JP7137061B2 - 地盤改良用杭、地盤改良体の施工方法及び地盤改良用杭のための複数の突起 - Google Patents
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Description
また特許文献3は、テーパを有する木製杭に貫入補助具を取り付けた木製支持杭を開示している。貫入保持具は嵌合輪体及び螺旋羽根からなり、該木製支持杭によれば、貫入保持具によって木製杭を締め付け拘束することにより木製杭の座屈強度が向上する。
同様の問題は、特許文献2や特許文献3が開示するようにラセン状の羽根を用いた場合でも起こり得る。すなわち、羽根を回転させたとしても、鉛直方向の圧入速度が速い場合には、ソイルセメントが羽根によって押し込まれてしまい、羽根の周囲に隙間が生じてしまう。
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態の目的は、地盤に固化材を注入して形成された改良体との間に略隙間無く芯材が沈設され、簡単な構成にて芯材の水平耐力の低下を防止可能な地盤改良用杭、地盤改良体の施工方法及び地盤改良用杭のための複数の突起を提供することにある。
地盤に固化材を注入して形成される改良体に沈設される筒状の芯材と、
前記芯材の外周に取り付けられる複数の突起であって、前記芯材の軸線方向に相互に離間するとともに前記芯材の径方向にそれぞれ突出する複数の突起と、を備え、
前記突起は、前記突起内に連通路を区画する骨格を含み、
前記連通路は、前記芯材の軸線方向にて前記突起の両側を連通し、
前記骨格は、前記芯材の軸線方向及び周方向に延在して前記芯材の径方向にて前記連通
路の外側を区画する外壁部を有する。
前記外壁部は、前記芯材の径方向にて前記外壁部を貫通する少なくとも1つの貫通孔を有する。
上記構成(2)によれば、外壁部に貫通孔を設けることで、改良体が貫通孔に充填されて改良体との間でのせん断耐力が大きくなり、改良体内での突起の付着抵抗力を大きくすることができる。
前記骨格は、前記連通路の開口を部分的に覆う端壁を更に有する。
上記構成(3)によれば、連通路の開口を部分的に覆う端壁を設けたことで、改良体内での突起の支圧抵抗力を高めることができる。
前記端壁は、前記芯材の径方向にて、前記連通路の前記外壁部側の領域を覆っており、前記連通路は、前記芯材の径方向にて、前記端壁よりも内側に開口を有する。
上記構成(4)によれば、連通路が、芯材の径方向にて端壁よりも芯材の近くに開口を有することで、連通路の径方向内側での改良体の流れを確保することができる。このため、突起の上方にて芯材の近傍に隙間が発生することを確実に防止することができる。
前記芯材はコンクリートによって構成され、
前記突起は前記芯材とは異なる材料によって構成されている。
上記構成(5)によれば、芯材がコンクリート製の場合、芯材と一体に突起を成形するのは困難であるが、突起をコンクリート以外の材料で構成すれば、突起を容易に製造することができる。
前記骨格は、前記芯材に嵌合可能な内壁部を更に有する。
上記構成(6)によれば、芯材に嵌合可能な内壁部を骨格が有しており、骨格を突起が有しているので、突起を芯材に容易に取り付けることができる。
前記芯材は小径部及び前記小径部よりも大径の大径部を有し、
前記突起の内壁部は前記小径部に嵌合可能である。
上記構成(7)によれば、芯材に小径部を設け、小径部に突起の内壁部を嵌合することで、芯材に対し突起の位置を確実に決めることができるとともに、芯材に作用する鉛直力を突起を通じて改良体に確実に伝達することができる。
前記芯材は外径が徐々に変化する雄テーパ面を有し、
前記突起の内壁部は内径が徐々に変化する雌テーパ面を有し、
前記雄テーパ面は前記雌テーパ面に嵌合可能である。
上記構成(8)によれば、芯材の雄テーパ面と突起の雌テーパ面とを嵌合させることで、芯材に対し突起の位置を確実に決めることができるとともに、芯材に作用する鉛直力を突起を通じて改良体に確実に伝達することができる。
前記雄テーパ面と前記雌テーパ面との間に介挿されるアダプタリングを更に備え、
前記雄テーパ面は前記アダプタリングを介して前記雌テーパ面に嵌合可能である。
