JP7134858B2 - き裂補修方法及びき裂補修装置 - Google Patents

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Description

本発明の実施形態は、施工対象材に生じたき裂を摩擦撹拌プロセスを施工することで補修するき裂補修方法、及びこのき裂補修方法を実施するき裂補修装置に関する。
原子力をはじめとする大型プラントでは、構造材の健全性を長期間維持しながら運転する必要がある。構造材にき裂が発生して進展した場合には、構造材(機器)を補修もしくは取り換えることで構造材の健全性を維持させる。ところが、機器の取り換えには大掛かりな工事が必要になってコストが上昇し、更に稼働率を低下させる要因になる。そのため、可能な限り補修することで構造材の健全性を維持することが望ましい。
補修技術としては、き裂の発生部および進展部に対して、アーク溶接やレーザ溶接等により肉盛する手法が主流である。しかし、この補修技術は、き裂部に対して研削工程、肉盛工程、研磨工程、必要であれば熱処理工程を行うのが主流であり、工程数が多い。また、上述の溶接は、いずれも施工温度が1000℃以上になるため、構造材の材料には、熱影響によって残留応力が生じたり、炭化物や金属間化合物が生成して、応力腐食割れなどの劣化事象を生じる恐れがある。
一方、き裂を封止する技術として、表面を高耐食材料、またはTi(チタン)やPt(白金)、セラミックなどでコーティングもしくは内張りする手法がある。しかしながら、この封止技術は、母材との接合界面における腐食や、コーティング膜そのものの劣化など、健全性を長期間維持することが非常に困難であるという課題がある。
これらを解決する手法として、摩擦撹拌プロセスを利用した補修技術がある。本技術は、施工対象材に接触するツールに加圧力を付与しながら回転させ、材料を摩擦熱により軟化させて塑性流動を生じさせることでき裂を補修する技術であり、工程数が少なく、熱影響の懸念も少ない。
特開2006-75844号公報
しかしながら、従来の摩擦撹拌プロセスを利用した補修技術は、ツールに対して過大な荷重を付与しながら回転させ、この状態でツールを施工対象材の表面に沿って連続して移動させるものである。このため、ツールに付与する力が増大して、プラントへの適用を想定すると、装置が巨大化して汎用性が低下すること、ツールへの負担が大きくツールが短寿命化するという課題がある。
本発明の実施形態は、上述の事情を考慮してなされたものであり、ツールへの負担を低減し且つ装置を小型化できるき裂補修方法及びき裂補修装置を提供することを目的とする。
本発明の実施形態におけるき裂補修方法は、施工対象材のき裂及びその周辺に、回転状態のツールを押し付け加圧して摩擦撹拌プロセスを施工し、前記き裂を補修するき裂補修方法であって、前記ツールを回転させた状態で前記き裂及びその周辺に、押付位置を変更して複数回押し付けて加圧して、前記摩擦撹拌プロセスを施工することを特徴とするものである。
本発明の実施形態におけるき裂補修装置は、施工対象材のき裂及びその周辺に、回転状態のツールを押し付け加圧して摩擦撹拌プロセスを施工し、前記き裂を補修するき裂補修装置であって、前記ツールを回転させる駆動機構と、前記ツールに加圧力を付与する荷重付与機構と、前記ツールを前記施工対象材の表面方向に移動させる移動機構と、を有し、前記駆動機構、前記荷重付与機構及び前記移動機構は、前記ツールを回転させた状態で前記き裂及びその周辺に、押付位置を変更して複数回押し付けて加圧して、前記摩擦撹拌プロセスを施工するよう構成されたことを特徴とするものである。
本発明の実施形態によれば、ツールへの負担を低減し且つ装置を小型化できる。
