JP7137147B2 - β-リン酸硫酸ジルコニウム粒子およびその製造方法 - Google Patents

β-リン酸硫酸ジルコニウム粒子およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、低い熱膨張係数を有するβ-リン酸硫酸ジルコニウムを主成分として含む低熱膨張性粒子およびその製造方法に関する。
電子機器の普及に伴い、その主要部品であるプリント配線基板の需要が増大している。回路の高集積化や多層化が進むなか、基板の熱膨張係数(CTE:Coefficient of Thermal Exapansion)に対して半導体封止材料のCTEが大きくなると、回路破壊の原因になる。そこで、封止材料のCTEを低減させる目的で、該材料を構成するエポキシ樹脂等の耐熱性樹脂に、CTEの小さな無機物(非晶質シリカ等)をフィラーとして充填する技術が用いられている。
上記のような封止材料のフィラーとしてだけでなく、CTEの小さな無機物(非晶質シリカ等)をアンダーフィリングのフィラーとして利用する技術も用いられている。すなわち、ワイヤーボンディングやフリップチップボンディング等で基材に実装された回路は、外力や応力に対して脆弱であるケースが多いため、比較的小さな力で破断しやすい。そこで、アンダーフィルと呼ばれる液状硬化性樹脂(エポキシ樹脂等)を基板部品間に浸透させ、接続信頼性を確保することが行われている。ここで、樹脂の熱膨張・収縮が原因となり、ボンディングの破壊が引き起こされる場合も予想されるため、このような樹脂の熱膨張・収縮を抑制する目的で、CTEの小さな無機物(非晶質シリカ等)をフィラーとして充填する技術が用いられている。
このようなフィラーを充填する技術にあっては、封止材料やアンダーフィリングの形成材料(エポキシ樹脂等を主成分としたコンポジットレジン)のCTEを効果的に低減させる点で、更なる改善が望まれていた。
そこで、リン酸ジルコニウム系の化合物は負のCTEを有する物質として知られているおり、これをフィラーとして利用することが考えられる。
例えば、非特許文献1にはZrOCl・8HO、NHPO、HSOを蒸留水に溶解した溶液を90分撹拌した後、テフロン(登録商標)製の容器を用いて110~180℃、12~96時間の条件で水熱処理し、得られた沈殿を400~900℃、4時間の条件で焼成してα-ZrSP12粉末が得られることが開示されている。
非特許文献2にはZrOCl・8HO、NH4HPO、HSOを蒸留水に溶解した溶液を90分撹拌した後、テフロン(登録商標)製の容器を用いて180℃、12時間の条件で水熱処理し、得られた沈殿を500~900℃、4時間の条件で焼成してα-ZrSP12粉末が得られることが開示されている。さらに得られた粉末をエポキシ樹脂液に混合し、硬化させて、ZrSP12粉/エポキシ複合材を作製できることが開示されている。
非特許文献3には、HNO、ZrO(NO・2HOにHPOを添加して得られたリン酸ジルコニウムゲルを硫酸中にて180~200℃5日間還流下にて加熱し、ジルコニウム原子、硫黄原子、リン原子のモル比(Zr:S:P)が2:1:2であるβ-Zr(POSOが得られることが開示されている。
早川、磯部、松下、中島、「Zr2SO4(PO4)2の合成とその性質」、日本セラミックス協会2018年年会講演予稿集、2018年3月、公益社団法人日本セラミックス協会 足立、磯部、松下、中島、「低膨張性Zr2SP2O12/ポリマー複合材の作製とその性質」、日本セラミックス協会第31回秋季シンポジウム講演予稿集、2018年9月、公益社団法人日本セラミックス協会 Y.PRFFARD、A.VERBAERE、M.KINOSHITA、Journal of solid state chemistry、1987、121-130頁、vol.71
しかしながら、非特許文献1や非特許文献2では水熱処理が必須であって工程が煩雑であること、水熱処理後にゲル状の沈殿になるために焼成前の乾燥が難しいこと、用いる原料に塩化物を含むため水熱処理時に耐腐食性に優れたテフロン(登録商標)製等の容器を用いる必要があり、生産性が低いことが問題になっていた。
さらに、原料として塩化物を用いているため、得られるα-ZrSP12粉末には塩化物が残存しやすく、電子デバイス用途のフィラーに用いた場合、電子回路の腐食の原因になるため該用途には不適合であった。
また、これらリン酸硫酸ジルコニウム中の硫酸根が、粒子中に残存すると酸性度が高くなり、樹脂配合した際に樹脂を劣化させる懸念があった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、非塩化物の水溶性原料を用い、生産性に優れた製造方法により、S原子含有量が少なく、コンポジットレジンのCTEを効率的に低減させるのに有利なβ-ZrSP12相を高純度に有するβ-リン酸硫酸ジルコニウム粒子およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、水溶性ジルコニウム塩、水溶性硫酸塩及び水溶性リン酸塩を混合し、その混合物を、ジルコニウム原子:硫黄原子:リン原子のモル比(Zr:S:P)が2:x:y(x≧0.25、1.5≦y≦2.5)にある中で750℃以上1000℃以下の範囲で焼成することにより、β-リン酸硫酸ジルコニウム相を高純度に有する低熱膨張性粒子を製造できることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の第1観点~第12観点の何れか一つに記載のβ-リン酸硫酸ジルコニウムを主成分として含む低熱膨張性粒子、およびその製造方法に関する。
すなわち本発明は、第1観点として、ジルコニウム原子、硫黄原子、リン原子のモル比(Zr:S:P)が2:0.03~0.35:1.2~2.0であるβ-リン酸硫酸ジルコニウムを主成分として含むことを特徴とする低熱膨張性粒子に関する。
第2観点として、Zr相の(011)面に帰属するX線回折ピーク強度Iαと、β-リン酸硫酸ジルコニウム相の(022)面に帰属するX線回折ピーク強度Iβと、の比[Iα/Iα + Iβ]が0.1未満であることを特徴とする請求項1に記載の低熱膨張性粒子に関する。
第3観点として、平均粒径(D50)が0.1~100μmであることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の低熱膨張性粒子に関する。
第4観点として、水溶性ジルコニウム塩、水溶性硫酸塩及び水溶性リン酸塩の混合水溶液を調製する第1工程と、前記混合水溶液を乾燥する第2工程と、750℃以上1000℃以下の温度で焼成する第3工程とを含み、前記第3工程では、前記混合物中のジルコニウム原子:硫黄原子:リン原子のモル比(Zr:S:P)が2:x:y(x≧0.25、1.5≦y≦2.5)にある中で前記焼成すること、を特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の低熱膨張性粒子の製造方法に関する。
