次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。まず図1、図2を参照して、電子部品装着装置1の全体構成について説明する。図1において、基台2の上面には、X方向(基板搬送方向)に基板搬送機構3が配設されている。基板搬送機構3は部品実装対象の基板4を上流側装置(図示省略)から受け取ってX方向へ搬送し、以下に説明する部品装着機構による実装作業位置に位置決めして保持する。
基板搬送機構3の一方側の側方(図1において前側)には、第1の部品供給部5および第2の部品供給部6が配置されており、他方側の側方には第3の部品供給部7が配置されている。第1の部品供給部5は横倒し姿勢の電子部品9をランダム状態で収納した平面容器であるトレイ8を供給するトレイフィーダである。ここで、「横倒し姿勢」とは、リード付き電子部品など個片では基板4に装着される装着姿勢で安定して自立させることができない形状の電子部品において、当該電子部品を安定姿勢で載置可能な側面を保持底面としてトレイ8に収納した姿勢を云う。この「横倒し姿勢」の電子部品9を基板4に装着するには、当該電子部品を90度だけ垂直面内で縦回転することにより基板への装着姿勢に変換することが必要とされる。なお本実施の形態では、トレイ8には電子部品9が一層のみ配列されているものとし、複数の電子部品9が全体または部品的にできるだけ上下に重ならない状態で供給されるものとする。
第2の部品供給部6は、テーピングされて連結された複数のラジアルリード型の電子部品10を起立姿勢で供給するラジアル部品フィーダである。ここで「起立姿勢」とは、当該電子部品が基板に装着される装着姿勢と同一の姿勢を云う。すなわち、「起立姿勢」の電子部品は、姿勢変換を行うことなく、当該電子部品をそのまま保持して基板4に装着することが可能である。
また第3の部品供給部7は、キャリアテープに保持されたチップ型部品などの面実装部品を供給するテープフィーダである。第1の部品供給部5、第2の部品供給部6、第3の部品供給部7は、いずれも収納した電子部品を以下に説明する部品実装機構の多連ヘッド14による取り出し位置に供給する。図2に示すように、多連ヘッド14は複数の装着ヘッド(ヘッド装置)17を並列して構成された多連型ヘッドであり、これらの複数の装着ヘッド17はヘッドカバー14aによって閉囲されている。
トレイ8の上方には供給部認識カメラ11が撮像方向を下向きにして配設されている。本実施の形態に用いられる第1の部品供給部5は、一般に用いられるトレイフィーダのように取り出し対象の部品を格子状の規則配列で供給するのではなく、下面から突出したリード9aを有し横倒し姿勢の電子部品9をランダム状態で収納するトレイ8を有する形態となっている。多連ヘッド14によってトレイ8から電子部品9を取り出す際には、供給部認識カメラ11によって電子部品9を撮像して認識した位置認識結果に基づいて、多連ヘッド14が備えた装着ヘッド17を電子部品9に対して個別に位置合わせする。
基台2のY方向の両端部に配置された1対のフレーム部12の上面にはY軸テーブル13がY方向に配設されており、Y軸テーブル13に架設されたX軸テーブル15には、多連ヘッド14がX方向に移動自在に装着されている。Y軸テーブル13、X軸テーブル15はいずれもリニアモータ駆動の直動機構を備えている。Y軸テーブル13、X軸テーブル15を駆動することにより、多連ヘッド14はX方向、Y方向に移動する。
これにより、多連ヘッド14が備えた装着ヘッド17は、第1の部品供給部5、第2の部品供給部6、第3の部品供給部7のいずれかから供給された電子部品を保持して、基板搬送機構3に位置決め保持された基板4にこれらの電子部品を起立姿勢で装着する。すなわち、電子部品装着装置1は、横倒し姿勢、起立姿勢など異なる姿勢で供給される電子部品を対象として、基板4にこれらの電子部品を起立姿勢で装着する機能を有している。上記構成において、Y軸テーブル13、X軸テーブル15、多連ヘッド14は、基板4に電子部品を装着する部品装着機構を構成する。
第1の部品供給部5、第2の部品供給部6と基板搬送機構3との間には、部品認識カメラ16が撮像方向を上向きにして配設されている。第1の部品供給部5、第2の部品供給部6、第3の部品供給部7から電子部品を取り出した多連ヘッド14を部品認識カメラ16の上方に位置させることにより、部品認識カメラ16は多連ヘッド14のそれぞれの装着ヘッド17に保持された状態の電子部品を撮像する。そして撮像結果を認識処理することにより、電子部品の位置認識が行われる。多連ヘッド14によってこれらの部品供給部から取り出した電子部品を基板4に装着する際には、この位置認識結果に基づいて装着位置補正が行われる。
次に図3、図4、図5を参照して、装着ヘッド17の構造を説明する。まず装着ヘッド17の側面を示す図3を参照して、装着ヘッド17の全体構成を説明する。図3は、多連ヘッド14においてヘッドカバー14aに覆われた複数の装着ヘッド17のうちの1つの側面を示している。装着ヘッド17は以下に説明する各要素が配設された垂直な装着ベース部17aを備えており、多連ヘッド14を構成するベースプレート(図示省略)に装着ベース部17aを結合することにより、装着ヘッド17は多連ヘッド14を構成する単位装着ヘッドとして組み込まれる。
