JP2006247673A - 配管溶接施工方法 - Google Patents
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Abstract
オーステナイト系ステンレス鋼配管の、炉水と接する内面側の溶接部の引張方向の残留応力を低減させる、さらには残留応力を圧縮方向に転化させることで、応力腐食割れを抑制する。
【解決手段】
オーステナイト系ステンレス鋼配管の開先を材質の異なる2種類の溶接用ワイヤを用いて積層する配管溶接施工方法において、
前記開先を特定範囲の寸法形状に形成する製作工程と、前記開先底部の裏面側に特定の裏ビード幅を形成させる初層裏波溶接工程又は仮付け溶接工程の少なくともいずれかの工程と、開先裏面から特定の累計積層ビード高さまで、オーステナイト系ステンレス鋼ワイヤを積層溶接する第1の積層溶接工程と、ニッケル基合金系ワイヤを前記開先上面部の最終層まで積層溶接する第2の積層溶接工程とからなる配管溶接施工方法。
【選択図】図1
Description
400℃以下であり、ワイヤ全重量に対してNiが7.5〜12%を含有し、Cが0.1%以下、Hは2ppm 以下に規制されたソリッドワイヤを使用し、ワイヤ送り速度を5〜40g/分にして溶接することが提案されている。
図1は、本発明のオーステナイト系ステンレス鋼配管の配管溶接施工方法の概要を示す実施例1である。(1)は溶接前の配管の開先継手部材の断面、(2)は溶接装置の構成概要と溶接中の溶接断面、(3)はオーステナイト系ステンレス鋼ワイヤを開先内で溶融させて、開先底部から板厚Tの3/5程度の高さHbまで積層溶接し、その後にニッケル基合金系ワイヤに交換して残りの溶接部分26から開先上面部の最終層まで積層溶接した時の溶接断面、(4)は(3)と同様に、オーステナイト系ステンレス鋼ワイヤを開先内で溶融させて、板厚Tの1/4程度の浅い高さHbまで積層溶接し、その後にニッケル基合金系ワイヤに交換して残りの深い部分から開先上面部まで積層溶接した時の溶接断面である。
57に交換して最終層まで積層溶接すべき部分が少な過ぎるため、線膨張係数の大小を利用して溶接裏面部、及びその近傍に残留する引張応力を低減する効果が薄れて好ましくない。
(図示せず)の走行を指令制御し、TIG溶接電源8の出力を指令制御し、溶接トーチ7(電極6)の左右位置,上下位置を必要に応じて指令制御し、アーク10溶接部分へのワイヤ5の供給、このワイヤ5の左右位置及び上下位置を必要に応じて調整するものである。
SUS316系) と同質系のオーステナイト系ステンレス鋼ワイヤ(例えば、外径が0.8〜1.2mm で、SUS304系かSUS308系,SUS316系の市販ワイヤ) を用いる。
mm、又は直径2.4mm の細径の電極を使用(電極先端のみを円錐形状に加工して使用)することにより、シールドガス流入の雰囲気内で、この細径の電極先端と開先底部との間に発生させるアーク10が開先内3の壁面側方向に乱れることなく、溶融すべき開先底部の部分にアーク10を安定に保持できる。さらに、電極6は、安価に入手できると共に、丸棒の先端のみを簡便な電極研磨器で円錐加工することができ、電極消耗時の再加工,溶接トーチへの取付け取り外し作業が容易で使い勝手がよい。また、この細径の電極6の代わりに、太径の電極下部の横幅を開先幅wより狭い偏平形状にした非消耗性の偏平電極を使用可能である。この偏平形状の電極は、太径の丸電極下部の横幅を偏平形状に加工するための製作費用を要するが、上述した細径の電極6とほぼ同様に、電極先端のみを簡便な電極研磨器によって簡単に円錐加工でき、溶接トーチへの取付け取り外し作業が容易である。
図2は、本発明のオーステナイト系ステンレス鋼配管の配管溶接施工方法を示す他の一実施例であり、溶接パス数を増やして積層溶接した時の溶接断面である。
図3は、オーステナイト系ステンレス鋼配管の配管溶接施工方法の溶接手順の一実施例を示す説明図である。
150Hz以下に下げた場合には、例えば、給電ケーブルを100mまで長く延長しても、ほぼ矩形状のピーク電流波形を出力することが可能である。また、耳ざわりな高音のアーク音を激減できる。
図4は、図1,図2、及び図3に示したオーステナイト系ステンレス鋼の配管溶接施工方法に使用するオーステナイト系ステンレス鋼ワイヤのSUS316Lワイヤ(又はこのワイヤと同質係の溶接継手材)と、ニッケル基合金系ワイヤであるJIS Z3334のYNiCr−3相当品ワイヤの、温度と平均線膨張係数との関係を模式的に示す説明図である。
図5の(1)は、開先内の全ての溶接部分を、オーステナイト系ステンレス鋼ワイヤで積層溶接した場合に、配管の円周方向収縮(タワラ締め収縮)の量が増加し、配管の内面側の溶接部に引張方向の大きな曲げ変形が生じ、引張方向の応力が残留することを模式的に示す説明図である。
