JP7212451B2 - 金属樹脂接合板、筐体および電子装置 - Google Patents

金属樹脂接合板、筐体および電子装置 Download PDF

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本発明は、金属樹脂接合板、筐体および電子装置に関する。
電子装置には、発熱量が大きい高性能の電子部品が採用されるようになってきている。
一方で、これらの電子部品から発生する電磁波による不具合、すなわちEMI(電磁妨害)はできるだけ抑制する必要がある。そのため、電子部品を収容するための筐体に電磁波シールド性に優れる素材(例えば、亜鉛鋼板、銅箔、アルミ箔等)を使用し、電波を表面反射させて遮蔽する方法が主に採用されている(例えば、特許文献1および2参照)。
特開2002-176282号公報 特開2005-108328号公報
近年の電子装置の軽量化の指向によって、電子部品を収容するための筐体にも軽量化が求められている。一方で、電子部品の高性能化に伴い、電子部品の発熱量が増加している。よって、電子部品を収容するための筐体には、軽量化および電磁波シールド性を実現しながら、放熱特性のさらなる向上が求められている。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、軽量性、電磁波シールド性および放熱特性のバランスに優れた筐体を実現できる金属樹脂接合板を提供するものである。
本発明によれば、以下に示す金属樹脂接合板、筐体および電子装置が提供される。
[1]
電子部品を収容する筐体に用いられる金属樹脂接合板であって、
筐体壁を形成するための板状の金属部材と、
上記金属部材に接合され、かつ、熱伝導性樹脂部材により構成された樹脂製ヒートシンクと、
を備え、
上記金属部材は、少なくとも上記樹脂製ヒートシンクとの接合部表面に微細凹凸構造を有し、
上記微細凹凸構造に上記熱伝導性樹脂部材の一部分が位置している金属樹脂接合板。
[2]
上記[1]に記載の金属樹脂接合板であって、
上記熱伝導性樹脂組成物は樹脂および熱伝導性フィラーを含む金属樹脂接合板。
[3]
上記[2]に記載の金属樹脂接合板であって、
上記熱伝導性フィラーは、金属窒化物、金属酸化物、金属水酸化物、金属炭化物、および金属炭酸化物からなる群から選択される少なくとも1種の金属化合物系熱伝導性フィラーを含む金属樹脂接合板。
[4]
上記[1]乃至[3]のいずれか一つに記載の金属樹脂接合板であって、
上記金属部材に接合され、かつ、上記金属部材の強度を補強するための補強用樹脂部材をさらに備える金属樹脂接合板。
[5]
上記[4]に記載の金属樹脂接合板であって、
上記金属部材は、上記補強用樹脂部材との接合部表面に微細凹凸構造を有しており、
上記微細凹凸構造に上記補強用樹脂部材の一部分が位置している金属樹脂接合板。
[6]
上記[4]または[5]に記載の金属樹脂接合板において、
上記補強用樹脂部材の少なくとも一部は、上記金属部材の表面に骨組状に形成されている金属樹脂接合板。
[7]
上記[1]乃至[6]のいずれか一つに記載の金属樹脂接合板であって、
上記樹脂製ヒートシンクの内部に、内部を放熱用媒体が流れる配管を有する金属樹脂接合板。
[8]
上記[7]に記載の金属樹脂接合板であって、
前記配管が金属製配管である金属樹脂接合板。
[9]
上記[8]に記載の金属樹脂接合板であって、
上記金属製配管は上記樹脂製ヒートシンクに接合されており、
上記金属製配管は上記樹脂製ヒートシンクとの接合部表面に微細凹凸構造を有しており、
上記微細凹凸構造に上記樹脂製ヒートシンクを構成する熱伝導性樹脂部材の一部分が位置している金属樹脂接合板。
[10]
上記[1]乃至[9]のいずれか一つに記載の金属樹脂接合板であって、
上記金属部材は開口部を有し、
上記樹脂製ヒートシンクは上記金属部材の開口部にはめ込まれている金属樹脂接合板。
[11]
上記[1]乃至[10]のいずれか一つに記載の金属樹脂接合板であって、
上記金属樹脂接合板は筐体が展開された展開図状の平面構造である金属樹脂接合板。
[12]
上記[1]乃至[11]のいずれか一つに記載の金属樹脂接合板を有する筐体。
[13]
上記[12]に記載の筐体と、上記筐体に収容された電子部品とを備える電子装置。
本発明によれば、軽量性、電磁波シールド性および放熱特性のバランスに優れた筐体を実現できる金属樹脂接合板を提供することができる。
本発明に係る実施形態の金属樹脂接合板の構造の一例を模式的に示した斜視図である。 図1のA-A断面図である。 本発明に係る実施形態の金属樹脂接合板の構造の一例を模式的に示した斜視図である。 図3のB-B断面図である。 本発明に係る実施形態の金属樹脂接合板の構造の一例を模式的に示した斜視図である。 図5のC-C断面図である。 本発明に係る実施形態の金属樹脂接合板の構造の一例を模式的に示した斜視図である。 本発明に係る実施形態の展開図状金属樹脂接合板の構造の一例を模式的に示した斜視図である。 本発明に係る実施形態の展開図状金属樹脂接合板の構造の一例を模式的に示した斜視図である。 本発明に係る実施形態の展開図状金属樹脂接合板の構造の一例を模式的に示した斜視図である。 本発明に係る実施形態の筐体の構造の一例を模式的に示した斜視図である。 本実施形態に係る金属樹脂接合板を構成する金属部材の樹脂部材との接合部表面上の、平行関係にある任意の3直線部、および当該3直線部と直交する任意の3直線部からなる合計6直線部の測定箇所を説明するための模式図である。
以下に、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には共通の符号を付し、適宜説明を省略する。また、図は概略図であり、実際の寸法比率とは一致していない。文中の数字の間にある「~」は特に断りがなければ、以上から以下を表す。
まず、本実施形態に係る金属樹脂接合板10について説明する。図1は、本発明に係る実施形態の金属樹脂接合板10の構造の一例を模式的に示した斜視図である。図2は、図1のA-A断面図である。
本実施形態に係る金属樹脂接合板10は、電子部品を収容する筐体に用いられる金属樹脂接合板であって、筐体壁を形成するための板状の金属部材11と、金属部材11に接合され、かつ、熱伝導性樹脂部材により構成された樹脂製ヒートシンク13と、を備え、金属部材11は、少なくとも樹脂製ヒートシンク13との接合部表面に微細凹凸構造15を有し、微細凹凸構造15に熱伝導性樹脂部材の一部分が位置している。
本実施形態に係る金属樹脂接合板10を有する筐体は、ヒートシンクとして、軽量な樹脂製ヒートシンク13を備えるため、金属製ヒートシンクを用いた筐体に比べて、軽量にすることができる。
また、本実施形態に係る金属樹脂接合板10を有する筐体は、筐体壁として板状の金属部材11を備えるため、筐体全体が金属部材により構成されている従来の筐体と同等の電磁波シールド機能を得ることができる。
さらに、本実施形態に係る金属樹脂接合板10を有する筐体は、金属部材11の微細凹凸構造15に熱伝導性樹脂部材の一部分が位置している。これにより、金属部材11と樹脂製ヒートシンク13との接触面積を大きくすることができ、筐体内部に収容された電子部品から発せられた熱を金属部材11から樹脂製ヒートシンク13に効果的に移動させることが可能となり、筐体の放熱特性を向上させることができる。
ここで、金属部材11と樹脂製ヒートシンク13との接触面積をより一層大きくし、金属樹脂接合板10を有する筐体の放熱特性をより一層良好にする観点から、微細凹凸構造15に熱伝導性樹脂部材の一部分が浸入することにより金属部材11と樹脂製ヒートシンク13とが直接接合されている態様が好ましい。ここで、直接接合とは、金属部材11と樹脂製ヒートシンク13との間に接着剤含有層等の介在層が存在しない接合を意味する。
以上から、本実施形態に係る金属樹脂接合板10を有する筐体は、軽量性、電磁波シールド性および放熱特性のバランスに優れている。すなわち、本実施形態に係る金属樹脂接合板10によれば、軽量性、電磁波シールド性および放熱特性のバランスに優れた筐体を実現することができる。
本実施形態に係る金属樹脂接合板10は、金属部材11に接合され、かつ、金属部材11の強度を補強するための補強用樹脂部材17をさらに備えることが好ましい。
補強用樹脂部材17で金属部材11を補強することにより、金属部材11の厚みを薄くすることによる金属樹脂接合板10の機械的強度の低下を抑制することができる。
また、本実施形態に係る金属樹脂接合板10を有する筐体は、補強用樹脂部材17をさらに備えることによって金属部材11の厚みを薄くすることができる。これにより、筐体の一部が重い金属部材から軽量な樹脂部材に置き換わるため、筐体全体が金属部材により構成されている従来の筐体に比べて、軽量にすることができる。
すなわち、本実施形態に係る金属樹脂接合板10は、補強用樹脂部材17をさらに備えることによって、金属樹脂接合板10を有する筐体の軽量化を実現しながら、機械的強度の維持ないし向上が可能である。
本実施形態に係る金属樹脂接合板10において、板状の金属部材11の両面に補強用樹脂部材17が接合されていることが好ましい。こうすることで、金属部材11の両面から金属部材11を補強することができるため、金属樹脂接合板10を有する筐体の機械的強度をより一層良好にすることができる。これにより、金属部材11の厚みを薄くすることができ、より一層軽量な筐体を得ることができる。
本実施形態に係る金属樹脂接合板10において、金属部材11は、補強用樹脂部材17との接合部表面に微細凹凸構造を有し、上記微細凹凸構造に補強用樹脂部材17の一部分が位置していることが好ましい。この場合、上記微細凹凸構造に補強用樹脂部材17の一部分が位置することにより金属部材11と補強用樹脂部材17とが接合されるため、金属部材11と補強用樹脂部材17との接合強度をより良好にすることができる。
これにより、本実施形態に係る金属樹脂接合板10を有する筐体の機械的強度をより良好にすることができるため、金属樹脂接合板10を構成する金属部材11の厚みをより薄くすることができる。その結果、より軽量な筺体を得ることができる。
ここで、金属部材11と補強用樹脂部材17との接触面積をより一層大きくし、金属部材11と補強用樹脂部材17との接合強度をより一層良好にする観点から、微細凹凸構造に補強用樹脂部材17の一部分が浸入することにより金属部材11と補強用樹脂部材17とが直接接合されていることが好ましい。直接接合とは、金属部材11と補強用樹脂部材17の間に接着剤含有層等の介在層が存在しない接合を意味する。
