以下、添付の図面を参照して、本発明を実施するための形態について説明する。各図における同一の符号は、同一の部分または相当する部分を示す。また、本開示では、重複する説明については、適宜に簡略化または省略する。なお、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲において、以下の各実施の形態によって開示される構成のあらゆる変形およびあらゆる組み合わせを含み得るものである。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1の電気掃除機1を示す斜視図である。図1は、キャニスタータイプの電気掃除機1を一例として示している。まず、図1を参照し、実施の形態1の電気掃除機1の構成の概略を説明する。
図1に示すように、電気掃除機1は、例えば、吸込具2と、吸引パイプ3と、接続パイプ4と、吸引ホース5と、本体ユニット6と、を備えている。また、本体ユニット6には、集塵ユニット10が着脱自在に設けられる。一例として、集塵ユニット10は、本体ユニット6の前部に配置される。
本開示では、ごみ、塵、埃、毛髪、繊維等のように、清掃対象となるものをまとめて、「塵埃」と総称する。また、本開示では、上記の「塵埃」を含む空気を、「含塵空気」と称する。集塵ユニット10は、含塵空気から塵埃を分離して、当該塵埃を捕集する集塵装置の一例である。集塵装置の一例である集塵ユニット10によって塵埃が分離された空気を、以下では、「清浄空気」とも称する。
吸込具2は、含塵空気を吸い込むためのものである。吸込具2の下面には、含塵空気を吸い込むための開口が形成される。吸込具2には、吸引パイプ3の一端が接続される。吸引パイプ3は、例えば、直線状に伸びる円筒形状の部材である。吸込具2の下面に形成された開口は、吸込具2の内部を介して、吸引パイプ3の内部に通じている。なお、吸込具2は、一例として、吸引パイプ3に対して着脱可能に形成される。
吸引パイプ3の他端は、接続パイプ4の一端に接続される。接続パイプ4は、例えば、折れ曲がった円筒状の部材である。吸引パイプ3の内部は、接続パイプ4の内部に通じている。この接続パイプ4の他端は、吸引ホース5の一端に接続されている。吸引ホース5は、例えば、可撓性を有する蛇腹状の筒状の部材である。吸引ホース5の断面形状は、例えば、矩形状である。接続パイプ4の内部は、吸引ホース5の内部に通じている。
吸引ホース5の他端は、本体ユニット6の前面部に形成された本体吸引口7に接続される。本体吸引口7は、含塵空気を本体ユニット6へ流入させるためのものである。吸引ホース5の内部は、本体吸引口7を介して本体ユニット6の内部へ通じる。
上記したように、吸込具2は、吸引パイプ3、接続パイプ4および吸引ホース5によって、本体ユニット6に接続される。吸込具2、吸引パイプ3、接続パイプ4および吸引ホース5の内部には、吸込具2の下面に形成された開口から本体吸引口7に通じる風路が形成されている。
上記したように、本体ユニット6には、集塵装置の一例である集塵ユニット10が設けられる。図2は、実施の形態1の集塵ユニット10を示す斜視図である。図2に示すように、集塵ユニット10の全体の概形は、円柱形状である。集塵ユニット10には、ユニット流入口11およびユニット流出口12が形成されている。
ユニット流入口11は、含塵空気を集塵ユニット10の内部へ流入させるための開口である。ユニット流出口12は、清浄空気を集塵ユニット10の内部から外部へ流出させるための開口である。集塵ユニット10の内部と外部とは、ユニット流入口11を介して通じている。また、集塵ユニット10の内部と外部とは、ユニット流出口12を介して通じている。
本体ユニット6へ取り付けられた集塵ユニット10のユニット流入口11は、本体吸引口7に通じている。また、本体ユニット6には、図示しない排気口が形成されている。本体ユニット6の内部と外部とは、この排気口を介して通じている。そして、本体ユニット6の内部には、集塵ユニット10のユニット流出口12から上記の排気口へ至る排気風路が形成されている。すなわち、排気風路は、集塵ユニット10から本体ユニット6の外部に至るように形成されている。
