JP7138267B2 - 網目状立体構造の表面コート層を有する基材の製造法 - Google Patents

網目状立体構造の表面コート層を有する基材の製造法 Download PDF

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Description

本発明は、網目状立体構造の表面コート層を有する基材の製造法に関するもので、得られる網目状立体構造の表面コート層を有する基材は、優れた導電性を有しているので、導電性の要求される各種用途、とくにリチウムイオン二次電池用のセパレーターとして有用である。さらに、各種樹脂素材や天然素材に網目状立体構造の表面コートを付与することによって、工業用や家庭用において使用される導電性の要求させる用途に、幅広く使用される。
導電性に優れた高分子電解質組成物は種々知られている。例えば、4級アンモニウムカチオンとハロゲン原子含有アニオンからなる4級アンモニウム塩構造と重合性官能基を持っている溶融塩単量体、および電荷移動イオン源を含んでいる単量体組成物を、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素系重合体の存在下でグラフト重合することにより製造された複合高分子電解質組成物が開発されている(特許文献1~2)。また非特許文献1はポリアニリン等導電ポリマーが記載されている。特許文献1~2にはリチウムイオン二次電池用セパレーターに高分子電解質組成物をコートすることは記載されているが、コート後の処理により網目状立体構造の表面コート層を形成することについては記載されていない。さらに、樹脂フィルム、シートなどの基材の表面コート層を形成する場合に網目状立体構造を形成して基材の特性を活かしながら導電性を付与することについて記載されていない。
國際公開WO2004/088671 国際公開WO2010/113971
文献
2014年6月9日発行「導電性ポリマー材の高機能化と用途開発最前線」(NTN出版)
本発明は、導電性および導電耐久性に優れた、網目状立体構造の表面コート層を有する基材、とくにリチウムイオン二次電池用多孔質セパレーターや一般に幅広く使用されている樹脂フィルム、各種素材シートへの表面コート層の製造法を提供することを目的とする。
上記目的は、オニウムカチオンとハロゲン原子含有アニオンからなる塩構造を有し、かつ重合性官能基を有する溶融塩単量体をフッ素系重合体にグラフト重合して得た高分子導電組成物(X)またはXと下記の(X)~(X)から選ばれる少なくとも1種の物質、
:オニウムカチオンとハロゲン原子含有アニオンからなる溶融塩、またはこれらの塩構造を有しかつ重合性官能基を有する溶融塩単量体、
:オニウムカチオンとハロゲン原子含有アニオンからなる塩構造を有し、かつ重合性官能基を有する溶融塩単量体の重合体または共重合体、
を含む高分子導電組成物を基材にコートし網目状立体構造の表面コート層を形成する方法において、下記工程を含む、網目状立体構造の表面コート層を有する基材の製造法を提供することによって達成される。
(1)前記高分子導電組成物の溶剤溶液を基材の片面または両面にコートする工程、
(2)コート層をミスト処理する工程、
(3)ミスト処理したコート層をスプレーおよび/または水槽により洗浄する工程、
(4)洗浄したコート層を乾燥する工程。
上記目的は、上記発明において、洗浄後の廃液をイオン性液体に入れ、廃液中の高分子導電組成物および溶剤を分離する工程(5)を含むことにより、より好適に達成される。
さらに、上記目的は、オニウムカチオンとハロゲン原子含有アニオンからなる塩構造を有し、かつ重合性官能基を有する溶融塩単量体をフッ素系重合体にグラフト重合して得た高分子導電組成物(X)またはXと下記の(X)~(X)から選ばれる少なくとも1種の物質
:オニウムカチオンとハロゲン原子含有アニオンからなる溶融塩、またはこれらの塩構造を有しかつ重合性官能基を有する溶融塩単量体、
:オニウムカチオンとハロゲン原子含有アニオンからなる塩構造を有し、かつ重合性官能基を有する溶融塩単量体の重合体または共重合体を含む高分子導電組成物を基材にコートし網目状立体構造の表面コート層を形成する方法において、高分子導電組成物を基材にコートする前に、プラズマ処理する工程を含み、かつ下記工程を含むことにより、より好適に網目状立体構造の表面コート層を有する基材を得ることができる。
(1)前記高分子導電組成物の溶剤溶液を基材に片面または両面にコートする工程、
(2)コート層をミスト処理する工程、
(4)洗浄したコート層を乾燥する工程。
本発明により、後述する実施例からも明らかなように、導電性、とくに導電耐久性に優れた、しかも強度に優れた、さらに溶剤含浸性に優れた網目状立体構造の表面コート層を有する基材を得ることが出来る。得られた基材は、導電素材として有用である。またこの表面コート層または基材にLiLaZr12などのLIZ系素材やLi1.5Al0.5Ge1.512などの固体電解質を配合して導電率を向上させることもでき、或いは各種導電材を配合することに拠ってイオン導電だけで無く電子伝導の機能を同時に発揮する基材を得ることも出来る。
は、本発明の製造工程を示す。
本発明の製造法においては、上記した特定の高分子導電組成物を基材にコートすることと、上記した特定の基材の処理方法が組み合わされて、本発明の効果が発現する。
したがって、まず、オニウムカチオンとハロゲン原子含有アニオンからなる塩構造を有し、かつ重合性官能基を有する溶融塩単量体をフッ素系重合体にグラフト重合して得た高分子導電組成物(X)について述べる。
グラフト重合に使用されるフッ素系重合体としては、ポリフッ化ビニリデン重合体または共重合体が好適例として挙げられる
また、ポリフッ化ビニリデン共重合体としては、フッ化ビニリデンに
式:-(CR-CFX)-
式中、Xは、フッ素以外のハロゲン原子であり、R及びRは、水素原子又はフッ素子であり、両者は同一であってもよいし異なっていてもよい、ここでハロゲン原子としては、塩素原子が最適であるが、臭素原子、ヨウ素原子も挙げられる、
