JP7137184B2 - 密封装置 - Google Patents
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Description
下記特許文献1には、第1シール部材の第一円筒部に円筒状のダストシール部が形成され、そのダストシール部は第二円筒部との間に微小隙間を空けて対向している密封装置が開示されている。
また下記特許文献2には、2つのシール部材のうち、一方のシール部材の端部と、該端部と向かいあう他方のシール部材との間に、外部と連通する隙間が形成された密封装置が開示されている。そしてこの隙間の断面積は、内部側が広く外部側が狭く形成されている。
また、本発明に係る他の密封装置は、外側部材と、該外側部材に対して回転する内側部材との間の被シール空間を密封する密封装置において、前記内側部材に外嵌される内側円筒部と、前記内側円筒部の端部から径方向外方に延びる円板部と、前記円板部の外周側から軸方向に延びる外周円筒部とを含む第1部材と、前記外側部材の内周面または外周面に嵌合される嵌合円筒部と、前記嵌合円筒部のいずれか一方の端部から径方向内方に延出する円板部と、前記外周円筒部と径方向に対向する内周円筒部とを含む第2部材と、を備え、前記外周円筒部と前記内周円筒部との間に外部と連通するシール隙間が形成され、前記外周円筒部は、その軸方向の長さが、前記シール隙間の径方向幅以上に形成されるともに、軸方向に間隔を空けて複数の第1ガイド突部が配設されており、前記内周円筒部の前記被シール空間側の端部には、前記シール隙間に向って開口する凹所が形成され、前記凹所の開口の内径側端部と前記外周円筒部の前記被シール空間側の端部との間に形成される軸方向の隙間は、前記シール隙間の径方向幅より小さいことを特徴とする。
本実施形態に係る密封装置10,11は、外側部材2と、外側部材2に対して回転する内側部材5との間の被シール空間Sを密封する密封装置に関する。密封装置10,11は、第1部材13と第2部材16とを備えている。第1部材13は、内側部材5に外嵌される内側円筒部140と、内側円筒部140の端部140aから径方向外方に延びる円板部141と、円板部141の外周側から軸方向に延びる外周円筒部151とを含む。第2部材16は、外側部材2の車体側の内周面2bまたは外周面2dに嵌合される嵌合円筒部170と、嵌合円筒部170のいずれか一方の端部170aから径方向内方に延出する円板部171と、外周円筒部151と径方向に対向する内周円筒部184とを含む。外周円筒部151と内周円筒部184との間に外部と連通するシール隙間Hが形成され、外周円筒部151は、その軸方向の長さDが、シール隙間Hの径方向幅h以上に形成されるともに、軸方向に間隔を空けて複数の第1ガイド突部151aが配設されている。以下、詳述する。
まずは本発明の第1実施形態について、図1~図3を参照しながら説明する。
図1は、自動車の車輪(不図示)を軸回転可能に支持する軸受ユニット1を示す。この軸受ユニット1は、大略的に、上述の外側部材に相当する外輪2と、上述の内側部材に相当する内輪5と、外輪2と内輪5との間に介装される2列の転動体(ボール)6…とを含んで構成される。内輪5は、ハブ輪3と内輪部材4とで回転部材として構成され、内輪部材4はハブ輪3の車体側に嵌合一体とされる。ハブ輪3にはドライブシャフト7が同軸的にスプライン嵌合され、ドライブシャフト7は等速ジョイント8を介して不図示の駆動源(駆動伝達部)に連結される。ドライブシャフト7はナット9によって、ハブ輪3と一体化され、ハブ輪3のドライブシャフト7からの抜脱が防止されている。内輪5(ハブ輪3及び内輪部材4)は、外輪2に対して、軸L回りに回転可能な回転部材とされ、外輪2と、内輪5とにより、相対的に回転する2部材が構成され、環状の被シール空間Sが形成される。被シール空間S内には、2列の転動体6…が、リテーナ6aに保持された状態で、外輪2の軌道輪2a、ハブ輪3及び内輪部材4の軌道輪3a,4aを転動可能に介装されている。ハブ輪3は、円筒形状のハブ輪本体30と、ハブ輪本体30より立上基部31を介して径方向外側に延出するよう形成されたハブフランジ32とを有し、ハブフランジ32にボルト33及び不図示のナットによって車輪が取付固定される。以下において、軸L方向に沿って車輪に向く側(図1において左側)を車輪側、車体に向く側(図1において右側)を車体側と言う。
第1実施形態では、本発明を、車体側となる外輪2と内輪部材4との間の端部に装着されるパックシールタイプの密封装置10Aに適用した例を説明する。
以上の構成によれば、ハブ輪3の回転数が所定値に達すると、複数の第1ガイド突部151a,151aの間に周方向に巻きつくように発生する周期的な渦列、すなわちテイラー渦を発生させることができる。よって、外部から泥水、雨水、塵埃等の異物が侵入しようとしても、テイラー渦が障壁となって、異物がシール隙間Hを通過して被シール空間Sに侵入することを抑制できる。またハブ輪3の回転に伴い、複数の第1ガイド突部151a,151aも回転することによりテイラー渦T1~T4の発生が誘起される。そのため、テイラー渦は、安定した規則的な回転運動となり易く且つその流れは維持され易くなるため、テイラー渦による異物に対する障壁機能を安定的に発揮させることができる。