なお、接続パイプ4には、一例として、ハンドル8が設けられる。ハンドル8は、電気掃除機1の使用者によって把持される部材である。ハンドル8の前面には、操作スイッチ9が設けられている。使用者は、操作スイッチ9を操作することによって、電気掃除機1の運転を制御することができる。
また、本体ユニット6には、図示しない電動送風機が内蔵される。電動送風機は、電気掃除機1を構成する各部の内部に形成された風路に気流を発生させるための装置である。また、本体ユニット6には電動送風機に電力を供給するための電源コード、この電源コードが巻きつけられるコードリール部、電気掃除機1の動作を制御するための回路基板等が設けられている。電源コード、コードリール部および回路基板の図示は、本開示においては省略する。
ここで、上記のように構成された電気掃除機1の基本的な動作について、簡単に説明する。本体ユニット6に内蔵された電動送風機は、使用者による操作スイッチ9に対する操作に応じて、予め設定された動作を行う。電動送風機が動作することにより、電気掃除機1に形成された風路に気流が発生する。これにより、吸込具2の下面に形成された開口から、塵埃が空気と一緒に吸い込まれる。すなわち、吸込具2に含塵空気が吸い込まれる。
吸込具2の下面に形成された開口から吸引された含塵空気は、吸込具2、吸引パイプ3、接続パイプ4および吸引ホース5を順に経由して、本体吸引口7から本体ユニット6へ吸引される。本体吸引口7から本体ユニット6へ吸引された含塵空気は、ユニット流入口11から集塵ユニット10の内部へ流入する。集塵ユニット10は、内部で含塵空気を旋回させ、遠心力によって塵埃を分離する。集塵ユニット10は、サイクロン分離機能を有するサイクロン分離装置である。集塵ユニット10は、分離した塵埃を捕集する。集塵ユニット10は、捕集した塵埃を一時的に溜めておく。
本体ユニット6へ吸引された含塵空気は、集塵ユニット10を経由することで、清浄空気と塵埃とに分離される。上記したように、塵埃は、集塵ユニット10に捕集される。清浄空気は、ユニット流出口12から流出する。ユニット流出口12から流出した清浄空気は、本体ユニット6の内部に形成された排気風路へ流入する。排気風路へ流入した清浄空気は、本体ユニット6に形成された排気口から外部へ排出される。集塵装置の一例である集塵ユニット10を備える電気掃除機1は、上記のようにして、含塵空気から塵埃を分離し、塵埃が取り除かれた清浄空気を排出する。
次に、図面を更に参照して、集塵装置の一例である集塵ユニット10の構造および機能について、より詳細に説明する。図3は、実施の形態1の集塵ユニット10の上面図である。図4は、図3におけるA-A位置での集塵ユニットの断面図である。図5は、図4におけるB-B位置での集塵ユニットの断面図である。図6は、図4におけるC-C位置での集塵ユニットの断面図である。図7は、図4におけるD-D位置での集塵ユニットの断面図である。以下、図2から図7を参照して、実施の形態1の集塵ユニット10について説明する。集塵ユニット10に関する以下の説明においては、図4における紙面上の向きを基準にして、各方向を特定する。
本実施の形態の集塵ユニット10は、旋回室20、流入管13および排出管16を備えている。旋回室20は、側壁に沿って含塵空気を旋回させるものである。旋回室20は、含塵空気を旋回させることで、当該含塵空気から塵埃を分離する。流入管13は、含塵空気を旋回室20へ流入させるための部材である。排出管16は、旋回室20内の空気を当該旋回室20の外に流出させるための部材である。
旋回室20は、円筒部20aおよび円錐部20bによって形成される。円筒部20aおよび円錐部20bは、旋回室20の側壁となる部材である。円筒部20aは、中空の円筒形状である。円筒部20aは、中心軸が上下方向を向くように配置される。円錐部20bは、先端部が切り取られた中空の円錐形状である。円錐部20bは、中心軸が上下方向を向くように配置される。本実施の形態において、円筒部20aの中心軸と円錐部20bの中心軸とは、同一直線上に並ぶ。
円錐部20bの上端部は、円筒部20aの下端部に接続される。円錐部20bの径は、上端部から下方に向かうにしたがって小さくなる。円錐部20bの下端部には、下方を向く開口が形成される。
