JP7135390B2 - 熱硬化性導電性組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、熱硬化性導電性組成物に関する。
航空宇宙機器や、産業やモビリティ用軽量部材として、導電性が高い繊維強化複合部材が求められている。
導電性が高い繊維強化複合部材に関する従来技術として、例えば、無機系導電性粒子及び導電性フィラー等を、少なくともエポキシ樹脂を含む母材樹脂に添加し樹脂に導電性を付与する、繊維強化複合部材用樹脂組成物の技術が提案されている(特許文献1)。一方、導電性充填剤の使用を避け、ドープされた形態で良好な導電性を有する導電性高分子ドーパントを、スチレン誘導体等のカチオン反応性基を有するモノマーと混合した熱硬化性導電性樹脂組成物が開発されている(特許文献2)。
特開2009-74075号公報 特開2015-10202号公報
ところが、特許文献1に記載の技術は、導電性フィラーの添加量や分散度合により、樹脂の導電性が大幅に左右される。
また、特許文献2に記載の導電性樹脂組成物の硬化物は優れた導電性を示すが、硬化前の組成物を保存している間であっても、モノマーの反応が起こるおそれがあるため、保存安定性に乏しいという問題がある。また、高導電化を図るために導電性樹脂の添加量を増やした場合、組成物が高粘度化するとともに、硬化成分が少なくなることで成形性、硬化性が消失してしまうという問題もある。すなわち、成形性に乏しいことが工業化展開の問題となっている。
そこで本発明は、保存安定性に優れ、導電性、成形性、及び濡れ性に優れる硬化物を得ることができる熱硬化性樹脂組成物を提供することを課題とする。
上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明者らは下記本発明を想到し、当該課題を解決できることを見出した。
すなわち本発明は、導電性ポリマー(A)、プロトン酸ドーパント(B)、及び脂環式骨格とエポキシ基とを有する化合物(C)を含み、下記(1)及び(2)を満たす熱硬化性導電性組成物に関する。
(1)示差走査型熱量計を用いて測定した、前記熱硬化性導電性組成物の硬化反応開始温度が70℃以上
(2)硬化後の硬化物の体積抵抗率が1.0×10-4Ω・cm以上1.0×10Ω・cm以下
本発明によれば、保存安定性に優れ、導電性、成形性、及び濡れ性に優れる硬化物を得ることができる熱硬化性樹脂組成物を提供することができる。
<熱硬化性導電性組成物>
本発明の熱硬化性導電性組成物は、導電性ポリマー(A)、プロトン酸ドーパント(B)、及び脂環式骨格とエポキシ基とを有する化合物(C)を含み、下記(1)及び(2)を満たすことを特徴とする。
(1)示差走査型熱量計を用いて測定した、前記熱硬化性導電性組成物の硬化反応開始温度が70℃以上
(2)硬化後の硬化物の体積抵抗率が1.0×10-4Ω・cm以上1.0×10Ω・cm以下
本発明の熱硬化性導電性組成物(以下、単に「組成物」と略記することがある。)において、プロトン酸ドーパント(B)は導電性ポリマー(A)のドーパント成分として働き、かつモノマーである脂環式骨格とエポキシ基を有する化合物(C)(以下、単に「化合物(C)」と略記することがある。)の重合開始剤としても働く。導電性ポリマー(A)はプロトン酸ドーパント(B)中に均一に分散されていることにより、かつ各成分の含有割合等を好適に調整することによって組成物中に均一に分散した導電性ポリマー(A)及びプロトン酸ドーパント(B)からなる複合体により、組成物の硬化物は優れた導電性を有する。
また、モノマーとして化合物(C)を用いることにより、硬化前の組成物を保存している間であっても、モノマーの重合反応がほとんど起きず、組成物の保存安定性に優れる効果を発現することができる。化合物(C)は環状脂肪族骨格エポキシ基を有し、重量平均分子量が高く、複雑な立体構造を有している。このような構造を有する化合物は重合反応をする時、側鎖や、立体構造などの障害で、カチオン重合の反応速度が大幅に落ちる効果が生じると考えられる。また、化合物(C)におけるエポキシ基の酸素がマイナス帯電となり、これがプラスイオンを有するプロトン酸ドーパント(B)に近づくと、マイナスの酸素とプラスの炭素が結合して重合するので、連鎖反応のような結合エネルギーの変化が少なく、温度上昇につながらないとも考えられる。上記理由から化合物(C)を用いることにより、室温程度ではモノマーの重合反応がほとんど起きないと考えられる。
さらに、本発明の組成物は高粘度化や硬化成分が少なくなるおそれがほとんどなく、硬化性が良好であることから成形性に優れる。また、本発明の組成物は、脂環式骨格とエポキシ基を有する化合物(C)を含有することで濡れ性にも優れる。
[硬化反応開始温度]
本発明の組成物は、(1)示差走査型熱量計を用いて測定した、組成物の硬化反応開始温度が70℃以上であることを特徴とする。上記硬化反応開始温度は、好ましくは80℃以上、より好ましくは100℃以上である。上限は特に制限がないが、通常200℃以下である。
本発明の組成物は熱硬化性を有するため、昇温すると硬化反応を開始する。示差走査型熱量計(DSC)の測定により求められる、組成物の硬化反応開始温度が70℃未満であると昇温前に組成物の重合反応が起こるおそれがあり、優れた保存安定性を発現することができない。本発明の組成物は、保存安定性に優れるので保存している間であっても未硬化状態が維持されている。そのため、例えば、プリプレグ、塗料、電子部材等の各種用途の材料として、保存していた本発明の組成物を用いても、保存期間中に組成物の重合反応が進行していたことによって引き起こされる品質の不具合が生じるおそれがなく、硬化物の十分な実用物性が得られる。また、本発明の組成物であれば、組成物の製造後直ちに各種用途に用いることを要さず、生産性にも好適である。
