JP7133888B1 - 形状計測装置及び形状計測方法 - Google Patents

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Abstract

【解決手段】第一点測定制御部101は、円筒回転部11の円筒部11aを所定の基準円筒角度α1まで回転させるとともに、ミラー回転部13の円柱部13aを所定の基準ミラー角度β1まで回転させて、レーザ光Lを照射させることで、ミラー14におけるレーザ光の反射点Rから、内空の所定の第一点Aの位置を測定する。第一回転制御部102は、円筒部11aを基準円筒角度α1から180度まで回転させる。第二回転制御部103は、円柱部13aを基準ミラー角度β1から180度まで回転させる。第二点測定制御部104は、円筒部11aが180度だけ回転されて、且つ、円柱部13aが180度だけ回転された後に、レーザ光Lを照射させることで、ミラー14におけるレーザ光Lの反射点Rから、内空の所定の第二点Bの位置を測定する。補正制御部105は、円筒部11aの回転動作と、円柱部13aの回転動作とを補正する。【選択図】図1

Description

本発明は、形状計測装置及び形状計測方法に関する。
従来より、トンネル、地下大空洞、建物、大型の円筒管等の内空の断面形状を測定するための技術は多数存在する。ここで、内空断面形状の測定にレーザ距離計が使用されている。レーザ距離計とは、レーザ光を用いて距離を測定する測定器であって、レーザ光を対象物(目標物)に当てることで、当該レーザ光の起点(発信源)から対象物の照射点(測点)で反射して当該起点に戻ってくるまでの時間を距離に換算し、レーザ光の起点から対象物の照射点までの距離を測定する装置である。
さて、例えば、特開2001-255144号公報(特許文献1)には、トンネル内に設置して、その内形状を計測するための計測装置が開示されている。この装置は、光学式測距手段と、投光方向可変手段と、回転変位検出手段と、回動手段と、回動変位検出手段と、測距制御手段と、作動制御手段と、演算手段とを備える。光学式測距手段は、トンネルの内壁に向かってパルス光を投光し、その投光方向に沿って戻ってきた反射光を検出して、該パルス光の往復時間に基づいて測定点までの距離を求める。投光方向可変手段は、測距手段によるパルス光の投光方向を、予め設定した回転軸線の周りを周回するように変化させる。回転変位検出手段は、投光方向可変手段による投光方向の回転変位量を検出する。回動手段は、測距手段を、回転軸線の方向が該回転軸線に直交する直交軸線の周りに変化するように回動させる。回動変位検出手段は、回動手段による測距手段の回動変位量を検出する。測距制御手段は、測距手段を所定期間毎に作動させる。作動制御手段は、投光方向が回転軸線の周りに少なくとも1周、変化する間に、測距手段が直交軸線の周りに所定角度だけ回動するように、投光方向可変手段及び回動手段をそれぞれ作動させる。演算手段は、測距手段の作動に対応するように該測距手段、回転変位検出手段及び回動変位検出手段からの信号をそれぞれ入力し、該各信号値に基づいてトンネル内壁上の各測定点の座標を演算する。これにより、光学式測距手段による測距の方向を予め設定した回転軸線の周りに周回させながら、該回転軸線に直交する直交軸線の周りに測距手段自体を回動させることにより、トンネルの内壁上の多数の測定点の座標データを自動的に採取することが出来るとしている。又、従来までと比べて格段に多い測定点の座標データを短時間で採取することができるようになり、この多数の測定点の座標データに基づいて、トンネルの内形状を必要かつ十分な精度で把握することが出来るとしている。
又、特開2002-81935号公報(特許文献2)には、エレベータの寸法測定装置が開示されている。この装置は、距離計と、反射体と、中空回転機構と、演算制御装置とを備える。距離計は、エレベータかご上に設置され、自装置からエレベータ昇降路内の被測定対象物までの距離を光波を用いて測定する。反射体は、距離計から出射される光波及び被測定対象物に反射して戻ってくる反射光を反射させる。中空回転機構は、反射体に入出力する光波及び反射波を通過させ、反射体を回転させる。演算制御装置は、距離計及び中空回転機構の制御並びに取得データの演算処理を行う。これにより、中空回転機構によって反射体を360度以上の任意の角度、自由に回転させながら昇降路内のエレベータの周囲に存在する壁面間寸法やレールゲージ寸法等を自動的に測定出来るとしている。
又、特開2018-21327号公報(特許文献3)には、シールドマシンによって円筒壁状に組み立てたセグメントの内周面の真円度を計測する真円度計測装置が開示されている。この装置は、距離検出部と、走査部と、回転角度検出部と、真円度算出部と、を備える。距離検出部は、レーザ光を照射し対象物で反射された反射光を受光して対象物までの距離を検出する。走査部は、セグメントの内周面とシールドマシンの軸心と直交する仮想平面とが交差することで形成される環状の交差線に沿ってレーザ光が照射されるように距離検出部から照射されたレーザ光をシールドマシンの軸心に沿って延在する第1の軸線の回りに回転走査させると共に、回転走査されたレーザ光がセグメントの内周面で反射された反射光をレーザ光の光路と同一の光路を介して距離検出部に導く。回転角度検出部は、回転走査されるレーザ光の第1の軸線の回りの回転角度を検出する。真円度算出部は、距離検出部で検出された距離と、回転角度検出部で検出された回転角度とに基いて、環状の交差線がなす楕円を特定し、特定した楕円に基いて内周面の真円度を算出する。これにより、作業員による測定作業が不要となるため、真円度の測定効率の向上を図り、作業員の身体的な負担の軽減を図る上で有利となるとしている。