円筒部20aの内側の空間と円錐部20bの内側の空間とは、一続きの空間を形成する。本実施の形態では、この一続きの空間および当該空間を形成している部分を、旋回室20とする。旋回室20の上部は、円筒部20aによって形成される。旋回室20の下部は、円錐部20bによって形成される。旋回室20の中心軸は、上下方向を向く。本実施の形態において、旋回室20の側壁は、当該旋回室20の中心軸に直交する断面形状が円形状である。
流入管13の一端は、集塵ユニット10の外部を向く。流入管13の一端には、ユニット流入口11が形成される。流入管13の他端は、円筒部20aの上部に接続される。流入管13の他端は、含塵空気が旋回室20に当該旋回室20の接線方向から流入するように、円筒部20aに接続される。流入管13の軸は、例えば、円筒部20aの中心軸に対して直角をなす。流入管13の他端、すなわち、円筒部20aの上部には、流入口14が形成される。流入口14は、ユニット流入口11と流入管13の内部とを通過した含塵空気を旋回室20に取り込むための開口である。
排出管16は、集塵ユニット10の上面から当該集塵ユニット10の内部の旋回室20に突出するように設けられる。排出管16の上端側は、ユニット流出口12に通じている。排出管16は、平面視において旋回室20の中央に位置するように設けられる。
排出管16の上部は、中空の円筒形状である。排出管16の下部は、下方に向かうにしたがって径が小さくなる中空の円錐形状である。一例として、排出管16の中心軸と円筒部20aの中心軸とは、同一直線上に並ぶ。
排出管16の壁面には、排出口15が形成される。旋回室20の内部と排出管16の内部とは、この排出口15を介して通じている。排出口15は、旋回室20内の空気を当該旋回室20の外に流出させるための開口である。旋回室20の内部とユニット流出口12とは、排出口15および排出管16の内部を介して連通している。排出口15は、一例として、多数の微細な孔によって形成される。
旋回室20の側壁には、一次開口21が形成される。一次開口21は、例えば、円筒部20aの下端部から円錐部20bの上端部にかけて形成される。旋回室20の周囲には、この一次開口21を介して当該旋回室20と通じる一次集塵室22が形成される。また、上記したように、円錐部20bの下端部には、下方を向く開口が形成される。円錐部20bの下端部に形成されたこの開口を、本実施の形態では、二次開口23とする。旋回室20の下方には、この二次開口23を介して当該旋回室20と通じる二次集塵室24が形成される。
一次集塵室22および二次集塵室24は、集塵室の一例である。集塵室とは、旋回室20で分離された塵埃の少なくとも一部を捕集する空間である。一次集塵室22には、ごみαが溜められる。二次集塵室24には、ごみβが溜められる。ごみαは、例えば、繊維ごみおよび毛髪といった比較的嵩の大きな塵埃である。ごみβは、例えば、砂ごみおよび細かい繊維ごみといった比較的嵩の小さな塵埃である。一次集塵室22は、第1の塵埃を捕集する第1集塵室の一例である。二次集塵室24は、第1の塵埃に比べて小さい第2の塵埃を捕集する第2集塵室の一例である。
本実施の形態において、一次開口21は、流入口14より低い位置に形成される。一次開口21は、流入口14の下流側に形成される。一次開口21は、二次開口23よりも高い位置に形成される。一次開口21は、二次開口23の上流側に形成される。また、一例として、排出管16の下端は、一次開口21の下端より下方に配置される。
本実施の形態の集塵ユニット10は、集塵容器40を備えている。集塵容器40は、上方が開口した有底の容器状の部材である。集塵容器40は、塵埃を捕集して溜めておくための部材である。集塵容器40は着脱自在に形成される。集塵室の一例である一次集塵室22および二次集塵室24は、この集塵容器40の内側に形成される。
集塵容器40は、底部41および外壁部42を備える。底部41の全体形状は、例えば、円形状である。外壁部42は、例えば、円筒形状である。外壁部42は、底部41の縁から直立するように設けられる。底部41および外壁部42により、上方が開口し且つ下方が閉じた筒状の集塵容器40が形成される。外壁部42の径は、円筒部20aの径より大きい。旋回室20を形成する円筒部20aと円錐部20bとは、集塵容器40の内側に位置する。
