している細胞のパーセンテージに、形成されたコロニーの対照に対するパーセンテージを掛けることにより計算した。
フローサイトメトリー
細胞周期分析については、細胞を72時間治療した直後にトリプシンで除去し、1% FBSを含む氷冷PBSで2回洗浄し、30分間、70%の氷冷エタノールで固定した。固定後、細胞を、1% FBSを含む氷冷PBSで2回洗浄し、ペレット化し、10μg/mlのRNase及び7.5μg/mlの7-AAD(Sigma-Aldrich社)を含有するPBSで30分間、37℃にてインキュベートした。次いで、細胞周期分布を、EC800フローサイトメーター(Sony Biotechnology社、日本)を使用して定量化した。
顕微鏡検査法
治療終了時に、細胞を100%メタノールで固定し、0.5%のクリスタルバイオレット(Sigma社)で染色し、倒立顕微鏡(Nikon社製 eclipse TS100)下で画像化した。
統計分析
データは平均±SEとして表し、差異の統計的有意性は、GraphPad Prism 6ソフトウェア(GraphPad Software社、カリフォルニア州ラホヤ)を使用して評価した。群の間の差異は、二元配置ANOVAを使用して比較し、0.05>*p>0.01、**p<0.01、及び***p<0.001の値で有意であると考えた。
結果
図1A~図1Eは、神経膠腫細胞に対するTTFields及びAZD1152の効果を示す。U87-MG、U87-MGshp53及びU-251の神経膠腫細胞を様々なAZD1152濃度で増殖させ、TTFields(200kHz、1.6V/cm RMS)で72時間治療した。U87-MGは、20nMを超える濃度のAZD1152による治療に対して高感受性であることが分かった。図1Aに示したように、TTFields印加単独に対する応答では、細胞の数が約50%低減した。細胞の数は、治療終了時に決定され、対照のパーセンテージとして表される。TTFieldsとAZD1152の組合せ治療では、細胞傷害活性が有意に増強した(二元配置ANOVA、p<0.001)。更に、図1Bに示したように、TTFieldsとAZD1152の組合せ治療では、細胞傷害活性とクローン原性応答の両方を考慮に入れた上で、U87-MG細胞において全体的効果の有意な増強がもたらされた。
U87-MGshp53は、IC-50が約50nMであるそれらのp53 WT対応株と比較して、AZD1152による治療に対する感受性が低いことが分かった。TTFields印加単独に対する応答では、U87-MGshp53細胞の数が約40%低減したが、それは、それらのp53 WT対応株において観察された減少よりもわずかに少ないだけである(図1C)。TTFieldsとAZD1152の組合せ治療は、U87-MGshp53細胞において、細胞傷害活性の有意な増強(二元配置ANOVA、p<0.001)(図1D)及び全体的効果の有意な増強(図1D)をもたらした。
特に、AZD1152をTTFieldsと組み合わせた場合、所定レベルの全体的効果を得るのに必要なAZD1152の投与量は、多くの場合、交流電場の非存在下で全体的効果の同様の所定レベルを提供するAZD1152の投与量に対して、少なくとも50%低減され得る。例えば、図1Dの水平破線は、TTFieldsの非存在において38%の全体的効果を達成するのにAZD1152の70nMの投与量が必要であること、また、AZD1152とTTFieldsとを組み合わせた場合には、38%の同様の全体的効果を達成するのに必要とされるのはAZD1152のわずか25nMの投与量であることを示している。
U-251細胞は、AZD1152による治療後にそれらの体積が著しく増加したが、そのことによりフローサイトメトリーを使用してそれらを数えることが困難となった。U-251細胞についての全体的効果は、クローン原性アッセイに基づいて決定した。TTFields印加単独に対する応答は、U-251細胞のクローン原性の可能性を約50%低減させた(図1E)。TTFieldsとAZD1152の組合せ治療は、U-251コロニーの数を有意に減少させた(二元配置ANOVA、p<0.001)(図1E)。