また、大きさが異なる複数のアダプタリングを用意しておけば、雌テーパ面の内径が同一の複数の突起を、それぞれアダプタリングを介して、芯材の軸線方向に離間して芯材に取り付けることができる。このため、突起の仕様を少なくすることができ、コスト削減を図ることができる。
地盤に固化材を注入して改良体を形成する改良体形成工程と、
上記構成(8)又は(9)に記載の地盤改良用杭を前記改良体に沈設する杭沈設工程と、を備え、
前記杭沈設工程は、
複数の前記突起を前記改良体上にて同軸に積み重ねる突起準備工程と、
積み重ねられた前記複数の突起に前記芯材を挿入しながら前記芯材を前記改良体に沈設する芯材沈設工程と、
を含む。
地盤に固化材を注入して形成される改良体に沈設される芯材に前記芯材の軸線方向に相互に離間して取り付けられる複数の突起であり、前記芯材から径方向にそれぞれ突出するように構成された地盤改良用杭のための複数の突起において、
前記突起内に連通路を区画する骨格を含み、
前記連通路は、前記芯材の軸線方向にて前記突起の両側を連通し、
前記骨格は、前記芯材の軸線方向及び周方向に延在して前記芯材の径方向にて前記連通
路の外側を区画する外壁部を有する。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
芯材10は、例えば、円筒形状や角筒形状等の筒状をなし、中空であっても中実であってもよい。角筒形状の場合、その平面視形状は四角形状であってもそれ以外の多角形状であってもよい。芯材10は、例えば、鋼管やコンクリートによって構成される。芯材10がコンクリートによって構成される場合、芯材10は更に補強用の鉄筋を含んでいてもよい。
そして、骨格16は、芯材10の軸線方向及び周方向に延在して芯材10の径方向にて連通路14の外側を区画する外壁部18を有する。
一方、突起12の骨格16は外壁部18を有している。外壁部18は、芯材10の軸線方向及び周方向に延在して芯材10の径方向にて連通路14の外側を区画しており、外壁部18により杭1と改良体7との密着性を上げることができるとともに水平力を受けることができる。このため、芯材10及び突起12を改良体7に埋設することで、杭1を構成する芯材10の水平耐力を簡単な構成にて向上させることができる。
上記構成によれば、芯材10がコンクリート製の場合、芯材10と一体に突起12を成形するのは困難であるが、突起12をコンクリート以外の材料で構成すれば、突起12を容易に製造することができる。
なお、突起12は現場で芯材10に取付けても良く、あるいは工場で芯材10に突起12を取付けたものを現場に運搬しても良い
上記構成によれば、芯材10に嵌合可能な内壁部20を突起12が有しているので、突起12を芯材10に容易に取り付けることができる。
上記構成によれば、芯材10に小径部10aを設け、小径部10aに突起12の内壁部20を嵌合することで、芯材10に対し突起12の位置を確実に決めることができるとともに、芯材10に作用する鉛直力を突起12を通じて改良体7に確実に伝達することができる。
例えば、外壁部18、内壁部20及びリム部22は金属製の板によって構成され、相互に溶接されている。なお、外壁部18及び内壁部20の形状は、円筒形状であっても角筒形状であってもよい。また、リム部22は、外壁部18及び内壁部20の径方向に沿って配置されているが、径方向に対し傾斜して配置されていてもよい。更に、リム部22は、外壁部18及び内壁部20の軸線方向に沿って配置されているが、軸線方向に対し傾斜して配置されていてもよい。
図8は、本発明の他の一実施形態に係る地盤改良用杭28を概略的に示す図であり、図8の左半分は正面図であり、図8の右半分は断面図である。図9は、図8中の領域IXの拡大図である。図10は杭28の突起32を概略的に示す平面図である。図11は、図10中のXI-XI線に沿う突起32の概略的な断面図である。
芯材30は外径が徐々に変化する雄テーパ面30aを有し、突起32の内壁部40は内径が徐々に変化する雌テーパ面40aを有し、雄テーパ面30aは雌テーパ面40aに嵌合可能である。なお、雄テーパ面30aの外径は上方に近づくに連れて大きくなり、雌テーパ面40aの内径は下方に近づくに連れて小さくなる。突起32は、雄テーパ面30aの外径と雌テーパ面40aの内径とが一致する位置にて、芯材30に嵌合・固定される。
なお、図8に示すように、複数の突起32を芯材30の軸線方向に離間して芯材30に取り付ける場合、複数の突起32の雌テーパ面34aは、相互に異なる内径を有する。