また、板状の金属部材11の一方の面に接合された補強用樹脂部材17と、他方の面に接合された補強用樹脂部材17の少なくとも一部とが、金属部材11の板面の垂直方向において互いに対向するように配置されていることが好ましい。こうすることで補強用樹脂部材17の成形時の収縮により金属部材11が変形してしまうことを抑制することができる。
本実施形態に係る金属樹脂接合板10において、金属部材11の全表面積に占める補強用樹脂部材17の接合部の表面積(以下、接合部面積率と略称する場合がある)は、例えば1面積%以上50面積%以下、好ましくは2面積%以上40面積%以下、より好ましくは5面積%以上30面積%以下である。接合部面積率が上記下限値以上であることによって、本実施形態に係る金属樹脂接合板10を有する筐体の機械的強度をより良好にすることができる。接合部面積率が上記上限値以下であることによって放熱特性により一層優れた軽量な筺体とすることができる。
本実施形態に係る金属樹脂接合板10において、補強用樹脂部材17は、例えば図1に示すように、金属部材11の表面の少なくとも周縁部に接合されていることが好ましい。こうすることで、より少量の補強用樹脂部材17で金属部材11をより効果的に補強することができる。さらに、補強用樹脂部材17の使用量を減らすことができるため、補強用樹脂部材17の成形時の収縮により金属部材11が変形してしまうことをより一層抑制することができる。
本実施形態に係る金属樹脂接合板10において、補強用樹脂部材17の少なくとも一部は、例えば図1に示すように、金属部材11の表面に骨組状に形成されていることが好ましい。骨組状としては、例えば、筋交い状、格子状、トラス状およびラーメン状から選択される少なくとも一種の形状が挙げられる。金属部材11の表面に補強用樹脂部材17を骨組状に形成することにより、より少量の補強用樹脂部材17で金属部材11をより効果的に補強することができるので好ましい。
さらに、金属部材11の表面に補強用樹脂部材17を骨組状に形成することにより、補強用樹脂部材17の使用量を減らすことができるため、補強用樹脂部材17の成形時の収縮により金属部材11が変形してしまうことや、補強用樹脂部材17によって金属樹脂接合板10を有する筐体の放熱特性が低下してしまうことをより一層抑制することができる。
本実施形態に係る補強用樹脂部材17の厚みは、全ての場所で同一厚みであっても、場所によって厚みが異なっていてもよい。
本実施形態に係る金属樹脂接合板10において、金属部材11の表面に接合される補強用樹脂部材17の平均厚みは、金属部材11の平均厚みや筐体全体の大きさにもよるが、例えば1.0mm~10mm、好ましくは1.5mm~8mm、より好ましくは1.5mm~5.0mmである。
補強用樹脂部材17の平均厚みが上記下限値以上であることにより、得られる筐体の機械的強度をより良好にすることができる。
補強用樹脂部材17の平均厚みが上記上限値以下であることにより、得られる筐体をより軽量にすることができる。また、補強用樹脂部材17の使用量を減らすことができるため、補強用樹脂部材17の成形時の収縮により金属部材11が変形してしまうことをより一層抑制することができる。
図3は、本発明に係る実施形態の金属樹脂接合板10の構造の一例を模式的に示した斜視図である。図4は、図3のB-B断面図である。
本実施形態に係る金属樹脂接合板10は、図3および4に示すように、金属部材11が開口部19を有し、樹脂製ヒートシンク13が金属部材11の開口部19にはめ込まれている構成とすることができる。こうすることで、筐体に収容された電子部品と樹脂製ヒートシンク13とを直接接触させることが可能となり、その結果、電子部品から発せられる熱をより効果的に外部に放出することができる。
図5および7は、本発明に係る実施形態の金属樹脂接合板10の構造の一例を模式的に示した斜視図である。図6は、図5のC-C断面図である。
本実施形態に係る金属樹脂接合板10は、図5および6に示すように、樹脂製ヒートシンク13の内部に、内部を放熱用媒体が流れる配管21を有してもよい。例えば、配管21の内部に、冷媒を流すことによって、樹脂製ヒートシンク13に冷却機能を付与することができ、樹脂製ヒートシンク13の放熱特性をさらに向上させることができる。例えば電子部品から発せられた熱を樹脂製ヒートシンク13によって冷却することが可能となる。
また、配管21は、図5および7に示すように、樹脂製ヒートシンク13の放熱用のフィン部分ではなく、樹脂製ヒートシンク13のベース部分に配置されることが好ましい。これにより、筐体内部に収容される電子部品と配管21との距離が短くなるため、電子部品から発せられる熱をより効果的に冷却することができる。
配管21は、金属製であってもよいし樹脂製であってもよいが、樹脂製ヒートシンク13の成形時に配管貫設を同時に形成できるという作業性の視点、熱伝導率の視点、強度の視点から金属製配管であることが好ましい。なお、樹脂製配管を用いる場合は、ヒートシンク自体に流路が形成された構成であることが好ましく、このような中空構造のヒートシンクは、例えば公知の溶融中子(ロストコア)方式によって得ることができる。
さらに、樹脂製ヒートシンク13の放熱特性が向上した結果、図7に示すように、樹脂製ヒートシンク13として、放熱用のフィン部分がない樹脂製ヒートシンク(「コールドプレート」とも呼ばれる)を採用することもできる。これにより、本実施形態に係る金属樹脂接合板10を有する筐体の設計の自由度を高めたり、樹脂製ヒートシンクを含む筐体全体の空間体積を低減できたりすることができる。
本実施形態に係る、好ましい配管である金属製配管は樹脂製ヒートシンク13に接合していることが好ましい。この場合、本実施形態に係る金属製配管は樹脂製ヒートシンク13との接合部表面に微細凹凸構造を有し、上記微細凹凸構造に樹脂製ヒートシンク13を構成する熱伝導性樹脂部材の一部分が位置していることが好ましい。上記微細凹凸構造に熱伝導性樹脂部材の一部分が位置することにより金属製配管と樹脂製ヒートシンク13とが接合されるため、金属製配管と樹脂製ヒートシンク13との接合強度をより良好にすることができる。また、金属製配管と樹脂製ヒートシンク13との接触面積を大きくすることができ、金属製配管により樹脂製ヒートシンク13を効果的に冷却することが可能となり、樹脂製ヒートシンク13の放熱特性をより一層向上させることができる。
ここで、金属製配管と樹脂製ヒートシンク13との接触面積をより一層大きくし、金属製配管と樹脂製ヒートシンク13との接合強度をより一層良好にする観点から、微細凹凸構造に樹脂製ヒートシンク13を構成する熱伝導性樹脂部材の一部分が浸入することにより金属製配管と樹脂製ヒートシンク13とが直接接合されていることが好ましい。直接接合とは、金属製配管と樹脂製ヒートシンク13との間に接着剤含有層等の介在層が存在しない接合を意味する。
金属製配管を構成する金属材料は特に限定されないが、熱伝導性を有する金属が好ましく、例えば、鉄、鉄鋼材、ステンレス、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム、マグネシウム合金、銅、銅合金、チタンおよびチタン合金等を挙げることができる。これらは単独で使用してもよいし、二種以上組み合わせて使用してもよい。
これらの中でも、軽量、安価、および高強度の点から、アルミニウム(アルミニウム単体)、アルミニウム合金、銅および銅合金が好ましく、アルミニウム合金がより好ましい。
配管21は、例えば、接着剤や樹脂等を用いて金属部材11に固定することができる。この場合、配管21を覆うように樹脂製ヒートシンク13を金属部材11に形成することによって、樹脂製ヒートシンク13の内部に、配管21を配置させることが可能となる。また、樹脂製ヒートシンク13の内部に配管21をあらかじめ配置させたものを成形し、それを金属部材11に固定させてもよい。
本実施形態に係る金属樹脂接合板10は、筐体が展開された展開図状の平面構造であることが好ましい。ここで、展開図状とは、例えば、筐体を形成するための蓋板および底板から選択される少なくとも一つの板(A)と、板(A)に一体的に折り曲げられて連結された少なくとも一つの側板(B)(以下、側板202とも呼ぶ。)と、を備え、板(A)と側板(B)とを折り曲げることによって筐体の一部を形成できるものである。
図8~10は、本発明に係る実施形態の展開図状金属樹脂接合板20の構造の一例を模式的に示した斜視図である。図11は、本発明に係る実施形態の筐体100の構造の一例を模式的に示した斜視図である。
展開図状である金属樹脂接合板10としては、例えば、図8~10に示す展開図状金属樹脂接合板20が挙げられる。
本実施形態に係る展開図状金属樹脂接合板20は、金属製の底板201および金属製の蓋板203から選択される少なくとも一つの板(A)と、板(A)に一体的に折り曲げられて連結された金属製の側板202(202-1、202-2、202-3、および202-4から選択される少なくとも一つ)と、を備え、少なくとも板(A)および側板202からなる展開図状の金属部材(M)において、金属部材(M)の表面の一部に樹脂製ヒートシンク13が接合され、好ましくは直接接合されている。ここで、本実施形態に係る展開図状金属樹脂接合板20において、金属部材(M)が金属樹脂接合板10における金属部材11に相当する。なお、直接接合とは、金属部材(M)と樹脂製ヒートシンク13との間に接着剤含有層等の介在層が存在しない接合を意味する。
また、図8~10では、樹脂製ヒートシンク13が底板201に接合されている態様を示しているが、樹脂製ヒートシンク13は側板202のいずれかに接合されていてもよいし、蓋板203に接合されていてもよい。図8~10では、1つの樹脂製ヒートシンク13が金属部材(M)に接合されている例を示しているが、樹脂製ヒートシンク13は金属部材(M)に2つ以上接合されていてもよい。
本実施形態に係る金属部材(M)は、金属製の底板201および金属製の蓋板203から選択される少なくとも一つの板(A)と、板(A)に一体的に折り曲げられて連結された金属製の側板202(202-1、202-2、202-3、および202-4から選択される少なくとも一つ)とからなる。好ましい態様の一は、底板201、側板202-1、側板202-2、側板202-3、および側板202-4からなる。好ましい態様の二は、底板201、側板(前面板)202-1、側板(両側板)202-2並びに202-4および蓋板203からなる。好ましい態様の三は、底板201、側板202-1、側板202-2、側板202-3、側板202-4、および蓋板203からなる。これらの態様の中でも、態様の二および三が特に好ましい。