本発明において上記硬化反応開始温度を所望する範囲内とするためには、モノマーとして化合物(C)を用いることが重要であり、加えて各成分の含有割合や分散性等を好適に調整することによって達成することができる。
本発明において、上記硬化反応開始温度は、DSC測定による硬化反応ピークの立ち上がりの温度であり、DSCにより得られる発熱曲線の変曲点の接線とベースラインの接線との交点により求められる。一般にこのピーク温度が高いほど室温においては硬化反応が開始しない傾向にあり、硬化反応開始温度が70℃以上であると組成物の保存安定性に優れる。
より具体的には、硬化反応開始温度は、後述する実施例に記載の方法により測定される。
[硬化物の体積抵抗率]
本発明の組成物は、(2)硬化後の硬化物の体積抵抗率が1.0×10-4Ω・cm以上1.0×10Ω・cm以下であることを特徴とする。また上記体積抵抗率は、好ましくは1.0×10Ω・cm以下、より好ましくは1.0×10Ω・cm以下である。
上記体積抵抗率が1.0×10-4Ω・cm未満であると良好な導電性を得られるが樹脂の含有割合が少なくなり成形性に劣り、1.0×10Ω・cmを超えると導電性が不十分である。
本発明の組成物を硬化した硬化物の体積抵抗率を上記範囲内とするためには、導電性ポリマー(A)及びプロトン酸ドーパント(B)を適切に選択することや、これらの含有割合及び分散性を好適にすること等により調整することができる。
本発明において上記体積抵抗率は、JIS K 7194:1994に準拠して低抵抗率計を用いて測定することができる。一般に体積抵抗率が1×10Ω・cm以下であることで導電性に優れているといえる。
より具体的には、体積抵抗率は、後述する実施例に記載の方法により測定される。
[硬化物の表面接触角度]
本発明の組成物は、硬化後の硬化物の表面接触角度は、好ましくは75°以下、より好ましくは65°以下、さらに好ましくは63°以下である。表面接触角度の下限は特に制限がないが、通常15°以上である。
本発明において上記表面接触角度が75°以下であることで、本発明の組成物を硬化した硬化物は濡れ性に優れ、当該組成物を用いた各種材料と、塗料やゲルコート等との密着性が高くなり、室外で使用する際に、表面コート品の剥がれや、脱落が少なくなるという利点を有し、硬化物の耐候性の向上も期待できる。
上記硬化物の表面接触角度を上記範囲内とするためには、化合物(C)としてエポキシ基等の官能基が多い化合物を使用すればよい。
本発明において上記表面接触角度は、表面接触角度計を用いて測定することができる。より具体的には、表面接触角度は、後述する実施例に記載の方法により測定される。
[導電性ポリマー(A)]
本発明においては、導電性ポリマー(A)として、ポリアニリン、ポリアニリン誘導体、ポリフェニレンビニレン、ポリチオフェン、ポリ(3,4-ジオキシチオフェン)等を用いることができる。本発明において導電性ポリマー(A)は、好ましくはポリアニリン又はポリアニリン誘導体である。
ポリアニリンは、下記式(1)に示すエメラルディンベース(EB)状態では絶縁体である。
Figure 0007135390000001
このEB状態のポリアニリンに、プロトン酸ドーパントH+(解離状態)がドーピングされると、ポリアニリン中のイミノ基と塩を形成し、導電性を示す電子状態である下記式(2)に示すエメラルディンソルト(ES)状態に変化する。
なお、ポリアニリンの電子状態は、UV-vis-NIRスペクトルから確認することができる。
Figure 0007135390000002
[プロトン酸ドーパント(B)]
プロトン酸ドーパント(B)は、EB状態の導電性ポリマー(A)を導電性にするために用いられる。
本発明においてプロトン酸ドーパント(B)としては、塩酸、硫酸、硝酸、及びリン酸等の無機酸;有機スルホン酸、有機カルボン酸、及び有機リン酸等の有機酸を用いることができるが、これらの中ではプロトン酸ドーパント(B)は有機スルホン酸であることが好ましい。
導電性ポリマー(A)としてポリアニリンを用いた場合、プロトン酸ドーパント(B)としては、立体障害の大きい部位を有する有機酸を用いることが好ましい。
立体障害の大きい部位を有する有機酸として、具体的には、下記式(3)に示すドデシルベンゼンスルホン酸のほか、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、アントラキノンスルホン酸、アルキルスルホン酸、ドデシルスルホン酸、樟脳スルホン酸、ジオクチルスルホコハク酸、ポルフィリンテトラスルホン酸、ポリビニルスルホン酸等の有機スルホン酸;プロピルリン酸、ブチルリン酸、ヘキシルリン酸、ポリエチレンオキシドドデシルエーテルリン酸、ポリエチレンオキシドアルキルエーテルリン酸等の有機リン酸等が挙げられる。中でも、ドデシルスルホン酸、アルキルスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ブチルリン酸、ヘキシルリン酸がより好ましい。
Figure 0007135390000003