図2A及び図2Bは、TTFieldsとAZD1152の組合せ治療後の多核細胞の形成を示している。図2A及び図2Bは、それぞれ、U87-MG細胞及びU87-MGshp53細胞の顕微鏡画像であり、これは、TTFieldsとAZD1152の組合せ治療後の多核細胞及び核濃縮細胞の形成を示している。様々なAZD1152濃度で増殖させたU87-MG及びU87-MGshp53の神経膠腫細胞を、TTFields(200kHz、1.6V/cmのRMS)で72時間治療した。治療後、クリスタルバイオレットで染色した細胞を倒立顕微鏡下で画像化した。「M」と表示した矢印は多核細胞をマークしており、「P」と表示した矢印は核濃縮細胞をマークしている。これらの画像により、TTFields印加後のU87-MG多核細胞の数におけるわずかな増加が明らかになった(図2A、第1の行)。多核細胞(「M」と表示された矢印によってマークされたもの)の高有病率は、AZD1152(25nM)単独で治療した細胞と比較して、TTFields及び低濃度のAZD1152(25nM)に暴露されたU87-MG細胞及びU87-MGshp53細胞において観察された(図2A及び図2Bの中央の行)。TTFields及び高投与量のAZD1152(50~100nM)で治療した細胞は、核凝縮率(「P」と表示した矢印によってマークしたもの)の増加を示した(図2A、図2Bの下の行)。
図3A~図3D及び図4A~図4Eは、TTFields及びAZD1152による治療後のDNA含量のU87-MG及びU87-MGshp53FACS分析を示す。より詳しくは、図3A~図3Dは、様々なAZD1152濃度でのTTFields(200kHz、1.6V/cm RMS)の組合せ治療後のU87-MG細胞における倍数性の増加を示しており;図4A~図4Eは、様々なAZD1152濃度でのTTFields(200kHz、1.6V/cm RMS)の組合せ治療後のU87-MGshp53細胞における倍数性の増加を示す。顕微鏡画像において観察された多核化によれば、フローサイトメトリーを使用するU87-MG細胞及びU87-MGshp53細胞の倍数性分析では、TTFields及びAZD1152による治療後の倍数体細胞の数の増加が明らかになった。
Table 1(表1)及びTable 2(表2)は、それぞれ、U87-MG及びU87-MGshp53について、図3及び図4に対応する数値データを示す。Table 1(表1)及びTable 2(表2)の欄は、DNAコピー数を表す(例えば、2nは通常の染色体数であり(23ペア=46)、4nは染色体数の2倍である、等)。
Figure 0007139448000001
Figure 0007139448000002
Table 3(表3)及びTable 4(表4)は、異なる濃度のAZD1152に、単独で、及びTTFieldsと組み合わせて暴露した場合のU87-MG細胞及びU87-MGshp53細胞並びにU-251細胞に対するそれぞれの細胞傷害性及び全体的効果を示す。観測パーセンテージ値がAZD1152のゼロでないすべての濃度に対する予測パーセンテージ値よりも低いので、このデータは、相乗作用がTTFieldsとAZD1152の間に存在することを示唆している。
Figure 0007139448000003
Figure 0007139448000004
追加の方法
U87-MG細胞に加えて、原発腫瘍細胞株を、手術時に採取した膠芽腫組織から樹立した。TTFields(1.6V/cm RMS、200kHz)を、Inovitro(商標)システムを使用して、72時間印加した。AZD1152を100nmol/l以下の濃度で培地に添加した。細胞数、細胞周期及びクローン原性の可能性は、治療終了時に決定した。
原発腫瘍細胞株を分析した。更に、MLN8237のオーロラAキナーゼ阻害剤を、U87-MG細胞株及び原発腫瘍細胞株を治療するために50nmol/l以下の濃度で試験し、TTFieldsとの組合せ療法における標的としてオーロラキナーゼ阻害を更に樹立した。
追加の結果
TTFieldsとAZD1152の組合せ治療は、それぞれの治療単独と比較して、原発性膠芽腫細胞の数に有意な減少をもたらした(マン-ホイットニーのU検定、p<0.001)。図5A及び図5Bは、示したAZD1152濃度及びTTField周波数でのU87-MG(図5A)及び原発性膠芽腫細胞株HT12347(図5B)に対する、TTFields単独及びAZD1152単独による治療後、並びに組合せによる治療後の正規化された細胞数を示す。例示のボックスプロットは、AZD1152単独、TTFields単独、及びAZD1152とTTFieldsの組合せによる治療後の正規化された細胞数を示す。「***」は、p<0.001の場合の有意差をマークしている。
図6は、示したように治療及び染色した原発性膠芽腫細胞株HT12347の例示的なレーザー走査顕微鏡画像を示す。原発性膠芽腫細胞株HT18584の共焦点レーザー走査顕微鏡法を以下に示す:(1)Hoechst33342で染色しているDNA(青色)、(2)細胞膜のWGA-Alexa Fluor 647染色(赤色)、及び、(3)yH2AX染色用の二次抗体抗ヒツジ-α-マウスIgG1 FITC。バーは、25μmを示している。細胞を、対照、AZD1152(20nM)、TTFields、又は両方の組合せで治療した。細胞数における最大の減少は、組合せ治療で確認することができる。