また、旋回室20を形成する円錐部20bの外周面には、隔壁部31の上端部が接続される。隔壁部31は、円筒状の部材である。一例として、隔壁部31の中心軸は、円錐部20bの中心軸と一致する。本実施の形態において、隔壁部31の径は、円筒部20aの径よりも小さい。円錐部20bと隔壁部31とは、円錐部20bの下端が隔壁部31の内側の空間に上方から挿入されるように配置される。
隔壁部31は、集塵容器40の外壁部42の内側に配置される。集塵容器40の内部には、旋回室20とは別に、隔壁部31によって区切られた2つの空間が形成される。この2つの空間のうち、旋回室20および隔壁部31の外側に形成された空間が、一次集塵室22である。また、この2つの空間のうち、円錐部20bの下方であって隔壁部31の内側に形成された空間が、二次集塵室24である。
二次集塵室24は、隔壁部31の内側に形成された空間のうち、円錐部20bの内側に形成された空間を除く空間である。二次集塵室24は、円錐部20bの下方を覆うように形成される。二次集塵室24は、円錐部20bの下端部の周囲を取り囲むように形成される。本実施の形態において、隔壁部31は、二次集塵室24の側壁を形成している。
また、一次集塵室22は、集塵容器40の外壁部42の内側に形成された空間のうち、旋回室20および二次集塵室24を除く空間である。旋回室20の大部分の周囲は、一次集塵室22によって取り囲まれる。また、一次集塵室22は、二次集塵室24の周囲も取り囲んでいる。
隔壁部31、円筒部20aおよび円錐部20bは、一次集塵室22の内壁を形成する。外壁部42は、一次集塵室22の外壁を形成する。すなわち、隔壁部31、円筒部20a、円錐部20bおよび外壁部42は、一次集塵室22を囲う壁面を成している。本実施の形態における隔壁部31、円筒部20a、円錐部20bおよび外壁部42は、集塵室を囲う壁面の一例である。
二次集塵室24に流入したごみβの少なくとも一部は、当該二次集塵室24の側壁である隔壁部31の内面に、静電気によって捕集される。本実施の形態の隔壁部31は、旋回室20を通過した塵埃の少なくとも一部を捕集する集塵部の一例である。
また、集塵装置の一例である集塵ユニット10は、集塵部の一例である隔壁部31の内面を摩擦する摩擦体30を備える。摩擦体30は、隔壁部31を摩擦して帯電させるものである。また、摩擦体30は、隔壁部31の内面を摩擦することで、この内面に捕集された塵埃を掻き落とすものでもある。本実施の形態における摩擦体30は、集塵部を摩擦することによって当該集塵部を帯電させて且つ当該集塵部に捕集された塵埃を除去する摩擦除塵部の一例である。摩擦体30は、隔壁部31の内面に接触する位置に配置される。
摩擦体30は、一例として、図示しない駆動部によって動く。駆動部は、電気的に動く装置である。なお、摩擦体30は、使用者によって手動で動かされてもよい。本実施の形態において、摩擦体30は、二次集塵室24の中心軸を回転軸として回転する。摩擦体30は、集塵部の一例である隔壁部31に沿って回転する。摩擦体30は、円筒状の隔壁部31の周方向に沿って動く。
集塵部の一例である隔壁部31は、例えば、導電性が低い材料によって形成される。隔壁部31は、例えば、摩擦体30によって摩擦されると負に帯電する材料で形成される。摩擦体30によって摩擦されると負に帯電して且つ導電性が低い材料は、例えば、ポリプロピレン等である。一般的に、塵埃の多くには正に帯電している。隔壁部31は、負に帯電することで、正に帯電した塵埃を効率的に捕集することができる。
なお、塵埃には、負に帯電しているものもある。隔壁部31は、摩擦体30によって摩擦されると正に帯電するように構成されていてもよい。また、隔壁部31は、全体ではなく一部のみが、摩擦体30によって摩擦されると帯電するように構成されてもよい。すなわち、隔壁部31の一部が集塵部の一例であってもよい。
次に、上記のように構成された集塵ユニット10の機能について、より具体的に説明する。本体ユニット6に内蔵された電動送風機が動作を開始すると、上記したように、吸込具2に含塵空気が吸い込まれる。吸込具2に吸い込まれた含塵空気は、吸引パイプ3、接続パイプ4、吸引ホース5、本体吸引口7を通過して、ユニット流入口11から集塵ユニット10の内部へ流入する。
ユニット流入口11から流入した含塵空気は、円筒部20aの内周面、すなわち旋回室20の側壁に沿うようにして、旋回室20へ流入する。含塵空気は、旋回室20に、当該旋回室20の接線方向から流入する。