こうすることで、筐体100の部品点数をより削減することができ、その結果、工程管理をより容易にできたり、アース設置個所をより削減できたりすることができる。そして、部品点数やアース設置個所をより削減できるため、より一層軽量な筐体100を実現することができる。
本実施形態に係る展開図状金属樹脂接合板20において、展開図状金属部材の表面の一部に補強用樹脂部材301(金属樹脂接合板10における補強用樹脂部材17に相当)が接合され、好ましくは直接接合され、金属部材(M)が補強用樹脂部材301により補強されていることが好ましい。また、金属部材(M)の両面に補強用樹脂部材301が接合されていることがより好ましい。こうすることで、筐体100の機械的強度をより良好にすることができ、筐体100を構成する各金属部材(金属製の底板201、金属製の側板202(202-1、202-2、202-3、および202-4)、金属製の蓋板203)の厚みをより薄くすることができる。その結果、より軽量な筐体100を得ることができる。なお、直接接合とは、金属部材(M)と補強用樹脂部材301との間に接着剤含有層等の介在層が存在しない接合を意味する。
ここで、側板202同士は、例えば、機械的手段で係合されていることが好ましい。機械的係合手段(物理的係合手段とも呼ぶ。)は特に限定されないが、例えば、ネジ止め等が挙げられる。側板202と底板201および蓋板203から選択される少なくとも一つの板(A)とは、上記の機械的手段で係合されていてもよいし、任意の側板1枚に一体的に折り曲げられて連結されていてもよい。図8では、側板202は202-1、202-2、202-3、および202-4の4枚としているが、本実施形態では側板202がこれらから選ばれる1~3枚のいずれかである実施態様も包含する。
本実施形態に係る展開図状金属樹脂接合板20において、筐体壁を形成するための板(A)と側板202との境界線部205には補強用樹脂部材301が接合されていないことが好ましい。こうすることで、筐体壁を形成するための板(A)と側板202との境界線部205を折り曲げることがより容易となり、本実施形態に係る筐体100をより容易に得ることができる。
本実施形態に係る展開図状金属樹脂接合板20において、金属製の底板201および金属製の蓋板203から選択される少なくとも一つの板(A)の表面と、板(A)に一体的に折り曲げられて連結された金属製の側板202(202-1、202-2、202-3、および202-4から選択される少なくとも一つ)の表面のそれぞれに対し、補強用樹脂部材301が接合されていることが好ましい。こうすることで、筐体100の機械的強度をより良好にすることができ、金属部材(M)の厚みをより薄くすることができる。その結果、より軽量な筐体100を得ることができる。
本実施形態に係る金属部材(M)は、補強用樹脂部材301との接合部表面に金属部材11の接合部表面と同様な微細凹凸構造を有することが好ましい。この場合、上記微細凹凸構造に補強用樹脂部材301の一部分が浸入することにより金属部材(M)と補強用樹脂部材301とが接合されるため、金属部材(M)と補強用樹脂部材301との接合強度をより良好にすることができる。これにより、筐体100の機械的強度をより良好にすることができるため、筐体100を構成する金属部材(M)の厚みをより薄くすることができる。その結果、より軽量な筐体100を得ることができる。
ここで、本実施形態に係る金属部材(金属部材11および金属部材(M))表面の上記微細凹凸構造は、例えば、間隔周期が5nm以上500μm以下である凸部が林立した微細凹凸構造である。
このような微細凹凸構造に本実施形態に係る樹脂部材(例えば、樹脂製ヒートシンク13を構成する熱伝導性樹脂部材や、補強用樹脂部材17、補強用樹脂部材301)の一部分が浸入することにより、金属部材に樹脂部材が接合する。こうすることによって、本実施形態に係る金属部材と樹脂部材との間に物理的な抵抗力(アンカー効果)が効果的に発現し、本実施形態に係る金属部材と樹脂部材とをより強固に接合することが可能になる。
また、本実施形態に係る筐体100は、図8~11に示すように、筐体壁の一部(好ましくは側板202)に開口部207やスリット209を有していてもよい。筐体壁の一部に開口部207を有することにより、送風機等を用いて開口部207から筐体100内に風を送ることができ、その結果、筐体100内の電子部品が熱を持った場合、この電子部品を送風により冷却することができる。
また、筐体壁の一部にスリット209を有することで、開口部207から取り入れた風を筐体100の外部に排出することができる。
以下、本実施形態に係る金属樹脂接合板10および展開図状金属樹脂接合板20を構成する各部材について説明する。
<金属部材>
本実施形態に係る金属部材(例えば、金属部材11および金属部材(M))を構成する金属材料は特に限定されないが、電磁波シールド性を有する金属が好ましく、例えば、鉄、鉄鋼材、ステンレス、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム、マグネシウム合金、銅、銅合金、チタンおよびチタン合金等を挙げることができる。これらは単独で使用してもよいし、二種以上組み合わせて使用してもよい。
これらの中でも、軽量、安価、および高強度の点から、アルミニウム(アルミニウム単体)およびアルミニウム合金が好ましく、アルミニウム合金がより好ましい。
アルミニウム合金は特に限定されないが、アルミニウムを主成分とする合金である。具体的には、アルミニウムと、銅、マンガン、ケイ素、マグネシウム、亜鉛、およびニッケル等から選択される少なくとも1種の金属との合金を例示することができる。
本実施形態に係るアルミニウム合金としては、日本工業規格(JIS H4140)で規定されている国際アルミニウム合金名の4桁の数字が、2000番台のアルミニウム/銅系合金、3000番台のアルミニウム/マンガン系合金、4000番台のアルミニウム/ケイ素系合金、5000番台のアルミニウム/マグネシウム系合金、6000番台のアルミニウム/マグネシウム/ケイ素系合金、7000番台のアルミニウム/亜鉛/マグネシウム系合金、アルミニウム/亜鉛/マグネシウム/銅系合金等が好適に用いられる。これらの中でも、入手容易性、機械・熱特性の視点から5000番台のアルミニウム/マグネシウム合金が特に好んで用いられる。
本実施形態に係る金属部材の厚みは、全ての場所で同一厚みであっても、場所によって厚みが異なっていてもよい。本実施形態に係る金属部材の平均厚みは好ましくは0.2mm以上1.0mm以下、より好ましくは0.2mm超え1.0mm以下、特に好ましくは0.2mm超え0.8mm以下である。
本実施形態に係る金属部材の平均厚みが上記下限値以上であることにより、得られる筐体の機械的強度、放熱特性および電磁波シールド特性をより良好にすることができる。
本実施形態に係る金属部材の平均厚みが上記上限値以下であることにより、得られる筐体をより軽量にすることができる。さらに金属部材の平均厚みが上記上限値以下であることにより、金属部材を折り曲げることがより容易となり、筐体の生産性をより向上させることができる。
本実施形態に係る金属部材の形状は、例えば、板状とすることができる。本実施形態に係る金属部材は上記金属材料を、切断、プレス等による塑性加工、打ち抜き加工、切削、研磨、放電加工等の除肉加工等公知の方法によって所定の形状に加工された後に、後述する粗化処理がなされたものが好ましい。要するに、種々の加工法により、必要な形状に加工されたものを用いることが好ましい。
本実施形態に係る金属部材の樹脂部材(例えば、樹脂製ヒートシンク13を構成する熱伝導性樹脂部材や、補強用樹脂部材17、補強用樹脂部材301)との接合部表面には、例えば、間隔周期が5nm以上500μm以下である凸部が林立した微細凹凸構造が形成されていることが好ましい。
ここで、微細凹凸構造の間隔周期は凸部から隣接する凸部までの距離の平均値であり、電子顕微鏡またはレーザー顕微鏡で撮影した写真、あるいは表面粗さ測定装置を用いて求めることができる。
電子顕微鏡またはレーザー顕微鏡により測定される間隔周期は通常500nm未満の間隔周期であり、具体的には金属部材の接合部表面を撮影する。その写真から、任意の凸部を50個選択し、それらの凸部から隣接する凸部までの距離をそれぞれ測定する。凸部から隣接する凸部までの距離の全てを積算して50で除したものを間隔周期とする。一方、500nmを超える間隔周期は通常、表面粗さ測定装置を用いて求める。
なお、通常、金属部材の接合部表面だけでなく、金属部材の表面全体に対し、表面粗化処理が施されているため、金属部材の接合部表面と同一面で、接合部表面以外の箇所から間隔周期を測定することもできる。
上記間隔周期は、好ましくは10nm以上300μm以下、より好ましくは20nm以上200μm以下である。
上記間隔周期が上記下限値以上であると、微細凹凸構造の凹部に樹脂部材の一部が十分に浸入することができ、金属部材と樹脂部材との接合強度をより向上させることができる。また、上記間隔周期が上記上限値以下であると、金属部材と樹脂部材との接合部分に隙間が生じるのを抑制できる。その結果、金属―樹脂界面の隙間から水分等の不純物が浸入することを抑制できるため、筐体を高温、高湿下で用いた際、強度が低下することを抑制できる。
上記間隔周期を有する微細凹凸構造を形成する方法としては、NaOH等を含有する無機塩基水溶液および/またはHCl、HNO等を含有する無機酸水溶液に金属部材を浸漬する方法;陽極酸化法により金属部材を処理する方法;機械的切削、例えばダイヤモンド砥粒研削またはブラスト加工によって作製した凹凸を有する金型パンチをプレスすることにより金属部材表面に凹凸を形成する方法や、サンドブラスト、ローレット加工、レーザー加工により金属部材表面に凹凸形状を作製する方法;国際公開第2009/31632号パンフレットに開示されているような、水和ヒドラジン、アンモニア、および水溶性アミン化合物から選ばれる1種以上の水溶液に金属部材を浸漬する方法等が挙げられる。これらの方法は、金属部材を構成する金属材料の種類や、上記間隔周期の範囲内において形成する凹凸形状によって使い分けることが可能である。本実施形態においては、NaOH等を含有する無機塩基水溶液および/またはHCl、HNO等を含有する無機酸水溶液に金属部材を浸漬する方法が、金属部材を広範囲にわたってまとめて処理することができることや、また金属部材と樹脂部材との接合力に優れることから好ましい。
図12は、本実施形態に係る金属樹脂接合板を構成する金属部材の樹脂部材との接合部表面104上の、平行関係にある任意の3直線部、および当該3直線部と直交する任意の3直線部からなる合計6直線部の測定箇所を説明するための模式図である。