第1実施形態に係るき裂補修方法のき裂補修状況を説明する斜視図。 図1のき裂補修方法による施工対象材の内部の変化を示し、(A)が施工前、(B)が施工中、(C)が施工後のそれぞれの状態を示す概略断面図。 図1のき裂補修方法を実施するためのき裂補修装置を概略して示す斜視図。 図3のツールの先端形状を示し、(A)が平坦形状の場合を、(B)がテーパ形状の場合をそれぞれ示す側面図。 模擬き裂を形成した施工対象材に対して図1のき裂補修方法を実施(施工)したときの状態を示し、(A)が施工対象材の表面を示す外観写真図、(B)が図5(A)のV-V線に沿う断面写真図。 摩擦撹拌プロセスを説明する斜視図。 図6の摩擦撹拌プロセスを応用した摩擦攪拌接合を示し、(A)が線接合を、(B)が点接合をそれぞれ示す斜視図。 図7の線接合、点接合を行なう装置の仕様を示す図表。 図1のき裂補修方法に対する比較形態を示す斜視図。 図9の比較形態を実施(施工)したときの施工対象材の状況を示し、(A)が施工対象材の表面を示す外観写真図、(B)が図10(A)のX-X線に沿う断面写真図。 第2実施形態に係るき裂補修方法のき裂補修状況を説明する説明図。 図11のき裂補修方法の変形形態を説明する説明図。 図11、図12のき裂補修方法が適用される沸騰水型原子炉を示す概略断面図。 図13におけるき裂補修箇所を示し、(A)がシュラウドサポート部分を、(B)がCRDスタブチューブ部分をそれぞれ示す斜視図。
以下、本発明を実施するための形態を、図面に基づき説明する。
[A]第1実施形態(図1~図10)
図1は、第1実施形態に係るき裂補修方法のき裂補修状況を説明する斜視図である。この図1に示すき裂補修方法は、施工対象材1に生じたき裂(欠陥を含む)2及びその周辺に、回転状態のツール11を押し付けて加圧し、これにより、後述の摩擦撹拌接合の点接合を利用した摩擦撹拌プロセスを施工することで、き裂2を補修(封止を含む)するものである。なお、ツール11の回転は、ツール11の軸まわりの回転であり、その回転方向を図1に矢印Rで示す。また、ツール11に作用する加圧力Pは、ツール11の軸方向に作用する。
上述の摩擦撹拌プロセスは、図6に示すように、ツール11を矢印R方向に回転させた状態で施工対象材1の表面に押し付け、ツール11に加圧力Pを付与して施工対象材1の表面を垂直に加圧することで、摩擦熱を生じさせて施工対象材1の材料を軟化させ、この材料に塑性流動を発生させて材料を撹拌する手法である。この摩擦撹拌プロセスを被接合材の接合に応用したものが摩擦撹拌接合であり、本実施形態のき裂補修方法は、摩擦撹拌接合の点接合(後述)を利用したものである。
摩擦撹拌接合は、接合温度が被接合材の溶融点以下の低い温度であるため、異なった被接合材の接合、またはアルミニウムやアルミニウム合金の接合に用いられることが多い。この摩擦撹拌接合には、線接合と点接合の2種類がある。
線接合は、図7(A)に示すように、被接合材3A、3Bの例えば突き合せ位置に、回転状態のツール11を押し付けて加圧し、この加圧状態でツール11を被接合材3A、3Bの表面に沿って、被接合材3A、3Bの突き合せ線4の方向に連続して移動させ、これにより被接合材3Aと3Bを接合する。また、点接合は、図7(B)に示すように、被接合材3Aと3Bの重ね合わせ領域に、回転状態のツール11を押し付けて加圧して接合し、この接合位置を1点または複数点設けることで、被接合材3Aと3Bとを接合する。この点接合では、ツール11を加圧した状態で被接合材3A、3Bの表面に沿って連続して移動させることはない。
線接合は、ツール11に加圧力Pを付与した状態で、このツール11を被接合材3A、3Bの表面に沿って連続して移動させるため、図8に示すように、この移動方向の力がツール11に作用すると共に、加圧力Pもツール11の移動に伴い増大してしまう。これに対し、点接合は、ツール11を被接合材3A、3Bの表面に沿って移動させる力が不要であるばかりか、加圧力Pも線接合に比べて低い。
この点接合を含む摩擦撹拌接合を、施工対象材1のき裂補修や施工対象材1の表面改質に利用する場合には、施工対象材1の温度を溶融点以下に保持できる点や、研削工程や溶接による肉盛工程が不要になる点などで利点がある。ちなみに、従来、図9に示すような、線接合を利用したき裂補修や表面改質が検討されている。この場合には、一度の施工で広範囲のき裂補修や表面改質が可能であるが、前述のようにツール11に作用する力が増大してしまう。
図1に示すように、本第1実施形態のき裂補修方法は、図7(B)に示す点接合を利用したものであり、施工対象材1のき裂2及びその周辺に、矢印R方向に回転したツール11を押し付け、加圧力Pの作用で施工対象材1の表面を垂直に加圧する。このツール11により押し付けられて加圧された施工対象材1は、図2に示すように、ツール11の押付位置13で摩擦熱により材料が軟化し、塑性流動が生じて撹拌される。このときの撹拌エリア12にき裂2及びその周辺が存在することで、これらのき裂2及びその周辺が混合されてき裂2が補修される。