装着ベース部17aに上下方向に配設されたガイドレール18にスライド自在に装着されたスライダ18aは、垂直な昇降ベース部19に固着されている。昇降ベース部19の上方には、装着ベース部17aにブラケット21aを介して固着されたZ軸モータ21が、出力軸を下方にした姿勢で配設されている。Z軸モータ21の出力軸には、カップリング22を介して送りねじ23が結合されている。送りねじ23は昇降ベース部19の上端部に結合されたナット部材24に螺合しており、Z軸モータ21を駆動することにより、昇降ベース部19は昇降する。ブラケット21aにはZ軸原点センサ25が配設されている。昇降ベース部19の昇降動作において、昇降ベース部19の上部に設けられた検出ドグ26をZ軸原点センサ25が検出することにより、昇降ベース部19の昇降動作におけるZ軸原点が検出される。Z軸モータ21はエンコーダを内蔵しており、このエンコーダの出力パルス信号とZ軸原点センサ25によるZ軸原点検出信号により、昇降ベース部19の昇降動作におけるZ軸位置が求められる。
昇降ベース部19の下端部には、嵌合孔20aが上下に貫通して設けられた回転体保持部20が結合されている。嵌合孔20aには、装着対象の電子部品9を保持する部品保持部41が結合された回転体37が、ベアリング20b(図4)を介して装着されており、回転体37は回転体保持部20に水平回転自在に保持されている。部品保持部41は、電子部品9を保持するノズル42を有しており、部品保持部41は姿勢変更機構40によってノズル42の姿勢を下向きまたは横向きに変更することができるようになっている。
昇降ベース部19の上部の前面(図3紙面に向かって左側)には上部ブラケット27が装着されている。上部ブラケット27は回転体保持部20の上方を覆う位置まで前方へせり出している。さらに、回転体保持部20の前面には下部ブラケット27bが装着されている。上部ブラケット27の側面と下部ブラケット27bの側目は連結プレート27aによって連結されている。
上部ブラケット27の上面には、プッシャ駆動シリンダ28がロッド28a(図4)を下方に向けて配設されている。ロッド28aには昇降連結部29が結合されており、昇降連結部29には回転体37を上下方向に貫通するプッシャ30の上端部が係合している。プッシャ駆動シリンダ28を駆動することにより、昇降連結部29はプッシャ30とともに昇降する。プッシャ30は、姿勢を横向きにしたノズル42の吸着パッド42aに保持された電子部品9に当接可能な位置に配置されている。プッシャ駆動シリンダ28を駆動して昇降連結部29とともにプッシャ30を下降させることにより、プッシャ30の当接部30aを部品保持部41に保持した電子部品9に当接させて押圧し、リード9aを基板4の挿入孔4aに押し込むことができる。
すなわち上記構成において、プッシャ駆動シリンダ28、昇降連結部29は、プッシャ30を昇降駆動するプッシャ駆動機構となっており、このプッシャ駆動機構は、プッシャ30を駆動してノズル42に保持された電子部品9を基板4へ向かって押す機能を有している。そしてプッシャ30は回転体37を上下に貫通するように配置され、プッシャ30の回転体37の下方へ突出する下端部に電子部品9と当接する当接部30aを設け、プッシャ30の上端部をプッシャ駆動機構の昇降連結部29に結合した構成となっている。
昇降連結部29には、電子部品9の装着判定用のドグプレート32が配設されている。ドグプレート32が昇降連結部29とともに昇降する昇降動作において、ドグプレート32に形成されたスリット(図10参照)を連結プレート27aに固定された装着判定用センサ31によって検出することにより、電子部品9が基板に正しく装着されたか否かを判定することができるようになっている。
下部ブラケット27bの上面には、θ軸モータ33が回転軸33a(図4)を下方に向けて配設されている。回転軸33aに結合された駆動プーリ34と回転体37の上端部に結合された従動プーリ35にはベルト36が調帯されている。昇降ベース部19には従動プーリ35の上面に固定された検出ドグ39を検出するθ軸原点センサ38が設けられており、回転体37のθ回転動作においてθ軸原点センサ38が検出ドグ39を検出することにより、θ方向の原点が検出される。θ軸モータ33を駆動することにより、回転体37は垂直な回転軸AX(図4)廻りに回転する。この回転体37の回転において、回転体37を上下に貫通して設けられたプッシャ30も共に回転軸AX廻りに水平回転するようになっている。このような構成とすることにより、回転体37の向きに関係なくプッシャ30とノズル42との相対的な位置関係を一定に保つことができる。
装着ヘッド17の要部を示す図4において、昇降ベース部19にはガイドレール29fが垂直方向に配設されており、ガイドレール29fに上下方向にスライド自在に嵌着されたスライダ29bには昇降連結部29を構成する上部部材29aが結合されている。プッシャ駆動シリンダ28のロッド28aは上部部材29aに係合しており、上部部材29aの下面には下部部材29dがニードルベアリング29cを介して回転軸AX廻りの相対回転を許容された状態で結合されている。下部部材29dに形成された係合凹部29eには、プッシャ30の上端部に設けられた係合突起部30bが係合している。なお、前述のドグプレート32は上部部材29aに装着されている。
プッシャ駆動シリンダ28を駆動することにより、昇降連結部29およびプッシャ30がともに昇降する。このとき、下部部材29dはニードルベアリング29cを介して上部部材29aに結合されていることから、回転体37とともに水平回転するプッシャ30の上部部材29aに対する相対回転が妨げられない。