剛直なポリアニリン主鎖に対して、塩酸等の無機酸のドーパントがドープされても、ポリアニリンは不溶不融であり、加工性に劣る。これに対して、立体障害の大きい部位を有する有機酸をドーパントとした場合は、酸性基がドーパントとして機能し、一方、立体障害部分がポリアニリン主鎖同士の相互作用を抑制し、運動性を向上させることで、有機化学物との良分散性、加工性が向上する。したがって、このようなプロトン酸ドーパントは、ポリアニリンの導電性を発現させ、かつ、加工性を向上させることができる機能性ドーパントであるといえる。
上記プロトン酸ドーパント(B)は、単独で、又は複数種を組み合わせて用いてもよい。例えば粘度調整のため、プロトン酸ドーパントとして相溶性がある液体のものと固体のものを併用することもできる。
[化合物(C)]
本発明において重合モノマーとして、脂環式骨格とエポキシ基とを有する化合物(C)が用いられる。
化合物(C)は、脂環式骨格と1個以上のエポキシ基とを有する化合物であり、分子内(一分子中)に脂環(脂肪族環)構造とエポキシ基(オキシラニル基)とを少なくとも有する化合物である。化合物(C)として具体的には、(i)脂環式骨格を構成している隣接する2つの炭素原子と酸素原子とで構成されるエポキシ基(脂環エポキシ基)を有する化合物、(ii)脂環式骨格を構成している炭素原子と直接単結合しているエポキシ基を有する化合物、(iii)水素化芳香族グリシジルエーテル系エポキシ化合物等が挙げられ、これらは単独で、又は複数種を組み合わせて用いてもよい。
本発明では、プロトン酸ドーパント(B)がカチオン重合開始剤として働き、カチオン反応性触媒を使用しない。また、化合物(C)を重合モノマーとして用いる際、室温において重合反応はほとんど生じないが、熱を加えたときに重合反応が開始するという特徴を有する。
上記(i)脂環式骨格を構成している隣接する2つの炭素原子と酸素原子とで構成されるエポキシ基を有する化合物(以下、「エポキシ化合物(i)」と称すことがある。)としては、公知乃至慣用のものの中から任意に選択して使用することができる。中でも、上記脂環エポキシ基としては、シクロヘキセンオキシド基(シクロヘキサン環を構成している隣接する2つの炭素原子と酸素原子とで構成されるエポキシ基)が好ましい。具体的には、下記式(4)で表される化合物(脂環式エポキシ化合物)が挙げられる。
Figure 0007135390000004
上記式(4)中、Xは1価の有機基を示す。上記1価の有機基としては、例えば、炭化水素基(1価の炭化水素基)、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アシルオキシ基、アルキルチオ基、アルケニルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、グリシジル基、エポキシ基、シアノ基、イソシアナート基、カルバモイル基、イソチオシアナート基、これらの基と後述の連結基(1以上の原子を有する2価の基)が結合した基等が挙げられる。
上記炭化水素基としては、例えば、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、これらが2以上結合した基等が挙げられる。
上記脂肪族炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。
上記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、イソオクチル基、デシル基、ドデシル基等のC1-20アルキル基等が挙げられる。
上記アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、メタリル基、1-プロペニル基、イソプロペニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、1-ペンテニル基、2-ペンテニル基、3-ペンテニル基、4-ペンテニル基、5-ヘキセニル基等のC2-20アルケニル基等が挙げられる。
上記アルキニル基としては、例えば、エチニル基、プロピニル基等のC2-20アルキニル基等が挙げられる。
上記脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロドデシル基等のC3-12シクロアルキル基;シクロヘキセニル基等のC3-12のシクロアルケニル基;ビシクロヘプタニル基、ビシクロヘプテニル基等のC4-15架橋環式炭化水素基等が挙げられる。
上記芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等のC6-14アリール基(特に、C6-10アリール基)等が挙げられる。
また、上記脂肪族炭化水素基と脂環式炭化水素基とが結合した基としては、例えば、シクロへキシルメチル基、メチルシクロヘキシル基等が挙げられる。脂肪族炭化水素基と芳香族炭化水素基とが結合した基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基等のC7-18アラルキル基、シンナミル基等のC6-10アリール-C2-6アルケニル基、トリル基等のC1-4アルキル置換アリール基、スチリル基等のC2-4アルケニル置換アリール基等が挙げられる。