ツール11の施工対象材1への押付・加圧は、き裂2が短い場合には1回で足りるが、き裂2が長い場合には、き裂2の長さに応じてツール11の押付位置13を変更して、ツール11を施工対象材1に複数回押し付けて加圧する。ツール11の施工対象材1への複数回の押付・加圧は、1回の押付・加圧後に、ツール11を施工対象材1の表面から離反させてき裂2の長さ方向に移動させ、そのツール11を施工対象材1の表面に再度押し付けて加圧し、これを繰り返すことでなされる。
ツール11の施工対象材1への1回の押付位置13または複数回のうちの1回分の押付位置13は、図1に示すように、ツール11が施工対象材1に接触している位置からツール11の直径分の長さ以内で施工対象材1の表面を移動し得る範囲である。または、ツール11の施工対象材1への1回の押付位置13または複数回のうちの1回分の押付位置13は、図5(A)に示すように、ツール11が施工対象材1に接触して保持されている位置である。ここで、上述のようにツール11の押付・加圧を複数回行なう場合、それぞれの押付位置13は、図1及び図5(A)に示すように、互いに重なるように施される。
ツール11を上述のように動作させるき裂補修装置10は、図3に示すように、駆動機構15、荷重付与機構16及び移動機構17を有して構成される。駆動機構15は、ツール保持治具18を介して、ツール11を軸回りに矢印R方向に回転させる。また、荷重付与機構16は、駆動機構15を施工対象材1に対し進退させることで、ツール11を施工対象材1の表面に接近させて押し付け、ツール11に加圧力Pを付与すると共に、ツール11を施工対象材1の表面から離反させる。また、移動機構17は、駆動機構15及び荷重付与機構16を施工対象材1の表面に沿って移動させることで、ツール11を施工対象材1のき裂2の長さ方向に移動させる。
移動機構17によりツール11を施工対象材1のき裂2の位置に位置付け、駆動機構15によりツール11を軸回りに回転させた後に、荷重付与機構16によりツール11を施工対象材1のき裂2及びその周辺に1回押し付けて加圧し、または移動機構17及び荷重付与機構16により押付位置13を変更して複数回押し付けて加圧し、き裂2を補修する。なお、このき裂補修装置10は、レーザ等の加熱手段と温度測定手段を更に備え、施工対象材1を加熱することで、ツール11に付与する加圧力Pを低減させてもよい。このとき、加熱手段による施工対象材1の加熱温度は、施工対象材1に熱影響を生じさせない温度、例えば300℃以下に設定される。
また、図5(B)に示すように、回転状態のツール11を施工対象材1に押し付けて加圧することでき裂2を補修する際の施工対象材1に対する施工深さTは、0.2mm~1mmの範囲に設定される。このように施工深さTを設定することで、ツール11に付与する加圧力Pを例えば2000kgf(19.6kN)以下、好ましくは1000kgf(9.8kN)以下に抑えることが可能になる。ここで、施工深さTを1mm以上に設定した場合には、ツール11に付与する加圧力Pが2000kgfを超えてしまう。例えば、図9の線接合を利用したき裂補修の施工結果として、図10に示すように、施工深さTを1.2mmとした場合、加圧力Pは2500kgf(24.5kN)になってしまう。
施工深さTが0.2mm~1mmの範囲に設定されることで、施工対象材1の表面である接液面から水または酸素が施工対象材1の内部に侵入することを十分に防ぐことが可能になる。更に、施工対象材1が原子力プラントの構造材である場合には、例えば原子力プラントの稼働年数を40年と仮定して構造材(鋼)の腐食速度を基に計算すると、構造材の表面から少なくとも0.2mmの深さまでき裂を除去しておけば、以後40年間の構造材の健全性を担保することが可能になる。
また、回転状態のツール11が施工対象材1のき裂2及びその周辺を押し付けて加圧し、き裂2を補修したときの施工対象材1の施工領域の組織は、結晶の粒径が10μm以下に細粒化される。図5は、円柱状で先端が平坦形状のツール11を用い、摩擦攪拌接合の点接合を利用して模擬き裂5を補修した結果を示す。この図5から、このき裂補修によって模擬き裂5が良好に補修され、且つ施工対象材1の施工領域20の材料組織が、10μm以下に細粒化されていることが分かる。