金属部材と樹脂部材との接合強度をより一層向上させる観点から、金属部材の接合部表面104上の、平行関係にある任意の3直線部、および当該3直線部と直交する任意の3直線部からなる合計6直線部について、JIS B0601(対応国際規格:ISO4287)に準拠して測定される表面粗さが以下の要件(1)および(2)を同時に満たすことが好ましい。
(1)切断レベル20%、評価長さ4mmにおける粗さ曲線の負荷長さ率(Rmr)が30%以下である直線部を1直線部以上含む
(2)すべての直線部の、評価長さ4mmにおける十点平均粗さ(Rz)が2μmを超える
上記6直線部は、例えば、図12に示すような6直線部B1~B6を選択することができる。まず、基準線として、金属部材の接合部表面104の中心部Aを通る中心線B1を選択する。次いで、中心線B1と平行関係にある直線B2およびB3を選択する。次いで、中心線B1と直交する中心線B4を選択し、中心線B1と直交し、中心線B4と並行関係にある直線B5およびB6を選択する。ここで、各直線間の垂直距離D1~D4は、例えば、2~5mmである。
なお、通常、金属部材は、金属部材の樹脂部材との接合部表面104のみならず、金属部材全体に対し、表面粗化処理が施されているため、例えば、金属部材の樹脂部材との接合部表面104と同一面、または反対面で、接合部表面104以外の箇所から6直線部を選択してもよい。
上記要件(1)および(2)を同時に満たすと、金属部材と樹脂部材との接合強度により一層優れた筐体が得られる理由は必ずしも明らかではないが、金属部材の樹脂部材との接合部表面104が、金属部材と樹脂部材との間のアンカー効果を効果的に発現できる構造になっているためと考えられる。
金属部材と樹脂部材との接合強度をより一層向上させる観点から、金属部材の接合部表面104上の、平行関係にある任意の3直線部、および当該3直線部と直交する任意の3直線部からなる合計6直線部について、JIS B0601(対応国際規格:ISO4287)に準拠して測定される表面粗さが以下の要件(1A)~(1C)のうち1つ以上の要件をさらに満たすことが好ましく、要件(1C)を満たすことがとりわけ好ましい。
(1A)切断レベル20%、評価長さ4mmにおける粗さ曲線の負荷長さ率(Rmr)が30%以下である直線部を好ましくは2直線部以上、より好ましくは3直線部以上、最も好ましくは6直線部含む
(1B)切断レベル20%、評価長さ4mmにおける粗さ曲線の負荷長さ率(Rmr)が20%以下である直線部を好ましくは1直線部以上、より好ましくは2直線部以上、さらに好ましくは3直線部以上、最も好ましくは6直線部含む
(1C)切断レベル40%、評価長さ4mmにおける粗さ曲線の負荷長さ率(Rmr)が60%以下である直線部を好ましくは1直線部以上、より好ましくは2直線部以上、さらに好ましくは3直線部以上、最も好ましくは6直線部含む
また、金属部材と樹脂部材との接合強度をより一層向上させる観点から、金属部材の接合部表面104上の、JIS B0601(対応国際規格:ISO4287)に準拠して測定される切断レベル20%、評価長さ4mmにおける粗さ曲線の負荷長さ率(Rmr)の平均値が好ましくは0.1%以上40%以下であり、より好ましくは0.5%以上30%以下であり、さらに好ましくは1%以上20%以下であり、最も好ましくは2%以上15%以下である。
なお、上記負荷長さ率(Rmr)の平均値は、前述の任意の6直線部の負荷長さ率(Rmr)を平均したものを採用することができる。
本実施形態に係る金属部材の接合部表面104の負荷長さ率(Rmr)は、金属部材の表面に対する粗化処理の条件を適切に調節することにより制御することが可能である。
本実施形態においては、特にエッチング剤の種類および濃度、粗化処理の温度および時間、エッチング処理のタイミング等が、上記負荷長さ率(Rmr)を制御するための因子として挙げられる。
金属部材と樹脂部材との接合強度をより一層向上させる観点から、金属部材の接合部表面104上の、平行関係にある任意の3直線部、および当該3直線部と直交する任意の3直線部からなる合計6直線部について、JIS B0601(対応国際規格:ISO4287)に準拠して測定される表面粗さが以下の要件(2A)をさらに満たすことが好ましい。
(2A)すべての直線部の、評価長さ4mmにおける十点平均粗さ(Rz)が好ましくは5μm超、より好ましくは10μm以上、さらに好ましくは15μm以上である。
金属部材と樹脂部材との接合強度をより一層向上させる観点から、金属部材の接合部表面104上の、十点平均粗さ(Rz)の平均値が好ましくは2μmを超えて50μm以下、より好ましくは5μmを超えて45μm以下、さらに好ましくは10μm以上40μm以下、特に好ましくは15μm以上30μm以下である。
なお、上記十点平均粗さ(Rz)の平均値は、前述の任意の6直線部の十点平均粗さ(Rz)を平均したものを採用することができる。
金属部材と樹脂部材との接合強度をより一層向上させる観点から、金属部材の接合部表面104上の、平行関係にある任意の3直線部、および当該3直線部と直交する任意の3直線部からなる合計6直線部について、JIS B0601(対応国際規格:ISO4287)に準拠して測定される表面粗さが以下の要件(4)をさらに満たすことが好ましい。
(4)すべての直線部の、粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)が10μmを超え300μm未満であり、より好ましくは20μm以上200μm以下である。
金属部材と樹脂部材との接合強度をより一層向上させる観点から、金属部材の接合部表面104上の、粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)の平均値が好ましくは10μmを超え300μm未満、より好ましくは20μm以上200μm以下である。
なお、上記粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)の平均値は、前述の任意の6直線部の十点平均粗さ(Rz)を平均したものを採用することができる。
ここで、本実施形態において、金属部材の平均厚みが500μm以上の範囲である場合、上記粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)の平均値が上記間隔周期となる。
本実施形態に係る金属部材の接合部表面104の十点平均粗さ(Rz)および粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)は、金属部材の表面に対する粗化処理の条件を適切に調節することにより制御することが可能である。
本実施形態においては、特に粗化処理の温度および時間、エッチング量等が、上記十点平均粗さ(Rz)および粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)を制御するための因子として挙げられる。
次に、上記間隔周期、負荷長さ率(Rmr)、十点平均粗さ(Rz)、粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)等を満たす金属部材の調製方法について説明する。
このような金属部材は、例えば、エッチング剤を用いて金属部材の表面を粗化処理することにより形成することができる。
以下、上記間隔周期、負荷長さ率(Rmr)、十点平均粗さ(Rz)、粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)等を満たす金属部材を得るための金属部材の粗化処理方法の一例を示す。ただし、本実施形態に係る金属部材の粗化処理方法は、以下の例に限定されない。
(1)前処理工程
まず、金属部材は、樹脂部材との接合側の表面に酸化膜や水酸化物等からなる厚い被膜がないことが望ましい。このような厚い被膜を除去するため、次のエッチング剤で処理する工程の前に、サンドブラスト加工、ショットブラスト加工、研削加工、バレル加工等の機械研磨や、化学研磨により表面層を研磨してもよい。また、樹脂部材との接合側の表面に機械油等の著しい汚染がある場合は、水酸化ナトリウム水溶液や水酸化カリウム水溶液等のアルカリ性水溶液による処理や、脱脂を行なうことが好ましい。
(2)表面粗化処理工程
本実施形態において金属部材の表面粗化処理方法としては、後述する酸系エッチング剤による処理を特定のタイミングで行うことが好ましい。具体的には、該酸系エッチング剤による処理を表面粗化処理工程の最終段階で行うことが好ましい。
上記酸系エッチング剤を用いて粗化処理する方法としては、浸漬、スプレー等による処理方法が挙げられる。処理温度は20~40℃が好ましく、処理時間は5~350秒程度が好ましく、金属部材表面をより均一に粗化できる観点から、20~300秒がより好ましく、50~300秒が特に好ましい。
上記酸系エッチング剤を用いた粗化処理によって、金属部材の表面が凹凸形状に粗化される。上記酸系エッチング剤を用いた際の金属部材の深さ方向のエッチング量(溶解量)は、溶解した金属部材の質量、比重および表面積から算出した場合、0.1~500μmであることが好ましく、5~500μmであることがより好ましく、5~100μmであることがさらに好ましい。エッチング量が上記下限値以上であれば、金属部材と樹脂部材との接合強度をより向上させることができる。また、エッチング量が上記上限値以下であれば、処理コストの低減が可能となる。エッチング量は、処理温度や処理時間等により調整できる。
なお、本実施形態では、上記酸系エッチング剤を用いて金属部材を粗化処理する際、金属部材表面の全面を粗化処理してもよく、樹脂部材が接合される面だけを部分的に粗化処理してもよい。
(3)後処理工程
本実施形態では、上記表面粗化処理工程の後、通常、水洗および乾燥を行うことが好ましい。水洗の方法については特に制限はないが浸漬または流水にて所定時間洗浄することが好ましい。
さらに、後処理工程としては、上記酸系エッチング剤を用いた処理により生じたスマット等を除去するため、超音波洗浄を施すことが好ましい。超音波洗浄の条件は、生じたスマット等を除去することができる条件であれば特に限定されないが、用いる溶媒としては水が好ましく、また、処理時間としては、好ましくは1~20分間である。
(酸系エッチング剤)
本実施形態において、金属部材表面の粗化処理に用いられるエッチング剤としては、後述する特定の酸系エッチング剤が好ましい。上記特定のエッチング剤で処理することにより、金属部材の表面に、樹脂部材との間の密着性向上に適した微細凹凸構造が形成され、そのアンカー効果により金属部材と樹脂部材との間の接合強度がより一層向上するものと考えられる。
