JP7138267B2 - 網目状立体構造の表面コート層を有する基材の製造法 - Google Patents
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Description
X2:オニウムカチオンとハロゲン原子含有アニオンからなる溶融塩、またはこれらの塩構造を有しかつ重合性官能基を有する溶融塩単量体、
X3:オニウムカチオンとハロゲン原子含有アニオンからなる塩構造を有し、かつ重合性官能基を有する溶融塩単量体の重合体または共重合体、
を含む高分子導電組成物を基材にコートし網目状立体構造の表面コート層を形成する方法において、下記工程を含む、網目状立体構造の表面コート層を有する基材の製造法を提供することによって達成される。
(1)前記高分子導電組成物の溶剤溶液を基材の片面または両面にコートする工程、
(2)コート層をミスト処理する工程、
(3)ミスト処理したコート層をスプレーおよび/または水槽により洗浄する工程、
(4)洗浄したコート層を乾燥する工程。
X2:オニウムカチオンとハロゲン原子含有アニオンからなる溶融塩、またはこれらの塩構造を有しかつ重合性官能基を有する溶融塩単量体、
X3:オニウムカチオンとハロゲン原子含有アニオンからなる塩構造を有し、かつ重合性官能基を有する溶融塩単量体の重合体または共重合体を含む高分子導電組成物を基材にコートし網目状立体構造の表面コート層を形成する方法において、高分子導電組成物を基材にコートする前に、プラズマ処理する工程を含み、かつ下記工程を含むことにより、より好適に網目状立体構造の表面コート層を有する基材を得ることができる。
(1)前記高分子導電組成物の溶剤溶液を基材に片面または両面にコートする工程、
(2)コート層をミスト処理する工程、
(4)洗浄したコート層を乾燥する工程。
したがって、まず、オニウムカチオンとハロゲン原子含有アニオンからなる塩構造を有し、かつ重合性官能基を有する溶融塩単量体をフッ素系重合体にグラフト重合して得た高分子導電組成物(X1)について述べる。
また、ポリフッ化ビニリデン共重合体としては、フッ化ビニリデンに
式:-(CR1R2-CFX)-
式中、Xは、フッ素以外のハロゲン原子であり、R1及びR2は、水素原子又はフッ素子であり、両者は同一であってもよいし異なっていてもよい、ここでハロゲン原子としては、塩素原子が最適であるが、臭素原子、ヨウ素原子も挙げられる、
で示される単位を有する共重合体が好適例として挙げられる。
式:-(CR3R4-CR5F)n-(CR1R2-CFX)m-
式中、Xは、フッ素以外のハロゲン原子であり、
R1、R2、R3、R4及びR5は、水素原子又はフッ素原子であり、これらは同一であってもよいし異なっていてもよく、
nは65~99モル%であり、
mは1~35モル%である、
で示される共重合体も挙げられ、特に、
式;-(CH2-CF2)n-(CF2-CFCl)m-
式中、nは65~99モル%であり、
mは1~35モル%である、
で示される共重合体が好適である。
前記フッ素系重合体は、ブロック重合体であっても、ランダム共重合体であってもよい。また、他の共重合し得る単量体を、本発明の目的が阻害されない範囲で使用することもできる。
前記フッ素系重合体の分子量は、重量平均分子量として30,000~2,000,000が好適であり、より好適には100,000~1,500,000である。ここで、重量平均分子量は、後述するとおり、固有粘度法[η]により測定される。
本発明で使用される原子移動ラジカル重合では、フッ化ビニリデン単量体とフッ素及びフッ素以外のハロゲン原子(例えば塩素原子)を含むビニル単量体との共重合体が好適に用いられる。幹ポリマーにフッ素原子とフッ素原子以外のハロゲン原子(例えば塩素原子)があることにより炭素-ハロゲン間の結合エネルギーが低くなるため、遷移金属によるフッ素以外のハロゲン原子(例えば塩素原子)の引き抜きが、さらには水素原子の引き抜きが、フッ素原子より容易に起こり、溶融塩単量体のグラフト重合が開始される。また本発明ではフッ化ビニリデン単量体の単独重合体も使用可能である。