一方、本出願人は、特開2015-42974号公報(特許文献4)に示すように、内空断面形状を測定する内空断面形状測定装置を特許出願して、権利化している。この内空断面形状測定装置では、レーザ距離測定部と、円筒回転部と、反射部と、断面形状算出部と、第一傾斜調整部と、第二傾斜調整部と、を備える。レーザ距離測定部は、固定面を水平状態とする平面台に固定され、水平に対応する、円筒部の内空の中心軸に沿ってレーザ光を通過させ、当該レーザ光の起点から当該レーザ光が反射した対象物の第一の反射点までの測定距離を測定する。円筒回転部は、平面台の端部に固定され、円筒部の内空の中心軸を回転軸とし、予め設定された基準角度から所定の回転角度ごとに、当該円筒部をレーザ光の周方向に回転させる。反射部は、円筒部のうち、レーザ光が出射する円筒部の端部に直接固定されて外部に突出し、当該出射したレーザ光を、出射する前のレーザ光の進行方向に対して直角に第二の反射点で反射させ、対象物に第一の反射点で反射させて、第二の反射点を介して、起点に戻らせることで、起点から第二の反射点を介して第一の反射点までの間のレーザ光の光路を同じとする。断面形状算出部は、円筒部の複数の回転角度と、回転角度ごとに測定される測定距離とに基づいて、第二の反射点を中心とし、回転角度におけるレーザ光の反射部の第二の反射点から当該レーザ光の対象物の第一の反射点までの半径距離を半径とし、中心から半径距離までの回転角度ごとの点を線で結合した内空の断面形状を算出する。第一傾斜調整部は、円筒回転部と平面台との間に設けられ、当該円筒回転部の固定面を傾斜可能であり、内空断面形状を測定する際に調整される。第二傾斜調整部は、円筒部の端部と反射部との間に設けられ、当該反射部の固定面を傾斜可能であり、内空断面形状を測定する際に調整される。これにより、簡単な構成であるにもかかわらず、内空断面形状を精度高く測定することが可能となるとしている。
特開2001-255144号公報 特開2002-81935号公報 特開2018-21327号公報 特開2015-42974号公報
ここで、ミラーを設置した円筒回転部の円筒部でレーザ距離計のレーザ光を回転させる内空断面形状計測装置を現場で使用する場合は、そのレーザ光が正しく180度回転するかどうかを確かめる校正作業が必要になる。この校正作業では、先ず、測定者が、現場の内空の中心付近の位置に装置を設置し、装置を中心として装置の両側に一直線上に存在する二つの基準点(第一基準点、第二基準点)を設定する。次に、測定者は、円筒部を回転させて、レーザ距離計のレーザ光を第一基準点に照射させて、円筒部の回転動作を確認する。更に、測定者は、この円筒部を180度回転させて、今度は、レーザ距離計のレーザ光を第二基準点に照射させて、レーザ光が正しく第二基準点に照射されるかを確認する。
ここで、レーザ光が第二基準点に照射されない場合、装置の測定精度が悪化する。レーザ光が第二基準点に正しく照射されない原因は、三つ考えられている。一つ目の原因は、円筒部が正しく180度回転していない場合である。この場合は、レーザ光の光軸と円筒部の回転軸が一致していないため、円筒部の回転動作や円筒部の位置を調整する必要がある。二つ目の原因は、第二基準点の設定が正しくされていない場合である。三つ目の原因は、装置が正しく設置されていない場合である。このように三つの原因が考えられるため、仮に、レーザ光が第二基準点に正しく照射されていない場合、現場では、測定者が三つの原因を一つ一つ確認して、校正作業を行っていた。
しかしながら、この校正作業には多大な時間や手間が掛かるという課題がある。又、全ての原因を校正すること自体が困難であり、レーザ光の照射点が第二基準点から微妙にずれていた場合、そのずれの原因を解明することも困難であるという課題がある。更に、例えば、円筒部の調整位置と装置の設置位置が互いに逆にずれることで、見かけ上、レーザ光の照射点が第二基準点に一致することもあるが、両者がずれていることには変わらないことから、結局、他の回転角度での測定点に誤差が生じるという課題がある。そして、校正作業が適切に行われないと、次の内空断面形状の測定に進むことが出来ないため、測定者が半日以上掛けて校正作業を行う場合もあり、内空断面形状の測定においてネックとなる工程であった。又、この校正作業が適切にされなかった場合、内空断面形状の測定精度が悪化するという課題がある。上述では、装置を中心として両側の2方向を校正用スペースとしているが、更に、直交方向の2方向の校正用スペースが必要であり、合計4方向の校正用スペースが必要となり、場所を要するという課題がある。このような課題に対して特許文献1-4に記載の技術では、解決することは出来ない。
そこで、本発明は、前記問題を解決するためになされたものであり、校正作業を容易に行い、形状の測定を精度高く行うことが可能な形状測定装置及び形状計測方法を提供することを目的とする。
本発明に係る形状測定装置は、レーザ距離測定部と、円筒回転部と、保持部と、ミラー回転部と、ミラーと、第一測定制御部と、第一回転制御部と、第二回転制御部と、第二点測定制御部と、補正制御部と、を備える。レーザ距離測定部は、平面台に固定され、レーザ光の起点からレーザ光が照射された照射点までの距離を測定可能である。円筒回転部は、前記平面台の端部に設置され、回転可能な円筒部の回転軸を前記レーザ距離測定部からのレーザ光と一致させている。保持部は、第一の面が、前記レーザ光が通過する通過孔を有し、前記レーザ光が出射する円筒回転部の円筒部の端部に固定され、第二の面が、円筒孔を有し、前記第一の面に対して直角方向に曲げられている。ミラー回転部は、前記第二の面に固定され、回転可能な円柱部の回転軸を前記レーザ距離測定部からのレーザ光と交差させた状態で、前記円柱部の端部を前記円筒孔に回転可能に装着させている。ミラーは、前記円柱部の端部に固定され、反射面を前記円柱部の回転軸の延長線上に配置して、前記レーザ距離測定部からのレーザ光を反射する。第一測定制御部は、前記円筒部を所定の基準円筒角度まで回転させるとともに、前記円柱部を所定の基準ミラー角度まで回転させて、前記レーザ光を照射させることで、前記ミラーにおけるレーザ光の反射点から、内空の所定の第一点の位置を測定する。第一回転制御部は、前記円筒部を前記基準円筒角度から180度まで回転させる。第二回転制御部は、前記円柱部を前記基準ミラー角度から、前記円筒部の端部から出射したレーザ光を対称線として線対称となる反転角度まで回転させる。第二測定制御部は、前記円筒部が180度だけ回転されて、且つ、前記円柱部が前記反転角度だけ回転された後に、前記レーザ光を照射させることで、前記ミラーにおけるレーザ光の反射点から、前記内空の所定の第二点の位置を測定する。補正制御部は、前記第二点の位置が前記第一点の位置に一致するように、前記基準円筒角度から180度までの円筒部の回転動作と、前記基準ミラー角度から反転角度までの円柱部の回転動作とを補正する。
