JP7130434B2 - 冷却ジャケット - Google Patents
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Description
さらに、半導体デバイスの高密度化も進んでおり、高密度集積回路における消費電力も加速度的に上昇し、発熱量と共に、発熱密度も急激に増大している。
このような半導体デバイスや高密度集積回路等の電子部品において、例えば、ペルチェ素子による強制吸熱や、空冷ヒートシンク及び冷却ファンによる強制空冷等の、従来使用されているような半導体デバイスのための冷却システムでは、冷却能力に限界があり、またファン使用の場合は騒音の問題があった。
しかしながら、従来のコールドプレートは、予期しない流路の詰まりによって冷媒の均等な循環が阻止されるようなアクシデントが発生した場合は、流路視認が不可能なため電子デバイス類や冷媒循環ポンプを含む機器類の全電源を停止した後に、コールドプレートのみを取り出して詰まり除去するという面倒な作業を行う必要があった。さらには、流路からの冷媒漏洩が起きた場合、従来のコールドプレートでは漏洩箇所の瞬時の特定が難しいという問題があった。また、従来のコールドプレートは、基本的には金属のみから構成されているため重量が重く、例えば車載用の冷却ジャケットに展開する場合においては車の軽量化ニーズに十分に対応しきれないケースがあった。
[1]
金属製ベースプレートを備えた冷却ジャケットであって、
上記金属製ベースプレートの一方の面Bに樹脂製ハウジングを有し、
上記金属製ベースプレートの他方の面Aが発熱体を搭載するための面であり、
上記樹脂製ハウジングの少なくとも一部が結晶性ポリオレフィンを含む樹脂組成物により形成されており、
上記樹脂製ハウジングは透明で、かつ、内部が視認可能である冷却ジャケット。
[2]
上記[1]に記載の冷却ジャケットにおいて、
上記樹脂製ハウジングの透明部分の内部ヘイズが10%未満である冷却ジャケット。
[3]
上記[1]または[2]に記載の冷却ジャケットにおいて、
上記結晶性ポリオレフィンが4-メチル-1-ペンテン系重合体を含む冷却ジャケット。
[4]
上記[3]に記載の冷却ジャケットにおいて、
上記4-メチル-1-ペンテン系重合体が4-メチル-1-ペンテン由来の構成単位を80モル%以上含む冷却ジャケット。
[5]
上記[1]乃至[4]のいずれか一つに記載の冷却ジャケットにおいて、
上記金属製ベースプレートの上記面Bの少なくとも周縁部に、上記樹脂製ハウジングの底部に立設した複数枚の側壁頂面が介在層を介して接合している冷却ジャケット。
[6]
上記[5]に記載の冷却ジャケットにおいて、
上記金属製ベースプレートの上記面Bにおける少なくとも上記介在層の付着領域に、微細凹凸形状が形成されている冷却ジャケット。
[7]
上記[1]乃至[6]のいずれか一つに記載の冷却ジャケットにおいて、
上記樹脂製ハウジングの内部に邪魔板が形成されている冷却ジャケット。
[8]
上記[1]乃至[7]のいずれか一つに記載の冷却ジャケットにおいて、
上記金属製ベースプレートがアルミニウム製部材、アルミニウム合金製部材、銅製部材および銅合金製部材からなる群から選択される少なくとも一種の部材により構成されている冷却ジャケット。
本実施形態に係る冷却ジャケット10は、金属製ベースプレート3を備えた冷却ジャケットであって、金属製ベースプレート3の一方の面B(3b)に樹脂製ハウジング1を有し、金属製ベースプレート3の他方の面A(3a)が発熱体を搭載するための面であり、樹脂製ハウジング1の少なくとも一部が結晶性ポリオレフィンを含む樹脂組成物により形成されており、樹脂製ハウジング1は透明で、かつ、内部が視認可能である。
本実施形態において、樹脂製ハウジング1は、例えば、冷媒を注入するための注入口4と、発熱体によって高温化した金属製ベースプレート3の面と接触させた後の加温冷媒を排出するための排出口4’を備えてもよい。本実施形態に係る好ましい冷却ジャケット10は、樹脂製ハウジング1の底部に立設した複数枚の側壁の頂面が、介在層2を介して金属製ベースプレート3の発熱体非搭載面3b(面B)の少なくとも周縁部に接合することによって冷却ジャケット10が形成されている。