グラフト重合させるために紫外線(光重合開始剤を使用)や電子線等の放射線を照射することもできる。電子線重合は、重合体自体の架橋反応や単量体の補強材料へのグラフト反応も期待でき、好ましい態様である。照射量は0.1~50Mradが好ましく、より好ましくは1~20Mradである。
ピロリウムカチオン、ピリジニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、ピラゾリウムカチオン、ベンズイミダゾリウムカチオン、インドリウムカチオン、カルバゾリウムカチオン、キノリニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ピペリジニウムカチオン、ピペラジニウムカチオン、アルキルアンモニウムカチオン{但し、炭素原子数1~30(たとえば炭素原子数1~10)のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基で置換されているものを含む}が挙げられる。いずれも、N及び/又は環に炭素原子数1~30(例えば、炭素原子数1~10)の、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基が結合しているものを含む。
ホスホニウムカチオンとしては、テトラアルキルホスホニウムカチオン(炭素原子数1~30のアルキル基)、トリメチルエチルホスホニウムカチオン、トリエチルメチルホスホニウムカチオン、テトラアミノホスホニウムカチオン、トリアルキルヘキサデシルホスホニウムカチオン(炭素原子数1~30のアルキル基)、トリフェニルベンジルホスホニウムカチオン、炭素原子数1~30のアルキル基を3個有するホスフィン誘導体のホスホニウムカチオン、ヘキシルトリメチルホスホニウムカチオン、トリメチルオクチルホスホニウムカチオンの非対称ホスホニウムカチオン、などが挙げられる。
また、スルホニウムカチオンとしては、トリアルキルスルホニウムカチオン(アルキル基)、ジエチルメチルスルホニウムカチオン、ジメチルプロピルスルホニウム、ジメチルヘキシルスルホニウムの非対称スルホニウムカチオンが挙げられる。
BF4 -、PF6 -、CnF2n+1CO2 -(nは、1~4の整数)、CnF2n+1SO3 -(nは、1~4の整数)、(FSO2)2N-、(CF3SO2)2N-、(C2F5SO2)2N-、(CF3SO2)3N-、CF3SO2-N-COCF3 -、R-SO2-N-SO2CF3 -(Rは、脂肪族基)、ArSO2-N-SO2CF3 -(Arは、芳香族基)、CF3COO-等のハロゲン原子を含むアニオンが例示される。
(B)フッ素原子含有アニオン種としては、特に好ましくは、ビス{(トリフルオロメタン)スルホニル}イミドアニオン、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン、2,2,2-トリフルオロ-N-{(トリフルオロメタン)スルホニル)}アセトイミドアニオン、ビス{(ペンタフルオロエタン)スルホニル}イミドアニオン、テトラフルオロボレートアニオン、ヘキサフロオロホスフェートアニオン、トリフルオロメタンスルホニルイミドアニオン等のアニオンを挙げることができる。
なお、ここで、高分子電解質組成物(X1)には、ビニレンカーボネート類、ビニレンアセテート、2-シアノフラン、2-チオフェンカルボニトリル、アクリロニトリル等のSEI(固体電解質界面相:Solid Electrolyte Interphase)膜形成素材あるいは溶剤等を含む単量体組成物を包含する。
ここで、オニウムカチオンとハロゲン原子含有アニオンからなる溶融塩としては、前記したアンモニウムカチオン群とハロゲン原子含有アニオン群から構成される溶融塩、たとえば2つの窒素でカチオンを共有する環状共役系イオン液体、アルキルアンモニウムやホスホニウムを含む非環状脂肪族系イオン液体、4級アンモニウムを含む環状脂肪族系イオン液体、ピロリジニウムカチオンの各種イオン液体などが挙げられる。さらに具体的には、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(フルオロメタンスルホニル)イミド}(EMI・FSI)、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド}(EMI・TFSI)、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムビス(フルオロメタンスルホニル)イミド}(BMI・FSI)などが好適なものとして挙げられる。また、オニウムカチオンとハロゲン原子含有アニオンからなる塩構造を有しかつ重合性官能基を有する溶融塩単量体とは前記したグラフト重合に使用される溶融塩単量体が挙げられる。