第5観点として、前記水溶性ジルコニウム塩として、ジルコニウムのアンモニウム塩を用いることを特徴とする請求項4に記載の低熱膨張性粒子の製造方法に関する。
第6観点として、前記水溶性硫酸塩として、硫酸のアンモニウム塩を用いることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の低熱膨張性粒子の製造方法に関する。
第7観点として、前記水溶性リン酸塩として、リン酸のアンモニウム塩を用いることを特徴とする請求項4~6のいずれか一項に記載の低熱膨張性粒子の製造方法に関する。
第8観点として、前記第2工程で、前記モル比(Zr:S:P)が2:x:y(x≧0.25、1.5≦y≦2.5)である水溶液を、50℃以上350℃未満で噴霧乾燥する第1手法、凍結乾燥する第2手法、350℃以上1000℃未満で噴霧熱分解する第3手法、を用いることを特徴とする請求項4~7のいずれか一項に記載の低熱膨張性粒子の製造方法に関する。
第9観点として、前記第3工程後に、さらに粉砕する第4工程を行うことを特徴とする請求項4~8のいずれか一項に記載の低熱膨張性粒子の製造方法に関する。
第10観点として、前記第4工程後に、さらに焼成する第5工程を行うことを特徴とする請求項4~9のいずれか一項に記載の低熱膨張性粒子の製造方法に関する。
第11観点として、エポキシ樹脂と、硬化剤と、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の低熱膨張性粒子とを含むことを特徴とするエポキシ樹脂組成物に関する。
第12観点として、エポキシ樹脂組成物の全成分の合計100質量部に対して、前記低熱膨張性粒子が30~90質量部であることを特徴とする請求項11に記載のエポキシ樹脂組成物に関する。
本発明によれば、水溶性原料を用いた合成法を利用して、コンポジットレジンのCTEを低減させるのに有利なβ-リン酸硫酸ジルコニウムを主成分として含む低熱膨張性粒子を製造する方法を提供することができる。かかる製造方法により得られた低熱膨張性粒子は、半導体封止材料やアンダーフィリング等のフィラーとして好適に使用できる。
本発明に係る低熱膨張性粒子について説明する。以下の説明は、本発明の一態様を示すものであり、本発明の趣旨の範囲内で任意に変更できる。
本発明のβ-リン酸硫酸ジルコニウム粒子を主成分として含む低熱膨張性粒子は、ジルコニウム原子、硫黄原子、リン原子のモル比(Zr:S:P)が以下の範囲で含有することができる。
ジルコニウム原子2モルに対する硫黄原子の含有量は、0.03~0.35、又は0.05~0.35の範囲で含むことができる。硫黄原子の含有量が0.03モルより低いとZr相やZrP相が生成しやすくなり、コンポジットレジンのCTEを低減させることが難しくなる可能性がある。また、硫黄原子の含有量が0.35モルより高いとβ-リン酸硫酸ジルコニウム粒子中に硫酸根が残存して酸性度が高くなり、樹脂に配合した場合に樹脂を劣化させる原因となる。
ジルコニウム原子2モルに対するリン原子の含有は、1.2~2.0、又は1.2~1.6の範囲で含むことができる。リン原子の含有量が1.2モルより低いとβ-リン酸硫酸ジルコニウムの構造を保つことが難しくなる。また、リン原子の含有量が2.0モルより高いとβ-リン酸硫酸ジルコニウム粒子中にリン酸根が残存して酸性度が高くなり、樹脂に配合した場合に樹脂を劣化させる原因となる。
また、本発明のリン酸硫酸ジルコニウム粒子はβ-リン酸硫酸ジルコニウムが主結晶相であり、Zr相の(011)面に帰属するX線回折ピーク強度Iαと、β-リン酸硫酸ジルコニウム相の(022)面に帰属するX線回折ピーク強度Iβと、の比[Iα/Iα + Iβ]が0.1未満であることを特徴とするβ-リン酸硫酸ジルコニウム粒子である。
Zr相の(011)面に帰属するX線回折ピーク強度Iαと、β-リン酸硫酸ジルコニウム相の(022)面に帰属するX線回折ピーク強度Iβと、の比[Iβ/Iα + Iβ]が0.1以上では、該粒子を樹脂に配合したコンポジットレジンのCTEを低減させる効果が不十分になるおそれがある。
比Iα/Iα + Iβは、その値が小さいほどβ-リン酸硫酸ジルコニウム相の割合が高いことを示す指標となるものである。なお、比Iβ/Iα + Iβを算出するための装置や手法の一例は、実施例の通りである。
回折ピークは、例えば、ICDD(international centre for diffraction data)のデータベース「PDF-2」を使用し、α-ZrSP12相はPDF No.00-038-0489、β-ZrSP12相はPDF No.01-084-1427、Zr相はPDF No.01-076-4744を参照して生成相の帰属を行うことができる。
また、樹脂組成物と粉末との混合時の作業性を良くするためには、平均粒径が0.1~100μm以下であることが必要であり、0.1~30μm以下であることが好ましく、より高い機械的強度を得るためには0.5~10μm以下であることがより好ましい。
本発明のβ-リン酸硫酸ジルコニウム粒子を主成分として含む低熱膨張性粒子の製造方法は、水溶性ジルコニウム塩、水溶性モリブデン塩及び水溶性リン酸塩を混合する第1工程と、混合後の混合物を750℃以上1000℃未満の温度で焼成する第3工程と、を含み、第3工程では、該混合物中のジルコニウム原子:硫黄原子:リン原子のモル比(Zr:S:P)が2:x:y(x≧0.25、1.5≦y≦2.5)にある中で焼成するものである。
リン酸硫酸ジルコニウムの生成相には、α-リン酸硫酸ジルコニウムと、β-リン酸硫酸ジルコニウムが挙げられ、副生成相としてZr相やZrP相がある。α-リン酸硫酸ジルコニウムと、β-リン酸硫酸ジルコニウムの何れも大きな負のCTEを有するのに対して、Zr相、ZrP相は正のCTEを有する。従って、リン酸硫酸ジルコニウム粒子を添加してコンポジットレジンのCTEを低減させる効果(CTE低減効果)の観点では、仕込みの組成及び焼成条件を制御することにより、リン酸硫酸ジルコニウム粒子の生成相において、副生成相の割合が少ないことが望ましい。
この点、本発明の製造方法によれば、β-リン酸硫酸ジルコニウム相を主成分として含む低熱膨張性粒子を得ることができる。特に、Zr相の(011)面に帰属するX線回折ピーク強度Iαと、β-リン酸硫酸ジルコニウム相の(022)面に帰属するX線回折ピーク強度Iβと、の比[Iβ/Iα + Iβ]が0.1未満であるβ-リン酸硫酸ジルコニウムを主成分として含む低熱膨張性粒子を得ることができる。
まず、本発明に係る製造方法は、水溶性ジルコニウム塩、水溶性硫酸塩及び水溶性リン酸塩を混合する第1工程を有する。水溶性ジルコニウム塩、水溶性硫酸塩及び水溶性リン酸塩を含有する混合水溶液を調製する場合、上記の塩である固体原料のまま所定の溶液に溶解させて該混合水溶液とすることもでき、上記の塩を予め水溶液とした上でこれらの水溶液同士を混合することもできる。