幾つかの実施形態では、図12及び図13に示したように、杭28は、雄テーパ面30aと雌テーパ面40aとの間に介挿されるアダプタリング42を更に備えている。芯材30の雄テーパ面30aはアダプタリング42を介して突起32の雌テーパ面40aに嵌合可能である。つまり、アダプタリング42は、芯材30の雄テーパ面30aと嵌合可能な雌テーパ面42aと、突起32の雌テーパ面40aと嵌合可能な雄テーパ面42bとを有する。
また、大きさが異なる複数のアダプタリング42、すなわち雄テーパ面42bの外径が同一で雌テーパ面42aの内径が異なる複数のアダプタリング42を用意しておけば、雌テーパ面40aの内径が同一の複数の突起32を、それぞれアダプタリング42を介して、芯材30の軸線方向に離間して芯材30に取り付けることができる。このため、突起32の共通化を図って仕様を少なくすることができ、コスト削減を図ることができる。
図14に示したように、本発明の一実施形態に係る地盤改良体の施工方法は、地盤5に固化材を注入して改良体7を形成する改良体形成工程S1と、杭28を改良体7に沈設する杭沈設工程S2とを備えている。そして、杭沈設工程S2は、突起準備工程S20と、芯材沈設工程S22と、を含んでいる。
上記構成によれば、外壁部18に貫通孔52を設けることで、改良体7が貫通孔52に充填されて改良体7との間でのせん断耐力が大きくなり、突起50の付着抵抗力を大きくすることができる。
なお、図示しないが、リム部22にも1つ以上の貫通孔を形成してもよい。この場合も、改良体7との間でのせん断耐力が大きくなり、改良体7内での突起50の付着抵抗力を大きくすることができる。
図18~図20に示したように、突起60は、突起60の骨格16が底壁(端壁)62を更に有している点において、突起12と異なっている。底壁62は、リム部22の下側に取り付けられ、円環形状を有している。底壁62は、芯材10の径方向及び周方向に延在し、連通路14の開口を部分的に覆っている。具体的には、底壁62は、連通路14の径方向外側を覆っている。
なお、図20に示したように、底壁62も半割体62a、62bによって構成されていてもよい。また、底壁62にも1つ以上の貫通孔が設けられていてもよい。更に、底壁62に代えて、突起60の上側に底壁62と同じ形状の天井壁(端壁)を設けてもよい。
上記構成によれば、突起70の下側にて連通路14の開口の径方向中間を閉塞する底壁62を設けたことで、換言すれば、連通路14が、芯材10の径方向にて、外壁部18よりも芯材10の近くに開口を有するとともに外壁部18の近くにも開口を有することで、連通路14の径方向内側及び径方向外側での改良体7の流れを確保しながら、支圧抵抗力を高めることができる。
なお、底壁62は、芯材10の周方向にて全域に渡って設けられているが、芯材10の周方向にて部分的に設けられていてもよい。
また、底壁62は複数の孔を有するメッシュ状であってもよい。この場合、底壁62は、連通路14の開口全域を覆っていてもよい。
突起74は、骨格16が半割体16aのみによって構成され、半割体16aがブラケット76によって芯材10に取り付けられている点において、突起12と異なっている。複数の突起74は、図22に例示するように、芯材10の軸線方向にて隣り合う突起74の半割体16aを芯材10の周方向にて180度ずらすように、芯材10に取り付けられている。突起74では、外壁部18は半円筒状である。
上記構成によれば、骨格16を半割体16aのみによって構成することで、突起74の付着抵抗力を適宜調整することができる。
なお、外壁部18は円筒形状や半円筒形状に限定されず、4半円筒状等であってもよい。
上記構成によれば、外壁部30の外周面を雄テーパ面80によって構成したことで、外壁部30の外周面の鉛直方向での投影面積を大きくすることができ、改良体7内における突起78の付着抵抗力を大きくすることができる。
図25に示したように、地盤改良用杭82は、複数の突起78が芯材30に取り付けられている点において、地盤改良用杭28と異なっている。更に、地盤改良用杭82は、複数の突起78の雄テーパ面80が、2点鎖線84にて示す1つのテーパ面上に位置するように構成されている点においても、地盤改良用杭28と異なっている。つまり、上側の突起78の外径の方が下側の突起78の外径よりも大きくなっている。