このように凹所184dを設けた場合は、シール隙間Hに発生するテイラー渦により誘起され、凹所184d内においても渦T5が発生する。そして、凹所184d内に発生した渦T5は、凹所184dの開口の内径側端部184eと外周円筒部151の被シール空間S側の端部151cとのラビリンス部Rに誘引され難く、凹所184d内にて回転運動がガイドされる。よって、シール隙間H内を通過した異物があったとしても、この渦T5が障壁となるため、外部から被シール空間S側への異物の侵入を抑制する効果を一層高められる。
図3(a)は、内周円筒部184の被シール空間S側の端部には、シール隙間Hに向って開口する凹所184dが形成されていない例である。第1ガイド突部151aの形成個数や形状等は、図2の例と同様である。また外周円筒部151は、その軸方向の長さDが、シール隙間Hの径方向幅h以上に形成されることはもちろん、隙間D2がシール隙間Hの径方向幅hより小さい、すなわちD2<hの関係にあること、D1≒hであることも図2と同様である。
このように凹所184dが形成されていなくても、テイラー渦は発生し、低トルクの要請に応えるとともに、外部からの異物の侵入を抑制することができる。
このように第2ガイド突部が形成されていなくても、テイラー渦は発生し、低トルクの要請に応えるとともに、外部からの異物の侵入を抑制することができる。
次に本発明の第2実施形態について、図4を参照しながら説明する。第2実施形態では、本発明を、第1実施形態と同様に車体側となる外輪2と内輪部材4との間の端部に装着されるパックシールタイプの密封装置10Bに適用した例である。第1実施形態と共通する部分には、可能な限り同一の符号を付し、その構成及び作用・効果等の説明は割愛する。
スリンガ14の段差部143の径方向外方の面、そして第2円板部144及び外側円筒部142の内面(外輪2に対向する面)には、第1実施形態とは異なりゴム等の弾性材のみからなる弾性部15が加硫接着されている。弾性部15は、スリンガ14の段差部143に固着された外周円筒部151と、第2円板部144及び外側円筒部142の内面を覆う覆い部152,153とを有し、覆い部153は外側円筒部142の端部142aに回り込むように配されている。
第2部材16は、芯金17と、シール部18とを有しており、芯金17及びシール部18の構成は第1実施形態と同様である。よって、内周円筒部184の被シール空間S側の端部には、シール隙間Hに向って開口する凹所184dが形成されている点も共通する。
なお、外周円筒部151は、その軸方向の長さDが、シール隙間Hの径方向幅h以上に形成されることはもちろん、隙間D2がシール隙間Hの径方向幅hより小さい、すなわちD2<hの関係にあること、D1≒hであることも第1実施形態と同様である。
次に本発明の第3実施形態について、図5を参照しながら説明する。第3実施形態は、第1実施形態の密封装置10Aとは逆側、すなわち、車輪側のハブシールに適用した例である。
密封装置11は、第1部材13と第2部材16とを備えている。第1部材13は、スリンガ14と、外周円筒部151を有した弾性部15とを有している。スリンガ14は、SPCC又はSUS等の鋼板をプレス加工して形成され、図5に示すようにハブ輪本体30、立上基部31、ハブフランジ32の形状に沿って、湾曲した略J形状とされ、デフレクターとも呼ばれる。スリンガ14は、回転するハブ輪本体30に外嵌される内側円筒部140と、内側円筒部140から立上基部31に沿って径方向外方に延びる湾曲部145と、湾曲部145を経てストレートに形成された外向鍔部146と、外向鍔部146の外径側の端部146aから軸方向に延びる外側円筒部142とを有している。外側円筒部142の表面には、全体的にゴム等の弾性材からなる弾性部15が加硫接着されている。弾性部15のうち、内周円筒部184に向かい合う部分は他の部位より厚みが厚く形成された外周円筒部151とされる。外周円筒部151には、内周円筒部184に向けて突出した第1ガイド突部151aが軸方向に間隔を空けて複数形成されている。
なお、外周円筒部151は、その軸方向の長さDが、シール隙間Hの径方向幅h以上に形成されることはもちろん、隙間D2がシール隙間Hの径方向幅hより小さい、すなわちD2<hの関係にあること、D1≒hであることも第1実施形態と同様である。また図5に示す第3実施形態では、内周円筒部184及び外周円筒部151は、ハブフランジ32に対して軸方向と同じ距離だけ離間して設けられている例を示しているが、例えば、内周円筒部184のハブフランジ32側の端部が、軸方向において、外周円筒部151よりもハブフランジ32に近接するようにして変更してもよい。