上記構成において、Z軸モータ21、送りねじ23、ガイドレール18およびスライダ18aは昇降機構を構成し、昇降ベース部19および回転体保持部20は、この昇降機構によって昇降する昇降部となっている。θ軸モータ33、駆動プーリ34、従動プーリ35およびベルト36は、回転体37を昇降部に対して水平回転させる回転機構を構成する。さらに上部部材29a、スライダ29b、ガイドレール29fは、駆動源であるプッシャ駆動シリンダ28によって前述構成の昇降部に対して相対的に上下動する副昇降部を構成する。そして下部部材29dは、この副昇降部の下に水平回転自在に装着されて、プッシャ30の上端部と結合された結合部となっている。すなわち本実施の形態に示すプッシャ駆動機構は、前述構成の副昇降部と、この副昇降部の下に水平回転自在に装着されてプッシャ30の上端部と結合された結合部を備えた構成となっている。
そして前述構成の昇降部に対して水平回転自在に保持され、前述の回転機構によって水平回転する回転体37の下部には、下面から下方に突出して姿勢変更機構40が装着されている。さらに姿勢変更機構40の下部に設けられた出力軸66(図5、図6、図7参照)には、電子部品9を吸着保持するノズル42を備えた部品保持部41が装着されている。姿勢変更機構40は、回転体37に装着され、ノズル42の開口端である吸着パッド42aの向きを下向あるいは横向きになるように、部品保持部41の姿勢を変更する機能を有している。
図4に示すように、回転体保持部20において回転体37が嵌合する嵌合孔20a(図3参照)の内周面には、第1の環状流路20c、第2の環状流路20dが形成されている。第1の環状流路20c、第2の環状流路20dはそれぞれ第1のコネクタ50、第2のコネクタ51と連通しており、第1のコネクタ50、第2のコネクタ51はいずれもバルブユニット57を介して正圧発生源58、負圧発生源59と接続されている。回転体37の内部には、第1の環状流路20c、第2の環状流路20dと連通する高さ位置に開口した第1の内部流路52、第2の内部流路53が形成されている。この構成により、第1の内部流路52、第2の内部流路53は、回転体37の回転方向位置に関係なく、第1の環状流路20c、第2の環状流路20dと常に連通状態にある。
第1の内部流路52は回転体37の下面に設けられた第3のコネクタ54と連通しており、第2の内部流路53は姿勢変更機構40に設けられたエア導入孔61a(図6参照)と連通している。そして第3のコネクタ54は部品保持部41に設けられた第4のコネクタ55とチューブ配管56を介して接続されている。ここで第3のコネクタ54は部品保持部41に設けられた吸引路41aを介して、ノズル42の開口端である吸着パッド42aに連通している。
正圧発生源58を駆動して、バルブユニット57、第2の環状流路20d、第2の内部流路53を介して姿勢変更機構40に正圧空気を供給することにより、姿勢変更機構40を作動させて部品保持部41の姿勢を変更することができる。また負圧発生源59を駆動して、バルブユニット57、第1の環状流路20c、第1の内部流路52、第3のコネクタ54、チューブ配管56、第4のコネクタ55および吸引路41aを介して吸着パッド42aから真空吸引することにより、吸着パッド42aで電子部品9を真空吸着により保持することができる。
すなわち、部品保持部41は、負圧発生源59に接続された吸引路41aを有し、負圧発生源59で生じた負圧を利用して吸引路41aの開口端である吸着パッド42aで電子部品9を保持するノズル42を有する形態となっている。さらに、正圧発生源58を駆動して、バルブユニット57、第1の環状流路20c、第1の内部流路52、第3のコネクタ54、チューブ配管56、第4のコネクタ55および吸引路41aを介して吸着パッド42aから正圧空気を排気することにより、吸着パッド42aに吸着保持していた電子部品9をノズル42から離脱させることができる。
さらに、吸着パッド42aからの真空吸引または正圧排気において、流量センサ75(図11)によって真空吸引流量または正圧排気流量を検出して予め設定されたしきい値と比較することにより、ノズル42が吸着パッド42aによって電子部品9を正常に保持しているか否かを検出することができる。本実施の形態においては、部品保持部41による部品装着動作後にノズル42による部品保持状態を検出することにより、基板4への部品装着の正否を判定するようにしている。
次に回転体保持部20の下面視を示す図5を参照して、回転体37の下面における部品保持部41、姿勢変更機構40、プッシャ30の配置について説明する。図5において、回転体保持部20の下面から突出した回転体37の下面からは,さらに姿勢変更機構40およびプッシャ30が突出して設けられている。姿勢変更機構40の回転体37における内側の側面には、吸着パッド42aを備えた部品保持部41が縦回転可能に設けられている。ここでは、吸着パッド42aを下向き(図において表面向き)にした状態、すなわち電子部品を吸着パッド42aによって吸着する際の姿勢を示している。
ここで、プッシャ30の当接部30aと吸着パッド42aとの相対位置関係は、当接部30aと吸着パッド42aとを結ぶ線上の中間に回転体37の回転中心37aが位置する配置となっている。すなわち、プッシャ30において電子部品9と当接する当接部30aの位置を回転体37の回転中心37aから水平方向に離れた位置に配置し、下向きになったノズル42の開口端である吸着パッド42aの中心を、平面視においてプッシャ30の当接部30aとの間に回転体37の回転中心37aを挟む位置に配置した形態となっている。