旋回室20に流入した含塵空気は、旋回室20を形成する側壁に沿って旋回する。本実施の形態において含塵空気は、円筒部20aの内周面に沿って旋回する。含塵空気は、旋回室20内で旋回気流を形成する。旋回室20内の旋回気流は、中心軸近傍の強制渦領域と外側の自由渦領域とを形成しながら、下向きに流れていく。
旋回室20内の旋回気流に含まれる塵埃には、遠心力が作用する。例えば、比較的嵩の大きなごみαは、遠心力によって円筒部20aの内周面に押し付けられながら旋回室20内を落下する。ごみαは、一次開口21の高さに達すると、旋回気流から離れて当該一次開口21を通過する。ごみαは、一次開口21を通過して一次集塵室22に送られる。
一次開口21から一次集塵室22に進入したごみαは、旋回室20内での気流の旋回方向と同じ方向に移動しながら、一次集塵室22内を落下する。ごみαは,一次集塵室22の最下部に達して、捕集される。なお、ごみαの一部は、一次集塵室22を囲う壁面を成す隔壁部31、円筒部20a、円錐部20bおよび外壁部42等に、静電気等によって捕集されることもある。
一次開口21から一次集塵室22に流入しなかった塵埃は、旋回室20内の気流に乗って旋回しながら下方に移動する。一次集塵室22に進入しなかった比較的嵩の小さなごみβは、二次開口23を通過する。二次開口23を通過したごみβは、二次集塵室24内に流入して捕集される。
また、二次集塵室24内に流入したごみβの少なくとも一部は、集塵部の一例である隔壁部31に、静電気によって付着して捕集される。集塵部の一例である隔壁部31は、例えば、本体ユニット6に内蔵された電動送風機が動作を開始する前に、予め摩擦体30によって摩擦される。これにより、隔壁部31は、予め帯電した状態となる。本実施の形態においては、帯電した隔壁部31によって、ごみβが効率よく捕集される。
旋回室20内の旋回気流は、旋回室20の最下部に達すると、進行方向を上向きに変える。進行方向を上向きに変えた旋回気流は、旋回室20の中心軸に沿って上昇する。この上昇気流を形成する空気からは、ごみαおよびごみβが除去されている。ごみαおよびごみβが除去された清浄空気は、排出口15から旋回室20の外へ排出される。排出口15を通過した清浄空気は、排出管16およびユニット流出口12を通過して、本体ユニット6の内部の排気風路へ送られる。排気風路へ流入した清浄空気は、本体ユニット6に形成された排気口から外部へ排出される。
上記のようにして、電動送風機が動作することにより、ごみαが一次集塵室22に溜まる。また、ごみβが二次集塵室24に溜まる。本実施の形態において、摩擦体30は、電動送風機が動作を終了した後に再び動作する。これにより、隔壁部31に付着したごみβが掻き落とされる。掻き落とされたごみβは、二次集塵室24の底部に溜められる。摩擦体30によってごみβが除去された後、使用者は、集塵ユニット10を本体ユニット6から取り外し、さらに集塵容器40を取り外すことによって、一次集塵室22および二次集塵室24に溜まった塵埃を廃棄することができる。
上記したように、本実施の形態の集塵ユニット10、摩擦部の一例である摩擦体30を備えている。集塵部の一例である隔壁部31は、摩擦体30に摩擦されることで帯電する。帯電した隔壁部31には、静電気によって塵埃が付着する。本実施の形態において塵埃は、隔壁部31によって効率よく捕集される。また、帯電した隔壁部31に静電気によって付着した塵埃は、旋回室20に戻ることがない。このように、本実施によれば、塵埃を捕集する性能が高い集塵ユニット10およびこの集塵ユニット10を備えた電気掃除機が得られる。
摩擦体30は、使用者が塵埃を廃棄する前に、隔壁部31に付着したごみβを除去する。本実施の形態であれば、使用者が塵埃を廃棄する際に、集塵部の一例である隔壁部31に付着した塵埃が剥がれずに残ってしまうことが防止される。このように、本実施によれば、メンテナンス性が良好である集塵ユニット10およびこの集塵ユニット10を備えた電気掃除機が得られる。