本実施形態の係る冷却ジャケット10を構成する金属製ベースプレート3は、半導体デバイスや高密度集積回路に代表される発熱体からの熱を拡散するとともに、樹脂製ハウジング1内を流通する冷媒に効率的に熱を伝達するという二つの役割を担う。それゆえ、金属製ベースプレート3を構成する金属は伝熱性に優れると同時に、後述するように樹脂製ハウジング1内に形成される邪魔板として金属製ベースプレート3と同一な金属を使用する場合には良好な加工性も求められることがある。このような視点から金属製ベースプレートとしては、アルミニウム製部材、アルミニウム合金製部材、銅製部材および銅合金製部材からなる群から選択される少なくとも一種の部材により構成されていることが好ましい。また金属製ベースプレート3の邪魔板が形成されていない部分の厚みは、伝熱性、強度および軽量性を総合的に勘案して、例えば0.5mm~30mm程度、好ましくは0.5mm~20mmに設定される。
金属製ベースプレート3の発熱体非搭載面3b(面B)側の、少なくとも介在層2が付着している部分(介在層2の付着領域)には、微細凹凸形状が形成されていることが好ましい。こうすることで、樹脂製ハウジング1と金属製ベースプレート3との接合強度を高めることができ、その結果、冷媒の漏洩を抑制できるとともに、信頼性、機械的強度および耐久性に優れた冷却ジャケット10を得ることができる。
微細凹凸形状の大きさ(深さ、孔径、孔径間距離等)については特段の制限はないが、JIS B 0601に準じて測定した十点平均粗さRzが、例えば1μm以上、好ましくは1μm以上1mm以下、より好ましく3μm以上100μm以下である微細凹凸形状である。
本実施形態に係る冷却ジャケット10を構成する樹脂製ハウジング1は、例えば1枚の底部と複数枚の側壁部から構成されている。
樹脂製ハウジング1の少なくとも一部は結晶性ポリオレフィンを含む樹脂組成物により形成されており、さらに透明で、かつ、内部が視認可能である。
樹脂製ハウジング1の内部が視認可能であれば特に限定されないが、樹脂製ハウジング1を構成する1枚の底部と複数枚の側壁部の全てが結晶性ポリオレフィンを含む樹脂組成物により形成されていることが好ましい。
底部および側壁部は、好ましくは同一の結晶性ポリオレフィン含有樹脂組成物から形成されている。側壁部の枚数は特に限定されないが、例えば4枚~8枚である。後述するように、樹脂製ハウジング1は、例えば、射出成形等の公知の成形手段で別途作製されるが、成形時の金型構造等の装置全般の状況、作業性等を勘案して側壁枚数は適宜決定される。なお、図面に一例として示した冷却ジャケット10の側壁部は外周面が8枚、内周面が4枚の変則的なケースである。底部および側壁部の厚みは、例えば1mm~10mm、好ましくは2mm~8mmである。このような範囲にあることによって、冷媒の注入圧にも十分耐え得る堅固なハウジング構造とすることができる。なお、樹脂製ハウジング1の外部には、リブ構造によってハウジング強度が補強されていてもよい。補強リブに用いられる材料は、例えば樹脂であり、好ましくは樹脂製ハウジング1の構成樹脂と同一な結晶性ポリオレフィン含有樹脂組成物である。このような樹脂製の補強リブは、樹脂製ハウジング時の成形段階において容易に付与可能である。
結晶性ポリオレフィンとしては、軽量性、成形性、耐熱性、機械的強度、接着性等のバランスの観点から、4-メチル-1-ペンテン系重合体がさらに好ましく、ポリ-4-メチル-1-ペンテンが特に好ましい。
(ただし、上記式[i]において、Rは水素原子または炭素数1~20のアルキル基のいずれかである。)
上記4-メチル-1-ペンテンと共重合する他のモノマーとしては、エチレンおよび4-メチル-1-ペンテンを除く炭素原子数3~20のα-オレフィンが挙げられる。このようなα-オレフィンとしては、具体的には、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、4-エチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセンおよび1-エイコセン等が挙げられる。これらのうち、好ましくは4-メチル-1-ペンテンを除く炭素原子数6~20のα-オレフィンであり、さらに好ましくは炭素原子数8~20のα-オレフィンである。これらのα-オレフィンは、1種単独または2種以上組み合わせて用いることができる。
(P-i)メルトフローレート(MFR;ASTM D1238、260℃、5kgf)が、例えば1~500g/10min、好ましくは2~100g/10min、より好ましくは3~30g/10minである。MFRが上記範囲にあると、成型時の流動性の点で好ましい。