で示される単位を有する共重合体が好適例として挙げられる。
また、フッ素系重合体としては、
式:-(CR-CRF)-(CR-CFX)
式中、Xは、フッ素以外のハロゲン原子であり、
、R、R、R及びRは、水素原子又はフッ素原子であり、これらは同一であってもよいし異なっていてもよく、
nは65~99モル%であり、
mは1~35モル%である、
で示される共重合体も挙げられ、特に、
式;-(CH-CF-(CF-CFCl)
式中、nは65~99モル%であり、
mは1~35モル%である、
で示される共重合体が好適である。
nとmの合計を100モル%とした場合、nは65~99モル%、mは1~35モル%であることが好適であり、より好適にはnは67~97モル%、mは3~33モル%であり、最適にはnは70~90モル%、mは10~30モル%である。
前記フッ素系重合体は、ブロック重合体であっても、ランダム共重合体であってもよい。また、他の共重合し得る単量体を、本発明の目的が阻害されない範囲で使用することもできる。
前記フッ素系重合体の分子量は、重量平均分子量として30,000~2,000,000が好適であり、より好適には100,000~1,500,000である。ここで、重量平均分子量は、後述するとおり、固有粘度法[η]により測定される。
前記フッ素系重合体に溶融塩単量体をグラフト重合するには、遷移金属錯体を用いる原子移動ラジカル重合法を適用することができる。この錯体に配位している遷移金属が前記共重合体のフッ素以外のハロゲン原子(例えば、塩素原子)、さらには水素原子も引き抜きぬいて開始点となり、溶融塩単量体が前記重合体にグラフト重合する。
本発明で使用される原子移動ラジカル重合では、フッ化ビニリデン単量体とフッ素及びフッ素以外のハロゲン原子(例えば塩素原子)を含むビニル単量体との共重合体が好適に用いられる。幹ポリマーにフッ素原子とフッ素原子以外のハロゲン原子(例えば塩素原子)があることにより炭素-ハロゲン間の結合エネルギーが低くなるため、遷移金属によるフッ素以外のハロゲン原子(例えば塩素原子)の引き抜きが、さらには水素原子の引き抜きが、フッ素原子より容易に起こり、溶融塩単量体のグラフト重合が開始される。また本発明ではフッ化ビニリデン単量体の単独重合体も使用可能である。
原子移動ラジカル重合で使用される触媒は遷移金属ハロゲン化物が用いられ、特に塩化銅(I)、アセチルアセトナート銅(II)、CuBr(I)、CuI(I)等の銅原子を含む銅触媒が好適に用いられる。また錯体を形成するリガンドとしては4,4’-ジアルキル-2,2’-ビピリジル(bpyなど)(ここでアルキルとしては、好適にはメチル、エチル、プロピル、ブチルなどのC~Cのアルキルが挙げられる)、トリス(ジメチルアミノエチル)アミン(Me-TREN)、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)、N,N,N’,N’-テトラキス(2-ピリジルメチル)エチレンジアミン(TPEN)、トリス(2-ピリジルメチル)アミン(TPMA)等が使用される。中でも、塩化銅(I)(CuCl)と4,4’-ジメチル-2,2’-ビピリジル(bpy)とで形成される遷移金属ハロゲン化錯体を好適に使用することができる。
反応溶媒としては、フッ素系重合体を溶解可能な溶媒を使用することができ、フッ化ビニリデン単量体とフッ素及びフッ素以外のハロゲン原子(例えば塩素原子)を含むビニル単量体との共重合体を溶解するN-メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、アセトン、アセトニトリル等を用いることができる。反応温度は使用する錯体のリガンドによって異なるが、通常、10~110℃の範囲である。
グラフト重合させるために紫外線(光重合開始剤を使用)や電子線等の放射線を照射することもできる。電子線重合は、重合体自体の架橋反応や単量体の補強材料へのグラフト反応も期待でき、好ましい態様である。照射量は0.1~50Mradが好ましく、より好ましくは1~20Mradである。
重合体を構成するモノマー単位を98~10モル%と溶融塩単量体を2~90モル%のモル比の範囲になるように、すなわちグラフト化率が2~90モル%になるように、目標とする可塑物性、pH安定性に合わせてグラフト重合する。溶融塩単量体を前記重合体にグラフト重合する場合、前記重合体は溶液、固体、のいずれであってもよい。これらのグラフト重合体は前記した本件出願人の先行特許WO2010/113971に記載の方法により得られる。
本発明において、オニウムカチオンとハロゲン原子含有アニオンからなる塩構造を有し、かつ重合性官能基を含む溶融塩単量体の塩構造とは、脂肪族、脂環族、芳香族又は複素環のオニウムカチオンとハロゲン原子含有アニオンからなる塩構造を包含する。ここでオニウムカチオンとは、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、スルホニウムカチオン、オキソニウムカチオン、グアニジウムカチオン、を意味し、アンモニウムカチオンとしては、アルキルアンモニウムカチオン、イミダゾリウム、ピリジニウム、ピペリジニウムなどの複素環アンモニウムカチオンなどが挙げられる。下記アンモニウムカチオン群から選ばれた少なくとも1つのカチオンと下記アニオン群から選ばれた少なくとも1つのアニオンからなる塩構造が好適である。
アンモニウムカチオン群:
ピロリウムカチオン、ピリジニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、ピラゾリウムカチオン、ベンズイミダゾリウムカチオン、インドリウムカチオン、カルバゾリウムカチオン、キノリニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ピペリジニウムカチオン、ピペラジニウムカチオン、アルキルアンモニウムカチオン{但し、炭素原子数1~30(たとえば炭素原子数1~10)のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基で置換されているものを含む}が挙げられる。いずれも、N及び/又は環に炭素原子数1~30(例えば、炭素原子数1~10)の、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基が結合しているものを含む。