なお、摩擦体30が動作するタイミングは本例に限られない。例えば、摩擦体30は、電動送風機と同時に動作を開始してもよい。また、摩擦体30は、電動送風機が動作している間は動作し続けても良い。これにより、隔壁部31に付着した塵埃の除去と当該隔壁部31の帯電とが継続して行われる。摩擦体30が継続して動作することにより、隔壁部31は帯電した状態で長時間保持され、当該隔壁部31はより効率よく塵埃を捕集することができる。
また、隔壁部31に付着したごみβは、摩擦体30によってまとめて掻き落とされることで、凝集された塊となって二次集塵室24の底部に溜まる。凝集された塊となって二次集塵室24の底部に溜められたごみβは、電動送風機が動作している間に旋回室20に戻ることがない。
また、摩擦体30は、例えば、絶縁体よりも導電性の高い材料、換言すると導電性を有する材料で形成されてもよい。特に、摩擦体30は、電気抵抗率が小さく且つ導電性の高い材料で形成されるとよりよい。電気抵抗率が小さく且つ導電性を有する高い材料には、例えば、カーボン材を含有した樹脂材料および金属等の、体積抵抗率が1(Ω・m)未満のものが該当する。
導電性を有する材料で形成された摩擦体30は、導線等を介して、静電容量および容積が大きい導電部材または当該摩擦体30を接地する電源等に電気的に接続される。これにより、隔壁部31を摩擦することで摩擦体30に溜まった電荷が外部に放出される。上記の導電部材および電源等は、電荷を摩擦体30から放出するための電荷放出手段の一例である。
隔壁部31を摩擦することで摩擦体30に溜まった電荷が外部に放出されることで、当該摩擦体30の帯電が防止される。これにより、摩擦体30は、再び隔壁部31を摩擦する際、当該隔壁部31を効率よく帯電させることができる。また、摩擦体30の帯電が防止されることで、当該摩擦体30へのごみの付着が抑制される。これにより、摩擦体30は、隔壁部31の帯電および隔壁部31に付着した塵埃の除去を効率よく行うことができる。
また、摩擦体30は、軟質材料によって形成されるとなおよい。軟質材料によって形成された摩擦体30は、集塵部の一例である隔壁部31の表面に追従するように変形しながら動く。これにより、隔壁部31に付着した塵埃のより多くが掻き落とされる。
また、集塵装置の一例である集塵ユニット10は、摩擦部の一例である摩擦体30によって帯電させられた集塵部の一例である隔壁部31を除電する除電手段を備えていてもよい。集塵部の一例である隔壁部31が除電されることにより、当該隔壁部31に付着した塵埃が剥がれやすくなる。
除電手段は、例えば、隔壁部31に対して電荷を放出する除電装置によって構成される。この除電装置は、隔壁部31が摩擦体30によって摩擦されることで帯びる電荷と逆の極性の電荷を放出する装置である。除電装置は、例えば、二次集塵室24内に電荷を放出する。除電装置は、例えば、摩擦体30が隔壁部31に付着した塵埃を掻き落とす際に電荷を放出する。除電装置は、例えば、負に帯電した隔壁部31に塵埃が付着した場合には、摩擦体30が動作すると共に、正の電荷を二次集塵室24内に放出する。
また、除電手段は、上記の除電装置のように電荷を放出する装置によって構成されるものに限られない。除電手段は、摩擦部の一例である摩擦体30と一体に形成されてもよい。例えば、摩擦体30は、隔壁部31を除電させる第1材料と隔壁部31を帯電させる第2材料との2種類以上の材料によって形成されてもよい。この2種類以上の材料によって形成された摩擦体30のうち、第1材料によって形成されている部分は、除電手段を構成する。
例えば、摩擦体30の移動方向の前方部分は、摩擦により隔壁部31を除電する材料第1材料で形成される。また、摩擦体30の移動方向の後方部分は、摩擦により隔壁部31を帯電する第2材料で形成される。これにより、摩擦体30の移動時には、まず第1材料で形成された部分が隔壁部31を除電してごみを掻き落とす。その後、第2材料で形成された部分が隔壁部31を帯電させる。第1材料には、例えば、カーボン材を含有した樹脂材料等が該当する。除電手段を摩擦部の一例である摩擦体30と一体に形成することで、集塵ユニット10の構成がより簡素になり、集塵ユニット10のメンテナンス性が向上する。
また、上記の実施の形態では、摩擦部の一例である摩擦体30が、隔壁部31の帯電と塵埃の除去との両方を行う。1つの部品での帯電と除塵とを行うように集塵ユニット10が構成されることで、集塵ユニット10のメンテナンス性が向上する。また、摩擦体30は、隔壁部31を帯電させる際に、隔壁部31と逆の極性、すなわち、帯電列において塵埃と同じ側の極性に帯電する。このため、摩擦体30には、塵埃が付着しにくくなる。