水溶性ジルコニウム塩としては、例えば、25℃の水に1質量%以上溶解するジルコニウム塩であり、炭酸ジルコニウムアンモニウム、酢酸ジルコニル、及び硝酸ジルコニルが挙げられる。これらは、単独で用いることができるし、相溶性に問題がない範囲で2種以上を混合して用いることもできる。ただ、混合水溶液の安定性の観点からは、アンモニウム塩(炭酸ジルコニウムアンモニウム)を単独で用いることが好ましい。アンモニウム塩であれば、他の強酸塩と比べ、混合水溶液への溶解性も確保される。塩化ジルコニルを用いた場合、焼成後にも塩化物の残存の原因になるので好ましくない。
水溶性硫酸塩としては、例えば、25℃の水に1質量%以上溶解する硫酸塩であり、硫酸アンモニム、硫酸水素アンモニウムが挙げられ、これらは、単独で用いることができるし、相溶性に問題がない範囲で2種以上を混合して用いることもできる。硫酸をアンモニアで中和して用いても良い。
水溶性リン酸塩としては、例えば、25℃の水に1質量%以上溶解するリン酸塩であり、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸三アンモニム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、及びリン酸三ナトリウムが挙げられる。これらは、単独で用いることができるし、相溶性に問題がない範囲で2種以上を混合して用いることもできる。しかし、電子デバイス用途で使用されるフィラーはアルカリ金属を含まないことが望ましいため、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸三アンモニムを好ましく用いることができる。また、リン酸をアンモニアで中和して用いても良い。
ここで、上記の第1工程で水溶性ジルコニウム塩、水溶性硫酸塩及び水溶性リン酸塩を含有した混合水溶液を、第2工程で乾燥することができる。このような第2工程を実施することで、ジルコニウム原子、硫黄原子及びリン原子の混合均一性を確保しやすくなる。かかる乾燥の手法としては、例えば、後述する噴霧乾燥や凍結乾燥が挙げられる。このような乾燥を経ることで、その後の第3工程とあわせて、ジルコニウム原子、硫黄原子及びリン原子の混合均一性を確保しやすくなる。なお、乾燥の手法としては、後述する噴霧熱分解も挙げられる。
また、本発明に係る製造方法は、水溶性ジルコニウム塩、水溶性硫酸塩及び水溶性リン酸塩を混合後の混合物を、750℃以上1000℃以下の温度で焼成する第3工程を有する。ここでの混合物には、上記の混合水溶液や、混合水溶液を乾燥させた乾燥物が含まれる。
混合物の焼成は、大気中又は酸化雰囲気中の温度が750℃以上1000℃以下の範囲であり、好ましくは、800℃以上1000℃以下の範囲である。焼成時の温度が上記の温度以上の場合、β-ZrSP12相が熱分解し、Zr相に変化する恐れが生じる。一方、焼成時の温度が上記の温度未満の場合、水溶性ジルコニウム塩、水溶性硫酸塩及び水溶性リン酸塩が十分に反応し難くなる恐れが生じ、この場合、β-ZrSP12相が生成し難くなる。この焼成は、通常0.5~30時間行われる。
また、焼成の前に、余剰の硫酸アンモニウムの分解を促進するため、大気中又は酸化雰囲気中で350℃以上500℃未満の範囲で仮焼成しても良い。この仮焼成は、通常0.5~30時間行われる。
更に、本発明に係る製造方法は、上記の第3工程で、混合物中のジルコニウム原子:硫黄原子:リン原子のモル比(Zr:S:P)が2:x:y(x≧0.25、1.5≦y≦2.5)にある中で焼成するものである。
混合物中の硫黄原子のモル比は、ジルコニウム原子2モルに対して、0.25以上含むことができ、又は0.25~2.5モル、又は0.25~2.0モル、又は0.25~1.5モル含むことができる。
混合物中のリン原子のモル比は、ジルコニウム原子2モルに対して、1.5~2.5モル含むことができ、又は1.5~2.0モル含むことができる。
言い換えれば、水溶性ジルコニウム塩、水溶性硫酸塩及び水溶性リン酸塩を混合した該混合時のモル比の如何に関わらず、焼成前の時点で、上記のモル比が実現されるようにする。
ジルコニウム原子及び硫黄原子に対してリン原子が過剰に存在すると、製造されるリン酸硫酸ジルコニウムの生成相において、Zr相が生成しやすくなる。一方、ジルコニウム原子に対してリン原子が不足すると、ZrO相とβ-リン酸硫酸ジルコニウム相との混相になるおそれがある。
ジルコニウム原子及びリン原子に対して硫黄原子が過剰に存在するときは、余剰の硫酸成分は分解を伴いながら揮発するだけであり、高純度なβ-リン酸硫酸ジルコニウム相を得ることができるが、ジルコニウム原子及びリン原子に対して硫黄原子が不足するとβ-リン酸硫酸ジルコニウム相が得られない。
なお、混合物中のジルコニウム原子の一部は、CTE低減効果が得られる範囲において、ハフニウム原子で置換されていてもよい。
第3工程では、例えば、第1手法にて、モル比(Zr:S:P)が2:x:y(x≧0.25、1.5≦y≦2.5)である混合水溶液を噴霧乾燥して得られた乾燥物(混合物)を、上記の温度範囲で焼成する方法が挙げられる。噴霧乾燥は上記の第2工程で行うことができる。噴霧乾燥にあたっては、水溶液における均一な混合状態を維持したまま噴霧して乾燥可能なスプレードライヤー、又はそれに準じた噴霧乾燥装置を用いることができる。
スプレードライヤー又はそれに準じた噴霧乾燥装置で乾燥する際の温度雰囲気は、50℃以上350℃未満であり、使用する水溶性ジルコニウム塩、水溶性硫酸塩及び水溶性リン酸塩の分解温度以下であることが好ましい。乾燥する際の雰囲気は特に限定されず、大気中、酸化雰囲気中、還元雰囲気中、又は不活性雰囲気中の何れでもよい。
また、第3工程では、例えば、第2手法にて、モル比(Zr:S:P)が2:x:y(x≧0.25、1.5≦y≦2.5)である水溶液を凍結乾燥して得られた乾燥物(混合物)を、上記の温度範囲で焼成する方法を挙げることができる。凍結乾燥は上記の第2工程で行うことができる。ここでの凍結乾燥には、真空凍結乾燥すなわちフリーズドライが含まれる。フリーズドライで使用可能な冷媒としては、ドライアイスとメタノールの混合媒体や、液体窒素等が挙げられる。
更に、第3工程では、例えば、第3手法にて、モル比(Zr:S:P)が2:x:y(x≧0.25、1.5≦y≦2.5)である混合水溶液を所定の温度範囲で噴霧熱分解し焼成する方法を挙げることができる。噴霧熱分解によれば、第2工程での乾燥と仮焼成とが同工程で行われる。噴霧熱分解によれば、水溶性ジルコニウム塩、水溶性モリブデン塩及び水溶性リン酸塩を混合した混合水溶液を霧化させ、加熱炉に噴霧することで、乾燥及び仮焼成を同時に行うことができる。噴霧熱分解での温度雰囲気は、例えば500℃以上1000℃未満であり、これによれば噴霧熱分解を好適に行うことができる。
本発明に係る製造方法は、 第3工程の後に、粒子径の微細化を目的に第4工程として粉砕処理工程を行うことができる。粉砕処理工程は、乾式又は湿式にて行うことができる。乾式粉砕方法として、ハンマーミル、ピンミル等の衝撃粉砕機、解砕機等の摩砕粉砕機、ジェットミル等の気流宇粉砕機等の公知の方法を用いることができる。