上記炭化水素基は置換基を有していてもよい。上記炭化水素基における置換基の炭素数は、特に限定されないが、0~20が好ましく、より好ましくは0~10である。該置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;ヒドロキシル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、イソブチルオキシ基等のアルコキシ基(特に、C1-6アルコキシ基);アリルオキシ基等のアルケニルオキシ基(特に、C2-6アルケニルオキシ基);フェノキシ基、トリルオキシ基、ナフチルオキシ基等の、芳香環にC1-4アルキル基、C2-4アルケニル基、ハロゲン原子、C1-4アルコキシ基等の置換基を有していてもよいアリールオキシ基(特に、C6-14アリールオキシ基);ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基等のアラルキルオキシ基(特に、C7-18アラルキルオキシ基);アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、(メタ)アクリロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアシルオキシ基(特に、C1-12アシルオキシ基);メルカプト基;メチルチオ基、エチルチオ基等のアルキルチオ基(特に、C1-6アルキルチオ基);アリルチオ基等のアルケニルチオ基(特に、C2-6アルケニルチオ基);フェニルチオ基、トリルチオ基、ナフチルチオ基等の、芳香環にC1-4アルキル基、C2-4アルケニル基、ハロゲン原子、C1-4アルコキシ基等の置換基を有していてもよいアリールチオ基(特に、C6-14アリールチオ基);ベンジルチオ基、フェネチルチオ基等のアラルキルチオ基(特に、C7-18アラルキルチオ基);カルボキシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基(特に、C1-6アルコキシ-カルボニル基);フェノキシカルボニル基、トリルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等のアリールオキシカルボニル基(特に、C6-14アリールオキシ-カルボニル基);ベンジルオキシカルボニル基等のアラルキルオキシカルボニル基(特に、C7-18アラルキルオキシ-カルボニル基);アミノ基;メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のモノ又はジアルキルアミノ基(特に、モノ又はジ-C1-6アルキルアミノ基);アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等のアシルアミノ基(特に、C1-11アシルアミノ基);エポキシ基、グリシジル基、グリシジルオキシ基、シクロヘキセンオキシド基等のエポキシ基含有基;エチルオキセタニルオキシ基等のオキセタニル基含有基;アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基等のアシル基;オキソ基;これらの2以上が必要に応じてC1-6アルキレン基を介して結合した基等が挙げられる。
上記式(4)で表される化合物の中でも、特に、硬化物の耐熱性、耐光性の観点で、下記式(4-1)で表される化合物(脂環式エポキシ化合物)が好ましい。
Figure 0007135390000005
上記式(4-1)中、Yは単結合又は連結基(1以上の原子を有する2価の基)を示す。
上記連結基としては、例えば、2価の炭化水素基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、カーボネート基、アミド基、及びこれらが複数個連結した基等が挙げられる。
式(4-1)中のYが単結合である脂環式エポキシ化合物としては、3,4,3’,4’-ジエポキシビシクロヘキサン等が挙げられる。
上記2価の炭化水素基としては、炭素数が1~18の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基、2価の脂環式炭化水素基等が挙げられる。炭素数が1~18の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基等が挙げられる。2価の脂環式炭化水素基としては、例えば、1,2-シクロペンチレン基、1,3-シクロペンチレン基、シクロペンチリデン基、1,2-シクロヘキシレン基、1,3-シクロヘキシレン基、1,4-シクロヘキシレン基、シクロヘキシリデン基等の2価のシクロアルキレン基(シクロアルキリデン基を含む)等が挙げられる。
上記連結基Yとしては、特に、酸素原子を含有する連結基が好ましく、具体的には、例えば、-CO-、-O-CO-O-、-COO-、-O-、-CONH-;これらの基が複数個連結した基;これらの基の1又は2以上と2価の炭化水素基の1又は2以上とが連結した基等が挙げられる。2価の炭化水素基としては上記で例示したものが挙げられる。
上記式(4-1)で表される化合物の代表的な例としては、下記式(I-1)~(I-10)で表される化合物、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、1,2-ビス(3,4-エポキシシクロヘキサン-1-イル)エタン、1,2-エポキシ-1,2-ビス(3,4-エポキシシクロヘキサン-1-イル)エタン、2,2-ビス(3,4-エポキシシクロヘキサン-1-イル)プロパン等が挙げられる。