なお、集塵ユニット10は、塵埃を除去する除塵部を、摩擦体30とは別に備えていてもよい。すなわち、集塵部を帯電させる摩擦部と、集塵部に捕集された塵埃を除去する除塵部とがそれぞれ別に設けられてもよい。集塵部に捕集された塵埃を除去する除塵部は、摩擦体30のように集塵部を擦るものでもよいし、集塵部を除電することで塵埃を除去するものであってもよい。また、摩擦部と除塵部とがそれぞれ別に設けられている場合、当該摩擦部は、例えば、集塵室の外部に設けられていてもよい。
ここで、実施の形態1の変形例について、図面を参照して説明する。図8および図9は、実施の形態1の集塵ユニット10の第1の変形例を示すものである。図8は、図4に対応する図であり、図3におけるA-A位置での断面図である。また、図9は、図8におけるE-E位置での断面図である。図8および図9に示すように、摩擦体30は、例えば、二次集塵室24の壁面の形状に合わせた環状に形成されてもよい。摩擦体30は、上下に動作するように構成されてもよい。
また、図10から図14は、実施の形態1の集塵ユニット10の第2の変形例を示すものである。図10は、実施の形態1の集塵ユニット10の第2の変形例を示す斜視図である。図11は、実施の形態1の集塵ユニット10の第2の変形例を示す上面図である。図12は、図11におけるF-F位置での集塵ユニット10の断面図である。図13は、図12におけるG-G位置での集塵ユニット10の断面図である。図14は、図12におけるH-H位置での集塵ユニット10の断面図である。第2の変形例において、集塵ユニット10は、旋回室20、一次集塵室22、流入管13、排出管16および集塵容器40を備えている。
この第2の変形例において、旋回室20は円筒形状を呈している。円筒形状の旋回室20の内壁は、排出管16によって形成される。また、円筒形状の旋回室20の外壁は、集塵容器40の外壁部42によって形成されている。
円筒形状の旋回室20の下方には、当該旋回室20と連通する一次集塵室22が形成される。第2の変形例においては、ごみαとごみβとの両方が一次集塵室22に捕集される。そして、この一次集塵室22を囲う壁面は、集塵容器40の外壁部42によって形成されている。
排出管16の下端部には、隔壁部31が設けられる。第2の変形例において隔壁部31は、集塵容器40内の下方の空間を、旋回室20と一次集塵室22とに区画する。
第2の変形例においては、一次集塵室22の側壁、すなわち外壁部42が集塵部となる。第2の変形例において、摩擦体30は、外壁部42と接触するように設けられる。集塵部の一例である外壁部42は、例えば、導電性が低い材料によって形成される。外壁部42は、例えば、摩擦体30によって摩擦されると負に帯電する材料で形成される。第2の変形例において、摩擦体30は、一次集塵室22の側壁である外壁部42を摩擦して帯電させる。また、摩擦体30は、外壁部42を摩擦することで、当該外壁部42に付着した塵埃を掻き落とす。
第2の変形例に示したように、また、集塵装置の一例である集塵ユニット10が備える集塵室は、一次集塵室22および二次集塵室24の一方のみであってもよい。集塵ユニット10は、ごみαおよびごみβを同一の空間に溜めるものであってもよい。
旋回室を通過した塵埃の少なくとも一部を捕集する集塵部は二次集塵室24の壁面を成す隔壁部31以外の部位であってもよい。集塵部は、第2の変形例のように、一次集塵室22の壁面を成す外壁部42であってもよい。また、集塵部は、例えば、円筒部20a、および円錐部20b等、集塵室を囲う壁面の任意の部位でもよい。また、集塵部は、底部41等の集塵室の底面を成す部材であってもよいし、集塵室内に別途設けられた部材であってもよい。摩擦部の一例である摩擦体30は、任意の集塵部を摩擦するように構成されていればよい。
また、電気掃除機1は、キャニスタータイプのものに限られない。電気掃除機1は、例えば、コードレスタイプのもの、スティックタイプのものまたは自立運転型のもの等であってもよい。また、集塵装置の一例である集塵ユニット10は、電気掃除機1以外の装置にも適用可能である。
実施の形態2.
