JP7130609B2 - コンバイン - Google Patents

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Description

本発明は、脱穀処理部の下方に配設された選別処理部に、脱穀処理後の被処理物を受け止めて後方へ揺動搬送しながら、被処理物中の穀粒を選別して漏下させるチャフシーブが備えられたコンバインに関する。
上記のようなチャフシーブが備えられたコンバインとして、例えば、特許文献1に記載のコンバインが既に知られている。
特許文献1には、チャフシーブを複数のチャフリップ板で構成し、かつチャフリップ板の上端縁を上下方向の波形状に形成した技術が開示されている。
特開2016-36261号公報(段落0059、図7,図8参照)
特許文献1に記載のコンバインでは、チャフリップ板の上端縁が上下方向の波形状に形成されている。このようにチャフリップ板の上端縁が波形状に形成されていると、被処理物中に混在する「のぎ」や「切れワラ」等の、粒状の穀粒に比べては細長い線状の夾雑物の一部が、上端縁の波形部分の谷部に入り込んで係止された状態となり易い。
波形部分の谷部に係止された線状の夾雑物の姿勢は、それが相当に長いものであれば、複数のチャフリップ板にわたる状態で係止された姿勢となって、前後のチャフリップ板同士の間から落下し難くなる。しかし、それほど長くないもので、単一のチャフリップ板の上端縁における波形部分のみに係止された状態であれば、チャフシーブの揺動作動に伴う夾雑物の姿勢変化を確実には抑制できず、揺動作動に伴って前後のチャフリップ板同士の間から簡単に落下する虞がある点で改善の余地がある。
本発明は、チャフリップ板上に載った被処理物中から、粒状の穀粒の落下は妨げずに、線状の夾雑物はできるだけ移送方向に沿う姿勢に方向付けして、チャフリップ板同士の間から落下し難く、かつ、チャフシーブ全体として、選別効率の良いものを提供しようとするものである。
本発明の特徴は、脱穀処理部の下方に選別処理部が配設され、前記選別処理部に、脱穀処理後の被処理物を受け止めて後方へ揺動搬送しながら、被処理物中の穀粒を選別して漏下させるチャフシーブが備えられ、前記チャフシーブに、多数のチャフリップ板の組み合わせによって被処理物の搬送面を構成するチャフ板群が備えられ、前記チャフ板群における前記チャフリップ板に、長手方向が被処理物の搬送方向に交差する方向に沿う姿勢で、被処理物を受け止め載置する前下がり傾斜姿勢の載置面部が備えられ、前記載置面部に、当該載置面部における板面の一部が他の部位よりも前方側へ膨出する複数箇の膨出突条部が、前記搬送方向に長手方向を沿わせた状態で形成され、前記膨出突条部同士の間に平坦面が形成され、前記チャフ板群に、前記チャフリップ板の形状が異なる第一チャフ板群と、第二チャフ板群と、が備えられ、前記第一チャフ板群における第一チャフリップ板は、各第一チャフリップ板の前記膨出突条部の上端縁と前記平坦面の上端縁が同程度の高さ位置にあり、前記第二チャフ板群における第二チャフリップ板は、各第二チャフリップ板の前記膨出突条部の上端縁よりも前記平坦面の上端縁が低い位置にあり、前記第一チャフリップ板と前記第二チャフリップ板は、前記載置面部に沿う上下方向での最大幅部分の長さが同じに構成されていることにある。
本特徴構成によれば、チャフシーブに用いられるチャフリップ板のそれぞれは、載置面部における板面に、移送方向に長手方向を沿わせた前方側への膨出突条部が形成されている。
つまり、チャフリップ板の載置面部には、載置面部の板面で移送方向に長手方向を沿わせた膨出突条部が備えられ、この膨出突条部がチャフリップ板の載置面部における平面視でのほぼ全域に、線状の夾雑物を係止し易い部分として機能する。
そして、チャフリップ板には、上記の膨出突条部を備えるとともに、膨出突条部の上端縁と平坦面の上端縁が同じ高さ位置にある第一チャフリップ板と、膨出突条部を備えるとともに、膨出突条部の上端縁よりも平坦面の上端縁が低い位置にある第二チャフリップ板と、が備えられており、第一チャフリップ板と第二チャフリップ板は、載置面部に沿う上下方向での最大幅部分の長さが同じに構成されている。
これによると、膨出突条部の上端縁よりも平坦面の上端縁が低い位置にある第二チャフリップ板の方が、線状の夾雑物の一部が第二チャフリップ板の上端縁の波形部分にも係止される可能性が高いので、揺動作動中における夾雑物の姿勢が変化し難い点では有用である。しかしながら、この第二チャフリップ板では、上端縁に波形部分が形成されることにより、その分、載置面部による被処理物の受け止め面積が少なくなる。その結果、第二チャフリップ板からの被処理物の漏下割合は、第一チャフリップ板における被処理物の漏下割合よりも多くなる傾向がある。