以下、本実施形態で使用できる酸系エッチング剤の成分について説明する。
上記酸系エッチング剤は、第二鉄イオンおよび第二銅イオンの少なくとも一方と、酸と、を含み、必要に応じて、マンガンイオン、各種添加剤等を含むことができる。
・第二鉄イオン
上記第二鉄イオンは、金属部材を酸化する成分であり、第二鉄イオン源を配合することによって、酸系エッチング剤中に該第二鉄イオンを含有させることができる。上記第二鉄イオン源としては、硝酸第二鉄、硫酸第二鉄、塩化第二鉄等が挙げられる。上記第二鉄イオン源のうちでは、塩化第二鉄が溶解性に優れ、安価であるという点から好ましい。
本実施形態において、酸系エッチング剤中の上記第二鉄イオンの含有量は、好ましくは0.01~20質量%、より好ましくは0.1~12質量%、さらに好ましくは0.5~7質量%、さらにより好ましくは1~6質量%、特に好ましくは1~5質量%である。上記第二鉄イオンの含有量が上記下限値以上であれば、金属部材の粗化速度(溶解速度)の低下を防ぐことができる。一方、上記第二鉄イオンの含有量が上記上限値以下であれば、粗化速度を適正に維持することができるため、金属部材と樹脂部材との間の接合強度向上により適した均一な粗化が可能になる。
・第二銅イオン
上記第二銅イオンは金属部材を酸化する成分であり、第二銅イオン源を配合することによって、酸系エッチング剤中に該第二銅イオン含有させることができる。上記第二銅イオン源としては、硫酸第二銅、塩化第二銅、硝酸第二銅、水酸化第二銅等が挙げられる。上記第二銅イオン源のうちでは、硫酸第二銅、塩化第二銅が安価であるという点から好ましい。
本実施形態において、酸系エッチング剤中の上記第二銅イオンの含有量は、0.001~10質量%であることが好ましく、より好ましくは0.01~7質量%、さらに好ましくは0.05~1質量%、さらにより好ましくは0.1~0.8質量%、さらにより好ましくは0.15~0.7質量%、特に好ましくは0.15~0.4質量%である。上記第二銅イオンの含有量が上記下限値以上であれば、金属部材の粗化速度(溶解速度)の低下を防ぐことができる。一方、上記第二銅イオンの含有量が上記上限値以下であれば、粗化速度を適正に維持することができるため、金属部材と樹脂部材との間の接合強度向上により適した均一な粗化が可能になる。
上記酸系エッチング剤は、第二鉄イオンおよび第二銅イオンの一方のみを含むものであってもよく、両方を含むものであってもよいが、第二鉄イオンおよび第二銅イオンの両方を含むことが好ましい。酸系エッチング剤が第二鉄イオンおよび第二銅イオンの両方を含むことで、金属部材と樹脂部材との間の接合強度向上により適した良好な粗化形状が容易に得られる。
上記酸系エッチング剤が、第二鉄イオンおよび第二銅イオンの両方を含む場合、第二鉄イオンおよび第二銅イオンのそれぞれの含有量が、上記範囲であることが好ましい。また、酸系エッチング剤中の第二鉄イオンと第二銅イオンの含有量の合計は、0.011~20質量%であることが好ましく、より好ましくは0.1~15質量%、さらに好ましくは0.5~10質量%、特に好ましくは1~5質量%である。
・マンガンイオン
上記酸系エッチング剤には、金属部材表面をむらなく一様に粗化するために、マンガンイオンが含まれていてもよい。マンガンイオンは、マンガンイオン源を配合することによって、酸系エッチング剤中に該マンガンイオンを含有させることができる。上記マンガンイオン源としては、硫酸マンガン、塩化マンガン、酢酸マンガン、フッ化マンガン、硝酸マンガン等が挙げられる。上記マンガンイオン源のうちでは、硫酸マンガン、塩化マンガンが安価である等の点から好ましい。
本実施形態において、酸系エッチング剤中の上記マンガンイオンの含有量は、0~1質量%であることが好ましく、より好ましくは0~0.5質量%である。上記マンガンイオンの含有量は、樹脂部材を構成する熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂の場合は0質量%であっても十分な接合強度を発現することを本発明者らは確認している。すなわち、熱可塑性樹脂としてポリオレフィン系樹脂を用いる場合は上記マンガンイオン含有量は0質量%であることが好ましく、一方、ポリオレフィン系樹脂以外の熱可塑性樹脂を用いる場合は上記上限値以下のマンガンイオンが適宜使用される。
・酸
上記酸は、第二鉄イオンおよび/または第二銅イオンにより酸化された金属を溶解させる成分である。上記酸としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、過塩素酸、スルファミン酸等の無機酸や、スルホン酸、カルボン酸等の有機酸が挙げられる。上記カルボン酸としては、ギ酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸、リンゴ酸等が挙げられる。上記酸系エッチング剤には、これらの酸を一種または二種以上配合することができる。上記無機酸のうちでは、臭気がほとんどなく、安価である点から硫酸が好ましい。また、上記有機酸のうちでは、粗化形状の均一性の観点から、カルボン酸が好ましい。
本実施形態において、酸系エッチング剤中の上記酸の含有量は、0.1~50質量%であることが好ましく、0.5~50質量%であることがより好ましく、1~50質量%であることがさらに好ましく、1~30質量%であることがさらにより好ましく、1~25質量%であることがさらにより好ましく、2~18質量%であることがさらにより好ましい。上記酸の含有量が上記下限値以上であれば、金属部材の粗化速度(溶解速度)の低下を防止できる。一方、上記酸の含有量が上記上限値以下であれば、液温が低下した際の金属部材の金属塩の結晶析出を防止できるため、作業性を向上できる。
・他の成分
本実施形態において使用できる酸系エッチング剤には、指紋等の表面汚染物による粗化のむらを防ぐために界面活性剤を添加してもよく、必要に応じて他の添加剤を添加してもよい。他の添加剤としては、深い凹凸を形成するために添加されるハロゲン化物イオン源、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム等を例示できる。あるいは、粗化処理速度を上げるために添加されるチオ硫酸イオン、チオ尿素等のチオ化合物や、より均一な粗化形状を得るために添加されるイミダゾール、トリアゾール、テトラゾール等のアゾール類や、粗化反応を制御するために添加されるpH調整剤等も例示できる。これら他の成分を添加する場合、その合計含有量は、酸系エッチング剤中に0.01~10質量%程度であることが好ましい。
本実施形態の酸系エッチング剤は、上記の各成分をイオン交換水等に溶解させることにより容易に調製することができる。
<樹脂製ヒートシンク>
以下、本実施形態に係る樹脂製ヒートシンク13について説明する。
本実施形態に係る樹脂製ヒートシンク13は、熱伝導性樹脂部材により構成される。また、樹脂製ヒートシンク13は、放熱用のフィンを複数有している。ただし、樹脂製ヒートシンク13は、放熱用のフィンを有していなくてもよい。
本実施形態に係る樹脂製ヒートシンク13は筐体100の底板201以外の面、例えばいずれかの側板202や蓋板203に固定されていてもよい。
本実施形態に係る熱伝導性樹脂部材は、熱伝導性樹脂組成物(A)の成形体、好ましくは射出成形体であり、面方向の熱伝導率が、例えば1W/(m・K)以上である。面方向の熱伝導率は好ましくは3W/(m・K)以上であり、より好ましくは5W/(m・K)以上、さらに好ましくは10W/(m・K)以上である。上限値は特に限定されず高ければ高いほど良いが、例えば100W/(m・K)以下である。
本実施形態に係る熱伝導性樹脂部材の厚み方向の熱伝導率は特に限定されず、例えば0.5W/(m・K)以上、好ましくは1W/(m・K)以上である。
なお、本実施形態で定義する面方向の熱伝導率とは成形の際に溶融樹脂が流動する方向に対する熱伝導率のことであり、樹脂流動方向に対して垂直方向の熱伝導率が厚み方向の熱伝導率である。
面方向および厚み方向の熱伝導率は、ASTM E1461規格に準拠して、レーザーフラッシュ法熱伝導率測定装置(NETZSCH社製 LFA447)を用いて測定することができる。あるいは、熱伝導性樹脂組成物(A)のペレットを用いて、射出成形機にて、φ26mm×1mm厚の成形体を作製し、ASTM E1461規格に準拠して、レーザーフラッシュ法熱伝導率測定装置(NETZSCH社製 LFA447)を用いて測定することができる。
本実施形態に係る熱伝導性樹脂部材は、例えば、樹脂(A1)および熱伝導性フィラー(A2)を含み、必要に応じてその他の配合剤(A3)を含む熱伝導性樹脂組成物(A)の成形体である。
成形体としては、例えば、射出成形体、トランスファー成形体、圧縮成形体、反応射出成形体、ブロー成形体、熱成形体、プレス成形体等が挙げられる。これらの中でも、生産性、品質安定性の観点から、射出成形体が好ましい。
(樹脂(A1))
樹脂(A1)としては特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸メチル樹脂等の(メタ)アクリル系樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアルコール-ポリ塩化ビニル共重合体樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、無水マレイン酸-スチレン共重合体樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂等の芳香族ポリエーテルケトン、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、スチレン系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、アイオノマー、アミノポリアクリルアミド樹脂、イソブチレン無水マレイン酸コポリマー、ABS、ACS、AES、AS、ASA、MBS、エチレン-塩化ビニルコポリマー、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、エチレン-酢酸ビニル-塩化ビニルグラフトポリマー、エチレン-ビニルアルコールコポリマー、塩素化ポリ塩化ビニル樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、カルボキシビニルポリマー、ケトン樹脂、非晶性コポリエステル樹脂、ノルボルネン樹脂、フッ素プラスチック、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、フッ素化エチレンポリプロピレン樹脂、PFA、ポリクロロフルオロエチレン樹脂、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリフッ化ビニル樹脂、ポリアリレート樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリパラメチルスチレン樹脂、ポリアリルアミン樹脂、ポリビニルエーテル樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、オリゴエステルアクリレート、キシレン樹脂、マレイン酸樹脂、ポリヒドロキシブチレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリグルタミン酸樹脂、ポリカプロラクトン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、スチレン-アクリロニトリル共重合体樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体樹脂、ポリアセタール樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は一種単独で使用してもよいし、二種以上組み合わせて使用してもよい。