本発明に係る形状測定方法は、レーザ距離測定部と、円筒回転部と、保持部と、ミラー回転部と、ミラーと、を備える形状測定装置の形状測定方法であって、第一測定制御工程と、第一回転制御工程と、第二回転制御工程と、第二点測定制御工程と、補正制御工程と、を備える。形状測定方法の各制御工程は、形状測定装置の各制御部に対応する。
本発明に係る形状測定装置及び形状計測方法によれば、校正作業を容易に行い、形状の測定を精度高く行うことが可能となる。
本発明に係る形状測定装置の概略図と機能ブロック図である。 本発明に係る形状測定装置の平面図と、正面側斜視図と、右側面図と、背面側斜視図と、である。 本発明に係る形状測定装置の円筒部の回転と円柱部の回転の際の正面図と、右側面図と、である。 本発明に係る形状測定方法の実行手順を示すためのフローチャートである。 本発明に係る形状測定装置の第一点の位置の測定の際の正面視断面図と、正面図と、平面図(図5A)と、円筒部の180度回転の際の正面視断面図と、正面図と、平面図(図5B)と、である。 円柱部の180度回転の際の正面視断面図と、正面図と、平面図(図6A)と、第一点の位置と第二点の位置との差異におけるxy平面と、正面図と、平面図(図6B)と、である。 本発明に係る形状測定装置の測定角度β0が0度の際の形状の測定の一例を示す背面側斜視図(図7A)と、測定角度β0が30度の際の形状の測定の一例を示す背面側斜視図(図7B)と、である。 基準ミラー角度β1が20度で、反転角度β2が140度の場合の円柱部の回転と円筒部の回転の一例を示す平面図(図8A)と、基準ミラー角度β1が340度で、反転角度β2が220度の場合の円柱部の回転と円筒部の回転の一例を示す平面図(図8B)と、である。 カバー部と透過部とを設けた形状測定装置における第一の回転角度での回転と第二の回転角度での回転と内部構成の一例を示す斜視図である。 トンネル切羽の面に対して形状測定装置を応用した場合の一例を示す装置側とトンネル側の斜視図である。 実施例における円筒部の回転の一例を示す斜視図(図11A)と、円柱部の回転の一例を示す斜視図(図11B)と、である。 測定値のバラつきの確認試験の一例を示す概略図である。 測定値のバラつきの確認試験の結果を示す表である。 測定値の精度の確認試験の一例を示す概略図である。 測定値の精度の確認試験の結果を示す表である。
以下に、添付図面を参照して、本発明に係る形状測定装置の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。尚、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
本発明に係る形状測定装置1は、図1、図2に示すように、レーザ距離測定部10と、円筒回転部11と、保持部12と、ミラー回転部13と、ミラー14(反射部)と、制御装置15と、を備える。
ここで、レーザ距離測定部10は、平面台10aに固定され、レーザ光Lの起点Sからレーザ光Lが照射された照射点Pまでの距離を測定可能である。円筒回転部11は、平面台10aの端部に設置され、回転可能な円筒部11aの回転軸11bをレーザ距離測定部10からのレーザ光L(光軸)と一致させている。
又、保持部12は、第一の面12aが、レーザ光Lが通過する通過孔を有し、レーザ光Lが出射する円筒回転部11の円筒部11aの端部に固定され、第二の面12bが、円筒孔を有し、第一の面12aに対して直角方向に曲げられている。ここで、保持部12の第一の面12aと第二の面12bとは、L字状に構成され、第二の面12bは、第一の面12aから通過するレーザ光に沿って設けられている。
又、ミラー回転部13は、保持部12の第二の面12bに固定され、回転可能な円柱部13aの回転軸13bをレーザ距離測定部10からのレーザ光L(光軸)と交差させた状態で、円柱部13aの端部を第二の面12bの円筒孔に回転可能に装着させている。
又、ミラー14は、ミラー回転部13の円柱部13aの端部に固定され、反射面14aを円柱部13aの回転軸13bの延長線上に配置して、レーザ距離測定部10からのレーザ光Lを反射する。
又、制御装置15は、レーザ距離測定部10と、円筒回転部11と、ミラー回転部13とのそれぞれに接続され、各部を制御する。制御装置15は、レーザ距離測定部10からレーザ光Lを照射させて、レーザ光Lの起点Sからレーザ光Lの照射点Pまでの距離を測定する。又、制御装置15は、円筒回転部11の円筒部11aを回転させて、円筒部11aの端部に固定された保持部12を回転させる。更に、制御装置15は、ミラー回転部13の円柱部13aを回転させて、円柱部13aの端部に固定されたミラー14を回転させる。
ここで、図2に示すように、レーザ距離測定部10のレーザ光Lの起点Sからミラー14の反射点Rまでの固定距離d1は、装置の組み立て後に固定されることから、レーザ光Lの反射点Rからレーザ光Lの照射点Pまでの半径距離d3は、レーザ光Lの起点Sからレーザ光Lの照射点Pまでの測定距離d2から固定距離d1を減算することで算出することが出来る。
そして、本発明に係る形状測定装置1では、円筒回転部11の円筒部11aの回転動作とミラー回転部13の円柱部13aの回転動作とを用いてレーザ光Lを2軸に回転させることが出来る。
ここで、半径距離d3と反射点Rからの照射点Pの位置との関係を説明する。図1-図3に示すように、レーザ距離測定部10の起点Sからレーザ光Lの進行方向をx軸方向とし、レーザ光Lの進行方向に対して直角で上側の方向をy軸方向とし、レーザ光Lの進行方向に対して直角で右側の方向をz軸方向とする。
