JP7138465B2 - 筆記具用リフィールおよびこれを用いた筆記具 - Google Patents
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Description
そして、インク収容管には、成形の容易性とインク量の視認性を確保するために、透明もしくは半透明の樹脂素材、例えばポリプロピレンが用いられている。
そして、前記筆記チップのボール径をG〔mm〕、100mあたりのインク収容管の消費長さをL〔mm〕とした時、〔L/G2〕の値が、250未満であることにより、連続筆記によるインクの流出量(消費量)が大きい場合であっても、インク収容管内のインクの移動速度は適正に抑制されてインクが追従するので、筆跡が薄くなったり、筆記にカスレが生じにくい筆記性能を発揮することができ、最適な筆記が継続できるようにした筆記具用リフィールおよび筆記具を提供することが可能となる。
図1~図4は、ボールペンリフィールの第1の実施形態を示すものであり、樹脂素材により円筒状に形成されたインク収容管1の一端部(前端部)には、図1および図2に示すようにボールペンチップ2を装着した継手部材3が圧入されることで取り付けられている。そして、インク収容管1内にはインク4が収容され、インク4の後端部には、インクの消耗と共にインク面に接触して追従するグリース状またはゲル状のフォロア5が配設されている。なお図1および図2は、ボールペンチップ2がポリプロピレン等の合成樹脂等からなる筒状のキャップ6で覆われた状態を示している。なお、キャップ6は後述にて説明する熱変色性インクを摩擦熱によって容易に変色させることができる摩擦体としても使用することができる。
さらにはインク溶剤の透過性や水分の吸湿性に対して、一定の耐透過性、耐吸湿性を有しており、したがってインクの保管性に優れ、また筆記チップ2もしくは中継部材3が圧入される後述する圧入部において、その圧入の応力に耐え得るボールペンリフィールを提供することが可能となる。
また、筆記ボール7は、表面の算術平均高さSaが0.06μm以下とすることで、筆記ボール7の回転に伴うボールペンチップ2内部の摩耗を抑えることができる。表面の算術平均高さSaは、ISO25178に規定され、Taylor Hobson社製 Talysurf CCI Liteを用い、ボール表面の測定範囲50μm×50μm、測定倍率100倍、ガウシアンフィルタ25μmで測定した値である。
なお、ボールペンチップ2の後端部の一部は内向きにかしめられており、このかしめ部分により前記スプリング8の後端部を係止している。
この圧入部1aは、肉厚状になされた中央部に軸方向に沿って貫通して施された開口孔により構成されており、一方の肉厚状の圧入部1aを利用して継手部材3が圧入され、この継手部材3を介してボールペンチップ2が、インク収容管1の前端部に取り付けられている。
D(インク収容管外径):2.5~6.1mm、好ましくは2.9~3.2mm
t(収容管の肉厚) :0.25mm以上、好ましくは0.3~0.6mm
a(圧入部の肉厚) :0.5~0.7mm、好ましくは0.55~0.65mm
b(圧入部の長さ) :1~6mm、好ましくは2.5~4.5mm
c(圧入接触長) :1~6mm、好ましくは2.5~4.5mm
a×b(D-a) :1~12、好ましくは3~8、1未満は筆記チップとの十分な嵌合力が得られず、12以上は筆記チップの取り付けに必要な圧入力が大きくなり嵌合できない虞がある。
また、インク収容管1の前記圧入部1aを除いた部分の肉厚(t)については、これが0.6mmより大きい場合には、前記したインク収容管1の外径寸法(D)の望ましい範囲において、必要なインク貯留量が確保できないこと、および筆記速度が早い場合に、筆記にカスレが発生するという問題が生ずることから、前記した数値の範囲とすることが好ましい。
熱変色性インクは、以下のインク組成物とした。
熱変色性マイクロカプセル色材(平均粒子径2μm、青色):23重量%
アミン類(トリエタノールアミン):0.1%
増粘剤(キサンタンガム):0.3%
防錆剤(ベンゾトリアゾール):0.3%
防腐剤(ベンゾイソチアゾリン):0.3%
潤滑剤(リン酸エステル):0.3%
溶剤(グリセリン):10%
水(精製水):65.7%
また、筆記描線の濃さ及びカスレのA又はBは、次に示す基準にしたがうものとなる。〔L/G2〕が250未満であれは、筆記への影響は見られないことが検証されている。
B:筆記は可能だが描線が薄い(カスレの発生したサンプルもある)
A:快適に筆記可能