また、湿式粉砕方法として、前記β-リン酸硫酸ジルコニウム粒子を主成分として含む低熱膨張性粒子を水や有機溶媒等の分散媒に分散させてスラリーを調整した後、ビーズミル、サンドミル、ディスパー、ペイントシェイカー等の公知の方法を用いることができる。湿式粉砕処理を施すスラリーは、固形分濃度として1~8質量%、又は10~60質量%にて行うことができる。湿式粉砕にて用いられる粉砕メディアは、アルミナ、ジルコニア、ガラスビーズなどが挙げられる。
また、本発明に係る製造方法は、第4工程にて粉砕の衝撃により生じた結晶性の低下を回復、若しくは向上させることを目的に、第5工程として焼成工程を行うことができる。焼成工程は、大気中又は酸化雰囲気中にて600~1000℃、又は600~800℃の間で行うことができる。焼成装置は、焼成時間は、1~24時間、又は1~10時間行うことができる。
本発明のβ-リン酸硫酸ジルコニウム粒子を含む低熱膨張性粒子は、エポキシ樹脂や硬化剤などと組み合わせてエポキシ樹脂組成物を得ることができる。
エポキシ樹脂は、公知のエポキシ樹脂を用いることができる。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、アミノフェノール型エポキシ樹脂、水添ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、アルコールエーテル型エポキシ樹脂、環状脂肪族型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、シロキサン系エポキシ樹脂などが挙げられる。また、エポキシ等量は粘度調整の観点から、80~250g/eqであることが好ましい。市販品として、DIC製ビスフェノールF型エポキシ樹脂(品名:EXA-830LVP、EXA-830CRP)、三菱化学製ビスフェノールF型エポキシ樹脂(グレード:jER-806)、新日鐵化学製ビスフェノールF型エポキシ樹脂(品名:YDF-8170C、YDF-870GS)、三菱化学製アミノフェノール型エポキシ樹脂(グレード:jER-630、jER-630LSD)、DIC製ナフタレン型エポキシ樹脂(品名:HP-4032D)、モメンティブ・パフォーマンス製シロキサン系エポキシ樹脂(品名:TSL-9906)、新日鐵化学株式会社製1,4-シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル(品名:ZX-1658GS)等が挙げられる。なお、これらは単独で用いても2種以上を併用して良い。
硬化剤は、エポキシ樹脂の硬化剤であれば、特に限定されず、公知のものを使用することができる。例えば、酸無水物系の硬化剤、アミン系硬化剤及びフェノール系硬化剤のいずれも使用することができる。
酸無水物系硬化剤の具体例としては、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルナジック酸無水物、水素化メチルナジック酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸二無水物、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、グリセリンビス(アンヒドロトリメリテート)モノアセテート、ドデセニル無水コハク酸、脂肪族二塩基酸ポリ無水物、クロレンド酸無水物、メチルブテニルテトラヒドロフタル酸無水物、アルキル化テトラヒドロフタル酸無水物、メチルハイミック酸無水物、アルケニル基で置換されたコハク酸無水物、グルタル酸無水物等が挙げられる。
アミン系硬化剤の具体例としては、トリエチレンテトラアミン、テトラエチレンペンタミン、m-キシレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、2-メチルペンタメチレンジアミンなどの脂肪族ポリアミン、イソフォロンジアミン、1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、ノルボルネンジアミン、1,2-ジアミノシクロヘキサンなどの脂環式ポリアミン、N-アミノエチルピペラジン、1,4-ビス(2-アミノ-2-メチルプロピル)ピペラジンなどのピペラジン型のポリアミン、ジエチルトルエンジアミン、ジメチルチオトルエンジアミン、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジエチルジフェニルメタン、ビス(メチルチオ)トルエンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、m-フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン、ジエチルトルエンジアミン、トリメチレンビス(4-アミノベンゾエート)、ポリテトラメチレンオキシド-ジ-p-アミノベンゾエートなどの芳香族ポリアミン類が挙げられる。
フェノール系の硬化剤の具体例としては、フェノール性水酸基を有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般を指し、フェノールノボラック樹脂およびそのアルキル化物またはアリル化物、クレゾールノボラック樹脂、フェノールアラルキル(フェニレン、ビフェニレン骨格を含む)樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、トリフェノールメタン樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂等が挙げられる。樹脂組成物をアンダーフィル材として使用する場合には、液状のフェノール系硬化剤が好ましい。液状の市販品としては、明和化成製フェノール硬化剤(品名:MEH-8000H、MEH-8005)等が挙げられる。市販品としては、エタキュア100プラス(アルベマール日本株式会社製)、ロンザキュアDETDA80(ロンザジャパン株式会社製)、カヤハードA-A(日本化薬株式会社製)等が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物において、硬化剤の配合割合は特に限定されず、エポキシ樹脂のエポキシ基1等量に対して、0.5~1.6等量であることが好ましく、0.6~1.3等量であることが好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物において、エポキシ樹脂組成物の全成分の合計100質量部に対して、β-リン酸硫酸ジルコニウムを主成分として含む低熱膨張性粒子の含有量30~90質量部、又は40~70質量部である。低熱膨張性粒子の含有量が30質量部未満の場合、エポキシ樹脂組成物の線熱膨張係数を低減することができず、ボンディングの破壊を引き起こす可能性がある。また、β-リン酸硫酸ジルコニウムの含有量が90質量部より大きい場合、エポキシ樹脂組成物の粘度が増加し、ハンドリング性が悪化する。
また、本発明のエポキシ樹脂組成物は、固形分濃度の調整、流動性の付与などの目的に有機溶媒を含有することができる。 使用される溶媒としては、エポキシ樹脂組成物に含まれる各成分を溶解又は分散できる溶媒であれば限定されず、例えば、有機溶媒である。