また、溶融塩単量体の重合体または共重合体としては、前記溶融塩単量体のホモポリマーが好適例として挙げられる。これらのホモポリマーのうち、1-アルキル-3-ビニルイミダゾリウムカチオン(AVI)、4-ビニル-1-アルキルピリジニウムカチオン、1-(4-ビニルベンジル)-3-アルキルイミダゾリウムカチオン、1-(ビニルオキシエチル)-3-アルキルイミダゾリウムカチオン、1-ビニルイミダゾリウムカチオン、4級ジアリルジアルキルアンモニウムカチオン(DAA)、2-(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウム(MOETMA)}カチオン、ジアルキル(アミノアルキル)アクリルアミド、ジアルキル(アミノアルキル)アクリレート、ヒドロキシアルキルメタアクリレートのホモポリマー、またはこれらの単量体の2種以上の共重合体が挙げられるが、ホモポリマーが好適である。また前記溶融塩単量体と他の共単量体との共重合体が挙げられる。またこれらの溶融塩単量体の重合体または共重合体(X3)には、溶融塩単量体以外の単量体を本発明の目的が阻害されない範囲で使用することもできる。
電荷移動イオン源としては、LiBF4、CnF2n+1CO2Li(nは1~4の整数)、CnF2n+1SO3Li(nは1~4の整数)、(FSO2)2NLi、(CF3SO2)2NLi、(C2F5SO2)2NLi、(FSO2)2CLi、(CF3SO2)3CLi、(CF3SO2-N-COCF3)Li、
(R-SO2-N-SO2CF3)Li(Rはアルキル基などの脂肪族基または芳香族基)からなる群から選ばれたリチウム塩などが挙げられる。さらにリチウム塩以外のものとしては、一般的には酸化インジウムスズ(ITO)、炭酸塩などの電荷移動イオン源も挙げられる。一般工業用用途では、カーボンを配合することによって電子伝導性を付与した導電材とすることも可能である。
Et4-N+BF4 -、Et3Me-N+BF4 -
Et4-N+PF6 -、Et3Me-N+PF6 -等。
上記電荷移動イオン源は、2種以上を配合することも出来る。
上記電荷移動イオン源の配合量は高分子電解質組成物(X1)に対して0.5~2モル、好適には0.7~1.5モルである。
電荷移動イオン源の対イオンであるテトラアルキレングリコールジアルキルエーテル(TAGDAE)のアルキレンとしては、メチレン、エチレン、プロピレンなどの炭素数1~10のアルキレン、アルキルとしてはメチル、エチル、プロピルなどの炭素数1~10のアルキルが挙げられる。これらの中でテトラエチレングリコールジメチルエーテル(TEGDME)が最適である。TAGDAEの電荷移動イオン源に対する配合割合は0.2~2.0モル、好適には0.4~1.5モルである。
基材の素材としては、樹脂(合成樹脂、天然樹脂)、無機物、木材が挙げられる。ここで樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリハロゲン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ジエン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンサルファイド、ポリイミド系樹脂、珪素系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、アミノ系樹脂、天然系樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂が挙げられる。
無機物としては、鉄、鋼、アルミニウム、ニッケルなどの各種金属、金属酸化物などの金属化合物が挙げられる。
これらの素材のうち、本発明では樹脂が好適に使用される。