他方、第一チャフリップ板においては、第二チャフリップ板よりも載置面部による被処理物の受け止め面積が大きくなるので、被処理物の漏下度合を制限した状態で揺動選別が行われ、第二チャフリップ板に比べて揺動作動に伴う被処理物の比重選別が行われ易くなる。
このように、全体としては、載置面部における平面視でのほぼ全域に、線状の夾雑物を係止し易い部分を設けて、線状の夾雑物と粒状の穀粒などの被処理物とが混在したままでの脱落を制限し易くしている。これに加えて、被処理物の比重選別が効果的に行われ易い第一チャフリップ板と、線状の夾雑物の姿勢変化による落下を制限しながら粒状の被処理物の落下選別を効率良く行われ易い第二チャフリップ板を効果的に併用して、チャフシーブ全体として、選別効率の良いものを得やすい。
さらに、本発明において、前記チャフシーブにおける被処理物搬送方向で、前記第一チャフ板群が前記第二チャフ板群の前側に設けられていると好適である。
本特徴構成によれば、被処理物搬送方向で前側に設けられている第一チャフ板群により、被処理物の漏下度合を制限した状態での揺動選別を行うことにより、被処理物の比重選別が優先的に行われる。そして、比重選別された状態の被処理物における線状の夾雑物の姿勢変化による落下を制限しながら粒状の被処理物の落下選別を、第二チャフ板群によって効率良く行い易い。
さらに、本発明において、前記チャフシーブにおける前記第一チャフ板群と前記第二チャフ板群の境界が、被処理物搬送方向での前半側に設定されていると好適である。
本特徴構成によれば、第一チャフ板群による被処理物の漏下度合を制限した状態での揺動選別が、チャフシーブにおける被処理物搬送方向での前半側で行われ、第二チャフ板群による線状の夾雑物の姿勢変化による落下を制限しながら粒状の被処理物の落下選別は、それよりも後半側で行われる。これにより、第一チャフ板群による被処理物の漏下度合を制限した状態での揺動選別に要するチャフシーブの選別面積のうち、第一チャフ板群による比重選別が優先的に行われる範囲よりも、第二チャフ板群による線状の夾雑物の姿勢変化による落下を制限した状態で粒状の穀粒などの選別が行われる範囲を広くして、チャフシーブの選別面積を有効に利用した効率の良い選別処理を行うことができる。
さらに、本発明において、前記チャフシーブにおける前記第一チャフ板群と前記第二チャフ板群の境界が、前記選別処理部における一番スクリューの上方箇所に設定されていると好適である。
本特徴構成によれば、比重選別されて第一チャフ板群の後端部から第二チャフ板群による粒状の被処理物の落下選別領域の移り変わり箇所で、チャフシーブからの被処理物の漏下量が急増しても、その漏下箇所の下方には一番スクリューが存在している。したがって、被処理物量の変化に対応して、被処理物の停滞等が発生する虞も少なく、効率よく被処理物の処理を行い易い。
さらに、本発明において、前記チャフシーブの後端部に引き続いて被処理物を後方搬送する後部チャフシーブが備えられ、前記後部チャフシーブは、前記チャフシーブよりも下方に配置され、前記第二チャフリップ板を組み合わせた前記第二チャフ板群で構成されていると好適である。
本特徴構成によれば、チャフシーブの後端部に引き続いて被処理物を後方搬送する後部チャフシーブが備えられているので、チャフシーブでの処理が終わった被処理物を再度処理して、被処理物中に混在する粒状の被処理物をより精度良く回収し易い。
さらに、本発明において、前記チャフシーブの後部と前記後部チャフシーブの前部が、被処理物搬送方向の前後で重複していると好適である。
本特徴構成によれば、チャフシーブの後部と後部チャフシーブの前部が、被処理物搬送方向の前後で重複しているので、チャフシーブから後部チャフシーブへの被処理物の受け渡しを、より一層確実に行い易い。
さらに、本発明において、前記チャフリップ板には、当該チャフリップ板の長手方向で隣り合う位置の前記膨出突条部の下部同士を連結する横長の膨出横桟部分が設けられていると好適である。
本特徴構成によれば、下方部の長手方向の全長にわたって、膨出突条部の長手方向と交差する方向に横長の膨出横桟部分が形成されているので、チャフリップ板の長手方向に交差する方向の外力に対する抗力を高めることができる。これによって、長尺のチャフリップ板を採用した場合に、そのチャフリップ板の板厚を必要以上に厚くすることなく強度を高め易い。