なお図5に示す例では、当接部30aと吸着パッド42aとを結ぶ線上に回転中心37aを位置させた例を示したが、回転中心37aが必ずしも当接部30aと吸着パッド42aとを結ぶ線上に位置している必要はなく、吸着パッド42aの中心と当接部30aとによって、回転中心37aを平面視において挟む形態であればよい。要は回転体37の下面において回転中心37aから水平方向に両側に離れた位置に、それぞれ吸着パッド42aの中心と当接部30aとを配置する。これにより、当接部30aやノズル42の回転中心37aに対する回転半径を小さくすることができ、部品保持部41とプッシャ30とを極力コンパクトなスペース内に配置することが可能となって、平面内での占有スペースの小さい装着ヘッド17を実現することができる。
次に図6、図7を参照して、姿勢変更機構40の内部構造および機能を説明する。図6に示すように、姿勢変更機構40は上下方向に細長い矩形ブロック形状の本体部40aを主体としている。本体部40aの内部には、長手方向に駆動シリンダ61と戻しシリンダ62が形成されており、駆動シリンダ61、戻しシリンダ62の下方には、扇型のハウジング部63が形成されている。駆動シリンダ61、戻しシリンダ62には、それぞれロッド64a、67aを備えた駆動ピストン64、戻しピストン67が嵌合しており、ハウジング部63には、中心部に水平軸である出力軸66を有する略半円形のスイング部材65が回転自在に嵌合している。
駆動ピストン64が嵌合する駆動シリンダ61の頂部には、駆動用の空圧を導入するエア導入孔61aが設けられている。駆動シリンダ61内にエア導入孔61aから空圧を導入することにより、駆動ピストン64は下降して駆動端部65aを押し下げ、これによりスイング部材65が回転する。スイング部材65と結合された出力軸66には、部品保持部41が装着されている。すなわち姿勢変更機構40は、水平軸である出力軸66を中心に回転自在なスイング部材65と、空圧によって上下方向へ移動してスイング部材65を回転させる駆動ピストン64とを備えた構成となっており、スイング部材65と共に回転する出力軸66(図3、図4参照)に部品保持部41が装着されている。
戻しシリンダ62において戻しピストン67の上部には戻し動作用の圧縮バネであるバネ部材68が装着されており、駆動シリンダ61に駆動用の空圧が導入されていない状態では、戻しピストン67はバネ部材68の付勢力によって押し下げられて下死点に位置している。この状態では、ロッド67aの下端部がスイング部材65の戻し端部65bを押し下げ、スイング部材65は反時計回りの回転限に位置しており、駆動シリンダ61においては駆動ピストン64が上死点に位置している。そしてこの状態では、出力軸66に結合された部品保持部41は、吸着パッド42aを下向きにした姿勢に保持されている。
図7は、姿勢変更機構40において駆動用の空圧をエア導入孔61aから導入した(矢印a)状態を示している。すなわち駆動シリンダ61において駆動ピストン64が空圧によって駆動されてロッド64aが下降し(矢印b)、これによりスイング部材65の駆動端部65aが押し下げられてスイング部材65が回動することにより、出力軸66が時計回りに回動する(矢印c)。これにより、出力軸66に結合された部品保持部41は吸着パッド42aを横向きにした姿勢に姿勢変更される。これとともに、戻しシリンダ62内では、戻し端部65bによってロッド67aが押し上げられ(矢印d)、戻しピストン67によってバネ部材68が圧縮される。そしてエア導入孔61aからの空圧の導入が停止されることにより、バネ部材68の弾発力によって戻しピストン67が押し下げられる。これにより、姿勢変更機構40は図6に示す状態に戻り、部品保持部41は吸着パッド42aを下向きにした姿勢となる。
次に、図8、図9、図10を参照して、装着ヘッド17による電子部品9の装着動作および装着ミス検出について説明する。まず図8は、部品保持部41の吸着パッド42aによって電子部品9を吸着保持した状態の装着ヘッド17を実装対象の基板4に対して移動させ、電子部品9のリード9aを基板4の挿入孔4aに位置合わせした状態を示している。このとき、リード9aは挿入孔4a内には挿入されておらず、リード9aの下端部が挿入孔4aの直上に位置合わせされた状態にある。そしてプッシャ駆動シリンダ28によって駆動されるプッシャ30は上昇位置にあり、下端部の当接部30aは電子部品9から離隔した位置にある。そしてこの状態は、ドグプレート32の下端部に形成された上昇位置検出用の第2のスリット32b(図10参照)を装着判定用センサ31が検出することにより確認される。
次に図9は、リード9aを基板4の挿入孔4aに挿入して電子部品9の装着が完了した状態を示している。すなわち、プッシャ駆動シリンダ28を駆動してプッシャ30を下降させ(矢印e)、当接部30aを吸着パッド42aによって吸着保持された状態の電子部品9の上面に当接させて押圧する。これにより、吸着パッド42aに保持された状態の電子部品9は起立姿勢のまま下方向へスライドし、リード9aが基板4の挿入孔4a内に完全に押し込まれる。これにより、電子部品9の基板4への装着が完了する。このとき、昇降連結部29とともに下降したドグプレート32に装着成功検出用に形成された第1のスリット32a(図10参照)を装着判定用センサ31が検出することにより、装着成功が検出される。