まず、(1)前記高分子導電組成物の溶剤溶液を基材の片面または両面にコートする。コートする方法としては、基材をロール間に通過させロールでコートする方法が好適であるが、カンマコート、ダイコート、浸漬コート、吹付けコート、圧着コート、金平糖厚塗りコート方法なども適用できる。特に、繊維基材にはポリビニルアルコール(PVA)組成物を配合して表面コートする方法が適用できる。連続式或いはバッチ式製法のいずれでも適用できる。
高分子導電組成物の溶剤溶液の溶剤が水である場合は、ミストとして有機溶剤(DMSO、N-メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、アセトンなど)が使用される。
このようなミスト処理をすることにより高分子導電組成物中の溶剤が除去され、網目立体構造の表面コート層を形成することができる。ここで網目状立体構造とは孔が網目状に存在し立体構造化している構造を意味する。網目は大きさ、形が均一な孔であってもよいし不均一な孔であってもよい。また網目状の孔は表面コート層内で貫通していてもよいし不貫通であってもよい。
次に、(4)洗浄したコート層を乾燥する。乾燥は熱風乾燥することが好適である。熱風乾燥の温度は30~80℃が好適であり、40~60℃が最適である。また熱風乾燥時間は1~10分が好適であり、3~7分が最適である。
次に、(5)洗浄後の廃液をイオン性液体に入れ、廃液中の高分子導電組成物および溶剤を分離する。イオン性液体は有機溶剤および水を選択的に吸収するため、高分子導電組成物と有機溶剤・水とを効率的に分離することができ、高分子導電組成物と有機溶剤を回収利用できる。
ここで使用されるイオン液体としては、前記したX2に相当するオニウムカチオンとハロゲン原子含有アニオンからなる溶融塩、さらにはこれらの塩構造を有しかつ重合性官能基を有する溶融塩単量体が挙げられる。
高分子導電組成物を基材にコートし網目立体構造の表面コート層を形成する方法において、高分子導電組成物を基材にコートする前に、プラズマ処理する工程を含む方法である。この方法によれば、下記の工程を含むことにより、網目状立体構造の表面コート層を有する基材を得ることができる。
(1)前記高分子導電組成物の溶剤溶液を基材に片面または両面にコートする工程、
(2)コート層をミスト処理する工程、
(4)洗浄したコート層を乾燥する工程。
すなわち、この方法によれば、前記方法のミスト処理したコート層をスプレーおよび/または水槽により洗浄する工程(3)を省略することができるという利点がある。
ここで、プラズマ処理とは、真空環境の中で表面グロー処理を直流(DC)パワー30~200Wで行うことが好適であり、40~100Wが最適である。処理時間は、30秒~3分が好適であり、1~2分が最適である。基材の全表面をプラズマ処理することが好適である。
さらに本発明の方法により、たとえばリチウムイオン電池(LIB)用多孔質基材に導電性高分子組成物(電解性高分子組成物)をコートし、内部まで深く含浸させた後に、LIBセル製作後にセルをさらに硬化させてポリマー固体電解質を形成させることもでき、この処法はツーショット固体電解質成形法と名付けている。また正負極板に高分子導電性組成物を薄膜コートすることで、レート特性やサイクル特性を改善できる。さらにはこれらの処法を組み合わせることにより、安全で安心な信頼のおける固体電解質系LIBの開発も可能となる。又、上記の導電性高分子組成物に同類の多官能機能を保有させた組成物を混合して複合物質を形成し,リチウムイオン電池製作工程では電解液として含浸して配備し、充放電開始による養生としての化成処理段階で50℃までの自己発熱による電池セル内での効果を促進して固体電解質を形成して固体電解質系LIBの開発も可能となり、この処方はワンショット固体電解質成形法と名付けている。
次に実施例によりさらに本発明を説明する。
フッ化ビニリデン(PVdF)-トリフルオロクロロエチレン(CTFE)共重合体として-(CH2-CF2)n-(CF2-CFCl)m-{nは96モル%、mは4モル%、呉羽化学工業社製、商品名#7500、固有粘度〔η〕=2.55(オストワルド粘度計使用、溶媒DMAC、測定温度25℃)〔η〕から推算分子量120万}を使用して、これに溶融塩単量体を下記の条件により、グラフト重合した。