さらに、本発明において、前記チャフリップ板を支持するシーブケースが前記選別処理部に備えられ、被処理物搬送方向の前後に位置する前記チャフリップ板の上部同士を連結する上部リンク部材と、前記チャフリップ板の下部同士を連結する下部リンク部材と、が備えられ、前記上部リンク部材に対する前記下部リンク部材の前後位置変更に伴って、前記チャフリップ板が同期して姿勢変更可能に構成され、前記チャフリップ板を水平方向軸心回りで姿勢変更可能に支持する補強部材が、前記チャフリップ板の長手方向に沿って前記チャフリップ板と一体に設けられ、前記補強部材の両端部が、前記シーブケースに枢支連結されていると好適である。
本特徴構成によれば、チャフリップ板を水平方向軸心回りで姿勢変更可能に支持する補強部材が、チャフリップ板の長手方向に沿ってチャフリップ板と一体に設けられているので、この補強部材が、上部リンク部材同士を繋ぎ、チャフリップ板の載置面部の角度変更を行う際の支軸として用いられるとともに、チャフリップ板の補強手段として機能することになる。
これによって、チャフリップ板自体は比較的肉薄の軽量板材で構成しても、その支軸箇所に備わるチャフリップ板の強度を向上し得るので、チャフリップ板全体を肉厚の板材で構成するような、チャフシーブ全体の重量増加を招く虞は少ない。
本特徴構成によれば、チャフリップ板を水平方向軸心回りで姿勢変更可能に支持する補強部材が、チャフリップ板の長手方向に沿ってチャフリップ板と一体に設けられているので、この補強部材がチャフリップ板の補強手段として機能することになる。
これによって、チャフリップ板自体は比較的肉薄の軽量板材で構成しても、その支軸箇所に備わるチャフリップ板の強度を向上し得るので、チャフリップ板全体を肉厚の板材で構成するような、チャフシーブ全体の重量増加を招く虞は少ない。
コンバインを示す左側面図である。 脱穀装置及び揺動選別装置を示す側面視での断面図である。 揺動選別装置を示す斜視図である。 揺動選別装置におけるチャフリップ板の取付状態を示す断面図である。 チャフシーブを示す斜視図である。 後部チャフシーブを示す斜視図である。 揺動選別装置におけるチャフリップ板の取付状態を示す斜視図である。 上部リンク部材及び下部リンク部材に対する第一チャフリップ板の取付状態を示す前面視での断面図である。 上部リンク部材及び下部リンク部材に対する第一チャフリップ板の取付状態を示す前面視での断面図である。 第一チャフリップ板における前後方向に沿う上下方向での断面図である。 第二チャフリップ板における前後方向に沿う上下方向での断面図である。 第一チャフリップ板と、第一チャフリップ板を水平方向軸心回りで支持する補強部材と、の連結構造部分を示す側面視での断面図である。 上部リンク部材に対する補強部材の取付構造を示す断面図である。 補強部材と第一チャフリップ板との連結構造を示す後面図である。
以下、本発明に係るコンバインの実施形態を図面の記載に基づいて説明する。
尚、本実施形態での説明における前後方向及び左右方向は、特段の説明がない限り、次のように記載している。つまり、本発明を適用したコンバインの前進側の進行方向(図1における矢印F参照)が「前」、後進側への進行方向(図1における矢印B参照)が「後」である。
〔コンバインの全体構成〕
図1は、普通型コンバイン(本発明に係る「コンバイン」に相当)を示している。
普通型のコンバインは、機体フレーム1が走行装置10に支持されている。走行装置10は、機体フレーム1の前部に駆動可能に装備された左右一対の前車輪10F、機体フレーム1の後部に操向可能に装備された左右一対の後車輪10Rを有している。
機体フレーム1の前端部に、作業走行時に機体の前方に位置する水稲や麦あるいは菜種などの作物の穀稈を刈り取って後方へ搬送する刈取搬送部2が前方側へ向けて連結されている。
刈取搬送部2には、植立穀稈を切断する刈刃20と、植立穀稈を掻き込む掻込リール21と、刈取穀稈を掻き込む掻込オーガ22と、掻き込まれた刈取穀稈を後方搬送するフィーダ23と、が備えられている。
この刈取搬送部2は、機体左右向きの昇降軸芯Xを支点にした昇降揺動が可能な状態で連結されている。刈取搬送部2の昇降揺動は、機体フレーム1とフィーダ23にわたって架設された油圧式の昇降シリンダ(図外)の伸縮作動で行われる。
機体の前部には、機体フレーム1の前部に立設した搭載台11を介して、搭乗運転部としての運転キャビン12が設けられている。