上述のように施工対象材1の施工領域20の材料組織の結晶を10μm以下に細粒化させるためには、加圧力P、ツール11の回転数、ツール11が施工対象材1に挿入される際の挿入深さ及び挿入速度を適切に設定する必要がある。例えば、深さ1mmのき裂2を補修し、且つ施工領域20の材料組織の結晶を10μm以下に細粒化させるためには、加圧力Pは2000kgf以下に、ツール11の回転数は500~3000rpmに、ツール11の挿入深さは0.1~0.3mmに、ツール11の挿入速度は2~10mm/minにそれぞれ設定される。
図1及び図4に示すように、摩擦攪拌接合の点接合を利用したき裂補修に用いられるツール11は、その先端形状が、突起物のない平坦面11を有する平坦形状(図4(A))、または平坦面11の周縁部位が傾斜して切り欠かれた切欠き面11Bを有するテーパ形状(図4(B))に形成される。このように、ツール11の先端が突起物のない平坦な形状に形成されることで、ツール11により攪拌される施工対象材1の組織が均一な細粒化組織になると共に、施行後の施工対象材1の外観は、図5(A)に示すように、ツール跡が残るものの、突起物による穴のない平坦な形状になる。
また、ツール11の材質は、施工対象材1よりも硬度が高く且つ耐熱性に優れた材料が選定される。例えば、ツール11の材質は、WC(タングステンカーバイド)をベースにした合金、W(タングステン)をベースにした合金、Re(レニウム)をベースにした合金、SiN(窒化ケイ素)、またはPCBN(多結晶の立方晶窒化ホウ素)が用いられる。必要であれば、ツール11の表面にTiAl(チタンアルミニウム)やTiNAl(チタンナイトライトアルミニウム)などをコーティングしてもよい。
以上のように構成されたことから、第1実施形態によれば、次の効果(1)~(5)を奏する。
(1)第1実施形態のき裂補修方法は、図1に示すように、施工対象材1に生じたき裂2及びその周辺に、ツール11を軸回りに回転させた状態で1回押し付けて加圧し、または押付位置13を変更して複数回押し付けて加圧して、摩擦攪拌接合の点接合を利用した摩擦攪拌プロセスによりき裂2を補修している。一方、図9に示すように、施工対象材1のき裂2及びその周辺に、ツール11を軸回りに回転させた状態で押し付けて加圧し、この状態でツール11を施工対象材1の表面に沿って連続して移動させることで、摩擦攪拌接合の線接合を利用した摩擦攪拌プロセスによりき裂2を補修するき裂補修方法がある。
線接合を利用した図9に示すき裂補修方法では、ツール11を施工対象材1に押し付けて加圧した状態で、このツール11を施工対象材1の表面に沿って連続して移動させるので、ツール11に付与する加圧力Pが増大し、しかも、ツール11に移動方向の力も作用する。これに対し、図1に示す点接合を利用したき裂補修方法では、ツール11を施工対象材1に押し付けて加圧するが、この状態でツール11を施工対象材1の表面に沿って連続して移動させることがないので、ツール11に移動方向の力が作用せず、しかも、ツール11に付与する加圧力Pを低下させることができる。この結果、ツール11を長寿命化できると共に、き裂補修装置10の大型化を回避できる。
(2)図5(B)に示すように、施工対象材1のき裂2を補修する際の施工対象材1に対する施工深さTが0.2mm~1mmに設定されたので、施工深さTが施工対象材1の表面に近い浅い範囲になることで、ツール11に付与する荷重(加圧力P)を更に低下させることができる。
(3)施工対象材1のき裂2を補修する際のツール1の施工領域20における材料組織は、結晶の粒径が10μm以下に細粒化されている。このように、施工領域20の組織が細粒化されることで、施工対象材1の施工領域20の強度及び耐食性を向上させることができる。
(4)図4に示すように、施工対象材1のき裂2を補修するためのツール11の先端形状は、突起物のない平坦面11Aを有する形状であるため、ツール11により攪拌される施工対象材1の組織を、均一した細粒化組織にすることができる。また、図4(B)に示すように、ツール11の先端形状を、傾斜した切欠き面11Bを有する平坦形状にすることで、このツール11によって施工対象材1の攪拌がし易くなる。