(P-ii)融点(Tm)が、例えば210~250℃、好ましくは215~245℃、より好ましくは220~240℃、さらに好ましくは224~240℃である。融点が上記下限値以上であると、4-メチル-1-ペンテン系重合体を含む樹脂組成物を用いて得られる成形体の強度をより一層良好にできる場合があり、また、融点が上記上限値以下であると、4-メチル-1-ペンテン系重合体を含む樹脂組成物を用いて得られる成形体の衝撃強度および靭性をより一層良好にできる場合がある。
本実施形態に係る冷却ジャケット10は、樹脂製ハウジング1の底部に立設した複数枚の側壁の頂面が、介在層2を介して金属製ベースプレート3の発熱体非搭載面3b(面B)の少なくとも周縁部に接合していることが好ましい。すなわち、介在層2は、金属製ベースプレート3の発熱体非搭載面3bと樹脂製ハウジング1を堅固に連結する中間層に位置付けられ、例えば、樹脂組成物からなる。介在層2の高さ(厚み)は、例えば、10μm~5mm、好ましくは50μm~3mm程度である。10μm以上であることによって接合強度が確保され、5mm以下であることによって不要な樹脂消費を抑制できる。介在層2を構成する樹脂種は、金属製ベースプレート3の表面に形成された微細凹凸構造の凹部に浸入して金属と十分な結合強度を発現するとともに、樹脂製ハウジング1を構成する樹脂とも強固に結合することによって、金属製ベースプレート3/樹脂製ハウジング1間の連結を、長期にわたって維持するものが好ましい。好ましい樹脂種は、後述する冷却ジャケット10の作製時の連結方法によって異なるが、公知の熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂が好んで用いられる。熱可塑性樹脂としては、酸無水物等のエチレン性不飽和結合含有モノマーでグラフト変性されたによる変性ポリオレフィンを含有する熱可塑性樹脂が好んで用いられる。
冷却ジャケット10は、例えば、樹脂製ハウジング1の底部に立設した複数枚の側壁の頂面が、介在層2を介して金属製ベースプレート3の発熱体非搭載面3bの少なくとも周縁部に接合するようにして連結することによって製造することができる。連結方法としては特段の制限はないが、例えば、介在層2として熱可塑性樹脂を用いる場合は、微細凹凸形状が形成された金属表面に熱可塑性樹脂を射出成形によって介在層2を形成させた後、次いで介在層2の上に樹脂製ハウジングの側壁頂面部を公知のプラスチック接合方法によって一体化する。このような接合方法としては、接着剤による接合、熱溶着、波動溶着、振動溶着、超音波溶着、高周波溶着、レーザー溶着等を例示できる。
一方で、介在層2として熱硬化樹脂(硬化体)を用いる場合は、対応する熱硬化性樹脂と硬化剤を含んでなるワニスを微細凹凸形状形成面に塗布したのち、樹脂製ハウジング1の側壁部頂面を載嵌し、次いで熱または光等の手段で硬化することによって一体化することが可能となる。
三井化学社製のポリ-4-メチル-1-ペンテン(商品名;TPX、銘柄名;RT18、MFR(260℃、5kg荷重)26g/10分)を、シリンダー温度;300℃、射出圧力(一次/二次);550/470kg/cm2、射出時間(一次/二次);4秒/2秒、金型温度;60℃の条件下で射出成形し、45mm×10mm×3mmの直方体状のポリ-4-メチル-1-ペンテン成形体片を複数枚作製した。得られた成形体片の内部ヘイズは2.5%、X線回折法から求めた結晶化度は30%であった。
内部ヘイズは、日本電色工業株式会社製のデジタル濁度計(NDH-20D)にて測定した。
X線回折法による結晶化度は、回転試料台を有する理学電気社製「RINT2500」X線回折装置を用いて、50kV-300mA、ポイントフォーカスの条件で、透過法でX線プロファイルを測定し、得られたX線プロファイルより、結晶部分と非結晶部分とを分離して、結晶化度を求めた。
図5に示すような、粗化処理後銅板7とポリ-4-メチル-1-ペンテン試験片6が介在層を介して一端側で上下に重なり合った試験片について、引っ張り試験機「モデル1323(アイコーエンジニヤリング社製)」を使用し、引張試験機に専用の治具を取り付け、室温(23℃)にて、チャック間距離60mm、引張速度10mm/minの条件にて、図5に示すx方向に引っ張って測定をおこなった。破断荷重(N)を金属/樹脂接合部分の面積で除することにより接合強度(MPa)を得た。なお、重なり部分aの長さは約10mmとした。