そして、y軸方向を基準とし、レーザ光Lが、y軸方向から右側に(逆時計回りに)z軸方向に向かって回転した場合の回転角度を第一の回転角度α(度)とすると、レーザ光Lの反射点Rに対するレーザ光Lの照射点Pのy座標値とz座標値は、下記の式(1)(2)のようになる。
y=d3×cosα ・・・(1)
z=d3×sinα ・・・(2)
尚、第一の回転角度αが0度の場合は、レーザ光L(光軸)はy軸方向に一致し、第一の回転角度αが90度の場合は、レーザ光L(光軸)はz軸方向に一致する。
又、レーザ光Lが、y軸方向から右側に(逆時計回りに)x軸方向に向かって回転した場合の角度を第二の回転角度β(度)とすると、レーザ光Lの反射点Rに対するレーザ光Lの照射点Pのy座標値とx座標値は、下記の式(3)(4)のようになる。
y=d3×cosβ ・・・(3)
x=d3×sinβ ・・・(4)
尚、第二の回転角度βが0度の場合は、レーザ光L(光軸)はy軸方向に一致し、第二の回転角度βが90度の場合は、レーザ光L(光軸)はx軸方向に一致する。
ここで、制御装置15は、レーザ光Lの起点Sからレーザ光Lの照射点Pまでの測定距離d2を測定して、測定距離d2から固定距離d1を減算した半径距離d3を算出し、円筒部11aの第一の回転角度αと、円柱部13aの第二の回転角度βと、これらの式(1)-(4)を用いて、レーザ光Lの反射点Rに対するレーザ光Lの照射点Pの位置(x座標値、y座標値、z座標値)を算出することが可能となる。
さて、制御装置15は、図示しないCPU、ROM、RAM、HDD、SSD等を内蔵しており、CPUは、例えば、RAMを作業領域として利用し、ROM、HDD、SSD等に記憶されているプログラムを実行する。又、後述する各制御部についても、CPUがプログラムを実行することで、各制御部を実現する。
次に、図1-図8を参照しながら、本発明の実施形態に係る構成及び実行手順について説明する。先ず、測定者が、形状測定装置1を携帯して、内空の断面又は表面の形状を測定したい現場の内空へ訪問する。次に、測定者が、図5Aに示すように、形状測定装置1を現場の内空5の中心近傍の位置に設置して、形状測定装置1の制御装置15の電源を投入する。すると、制御装置15が起動して、形状の測定準備に移行する。
ここで、測定者が、形状測定装置1の校正作業を行うために、校正キーを制御装置1に入力すると(図4:S101YES)、制御装置15の第一点測定制御部101は、円筒回転部11の円筒部11aを所定の基準円筒角度α1まで回転させるとともに、ミラー回転部13の円柱部13aを所定の基準ミラー角度β1まで回転させて、レーザ光Lを照射させることで、ミラー14におけるレーザ光の反射点Rから、内空の所定の第一点Aの位置を測定する(図4:S102)。
ここで、第一点測定制御部101の測定方法に特に限定は無いが、例えば、図5Aに示すように、第一点測定制御部101が、円筒回転部11の円筒部11aを所定の基準円筒角度α1(ここでは、90度、レーザ光がy軸方向からz軸方向に向かって直角)まで回転させることで、レーザ光Lをy軸方向に一致させる。次に、第一点測定制御部101が、ミラー回転部13の円柱部13aを所定の基準ミラー角度β1(ここでは、0度)まで回転させることで、レーザ光Lをz軸方向に一致させる。そして、第一点測定制御部101は、レーザ距離測定部10からレーザ光Lを照射して、測定距離d2を測定し、半径距離d3を算出し、基準円筒角度α1と、基準ミラー角度β1と、これらの式(1)-(4)を用いて、第一点Aの位置(xa、ya、za)を算出する。
さて、第一点測定制御部101の測定が完了すると、次に、制御装置15の第一回転制御部102は、円筒回転部11の円筒部11aを基準円筒角度α1から180度まで回転させる(図4:S103)。
ここで、第一回転制御部102の回転方法に特に限定は無いが、例えば、図5Bに示すように、第一回転制御部102が、円筒部11aを、基準円筒角度α1から180度だけ加算した校正円筒角度α2まで回転させる。つまり、第一回転制御部102は、円筒部11aを180度回転させる。ここで、円筒部11aの回転方向に特に限定は無いが、図5Bに示すように、z軸方向に対して逆時計回りの方向でも良いし、時計回りの方向でも構わない。
さて、第一回転制御部102の回転が完了すると、次に、制御装置15の第二回転制御部103は、ミラー回転部13の円柱部13aを基準ミラー角度β1から、円筒部11aの端部から出射したレーザ光Lを対称線として線対称となる反転角度β2まで回転させる(図4:S104)。
ここで、第二回転制御部103の回転方法に特に限定は無いが、例えば、図6Aに示すように、基準ミラー角度β1が0度の場合、円筒部11aの端部から出射したレーザ光Lを対称線として線対称となる反転角度β2は、180度となる。そこで、第二回転制御部103が、円柱部13aを、基準ミラー角度β1から180度だけ加算した校正ミラー角度β2を反転角度として、この校正ミラー角度β2まで回転させる。つまり、第二回転制御部103は、円柱部13aを180度回転させる。ここで、反転角度β2は、基準ミラー角度β1に対して、円筒部11aの端部から出射したレーザ光Lを対称線として線対称となる角度であれば、特に限定は無い。又、円柱部13aの回転方向に特に限定は無いが、図6Aに示すように、x軸方向に対して時計回りの方向でも良いし、逆時計回りの方向でも構わない。
このように、第一回転制御部102が円筒部11aを180度だけ回転させるとともに、第二回転制御部103が円柱部13aを反転角度β2(ここでは、180度)だけ回転させることで、レーザ光Lは、第一点Aの位置と同じ位置に戻ってくることになる。尚、上述では、第一回転制御部102が円筒部11aを回転させた後に(図4:S103)、第二回転制御部103が円柱部13aを回転させたが(図4:S104)、レーザ光Lが第一点Aの位置と同じ位置に戻ってくれば良いため、上述とは逆に、第二回転制御部103が円柱部13aを回転させた後に、第一回転制御部102が円筒部11aを回転させても構わない。