上記有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ類、エチレングリコール等のグリコール類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、ジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、及びN,N-ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン等が挙げられる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を説明するが、本発明は、これらの例に限定されるものではない。実施例及び比較例中、各種の評価は、それぞれ以下の通り行った。
(レーザー回折法による分散粒子径の測定)
マルバーン社製のレーザー回折式粒度分布測定装置マスターサイザー2000を用いて、分散粒子径d50(レーザー回折法による分散粒子径d50)を測定した。測定にあたり、β-リン酸硫酸ジルコニウム乾燥粉末を水散媒に添加し、装置内で循環させながら超音波を1分間照射した。屈折率を1.70、吸収係数(虚数部)を0として算出される平均粒子径を採用した。
(X線回折分析)
リガク社製X線回折装置MiniFlex600を用いて、X線源;Cu、電圧;40kV、電流;15mAで、ステップ幅;0.02°、スキャン速度;10°/分、発散角スリット(DS);0.625°、散乱スリット(SS);8.0mm、受光スリット(RS);OPEN、入射ソーラースリット;2.5°、受光ソーラースリット;2.5°の条件で測定し、X線回折データを得た。
(X線回折強度)
各試料のX線回折データを、解析ソフトPDXL-2を用いて、自動設定によるバックグラウンド処理を実施し、X線回折強度を測定した。2θ=28.4°近傍に出現するβ-ZrSP12相の第二最強線(022)面の回折ピークの強度(単位はcounts)を採用した。
また、ZrSP12相とZr相との混相の場合、2θ=16.1°付近に出現するZr相の(011)面の回折ピーク強度Iαと、2θ=28.4°付近に出現するβ-ZrSP12相の最強線(022)面の回折ピーク強度Iβと、の比Iβ/Iα + Iβを算出した。
(結晶子径の算出)
各試料のX線回折データを、解析ソフトPDXL-2を用いて、自動設定によるバックグラウンド処理を実施し、シェラーの式に基づいて結晶子径を算出した。(022)面に垂直方向の結晶子径を採用した。
(組成分析)
リガク社製蛍光X線分析装置Supermini200を用いて、FP法による粒子の組成分析を行った。各元素の含有量は酸化物(ZrO2、SO3、P)に換算し合計が100質量%になるよう算出した。その後、ジルコニウム原子、硫黄原子、リン原子のモル比に換算した。
(エポキシ樹脂組成物の粘度)
アントンパール社のレオメーター「MCR302」を使用し、熱硬化前のエポキシ樹脂組成物の粘度を測定した。測定治具としてコーンプレート型のCP25-2を使用し、温度25℃、せん断速度100s-1における粘度を採用した。
(熱膨張係数)
TAインスツルメント社の熱機械分析装置「TMA Q400」を使用した。エポキシ樹脂組成物を加熱硬化させ、5mm角×厚み3mmの直方体に成形した硬化物について、室温から毎分5℃で昇温し、厚み方向の試料長変化(硬化物の長さ変化)から線熱膨張係数を算出した。なお、30~70℃における線熱膨張係数の平均値をCTE1とし、170~200℃における線熱膨張係数の平均値をCTE2とした。
(弾性率)
TAインスツルメント社の動的粘弾性測定装置「DMA Q800」を使用した。エポキシ樹脂組成物を加熱硬化させ、幅10mm×長さ60mm×厚み3mmの直方体に成形した硬化物について、30℃における弾性率を測定した。
(ガラス転移温度(Tg))
熱機械分析(TMA法)では、試料長変化の変曲点に相当する温度をガラス転移温度とした。
[実施例1]
炭酸ジルコニウムアンモニウム水溶液(日本軽金属社製、製品名;ベイコート20、酸化ジルコニウム濃度19.6質量%相当)377.1g(Zrとして0.60mol)を純水815.1gで希釈した水溶液に、リン酸水素二アンモニウム79.23g(Pとして0.60mol)、硫酸アンモニウム39.6g(Sとして0.30mol)、純水1500gとを添加し、混合水溶液を調製した。調製した混合水溶液のpHは9.2、電気伝導度は44.2mS/cmであった。
この混合水溶液をスプレードライヤー(パルビスミニスプレーGB210-A型、ヤマト科学社製)を使用して、入口温度180℃、噴霧圧0.15MPa、風量0.55m3/分、混合水溶液の送液速度400g/時の条件で乾燥させ、乾燥粉を得た。このときの出口温度は70±5℃であった。得られた乾燥粉高純度アルミナ製匣鉢に入れ、電気炉を使用して大気中において400℃で4時間の仮焼成した後、800℃で4時間の本焼成することにより焼成粉末を得た。
得られた粉末をX線回折分析により同定したところ、生成相はβ-ZrSP12(PDF No.01-084-1427)に帰属される単相からなり、2θ=28.4°付近に出現する(022)面の回折ピークの強度Iβは1432counts、算出される結晶子径は544Åであった。レーザー回折法による分散粒子径D50は5.02μmであった。また、蛍光X線による組成分析では、ジルコニウム原子、硫黄原子、リン原子のモル比(Zr:S:P)は2.0:0.22:1.6であった。
[実施例2]
炭酸ジルコニウムアンモニウム水溶液(日本軽金属社製、製品名;ベイコート20、酸化ジルコニウム濃度19.6質量%相当)377.1g(Zrとして0.60mol)を純水717.8gで希釈した水溶液に、リン酸水素二アンモニウム79.23g(Pとして0.60mol)、96%硫酸61.3g(Sとして0.60mol)、27%アンモニア水75.6g、純水1500gとを添加し、混合水溶液を調製した。調製した混合水溶液のpHは9.3、電気伝導度は53.7mS/cmであった。
この混合水溶液をスプレードライヤー(パルビスミニスプレーGB210-A型、ヤマト科学社製)を使用して、入口温度180℃、噴霧圧0.15MPa、風量0.55m3/分、混合水溶液の送液速度400g/時の条件で乾燥させ、乾燥粉を得た。このときの出口温度は70±5℃であった。得られた乾燥粉高純度アルミナ製匣鉢に入れ、電気炉を使用して大気中において400℃で4時間の仮焼成した後、800℃で4時間の本焼成することにより焼成粉末を得た。
得られた粉末をX線回折分析により同定したところ、生成相はβ-ZrSP12(PDF No.01-084-1427)に帰属される単相からなり、2θ=28.4°付近に出現する(022)面の回折ピークの強度Iβは1141counts、算出される結晶子径は413Åであった。レーザー回折法による分散粒子径D50は9.05μmであった。また、蛍光X線による組成分析では、ジルコニウム原子、硫黄原子、リン原子のモル比(Zr:S:P)は2.0:0.13:1.3であった。
[実施例3]