運転キャビン12よりも後側における機体フレーム1上には、刈取搬送部2が搬送する刈り取り後の穀稈を脱穀対象物として受け入れて脱穀処理し、脱穀処理後の被処理物に選別処理を施す脱穀装置3が設けられている。
そして、脱穀装置3の上方における前部位置に、脱穀装置3から搬送された単粒化穀粒を回収して貯留する穀粒タンク13が設けられている。穀粒タンク13の下部には、貯留された穀粒を排出するスクリューコンベヤ13Aが接続されている。脱穀装置3の上方における後部位置には、動力源となるエンジンを内装した原動部14が設けられている。
さらに、脱穀装置3の後側には、脱穀処理後の排藁を細断処理するための排藁細断装置15が連設されている。
〔脱穀装置について〕
脱穀装置3は、脱穀処理を行う脱穀処理部3Aと、選別処理を行う選別処理部3Bと、を備えている。脱穀処理部3Aに脱穀用の扱胴30を備え、その脱穀処理部3Aよりも下方の選別処理部3Bに選別用の揺動選別装置4及び唐箕5が備えられている。
脱穀処理部3Aの扱胴30は、図2に示すように、前後方向に沿う回転軸心P1回りで回転駆動される。前方側の被処理物投入口(図示せず)から投入された被処理物としての刈取穀稈を、扱胴30の回転に伴って回転させながら脱粒処理する。扱胴30の回転に伴って茎稈から分離した穀粒等の被処理物は、扱胴30の下半側に備えた受網35を通過して、脱穀処理部3Aから自重落下し、選別処理部3Bに供給される。
扱胴30は、回転軸心P1が後上がりの傾斜姿勢となる状態で配置されている。したがって、茎稈から分離して受網35上に受け止められた被処理物が、扱胴30の回転や図示しない送塵弁の作用で後方送りされる際に、受網35上における滞留時間を比較的長く保ち易い。つまり、例えば、回転軸心P1が水平や後下がりである場合に比べて、被処理物の後方送りにある程度の抵抗を与えながら後方送りすることができるので、受網35上における脱穀処理時間を比較的長く確保し易い。
穀粒等の被処理物を分離させた後の、受網35を通過しない排ワラは、後方の排藁細断装置15に送り込まれて細断された後、機体後方下方へ向けて放出される。
選別処理部3Bに備えられる揺動選別装置4は、受網35から漏下した被処理物を受け止めて、前後方向及び上下方向での振動を加えながら機体前方側から後方側へ移送して選別処理するものである。
つまり、揺動選別装置4は、第一グレンパン41、第二グレンパン42、第一チャフシーブ43(チャフシーブに相当する)、第二チャフシーブ44(後部チャフシーブに相当する)、グレンシーブ45、等を有したシーブケース40を備えている。そして、このシーブケース40が、前端側に備えた前後スライド運動機構(図示せず)、及び後端側に備えた偏心運動機構(図示せず)によって、前後方向及び上下方向に揺動自在に構成されている。このように、シーブケース40の全体を前後方向及び上下方向に揺動させて、シーブケース40上の被処理物を比重選別しながら後方へ送るようにしている。
このシーブケース40も、扱胴30の回転軸心P1の後上がりの傾斜に比べると少ないが、前方側よりも後方側がやや上位となる後上がり傾斜姿勢で配設されている。
このとき、前方下方に備えた唐箕5から後方上方へ向けて選別風が送り込まれ、シーブケース40内を上段から下段へ移行する途中の被処理物に選別風を供給して、風力選別によっても選別処理するように構成されている。
そして、選別処理部3Bの下部には、揺動選別装置4によって選別された一番物を回収するための一番スクリュー31と、枝付き穀粒等の二番物を回収するための二番スクリュー32とが備えられている。
シーブケース40に備えた第一グレンパン41、第二グレンパン42、第一チャフシーブ43、第二チャフシーブ44、グレンシーブ45等のうち、第一グレンパン41は、側面視で略波形に形成した板体で構成されている。揺動選別装置4における被処理物の移送方向上手側端部(前端部)に備えられ、脱穀処理部3Aにおける移送方向上手側から漏下した被処理物を後方に移送する。
第一グレンパン41の移送方向下手側端部から移送方向下手側に向けて、複数本の線状部材で構成された篩い線46が片持ち状に延設されている。
第一チャフシーブ43は、第一グレンパン41の移送方向下手側に位置している。この第一チャフシーブ43では、第一グレンパン41から送り出される被処理物、篩い線46から漏下した被処理物、及び、脱穀処理部3Aから漏下した被処理物を受け止めて、後方側へ揺動移送しながら一番物となる穀粒や二番物を下方に漏下させる。