さて、第二回転制御部103の回転が完了すると、次に、制御装置15の第二点測定制御部104は、円筒部11aが180度だけ回転されて、且つ、円柱部13aが反転角度β2(ここでは、180度)だけ回転された後に、レーザ光Lを照射させることで、ミラー14におけるレーザ光Lの反射点Rから、内空5の所定の第二点Bの位置を測定する(図4:S105)。
ここで、第二点測定制御部104の測定方法に特に限定は無いが、例えば、図6Aに示すように、第二点測定制御部104が、レーザ距離測定部10からレーザ光Lを照射して、測定距離d2を測定し、半径距離d3を算出し、校正円筒角度α2と、校正ミラー角度β2(反転角度)と、これらの式(1)-(4)を用いて、第二点Bの位置(xb、yb、zb)を算出する。
さて、第二点測定制御部104の測定が完了すると、次に、制御装置15の補正制御部105は、第二点Bの位置が第一点Aの位置に一致するように、基準円筒角度α1から校正円筒角度α2(ここでは、180度)までの円筒部11aの回転動作と、基準ミラー角度β1から反転角度β2(校正ミラー角度)(ここでは、180度)までの円柱部13aの回転動作とを補正する。
ここで、補正制御部105の補正方法に特に限定は無いが、例えば、補正制御部105は、第二点Bの位置(xb、yb、zb)が第一点Aの位置(xa、ya、za)と一致するか否かを判定する(図4:S106)。
ここで、補正制御部105の判定方法に特に限定は無いが、例えば、第二点Bの位置(xb、yb、zb)と第一点Aの位置(xa、ya、za)とは、図6Bに示すように、x軸方向とy軸方向で構成されるxy平面上に配置される。つまり、第二点Bの位置(xb、yb、zb)と第一点Aの位置(xa、ya、za)との差分は、円筒部11aの回転方向(ここでは、y軸方向)の差分と、円柱部13aの回転方向(ここでは、x軸方向)の差分で構成される。そこで、補正制御部105は、第二点Bの位置(xb、yb、zb)と第一点Aの位置(xa、ya、za)とのx軸方向の差分(dx=xb-xa)と、y軸方向の差分(dy=yb-ya)とを算出する。そして、補正制御部105は、y軸方向の差分dyが所定のy軸方向の閾値dy0内で、且つ、x軸方向の差分dxが所定のx軸方向の閾値dx0内であるか否かを判定する。
判定の結果、y軸方向の差分dyがy軸方向の閾値dy0内で、且つ、x軸方向の差分dxがx軸方向の閾値dx0内である場合、補正制御部105は、第二点Bの位置(xb、yb、zb)が第一点Aの位置(xa、ya、za)と一致すると判定し(図4:S106YES)、特に、補正処理を実行しない。
一方、判定の結果、y軸方向の差分dyがy軸方向の閾値dy0を超えている場合、又は、x軸方向の差分dxがx軸方向の閾値dx0を超えている場合、補正制御部105は、第二点Bの位置(xb、yb、zb)が第一点Aの位置(xa、ya、za)と一致しないと判定し(図4:S106NO)、第二点Bの位置(xb、yb、zb)が第一点Aの位置(xa、ya、za)と一致するように、円筒部11aの回転動作、又は、円柱部13aの回転動作とを補正する(図4:S107)。
ここで、補正制御部105の補正方法に特に限定は無いが、例えば、y軸方向の差分dyがy軸方向の閾値dy0を超えている場合、円筒部11aが180度回転したとしても、正しく180度回転していないため、y軸方向の差分dyが発生する。そこで、補正制御部105は、第一点A(又は第二点B)の位置の測定でのミラー14におけるレーザ光Lの反射点Rからレーザ光Lの照射点Pまでの半径距離d3と、y軸方向の差分dyとを用いて、y軸方向の角度差分dαを、下記の式(5)で算出する。
dα=tan-1(dy/d3) ・・・(5)
そして、補正制御部105は、角度差分dαを用いて、円筒部11aの回転動作Yの補正値ayを、下記の式(6)で算出する。
ay=(180-dα)/180 ・・・(6)
補正値ayは、180度から角度差分dαを減算した減算値に180度を除算した除算値となる。補正制御部105は、円筒部11aの回転動作Yに対して補正値ayを乗算することで、円筒部11aの回転動作Yを補正することが出来る。これにより、円筒部11aが180度回転した際に、補正値ayを用いて円筒部11aを正しく180度回転させることが可能となる。尚、上述では、度(度数法)に基づいているが、ラジアン(弧度法)に基づいても構わない。以下、同様である。
又、x軸方向の差分dxがx軸方向の閾値dx0を超えている場合、円柱部13aが反転角度β2(ここでは、180度)回転したとしても、正しく180度回転していないため、x軸方向の差分dxが発生する。そこで、補正制御部105は、第一点A(又は第二点B)の位置の測定でのミラー14におけるレーザ光Lの反射点Rからレーザ光Lの照射点Pまでの半径距離d3と、x軸方向の差分dxとを用いて、x軸方向の角度差分dβを、下記の式(7)で算出する。
dβ=tan-1(dx/d3) ・・・(7)
そして、補正制御部105は、基準ミラー角度β1と、反転角度β2と、角度差分dβを用いて、円筒部11aの回転動作Xの補正値axを、下記の式(8)で算出する。
ax=(β2-β1-dβ)/(β2-β1) ・・・(8)
補正値axは、反転角度β2から基準ミラー角度β1を減算した第一の減算値から、角度差分dβを減算した第二の減算値に第一の減算値を除算した除算値となる。
ここで、基準ミラー角度β1が0度、反転角度β2が180度の場合は、円筒部11aの回転動作Xの補正値axは、下記の式(9)で算出される。
ax=(180-dβ)/180 ・・・(9)
この場合、補正値axは、180度から角度差分dβを減算した減算値に180度を除算した除算値となる。補正制御部105は、円柱部13aの回転動作Xに対して補正値axを乗算することで、円柱部13aの回転動作Xを補正することが出来る。これにより、円柱部13aが180度回転した際に、補正値axを用いて円柱部13aを正しく180度回転させることが可能となる。
さて、補正処理が実行されない場合(図4:S106YES)、又は、補正制御部105が補正を完了した場合(図4:S107)、制御装置15の補正制御部105は、測定者に校正を完了するか否かを問い合わせる(図4:S108)。