なお、下記式(I-5)、(I-7)中のl、mは、それぞれ1~30の整数を表す。下記式(I-5)中のRは炭素数1~8のアルキレン基であり、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基、s-ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基等の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基が挙げられる。これらの中でも、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基等の炭素数1~3の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基が好ましい。下記式(I-9)、(I-10)中のn1~n6は、それぞれ1~30の整数を示す。
Figure 0007135390000006
Figure 0007135390000007
上記式(I-1)~(I-10)で表される脂環式エポキシ化合物としては、例えば、商品名「セロキサイド2021P」、「セロキサイド2081」(以上、(株)ダイセル製)等の市販品を使用することもできる。
上記(ii)脂環式骨格を構成している炭素原子と直接単結合しているエポキシ基を有する化合物(以下、「エポキシ化合物(ii)」と称すことがある。)としては、例えば、下記式(II)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 0007135390000008
式(II)中、R’は、構造式上、p価のアルコールからp個のヒドロキシ基(-OH)を除いた基(p価の有機基)であり、p、nはそれぞれ自然数を表す。p価のアルコール[R’(OH)p]としては、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノール等の多価アルコール(炭素数1~15のアルコール等)等が挙げられる。pは1~6が好ましく、nは1~30が好ましい。pが2以上の場合、それぞれの()内(外側の括弧内)の基におけるnは同一でもよいし、異なっていてもよい。
上記式(II)で表される化合物としては、具体的には、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノールの1,2-エポキシ-4-(2-オキシラニル)シクロヘキサン付加物[例えば、商品名「EHPE3150」((株)ダイセル製)等]等が挙げられる。
上記(iii)水素化芳香族グリシジルエーテル系エポキシ化合物(以下、「エポキシ化合物(iii)」と称すことがある。)としては、例えば、2,2-ビス[4-(2,3-エポキシプロポキシ)シクロへキシル]プロパン、2,2-ビス[3,5-ジメチル-4-(2,3-エポキシプロポキシ)シクロへキシル]プロパン、下記式(III)で表される化合物等のビスフェノールA型エポキシ化合物を水素化した化合物(核水添ビスフェノールA型エポキシ化合物);ビス[o,o-(2,3-エポキシプロポキシ)シクロへキシル]メタン、ビス[o,p-(2,3-エポキシプロポキシ)シクロへキシル]メタン、ビス[p,p-(2,3-エポキシプロポキシ)シクロへキシル]メタン、ビス[3,5-ジメチル-4-(2,3-エポキシプロポキシ)シクロへキシル]メタン等のビスフェノールF型エポキシ化合物を水素化した化合物(核水添ビスフェノールF型エポキシ化合物);水添ビフェノール型エポキシ化合物;水添フェノールノボラック型エポキシ化合物;水添クレゾールノボラック型エポキシ化合物;ビスフェノールAのクレゾールノボラック型エポキシ化合物の水添エポキシ化合物;水添ナフタレン型エポキシ化合物;トリスフェノールメタンから得られるエポキシ化合物の水添エポキシ化合物等が挙げられる。
下記式(III)で表される化合物としては、具体的には、商品名「YX8000」(三菱ケミカル(株)製)、商品名「YX8034」(三菱ケミカル(株)製)等を使用できる。
Figure 0007135390000009
式(III)中、qは1以上の整数(例えば、1~5の整数)を示す。
上記エポキシ化合物(i),エポキシ化合物(ii),エポキシ化合物(iii)は、単独で、又は複数種を組み合わせて用いてもよい。
上記化合物(C)は、重量平均分子量が好ましくは200~2000の範囲のものである。また、組成物を調製しやすい観点から、化合物(C)の重量平均分子量はより好ましくは200~1000、さらに好ましくは200~500である。
[含有割合]
本発明の組成物において、化合物(C)の含有量は、導電性と成形性との両立を考慮し、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上である。また本発明の組成物における化合物(C)の含有量は、上記と同様の観点から好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下である。
本発明の組成物において、導電性ポリマー(A)がポリアニリンである場合、ポリアニリンの窒素原子と、プロトン酸ドーパント(B)は、モル比[ポリアニリンの窒素原子:プロトン酸ドーパント]で、好ましくは10:1~1:2である。