ホスホニウムカチオンとしては、テトラアルキルホスホニウムカチオン(炭素原子数1~30のアルキル基)、トリメチルエチルホスホニウムカチオン、トリエチルメチルホスホニウムカチオン、テトラアミノホスホニウムカチオン、トリアルキルヘキサデシルホスホニウムカチオン(炭素原子数1~30のアルキル基)、トリフェニルベンジルホスホニウムカチオン、炭素原子数1~30のアルキル基を3個有するホスフィン誘導体のホスホニウムカチオン、ヘキシルトリメチルホスホニウムカチオン、トリメチルオクチルホスホニウムカチオンの非対称ホスホニウムカチオン、などが挙げられる。
また、スルホニウムカチオンとしては、トリアルキルスルホニウムカチオン(アルキル基)、ジエチルメチルスルホニウムカチオン、ジメチルプロピルスルホニウム、ジメチルヘキシルスルホニウムの非対称スルホニウムカチオンが挙げられる。
フッ素原子含有アニオン群:
BF 、PF 、C2n+1CO (nは、1~4の整数)、C2n+1SO (nは、1~4の整数)、(FSO、(CFSO、(CSO、(CFSO、CFSO-N-COCF 、R-SO-N-SOCF (Rは、脂肪族基)、ArSO-N-SOCF (Arは、芳香族基)、CFCOO等のハロゲン原子を含むアニオンが例示される。
前記オニウムカチオン、とくにアンモニウムカチオン群及びフッ素原子含有アニオン群に挙げられた種は、耐熱性、耐還元性又は耐酸化性に優れ、電気化学窓が広くとれ、電圧領域を0.7から5.5Vまでの高低電圧に耐性のリチウムイオン二次電池や-45℃まで低温特性に優れたリチウムイオンキャパシタへ好適に用いられるだけでなく、汎用用途での塗料、接着剤、粘着剤、表面コート剤、練り込み添加剤として不導体樹脂へ温度特性に優れた機能性静電防止性能を付与することが出来る。また、樹脂との混合処方で樹脂や添加剤の分散性能や平滑性能にも効果がある。
単量体における重合性官能基としては、ビニル基、アクリル基、メタクリル基、アクリルアミド基、アリル基等の炭素-炭素不飽和基、エポキシ基、オキセタン基等を有する環状エーテル類、テトラヒドロチオフェン等の環状スルフィド類やイソシアネート基等を例示できる。
(A)重合性官能基を有するオニウムカチオン、とくにアンモニウムカチオン種としては、特に好ましくは、トリアルキルアミノエチルメタクリレートアンモニウムカチオン、トリアルキルアミノエチルアクリレートアンモニウムカチオン、トリアルキルアミノプロピルアクリルアミドアンモニウムカチオン、1-アルキル-3-ビニルイミダゾリウムカチオン、4-ビニル-1-アルキルピリジニウムカチオン、1-(4-ビニルベンジル)-3-アルキルイミダゾリウムカチオン、2-(メタクリロイルオキシ)ジアルキルアンモニウムカチオン、1-(ビニルオキシエチル)-3-アルキルイミダゾリウムカチオン、1-ビニルイミダゾリウムカチオン、1-アリルイミダゾリウムカチオン、N-アルキル-N-アリルアンモニウムカチオン、1-ビニル-3-アルキルイミダゾリウムカチオン、1-グリシジル-3-アルキル-イミダゾリウムカチオン、N-アリル-N-アルキルピロリジニウムカチオン、及び4級ジアリルジアルキルアンモニウムカチオン等を挙げることができる。但し、アルキルは炭素原子数1~10のアルキル基である。
(B)フッ素原子含有アニオン種としては、特に好ましくは、ビス{(トリフルオロメタン)スルホニル}イミドアニオン、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン、2,2,2-トリフルオロ-N-{(トリフルオロメタン)スルホニル)}アセトイミドアニオン、ビス{(ペンタフルオロエタン)スルホニル}イミドアニオン、テトラフルオロボレートアニオン、ヘキサフロオロホスフェートアニオン、トリフルオロメタンスルホニルイミドアニオン等のアニオンを挙げることができる。
更に、溶融塩単量体(前記カチオン種とアニオン種との塩)としては、特に好ましくは、トリアルキルアミノエチルメタクリレートアンモニウム(但し、アルキルはC~C10アルキル)ビス(フルオロスルホニル)イミド(但し、アルキルはC~C10アルキル)、2-(メタアクリロイルオキシ)ジアルキルアンモニウムビス(フルオロスルホニル)イミド(但し、アルキルはC~C10アルキル)、N-アルキル-N-アリルアンモニウムビス{(トリフルオロメタン)スルホニル}イミド(但し、アルキルはC~C10アルキル)、1-ビニル-3-アルキルイミダゾリウムビス{(トリフルオロメタン)スルホニル}イミド(但し、アルキルはC~C10アルキル)、1-ビニル-3-アルキルイミダゾリウムテトラフルオロボレート(但し、アルキルはC~C10アルキル)、4-ビニル-1-アルキルピリジニウムビス{(トリフルオロメタン)スルホニル}イミド(但し、アルキルはC~C10アルキル)、4-ビニル-1-アルキルピリジニウムテトラフルオロボレート(但し、アルキルはC~C10アルキル)、1-(4-ビニルベンジル)-3-アルキルイミダゾリウムビス{(トリフルオロメタン)スルホニル}イミド(但し、アルキルはC~C10アルキル)、1-(4-ビニルベンジル)-3-アルキルイミダゾリウムテトラフルオロボレート(但し、アルキルはC~C10アルキル)、1-グリシジル-3-アルキル-イミダゾリウムビス{(トリフルオロメタン)スルホニル}イミド(但し、アルキルはC~C10アルキル)、トリアルキルアミノエチルメタクリレートアンモニウムトリフルオロメタンスルホニルイミド(但し、アルキルはC~C10アルキル)、1-グリシジル-3-アルキル-イミダゾリウムテトラフルオロボレート(但し、アルキルはC~C10アルキル)、N-ビニルカルバゾリウムテトラフルオロボレート(但し、アルキルはC~C10アルキル)等を例示できる。これらの溶融塩単量体は、1種又は2種以上で使用することができる。これらの溶融塩単量体は前記した本件出願人の先行特許WO2010/113971に記載の方法により得られる。