図7は、2.5Xの倍率(左)及び10Xの倍率(右)での原発性膠芽腫細胞株HT12347の例示的な光学顕微鏡法を示し、左のバーは200μMを示し、右のバーは100μMを示している。細胞を、対照、AZD1152、TTFields、又は両方の組合せで治療した。細胞数における最大の減少は、組合せ治療で確認することができる。
MLN8237とTTFieldsの組合せ治療もまた、それぞれの治療単独と比較して、原発性膠芽腫細胞株の場合と同様に、U87-MGの細胞数を有意に減少させた(マン-ホイットニーのU検定、p<0.01)。図8A~図8Bは、U87-MG(図8A)及び原発性膠芽腫細胞株HT12347(図8B)に対する、TTFields単独及びMLN8237単独による治療、及び組合せによる治療の後の正規化された細胞数を示す。例示のボックスプロットは、U87細胞(図8A)及びHT12347膠芽腫細胞(図8B)における、TTFields単独、MLN8237単独、及びMLN8237とTTFieldsの組合せによる治療後の正規化された細胞数を示す。対照と比較した生細胞のパーセンテージにおける最大の減少は、TTFieldsとMLN8237の組合せで明らかである。
図9A~図9Eは、TTFields単独、MLN8237単独、及びMLN8237とTTFieldsの組合せにより治療した後のDNA含有量を、対応する細胞周期ヒストグラムとともに示す、例示的なPI(ヨウ化プロピウム)染色の結果を示す。図9Aは概要であり、2nはライトグレー、4nはダークグレー、r>4nは黒である;図9Bは、対照の細胞周期ヒストグラムである;図9Cは、TTField治療単独の細胞周期ヒストグラムである;図9Dは、MLN8237単独の細胞周期ヒストグラムである;図9Eは、MLN8237と組み合わせたTTFieldsの細胞周期ヒストグラムである。組合せ治療は、多数の多核細胞及び倍数細胞をもたらした。
図10A~図10Dは、以下の治療後の原発性膠芽腫細胞HT12347の例示的な光学顕微鏡画像を示す:10A:対照による治療後;10B:TTFieldによる治療後;10C:MLN8237単独による治療後;10D:TTFields及びMLN8237による治療後。組合せ治療は、最も少ない細胞数を示した。
これらの結果は、TTFieldsとオーロラキナーゼ阻害剤(例えば、オーロラAキナーゼ阻害剤又はオーロラBキナーゼ阻害剤)の組合せが、膠芽腫細胞を含むがん細胞に対して有効な治療となり得ることを明示している。
結論
本明細書に記載した研究は、腫瘍細胞に対するTTFields効果が、オーロラキナーゼ(例えば、オーロラAキナーゼ及びオーロラBキナーゼ)の化学的阻害による細胞質分裂の追加的阻害によって拡大され得ることを明示している。より詳しくは、この研究では、GBMを治療するために、TTFieldsと、オーロラBキナーゼ阻害剤AZD1152又はオーロラAキナーゼ阻害剤MLN8237の組合せについて調べた。別の事例においては、ダヌセルチブ(PHA-739358)、AT9283、PF-03814735及びAMG 900を含むがこれらに限定されない追加のオーロラキナーゼ阻害剤は、TTFieldsによる治療の前、途中、又は後で使用することができる。
U87-MG細胞及びU87-MGshp53細胞において、TTFieldsとAZD1125の組合せは、それぞれの治療単独と比較して、細胞数に有意な減少をもたらした。試験した3つのすべての細胞株において、組合せ治療の全体的効果は、それぞれの治療単独の効果よりも有意に高かった。TTFieldsと低投与量のAZD1125の組合せは、高AZD1152濃度で観察された効果と同様に、多核細胞及び倍数細胞の数を増加させた。
これらの結果は、がん細胞の生存率が、オーロラBキナーゼ阻害剤をがん細胞に投与することによって、及び100~300kHzの間の周波数を有する交流電場をがん細胞に印加することによって低減され得ることを証明している。本明細書に記載した方法の一部の事例においては、印加工程の少なくとも一部は、投与工程の少なくとも一部と同時に実施される。
本明細書に記載したように試験した細胞において、TTFieldsとAZD1125又はMLN8237の組合せは、それぞれの治療単独と比較して、細胞数を有意に減少させた。試験したすべての細胞株において、組合せ治療の全体的効果は、それぞれの治療単独の効果よりも有意に高かった。TTFieldsとMLN8337の組合せは、多核細胞及び倍数細胞の数を増加させた。
これらの結果は、がん細胞の生存率が、オーロラキナーゼ阻害剤(例えば、オーロラAキナーゼ阻害剤、オーロラBキナーゼ阻害剤)をがん細胞に投与することによって、及び100~300kHzの周波数を有する交流電場をがん細胞に印加することによって低減することができることを証明している。本明細書に記載した方法の一部の事例においては、印加工程の少なくとも一部は、投与工程の少なくとも一部と同時に実施される。
