JP7139021B2 - 差動装置用のサイドギヤ及び差動装置 - Google Patents
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Description
終減速装置1は、FFベースの四輪駆動車に搭載され、プロペラシャフトから伝達された動力を減速したうえで左右の後輪に伝達する装置である。
図1に示すように、終減速装置1は、ドライブピニオン2と、リングギヤ3と、差動装置10と、これらを収容するハウジング4とを備えている。
リングギヤ3は、左右方向に延びる軸線O2を中心に回転するリング状の部品である。リングギヤ3は、噛合するピニオンギヤ2aよりも大径に形成され、ピニオンギヤ2aから伝達される動力を減速している。リングギヤ3は、差動装置10の後述するデフケース11のフランジ15に対しボルト3aで締結されている。
ハウジング4内の下部には潤滑油が貯留しており、回転するリングギヤ3がこの潤滑油を掻き上げ、各部品に飛沫した潤滑油が供給される。
同様に、ハウジング4の右壁部において、右ボス部17と対向する部位には、右貫通穴4bが形成されている。そして、右ドライブシャフト(図1の仮想線R参照)は、右貫通穴4bと右ボス部17内を貫通し、左端部がデフケース本体14内に配置される。
環状壁部24の断面形状は、軸筒部23の外周面23aから径方向外側に向うにつれて左側に位置するように傾斜している。このため、環状壁部24の左側面24aと軸筒部23の外周面23aとの間には、断面視で略三角形状の空間(凹部30)が形成されている。また、環状壁部24の外周面24bは、デフケース本体14の内周面14aと対向するとともに円弧状に形成されている。
図3に示すように、補強リブ26は、軸線O2方向から視ると円形状を呈し、周方向に連続している。
以上から、終減速装置1に動力が伝達されてデフケース11が軸線O2回りに回転する場合、左サイドギヤ21は、ギヤ部25が噛合しているデフピニオンギヤ13から左方へ離間するような荷重を受ける。このため、ワッシャ27は、環状壁部24の外周面24bに押圧されてデフケース本体14の内周面14aに押し付けられる。さらに、左サイドギヤ21がデフケース11に相対回転する場合、環状壁部24の外周面24bがワッシャ27に対し摺動したり、ワッシャ27がデフケース本体14の内周面14aに対し摺動したりする。言い換えると、外周面24bは、デフケース11に対して摺動する摺動部を構成している。尚、本実施例ではデフケース本体14の内周面14aと、外周面24bとの間に、ワッシャ27を設ける構成となっているが、本発明はワッシャ27を設けない構成としてもよい。
凹部30の断面形状は、前記したように断面視で略三角形状に形成されている。凹部30の外周側を囲む外側周面30aは、環状壁部24の左側面24aにより構成され、開口30c側に向うにつれて径方向外側に位置するように傾斜している。凹部30の内周側を囲む内側周面30bは、軸筒部23の外周面23aにより構成されている。また、軸筒部23の外周面23a(凹部30の内側周面30bを含む)は、軸線O2方向に平坦に形成されている。
なお、車両の前進時において、左サイドギヤ21は軸線O2を中心に右回り(図3の矢印D2参照)に回転する。また、図3において、渦巻き溝41(溝部40)を見易くするため、渦巻き溝41(溝部40)の範囲を複数の点(ドット)で塗っている。
渦巻き溝41における径方向の幅Mは、径方向内側から外側に向うにつれて次第に狭くなっている。
本実施形態において渦巻き溝41は、2つ設けられており、軸線O2を中心として点対称となるように配置されている。
車両の前進により左ボス部16が軸線O2回りに回転すると、ハウジング4(図1参照)内から左ボス部16内に流入した潤滑油は、螺旋溝16aにより右側(左サイドギヤ21側)に案内される(矢印A1参照)。
左ボス部16の右開口から流出した潤滑油は、軸線O2の径方向外側に向う遠心力が作用して隙間S内に入り込み、デフケース本体14の内周面14aに到達する(矢印A2参照)。また、潤滑油には、引き続き遠心力が作用しているため、潤滑油デフケース本体14の内周面14aに沿って径方向外側に移動する(矢印A3参照)。
この結果、ワッシャ27及び補強リブ26により堰き止められた潤滑油は、デフケース本体14の内周面14aと環状壁部24の左側面24aと軸筒部23の外周面23aとに囲まれる空間に滞り、第1凹部31内と第2凹部32内に貯留される。
また、渦巻き溝41内に入り込んだ潤滑油は、左サイドギヤ21の右回転(車両の前進状態で、左右のサイドギヤ20、20に差回転が生じているとき)により径方向外側に案内される(図3の矢印B2参照)。
以上から、潤滑油が積極的に摺動部(環状壁部24の外周面24b)側に供給され、摺動部(環状壁部24の外周面24b)や、サイドギヤ20のギヤ部25とデフピニオンギヤ13との噛み合い箇所に潤滑油が継続して供給される。
また、凹部30は、三角形状を呈していることから、製造時において凹部30を形成する金型を左方に抜き易く、製造が容易となる。