前記フッ素系重合体への溶融塩単量体のグラフト化率は、2~90モル%が好適であり、更に好適には10~80モル%、最適には20~75モル%である。この範囲のグラフト化率を満足することにより、本発明の目的をより好適に達成することができる。グラフト化率が比較的低い領域、たとえば2~40モル%、好適には10~35モル%、さらに好適には13~30モル%においては、スポンジ性状の柔軟性を保持することができ、支持体との結合密着性、弾力性、接着性改良という効果が期待できる。またグラフト化率が比較的高い領域、たとえば42~90モル%、とくに45~90モル%、さらに好ましくは45~75モル%の領域においては、粘弾性が増加することから密着強度が向上し、さらには粘着性、耐衝撃性、顔料などの粒子素材の分散平滑性、pH安定性、温度安定性、さらには導電性能向上という効果が期待できる。グラフト化率の測定法は後述する実施例で述べる。
溶融塩単量体のグラフト重合は、単独で用いてもよいし、他の単量体と併用することもできる。
なお、ここで、高分子電解質組成物(X)には、ビニレンカーボネート類、ビニレンアセテート、2-シアノフラン、2-チオフェンカルボニトリル、アクリロニトリル等のSEI(固体電解質界面相:Solid Electrolyte Interphase)膜形成素材あるいは溶剤等を含む単量体組成物を包含する。
本発明においては、高分子導電組成物(X)に、オニウムカチオンとハロゲン原子含有アニオンからなる溶融塩(イオン液体)、オニウムカチオンとハロゲン原子含有アニオンからなる塩構造を有しかつ重合性官能基を有する溶融塩単量体塩(イオン液体)(X)、または前記溶融塩単量体の重合体または共重合体(X)を配合することにより、導電性、導電耐久性を一段と向上させることもできる。
ここで、オニウムカチオンとハロゲン原子含有アニオンからなる溶融塩としては、前記したアンモニウムカチオン群とハロゲン原子含有アニオン群から構成される溶融塩、たとえば2つの窒素でカチオンを共有する環状共役系イオン液体、アルキルアンモニウムやホスホニウムを含む非環状脂肪族系イオン液体、4級アンモニウムを含む環状脂肪族系イオン液体、ピロリジニウムカチオンの各種イオン液体などが挙げられる。さらに具体的には、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(フルオロメタンスルホニル)イミド}(EMI・FSI)、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド}(EMI・TFSI)、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムビス(フルオロメタンスルホニル)イミド}(BMI・FSI)などが好適なものとして挙げられる。また、オニウムカチオンとハロゲン原子含有アニオンからなる塩構造を有しかつ重合性官能基を有する溶融塩単量体とは前記したグラフト重合に使用される溶融塩単量体が挙げられる。
ここでハロゲン原子含有アニオンのハロゲンとしては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子があげられるが、フッ素原子が最適である。
また、溶融塩単量体の重合体または共重合体としては、前記溶融塩単量体のホモポリマーが好適例として挙げられる。これらのホモポリマーのうち、1-アルキル-3-ビニルイミダゾリウムカチオン(AVI)、4-ビニル-1-アルキルピリジニウムカチオン、1-(4-ビニルベンジル)-3-アルキルイミダゾリウムカチオン、1-(ビニルオキシエチル)-3-アルキルイミダゾリウムカチオン、1-ビニルイミダゾリウムカチオン、4級ジアリルジアルキルアンモニウムカチオン(DAA)、2-(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウム(MOETMA)}カチオン、ジアルキル(アミノアルキル)アクリルアミド、ジアルキル(アミノアルキル)アクリレート、ヒドロキシアルキルメタアクリレートのホモポリマー、またはこれらの単量体の2種以上の共重合体が挙げられるが、ホモポリマーが好適である。また前記溶融塩単量体と他の共単量体との共重合体が挙げられる。またこれらの溶融塩単量体の重合体または共重合体(X)には、溶融塩単量体以外の単量体を本発明の目的が阻害されない範囲で使用することもできる。
これらの溶融塩単量体の重合体または共重合体は、アゾ系重合開始剤(AIBNなど)、過酸化物系重合開始剤(BPOなど)を用いたラジカル重合、またはブレンステッド酸やルイス酸などの重合開始剤に拠るカチオン重合反応により得ることができる。これらの重合の内ラジカル重合が好適である。
高分子導電組成物(X)の配合割合は、高分子導電組成物(X)と溶融塩またはその溶融塩単量体(X)、または溶融塩単量体の重合体または共重合体(X)の合計量に対し5~90重量%、好適には10~75重量%である。本発明においては、(X)に(X)または(X)を配合することにより、導電性、接着密着性、およびこれらの耐久性が一段と向上する。上記したX、Xはこれらの内一種または2種以上を使用することができる。
さらに、本発明においては、電荷移動イオン源を配合することにより、導電性、導電耐久性が向上する。ここで電荷移動イオン源としては、典型的には、リチウム塩であり、好ましくは下記のリチウムカチオンとフッ素原子含有アニオンとからなるリチウム塩が使用される。
電荷移動イオン源としては、LiBF、C2n+1COLi(nは1~4の整数)、C2n+1SOLi(nは1~4の整数)、(FSONLi、(CFSONLi、(CSONLi、(FSOCLi、(CFSOCLi、(CFSO-N-COCF)Li、
(R-SO-N-SOCF)Li(Rはアルキル基などの脂肪族基または芳香族基)からなる群から選ばれたリチウム塩などが挙げられる。さらにリチウム塩以外のものとしては、一般的には酸化インジウムスズ(ITO)、炭酸塩などの電荷移動イオン源も挙げられる。一般工業用用途では、カーボンを配合することによって電子伝導性を付与した導電材とすることも可能である。