ポリ-4-メチル-1-ペンテン(三井化学株式会社製MX002UP;MFR(260℃、5kg荷重)3g/10分、融点(Tm)224℃)100重量部と、無水マレイン酸1重量部と、有機過酸化物として、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3を0.02重量部とを、2軸押出機(株式会社池貝、PCM45、φ=45mm,L/D=30)にて、シリンダー温度:270℃で、溶融混練を3分間行い、マレイン酸変性ポリ-4-メチル-1-ペンテンを得た。
得られたマレイン酸変性ポリ-4-メチル-1-ペンテンの融点(Tm)は222℃、ポリ-4-メチル-1-ペンテンへのマレイン酸グラフト量は0.8重量%、135℃、デカリン中での極限粘度[η]は1.5dl/gであった。上記変性体を酢酸エチルに溶解して固形分濃度20質量%の接着剤ワニスを作製した。
市販の1mm肉厚のC1100タフピッチ銅板材を入手し、切断して45mm×18mmの直方体状の銅板片とした。市販のアルミ合金用脱脂剤「NE-6(メルテックス社製)」を、7.5%含む水溶液を60℃として、脱脂用水溶液として、これを浸漬槽に満たした。ここへ、上記銅合金板片を、5分浸漬して脱脂し、よく水洗した。
続いて、別の槽に特開2013-22761号の実施例に開示されたエッチング液(組成;硫酸137g/L、過酸化水素25g/L、5-フェニルテトラゾール0.3g/L、4-ニトロベンゾトリアゾール0.7g/L、トルエンスルホン酸3g/L、塩化物イオン8ppm、残部はイオン交換水)に30℃、揺動下でエッチングした。この際のエッチング量は5.0μmであった。次いで水洗を行い、乾燥させることによって複数枚の粗化銅板を確保した。
次いで、上記粗化銅板5枚につき、その端部に上記方法で調製した変性ポリ-4-メチル-1-ペンテンからなる接着剤ワニスを塗布した。同時に上記方法で作製したポリ-4-メチル-1-ペンテン成形体片5枚の端部にも同一の接着剤ワニスを塗布した。合計10枚について、塗布面を上側に向けてデシケーターに入れ真空ポンプで減圧し常圧に戻すことによってワニス中の溶剤を除去した。接着剤が端面に付着した粗化銅板と、接着剤が端面に付着した成形体片同士を重ね合わせ、圧縮成型機で20kg/cm2加圧下、180℃×4分間圧着することによって、図5に示すような複合体5組を作製した。この複合体5組について、上記の引張せん断強度測定方法に準じて引張せん断強度を測定した。その結果、引張せん断強度の平均値は17MPaであった。
2 介在層
3 金属製ベースプレート
3a 発熱体搭載面(面A)
3b 発熱体非搭載面(面B)
4 流入口
5 邪魔板
6 ポリ-4-メチル-1-ペンテン試験片
7 粗化処理後銅板
10 冷却ジャケット
Claims (5)
- 金属製ベースプレートを備えた冷却ジャケットであって、
前記金属製ベースプレートの一方の面Bに樹脂製ハウジングを有し、
前記金属製ベースプレートの他方の面Aが発熱体を搭載するための面であり、
前記樹脂製ハウジングの少なくとも一部が結晶性ポリオレフィンを含む樹脂組成物により形成されており、
前記樹脂製ハウジングは透明で、かつ、内部が視認可能であり、
前記結晶性ポリオレフィンが4-メチル-1-ペンテン系重合体を含み、
前記金属製ベースプレートの前記面Bの少なくとも周縁部に、前記樹脂製ハウジングの底部に立設した複数枚の側壁頂面が介在層を介して接合しており、
前記金属製ベースプレートの前記面Bにおける少なくとも前記介在層の付着領域に、微細凹凸形状が形成されており、
前記介在層が樹脂組成物からなる冷却ジャケット。 - 請求項1に記載の冷却ジャケットにおいて、
前記樹脂製ハウジングの透明部分の内部ヘイズが10%未満である冷却ジャケット。 - 請求項1または2に記載の冷却ジャケットにおいて、
前記4-メチル-1-ペンテン系重合体が4-メチル-1-ペンテン由来の構成単位を80モル%以上含む冷却ジャケット。 - 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の冷却ジャケットにおいて、
前記樹脂製ハウジングの内部に邪魔板が形成されている冷却ジャケット。 - 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の冷却ジャケットにおいて、
前記金属製ベースプレートがアルミニウム製部材、アルミニウム合金製部材、銅製部材および銅合金製部材からなる群から選択される少なくとも一種の部材により構成されている冷却ジャケット。
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