本焼成を900℃、4時間に変更した以外は実施例1と同様に行った。得られた粉末をX線回折分析により同定したところ、生成相はβ-ZrSP12(PDF No.01-084-1427)に帰属される単相からなり、2θ=28.4°付近に出現する(022)面の回折ピークの強度Iβは2541counts、算出される結晶子径は545Åであった。レーザー回折法による分散粒子径D50は5.32μmであった。また、蛍光X線による組成分析では、ジルコニウム原子、硫黄原子、リン原子のモル比(Zr:S:P)は2.0:0.16:1.5であった。
[実施例4]
本焼成を900℃、4時間に変更した以外は実施例2と同様に行った。得られた粉末をX線回折分析により同定したところ、生成相はβ-ZrSP12(PDF No.01-084-1427)に帰属される単相からなり、2θ=28.4°付近に出現する(022)面の回折ピークの強度Iβは1756counts、算出される結晶子径は418Åであった。レーザー回折法による分散粒子径D50は8.87μmであった。また、蛍光X線による組成分析では、ジルコニウム原子、硫黄原子、リン原子のモル比(Zr:S:P)は2.0:0.11:1.4であった。
[実施例5]
炭酸ジルコニウムアンモニウム水溶液(日本軽金属社製、製品名;ベイコート20、酸化ジルコニウム濃度19.6質量%相当)377.1g(Zrとして0.60mol)を純水820.5gで希釈した水溶液に、リン酸水素二アンモニウム79.23g(Pとして0.60mol)、96%硫酸15.3g(Sとして0.15mol)、27%アンモニア水18.9g、純水1500gとを添加し、混合水溶液を調製した。調製した混合水溶液のpHは9.3、電気伝導度は53.7mS/cmであった。
この混合水溶液をスプレードライヤー(パルビスミニスプレーGB210-A型、ヤマト科学社製)を使用して、入口温度180℃、噴霧圧0.15MPa、風量0.55m3/分、混合水溶液の送液速度400g/時の条件で乾燥させ、乾燥粉を得た。このときの出口温度は70±5℃であった。得られた乾燥粉高純度アルミナ製匣鉢に入れ、電気炉を使用して大気中において400℃で4時間の仮焼成した後、900℃で4時間の本焼成することにより焼成粉末を得た。
得られた粉末をX線回折分析により同定したところ、生成相はβ-ZrSP12(PDF No.01-084-1427)に帰属される単相からなり、2θ=28.4°付近に出現する(022)面の回折ピークの強度Iβは2547counts、算出される結晶子径は560Åであった。レーザー回折法による分散粒子径D50は5.25μmであった。また、蛍光X線による組成分析では、ジルコニウム原子、硫黄原子、リン原子のモル比(Zr:S:P)は2.0:0.10:1.4であった。
[実施例6]
炭酸ジルコニウムアンモニウム水溶液(日本軽金属社製、製品名;ベイコート20、酸化ジルコニウム濃度19.6質量%相当)377.1g(Zrとして0.60mol)を純水837.6gで希釈した水溶液に、リン酸水素二アンモニウム79.23g(Pとして0.60mol)、96%硫酸7.65g(Sとして0.075mol)、27%アンモニア水9.45g、純水1500gとを添加し、混合水溶液を調製した。調製した混合水溶液のpHは9.3、電気伝導度は53.7mS/cmであった。
この混合水溶液をスプレードライヤー(パルビスミニスプレーGB210-A型、ヤマト科学社製)を使用して、入口温度180℃、噴霧圧0.15MPa、風量0.55m3/分、混合水溶液の送液速度400g/時の条件で乾燥させ、乾燥粉を得た。このときの出口温度は70±5℃であった。得られた乾燥粉高純度アルミナ製匣鉢に入れ、電気炉を使用して大気中において400℃で4時間の仮焼成した後、900℃で4時間の本焼成することにより焼成粉末を得た。
得られた粉末をX線回折分析により同定したところ、生成相はβ-ZrSP12(PDF No.01-084-1427)に帰属される単相からなり、2θ=28.4°付近に出現する(022)面の回折ピークの強度Iβは1019counts、算出される結晶子径は487Åであった。レーザー回折法による分散粒子径D50は3.42μmであった。また、蛍光X線による組成分析では、ジルコニウム原子、硫黄原子、リン原子のモル比(Zr:S:P)は2.0:0.06:1.4であった。
[実施例7]
炭酸ジルコニウムアンモニウム水溶液(日本軽金属社製、製品名;ベイコート20、酸化ジルコニウム濃度19.6質量%相当)377.1g(Zrとして0.60mol)を純水837.6gで希釈した水溶液に、リン酸水素二アンモニウム79.23g(Pとして0.60mol)、96%硫酸3.83g(Sとして0.0375mol)、27%アンモニア水4.72g、純水1500gとを添加し、混合水溶液を調製した。調製した混合水溶液のpHは9.3、電気伝導度は40.7mS/cmであった。
この混合水溶液をスプレードライヤー(パルビスミニスプレーGB210-A型、ヤマト科学社製)を使用して、入口温度180℃、噴霧圧0.15MPa、風量0.55m3/分、混合水溶液の送液速度400g/時の条件で乾燥させ、乾燥粉を得た。このときの出口温度は70±5℃であった。得られた乾燥粉高純度アルミナ製匣鉢に入れ、電気炉を使用して大気中において400℃で4時間の仮焼成した後、900℃で4時間の本焼成することにより焼成粉末を得た。
得られた粉末をX線回折分析により同定したところ、β-ZrSP12(PDF No.01-084-1427)およびZr(PDF No.01-076-4744)に帰属される回折が観測された。2θ=28.4°付近に出現するβ-ZrSP12相の(022)面の回折ピークの強度Iβは1666counts、算出される結晶子径は518Åであった。また、2θ=16.1°付近に出現するZr相の(011)面の回折ピークの強度Iαは253counts、算出される結晶子径は459Åであり、Iα/Iα+Iβは0.13であった。レーザー回折法による分散粒子径D50は3.99μmであった。また、蛍光X線による組成分析では、ジルコニウム原子、硫黄原子、リン原子のモル比(Zr:S:P)は2.0:0.03:1.5であった。
[実施例8]
本焼成を1000℃、4時間に変更した以外は実施例1と同様に行った。得られた粉末をX線回折分析により同定したところ、β-ZrSP12(PDF No.01-084-1427)およびZr(PDF No.01-076-4744)に帰属される回折が観測された。2θ=28.4°付近に出現するβ-ZrSP12相の(022)面の回折ピークの強度Iβは2180counts、算出される結晶子径は576Åであった。また、2θ=16.1°付近に出現するZr相の(011)面の回折ピークの強度Iαは1202counts、算出される結晶子径は421Åであり、Iα/Iα+Iβは0.36であった。レーザー回折法による分散粒子径D50は8.50μmであった。また、蛍光X線による組成分析では、ジルコニウム原子、硫黄原子、リン原子のモル比(Zr:S:P)は2.0:0.12:1.5であった。
[比較例1]