また電荷移動イオン源としては、窒素含有の塩、好ましくは下記のアルキルアンモニウムカチオン(例えば、テトラエチルアンモニウムカチオン、トリエチルメチルアンモニウムカチオン)とフッ素原子含有アニオンとからなる塩も使用される、
Et-NBF 、EtMe-NBF
Et-NPF 、EtMe-NPF 等。
上記電荷移動イオン源は、2種以上を配合することも出来る。
上記電荷移動イオン源の配合量は高分子電解質組成物(X)に対して0.5~2モル、好適には0.7~1.5モルである。
電荷移動イオン源の対イオンであるテトラアルキレングリコールジアルキルエーテル(TAGDAE)のアルキレンとしては、メチレン、エチレン、プロピレンなどの炭素数1~10のアルキレン、アルキルとしてはメチル、エチル、プロピルなどの炭素数1~10のアルキルが挙げられる。これらの中でテトラエチレングリコールジメチルエーテル(TEGDME)が最適である。TAGDAEの電荷移動イオン源に対する配合割合は0.2~2.0モル、好適には0.4~1.5モルである。
また、前記電荷移動イオン源を支持するアニオン(イオン導電支持塩)として、ビス{(トリフルオロメタン)スルホニル}イミド、2,2,2-トリフルオロ-N-{(トリフルオロメタン)スルホニル)}アセトイミド、ビス{(ペンタフルオロエタン)スルホニル}イミド、ビス{(フルオロ)スルホニル}イミド、テトラフルオロボレート、ヘキサフロオロホスフェート及びトリフルオロメタンスルホニルイミドなどが効果的に機能する。
高分子導電性組成物には各種溶剤が使用される。溶剤としてはジメチルスルホキシド(DMSO)、N-メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、アセトン、アセトニトリル、これらの混合溶剤が挙げられる、溶剤として水が使用される場合もある。高分子導電性組成物には、粘着剤、紫外線吸収剤、紫外線劣化防止剤、蛍光剤、光沢剤、香料、さらに相溶化剤、分散剤、酸化防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、充填剤(シリカ、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、タルク、セラミックスなど)、染料、顔料などをそれぞれ目的に応じ適宜配合することができる。ここで相溶化剤または分散剤としては、低分子化合物(1,2-ポリブタジエン、ポリアミド・ポリフェニレンエーテル共重合体、天然ゴムラテックス、液状イソプレン重合体エマルジョン)、さらにはフタロシアニン(水酸基含有石油樹脂「リオノーブル」東洋インキ製造(株)製)などが好適に使用される。また充填剤は樹脂(XまたはXとXとXとの合計量)に対して5~50重量%配合するのが好適である。配合処方に使用される希釈溶媒としては、芳香族溶剤、エーテル系溶剤、2-プロパノール、N-メチルピロリドン、ケトン系溶剤、アセトン、クロロアルキレン系溶剤、エステル系溶剤、ハロゲン系溶剤、ジメチルスルホキシド(DMSO)、酢酸ブチル、酢酸セロソルブなどが使用出来る。とくに紫外線吸収剤を含有させることにより、紫外線硬化塗料として加熱養生などを必要としない効果的な塗膜形成が可能となり、また塗膜層の強度も向上する。更に、上記溶剤にて溶解した上で、ケトン系溶剤と混合して塗料や接着剤用途への応用も可能である。
次に本発明で使用する基材について説明する。
基材の素材としては、樹脂(合成樹脂、天然樹脂)、無機物、木材が挙げられる。ここで樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリハロゲン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ジエン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンサルファイド、ポリイミド系樹脂、珪素系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、アミノ系樹脂、天然系樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂が挙げられる。
ここで、ポリオレフィン系樹脂としては、ポロエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、ヘキセン重合体または共重合体、共ポリスチレンなどが挙げられ、ポリアクリル系樹脂としては、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリルニトリル、ポリアクリル酸塩、アクリルニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)などが挙げられ、ポリハロゲン系樹脂としては、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、四フッ化レジンなどが挙げられる。また、酢酸ビニル系樹脂としては、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコールなどが挙げられ、ポリエーテル系樹脂としては、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリエーテルケトンが挙げられ、ジエン系樹脂としては、ブタジエン系ゴム、クロロプレン系ゴム、イソプレン系ゴムなどが挙げられる。また、ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリオキシベンゾエート、不飽和ポリエステル、ポリカーボネート、ポリカーボネート-ポリエステルポリマーアロイ樹脂などが挙げられ、ポリアミド系樹脂としては、ポリカプロラクタム系樹脂、ポリヘキサメチレンアジペート系樹脂、ポリ芳香族ポリアミド系樹脂などが挙げられ、ポリスルホン系樹脂としては、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンが挙げられ、珪素系樹脂としては、シリコーンゴム、シリコーン樹脂、重合性シリコーン樹脂などが挙げられ、アミノ系樹脂としては、尿素樹脂、メラミン樹脂などが挙げられ、天然樹脂としては、セルロース系樹脂、天然ゴム系樹脂、タンパク質系樹脂、グアーガム、タマリンド、ローカストビーンガム、キサンタンガム、カラーギンなどが挙げられる。