1L三口フラスコに凝縮機、攪拌装置及び滴下装置をつけ、PVdF-CTFE共重合体#7500 6gとN-メチルピロリドン(NMP)80gを加えて、を油浴中で80℃に加温、撹拌溶解した。次いでアルゴンガスで雰囲気を十分置換したのち、溶融塩単量体{化合物名トリメチルアミノエチルメタクリレートビス(トリフルオロメタン)スルホニル}イミド(TMAEMA・TFSI)}と、あらかじめ20gのNMPに溶解したN,N,N’,N’-テトラキス(2-ピリジルメチル)エチレンジアミン(TPEN)0.46gとCuCl 0.08gを加えた。更にアルゴンで置換して90℃に昇温し23時間反応させた。反応後40℃まで冷却しアセトンで希釈して、50%メタノール水溶液中に攪拌しながら注入して析出させた。反応生成物は更にメタノール溶液で洗浄したのち乾燥して、粗製重合体を得た。
次いで粗製重合体を粉砕してアセトン40%、メタノール60%の混合溶剤を加えて攪拌した。グラフトしていないイオン性液体重合体及び未反応溶融塩単量体は溶解し、グラフト重合体は膨潤し沈降するので、遠心分離器で分離した。この抽出操作を繰り返してグラフト重合体1を得た。更に30℃、真空乾燥機で乾燥して収量を測定、また赤外スペクトルを測定しグラフト化率(モル%)を算出したところ。71.7モル%を示した。
注1)グラフト化率(モル%)
PVdF-CTFE共重合体とグラフト重合体の配合割合を変えて、赤外スペクトルを測定して検量線を作成し、この検量線を用いて、試料のグラフト重合体のグラフト化率(モル%)を求めた。
前記のグラフト重合体1{高分子導電組成物(X1)}を溶剤(N-メチルピロリドンとアセトンの重量比1:1)に混合して30重量%固形分の高分子導電組成物(CP)の溶剤溶液を得た。
図1に示す工程(コート工程-ミスト処理工程-スプレーおよび洗浄工程-乾燥工程を一室に設けた装置)により、高分子導電組成物の溶剤溶液を樹脂シート(ポリエチレン多孔シート)の片面にロールコートし、縦型のミスト処理室にて水蒸気ミスト(温度40℃、時間3分)で処理し、次に水スプレーし、水槽処理(温度20℃。時間2分)し、次に熱風乾燥(温度60℃、時間5分)し、巻き取り、網目状立体構造の貫通した孔を有する表面コート層を有する基材を得た。
また装置外に設けられた廃液処理装置を用いて、廃液をイオン液体{1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド}(EMI・TFSI)に入れ、廃液中の有機溶剤と水をイオン液体に吸収させ、廃液中の高分子導電組成物と有機溶剤・水とを分離した。
実施例1において、樹脂シート(ポリエチレン多孔シート)の代わりに、表面をプラズマ処理(真空条件でのDCグロー処理:60W、1分)した樹脂シート(ポリエチレンシート)を使用し、水槽処理する工程を省いた以外は、実施例1と同様にして、網目状立体構造の表面コート層を有する基材を得、さらに廃液も処理して、廃液中の高分子導電組成物と有機溶剤・水とを分離した。
実施例1において、高分子導電組成物(CP)の溶剤溶液を製作した後、10重量%Li1.5Al0.5Ge1.5P3O12固体電解質素材をホモジナイザーにて分散配合溶液を得た以外は、実施例1と同様にして、網目状立体構造の表面コート層を有する基材を得、さらに廃液も処理して、廃液中の高分子導電組成物と有機溶剤・水とを分離した。
実施例1において、高分子導電組成物(CP)の溶剤溶液を製作した後、15重量%Li7La3Zr2O12固体電解質素材をホモジナイザーにて分散配合溶液を得た以外は、実施例1と同様にして、網目状立体構造の表面コート層を有する基材を得、さらに廃液も処理して、廃液中の高分子導電組成物と有機溶剤・水とを分離した。
実施例1~4で得られた網目立体構造の貫通した孔を有する表面コート層を有する樹脂シートの導電性、導電耐久性を測定したところ、下記の値を示した。またこれらの樹脂シートは溶剤含浸性に極めて優れていた。
実施例1 導電性(率) 1.00-2~1.00-3 S/cm
体積固有抵抗値 10-5~10-8 Ω・cm
導電耐久性 変化なし(半永久)
実施例2 導電性(率) 1.00-2~1.00-3 S/cm
体積固有抵抗値 10-6~10-9 Ω・cm
導電耐久性 変化なし(半永久)
実施例3 導電性(率) 1.00-2~1.00-3 S/cm
体積固有抵抗値 10-4~10-6 Ω・cm