本明細書に記載した研究は上述の周波数、電界強度、及び持続期間を使用して実施されたが、それらのパラメーターは変更され得ることに留意されたい。例えば、周波数は、200kHz、180~220kHz、又は100~300kHzであり得る;電界強度は、0.5~5V/cm、又は少なくとも1V/cmであり得る;また持続期間は、8時間よりも長い期間であり得る。
本明細書に記載した研究はすべてin vitroで実施されたが、これらの研究の結果は、in vitroでのがん細胞に対して実施するかわりに、生存している対象に投与し、(例えば、Optune(登録商標)システムを使用して)印加することを実施することによって、in vivoの情況まで拡大することができることに留意されたい。
in vitroの情況においては、オーロラBキナーゼ阻害剤又はオーロラAキナーゼ阻害剤のがん細胞への投与は、オーロラBキナーゼ阻害剤又はオーロラAキナーゼ阻害剤が、がん細胞を保持している容器に導入された第1の時間(t1)から、オーロラBキナーゼ阻害剤又はオーロラAキナーゼ阻害剤が除去又は排出されるまでのそうした時間(t2)まで連続的に起こることに留意されたい。その結果、TTFieldsががん細胞にt1とt2の間で印加される場合、印加は投与の少なくとも一部と同時である。in vivoの情況においては、オーロラBキナーゼ阻害剤又はオーロラAキナーゼ阻害剤のがん細胞への投与は、オーロラBキナーゼ阻害剤又はオーロラAキナーゼ阻害剤が(例えば、全身投与後の)患者の体内を循環しているか、又はがん細胞の付近に導入された第1の時間(t1)から、オーロラBキナーゼ阻害剤又はオーロラAキナーゼ阻害剤が患者の体内から排除又は排出されるまでのそうした時間(t2)まで連続的に起こる。その結果、TTFieldsががん細胞にt1とt2の間で印加される場合、印加は投与の少なくとも一部と同時である。
本発明はある特定の実施形態に関して開示してきたが、記載した実施形態への多くの改変、修正及び変更を、添付した特許請求の範囲で定義した本発明の領域及び範囲をから逸脱することなく行うことができる。したがって、本発明は記載した実施形態に限定されるものではないが、以下の特許請求の範囲の言語によって定義される全範囲及びその同等の範囲を有するものとする。

Claims (16)

  1. 対象におけるがん細胞の生存率を治療的に低下させること、または対象におけるがんを治療することにおける使用のための、オーロラキナーゼ阻害剤を含む治療剤であって、治療剤が、がん細胞または対象の標的領域に投与され、前記使用において、100kHz~300kHzの間の周波数を有する交流電場が、がん細胞または対象の標的領域に印加される、治療剤
  2. オーロラキナーゼ阻害剤が、オーロラAキナーゼ阻害剤を含む、請求項1に記載の治療剤
  3. オーロラキナーゼ阻害剤が、オーロラBキナーゼ阻害剤を含む、請求項1に記載の治療剤
  4. オーロラキナーゼ阻害剤が、MLN8237を含む、請求項1に記載の治療剤
  5. オーロラキナーゼ阻害剤が、AZD1152を含む、請求項1に記載の治療剤
  6. オーロラキナーゼ阻害剤が、AZD1152、アリセルチブ(MLN8237)、ダヌセルチブ(PHA-739358)、AT9283、PF-03814735、及びAMG 900からなる群から選択される、請求項1に記載の治療剤
  7. 交流電場が、少なくとも部分的に、治療剤の投与と同時に印加される、請求項1に記載の治療剤
  8. 治療剤の投与後、及びオーロラキナーゼ阻害剤が排除又は排出される前に、交流電場が、少なくとも部分的に印加される、請求項1に記載の治療剤
  9. 交流電場が、少なくとも72時間の間、印加される、請求項1に記載の治療剤
  10. 交流電場の周波数が、180kHz~220kHz、190kHz~210kHz、195kHz~205kHz、又は約200kHzである、請求項1に記載の治療剤
  11. オーロラキナーゼ阻害剤が、治療有効濃度でがん細胞に投与され、交流電場が、少なくとも一部のがん細胞において少なくとも1V/cmの電場強度を有する、請求項1に記載の治療剤
  12. 交流電場が、対象の少なくとも一部の標的領域において少なくとも1V/cmの電場強度を有する、請求項1に記載の治療剤
  13. オーロラキナーゼ阻害剤の濃度が、交流電場の非存在下で治療有効性であることが知られているオーロラキナーゼ阻害剤の投与量に対して、少なくとも50%低減される、請求項1に記載の治療剤
  14. オーロラキナーゼ阻害剤の濃度が、約12.5nM~約100nMである、請求項1に記載の治療剤
  15. オーロラキナーゼ阻害剤の濃度が、25nM~75nMである、請求項1に記載の治療剤
  16. がんが膠芽腫を含む、請求項1に記載の治療剤
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