この第一チャフシーブ43は、被処理物の搬送面が、扱胴30の回転軸心P1の後上がりの傾斜と同程度の後上がり傾斜姿勢となるように配設されている。第一チャフシーブ43の後端は、一番スクリュー31へ被処理物を案内する第一流下板33の後端よりもやや後方にまで延出されている。
第二グレンパン42は、第一グレンパン41と同様に、側面視で略波形に形成した板体で構成され、第一グレンパン41の移送方向下手側で且つ下方側に位置する。この第二グレンパン42は、第一グレンパン41の被処理物移送方向下手側や第一篩い線46aから漏下した処理物、及び第一チャフシーブ43の前部から漏下した被処理物を後方に移送する。
第二グレンパン42の後端部には、網状のグレンシーブ45が連設されており、第二グレンパン42上で比重選別された被処理物のうち、比重が大きくて下層に位置する穀粒を網目から漏下させる。これが、第一流下板33に案内されて一番スクリュー31に向かう一番物となる。比較的比重が小さくて上層に位置する残りの被処理物が、グレンシーブ45の後端に備えた第二篩い線46bを漏下して二番スクリュー32側へ排出される。
第一チャフシーブ43の後方(移送方向下手側)で且つ下方側には、第一チャフシーブ43の後端から落下した被処理物を受け止めて後方移送しながら穀粒や二番物を下方に漏下させる第二チャフシーブ44が設けられている。
第二チャフシーブ44からの漏下物は、第二流下板34に案内されて二番スクリュー32側へ案内される。第二チャフシーブ44の後端に達した残りの被処理物は、ほとんどが切れワラなどの夾雑物であるため、機外へ放出される。
この第二チャフシーブ44の被処理物搬送面は、第一チャフシーブ43の被処理物搬送面よりも急角度の後上がり傾斜面となっている。したがって、被処理物が第一チャフシーブ43で所定距離移動して比重選別される場合よりも、単位距離あたりで、より長い時間を掛けて比重選別作用を受けることになる。この第二チャフシーブ44は、前部が第一チャフシーブ43の後部と前後方向で重複するように配設されている。
〔第一チャフシーブについて〕
第一チャフシーブ43の具体構造について説明する。
図3~5、及び図7に示すように、第一チャフシーブ43は、ステンレスの薄板材で構成された複数のチャフリップ板60を、前後方向に所定間隔をあけて並設している。各チャフリップ板60は、シーブケース40に固定の上部リンク部材47に設けた固定ピン47aの軸心周りで、上部を揺動自在に支持されて、シーブケース40に設けられている。
複数のチャフリップ板60の夫々の下部箇所は、下部リンク部材48により一体的に連結されている。この下部リンク部材48が、図示しない角度調節機構によって前後方向にスライド操作可能に構成されている。この角度調節機構で各チャフリップ板60の揺動角度を変更させることにより、チャフリップ板60同士の間における開度を変更調整することができるように構成されている。つまり、チャフリップ板60同士の間隔を変更する訳ではないが、各チャフリップ板60の揺動角度を変更することによって、前後のチャフリップ板60同士の間に存在する被処理物の流下路全体の傾斜が変更され、流下路を流れる被処理物の流れやすさが変更される。これがチャフリップ板60同士の間における開度の変更である。
チャフリップ板60のそれぞれには、長手方向が被処理物の搬送方向に交差する方向に沿う姿勢で、被処理物を受け止め載置する前下がり傾斜姿勢の載置面部61が備えられている。載置面部61のうち、上部61aには、当該載置面部61における板面の一部が他の部位よりも前方側へ膨出する複数箇の膨出突条部62が、搬送方向に長手方向を沿わせた状態で形成され、膨出突条部62,62同士の間に平坦面63が形成されている。
載置面部61のうち、膨出突条部62,62が存在する箇所よりも下方側の下部61bには、膨出突条部62の長手方向と交差する方向に長い横長の膨出横桟部分64が、下部61bの長手方向の全長にわたって形成されている。膨出横桟部分64は、図10及び図11に示すように、載置面部61の前方側へ突出する凸部64aと後方側へ突出する凹部64bとを備えた凹凸断面形状に形成されている。
第一チャフシーブ43は、図4及び図5に示すように、多数のチャフリップ板60の組み合わせによって被処理物の搬送面を構成するチャフ板群6として、第一チャフ板群6Aと、第二チャフ板群6Bと、の両方を備えている。
第一チャフ板群6Aは、チャフリップ板60として、第一チャフリップ板60Aの複数個を前後方向に所定間隔をあけて並設したものである。第二チャフ板群6Bは、チャフリップ板60として、第二チャフリップ板60Bの複数個を前後方向に所定間隔をあけて並設したものである。