具体的には、6-(ジメチルアミノ)-3,3-ビス[4-(ジメチルアミノ)フェニル]-1(3H)-イソベンゾフラノン、3,3-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)-6-ジメチルアミノフタリド、3-(4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、3-(4-ジエチルアミノ-2-エトキシフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、1,3-ジメチル-6-ジエチルアミノフルオラン、2-クロロ-3-メチル-6-ジメチルアミノフルオラン、3-ジブチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-キシリジノフルオラン、2-(2-クロロアニリノ)-6-ジブチルアミノフルオラン、3,6-ジメトキシフルオラン、3,6-ジ-n-ブトキシフルオラン、1,2-ベンツ-6-ジエチルアミノフルオラン、1,2-ベンツ-6-ジブチルアミノフルオラン、1,2-ベンツ-6-エチルイソアミルアミノフルオラン、2-メチル-6-(N-p-トリル-N-エチルアミノ)フルオラン、2-(N-フェニル-N--メチルアミノ)-6-(N-p-トリル-N-エチルアミノ)フルオラン、2-(3’-トリフルオロメチルアニリノ)-6-ジエチルアミノフルオラン、3-クロロ-6-シクロヘキシルアミノフルオラン、2-メチル-6-シクロヘキシルアミノフルオラン、3-ジ(n-ブチル)アミノ-6-メトキシ-7-アニリノフルオラン、3,6-ビス(ジフェニルアミノ)フルオラン、メチル-3’,6’-ビスジフェニルアミノフルオラン、クロロ-3’,6’-ビスジフェニルアミノフルオラン、3-メトキシ-4-ドデコキシスチリノキノリン、などが挙げられ、これらは、少なくとも1種用いることができる。
これらのロイコ染料は、ラクトン骨格、ピリジン骨格、キナゾリン骨格、ビスキナゾリン骨格等を有するものであり、これらの骨格(環)が開環することで発色を発現するものである。
好ましくは、熱により有色から無色となるロイコ色素の使用が望ましい。
用いることができる顕色剤としては、具体的には、o-クレゾール、ターシャリーブチルカテコール、ノニルフェノール、n-オクチルフェノール、n-ドデシルフェノール、n-ステアリルフェノール、p-クロロフェノール、p-ブロモフェノール、o-フェニルフェノール、ヘキサフルオロビスフェノール、p-ヒドロキシ安息香酸n-ブチル、p-ヒドロキシ安息香酸n-オクチル、レゾルシン、没食子酸ドデシル、2,2-ビス(4'-ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4-ジヒドロキシジフェニルスルホン、1,1-ビス(4'-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2-ビス(4'-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、1-フェニル-1,1-ビス( 4'-ヒドロキシフェニル)エタン、1,1-ビス(4'-ヒドロキシフェニル)-3-メチルブタン、1,1-ビス(4'-ヒドロキシフェニル)-2-メチルプロパン、1,1-ビス(4'-ヒドロキシフェニル)n-ヘキサン、1,1-ビス(4'-ヒドロキシフェニル)n-ヘプタン、1,1-ビス(4'-ヒドロキシフェニル)n-オクタン、1,1-ビス(4'-ヒドロキシフェニル)n-ノナン、1,1-ビス(4'-ヒドロキシフェニル)n-デカン、1,1-ビス(4'-ヒドロキシフェニル)n-ドデカン、2,2-ビス(4'-ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2-ビス(4'-ヒドロキシフェニル)エチルプロピオネート、2,2-ビス(4'-ヒドロキシフェニル)-4-メチルペンタン、2,2-ビス(4'-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(4'-ヒドロキシフェニル)n-ヘプタン、2,2-ビス(4'-ヒドロキシフェニル)n-ノナンなどの少なくとも1種が挙げられる。
用いることができる変色温度調整剤は、従来公知のものが使用可能である。具体的には、アルコール類、エステル類、ケトン類、エーテル類、酸アミド類、アゾメチン類、脂肪酸類、炭化水素類などが挙げられる。
例えば、ビス(4-ヒドロキシフェニル)フェニルメタンジカプリレート(C7H15)、ビス(4-ヒドロキシフェニル)フェニルメタンジラウレート(C11H23)、ビス(4-ヒドロキシフェニル)フェニルメタンジミリステート(C13H27)、ビス(4-ヒドロキシフェニル)フェニルエタンジミリステート(C13H27)、ビス(4-ヒドロキシフェニル)フェニルメタンジパルミテート(C15H30)、ビス(4-ヒドロキシフェニル)フェニルメタンジベヘネート(C21H43)、ビス(4-ヒドロキシフェニル)フェニルエチルヘキシリデンジミリステート(C13H27)等の少なくとも1種が挙げられる。