ここで装着判定用センサ31とドグプレート32とによる装着判定について説明する。図8、図9に示すように、プッシャ駆動シリンダ28によってプッシャ30とともに昇降する昇降連結部29には、図10に示すドグプレート32が配設されている。ドグプレート32には、上側から第1のスリット32a、第2のスリット32bの2つのスリットが形成されている。下側の第2のスリット32bは図8(a)に示す状態、すなわちプッシャ30が上昇位置にあることを確認するためのスリットであり、装着判定用センサ31が第2のスリット32bを検出することにより、プッシャ30が上昇位置にあることが検出される。
上側の第1のスリット32aは、正常に装着された電子部品9に当接部30aが当接した状態における装着判定用センサ31の検出位置に対応したスリットである。装着判定用センサ31が第1のスリット32aを検出することにより、プッシャ30が電子部品9を押し込んでリード9aが挿入孔4aに正常に挿入したことが検出される。
図10を参照して、装着成功、装着失敗のパターン例を説明する。図10(a)は、プッシャ30の当接部30aによって電子部品9を基板4に対して押圧することにより、リード9aが挿入孔4aに完全に挿入されて装着が成功した例を示している。この場合には、装着判定用センサ31の検出光軸31aはドグプレート32の第1のスリット32aに一致して装着判定用センサ31は透光を検出し、部品装着は成功したと判定される。
これに対し、図10(b)では、リード9aが挿入孔4aに対して位置ずれしている結果、プッシャ30の当接部30aによって電子部品9を基板4に対して押圧してもリード9aは挿入孔4a内に挿入されない。この場合には、装着判定用センサ31の検出光軸31aはドグプレート32においてスリットが存在しない遮光位置にあって透光信号を出力せず、部品装着は失敗したと判定される。
また図10(c)では、装着すべき電子部品9を部品保持部41が保持していない状態で,プッシャ30を下降させた状態を示している。この場合には押し込むべき電子部品9が存在しないことから、プッシャ30は正常の当接位置よりも下方まで下降する。この結果、ドグプレート32は装着判定用センサ31の検出光軸31aに対して第1のスリット32aが下方にオーバーランする位置まで下降する。この場合においても、装着判定用センサ31の検出光軸31aはドグプレート32においてスリットが存在しない遮光位置にあって透光信号を出力せず、部品装着は失敗したと判定される。
なお上述の電子部品9の装着ミス検出処理は、電子部品装着装置1が備えた装着ミス検出部72(図11参照)によって実行される。すなわち、装着ミス検出部72は、プッシャ駆動機構がプッシャ30で部品保持部41に保持された電子部品9を基板4へ向かって押したときのプッシャ30の位置を検出することにより、電子部品9の装着ミスを検出する。ここでプッシャ30の位置の検出は、昇降連結部29に配設されてプッシャ30とともに昇降し,所定位置に第1のスリット32a、第2のスリット32bが形成されたドグプレート32によって、装着判定用センサ31の検出光軸31aが遮光状態となるか、透光状態となるかを検出することにより行われる。
次に図11を参照して、制御系の構成を説明する。図11において、電子部品装着装置1は記憶部71、装着ミス検出部72を内蔵した制御部70を備えている。制御部70には操作・入力部73が接続されており、操作・入力部73により電子部品装着装置1を稼働させるための操作コマンドの入力や記憶部71へのデータ入力が行われる。記憶部71には、電子部品装着装置1による部品装着作業に必要な動作プログラムや装着対象となる電子部品に関する部品情報などが記憶される。ここで記憶部71に記憶される部品情報には、図13に示すように、電子部品9の側面における吸着目標位置PCに関する情報が含まれる。
この部品情報では、当該電子部品に装着ヘッド17を位置合わせしてノズル42によって電子部品9の側面を吸着する際の吸着目標位置PCが規定されている。図13に示す例では、電子部品9の特徴点として、電子部品9においてリード9aが設けられた下面9bの反対面である上面9cの2つの端点P1が定義されている。そして2つの端点P1の中点PMから電子部品9の中心部に向かって部品種類によって適宜設定される所定寸法Dだけ隔てた点が、吸着目標位置PCとして設定されている。横倒し姿勢で第1の部品供給部5のトレイ8に収納された電子部品9を装着ヘッド17によって取り出す際には、上述の吸着目標位置PCをノズル42によって吸着するように、装着ヘッド17を位置合わせする。
制御部70は、基板搬送機構3、第1の部品供給部5、第2の部品供給部6、第3の部品供給部7、X軸テーブル15、Y軸テーブル13と接続されている。さらに制御部70は、装着ヘッド17を構成するZ軸モータ21、θ軸モータ33、空圧回路74と接続されている。空圧回路74は、図4に示すバルブユニット57や第1の環状流路20c、第2の環状流路20d、第1の環状流路20c、第2の環状流路20d、第1のコネクタ50、第2のコネクタ51など、装着ヘッド17の各部を作動させるための正圧付与や真空吸引を行うための流体回路であり、正圧発生源58、負圧発生源59と接続されている。