この第一チャフシーブ43では、第一チャフ板群6Aが第二チャフ板群6Bよりも被処理物搬送方向での前側(上流側)に位置する状態で配設されている。
そして、第一チャフ板群6Aと第二チャフ板群6Bの境界は、第一チャフシーブ43の被処理物搬送方向における、前半側に相当する箇所で、かつ、選別処理部3Bにおける一番スクリュー31の上方箇所に相当する位置に設定されている。
第一チャフ板群6Aに配設される第一チャフリップ板60Aは、図7、図8、及び図10に示すように、各第一チャフリップ板60Aの膨出突条部62の上端縁62aと平坦面63の上端縁63aが載置面部61に垂直な方向からみて同じ高さ位置にある。これによって、膨出突条部62の上端縁62aと平坦面63の上端縁63aとを結ぶ接続線が、直線であるように形成されている。
第二チャフ板群6Bに配設される第二チャフリップ板60Bは、図7、図9、及び図11に示すように、各第二チャフリップ板60Bの膨出突条部62の上端縁62aよりも平坦面63の上端縁63aが低い位置にある。これによって、膨出突条部62の上端縁62aと平坦面63の上端縁63aとを結ぶ接続線が、波線状であるように形成されている。
上記の第一チャフリップ板60Aと第二チャフリップ板60Bは、載置面部61に沿う上下方向での最大幅部分の長さLa,Lbが同じに構成されている。
チャフリップ板60の左右両端部には、このチャフリップ板60を、シーブケース40側に取り付けられた上部リンク部材47及び下部リンク部材48に装着するための取付片65,65が一体形成されている。
取付片65は、上部側寄りの位置で、載置面部61よりも前方側へ突出する前向き取付片65fと、下部側寄りの位置で、載置面部61よりも後方側へ突出する後向き取付片65rと、が右側端部、及び左側端部の両箇所に設けられている。
これらの前向き取付片65f及び後向き取付片65rのそれぞれに取付孔66が形成されている。この取付孔66は、シーブケース40に固定の上部リンク部材47からシーブケース40の内方側へ向けて突設された固定ピン47a、及び下部リンク部材48からシーブケース40の内方側へ向けて突設された固定ピン48aに嵌合するように、孔径及び位置が設定されている。
取付片65に形成される取付孔66は、取付片65がシーブケース40の横外方側から横内方側へ向かう方向からのバーリング加工によって形成される。
したがって、取付孔66の周辺には、固定ピン47a、又は固定ピン48aの軸線方向に沿う立ち上がり突起部分65aが一体形成されている。
この取付孔66を、固定ピン47a、及び固定ピン48aに嵌合させた状態で、固定ピン47a、及び固定ピン48aの外周に備えた抜け止め溝にサークリップ47c,48cを嵌め込むことによって連結固定する。
図5、及び図12乃至図14に示すように、この第一チャフシーブ43では、第二チャフ板群6Bにおいて、左右の上部リンク部材47,47同士にわたってパイプ状の補強部材67を掛け渡している。
この補強部材67は、両端部に筒状嵌合部67aを備え、その筒状嵌合部67a,67a同士の間に位置する中間部67bが、左右の筒状嵌合部67a,67aの軸心に対して偏心した軸心部分を有したクランク軸状に形成されている。左右の筒状嵌合部67a,67aは、シーブケース40に固定の上部リンク部材47からシーブケース40の内方側へ向けて突設された長尺の固定ピン47bに外嵌して、左右方向に長い嵌合代をもって枢支されている。
第二チャフ板群6Bにおけるチャフリップ板60のうち、この補強部材67を連結するチャフリップ板60のみが第一チャフリップ板60Aによって構成され、その他のチャフリップ板60は、第二チャフリップ板60Bによって構成されている。
補強部材67の中間部67bが、図12及び図14に示すように、第一チャフリップ板60Aの載置面部61に対して、連結ブラケット68を介して溶接固定されている。
〔第二チャフシーブについて〕
第二チャフシーブ44の具体構造について説明する。
図4及び図6に示すように、第二チャフシーブ44は、チャフリップ板60として、第一チャフリップ板60Aの複数個を前後方向に所定間隔をあけて並設したものである。つまり、第二チャフシーブ44は、配設位置及び前後方向長さは異なるが第一チャフシーブ43における第一チャフ板群6Aと同じ構造のものである。
この第二チャフシーブ44にも、第一チャフシーブ43と同様な補強部材67が、左右の上部リンク部材47,47同士にわたって掛け渡されている。