上記構成によれば、上側の突起78の外径が大きくなっており、改良体3内での突起78の付着抵抗力を大きくすることができる。
3 地盤改良体
5 地盤
7 改良体(ソイルセメント)
10 芯材
10a 小径部
10b 大径部
12,32,50,60,70,74,78 突起
14,34 連通路
16,36 骨格
16a,16b 半割体
18,38 外壁部
20,40 内壁部
22,41 リム部
24 ボルト
30 芯材
30a 雄テーパ面
40a 雌テーパ面
42 アダプタリング
42a 雌テーパ面
42b 雄テーパ面
46 保持具
46a 筒部
46b 脚部
52 貫通孔
62 底壁(端壁)
62a,62b 半割体
76 ブラケット
80 雄テーパ面
S1 改良体形成工程
S2 杭沈設工程
S20 突起準備工程
S22 芯材沈設工程
Claims (11)
- 地盤に固化材を注入して形成される改良体に沈設される筒状の芯材と、
前記芯材の外周に取り付けられる複数の突起であって、前記芯材の軸線方向に相互に離間するとともに前記芯材の径方向にそれぞれ突出する複数の突起と、を備え、
前記複数の突起の各々は、前記突起内に連通路を区画する骨格を含み、
前記連通路は、前記芯材の軸線方向にて前記突起の両側を連通し、
前記骨格は、前記芯材の軸線方向及び周方向に延在して前記芯材の径方向にて前記連通路の外側を区画する外壁部を有する
ことを特徴とする地盤改良用杭。 - 前記外壁部は、前記芯材の径方向にて前記外壁部を貫通する少なくとも1つの貫通孔を有することを特徴とする請求項1に記載の地盤改良用杭。
- 前記骨格は、前記連通路の開口を部分的に覆う端壁を更に含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の地盤改良用杭。
- 前記端壁は、前記芯材の径方向にて、前記連通路の前記外壁部側の領域を覆っており、前記連通路は、前記芯材の径方向にて、前記端壁よりも内側に開口を有することを特徴とする請求項3に記載の地盤改良用杭。
- 前記芯材はコンクリートによって構成され、
前記突起は前記芯材とは異なる材料によって構成されている
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の地盤改良用杭。 - 前記骨格は、前記芯材に嵌合可能な内壁部を更に有する
ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の地盤改良用杭。 - 前記芯材は小径部及び前記小径部よりも大径の大径部を有し、
前記突起の内壁部は前記小径部に嵌合可能である
ことを特徴とする請求項6に記載の地盤改良用杭。 - 前記芯材は外径が徐々に変化する雄テーパ面を有し、
前記突起の内壁部は内径が徐々に変化する雌テーパ面を有し、
前記雄テーパ面は前記雌テーパ面に嵌合可能である
ことを特徴とする請求項6に記載の地盤改良用杭。 - 前記雄テーパ面と前記雌テーパ面との間に介挿されるアダプタリングを更に備え、
前記雄テーパ面は前記アダプタリングを介して前記雌テーパ面に嵌合可能である
ことを特徴とする請求項8に記載に地盤改良用杭。 - 地盤に固化材を注入して改良体を形成する改良体形成工程と、
請求項8又は9に記載の地盤改良用杭を前記改良体に沈設する杭沈設工程と、を備え、
前記杭沈設工程は、
複数の前記突起を前記改良体上にて同軸に積み重ねる突起準備工程と、
積み重ねられた前記複数の突起に前記芯材を挿入しながら前記芯材を前記改良体に沈設する芯材沈設工程と、
を含むことを特徴とする地盤改良体の施工方法。 - 地盤に固化材を注入して形成される改良体に沈設される芯材に前記芯材の軸線方向に相互に離間して取り付けられる複数の突起であり、前記芯材から径方向にそれぞれ突出するように構成された地盤改良用杭のための複数の突起において、
前記突起内に連通路を区画する骨格を含み、
前記連通路は、前記芯材の軸線方向にて前記突起の両側を連通し、
前記骨格は、前記芯材の軸線方向及び周方向に延在して前記芯材の径方向にて前記連通路の外側を区画する外壁部を有する
ことを特徴とする地盤改良用杭のための複数の突起。
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