ここで、補正制御部105の問い合わせ方法に特に限定は無いが、例えば、補正制御部105は、第一点Aの位置(xa、ya、za)と第二点Bの位置(xb、yb、zb)とを表示して、補正完了の表示を行うとともに、校正完了キーと再校正キーとを選択可能に表示して、測定者に校正完了キーと再校正キーとのいずれかを選択するように促す。
ここで、測定者が、再度、校正する必要があると考えた場合は、再校正キーを選択すると、補正制御部105が再校正キーの選択を受け付けて、S102に戻り、第一点測定制御部101は、再度、第一点Aの位置を測定する(図4:S102)。
ここで、測定者が、例えば、第一点Aの位置を変更したい場合、円筒部11aの基準円筒角度α1を入力すると、第一点測定制御部101は、円筒部11aの基準円筒角度α1を受け付けて、円筒回転部11の円筒部11aを基準円筒角度α1だけ回転して、内空5の第一点Aの位置を測定する。これにより、校正を繰り返す場合に、別の位置で第一点Aの位置と第二点Bの位置とを測定して、補正処理を行うことが出来る。又、測定者が、円柱部13aの基準ミラー角度β1を入力すると、同様に、第一点測定制御部101は、円柱部13aの基準ミラー角度β1を受け付けて、ミラー回転部11の円柱部13aを基準ミラー角度β1だけ回転して、内空の第一点Aの位置を測定することになる。尚、S102において、第一点Aの位置の測定が完了すると、S108まで処理が繰り返されることになる。
一方、S108において、測定者が、再度、校正する必要がないと考えた場合は、校正完了キーを選択すると、補正制御部105が校正完了キーの選択を受け付けて、制御装置15の形状測定制御部106は、円柱部13aの回転角度βを所定の測定角度β0まで回転させた上で、円筒部11aの回転角度αを所定の測定角度α0毎に回転させながら、レーザ光Lを照射させることで、ミラー14におけるレーザ光Lの反射点Rを中心として、円筒部11aの回転角度αにおけるレーザ光Lの反射点Rからレーザ光Lの照射点Pまでの半径距離d3を半径とした形状を測定する(図4:S109)。
ここで、形状測定制御部106の測定方法に特に限定は無いが、例えば、図7Aに示すように、形状測定制御部106は、円柱部13aの回転角度βを所定の測定角度β0(例えば、0度)まで回転させた上で、円筒部11aの回転角度αを所定の測定角度α0(例えば、45度)毎に回転させながら、レーザ光Lを照射させることで、各測定角度α0毎の半径距離を算出する。ここで、測定角度α0に特に限定は無いが、例えば、5度、10度、20度、30度、45度、60度、90度等を挙げることが出来る。
ここでは、形状測定制御部106は、円筒部11aの回転角度αを0度から360度まで一回転させることで、レーザ光Lを0度から360度まで一回転させる。そして、形状測定制御部106は、レーザ光Lの反射点Rを中心とした各測定角度α0毎の照射点Pの位置を算出し、各測定角度α0毎の照射点Pの位置を連結することで、現場の内空5の断面形状を測定することが出来る。
又、図7Bに示すように、形状測定制御部106は、円柱部13aの回転角度βを所定の測定角度β0(例えば、30度)まで回転させた上で、円筒部11aの回転角度αを所定の測定角度α0(例えば、45度)毎に回転させながら、レーザ光Lを照射させることで、各測定角度α0毎の半径距離を算出する。そして、形状測定制御部106は、レーザ光Lの反射点Rを中心とした各測定角度α0毎の照射点Pの位置を算出し、各測定角度α0毎の照射点Pの位置を連結する。ここで、円柱部13aを所定の測定角度β0だけ回転させることで、内空5に対して垂直方向から傾斜した方向の断面形状を測定することが出来る。尚、上述では、円柱部13aの測定角度βを固定した上で、円筒部11aの回転角度αを回転させることで、各照射点Pを測定したが、これらに限らず、円柱部13aの測定角度βと円筒部11aの回転角度αとを適宜組み合わせることで、断面形状のみならず、多種多様な表面形状を測定することが可能となる。
このように、本発明では、校正作業を容易に行い、形状の測定を精度高く行うことが可能となるのである。特に、レーザ光Lの回転軸を2軸にすることで、内空5の垂直方向の断面形状のみならず、内空5の垂直方向から傾斜した方向の断面形状も測定することが可能となり、形状の測定範囲を広げることが出来る。
特に、本発明では、円筒部11aの回転と円柱部13aの回転による二軸の正反の動作により、補正を行うことから、一軸における絶対位置による補正ではなく、二軸における相対位置による補正となる。そのため、従来の校正作業における三つの原因のうち、二つ目の原因の第二基準点の設定の不具合や三つ目の原因の装置の設置位置の不具合を排除することが可能となり、一つ目の原因の円筒部11a及び円柱部13aの回転動作の不具合に原因を絞り込むことが可能となる。その結果、校正作業の効率化と校正精度の向上を図ることが出来る。
更に、従来の一軸での内空断面形状測定装置では、校正用スペースが回転軸の直交方向に90度毎の4方向に必要となるが、本発明の二軸での形状測定装置では、正反動作により対面方向に校正用スペースは必要なく、2方向で足り、校正用スペースの削減が可能となる。つまり、本発明の二軸での形状測定装置の校正用スペースは、一軸での内空断面形状測定装置の校正用スペースの4分の1で足りることになる。
ところで、上述では、基準ミラー角度β1が0度、反転角度β2が180度の場合について説明したが、反転角度β2は、基準ミラー角度β1から、円筒部11aの端部から出射したレーザ光Lを対称線として線対称となる角度であれば、特に限定は無い。
例えば、図8Aに示すように、基準ミラー角度β1が20度の場合は、反転角度β2は、180-20-20=140度となる。これで、円筒部11aを180度回転させることで、第二点Bは第一点Aに戻ってくる。
又、図8Bに示すように、基準ミラー角度β1が340度の場合は、反転角度β2は、180-(340-360)-(340-360)=220度となる。これで、円筒部11aを180度回転させることで、第二点Bは第一点Aに戻ってくる。このように、反転角度β2は、適宜決定することが出来る。