第一チャフシーブ43では、補強部材67が第二チャフ板群6Bの前後方向中間箇所に設けられていたが、第二チャフシーブ44では、補強部材67が第一チャフ板群6Aの前後方向中間箇所に設けられている。補強部材67の具体構造、及び左右の上部リンク部材47,47や、第一チャフリップ板60Aに対する補強部材67の取付構造も、第一チャフシーブ43における補強部材67と同じであるため、その具体構造の説明は省略する。
第二チャフシーブ44に対しては、グレンシーブ45で一番物に相当する穀粒等を漏下させた後の被処理物が、グレンシーブ45の後端に備えた第二篩い線46bを介して送り込まれる。また、第一チャフシーブ43の後端部から後方へ向けて延出されているストローラック49から漏下した被処理物が送り込まれる。
これらの被処理物が第二チャフシーブ44で比重選別され、この第二チャフシーブ44から漏下した二番物に相当する被処理物が二番スクリュー32へ送られ、第二チャフシーブ44を漏下しなかった被処理物が後端側から機外へ排出される。
〔別実施形態の1〕
実施の形態では、第一チャフシーブ43として、第一チャフ板群6Aが第二チャフ板群6Bよりも被処理物搬送方向での前側(上流側)に位置する状態で配設されている構造のものを例示したが、必ずしもこの構造に限定されるものではない。
例えば、第一チャフ板群6Aが第二チャフ板群6Bよりも被処理物搬送方向での後側(下流側)に位置する状態で配設されている構造のものであってもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
〔別実施形態の2〕
実施の形態では、第一チャフシーブ43として、第一チャフ板群6Aと第二チャフ板群6Bの境界が、被処理物搬送方向での前半側に設定されている構造のものを例示したが、必ずしもこの構造に限定されるものではない。
例えば、第一チャフ板群6Aと第二チャフ板群6Bの境界が、被処理物搬送方向での後半側に設定されている構造のものであったり、第一チャフ板群6Aと第二チャフ板群6Bの境界が、被処理物搬送方向での中央箇所に設定されている構造のものであったり、あるいは、第一チャフ板群6Aと第二チャフ板群6Bの境界が複数箇所あって、被処理物搬送方向での前半側にも後半側にも設定されている構造のものであってもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
〔別実施形態の3〕
実施の形態では、チャフリップ板60として、第一チャフリップ板60Aと第二チャフリップ板60Bが、載置面部61に沿う上下方向での最大幅部分の長さLa,Lbが互いに同じに構成された構造のものを例示したが、必ずしもこの構造に限定されるものではない。
例えば、第一チャフリップ板60Aの載置面部61に沿う上下方向での最大幅部分の長さLaが、第二チャフリップ板60Bの載置面部61に沿う上下方向での最大幅部分の長さLbよりも少し長いものであったり、逆に、第一チャフリップ板60Aの載置面部61に沿う上下方向での最大幅部分の長さLaが、第二チャフリップ板60Bの載置面部61に沿う上下方向での最大幅部分の長さLbよりも少し短いものであったり、しても差し支えない。
つまり、載置面部61に沿う上下方向での最大幅部分の長さLa,Lbが互いに同じであるとは、完全同一であるものも、ある程度の範囲で長短があるものをも含むほぼ同じ程度を指すものである。また、第一チャフリップ板60Aにおける膨出突条部62の上端縁62aと平坦面63の上端縁63aとを結ぶ接続線が直線であるとは、この接続線が完全な直線である場合も、ある程度の凹凸や屈曲部分を含めてほぼ直線である場合も含んでおり、概ね直線的であることを指すものである。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
〔別実施形態の5〕
実施の形態では、第一チャフシーブ43で、第二チャフ板群6Bにおいて、左右の上部リンク部材47,47同士にわたって単一のパイプ状の補強部材67を掛け渡した構造のものを例示したが、必ずしもこの構造に限定されるものではない。
例えば、補強部材67を、第一チャフ板群6Aにおいて掛け渡すようにした構造のもの、あるいは、複数本の補強部材67を用いて、第一チャフ板群6Aと第二チャフ板群6Bの双方において掛け渡すようにした構造のもの、であっても良い。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
〔別実施形態の6〕