これらの中でポリアクリル系樹脂、ジエン系樹脂、珪素系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリイミド系樹脂が好適である。とくにポリアクリル系樹脂が最適であり、ポリアクリル系樹脂としては、アルキルアクリレートまたはアルキル(メタ)クリレートの重合体または共重合体が好適であり、共重合体としては、ヒドロキシエチルアクリルアミド、ジアルキルアクリルアミド、ジアルキルアミノアルキルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、ブチルアクリレート-ベンジルアクリレート-4-ヒドロキシブチルアクリレートの共重合体やブチルアクリレート-ベンジルアクリレート-フェノキシエチルアクリレート-4-ヒドロキシブチルアクリレート-アクリル酸共重合体が挙げられる。
無機物としては、鉄、鋼、アルミニウム、ニッケルなどの各種金属、金属酸化物などの金属化合物が挙げられる。
これらの素材のうち、本発明では樹脂が好適に使用される。
基材の形状としては、フィルム、シート、板、多孔質基材、繊維(フィラメント、糸、織物、編み物)、紙、不織布、粒子、チップ、球状体(ビーズ)、異形体などの各種立体構造物が挙げられる。これらの形状のうち、本発明では多孔質基材(多孔質フィルム、多孔質シート)、とくにリチウムイオン二次電池用多孔質セパレーターが好適に使用される。非孔質の各種樹脂フィルムやシートを使用する場合、表面コート層を形成する工程で、表面をミスト処理することによって網目構造の表面コート層を形成することができる。
次に、上記高分子導電組成物を基材にコートする方法について述べる。
まず、(1)前記高分子導電組成物の溶剤溶液を基材の片面または両面にコートする。コートする方法としては、基材をロール間に通過させロールでコートする方法が好適であるが、カンマコート、ダイコート、浸漬コート、吹付けコート、圧着コート、金平糖厚塗りコート方法なども適用できる。特に、繊維基材にはポリビニルアルコール(PVA)組成物を配合して表面コートする方法が適用できる。連続式或いはバッチ式製法のいずれでも適用できる。
次に、(2)上記コート層をミスト処理する。ミスト処理する方法としては、高分子導電組成物の溶剤溶液の溶剤が有機溶剤(DMSO、N-メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、アセトン、アセトニトリルなど)である場合は、ミストとして水性ミスト、好適には水蒸気が使用される。基材を垂直方向に上から下へ移動させ、その間に片面または両面のコート層表面にミスト処理をする。このような縦型のミスト処理が好適であるが、基材を水平方向に移動させる横型のミスト処理も適用できる。ミストの温度は、30~60℃が好適であり、40~50℃が最適である。ミストの処理時間は、30秒~5分が好適であり、1~3分が最適である。ミストの使用量はコート厚などにより異なるが、1~30ミストg/基材mが好適であり、5~10ミストg/基剤mが最適である。
高分子導電組成物の溶剤溶液の溶剤が水である場合は、ミストとして有機溶剤(DMSO、N-メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、アセトンなど)が使用される。
このようなミスト処理をすることにより高分子導電組成物中の溶剤が除去され、網目立体構造の表面コート層を形成することができる。ここで網目状立体構造とは孔が網目状に存在し立体構造化している構造を意味する。網目は大きさ、形が均一な孔であってもよいし不均一な孔であってもよい。また網目状の孔は表面コート層内で貫通していてもよいし不貫通であってもよい。
次に、(3)ミスト処理したコート層をスプレーおよび/または水槽により洗浄する。スプレーは主に水が使用される。スプレーの水、水槽の水の温度は、10~40℃が好適であり、20~30℃が最適である。スプレー、水槽処理の処理時間はコート層の表面の溶剤を可能なかぎり除去する程度の時間は必要で、30秒~10分が好適であり、1~5分が最適である。
次に、(4)洗浄したコート層を乾燥する。乾燥は熱風乾燥することが好適である。熱風乾燥の温度は30~80℃が好適であり、40~60℃が最適である。また熱風乾燥時間は1~10分が好適であり、3~7分が最適である。
次に、(5)洗浄後の廃液をイオン性液体に入れ、廃液中の高分子導電組成物および溶剤を分離する。イオン性液体は有機溶剤および水を選択的に吸収するため、高分子導電組成物と有機溶剤・水とを効率的に分離することができ、高分子導電組成物と有機溶剤を回収利用できる。
ここで使用されるイオン液体としては、前記したXに相当するオニウムカチオンとハロゲン原子含有アニオンからなる溶融塩、さらにはこれらの塩構造を有しかつ重合性官能基を有する溶融塩単量体が挙げられる。
次に本発明の方法の他の態様について述べる。
高分子導電組成物を基材にコートし網目立体構造の表面コート層を形成する方法において、高分子導電組成物を基材にコートする前に、プラズマ処理する工程を含む方法である。この方法によれば、下記の工程を含むことにより、網目状立体構造の表面コート層を有する基材を得ることができる。
(1)前記高分子導電組成物の溶剤溶液を基材に片面または両面にコートする工程、
(2)コート層をミスト処理する工程、
(4)洗浄したコート層を乾燥する工程。
すなわち、この方法によれば、前記方法のミスト処理したコート層をスプレーおよび/または水槽により洗浄する工程(3)を省略することができるという利点がある。
ここで、プラズマ処理とは、真空環境の中で表面グロー処理を直流(DC)パワー30~200Wで行うことが好適であり、40~100Wが最適である。処理時間は、30秒~3分が好適であり、1~2分が最適である。基材の全表面をプラズマ処理することが好適である。