又、本発明では、保持部12と、ミラー回転部13と、ミラー14とは、外部に露出した構成としているが、図9に示すように、保持部12と、ミラー回転部13と、ミラー14とを保護するためのカバー部16と、カバー部16に設けられ、レーザ光Lが透過可能な透過部17とを更に設けて、保持部12からミラー14までを保護するように構成しても良い。透過部17は、レーザ光Lの走査領域に併せて、円筒部11aの端部から出射したレーザ光Lに沿って長尺状に構成される。
又、上述では、補正制御部105は、円筒部11aの回転動作Xと、円柱部13aの回転動作Yとを補正するよう構成したが、形状測定装置1の本体に、物理的に第一の回転角度及び第二の回転角度を調整する調整機構を別途設けて構わない。例えば、円筒部11aの第一の回転角度を調整するための第一の調整機構と、円柱部13aの第二の回転角度を調整するための第二の調整機構とをそれぞれ設けることで、物理的な調整を可能とする。
さて、本発明は、高精度を実現することが可能となるため、トンネル、地下大空洞、建物、大型の円筒管等の内空の断面形状の測定のみならず、地下小空洞、小型の円筒管等の内空の断面形状も、もちろん測定することが可能であり、更に、これらの経時変化の確認、検査等に好適となる。
例えば、本発明は、地下鉄や下水道トンネルの掘削におけるシールドマシンのテール部の内周面と、テール部の内側に位置するセグメントの外周面とのクリアランス(テールクリアランス)の測定に利用することが出来る。例えば、本発明に係る形状測定装置1をトンネルの中心付近に設置して、校正作業を行い、先ず、シールドマシンのテール部の内周面を第一の形状として測定し、次に、テール部の内側に設置したセグメントの外周面を第二の形状として測定して、第一の形状から第二の形状を減算することで、テールクリアランスを測定することが出来る。
又、山岳トンネル工事では、トンネル切羽の安定性の確保が重要であるため、トンネル切羽の押し出し量の定期的な監視が必要となる。本発明は、トンネル切羽の押し出し量の測定に利用することが出来る。例えば、本発明に係る形状測定装置1をトンネル切羽の手前側に設置して、校正作業を行い、先ず、最初のトンネル切羽の面を第一の形状として測定し、次に、所定の期間経過後に、同じトンネル切羽の面を第二の形状として測定して、第一の形状から第二の形状を減算することで、トンネル切羽の押し出し量を測定することが出来る。具体的には、図10に示すように、カバー部16と透過部17とを設けた形状測定装置1を垂直に立てて、トンネル切羽に対して所定の第一の回転角度αと第二の回転角度βでレーザ光Lを走査することで、トンネル切羽の面を測定することが可能となる。
又、本発明では、切羽押し出し挙動の計測や山岳トンネルの出来形管理に利用しても良いし、斜面や壁面の変位を計測しても良いし、3次元的な表面の形状を計測しても構わない。
<実施例、比較例等>
以下、実施例、比較例等によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
<実施例>
図1~図7に示すように、本発明に係る形状測定装置1を組み立てて作製し、図11A、図11Bに示すように、作製した形状測定装置1を実施例とした。ここで、図11Aに示すように、円柱部13aの回転角度を固定して、円筒部11aが360度回転することを確認した。又、図11Bに示すように、円筒部11aの回転角度を固定して、円柱部13aが360度回転することを確認した。
<測定値のバラつきの確認試験>
図12に示すように、部屋の中で、壁面に対して所定の距離(約2000mm)だけ離れた位置に実施例の形状測定装置1を垂直に配置し、レーザ光Lをy軸方向に一致させた上で、レーザ光Lの出射方向と直角方向に反射させる円柱部13aの回転角度を器械角0度とし、円筒部11aの第一の回転角度αと、円柱部13aの第二の回転角度βとを補正して、各第一の回転角度αと各第二の回転角度βとに応じた測定点(No.1からNo.63まで)を設定した。次に、S101からS108までの工程を実施して、校正処理を行い、その後に、レーザ光Lの反射点Rからレーザ光Lの照射点Pまでの半径距離d3を10回測定し、10回の測定値のうち、最大値から最小値を減算した減算値を差として算出し、測定値のバラつきを確認した。尚、10回の平均値も算出した。
<測定値のバラつきの確認試験の結果>
図13に示すように、No.1からNo.63までの測定点の差は、全て1.5mm以下であり、測定値のバラつきは極めて小さいことが分かった。
<比較例>
市販の測量機を比較例とした。
<測定値の精度の確認試験>
図14に示すように、部屋の中で、天井に対して所定の距離(約2000mm)だけ離れた位置に実施例の形状測定装置1を水平に配置し、レーザ光Lをz軸方向に一致させた上で、レーザ光Lの出射方向と直角方向に反射させる円柱部13aの回転角度を器械角0度とし、円筒部11aの第一の回転角度αと、円柱部13aの第二の回転角度βとを補正して、各第一の回転角度αと各第二の回転角度βとに応じた測定点(No.1からNo.9、No.14、No.22、No.26からNo.33、No.38、No.46、No.53、No.57からNo.63、測定点の番号の位置は図9と同様)を設定した。次に、S101からS108までの工程を実施して、校正処理を行い、その後に、レーザ光Lの反射点Rからレーザ光Lの照射点Pまでの半径距離d3を用いて、各測定点の位置を測定した。一方、実施例の形状測定装置1を比較例の測量機に変更して、測量機を用いて、各測定点の位置を測定した。そして、x軸方向、y軸方向、z軸方向における比較例の測定点の位置から実施例の測定点の位置を減算した減算値を差として算出し、測定値の差の大きさを確認した。
<測定値の精度の確認試験の結果>
図15に示すように、No.1からNo.9、No.14、No.22、No.26からNo.33、No.38、No.46、No.53、No.57からNo.63までの測定点の差は、全て、5.0mm以下であり、実施例の形状測定装置1の測定値は、従来から使用されている測量機の測定値に極めて近い値を示しており、実施例における測定値の精度が高いことが分かった。