制御部70が空圧回路74を制御することにより、部品保持部41、姿勢変更機構40、プッシャ駆動シリンダ28には必要なタイミングにおいて正圧または負圧が供給される。これにより、部品保持部41のノズル42による部品吸着、姿勢変更機構40による部品保持部41の姿勢変更、プッシャ駆動シリンダ28によるプッシャ30の押し下げ動作が実行される。部品保持部41に至る流路には流量センサ75が介設されており、流量センサ75による流量計測結果は制御部70の装着ミス検出部72に伝達される。
上述の部品装着動作においては、記憶部71に記憶された各種のプログラムやデータに基づいて制御部70が上述の各部を制御する。これにより、電子部品装着装置1において基板4を搬送する基板搬送動作や、第1の部品供給部5、第2の部品供給部6、第3の部品供給部7から装着ヘッド17によって電子部品を取り出して基板4に装着する部品装着作業が実行される。これらの作業の制御においては、装着ヘッド17に設けられた装着判定用センサ31、Z軸原点センサ25、θ軸原点センサ38から制御部70に伝達される検出結果が参照される。
供給部認識カメラ11、部品認識カメラ16による撮像結果は制御部70が内蔵する画像認識機能によって認識処理される。供給部認識カメラ11による撮像結果を認識処理することにより、ランダム状態でトレイ8に横倒し姿勢で収納された複数の電子部品9が認識される。これにより、それぞれの電子部品9の水平面内での方向やノズル42によって吸着すべき吸着目標位置PC(図13参照)が取得される。また部品認識カメラ16による撮像結果を認識処理することにより、装着ヘッド17によって保持された状態の電子部品9や電子部品10のリードの位置が取得される。
次に装着ミス検出部72の機能について説明する。本実施の形態に示す電子部品装着装置1においては、装着対象となる電子部品の種類に応じて、2種類の装着ミス検出方法を使い分けることができるようになっている。すなわち、装着ミス検出部72には、第1の部品供給部5によって供給される電子部品9を対象として、プッシャ30で部品保持部41に保持された電子部品9を基板4へ向かって押したときのプッシャ30の位置を検出することにより電子部品9の装着ミスの有無を検出する第1の装着ミス検出部と、第2の部品供給部6によって供給される電子部品10を対象として、電子部品10を装着した後のノズル42の開口端である吸着パッド42aにおける電子部品10の有無を検出することにより電子部品10の装着ミスを検出する第2の装着ミス検出部とが設定されている。
吸着パッド42aにおける電子部品10の有無は、流量センサ75の流量計測結果を予め設定されたしきい値と比較することにより行われる。なお、流量センサ75の流量計測結果としては、部品吸引動作において吸着パッド42aから真空吸引した状態での真空吸引流量を用いてもよく、または部品離脱動作において吸着パッド42aから正圧排気した状態での正圧排気流量のいずれを用いてもよい。
本実施の形態に示す電子部品装着装置1は上記のように構成されており、以下電子部品装着装置1による部品装着動作について説明する。まず、上述構成の電子部品装着装置1において、第1の部品供給部5、第2の部品供給部6を部品取り出し対象として部品装着作業を行う例について説明する。すなわちここに示す例では、多連ヘッド14に備えられた装着ヘッド17は、第1の部品供給部5から供給された電子部品9または第2の部品供給部6から供給された電子部品10を保持して、基板4に起立姿勢で装着する。
装着ヘッド17は前述のように、部品保持部41と、姿勢変更機構40と、プッシャ30とを備えており、部品装着作業に先立って、上述構成の装着ヘッド17を準備する(装着ヘッド準備工程)。次いで、電子部品9を横倒し姿勢で供給する第1の部品供給部5、電子部品10を起立姿勢で供給する第2の部品供給部6とを準備する(部品供給部準備工程)。そして部品装着作業の実行に際しては、制御部70が装着ヘッド17を制御することにより、以下の動作を行わせる。
すなわち、第1の部品供給部5から供給された電子部品9を基板4へ装着する場合は、開口端である吸着パッド42aを下向きに向けたノズル42で横倒し姿勢の電子部品9を保持した後、姿勢変更機構40によって吸着パッド42aを横向きにすることにより吸着パッド42aに保持された電子部品9を起立姿勢に変更し、横向きの吸着パッド42aに保持された起立姿勢の電子部品9をプッシャ30で基板4へ押し込んで装着する(第1の電子部品装着工程)。
また第2の部品供給部6から供給された電子部品10を基板4へ装着する場合は、開口端である吸着パッド42aを下向きに向けたノズル42で起立姿勢の電子部品10を保持し、吸着パッド42aを下向きに向けたノズル42で保持した起立姿勢の電子部品10を基板4に装着する(第2の電子部品装着工程)。
そして上述の電子部品装着工程では、第1の電子部品装着工程において第1の部品供給部5から供給された電子部品9の装着ミスを検出する場合は、装着ミス検出部72に設定された第1の装着ミス検出部で行う(第1の装着ミス検出工程)。すなわち、第1の電子部品装着工程におけるプッシャ30の位置を検出することにより電子部品9の装着ミスの有無を検出する。そして第2の電子部品装着工程において第2の部品供給部6から供給された電子部品10の装着ミスを検出する場合は、装着ミス検出部72に設定された第2の装着ミス検出部で行う(第2の装着ミス検出工程)。すなわち、第2の電子部品装着工程の後にノズル42の吸着パッド42aにおける電子部品10の有無を検出することにより電子部品の装着ミスを検出する。