プロトン酸ドーパント(B)が少なすぎると、加熱しても重合・硬化反応が十分に進行しないほか、ポリアニリンの状態がES状態からEB状態に変化し、導電性が失われてしまう。一方、プロトン酸ドーパント(B)がこの範囲を超えて多く存在すると、ポリアニリンによる導電路形成が困難となり、良好な導電性を示さない以外、加熱しなくても室温で発熱を伴う反応が開始し、反応制御が困難となり、速やかに硬化してしまう。
また、本発明の組成物において、導電性ポリマー(A)及びプロトン酸ドーパント(B)の合計と化合物(C)とは、質量比[導電性ポリマー(A)及びプロトン酸ドーパント(B)の合計:化合物(C)]で、好ましくは1:1~1:0.1、より好ましくは1:1~1:0.3である。
導電性ポリマー(A)及びプロトン酸ドーパント(B)の合計が多くなるほど組成物の導電性が高くなるが、多くなり過ぎると成形性に不具合が生じる。また上記質量比の範囲内であれば組成物中に導電性ポリマー(A)及びプロトン酸ドーパント(B)の複合物が好適に分散され優れた導電性が発現されやすくなる。
[他のエポキシ化合物(D)]
本発明の組成物は、低粘度及び保存安定性を向上するため、上記化合物(C)以外の他のエポキシ化合物(D)(以下、「他のエポキシ化合物(D)」と称することがある。)を併用することもできる。
上記他のエポキシ化合物(D)としては、例えば、芳香族グリシジルエーテル系エポキシ化合物[例えば、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビフェノール型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、ビスフェノールAのクレゾールノボラック型エポキシ化合物、ナフタレン型エポキシ化合物、トリスフェノールメタンから得られるエポキシ化合物等]、脂肪族グリシジルエーテル系エポキシ化合物[例えば、脂肪族ポリグリシジルエーテル等]、グリシジルエステル系エポキシ化合物、グリシジルアミン系エポキシ化合物、エポキシ基を有するイソシアヌレート化合物[例えば、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート化合物、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート化合物、トリグリシジルイソシアヌレート化合物等]が挙げられる。
本発明の組成物において上記他のエポキシ化合物(D)は、単独で、又は複数種を組み合わせて用いてもよい。
他のエポキシ化合物(D)を使用することで、組成物の粘度を調整することができる。
他のエポキシ化合物(D)の含有量は、特に限定されないが、組成物の粘度にしたがって、適当な比率で添加することもできる。
[硬化剤(E)]
本発明の組成物は、上記他のエポキシ化合物(D)を含有する場合、硬化剤(E)をさらに含有することができる。
硬化剤(E)としては、エポキシ樹脂用硬化剤として公知乃至慣用の硬化剤を使用することができ、特に限定されないが、例えば、酸無水物類(酸無水物系硬化剤)、アミン類(アミン系硬化剤)、ポリアミド樹脂、イミダゾール類(イミダゾール系硬化剤)、ポリメルカプタン類(ポリメルカプタン系硬化剤)、フェノール類(フェノール系硬化剤)、ポリカルボン酸類、ジシアンジアミド類、有機酸ヒドラジド等が挙げられる。上記硬化剤(E)は、単独で、又は複数種を組み合わせて用いてもよい。
[硬化促進剤(F)]
本発明の組成物は、上記他のエポキシ化合物(D)を含有する場合、硬化促進材(F)をさらに含有することができる。
硬化促進剤(F)は、他のエポキシ化合物(D)が硬化剤(E)と反応する際に、その反応速度を促進する機能を有する化合物である。
硬化促進剤(F)としては、公知乃至慣用の硬化促進剤を使用でき、特に限定されないが、例えば、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7(DBU)又はその塩(例えば、フェノール塩、オクチル酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ギ酸塩、テトラフェニルボレート塩等);1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン-5(DBN)又はその塩(例えば、フェノール塩、オクチル酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ギ酸塩、テトラフェニルボレート塩等);ベンジルジメチルアミン、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン等の3級アミン;2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール等のイミダゾール;リン酸エステル;トリフェニルホスフィン、トリス(ジメトキシ)ホスフィン等のホスフィン類;テトラフェニルホスホニウムテトラ(p-トリル)ボレート等のホスホニウム化合物;オクチル酸亜鉛、オクチル酸スズ、ステアリン酸亜鉛等の有機金属塩;アルミニウムアセチルアセトン錯体等の金属キレート等が挙げられる。上記硬化促進剤(F)は、単独で、又は複数種を組み合わせて用いてもよい。
硬化促進剤(F)としては、商品名「U-CAT SA 506」、「U-CAT SA 102」、「U-CAT5003」、「U-CAT18X」、「U-CAT12XD」(開発品)(以上、サンアプロ(株)製);商品名「TPP-K」、「TPP-MK」(以上、北興化学工業(株)製);商品名「PX-4ET」(日本化学工業(株)製)等の市販品を使用することもできる。