以上のように、本発明に係る形状測定装置及び形状計測方法は、トンネルや建物等の形状の測定分野、例えば、土木技術分野、測量技術分野、計測技術分野等に有用であり、簡単な構成であるにもかかわらず、形状を精度高く測定することが可能な形状測定装置及び形状計測方法として有効である。
1 形状測定装置
10 レーザ距離測定部
11 円筒回転部
12 保持部
13 ミラー回転部
14 ミラー
15 制御装置
101 第一点測定制御部
102 第一回転制御部
103 第二回転制御部
104 第二点測定制御部
105 補正制御部
106 形状測定制御部

Claims (4)

  1. 平面台に固定され、レーザ光の起点からレーザ光が照射された照射点までの距離を測定可能なレーザ距離測定部と、
    前記平面台の端部に設置され、回転可能な円筒部の回転軸を前記レーザ距離測定部からのレーザ光と一致させている円筒回転部と、
    第一の面が、前記レーザ光が通過する通過孔を有し、前記レーザ光が出射する円筒回転部の円筒部の端部に固定され、第二の面が、円筒孔を有し、前記第一の面に対して直角方向に曲げられている保持部と、
    前記第二の面に固定され、回転可能な円柱部の回転軸を前記レーザ距離測定部からのレーザ光と交差させた状態で、前記円柱部の端部を前記円筒孔に回転可能に装着させているミラー回転部と、
    前記円柱部の端部に固定され、反射面を前記円柱部の回転軸の延長線上に配置して、前記レーザ距離測定部からのレーザ光を反射するミラーと、
    前記円筒部を所定の基準円筒角度まで回転させるとともに、前記円柱部を所定の基準ミラー角度まで回転させて、前記レーザ光を照射させることで、前記ミラーにおけるレーザ光の反射点から、内空の所定の第一点の位置を測定する第一測定制御部と、
    前記円筒部を前記基準円筒角度から180度まで回転させる第一回転制御部と、
    前記円柱部を前記基準ミラー角度から、前記円筒部の端部から出射したレーザ光を対称線として線対称となる反転角度まで回転させる第二回転制御部と、
    前記円筒部が180度だけ回転されて、且つ、前記円柱部が前記反転角度だけ回転された後に、前記レーザ光を照射させることで、前記ミラーにおけるレーザ光の反射点から、前記内空の所定の第二点の位置を測定する第二点測定制御部と、
    前記第二点の位置が前記第一点の位置に一致するように、前記基準円筒角度から180度までの円筒部の回転動作と、前記基準ミラー角度から反転角度までの円柱部の回転動作とを補正する補正制御部と、
    を備える形状測定装置。
  2. 前記補正制御部は、前記第二点の位置と前記第一点の位置との前記円筒部の回転方向の差分と、前記第二点の位置と前記第一点の位置との前記円柱部の回転方向の差分とを算出し、前記円筒部の回転方向の差分が所定の第一の閾値内で、且つ、前記円柱部の回転方向の差分が所定の第二の閾値内であるか否かを判定し、
    前記円筒部の回転方向の差分が所定の第一の閾値内で、且つ、前記円柱部の回転方向の差分が所定の第二の閾値内である場合は、前記補正制御部は、補正処理を実行せず、
    前記円筒部の回転方向の差分が所定の第一の閾値を超える場合は、前記補正制御部は、前記円筒部の回転動作を補正し、
    前記円柱部の回転方向の差分が所定の第二の閾値を超える場合は、前記補正制御部は、前記円柱部の回転動作を補正する、
    請求項1に記載の形状測定装置。
  3. 前記補正制御部は、前記第二点の位置と前記第一点の位置との前記円筒部の回転方向の差分と、前記第二点の位置と前記第一点の位置との前記円柱部の回転方向の差分とを算出し、前記第一点又は前記第二点の位置の測定でのミラーにおけるレーザ光の反射点からレーザ光の照射点までの半径距離と、前記円筒部の回転方向の差分とを用いて、前記円筒部の回転動作の補正値を算出し、前記半径距離と、前記円柱部の回転方向の差分とを用いて、前記円柱部の回転動作の補正値を算出することで、前記円筒部の回転動作と、前記円柱部の回転動作とを補正する、
    請求項1に記載の形状測定装置。
  4. 平面台に固定され、レーザ光の起点からレーザ光が照射された照射点までの距離を測定可能なレーザ距離測定部と、
    前記平面台の端部に設置され、回転可能な円筒部の回転軸を前記レーザ距離測定部からのレーザ光と一致させている円筒回転部と、
    第一の面が、前記レーザ光が通過する通過孔を有し、前記レーザ光が出射する円筒回転部の円筒部の端部に固定され、第二の面が、円筒孔を有し、前記第一の面に対して直角方向に曲げられている保持部と、
    前記第二の面に固定され、回転可能な円柱部の回転軸を前記レーザ距離測定部からのレーザ光と交差させた状態で、前記円柱部の端部を前記円筒孔に回転可能に装着させているミラー回転部と、
    前記円柱部の端部に固定され、反射面を前記円柱部の回転軸の延長線上に配置して、前記レーザ距離測定部からのレーザ光を反射するミラーと、
    を備える形状測定装置の形状測定方法であって、
    前記円筒部を所定の基準円筒角度まで回転させるとともに、前記円柱部を所定の基準ミラー角度まで回転させて、前記レーザ光を照射させることで、前記ミラーにおけるレーザ光の反射点から、内空の所定の第一点の位置を測定する第一測定制御工程と、
    前記円筒部を前記基準円筒角度から180度まで回転させる第一回転制御工程と、
    前記円柱部を前記基準ミラー角度から180度まで回転させる第二回転制御工程と、
    前記円筒部が180度だけ回転されて、且つ、前記円柱部が180度だけ回転された後に、前記レーザ光を照射させることで、前記ミラーにおけるレーザ光の反射点から、前記内空の所定の第二点の位置を測定する第二点測定制御工程と、
    前記第二点の位置が前記第一点の位置に一致するように、前記基準円筒角度から180度までの円筒部の回転動作と、前記基準ミラー角度から180度までの円柱部の回転動作とを補正する補正制御工程と、
    を備える形状測定方法。
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