次に図12を参照して、本実施の形態に示す電子部品装着装置1による電子部品装着方法について説明する。ここでは、電子部品装着装置1において第1の部品供給部5によって供給される電子部品9を、その下面から突出したリード9aを基板4の挿入孔4aに挿入して基板4に装着する電子部品装着方法を対象として説明する。
まず電子部品装着作業の開始に先立って、装着作業実行に必要な装着ヘッド17を準備する(装着ヘッド準備工程)。ここでは、図3、図4に示すように、部品保持部41と、姿勢変更機構40とプッシャ30と、回転体37を備えた装着ヘッド17が準備される。そしてこれに併せて、電子部品9を横倒し姿勢で供給する(電子部品供給工程)。すなわち、第1の部品供給部5において、電子部品9が横倒し姿勢でランダム状態で収納されたトレイ8を準備する。これにより、電子部品装着作業の実行が可能な状態となる。
電子部品装着作業が開始されると、まず電子部品撮像が実行される(ST1)。すなわち、トレイ8内のランダム状態の複数の電子部品9のうち、装着作業の対象となる電子部品9を供給部認識カメラ11によって上方から撮像する。これにより、図14(a)に示す画像が取得される。ここでは、トレイ8内の複数の電子部品9のうち、電子部品9(1)、(2)、(3)、(4)の4つの電子部品9が撮像対象となった例を示している。
次いで、取得された画像を対象として電子部品認識が実行される(ST2)。すなわち、横倒し姿勢で供給された電子部品9の水平方向における位置と向きを認識する(電子部品認識工程)。ここに示す例では、それぞれ異なる水平方向で載置された電子部品9(1)、(2)、(3)、(4)の4つの電子部品9を対象として、リード9aが延出した側の面である下面9b、および電子部品9の水平方向の向き(下面9bに直交する方向角)、図13に示す定義によって規定される吸着目標位置PCが認識処理によって取得される。
次に、図14(a)にて取得された位置認識結果に基づいて、装着ヘッド17を移動させる吸着位置移動が行われる(ST3)。ここでは、多連ヘッド14を第1の部品供給部5から基板4に移動させる1回の装着動作ターンにおいて、多連ヘッド14に備えられた複数の装着ヘッド17を順次電子部品9に位置合わせする例を示している。すなわち個々の装着ヘッド17において、開口端である吸着パッド42aが電子部品認識工程で認識した複数の電子部品9の上方に位置するように、多連ヘッド14の複数の装着ヘッド17を順次移動させるとともに、電子部品9においてリード9aが突出した下面9bがプッシャ30とは反対方向を向く向きに、回転体37を水平回転させる(電子部品吸着準備工程)。
このとき、電子部品吸着準備工程に先立って記憶部71に記憶された部品情報(図13)を読み出して、電子部品9の側面における吸着目標位置PCに関する情報を参照する(部品情報参照工程)。そして電子部品吸着準備工程においては、ノズル42の開口端である吸着パッド42aが吸着目標位置PCの上方に正しく位置するよう、装着ヘッド17を移動させる。
図14(b)は、図14(a)に示す4つの電子部品9(1)、(2)、(3)、(4)に、多連ヘッド14が備えた装着ヘッド17(1)、(2)、(3)、(4)をそれぞれ順次位置合わせする際の状態を示している。例えば、電子部品9(1)に装着ヘッド17(1)を位置合わせする際には、装着ヘッド17(1)の吸着パッド42aを電子部品9(1)の吸着目標位置PCの位置合わせするとともに、吸着目標位置PCを通り下面9bに垂直な直線上にプッシャ30および回転中心37aが位置し、且つ吸着目標位置PCとプッシャ30とが回転中心37aを挟んで位置するように、装着ヘッド17(1)を位置合わせする。
次いで、電子部品ピックアップが実行される(ST4)。ここではまず第1に、上述の装着ヘッド17(1)によって電子部品9(1)ピックアップする。すなわち、装着ヘッド17(1)においてZ軸モータ21を駆動して部品保持部41を下降させ、ノズル42の吸着パッド42aで横倒し姿勢の電子部品9(1)の吸着目標位置PCを吸着して保持する(電子部品ピックアップ工程)。そしてこの電子部品ピックアップ工程は、当該部品装着ターンにて予定されている全ての電子部品9について完了するまで反復実行される(ST5)。すなわち、後続の装着ヘッド17(2)、(3)、(4)によって、同様に電子部品9(2)、(3)、(4)を順次ピックアップする。
次に部品保持部41の姿勢変更が行われる(ST6)。すなわち、電子部品9をピックアップして保持したそれぞれの装着ヘッド17において、姿勢変更機構40によって部品保持部41を縦回転させることにより、吸着パッド42aに吸着により保持されている電子部品9を、リード9aが突出した下面9bを下方に向けた起立姿勢に変更する(姿勢変更工程)。
次いでリード撮像が行われる。すなわち多連ヘッド14を部品認識カメラ16の上方へ移動させ、ここで多連ヘッド14の各装着ヘッド17に起立姿勢で保持された電子部品9のリード9aを下方から部品認識カメラ16によって撮像する(ST7)。次にリード認識が行われる。すなわち撮像により取得された画像を制御部70に内蔵された認識処理機能によって認識することにより、各電子部品9においてリード9aの位置を認識する(リード認識工程)(ST8)。