これらの中でも、金属部材と熱伝導性樹脂部材との接合強度向上効果をより効果的に得ることができる観点から、樹脂(A1)としてはポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、スチレン-アクリロニトリル共重合体樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、およびポリアセタール樹脂から選択される一種または二種以上の熱可塑性樹脂が好適に用いられる。筐体の機械強度、軽量性、EMI耐性、および放熱特性が総合的にバランスしているという理由から、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂およびポリフェニレンサルファイド樹脂から選択される一種または二種以上の熱可塑性樹脂が好ましい。
(熱伝導性フィラー(A2))
熱伝導性フィラー(A2)としては、樹脂組成物としての熱伝導性、樹脂への充填性、得られる樹脂組成物の柔軟性および機械特性などの点から、具体的には、ベリリウム、ホウ素、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、チタン、マンガン、鉄、ニッケル、亜鉛、ジルコニウムからなる群から選択される少なくとも一種の元素を有する熱伝導性を有する金属化合物系熱伝導性フィラーが好ましい。
金属化合物系熱伝導性フィラーとしては、例えば、金属窒化物、金属酸化物、金属水酸化物、金属炭化物、および金属炭酸化物からなる群から選ばれる1種以上が挙げられる。
金属酸化物としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マンガン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化ニッケル等が挙げられる。金属窒化物としては、例えば、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化チタン等が挙げられる。金属炭化物としては、例えば、炭化ホウ素、炭化アルミニウム等が挙げられる。金属水酸化物としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。金属炭酸化物としては、例えば、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等が挙げられる。
熱伝導性フィラー(A2)としては、熱伝導率や樹脂(A1)との反応性の観点から、金属窒化物、金属酸化物および金属水酸化物からなる群から選ばれる1種以上が特に好ましい。また、熱伝導性フィラー(A2)の形状は、繊維状、粒子状、板状等のどのような形状であってもよい。
熱伝導性樹脂部材中の熱伝導性フィラー(A2)の含有量は、例えば5~70質量%、好ましくは10~60質量%である。熱伝導性フィラー(A2)の含有量が上記下限値以上であると、放熱特性および補強効果をより良好にすることができる。また、熱伝導性フィラー(A2)の含有量が上記上限値以下であると、熱伝導性樹脂部材を形成させるための熱伝導性樹脂組成物(A)の流動性が良好になり、成形性を向上させることができる。
本実施形態に係る熱伝導性樹脂部材中の熱伝導性フィラー(A2)の含有量は、筐体から剥ぎ落した熱伝導性樹脂部材を所定量秤量し、オーブンの中で放置(例えば、400℃で24時間)し、樹脂を完全に炭化させ、残存する熱伝導性フィラー(A2)の質量を測定することにより求めることができる。
熱伝導性フィラー(A2)の熱伝導率は、例えば2W/(m・K)以上であることが好ましい。
また、熱伝導性フィラー(A2)の平均粒子径(数平均粒子径)は、好ましくは0.1~50μm、より好ましくは0.5~40μm、さらに好ましくは1~30μmである。
熱伝導性フィラー(A2)の粒子径は以下の方法により算出することができる。まず、熱伝導性樹脂部材を所定量秤量し、オーブンの中で放置(例えば、400℃で24時間)し、樹脂を完全に炭化させ、残存する熱伝導性フィラー(A2)を得る。次いで、残存した熱伝導性フィラー(A2)を、例えば走査型電子顕微鏡(日本電子社製)にて熱伝導性フィラー(A2)が100個以上撮影できる倍率で撮影し、1つ1つの熱伝導性フィラー(A2)の粒子径を測定する。次いで、これらの粒子径の平均値を平均粒子径(数平均粒子径)とすることができる。
本実施形態に係る熱伝導性樹脂組成物(A)は、熱伝導性フィラー(A2)以外のフィラー(A2’)を含んでいてもよい。このようなフィラー(A2’)としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、炭素粒子、粘土、タルク、シリカ、ミネラル、セルロース繊維に代表される汎用の充填剤が挙げられる。これらは1種類若しくは2種以上用いてもよい。なお、熱伝導性樹脂組成物(A)において、熱伝導性フィラー(A2)とフィラー(A2’)の合計量に占める熱伝導性フィラー(A2)の含有量は、例えば10質量%以上100質量%以下、好ましくは30質量%100質量%以下、より好ましくは50質量%以上100質量%以下である。
(その他の配合剤(A3))
本実施形態に係る熱伝導性樹脂組成物(A)は、種々の機能を付与する目的で、その他の配合剤(A3)を含んでもよい。その他の配合剤(A3)としては、例えば、熱安定剤、酸化防止剤、顔料、耐候剤、難燃剤、可塑剤、分散剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤等が挙げられる。熱伝導性樹脂組成物(A)に占める、その他の配合剤剤(A3)の含有量は、例えば10質量%以下、好ましくは0.01~5質量%、より好ましくは0.1~2質量%である。
(熱伝導性樹脂組成物(A)の製造方法)
熱伝導性樹脂組成物(A)の製造方法は特に限定されず、一般的に公知の方法により製造することができる。例えば、以下の方法が挙げられる。まず、樹脂(A1)、熱伝導性フィラー(A2)、必要に応じてその他の配合剤(A3)を、バンバリーミキサー、単軸押出機、2軸押出機、高速2軸押出機等の混合装置を用いて、混合または溶融混合することにより、熱伝導性樹脂組成物(A)が得られる。
<補強用樹脂部材>
以下、本実施形態に係る補強用樹脂部材(17、301)について説明する。
本実施形態に係る補強用樹脂部材は、例えば熱可塑性樹脂組成物(P)により構成されている。熱可塑性樹脂組成物(P)は、熱可塑性樹脂(P1)を必須成分として含み、必要に応じてその他の配合剤(P2)を含む。なお、便宜上、補強用樹脂部材が熱可塑性樹脂(P1)のみからなる場合であっても、補強用樹脂部材は熱可塑性樹脂組成物(P)により構成されていると記載する。
(熱可塑性樹脂(P1))
熱可塑性樹脂(P1)としては特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸メチル樹脂等の(メタ)アクリル系樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアルコール-ポリ塩化ビニル共重合体樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、無水マレイン酸-スチレン共重合体樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂等の芳香族ポリエーテルケトン、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、スチレン系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、アイオノマー、アミノポリアクリルアミド樹脂、イソブチレン無水マレイン酸コポリマー、ABS、ACS、AES、AS、ASA、MBS、エチレン-塩化ビニルコポリマー、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、エチレン-酢酸ビニル-塩化ビニルグラフトポリマー、エチレン-ビニルアルコールコポリマー、塩素化ポリ塩化ビニル樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、カルボキシビニルポリマー、ケトン樹脂、非晶性コポリエステル樹脂、ノルボルネン樹脂、フッ素プラスチック、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、フッ素化エチレンポリプロピレン樹脂、PFA、ポリクロロフルオロエチレン樹脂、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリフッ化ビニル樹脂、ポリアリレート樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリパラメチルスチレン樹脂、ポリアリルアミン樹脂、ポリビニルエーテル樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、オリゴエステルアクリレート、キシレン樹脂、マレイン酸樹脂、ポリヒドロキシブチレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリグルタミン酸樹脂、ポリカプロラクトン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、スチレン-アクリロニトリル共重合体樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体樹脂、ポリアセタール樹脂等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は一種単独で使用してもよいし、二種以上組み合わせて使用してもよい。