(5)施工対象材1Aのツール11の1回の押付位置13が、ツール11が施工対象材1に接触している位置からツール11の直径の長さ以内で移動し得る範囲に設定された場合には、ツール11が施工対象材1に押し付けられた状態で微小移動することで、ツール11による施工対象材1の材料組織の細粒化を促進することができる。
[B]第2実施形態(図11~図14)
図11は、第2実施形態に係るき裂補修方法のき裂補修状況を説明する説明図である。この第2実施形態において第1実施形態と同様な部分については、第1実施形態と同一の符号を付すことにより説明を簡略化し、または省略する。
本第2実施形態が第1実施形態と異なる点は、施工対象材1のき裂2の補修を液体中、例えば水W中で実施する点である。このように施工対象材1のき裂2を水W中で補修する場合は、原子力プラントの構造材のように施工対象材1が放射化されている場合などである。
図13は、原子力プラントにおける沸騰水型原子炉22を示す。この沸騰水型原子炉22では、原子炉圧力容器23内に燃料集合体24が配置されて炉心25が構成され、この炉心25の周囲を炉心シュラウド26が覆っている。炉心25内には、制御棒駆動機構(CRD)28により駆動される制御棒29が挿脱可能に設けられる。また、原子炉圧力容器23には、上部に蒸気出口ノズル30及び給水入口ノズル31が設けられ、下部に再循環水入口ノズル32及び再循環水出口ノズル33が設けられている。
図14(A)に、図13のA部分であるシュラウドサポート部分を、図14(B)に、図13のB部分であるCRDスタブチューブ部分をそれぞれ示す。図14(A)に示すように、シュラウドサポート35は、シュラウドシリンダ36が、レグ37により下方から支持されると共に、プレート38を介して原子炉圧力容器23により側方から支持されて構成される。このシュラウドサポート35では、複数枚のシュラウドシリンダ36間、シュラウドシリンダ36とレグ37との間、レグ37と原子炉圧力容器23の底部との間、プレート38とシュラウドシリンダ36との間、プレート38と原子炉圧力容器23の側壁との間に、それぞれ溶接箇所39が存在する。
また、図14(B)に示すように、CRDスタブチューブ40は、原子炉圧力容器23の底部に形成された貫通孔41と同軸に、原子炉圧力容器23の底部内側にスタブチューブ42が溶接され、これらの貫通孔41及びスタブチューブ42内にCRDハウジング43が挿通され、このCRDハウジング43の下端部にフランジ部44が溶接されて構成される。このCRDスタブチューブ40では、スタブチューブ42の下端と原子炉圧力容器23との間、スタブチューブ42の上端とCRDハウジング43との間、CRDハウジング43とフランジ部44との間に、それぞれ溶接箇所39が存在する。
上述のシュラウドサポート35のシュラウドシリンダ36、レグ37及びプレート38、並びにCRDスタブチューブ40のスタブチューブ42、CRDハウジング43及びフランジ部44は、ステンレス鋼またはニッケル基合金で構成されている。これらのステンレス鋼またはニッケル基合金は、いずれも、Cr含有量が13%~25%及びNi含有量が5%~70%を満たす金属材料である。シュラウドサポート35とCRDスタブチューブ40の溶接箇所39周辺にき裂2が発生する恐れがあり、このき裂2を、第1実施形態のき裂補修装置10と同様な構造のき裂補修装置45(図11)、き裂補修装置46(図12)を用いて水W中で補修する。
き裂補修装置45及び46は、共に、ツール11を回転駆動する駆動機構15が防水構造に構成され、更に、駆動機構15とツール11との間も防水構造に構成されている。き裂補修装置45ではツール11、及びこのツール11による施工対象材1の押付位置13が水Wに接しているが、き裂補修装置46では、ツール11及び施工対象材1の押付位置13が、窒素ガスやアルゴンガスなどのガスGに接している。つまり、き裂補修装置46では、駆動機構15の側部に設けられたガスノズル47からガスGが、ツール11へ向かって噴出される。このガスGは、例えば荷重付与機構16に形成されたガス抜き穴48から排出される。
上述のように構成されたことから、き裂補修装置45、46を用いて実施されるき裂2の補修方法は、第1実施形態の効果(1)~(5)と同様な効果を奏するほか、次の効果(6)を奏する。