この後、装着ヘッド17の位置決めが行われる(ST9)。すなわち多連ヘッド14を基板4の上方へ移動させて、多連ヘッド14が備えた複数の装着ヘッド17を基板4の部品装着位置に順次位置合わせして部品装着動作を実行する。ここではまず第1に装着ヘッド17(1)を移動させることにより、起立姿勢に姿勢変更された電子部品9のリード9aと、このリード9aが挿入される基板4の挿入孔4a(図8、図9参照)とを位置合せする(位置合せ工程)。この位置合わせ工程は、姿勢変更工程の後に実行されるリード認識工程で認識したリード9aの位置に基づいて行われる。
なお、電子部品9の有するリード9aは複数であり、部品保持部41の吸着パッド42aによって吸着保持された状態においてこれら複数のリード9aが並列する方向は、図14に示すように各電子部品9によって異なっている。このような状態のリード9aを基板4に所定の方向に形成された挿入孔4aに挿入して電子部品9を基板4に正しく装着するためには、複数のリード9aの列方向を対応する挿入孔4aの列方向に合わせる必要がある。このため、前述の位置合わせ工程においては、回転体37を回転中心37a廻りに水平回転させることにより、リード9aの列方向を挿入孔4aの列方向に合わせるようにしている。
次に、リード予備挿入が行われる(ST10)。ここでは、リード9aと挿入孔4aとを位置合わせする位置合せ工程と以下に説明する挿入工程との間において、部品保持部41を基板4へ下降させて起立姿勢の電子部品9のリード9aの下端のみを、基板4の挿入孔4aに挿入する(予備挿入工程)。そしてこの後、リード挿入が行われる(ST11)。すなわち、プッシャ30を起立姿勢の電子部品9の上面に当接させて基板4へ押し込んで、リード9aを基板4の挿入孔4aに完全に挿入する(挿入工程)。
次いで、装着ミス判定が行われる(ST12)。ここでは挿入工程の後、プッシャ30の位置を検出して電子部品装着の装着ミスの有無を判定する(装着ミス判定工程)。この装着ミスの判定は、図10にて示した方法によって行われる。ここで、装着ミスあり(図10(b)、(c)に示す装着失敗例参照)と判定された場合には、エラー報知&装置停止となる(ST13)。すなわち電子部品装着装置1が備えた報知灯や報知画面などの報知手段(図示省略)によって装着ミス発生の旨を報知して、装置停止する。
(ST12)にて装着ミス無しと判定された場合、また(ST13)にて所定の処置が実行されて装置稼働が再開されたた後には、多連ヘッド14が備えた次の装着ヘッド17を対象として、(ST9)以降の作業処理が反復して実行される(ST14)。そして(ST14)にて当該多連ヘッド14における装着作業対象の装着ヘッド17についての全ての作業終了が確認されることにより、電子部品装着作業を終了する。
上記説明したように、本実施の形態に示す電子部品装着装置1では、リード付きの電子部品9を姿勢変更して基板4に装着する装着ヘッド17において、負圧を利用して電子部品9を保持するノズル42を有する部品保持部41の姿勢をノズル42の吸着パッド42aが下向きあるいは横向きになるように変更する姿勢変更機構40を備え、横向き姿勢のノズル42に保持された電子部品9をプッシャ30によって基板4に向かって押すことによってリード9aを挿入し、さらに姿勢変更機構40を昇降機構によって昇降する昇降部に対して水平回転自在の回転体37に装着する構成としている。これにより、コンパクトな構成の装着ヘッド17によって電子部品9の姿勢を変更して基板4に装着することができる。
また本実施の形態に示す電子部品装着装置1および電子部品装着方法では、第1の部品供給部5によって横倒し姿勢で供給される電子部品9および第2の部品供給部6から供給される起立姿勢の電子部品10を共通の装着ヘッド17によって基板4に装着する電子部品装着において、横倒し姿勢で供給された電子部品9を装着する場合は、下向きのノズル42で横倒し姿勢の電子部品9を保持した後、姿勢変更機構40によってノズル42を横向きにすることにより起立姿勢に変更された電子部品9をプッシャで基板4へ押し込んで装着し、起立姿勢で供給された電子部品10を装着する場合は、下向きのノズル42で起立姿勢の電子部品10を保持してそのままの起立姿勢の電子部品10を基板4に装着するように、装着ヘッド17を作動させるようにしている。これにより、異なる姿勢で供給される複数種類の電子部品9、10を取り出して、必要に応じて電子部品の姿勢を変更して効率よく基板4に装着することができる。
さらに本実施の形態に示す電子部品装着装置1によって、下面から突出したリード9aを有する電子部品9を基板4に装着する電子部品装着方法では、横倒し姿勢で供給された電子部品9の水平方向における位置と向きを認識し、装着ヘッド17のノズル42が電子部品9の上方に位置するように装着ヘッド17を移動させるとともに、電子部品9の下面がプッシャとは反対方向を向く向きに回転体37を水平回転させ、部品保持部41を下降させてノズル42で横倒し姿勢の電子部品9を吸着して保持し、部品保持部41を縦回転させて保持されている電子部品9を起立姿勢に変更し、起立姿勢に姿勢変更された電子部品9のリード9aとこのリード9aが挿入される基板4の挿入孔4aとを位置合せし、プッシャ30を起立姿勢の電子部品9の上面に当接させて基板4へ押し込んでリード9aを基板4の挿入孔4aに挿入するようにしている。これにより、突出したリード9aを有し横倒し姿勢で供給される電子部品9を対象として、コンパクトな構成の装着ヘッド17によって電子部品9の姿勢を変更して効率よく基板4に装着することができる。