この変色温度調整剤の使用量は、所望されるヒステリシス幅及び発色時の色彩濃度等に応じて適宜選択すればよく、特に限定されるものではないが、通常、ロイコ色素1質量部に対して、1~100質量部程度の範囲内で使用するのが好ましい。
マイクロカプセル化法としては、例えば、界面重合法、界面重縮合法、insitu重合法、液中硬化被覆法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライニング法などを挙げることができ、用途に応じて適宜選択することができる。
本発明に用いる熱変色性マイクロカプセル顔料は、上記ロイコ色素、顕色剤及び変色温度調整剤の種類、量などを好適に組み合わせることにより、各色の発色温度(例えば、0℃以上で発色)、消色温度(例えば、50℃以上で消色)を好適な温度に設定することができ、好ましくは、摩擦熱等の熱により有色から無色となる熱変色性マイクロカプセル顔料の使用が望ましい。
マイクロカプセル色材の壁膜の厚さは、必要とする壁膜の強度や描線濃度に応じて適宜決められる。
なお、壁膜がアミノ樹脂で形成するためには、各マイクロカプセル化法を用いる際に、好適なアミノ樹脂原料(メラミン樹脂、尿素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等)、並びに、分散剤、保護コロイドなどを選択する。
この平均粒子径が0.2μm未満であると、十分な描線濃度が得られず、一方、3μmを越えると、筆記性の劣化や熱変色性マイクロカプセル顔料の分散安定性の低下が発生し、好ましくない。
なお、上記平均粒子径の範囲(0.2~3μm)となるマイクロカプセル顔料は、マイクロカプセル化法により変動するが、水溶液からの相分離法などでは、マイクロカプセル顔料を製造する際の攪拌条件を好適に組み合わせることにより調製することができる。
上記で得た組成物27部の均一な熱溶液にカプセル膜剤として、イソシアネート10部及びポリオール10部を加えて攪拌混合した。次いで、保護コロイドとして12%ポリビニルアルコール水溶液60部を用いて、25℃で乳化して分散液を調製した。次いで、5%の多価アミン5部を用いて、80℃で60分間処理してマイクロカプセルを得た。
以上の手順により得たマイクロカプセル化した水分散体をスプレードライすることでパウダー状にして熱変色性マイクロカプセル顔料を製造した。
この第2の実施形態におけるインク収容管1も前記したプロピレンホモポリマーを含む樹脂素材により円筒状に形成されており、図7に拡大して示すようにインク収容管1の両端部には、内周面に向かって肉厚状になされ、軸方向に貫通する開口孔による圧入部1aがそれぞれ形成されている。
この当接部1bは、図7に示すようにボールペンチップ2を圧入した時、ボールペンチップ2の後端部が当接することで、ストッパーとしての位置決めの機能を果たすものとなる。したがって、インク収容管1の前記した構成によると、ボールペンチップ2の外周面に、インク収容管1の端部と当接する位置決め用の段部を形成する必要がない。
これにより、第1の実施形態と同様の作用効果を奏する筆記具用リフィールを提供することが可能となる。
前記継手部材3は、第1継手3aと第2継手3bによる二つの部材により構成されており、したがって前記第1継手3aは例えば樹脂素材により形成し、前記第2継手3bは金属素材により形成することができる。
したがって、この実施の形態におけるエッジ部13における前記したテーパ状の傾斜面13aと、前記した立下がり面13bとの交差角度θは、70度に設定されている。
すなわち、段状に外径を太くする第1円筒面14と、第2円筒面15は、前記したインク収容管1の接続部として機能することになる。
この場合、前記エッジ部13にはインク収容管1に向かってテーパ状の傾斜面13aが形成されているので、インク収容管1の可撓性を生かして、比較的容易にインク収容管1の前端部に継手部材3を装着することができる。
これにより、インク収容管1から筆記チップ2が脱落するのを確実に阻止することができる筆記具用リフィールを提供することができる。
また、第3の実施形態においては、第1継手3aと第2継手3bとが別部材により構成されているが、第1継手3aと第2継手3bとを一体にして継手部材3とした形態も採用することができる。
これにより、第1の実施形態と同様の作用効果を奏する筆記具用リフィールを提供することが可能となる。