第1ガイド突部151a及び第2ガイド突部184aの形成個数や形状等は限定されず、図3(a)及び図3(b)に示す構成を図4及び図5に適用してもよい。また、内側部材としての内輪5が所定の回転数であるときに、テイラー渦が発生するのであれば、例えば、最もシール隙間H側の第1ガイド突部151a又は最も外部側の第1ガイド突部151aのいずれか一方を省略して、第1ガイド突部151aが偶数個となるように変更してもよい。また、複数の第1ガイド突部151a間の間隔についても、適宜変更してもよい。
2 外側部材(外輪)
5 内側部材(内輪)
13 第1部材
14 スリンガ
140 内側円筒部
141 円板部
142 外側円筒部
151 外周円筒部
151a 第1ガイド突部
16 第2部材
17 芯金
170 嵌合円筒部
171 円板部
18 シール部
184 内周円筒部
184a 第2ガイド突部
H シール隙間
L 外周円筒部の軸方向の長さ
D1 第1ガイド突部の間
h シール隙間の径方向幅
Claims (7)
- 外側部材と、該外側部材に対して回転する内側部材との間の被シール空間を密封する密封装置において、
前記内側部材に外嵌される内側円筒部と、前記内側円筒部の端部から径方向外方に延びる円板部と、前記円板部の外周側から軸方向に延びる外周円筒部とを含む第1部材と、
前記外側部材の内周面または外周面に嵌合される嵌合円筒部と、前記嵌合円筒部のいずれか一方の端部から径方向内方に延出する円板部と、前記外周円筒部と径方向に対向する内周円筒部とを含む第2部材と、を備え、
前記外周円筒部と前記内周円筒部との間に外部と連通するシール隙間が形成され、
前記外周円筒部は、その軸方向の長さが、前記シール隙間の径方向幅以上に形成されるともに、軸方向に間隔を空けて複数の第1ガイド突部が配設されており、
前記内周円筒部は、前記外周円筒部と対向する対向面に軸方向に間隔をあけて、前記複数の第1ガイド突部と対向するように複数の第2ガイド突部が設けられており、
前記複数の第1ガイド突部間における径方向断面の表面形状及び前記複数の第2ガイド突部間における径方向断面の表面形状は、曲面状に形成されていることを特徴とする密封装置。 - 請求項1に記載の密封装置において、
前記内周円筒部の前記被シール空間側の端部には、前記シール隙間に向って開口する凹所が形成され、
前記凹所の開口の内径側端部と前記外周円筒部の前記被シール空間側の端部との間に形成される軸方向の隙間は、前記シール隙間の径方向幅より小さいことを特徴とする密封装置。 - 外側部材と、該外側部材に対して回転する内側部材との間の被シール空間を密封する密封装置において、
前記内側部材に外嵌される内側円筒部と、前記内側円筒部の端部から径方向外方に延びる円板部と、前記円板部の外周側から軸方向に延びる外周円筒部とを含む第1部材と、
前記外側部材の内周面または外周面に嵌合される嵌合円筒部と、前記嵌合円筒部のいずれか一方の端部から径方向内方に延出する円板部と、前記外周円筒部と径方向に対向する内周円筒部とを含む第2部材と、を備え、
前記外周円筒部と前記内周円筒部との間に外部と連通するシール隙間が形成され、
前記外周円筒部は、その軸方向の長さが、前記シール隙間の径方向幅以上に形成されるともに、軸方向に間隔を空けて複数の第1ガイド突部が配設されており、
前記内周円筒部の前記被シール空間側の端部には、前記シール隙間に向って開口する凹所が形成され、
前記凹所の開口の内径側端部と前記外周円筒部の前記被シール空間側の端部との間に形成される軸方向の隙間は、前記シール隙間の径方向幅より小さいことを特徴とする密封装置。 - 請求項3に記載の密封装置において、
前記内周円筒部には、前記第1ガイド突部に対向するように、複数の第2ガイド突部が設けられていることを特徴とする密封装置。 - 請求項3又は請求項4に記載の密封装置において、
前記複数の第1ガイド突部間における径方向断面の表面形状は、曲面状に形成されていることを特徴とする密封装置。 - 請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の密封装置において、
前記第1ガイド突部は、3以上の奇数個であり、
前記外周円筒部は、その軸方向の長さが、前記シール隙間の径方向幅の偶数倍であり、
隣り合う第1ガイド突部との間隔は、前記シール隙間の径方向幅と同等であることを特徴とする密封装置。 - 請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の密封装置において、
前記第1部材は、前記内側円筒部と、前記円板部と、前記円板部の外周側から被シール空間側に延出して形成される外側円筒部とを備えたスリンガからなり、前記外側円筒部の外周面を覆うように弾性材からなる前記外周円筒部が形成されていることを特徴とする密封装置。
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