次に、実施の形態2について説明する。図15から図20は、実施の形態2の集塵ユニット10aを示すものである。実施の形態1と同一または相当する部分については、同じ符号を付し、説明を簡略化または省略する。本実施の形態の集塵ユニット10aは、実施の形態1の集塵ユニット10と同様、サイクロン分離機能を有するサイクロン分離装置である。集塵ユニット10aは、集塵装置の一例であり、例えば、電気掃除機1に備えられる。
図15は、実施の形態2の集塵ユニット10aを示す斜視図である。図16は、実施の形態2の集塵ユニット10aの上面図である。図17は、図16におけるI-I位置での集塵ユニット10aの断面図である。図18は、図17におけるJ-J位置での集塵ユニット10aの断面図である。図19は、図17におけるK-K位置での集塵ユニット10aの断面図である。図20は、図17におけるL-L位置での集塵ユニット10aの断面図である。以下、図15から図20を参照して、実施の形態2の集塵ユニット10aについて説明する。
集塵ユニット10aは、実施の形態1の集塵ユニット10と同様、流入管13および旋回室20を備える。流入管13は、実施の形態1と同様、含塵空気が旋回室20に当該旋回室20の接線方向から流入するように設けられる。流入管13には、ユニット流入口11が形成される。
また、集塵ユニット10aは、旋回室20内の空気を当該旋回室20の外に流出させるための排出管16を備える。本実施の形態において、旋回室20は、円筒形状を呈している。排出管16は、旋回室20の中央分に設けられる。一例として、排出管16の中心軸は、旋回室20の中心軸に一致する。排出管16の上流側の端部には、旋回室20に向く開口である排出口15が形成される。排出管16の下流側の端部は、旋回室20の外側に向けて開口している。
本実施の形態において、集塵ユニット10aは、比較的嵩の大きなごみαを捕集する一次集塵室22を備える。旋回室20の側壁には、一次開口21が形成されている。旋回室20は、一次開口21を介して一次集塵室22に連通する。
本実施の形態では、旋回室20および排出管16の下流側に、比較的嵩の小さなごみβが捕集される二次集塵室24が形成される。排出管16の下流側の端部は、この二次集塵室24に向けて開口している。
本実施の形態において、二次集塵室24には、集塵体32が配置される。すなわち、集塵体32は、旋回室20の下流側に設けられる。集塵体32は、旋回室20を通過した含塵空気に含まれる塵埃を補修する集塵部の一例である。
集塵体32は、例えば、複数の微細孔が形成されたフィルター状の部材である。集塵体32は、例えば、円板形状である。円板形状の集塵体32は、二次集塵室24に気流が流入する方向に対して垂直に配置される。また、二次集塵室24には、集塵体32と接触するように配置された摩擦体30が設けられる。
本実施の形態において、集塵体32は、回転駆動部33によって回転する。摩擦体30は、集塵体32が回転することによって、当該集塵体32を摩擦する。なお、実施の形態1のように、摩擦体30が回転してもよい。
二次集塵室24の下流側の端部には,ユニット流出口12が形成される。ユニット流出口12は、実施の形態1と同様、清浄空気を集塵ユニット10aの外部に排出するための開口である。
上記のように構成された実施の形態2の集塵ユニット10aの機能について説明する。実施の形態1と同様、含塵空気は、ユニット流入口11から集塵ユニット10aの内部へ流入する。ユニット流入口11から流入した含塵空気は、旋回室20の側壁に沿うようにして、旋回室20へ流入する。含塵空気は、旋回室20に、当該旋回室20の接線方向から流入する。
旋回室20に流入した含塵空気は、旋回室20を形成する側壁に沿って旋回して旋回気流を形成する。旋回室20内の旋回気流に含まれる塵埃には、遠心力が作用する。例えば、比較的嵩の大きなごみαは、遠心力によって一次開口21を通過して一次集塵室22に送られる。ごみαは、一次集塵室22内を落下して捕集される。
一次開口21から一次集塵室22に流入しなかった比較的嵩の小さなごみβは、排出口15および排出管16を通過して二次集塵室24に流入する。二次集塵室24に流入したごみβの少なくとも一部は、集塵部の一例である集塵体32に付着して捕集される。
集塵部の一例である集塵体32は、回転動作を行い、摩擦体30によって摩擦される。これにより、集塵体32は、帯電した状態となる。二次集塵室24に流入したごみβは、円板形状の集塵体32に対して垂直に衝突する。集塵体32に衝突したごみβは、帯電した当該集塵体32に、静電気によって捕集される。
また、集塵体32が回転することで、当該集塵体32に捕集されたごみは、摩擦体30によって掻き落とされる。摩擦体30によって掻き落とされたごみβは、二次集塵室24の底部に落下し、当該二次集塵室24内に溜められる。集塵体32を通過した清浄空気は、ユニット流出口12を通過して、集塵ユニット10aの外部に排出される。
上記した実施の形態2の構成によれば、実施の形態1と同様に、塵埃を捕集する性能が高く且つメンテナンス性が良好である集塵ユニット10aが得られる。また、実施の形態2において、ごみβは、摩擦体30によって帯電させられた集塵体32に、静電気の力で捕集される。実施の形態2であれば、旋回力によってごみβを分離する場合に比べて、集塵ユニット10aの内部の圧損を低減することができる。
なお、上記の各実施の形態では各部材の形状について言及したが、これらは文字通りの完全な形状を意味するものではない。例えば、円形状の部材は、完全な円形の部材でなくても良い。円筒形状の部材は、完全な円筒形の部材でなくても良い。例えば、円筒形状の部材の表面には、他の部材との接続等のための凹凸が含まれていても良い。また、各部材の表面の一部は、他の部材との接続等のために平坦に形成されていても良い。