本発明では、連続式、バッチ式いずれも適用できる。ここでバッチ式の方法としては、超音波乳化法により微粒子を基材へコートする方法、レーザー照射により上記高分子導電組成物を析出して表面コートする方法、酵素固定化カーボンブラックと上記高分子導電組成物との複合物を基材に表面コートする方法、無機粒子物を上記高分子導電組成物溶液にて処理しナノコンポジット粒子を形成して基材に表面コートする方法、ニューロン型高分子導電組成物を作成して基材に表面コートする方法、金属カチオンナノ粒子を上記ドーパントアニオン配合の高分子組成物に混合して光照射によって複合物を形成して表面コートする方法、防錆材との配合により鋼材基材へ表面コートする方法、防錆顔料を上記高分子導電租税物と混合して基材に表面コートする方法などが挙げられる。
さらに本発明の方法により、たとえばリチウムイオン電池(LIB)用多孔質基材に導電性高分子組成物(電解性高分子組成物)をコートし、内部まで深く含浸させた後に、LIBセル製作後にセルをさらに硬化させてポリマー固体電解質を形成させることもでき、この処法はツーショット固体電解質成形法と名付けている。また正負極板に高分子導電性組成物を薄膜コートすることで、レート特性やサイクル特性を改善できる。さらにはこれらの処法を組み合わせることにより、安全で安心な信頼のおける固体電解質系LIBの開発も可能となる。又、上記の導電性高分子組成物に同類の多官能機能を保有させた組成物を混合して複合物質を形成し,リチウムイオン電池製作工程では電解液として含浸して配備し、充放電開始による養生としての化成処理段階で50℃までの自己発熱による電池セル内での効果を促進して固体電解質を形成して固体電解質系LIBの開発も可能となり、この処方はワンショット固体電解質成形法と名付けている。
次に実施例によりさらに本発明を説明する。
[グラフト重合体1]
フッ化ビニリデン(PVdF)-トリフルオロクロロエチレン(CTFE)共重合体として-(CH-CF-(CF-CFCl)-{nは96モル%、mは4モル%、呉羽化学工業社製、商品名#7500、固有粘度〔η〕=2.55(オストワルド粘度計使用、溶媒DMAC、測定温度25℃)〔η〕から推算分子量120万}を使用して、これに溶融塩単量体を下記の条件により、グラフト重合した。
1L三口フラスコに凝縮機、攪拌装置及び滴下装置をつけ、PVdF-CTFE共重合体#7500 6gとN-メチルピロリドン(NMP)80gを加えて、を油浴中で80℃に加温、撹拌溶解した。次いでアルゴンガスで雰囲気を十分置換したのち、溶融塩単量体{化合物名トリメチルアミノエチルメタクリレートビス(トリフルオロメタン)スルホニル}イミド(TMAEMA・TFSI)}と、あらかじめ20gのNMPに溶解したN,N,N’,N’-テトラキス(2-ピリジルメチル)エチレンジアミン(TPEN)0.46gとCuCl 0.08gを加えた。更にアルゴンで置換して90℃に昇温し23時間反応させた。反応後40℃まで冷却しアセトンで希釈して、50%メタノール水溶液中に攪拌しながら注入して析出させた。反応生成物は更にメタノール溶液で洗浄したのち乾燥して、粗製重合体を得た。
次いで粗製重合体を粉砕してアセトン40%、メタノール60%の混合溶剤を加えて攪拌した。グラフトしていないイオン性液体重合体及び未反応溶融塩単量体は溶解し、グラフト重合体は膨潤し沈降するので、遠心分離器で分離した。この抽出操作を繰り返してグラフト重合体1を得た。更に30℃、真空乾燥機で乾燥して収量を測定、また赤外スペクトルを測定しグラフト化率(モル%)を算出したところ。71.7モル%を示した。
注1)グラフト化率(モル%)
PVdF-CTFE共重合体とグラフト重合体の配合割合を変えて、赤外スペクトルを測定して検量線を作成し、この検量線を用いて、試料のグラフト重合体のグラフト化率(モル%)を求めた。
実施例1
前記のグラフト重合体1{高分子導電組成物(X)}を溶剤(N-メチルピロリドンとアセトンの重量比1:1)に混合して30重量%固形分の高分子導電組成物(CP)の溶剤溶液を得た。
図1に示す工程(コート工程-ミスト処理工程-スプレーおよび洗浄工程-乾燥工程を一室に設けた装置)により、高分子導電組成物の溶剤溶液を樹脂シート(ポリエチレン多孔シート)の片面にロールコートし、縦型のミスト処理室にて水蒸気ミスト(温度40℃、時間3分)で処理し、次に水スプレーし、水槽処理(温度20℃。時間2分)し、次に熱風乾燥(温度60℃、時間5分)し、巻き取り、網目状立体構造の貫通した孔を有する表面コート層を有する基材を得た。
また装置外に設けられた廃液処理装置を用いて、廃液をイオン液体{1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド}(EMI・TFSI)に入れ、廃液中の有機溶剤と水をイオン液体に吸収させ、廃液中の高分子導電組成物と有機溶剤・水とを分離した。
実施例2
実施例1において、樹脂シート(ポリエチレン多孔シート)の代わりに、表面をプラズマ処理(真空条件でのDCグロー処理:60W、1分)した樹脂シート(ポリエチレンシート)を使用し、水槽処理する工程を省いた以外は、実施例1と同様にして、網目状立体構造の表面コート層を有する基材を得、さらに廃液も処理して、廃液中の高分子導電組成物と有機溶剤・水とを分離した。
実施例3
実施例1において、高分子導電組成物(CP)の溶剤溶液を製作した後、10重量%Li1.5Al0.5Ge1.512固体電解質素材をホモジナイザーにて分散配合溶液を得た以外は、実施例1と同様にして、網目状立体構造の表面コート層を有する基材を得、さらに廃液も処理して、廃液中の高分子導電組成物と有機溶剤・水とを分離した。
実施例4
実施例1において、高分子導電組成物(CP)の溶剤溶液を製作した後、15重量%LiLaZr12固体電解質素材をホモジナイザーにて分散配合溶液を得た以外は、実施例1と同様にして、網目状立体構造の表面コート層を有する基材を得、さらに廃液も処理して、廃液中の高分子導電組成物と有機溶剤・水とを分離した。