炭酸ジルコニウムアンモニウム水溶液(日本軽金属社製、製品名;ベイコート20、酸化ジルコニウム濃度19.6質量%相当)377.1g(Zrとして0.60mol)を純水854.7gで希釈した水溶液に、リン酸水素二アンモニウム79.23g(Pとして0.60mol)、純水1500gとを添加し、混合水溶液を調製した。調製した混合水溶液のpHは9.2、電気伝導度は44.2mS/cmであった。
この混合水溶液をスプレードライヤー(パルビスミニスプレーGB210-A型、ヤマト科学社製)を使用して、入口温度180℃、噴霧圧0.15MPa、風量0.55m3/分、混合水溶液の送液速度400g/時の条件で乾燥させ、乾燥粉を得た。このときの出口温度は70±5℃であった。得られた乾燥粉高純度アルミナ製匣鉢に入れ、電気炉を使用して大気中において400℃で4時間の仮焼成した後、900℃で4時間の本焼成することにより焼成粉末を得た。
得られた粉末をX線回折分析により同定したところ、非晶質であり、β-ZrSP12(PDF No.01-084-1427)に帰属される回折は観測されなかった。
[比較例2]
本焼成を600℃、4時間に変更した以外は実施例1と同様に行った。得られた粉末をX線回折分析により同定したところ、非晶質であり、β-ZrSP12(PDF No.01-084-1427)に帰属される回折は観測されなかった。レーザー回折法による分散粒子径D50は5.11μmであった。また、蛍光X線による組成分析では、ジルコニウム原子、硫黄原子、リン原子のモル比(Zr:S:P)は2.0:0.36:1.6であった。
[比較例3]
本焼成を700℃、24時間に変更した以外は実施例1と同様に行った。得られた粉末をX線回折分析により同定したところ、生成相はβ-ZrSP12(PDF No.01-084-1427)に帰属される単相からなり、2θ=28.4°付近に出現する(022)面の回折ピークの強度Iβは78countsであり、非常に結晶性が低かった。レーザー回折法による分散粒子径D50は4.78μmであった。また、蛍光X線による組成分析では、ジルコニウム原子、硫黄原子、リン原子のモル比(Zr:S:P)は2.0:0.192:1.5であった。
実施例1~8、比較例1~3の低熱膨張性粒子の製造における原料の仕込み組成、焼成条件、及び生成物の結晶相を表1に示す。なお、表中のβ-ZSPはβ-リン酸硫酸ジルコニウム相を表す。また、実施例1~8、比較例1~3にて得られた低熱膨張性粒子の回折ピーク強度比(Iα/Iα+Iβ)、分散粒子径(D50[μm])、原子モル比(Zr:S:P)を表2に示す。
〔表1〕
表1
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仕込み組成
Zr[mol] S[mol] P[mol] 焼成条件 結晶相
実施例1 0.6 0.3 0.6 800℃4時間 β-ZSP
実施例2 0.6 0.6 0.6 800℃4時間 β-ZSP
実施例3 0.6 0.3 0.6 900℃4時間 β-ZSP
実施例4 0.6 0.6 0.6 900℃4時間 β-ZSP
実施例5 0.6 0.15 0.6 900℃4時間 β-ZSP
実施例6 0.6 0.075 0.6 900℃4時間 β-ZSP
実施例7 0.6 0.0375 0.6 900℃4時間 β-ZSP、
Zr
実施例8 0.6 0.3 0.6 1000℃4時間 β-ZSP、
Zr
比較例1 0.6 0 0.6 900℃4時間 非晶質
比較例2 0.6 0.3 0.6 600℃4時間 非晶質
比較例3 0.6 0.3 0.6 700℃24時間 β-ZSP
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〔表2〕
表2
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Iα/Iα+Iβ D50[μm] 原子モル比(Zr:S:P)
実施例1 0.01未満 5.02 2.0:0.22:1.6
実施例2 0.01未満 9.05 2.0:0.13:1.3
実施例3 0.01未満 5.32 2.0:0.16:1.5
実施例4 0.01未満 8.87 2.0:0.11:1.4
実施例5 0.01未満 5.25 2.0:0.10:1.4
実施例6 0.01未満 3.42 2.0:0.06:1.4
実施例7 0.1 3.99 2.0:0.03:1.5
実施例8 0.36 7.51 2.0:0.12:1.5
比較例1 - - -
比較例2 - 5.11 2.0:0.36:1.6
比較例3 0.01未満 4.78 2.0:0.19:1.5
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評価例に用いた(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤は、以下の通りである。
(A)ビスフェノールF型エポキシ樹脂、品名:EXA-830CRP、DIC社製、エポキシ当量159
(B)ジエチルトルエンジアミン、品名:エタキュア100プラス、アルベマール日本株式会社製
また、評価例4で用いたβ-ユークリプタイト微粒子は(1)~(6)の手順で製造した。
(1):コロイダルシリカ(スノーテックス(登録商標)OXS、日産化学工業社製、シリカ濃度10.5質量%、透過型電子顕微鏡観察による一次粒子径5nm)572.2g(SiO 1モル)に、シュウ酸アルミニウム水溶液1019.6g(Al 0.5モル)及びシュウ酸リチウム水溶液924.1g(LiO 0.5モル)を添加し、室温下で10分間撹拌して、混合液を得た。得られた混合液の比重は1.068、pHは2.0、電気伝導度は22.3mS/cmであった。
得られた混合液を、スプレードライヤー(パルビスミニスプレーGB210-A型、ヤマト科学社製)を用いて、入口温度185℃、アトマイジングエアー圧力0.14MPa、アスピレーター流量0.50m3/分、混合液の送液速度4g/分の条件で乾燥し、乾燥粉を得た。このときの出口温度は80±3℃であった。
(2):得られた乾燥粉300gをアルミナ坩堝に入れ、卓上電気炉を使用して大気中で850℃の温度で5時間焼成することにより、白色粉末103gを得た。得られた白色粉末をX線回折分析により同定したところ、β-ユークリプタイト単相であり、2θ=25°近傍に出現する最強線(102)面の回折ピーク強度は28054、結晶子径は52nmであった。窒素吸着法による一次粒子径は2.72μm、レーザー回折法による分散粒子径D50は11.2μmであった。
(3):β-ユークリプタイト粉末40g、イソプロパノール160g、φ0.5mmジルコニアビーズ900gを粉砕容器に入れ、アイメックス社製のビーズミル装置イージーナノRMB型を用いて1000rpmの条件で湿式粉砕した。5時間粉砕した後にジルコニアビーズを除去し、スラリーを回収した。