これらの中でも、金属部材と補強用樹脂部材との接合強度向上効果をより効果的に得ることができる観点から、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、スチレン-アクリロニトリル共重合体樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、およびポリアセタール樹脂から選択される一種または二種以上の熱可塑性樹脂が好適に用いられる。
上記ポリオレフィン系樹脂は、オレフィンを重合して得られる重合体を特に限定なく使用することができる。
上記ポリオレフィン系樹脂を構成するオレフィンとしては、例えば、エチレン、α-オレフィン、環状オレフィン、極性オレフィン等が挙げられる。
上記α-オレフィンとしては、炭素原子数3~30、好ましくは炭素原子数3~20の直鎖状または分岐状のα-オレフィンが挙げられる。より具体的には、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセン等が挙げられる。
上記環状オレフィンとしては、炭素原子数3~30の環状オレフィンが挙げられ、好ましくは炭素原子数3~20である。より具体的には、シクロペンテン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5-メチル-2-ノルボルネン、テトラシクロドデセン、2-メチル-1,4,5,8-ジメタノ-1,2,3,4,4a,5,8,8a-オクタヒドロナフタレン等が挙げられる。
上記極性オレフィンとしては、例えば、酢酸ビニル、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート等が挙げられる。
上記ポリオレフィン系樹脂を構成するオレフィンとして好ましくは、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン等が挙げられる。これらのうち、より好ましくは、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテンであり、さらに好ましくはエチレンまたはプロピレンである。
上記ポリオレフィン系樹脂は、上述したオレフィンを一種単独で重合して得られたもの、または二種以上を組み合わせてランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合して得られたものであってもよい。
上記ポリオレフィン系樹脂は、性質の異なるポリオレフィンからなるブレンドであってもよい。このような例として、プロピレン単独重合体、プロピレンランダム共重合体、プロピレンブロック共重合体から選ばれる一種以上と、プロピレン・エチレン共重合体ゴム、エチレン・α-オレフィン共重合体(ここでα-オレフィンは、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン等)の如きエラストマーとのブレンド体を挙げることができる。
また、上記ポリオレフィン系樹脂としては、直鎖状のものであっても、分岐構造を導入したものであってもよい。
上記ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリエチレンサクシネート等の脂肪族ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(PCT)等が挙げられる。
上記ポリアミド系樹脂としては、例えば、PA6、PA12等の開環重合系脂肪族ポリアミド;PA66、PA46、PA610、PA612、PA11等の重縮合系ポリアミド;MXD6、PA6T、PA9T、PA6T/66、PA6T/6、アモルファスPA等の半芳香族ポリアミド;ポリ(p-フェニレンテレフタルアミド)、ポリ(m-フェニレンテレフタルアミド)、ポリ(m-フェニレンイソフタルアミド)等の全芳香族ポリアミド、アミド系エラストマー等が挙げられる。
(その他の配合剤(P2))
熱可塑性樹脂組成物(P)には、個々の機能を付与する目的でその他の配合剤(P2)を含んでもよい。上記配合剤(P2)としては、充填材、難燃剤、難燃助剤、熱安定剤、酸化防止剤、顔料、耐候剤、可塑剤、分散剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、耐衝撃性改質剤等が挙げられる。
本実施形態において、金属部材と補強用樹脂部材との線膨張係数差の調整や補強用樹脂部材の機械的強度を向上させる観点から、補強用樹脂部材は充填材をさらに含むことが好ましい。
上記充填材としては、例えば、ハイドロタルサイト類、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、有機繊維、炭素粒子、粘土、タルク、シリカ、ミネラル、セルロース繊維からなる群から一種または二種以上を選ぶことができる。これらのうち、好ましくは、ハイドロタルサイト類、ガラス繊維、炭素繊維、タルク、ミネラルから選択される一種または二種以上である。
上記充填材の形状は特に限定されず、繊維状、粒子状、板状等どのような形状であってもよい。
補強用樹脂部材が充填材を含む場合、その含有量は、補強用樹脂部材全体を100質量%としたとき、例えば、5質量%以上95質量%以下、好ましくは10質量%以上90質量%以下、より好ましくは20質量%以上90質量%以下、さらに好ましくは30質量%以上90質量%以下、特に好ましくは50質量%以上90質量%以下である。
上記充填材は、補強用樹脂部材の剛性を高める効果の他、補強用樹脂部材の線膨張係数を制御できる効果がある。特に、本実施形態に係る筐体の場合は、金属部材と補強用樹脂部材との形状安定性の温度依存性が大きく異なることが多いので、大きな温度変化が起こると筐体に歪みが掛かりやすい。補強用樹脂部材が充填材を含有することにより、この歪みを低減することができる。また、充填材の含有量が上記範囲内であることにより、靱性の低減を抑制することができる。
本実施形態において、充填材は繊維状充填材であることが好ましく、ガラス繊維および炭素繊維であることがより好ましく、ガラス繊維であることが特に好ましい。
これにより、成形後の補強用樹脂部材の収縮を抑制することができるため、金属部材と補強用樹脂部材との接合をより強固なものとすることができる。
上記ハイドロタルサイト類としては天然物と合成品とがあり、例えば、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、アルミニウム、ビスマス等の含水塩基性炭酸塩又はその結晶水を含まないものが挙げられる。天然物としては、MgAl(OH)16CO・4HOの構造を有するものが挙げられる。合成品としては、Mg0.7Al0.3(OH)(CO0.15・0.54HO、Mg4.5Al(OH)13CO・3.5HO、Mg4.2 Al(OH)12.4(CO0.15、ZnAl(OH)16CO・4H2O、CaAl(OH)16CO・4HO、Mg14Bi(OH)29.6・4.2HO等が挙げられる。ハイドロタルサイト類の配合量は、熱可塑性樹脂組成物(P)100質量部当たり、例えば、0.01質量部以上2質量部以下が好ましい。ハイドロタルサイト類の配合量が上記下限値以上であると、得られる補強用樹脂部材の耐熱性をより良好にすることができる。ハイドロタルサイト類の配合量が上記上限値以下であると、得られる補強用樹脂部材の難燃性をより良好にすることができる。
上記難燃剤としては、例えば、テトラブロモビスフェノールAのビス(2,3-ジブロモプロピル)エーテル、テトラブロモビスフェノールSのビス(2,3-ジブロモプロピル)エーテル、テトラブロモビスフェノールAのビス(2,3-ジブロモプロピル)エーテル、トリス(2,3-ジブロモプロピル)イソシアヌレートおよびこれらの二種以上からなる混合物を挙げることができる。難燃剤の含有量は、熱可塑性樹脂組成物(P)100質量部当たり、例えば、5~25質量部、好ましくは10~20質量部である。難燃剤の含有量が上記下限値以上であると、得られる補強用樹脂部材の難燃性をより良好にすることができる。難燃剤の含有量が上記上限値以下であると、得られる補強用樹脂部材の機械特性をより良好にすることができる。
熱可塑性樹脂組成物(P)は難燃助剤を含むことができる。熱可塑性樹脂組成物(P)が難燃助剤を含む場合、その含有量は熱可塑性樹脂組成物(P)100質量部当たり、0.5~20質量部、好ましくは1~10質量部である。難燃助剤の含有量が上記下限値以上であると、難燃剤との十分な相乗効果を得ることができる。難燃助剤の含有量が上記上限値以下であると、得られる補強用樹脂部材の機械特性をより良好にすることができる。難燃助剤としては、三酸化アンチモン(Sb)、五酸化アンチモン(Sb)等が挙げられる。
熱可塑性樹脂組成物(P)は、金属部材表面に付与された微細凹凸構造への浸入を容易にするために流動性が高いことが好ましい。そのため、本実施形態において熱可塑性樹脂組成物(P)は、ASTM D1238に準拠し、230℃下、2.16kg荷重の条件で測定されるMFRが1~200g/10minであることが好ましく、5~50g/10minであることがより好ましい。
(熱可塑性樹脂組成物(P)の製造方法)
熱可塑性樹脂組成物(P)の製造方法は特に限定されず、一般的に公知の方法により製造することができる。例えば、以下の方法が挙げられる。まず、熱可塑性樹脂(P1)、必要に応じてその他の配合剤(P2)を、バンバリーミキサー、単軸押出機、2軸押出機、高速2軸押出機等の混合装置を用いて、混合または溶融混合することにより、熱可塑性樹脂組成物(P)が得られる。
[筐体]
次に、本実施形態に係る筐体および筐体の製造方法について説明する。
本実施形態に係る筐体は、筐体を構成する筐体壁の少なくとも一つが本実施形態に係る金属樹脂接合板10により構成されており、筐体壁のすべてが本実施形態に係る金属樹脂接合板10により構成されていることが好ましい。また、本実施形態に係る筐体100は、展開図状金属樹脂接合板20により構成されていることがさらに好ましい。