この複式多色ボールペンは、前軸21および後軸22により外郭が構成されており、前記前軸21は、その先端部が円錐形状に縮径して、先端口23が開口されている。そして、前記先端口23よりボールペンリフィールの筆記チップ(ボールペンチップ)2が択一的に繰り出されるように構成されている。
また、前記内筒部材27の後端部は若干細径に形成されて、前記後軸22の後端部より突出しており、この内筒部材27の突出部分を覆うようにして、クリップ28を一体に形成したキャップ部材29が嵌合されて取り付けられている。
この結果、第1のスライダー25は前記したリターンスプリングの作用により後退し、第2のスライダー25の後端係止部25bが、内筒部材27に形成された係止面27aに係止され、先端口23から繰り出されるボールペンチップ2の交換を行うことができる。
これにより、筆記チップ2もしくは筆記チップを支持する中継部材3とインク収容管1との接続部分における結合が外れて、不用意にインクが漏れ出る問題を回避することができ、インク収容管1を軸筒側のスライダー25から確実に引き抜くことができる。また、キャップ部材29又は先端口23をエラストマー又はゴムで形成又はキャップ部材29の後端の端部又は先端口23の先端の端部にスチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー等のエラストマー又はゴムを装着することで簡便な熱変色性筆記具を用いることができる。
そこで、各筆記具用リフィールのインク収容管1として、外径と全長がそれぞれ同一に設定されたものを用いると共に、利用頻度が高い黒インクを収容するインク収容管の肉厚を薄く設定することで、黒インクの筆記距離を長く設定することができる。
なお、ここで述べる黒インクとは、ISO27668に準拠し、筆記角度60°、筆記力1N、速度4.5m/sの条件で紙面上に筆記した描線において、光の波長が380nm以上780nm以下の全領域において吸収があり、積分球型分光測色計の正反射光成分を含まない測色方式でD50光源環境を用いて測色し、CIE表色系において明度L*が25以下を示すものである。
すなわち、各色インクの利用頻度に応じて、インク収容管の肉厚を適宜設定することで、各色のボールペンリフィールの交換サイクル(インク切れの時期)を、合わせることが可能となる。この場合、各色のボールペンリフィールのうち、最も利用頻度の低い色のボールペンリフィール(例えば、赤色のリフィール)の筆記距離を“1”とした場合、最も利用頻度の高い前記した黒インクリフィールの筆記距離を1.5~2.5倍の範囲で異ならせることで、それぞれのボールペンリフィールのインク切れの時期をある程度合わせることが可能となる。
これにより、各色のボールペンリフィールのインクを多量に残すことなく、一度に無駄なくボールペンリフィールを交換することができる。
1a 圧入部
1b 当接部
1c 軸孔
2 筆記チップ(ボールペンチップ)
3 継手部材
3a 第1継手
3b 第2継手(継手受け座)
4 インク
5 フォロア
6 キャップ
7 筆記ボール
8 スプリング
9 逆流防止機構(逆流防止ボール)
11 縮径部
12 軸孔
13 エッジ部
13a テーパ状傾斜面
13b 立下がり面
14 第1円筒面
15 第2円筒面
16 鍔部
21 前軸
22 後軸
23 先端口
24 ガイドスリット
25 スライダー
27 内筒部材
28 クリップ
29 キャップ部材
Claims (2)
- 樹脂素材により直線状にして円筒状に形成されたインク収容管と、前記インク収容管の内部には熱変色性インクを収容し、前記インク収容管の端部に取り付けられた筆記チップとを備えた筆記具用リフィールであって、
前記筆記チップのボール径をG〔mm〕、100mあたりのインク収容管の消費長さをL〔mm〕とした時、〔L/G2〕の値が、250未満であると共に、前記インク収容管は、軸方向に沿って外周面がほぼ面一の円筒状とし、かつ端部には内周面に向かって肉厚状に形成され、その中央部に軸方向に貫通する開口孔が施された圧入部が形成されると共に、前記圧入部に前記筆記チップもしくは筆記チップを支持する中継部材が圧入されて取り付けられていることを特徴とする筆記具用リフィール。 - 請求項1に記載の筆記具用リフィールが軸筒内に収容された筆記具であって、
複数本の筆記具用リフィールが軸筒内に収容され、各筆記具用リフィールのインク収容管の外径と全長が同一に設定されると共に、黒インクのインク収容管の肉厚を他のインクと異ならせることで、黒インクの筆記具用リフィールの筆記距離を、他のインクの1.5~2.5倍の範囲に設定したことを特徴とする筆記具。
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