実施例1~4で得られた網目立体構造の貫通した孔を有する表面コート層を有する樹脂シートの導電性、導電耐久性を測定したところ、下記の値を示した。またこれらの樹脂シートは溶剤含浸性に極めて優れていた。
実施例1 導電性(率) 1.00-2~1.00-3 S/cm
体積固有抵抗値 10-5~10-8 Ω・cm
導電耐久性 変化なし(半永久)
実施例2 導電性(率) 1.00-2~1.00-3 S/cm
体積固有抵抗値 10-6~10-9 Ω・cm
導電耐久性 変化なし(半永久)
実施例3 導電性(率) 1.00-2~1.00-3 S/cm
体積固有抵抗値 10-4~10-6 Ω・cm
導電耐久性 変化なし(半永久)
実施例4 導電性(率) 1.00-2~1.00-3 S/cm
体積固有抵抗値 10-3~10-5 Ω・cm
導電耐久性 変化なし(半永久)
注1) 導電性(率):S/cm(単位cm当たりのジーメンス)、電極面積0.95cmの白金電極間に試料を挟み、20℃、65%RHで、交流インピーダンス法(0.1V、周波数1Hz~10MHz)により膜抵抗を測定し、膜導電性能を算出した。
注2) 導電耐久性:40℃-RH50%の条件下に6ケ月放置後の導電性を測定。
得られた網目状立体構造の貫通した孔を有する表面コート層を有する樹脂シートをリチウムイオン二次電池用セパレーターに使用したところ、導電性、導電耐久性など二次電池用として優れた特性を有していた。
実施例5
実施例1において、Xの代わりに、X(90重量%)とX(10重量%)を使用した以外は、実施例1と同様にして網目状立体構造の貫通した孔を有する表面コート層を有する基材を得た。ここでXとしては溶融塩単量体{2-(メタクリロイロキシ)エチルトリメチルアンモニウムビス(フルオロスルホニル)イミド)}(MOETMA-FSI)を使用した。
実施例6
実施例1において、Xの代わりに、X(50重量%)とX(50重量%)を使用した以外は、実施例1と同様にして網目状立体構造の貫通した孔を有する表面コート層を有する基材を得た。ここでXとしては溶融塩単量体{2-(メタクリロイロキシ)エチルトリメチルアンモニウムビス(フルオロスルホニル)イミド)}(MOETMA-FSI)のホモポリマーを使用した。
実施例5および実施例6において得られた網目状立体構造の貫通した孔を有する表面コート層を有する基材も実施例1とほぼ同様に、導電性、導電耐久性、溶剤含浸性に極めて優れていた。また得られた網目状立体構造の貫通した孔を有する表面コート層を有する樹脂シートをリチウムイオン二次電池用セパレーターに使用したところ、導電性、導電耐久性など二次電池用として優れた特性を有していた。
本発明により得られる網目状立体構造の表面コート層を有する基材は、電解液などの溶剤含浸特性に卓越した性状を示し、優れた導電性と優れた導電耐久性を有しているので、リチウムイオン二次電池、キャパシタ、燃料電池などの導電セパレーター(フィルター)としてとくに有用であり、さらに導電性の要求される分野、たとえば樹脂、無機物(金属、金属酸化物など)、木材などを素材とする、フィルム、シート、板、繊維(フィラメント、糸、布など)、紙、不織布、粒子、その他各種立体構造物などからなる各種導電性用途にも有用である。また偏光板などの光学用、磁気テープ用としても有用である。
(1)・・コート(コーティング)工程
(2)・・網目状立体構造形成のためのミスト処理工程
(3)・・ノズルによるスプレー工程、水没槽による洗浄工程
(4)・・熱風乾燥槽による乾燥工程
(5)・・イオン液体による廃液処理工程

Claims (5)

  1. オニウムカチオンとフッ素原子含有アニオンからなる塩構造を有し、かつ重合性官能基を有する溶融塩単量体をフッ素系重合体にグラフト重合して得た高分子導電組成物(X)またはXと下記の(X)~(X)から選ばれる少なくとも1種の物質、
    :オニウムカチオンとハロゲン原子含有アニオンからなる溶融塩、またはこれらの塩構造を有しかつ重合性官能基を有する溶融塩単量体、
    :オニウムカチオンとハロゲン原子含有アニオンからなる溶融塩構造を有し、かつ重合性官能基を有する溶融塩単量体の重合体または共重合体、
    を含む高分子導電組成物を基材にコートし網目状立体構造の表面コート層を形成する方法において、下記工程を含む、網目状立体構造の表面コート層を有する基材の製造法。
    (1)前記高分子導電組成物の溶剤溶液を基材の片面または両面にコートする工程、
    (2)コート層を30~60℃、30秒~5分水蒸気ミスト処理する工程、
    (3)水蒸気ミスト処理したコート層を10~40℃、30秒~10分スプレイおよび/または水槽により洗浄する工程、
    (4)洗浄したコート層を30~80℃、1~10分乾燥する工程。
  2. 処理後の廃液をイオン性液体に入れ、廃液中の高分子導電組成物および溶剤を分離回収する工程(5)を含む、請求項1記載の網目状立体構造の表面コート層を有する基材の製造法。
  3. 基材は、素材が樹脂、無機物、木材であり、形状がフイルム、シート、板、多孔質基材、繊維、紙、不織布、粒子、チップ、球状体、異形体の各種立体構造物である、請求項1~2のいずれかに記載の網目状立体構造の表面コート層を有する基材の製造法。
  4. 基材の素材が、ポリオレフィン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ハロゲン系樹脂、ジエン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、シリコーン樹脂、熱硬化性樹脂(尿素系、フェノール系、メラミン系、不飽和ポリエステル系、エポキシ系)から選ばれる少なくとも一種の樹脂である、請求項1~3のいずれかに記載の網目状立体構造の表面コート層を有する基材の製造法。
  5. 基材が、リチウムイオン二次電池用多孔質セパレータである、請求項1~4のいずれかに記載の網目状立体構造の表面コート層を有する基材の製造法。
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