[その他の成分(添加剤)]
本発明の組成物には、添加剤として、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー及びエラストマーからなる群から選ばれた1種以上の樹脂を添加することができる。この添加剤は、組成物の靭性を向上させ、かつ、粘弾性を変化させて、粘度、貯蔵弾性率及びチキソトロープ性を適正化する役割がある。添加剤として用いられる熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマーまたはエラストマーは、単独で、又は複数種を組み合わせて用いてもよい。
熱可塑性樹脂としては、主鎖に、炭素-炭素結合、アミド結合、イミド結合、エステル結合、エーテル結合、カーボネート結合、ウレタン結合、尿素結合、チオエーテル結合、スルホン結合、イミダゾール結合及びカルボニル結合からなる群から選ばれた結合を有する熱可塑性樹脂が好ましく用いられる。
中でも、例えばポリアクリレート、ナイロン、ポリアラミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリベンズイミダゾール、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン及びポリエーテルスルホンのようなエンジニアリングプラスチックに属する熱可塑性樹脂の一群がより好ましく用いられる。
耐熱性に優れることから、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン及びポリエーテルスルホン等が特に好ましく使用される。この中でもポリエーテルスルホンは、硬化物の耐熱性と弾性率を維持したまま靭性を高めることができより好ましい。
また、これらの熱可塑性樹脂が熱硬化性樹脂との反応性の官能基を有することは、靭性向上及び硬化樹脂の耐環境性維持の観点から好ましい。特に好ましい官能基としては、カルボキシル基、アミノ基及び水酸基等が挙げられる
<熱硬化性導電性組成物の製造方法>
本発明の組成物は、導電性ポリマー(A)及びプロトン酸ドーパント(B)を混合してプロトン酸ドーパント(B)中に導電性ポリマー(A)を分散させて、導電性ポリマー(A)及びプロトン酸ドーパント(B)からなる複合体とした後、該複合体と、化合物(C)及び必要に応じて(D)~(F)やその他の成分とを混合、分散させて製造することができる。
上記混合に用いる装置としては特に制限はなく、例えば例えば、ボールミル、ビーズミル、遊星ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、コロイドミル、アトライター、ロールミル、高速インペラー分散、ディスパーザー、ホモジナイザー、高速衝撃ミル、超音波分散、撹拌羽根等による機械撹拌法等が挙げられる。
<硬化物の製造方法>
本発明の組成物の硬化は、前述のとおりプロトン酸ドーパント(B)が重合開始剤となって重合反応が進行する。重合反応は昇温すればよく、100~250℃程度で行うことが好ましい。硬化温度を100℃以上とすることにより硬化時間が短縮され、250℃以下とすることにより空気中の酸素等により副反応が生じたり、導電性、成形性及び濡れ性に不具合が発生したりするおそれが抑えられる。
本発明の組成物は、保存安定性に優れ、また、導電性、成形性、及び濡れ性に優れる硬化物を得ることができる。このような本発明の組成物の特性は粘度調整を行っても維持することが可能である。したがって本発明の組成物は、繊維強化材に含浸させてプリプレグに適用でき、また樹脂フィルム、塗料、及び各種電子機器の筐体等の導電性を必要とする広い用途に用いることができる。
以下、本発明を実施例及び比較例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例で用いた化合物(C)は次のとおりである。
・(C):セロキサイド2021P:商品名「セロキサイド2021P」[3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(3,4-エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート]、分子量252、(株)ダイセル製
実施例及び比較例の組成物及び硬化物については、下記硬化反応開始温度、体積抵抗率、表面接触角、及び硬化性の評価を行った。
<評価法>
(1)硬化反応開始温度(保存安定性)
実施例又は比較例で得られた6~10mgの組成物を試料として示差走査型熱量計中に置く。それから試料を5℃/分で加熱し、200~230℃の最終温度まで到達させる。示差走査熱量分析により得られる発熱曲線の変曲点の接線とベースラインの接線の交点から硬化反応開始温度を求めた。
かかる硬化反応開始温度が70℃未満であると保存安定性が不十分で、70℃以上であると保存安定性が良好であると評価した。
なお、本実施例において、樹脂組成物の保存安定性は硬化反応開始温度の高い方が好ましい。
(2)体積抵抗率(導電性)
実施例又は比較例で得られた硬化物を用いて測定用の試料(約100mm×約100mm×約200μm)を作製し、抵抗率計「ロレスタGP」(ロレスタGPMCP-T610型抵抗率計、JIS K 7194:1994準拠、4端子4探針法定電流印加方式、(株)三菱ケミカルアナリテック製)(0.5cm間隔の4端子プローブ)を用い、体積抵抗値(Ω・cm)を測定した。