実施の形態では、チャフシーブとして、第一チャフシーブ43と、第二チャフシーブ44と、の両方を備えた構造のものを例示したが、必ずしもこの構造に限定されるものではない。
例えば、第一チャフシーブ43のみを備えた構造のものであったり、第一チャフシーブ43と第二チャフシーブ44の他に、別のチャフシーブを備えた構造のものであったりしても差し支えない。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
本発明は、普通型コンバインに限らず、自脱型コンバインにも適用可能である。
3A 脱穀処理部
3B 選別処理部
6 チャフ板群
6A 第一チャフ板群
6B 第二チャフ板群
31 一番スクリュー
40 シーブケース
43 チャフシーブ
44 後部チャフシーブ
47 上部リンク部材
48 下部リンク部材
60 チャフリップ板
60A 第一チャフリップ板
60B 第二チャフリップ板
61 載置面部
62 膨出突条部
63 平坦面
64 膨出横桟部分
67 補強部材
La,Lb 最大幅部分の長さ

Claims (8)

  1. 脱穀処理部の下方に選別処理部が配設され、
    前記選別処理部に、脱穀処理後の被処理物を受け止めて後方へ揺動搬送しながら、被処理物中の穀粒を選別して漏下させるチャフシーブが備えられ、
    前記チャフシーブに、多数のチャフリップ板の組み合わせによって被処理物の搬送面を構成するチャフ板群が備えられ、
    前記チャフ板群における前記チャフリップ板に、長手方向が被処理物の搬送方向に交差する方向に沿う姿勢で、被処理物を受け止め載置する前下がり傾斜姿勢の載置面部が備えられ、前記載置面部に、当該載置面部における板面の一部が他の部位よりも前方側へ膨出する複数箇の膨出突条部が、前記搬送方向に長手方向を沿わせた状態で形成され、前記膨出突条部同士の間に平坦面が形成され、
    前記チャフ板群に、前記チャフリップ板の形状が異なる第一チャフ板群と、第二チャフ板群と、が備えられ、
    前記第一チャフ板群における第一チャフリップ板は、各第一チャフリップ板の前記膨出突条部の上端縁と前記平坦面の上端縁が同程度の高さ位置にあり、
    前記第二チャフ板群における第二チャフリップ板は、各第二チャフリップ板の前記膨出突条部の上端縁よりも前記平坦面の上端縁が低い位置にあり、
    前記第一チャフリップ板と前記第二チャフリップ板は、前記載置面部に沿う上下方向での最大幅部分の長さが同じに構成されているコンバイン。
  2. 前記チャフシーブにおける被処理物搬送方向で、前記第一チャフ板群が前記第二チャフ板群の前側に設けられている請求項1記載のコンバイン。
  3. 前記チャフシーブにおける前記第一チャフ板群と前記第二チャフ板群の境界が、被処理物搬送方向での前半側に設定されている請求項2記載のコンバイン。
  4. 前記チャフシーブにおける前記第一チャフ板群と前記第二チャフ板群の境界が、前記選別処理部における一番スクリューの上方箇所に設定されている請求項2又は3記載のコンバイン。
  5. 前記チャフシーブの後端部に引き続いて被処理物を後方搬送する後部チャフシーブが備えられ、
    前記後部チャフシーブは、前記チャフシーブよりも下方に配置され、前記第二チャフリップ板を組み合わせた前記第二チャフ板群で構成されている請求項1~4のいずれか一項記載のコンバイン。
  6. 前記チャフシーブの後部と前記後部チャフシーブの前部が、被処理物搬送方向の前後で重複している請求項5記載のコンバイン。
  7. 前記チャフリップ板には、当該チャフリップ板の長手方向で隣り合う位置の前記膨出突条部の下部同士を連結する横長の膨出横桟部分が設けられている請求項1~6のいずれか一項記載のコンバイン。
  8. 前記チャフリップ板を支持するシーブケースが前記選別処理部に備えられ、
    被処理物搬送方向の前後に位置する前記チャフリップ板の上部同士を連結する上部リンク部材と、前記チャフリップ板の下部同士を連結する下部リンク部材と、が備えられ、前記上部リンク部材に対する前記下部リンク部材の前後位置変更に伴って、前記チャフリップ板が同期して姿勢変更可能に構成され、
    前記チャフリップ板を水平方向軸心回りで姿勢変更可能に支持する補強部材が、前記チャフリップ板の長手方向に沿って前記チャフリップ板と一体に設けられ、
    前記補強部材の両端部が、前記シーブケースに枢支連結されている請求項1~7のいずれか一項記載のコンバイン。
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