(6)き裂2が生じた施工対象材1が放射化されている場合に、き裂補修装置45または46を用いて施工対象材1のき裂2を液体(例えば水W)中で補修するので、放射線からき裂補修装置45、46を保護できると共に、き裂2の補修作業における被爆低減を、施工コストを増大させることなく実現できる。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができ、また、それらの置き換えや変更は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…施工対象材、2…き裂、3A、3B…被結合材、4…突き合せ線、5…模擬き裂、10…き裂補修装置、11…ツール、11A…平坦面、11B…切欠き面、12…撹拌エリア、13…押付位置、15…駆動機構、16…荷重付与機構、17…移動機構、18…ツール保持治具、20…施工領域、22…沸騰水型原子炉、23…原子炉圧力容器、24…燃料集合体、25…炉心、26…炉心シュラウド、28…制御棒駆動機構、29…制御棒、30…蒸気出口ノズル、31…給水入口ノズル、32…再循環水入口ノズル、33…再循環水出口ノズル、35…シュラウドサポート、36…シュラウドシリンダ、37…レグ、38…プレート、39…溶接箇所、40…CRDスタブチューブ、41…貫通孔、42…スタブチューブ、43…CRDハウジング、44…フランジ部、45、46…き裂補修装置、47…ガスノズル、48…ガス抜き孔、G…ガス、P…加圧力、R…矢印(回転方向)、T…施工深さ、W…水

Claims (9)

  1. 施工対象材のき裂及びその周辺に、回転状態のツールを押し付け加圧して摩擦撹拌プロセスを施工し、前記き裂を補修するき裂補修方法であって、
    前記ツールを回転させた状態で前記き裂及びその周辺に、押付位置を変更して複数回押し付けて加圧して、前記摩擦撹拌プロセスを施工することを特徴とするき裂補修方法。
  2. 前記ツールの複数回のうち1回分の押付位置は、前記ツールが施工対象材に接触している位置から前記ツールの直径分の長さ以内で移動し得る範囲であることを特徴とする請求項1に記載のき裂補修方法。
  3. 前記ツールの複数回のうち1回分の押付位置は、前記ツールが施工対象材に接触して保持されている位置であることを特徴とする請求項1に記載のき裂補修方法。
  4. 前記摩擦撹拌プロセスによる施工対象材への施工深さは、前記施工対象材の表面から0.2mm~1mmの範囲であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のき裂補修方法。
  5. 前記摩擦撹拌プロセスにより施工される施工対象材の施工領域の組織は、結晶粒の粒径が10μm以下に細粒化されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のき裂補修方法。
  6. 前記ツールの先端形状は、平坦形状、または平坦面の周縁部位が傾斜して切り欠かれたテーパ状であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のき裂補修方法。
  7. 前記ツールの材質は、Wをベースにした合金、WCをベースにした合金、Reをベースにした合金、SiN、またはPCBNが用いられたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のき裂補修方法。
  8. 前記施工対象材の材料は、Cr含有量が13%~25%、及びNi含有量が5%~70%を満たす金属材料であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のき裂補修方法。
  9. 施工対象材のき裂及びその周辺に、回転状態のツールを押し付け加圧して摩擦撹拌プロセスを施工し、前記き裂を補修するき裂補修装置であって、
    前記ツールを回転させる駆動機構と、前記ツールに加圧力を付与する荷重付与機構と、前記ツールを前記施工対象材の表面方向に移動させる移動機構と、を有し、
    前記駆動機構、前記荷重付与機構及び前記移動機構は、前記ツールを回転させた状態で前記き裂及びその周辺に、押付位置を変更して複数回押し付けて加圧して、前記摩擦撹拌プロセスを施工するよう構成されたことを特徴とするき裂補修装置。
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