なお、本実施例において、数値が小さい方が導電性に優れている。
(3)表面接触角度(濡れ性)
実施例又は比較例で得られた硬化物を水平面に静置し、水平面に対して垂直方向から8μLの純水滴をポリマー複合体等に滴下した。表面接触角計WPI-3000((株)共和化学工業所製)を用いて「液滴法:θ/2法」モードで表面接触角度を測定した。
なお、表面接触角度の値が小さいほど、表面の親水性が高いといえる。
(4)硬化性(成形性)
実施例又は比較例で得られた組成物の硬化性を次の基準にしたがい評価した。
○:硬化反応が良好に進行し、反応の残りが生じない。
△:硬化反応が進行するが、残モノマーのにおい等の不具合が生じる。
×:硬化反応が進行しない、又は、進行しても未硬化の液体が残りタックが出る等の不具合が生じる。
[実施例1]
(1)ポリアニリン-ドデシルベンゼンスルホン酸複合体の調製[導電性ポリマー(A)とプロトン酸ドーパント(B)の混合物]
市販されたエメラルディンベース(EB)状態のポリアニリン(PANI)30部と、ドデシルベンゼンスルホン酸(DBSA)70部を3本ロールミル機に配合し、均一分散するように混練することでペースト状の混合物(ポリアニリンA-ドデシルベンゼンスルホン酸複合体)を得た。
(2)組成物
上記ポリアニリンA-ドデシルベンゼンスルホン酸複合体7gに、脂環式エポキシ化合物(化合物(C)、セロキサイド2021P、前述のエポキシ化合物(i)に相当)を3g加え、3本ロールミル機を用いて良分散したペースト状の組成物を得た。得られた組成物を用いて上述の方法により硬化反応開始温度を求めた。
また、得られた組成物を150℃で1.5時間加熱し、シート状の硬化物を得た。得られた硬化物を用いて上述の方法により、体積抵抗率、表面接触角度、及び硬化性を評価した。
各種評価結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1の(1)で得たポリアニリンA-ドデシルベンゼンスルホン酸複合体5gに、ジビニルベンゼン((C’))5gを加え、自転公転ミキサーを用いて室温で20分間撹拌し、ジビニルベンゼン中にポリアニリンA-ドデシルベンゼンスルホン酸複合体が良分散したペースト状のポリアニリン組成物を得た。撹拌の途中、組成物の粘度が少しずつ上昇していることが感じられた。
得られた組成物を用いて120℃で1.5時間加熱し、シート状の硬化物を得た。ただし、硬化物は残モノマーの匂いがあった。得られた組成物及び硬化物について上述の方法により各種評価を行い、結果を表1に示す。
[比較例2]
実施例1の(1)で得たポリアニリンA-ドデシルベンゼンスルホン酸複合体4gに、脂環式エポキシ(化合物(C)、セロキサイド2021P、前述のエポキシ化合物(i)に相当)6gを加え、自転公転ミキサーを用いて室温で20分間撹拌し、クリーム状の低粘度組成物を得た。
得られた組成物を用い、150℃で1.5時間加熱したが、未反応組成物が残り、粘状物になり硬化物が得られなかった。
得られた組成物について上述の方法により硬化反応開始温度を求めた。また、硬化物は得られなかったため体積抵抗率及び表面接触角度の測定は実施できず、上記粘状物について硬化性を評価した。
各種評価結果を表1に示す。
Figure 0007135390000010
本発明の組成物は、その特性から繊維強化材に含浸させてプリプレグに適用でき、また樹脂フィルム、塗料、及び各種電子機器の筐体等の導電性を必要とする広い用途に有用である。

Claims (8)

  1. 導電性ポリマー(A)、プロトン酸ドーパント(B)、及び脂環式骨格とエポキシ基とを有する化合物(C)を含み、下記(1)及び(2)を満たし、前記化合物(C)の含有量が5質量%以上50質量%以下である、熱硬化性導電性組成物。
    (1)示差走査型熱量計を用いて測定した、前記熱硬化性導電性組成物の硬化反応開始温度が70℃以上
    (2)硬化後の硬化物の体積抵抗率が1.0×10-4Ω・cm以上1.0×10Ω・cm以下
  2. 前記化合物(C)の重量平均分子量が200~2000である、請求項1に記載の熱硬化性導電性組成物。
  3. 前記導電性ポリマー(A)がポリアニリンである、請求項1又は2に記載の熱硬化性導電性組成物。
  4. 前記ポリアニリンの窒素原子と、前記プロトン酸ドーパント(B)とのモル比が、10:1~1:2である、請求項に記載の熱硬化性導電性組成物。
  5. 前記導電性ポリマー(A)及び前記プロトン酸ドーパント(B)の合計と、前記化合物(C)との質量比が、1:1~1:0.1である、請求項1~のいずれかに記載の熱硬化性導電性組成物。
  6. 前記化合物(C)が、(i)脂環式骨格を構成している隣接する2つの炭素原子と酸素原子とで構成されるエポキシ基を有する化合物、(ii)脂環式骨格を構成している炭素原子と直接単結合しているエポキシ基を有する化合物、及び(iii)水素化芳香族グリシジルエーテル系エポキシ化合物から選ばれる少なくとも1種である、請求項1~のいずれかに記載の熱硬化性導電性組成物。
  7. 前記プロトン酸ドーパント(B)が有機スルホン酸である、請求項1~のいずれかに記載の熱硬化性導電性組成物。
  8. 硬化後の硬化物の表面接触角度が75°以下である、請求項1~のいずれかに記載の熱硬化性導電性組成物。
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