図5に示すように、サイドギヤ120は、軸筒部23と、環状壁部24と、ギヤ部25と、補強リブ26と、凹部30の内面を凹設して成る溝部140と、を備えている。
なお、軸筒部23、環状壁部24、ギヤ部25、補強リブ26、並びに凹部30については第1実施形態で説明したため説明を省略する。
また、円弧溝141は、複数設けられており、周方向に等間隔で配置されている。
また、円弧溝141は、周方向に等間隔で複数形成されていることから、偏ることなく補強リブ26の全周に均等に潤滑油が供給される。
以上から、摺動部(環状壁部24の外周面24b)や、サイドギヤ20のギヤ部25とデフピニオンギヤ13との噛み合い箇所に潤滑油が継続して供給される。
図6に示すように、サイドギヤ220は、軸筒部23と、環状壁部24と、ギヤ部25と、補強リブ26と、凹部30の内面を凹設して成る溝部240と、を備えている。
なお、軸筒部23、環状壁部24、ギヤ部25、補強リブ26、並びに凹部30については第1実施形態で説明したため説明を省略する。
第1円弧溝241は、径方向に延在しつつ、径方向内端から径方向外側に向うにつれて左回り方向に位置するように湾曲している。一方で、第2円弧溝242は、径方向に延在しつつ、径方向内端から径方向外側に向うにつれて右回り方向に位置するように湾曲している。また、第1円弧溝241と第2円弧溝242とは、周方向に交互に配置されている。
一方で、車両の後退時で左右のサイドギヤ20、20に差回転が生じているとき、左サイドギヤ21が左回転するため、第2円弧溝242に入り込んだ潤滑油が径方向外側に案内される(図6の矢印B5参照)。
以上から、車両の前進時に限らず、車両の後退時でも摺動部(環状壁部24の外周面24b)側に潤滑油が供給され、摺動部(環状壁部24の外周面24b)や、サイドギヤ20のギヤ部25とデフピニオンギヤ13との噛み合い箇所に潤滑油が常時供給される。
図7に示すように、サイドギヤ320は、軸筒部23と、環状壁部24と、ギヤ部25と、補強リブ26と、凹部30の内面を凹設して成る溝部340と、を備えている。
なお、軸筒部23、環状壁部24、ギヤ部25、補強リブ26、並びに凹部30については第1実施形態で説明したため説明を省略する。
なお、図7において、左巻き溝341と右巻き溝342とを見易くするため、左巻き溝341と右巻き溝342の範囲を複数の点(ドット)で塗っている。一方で、交差領域343の範囲には、複数の点(ドット)を塗らず白色となっている。
以上から、車両の前進時に限らず、車両の後退時で左右のサイドギヤ20、20に差回転が生じているときも、摺動部(環状壁部24の外周面24b)側に潤滑油が供給され、摺動部(環状壁部24の外周面24b)や、サイドギヤ20のギヤ部25とデフピニオンギヤ13との噛み合い箇所に潤滑油が常時供給される。
また、溝部の形状は、周方向に延在するとともに、周方向の一端側から他端側に向うにつれて径方向外側に位置していればよく、実施形態で渦巻き状、円弧状に限られず、例えば直線状であってもよい。
10 差動装置
11 デフケース
12 ピニオンシャフト
13 デフピニオンギヤ
14 デフケース本体
15 フランジ
16 左ボス部
17 右ボス部
20,120,220 サイドギヤ
21 左サイドギヤ
22 右サイドギヤ
23 軸筒部
23a 外周面
24 環状壁部
24a 左側面
24b 外周面
25 ギヤ部
26 補強リブ
27 ワッシャ
30 凹部
30c 開口
31 第1凹部
40,140,240 溝部
41 渦巻き溝
141 円弧溝
241 第1円弧溝
242 第2円弧溝
Claims (3)
- デフケース内に収容されてデフピニオンギヤと噛合する差動装置用のサイドギヤであって、
ドライブシャフトに外嵌される筒状の軸筒部と、
前記軸筒部の外周面から突出する環状の環状壁部と、
前記環状壁部から前記ドライブシャフトの軸線方向の一側に突出し、前記デフピニオンギヤと噛合するギヤ部と、
前記環状壁部の外周面から突出する補強リブと、
前記環状壁部の内部を肉抜きして成り、前記ドライブシャフトの軸線方向の他側に開口する凹部と、
前記凹部の内面を凹設して成る溝部と、
を備え、
前記環状壁部の外周面は、前記デフケースの内壁に摺接する摺動部を有し、
前記溝部は、周方向に延在するとともに、周方向の一端側から他端側に向うにつれて径方向外側に位置していることを特徴とする差動装置用のサイドギヤ。 - 前記溝部は、周方向の一端側から他端側に向うにつれて径方向外側に位置する第1溝部と、周方向の他端側から一端側に向うにつれて径方向外側に位置する第2溝部と、を備えていることを特徴とする請求項1に記載の差動装置用のサイドギヤ。
- 前記請求項1又は請求項2に記載の差動装置用のサイドギヤを備えたことを特徴とする差動装置。
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JP2019007938A JP7139021B2 (ja) | 2019-01-21 | 2019-01-21 | 差動装置用のサイドギヤ及び差動装置 |
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