(4):次いで、(3)で回収したスラリーをナスフラスコに入れて、ロータリーエバポレーターを用いて10Torrで揮発分がなくなるまで乾燥して乾燥粉を得た。この乾燥粉をX線回折分析により同定したところ、β-ユークリプタイト単相であり、2θ=25°近傍に出現する最強線(102)面の回折ピーク強度は15361、結晶子径は40nmであった。窒素吸着法による一次粒子径は0.20μmであり、レーザー回折法による分散粒子径D50は0.39μmであった。
(5):得られた乾燥粉をアルミナ匣鉢に入れて、卓上電気炉により毎分3℃で850℃まで昇温し、5時間焼成して焼成粉を得た。得られた焼成粉をX線回折分析により同定したところ、β-ユークリプタイト単相であり、2θ=25°近傍に出現する最強線(102)面の回折ピーク強度は35714、結晶子径は61nmであった。
(6):次に、上記の(5)で得られた焼成粉を、アイシンナノテクノロジーズ社のナノジェットマイザーNJ-50を用いて、乾式粉砕し、レーザー回折法による分散粒子径d50が0.5μmのβ-ユークリプタイト微粒子を得た。
[評価例1]
EXA-830CRP 18.0g、エタキュア100プラス 5.04gを自公転式真空撹拌脱泡ミキサー(V-mini300、EME社製)で6分間混合し、実施例1のβ-リン酸硫酸ジルコニウム粒子 23.04gを加えて三本ロールミル(EXAKT M-50I)を用いて混練し、自公転式真空撹拌脱泡ミキサーで6分間混合を行い、液状エポキシ樹脂組成物を調製した。フィラーの配合量は液状エポキシ樹脂組成物中の約30体積%に相当する。得られた液状エポキシ樹脂組成物を、予め離型剤を塗布したガラス板で作製した型に注型し、120℃で2時間、165℃で5時間、185℃で2時間の加熱を行い、熱硬化させた。硬化物は適切なサイズに切出し、各種測定を行った。
[評価例2]
実施例2のβ-リン酸硫酸ジルコニウム粒子 23.04gを用いた以外は評価例1と同様に行った。
[評価例3]
実施例4のβ-リン酸硫酸ジルコニウム粒子 23.04gを用いた以外は評価例1と同様に行った。
[評価例4]
EXA-830CRP 18.0g、エタキュア100プラス 5.04gを自公転式真空撹拌脱泡ミキサー(V-mini300、EME社製)で6分間混合し、参考例に従い作製したβ-ユークリプタイト 23.04gを加えて三本ロールミル(EXAKT M-50I)を用いて混練し、自公転式真空撹拌脱泡ミキサーで6分間混合を行い、液状エポキシ樹脂組成物を調製した。フィラーの配合量は液状エポキシ樹脂組成物中の約34体積%に相当する。得られた液状エポキシ樹脂組成物を、予め離型剤を塗布したガラス板で作製した型に注型し、120℃で2時間、165℃で5時間、185℃で2時間の加熱を行い、熱硬化させた。硬化物は適切なサイズに切出し、各種測定を行った。
評価例1~4における使用フィラー種及びその添加量[vol%]、組成物物性を表3に、硬化物物性を表4に示す。なお、表中のβ-LASはβ-ユークリプタイトを表す。
〔表3〕
表3
―――――――――――――――――――――――――――
使用フィラー 組成物物性
種類 添加量 粘度
[vol%] [Pa・s]
評価例1 実施例1 30 11.8
評価例2 実施例2 30 28.5
評価例3 実施例4 30 28.4
評価例4 β-LAS 34 76.7
――――――――――――――――――――――――――――
〔表4〕
表4
――――――――――――――――――――――――――――――――
硬化物物性
弾性率 Tg CTE1 CTE2
[MPa] [℃] [ppm/K] [ppm/K]
評価例1 4882 155 40 122
評価例2 5020 149 40 125
評価例3 5113 152 39 121
評価例4 5615 154 40 127
―――――――――――――――――――――――――――――――――
本発明によるβ-ZrSP12相を主成分として含む低熱膨張性粒子は、エポキシ樹脂等にフィラーとして配合したコンポジットレジンとして効果的にCTEを低減でき、特に電子デバイス用途のフィラーとして好適に用いることができる。

Claims (12)

  1. ジルコニウム原子、硫黄原子、リン原子のモル比(Zr:S:P)が2:0.03~0.35:1.2~2.0であるβ-リン酸硫酸ジルコニウムを主成分として含むことを特徴とする低熱膨張性粒子。
  2. Zr相の(011)面に帰属するX線回折ピーク強度Iαと、β-リン酸硫酸ジルコニウム相の(022)面に帰属するX線回折ピーク強度Iβと、の比[Iα/Iα + Iβ]が0.1未満であることを特徴とする請求項1に記載の低熱膨張性粒子。
  3. 平均粒径(D50)が0.1~100μmであることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の低熱膨張性粒子。
  4. 水溶性ジルコニウム塩、水溶性硫酸塩及び水溶性リン酸塩の混合水溶液を調製する第1工程と、前記混合水溶液を乾燥する第2工程と、750℃以上1000℃以下の温度で焼成する第3工程とを含み、前記第3工程では、前記混合物中のジルコニウム原子:硫黄原子:リン原子のモル比(Zr:S:P)が2:x:y(x≧0.25、1.5≦y≦2.5)にある中で前記焼成すること、を特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の低熱膨張性粒子の製造方法。
  5. 前記水溶性ジルコニウム塩として、ジルコニウムのアンモニウム塩を用いることを特徴とする請求項4に記載の低熱膨張性粒子の製造方法。
  6. 前記水溶性硫酸塩として、硫酸のアンモニウム塩を用いることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の低熱膨張性粒子の製造方法。
  7. 前記水溶性リン酸塩として、リン酸のアンモニウム塩を用いることを特徴とする請求項4~6のいずれか一項に記載の低熱膨張性粒子の製造方法。
  8. 前記第2工程で、前記モル比(Zr:S:P)が2:x:y(x≧0.25、1.5≦y≦2.5)である水溶液を、50℃以上350℃未満で噴霧乾燥する第1手法、凍結乾燥する第2手法、350℃以上1000℃未満で噴霧熱分解する第3手法、を用いることを特徴とする請求項4~7のいずれか一項に記載の低熱膨張性粒子の製造方法。
  9. 前記第3工程後に、さらに粉砕する第4工程を行うことを特徴とする請求項4~8のいずれか一項に記載の低熱膨張性粒子の製造方法。
  10. 前記第4工程後に、さらに焼成する第5工程を行うことを特徴とする請求項9に記載の低熱膨張性粒子の製造方法。
  11. エポキシ樹脂と、硬化剤と、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の低熱膨張性粒子とを含むことを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
  12. エポキシ樹脂組成物の全成分の合計100質量部に対して、前記低熱膨張性粒子が30~90質量部であることを特徴とする請求項11に記載のエポキシ樹脂組成物。
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