図6は、本発明の配管溶接施工方法に係わる溶接装置の一実施を示す概略構成図である。溶接対象の継手部材1,2は、厚板のオーステナイト系ステンレス鋼からなる配管であり、開先底部の裏面側に裏ビード15形成(完全溶け込み)を有する初層裏波溶接,開先上部までの多層盛溶接及び溶接裏面部分の残留応力低減が必要な溶接継手である。
37に画面表示して監視できるようにしている。前記第1のカメラ35,第1の映像モニタ装置37に該当する他の第1の映像手段,第1の映像表示手段であってもよい。前記第1の映像モニタ装置37の画面には、図8の下段に示すように、開先表面1a,2a側から開先内3に挿入した電極6とワイヤ5,表面側のアーク10及び溶融プール18、この溶融プール18及び電極6の後方に形成する表面側の溶融プール39の状態を表示している。前記第1の映像モニタ装置37に画面表示する表面側の溶接状態の監視結果に基づいて、電極6の位置又はこの電極位置及びワイヤ5位置を調整又は制御することにより、電極6の位置ずれ(例えば左右方向の電極位置ずれ)やワイヤ5の位置ずれ(例えば左右方向,上下方向のワイヤ位置ずれ)をなくすことができる。また、溶接条件の因子も調整又は制御できる。
Claims (9)
- オーステナイト系ステンレス鋼配管の開先を相互に突き合せ、溶加材を用いて開先底部から開先上面部まで溶接する配管溶接施工方法であって、開先内に特定の累計積層ビード高さまでオーステナイト系ステンレス鋼溶加材を積層溶接する第1の溶接工程と、この第1の溶接工程後、残りの開先内にニッケル基合金系溶加材を積層溶接した第2の溶接工程とを有することを特徴とする配管溶接施工方法。
- オーステナイト系ステンレス鋼配管同士を相互に突き合せた開先に、溶接用ワイヤを用いて開先底部から開先上面部まで非消耗電極方式のパルスアーク溶接を行う配管溶接施工方法であって、溶接すべき前記配管の前記開先を特定範囲の寸法形状に形成する製作工程と、前記開先底部の裏面側に所定の幅の裏ビードを形成させる初層裏波溶接工程又は仮付け溶接工程の少なくともいずれかと、開先裏面から所定の累計積層ビード高さまでをオーステナイト系ステンレス鋼ワイヤで積層溶接する第1の積層溶接工程と、前記第1の積層溶接工程後に、前記所定の累計積層ビード高さより前記開先上面部の最終層までニッケル基合金系ワイヤで積層溶接する第2の積層溶接工程と、からなる配管溶接施工方法。
- 請求項1または2に記載の配管溶接施工方法において、
前記ニッケル基合金よりなる開先内の溶接金属の線膨張係数は、
前記オーステナイト系ステンレス鋼よりなる開先内の溶接金属の線膨張係数よりも小さい値であることを特徴とする配管溶接施工方法。 - 請求項1または2に記載の配管溶接施工方法において、
前記第1の積層溶接工程は1層1パスずつ積層溶接される工程であり、
前記第2の積層溶接工程は1層1パスずつの積層溶接し、積層する途中で開先左右に振分けて1層2パスずつ積層溶接し、最終層の溶接パスを3パス以上として積層溶接する工程であることを特徴とする配管溶接施工方法。 - 請求項1または2に記載の配管溶接施工方法において、
前記配管の前記開先の形状を、
前記開先底部の開先幅を4mm以上8mm以下とし、前記開先の上面部までの片側開先壁角度を10°以下とすることを特徴とする配管溶接施工方法。 - 請求項1または2に記載の配管溶接施工方法において、
前記累計積層ビード高さの所定値は前記配管の板厚の1/5以上4/5以下であることを特徴とする配管溶接施工方法。 - 構成部品がオーステナイト系ステンレス鋼からなる沸騰水型原子炉において、
前記原子炉の一次系冷却水配管の溶接部は、2種類の溶接用ワイヤを用いて開先底部から開先上面部まで積層溶接されており、前記開先底部の裏面側に特定の裏ビード幅を有する初層裏波溶接部分と、開先裏面から所定の累計積層ビード高さまでオーステナイト系ステンレス鋼ワイヤの積層溶接された第1の溶接金属部分と、前記第1の溶接金属と接し、前記所定の累計積層ビード高さより前記開先上面部まで、ニッケル基合金系ワイヤの積層溶接された第2の溶接金属部分と、を有することを特徴とする沸騰水型原子炉。 - 請求項7記載の沸騰水型原子炉において、前記第2の溶接金属部分は、YNiCr−3、あるいは、YNiCrMo−3であることを特徴とする沸騰水型原子炉。
- 請求項7記載の沸騰水型原子炉において、前記原子炉の一次系冷却水配管の溶接部の裏面側の残留応力が引張方向100MPa以下であることを特徴とする沸騰水型原子炉の一次系冷却水配管。
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