導電耐久性 変化なし(半永久)
実施例4 導電性(率) 1.00-2~1.00-3 S/cm
体積固有抵抗値 10-3~10-5 Ω・cm
導電耐久性 変化なし(半永久)
注1) 導電性(率):S/cm(単位cm当たりのジーメンス)、電極面積0.95cm2の白金電極間に試料を挟み、20℃、65%RHで、交流インピーダンス法(0.1V、周波数1Hz~10MHz)により膜抵抗を測定し、膜導電性能を算出した。
注2) 導電耐久性:40℃-RH50%の条件下に6ケ月放置後の導電性を測定。
得られた網目状立体構造の貫通した孔を有する表面コート層を有する樹脂シートをリチウムイオン二次電池用セパレーターに使用したところ、導電性、導電耐久性など二次電池用として優れた特性を有していた。
実施例1において、X1の代わりに、X1(90重量%)とX2(10重量%)を使用した以外は、実施例1と同様にして網目状立体構造の貫通した孔を有する表面コート層を有する基材を得た。ここでX2としては溶融塩単量体{2-(メタクリロイロキシ)エチルトリメチルアンモニウムビス(フルオロスルホニル)イミド)}(MOETMA-FSI)を使用した。
実施例1において、X1の代わりに、X1(50重量%)とX3(50重量%)を使用した以外は、実施例1と同様にして網目状立体構造の貫通した孔を有する表面コート層を有する基材を得た。ここでX3としては溶融塩単量体{2-(メタクリロイロキシ)エチルトリメチルアンモニウムビス(フルオロスルホニル)イミド)}(MOETMA-FSI)のホモポリマーを使用した。
(2)・・網目状立体構造形成のためのミスト処理工程
(3)・・ノズルによるスプレー工程、水没槽による洗浄工程
(4)・・熱風乾燥槽による乾燥工程
(5)・・イオン液体による廃液処理工程
Claims (5)
- オニウムカチオンとフッ素原子含有アニオンからなる塩構造を有し、かつ重合性官能基を有する溶融塩単量体をフッ素系重合体にグラフト重合して得た高分子導電組成物(X1)またはX1と下記の(X2)~(X3)から選ばれる少なくとも1種の物質、
X2:オニウムカチオンとハロゲン原子含有アニオンからなる溶融塩、またはこれらの塩構造を有しかつ重合性官能基を有する溶融塩単量体、
X3:オニウムカチオンとハロゲン原子含有アニオンからなる溶融塩構造を有し、かつ重合性官能基を有する溶融塩単量体の重合体または共重合体、
を含む高分子導電組成物を基材にコートし網目状立体構造の表面コート層を形成する方法において、下記工程を含む、網目状立体構造の表面コート層を有する基材の製造法。
(1)前記高分子導電組成物の溶剤溶液を基材の片面または両面にコートする工程、
(2)コート層を30~60℃、30秒~5分水蒸気ミスト処理する工程、
(3)水蒸気ミスト処理したコート層を10~40℃、30秒~10分スプレイおよび/または水槽により洗浄する工程、
(4)洗浄したコート層を30~80℃、1~10分乾燥する工程。 - 処理後の廃液をイオン性液体に入れ、廃液中の高分子導電組成物および溶剤を分離回収する工程(5)を含む、請求項1記載の網目状立体構造の表面コート層を有する基材の製造法。
- 基材は、素材が樹脂、無機物、木材であり、形状がフイルム、シート、板、多孔質基材、繊維、紙、不織布、粒子、チップ、球状体、異形体の各種立体構造物である、請求項1~2のいずれかに記載の網目状立体構造の表面コート層を有する基材の製造法。
- 基材の素材が、ポリオレフィン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ハロゲン系樹脂、ジエン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、シリコーン樹脂、熱硬化性樹脂(尿素系、フェノール系、メラミン系、不飽和ポリエステル系、エポキシ系)から選ばれる少なくとも一種の樹脂である、請求項1~3のいずれかに記載の網目状立体構造の表面コート層を有する基材の製造法。
- 基材が、リチウムイオン二次電池用多孔質セパレータである、請求項1~4のいずれかに記載の網目状立体構造の表面コート層を有する基材の製造法。
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