本実施形態に係る筐体は、その一部が重い金属部材から軽量な樹脂部材に置き換わるため、筐体全体が金属部材により構成されている従来の筐体に比べて、軽量にすることができる。
また、本実施形態に係る筐体は、その一部に板状の金属部材を備えることにより、筐体全体が金属部材により構成されている従来の筐体と同等の電磁波シールド機能を得ることができる。
さらに、本実施形態に係る筐体は、金属部材を補強用樹脂部材により補強することにより、金属部材の厚みを薄くすることによる筐体の機械的強度の低下を抑制することができる。すなわち、筐体の軽量化を実現しながら、機械的強度の維持が可能である。
さらに、本実施形態に係る筐体100は、展開図状金属樹脂接合板20により構成されている場合、金属製の底板201および金属製の蓋板203から選択される少なくとも一つの板(A)と、金属製の側板202(202-1、202-2、202-3、および202-4から選択される少なくとも一つ)とが一体的に連結されているため、板(A)と側板202とを連結する部品が不要となり、部品点数を削減することができ、その結果、工程管理を簡素化できる。また、アース設置個所の削減も可能である。そして、本実施形態に係る筐体100は、部品点数やアース設置個所を削減できるため、より軽量な筐体100を実現することができる。
さらに、金属部材の表面の一部分のみに、補強用樹脂部材が形成されている場合、補強用樹脂部材によって金属部材の表面全体が覆われてしまうことを抑制でき、筐体100の放熱特性を良好に維持することができる。
図8~10は、本発明に係る実施形態の展開図状金属樹脂接合板20の構造の一例を模式的に示した斜視図である。図11は、本発明に係る実施形態の筐体100の構造の一例を模式的に示した斜視図である。
本実施形態に係る筐体100の製造方法は、例えば、以下の工程(1)~(3)を含む。
(1)金属製の底板201および金属製の蓋板203から選択される少なくとも一つの板(A)と、板(A)に一体的に連結された金属製の側板202(202-1、202-2、202-3、および202-4から選択される少なくとも一つ)と、を備え、少なくとも樹脂部材が接合される接合部表面に微細凹凸構造を有する展開図状金属板を準備する工程
(2)展開図状金属板を金型内に設置し、樹脂組成物を上記金型内に注入して展開図状金属板の表面に樹脂部材を接合して展開図状金属樹脂接合板20を製造する工程
(3)展開図状金属樹脂接合板20の板と板との境界線部205を折り曲げて、展開図状金属樹脂接合板20を箱型状にする工程
本実施形態に係る筐体100の製造方法は、折り曲げ加工前の中間製品である展開図状金属板や展開図状金属樹脂接合板20の形状が平板状であるので、大量中間製品の保管効率や運搬効率が向上するというメリットがある。
(工程(1))
はじめに、金属製の底板201および金属製の蓋板203から選択される少なくとも一つの板(A)と、板(A)に一体的に連結された金属製の側板202(202-1、202-2、202-3、および202-4から選択される少なくとも一つ)と、を備え、少なくとも樹脂部材が接合される接合部表面に微細凹凸構造を有する、筐体100の展開図の形状である展開図状金属板を準備する。ここで、展開図状金属板は、図8および9に示すように、金属製の底板201および金属製の蓋板203の両方を備えてもよいし、図10に示すように蓋板203を備えていなくてもよい。また図9に示すように側板の一つ(背面板)202-3を備えていなくてもよい。蓋板203を備えていない場合は、蓋板203を別途準備し、一つの側板202に蓋板203を、例えば上記機械的係合手段で係合することができる。同様に、背面板202-3を備えていない場合は、背面板202-3(図示せず)を別途準備し、底板201、両側板202-2、202-4および蓋板203からなる面に、例えば上記機械的係合手段で係合することができる。
ここで、展開図状金属板は筐体100を構成する金属部材に相当し、例えば、金属部材を展開図状に加工し、少なくとも樹脂部材が接合される接合部表面に前述した粗化処理を施すことによって得ることができる。
金属部材および粗化処理の詳細はここでは省略する。
(工程(2))
次いで、展開図状金属板を金型内に設置し、樹脂組成物を上記金型内に注入して展開図状金属板の表面に樹脂部材を接合する。
樹脂部材を接合する方法としては、例えば、射出成形法、トランスファー成形法、圧縮成形法、反応射出成形法、ブロー成形法、熱成形法、プレス成形法等が挙げられる。これらの中でも射出成形法が好ましい。すなわち、樹脂部材は射出成形体であることが好ましい。以下、射出成形法を用いた例について説明する。
射出成形法を用いた展開図状金属板への樹脂部材の接合方法は、例えば、以下の(i)~(ii)の工程を含む。
(i)展開図状金属板を射出成形用金型内に配置する工程
(ii)樹脂部材の少なくとも一部が展開図状金属板と接するように、金型内に樹脂組成物を射出成形し、樹脂部材を成形する工程
以下、具体的に説明する。
まず、(i)射出成形用金型を用意し、その金型を開いてそのキャビティ部(空間部)に展開図状金属板を配置する。(ii)その後、金型を閉じ、樹脂部材の少なくとも一部が展開図状金属板と接するように、上記金型の上記キャビティ部に樹脂組成物を射出して固化し、展開図状金属板と樹脂部材とを接合する。その後、金型を開き離型することにより、展開図状金属板に樹脂部材が接合された展開図状金属樹脂接合板20を得ることができる。上記金型としては、例えば、高速ヒートサイクル成形(RHCM、ヒート&クール成形)で一般的に使用される射出成形用金型を用いることができる。
ここで、上記(ii)の工程において、樹脂組成物の射出開始から保圧完了までの間、上記金型の表面温度を、好ましくは樹脂部材のガラス転移温度(以下、Tgとも呼ぶ。)以上、より好ましくはTg+(5以上100以下)℃以上の温度に維持することが好ましい。
これにより、樹脂組成物が軟化した状態に保ちながら、展開図状金属板の表面に樹脂組成物を高圧でより長い時間接触させることができる。
その結果、展開図状金属板と樹脂部材との間の接着性を向上できるため、接合強度により一層優れた筐体100をより安定的に得ることができる。
また、上記(ii)の工程において、上記保圧完了後、上記金型の表面温度を、好ましくは樹脂部材のガラス転移温度未満、より好ましくはTg-(5以上100以下)℃以下の温度に冷却する。
これにより、軟化状態の樹脂部材を急速に固化させることができる。その結果、筐体100の成形サイクルを短縮できるため、筐体100を効率よく得ることができる。
上記金型の表面温度の調整は、急速加熱冷却装置を金型に接続することにより、実施することができる。急速加熱冷却装置は、一般的に使用されている方式を採用することができる。
加熱方法として、蒸気式、加圧熱水式、熱水式、熱油式、電気ヒータ式、電磁誘導過熱式のいずれか1方式またはそれらを複数組み合わせた方式でよい。
具体的には、金型の表面の近くに設けられた流路に水蒸気、温水および温油から選択される加熱媒体を導入する、あるいは電磁誘導加熱を用いることにより、上記金型の上記表面温度を樹脂部材のガラス転移温度以上の温度に維持することが好ましい。
冷却方法としては、冷水式、冷油式のいずれか1方式またはそれらを組み合わせた方式でよい。
具体的には、金型の表面の近くに設けられた流路に冷水および冷油から選択される冷却媒体を導入することにより、金型の表面温度を樹脂部材のガラス転移温度未満の温度に冷却することが好ましい。
上記(ii)の工程において、上記射出開始から上記保圧完了までの時間は、好ましくは1秒以上60秒以下であり、より好ましくは10秒以上50秒以下である。
上記時間が上記下限値以上であると樹脂組成物を溶融させた状態に保ちながら、展開図状金属板の上記微細凹凸構造に樹脂組成物を高圧でより長い時間接触させることができる。これにより、接合強度により一層優れた筐体100をより安定的に得ることができる。
また、上記時間が上記上限値以下であると、筐体100の成形サイクルを短縮できるため、筐体100をより効率よく得ることができる。
本実施形態に係る筐体100の製造方法において、工程(2)では、板と板との境界線部205に、樹脂部材が接合されないように樹脂組成物を上記金型内に注入することが好ましい。
こうすることで、板と板との境界線部205には樹脂部材が接合されていない展開図状金属樹脂接合板20を得ることができ、その結果、板と板との境界線部205を折り曲げることがより容易となり、展開図状金属樹脂接合板20を箱型状にすることがより容易となる。そのため、筐体100の生産性をより向上させることができる。
(工程(3))
次いで、板と板との境界線部205を折り曲げて、展開図状金属樹脂接合板20を箱型状にすることにより、筐体100を得る。
展開図状金属樹脂接合板20を箱型状にする方法は特に限定されず、一般的に公知の方法を用いることができる。例えば、板と板との境界線部205を折り曲げ、必要に応じて蓋板203を取り付けることにより筐体100が得られる。
この際、隣接する側板202同士、および側板202と必要に応じて連結された蓋板203とを機械的手段で係合してもよい。機械的係合手段としては特に限定されないが、ネジ止め等が挙げられる。
[電子装置]
本実施形態に係る電子装置は、本実施形態に係る筐体と、筐体に収容された電子部品とを備える。筐体に収容される電子部品としては発熱する電子部品であれば特に限定されないが、例えば、回路基板、半導体装置等が挙げられる。
本実施形態に係る筐体に電子部品が収容された電子装置としては特に限定されないが、例えば、オーディオ装置、車両搭載移動電話装置、カーナビゲーション装置、車載カメラ、ドライブレコーダー等に代表される車載装置が挙げられる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
10 金属樹脂接合板
11 金属部材
13 樹脂製ヒートシンク
15 微細凹凸構造
17 補強用樹脂部材
19 開口部
20 展開図状金属樹脂接合板
21 配管
100 筐体
104 接合部表面
201 底板
202 側板
202-1 側板
202-2 側板
202-3 側板
202-4 側板
203 蓋板
205 境界線部
207 開口部
209 スリット
301 補強用樹脂部材

Claims (11)

  1. 電子部品を収容する筐体に用いられる金属樹脂接合板であって、
    筐体壁を形成するための板状の金属部材と、
    前記金属部材に接合され、かつ、熱伝導性樹脂部材により構成された樹脂製ヒートシンクと、
    を備え、
    前記金属部材は、少なくとも前記樹脂製ヒートシンクとの接合部表面に微細凹凸構造を有し、
    前記微細凹凸構造に前記熱伝導性樹脂部材の一部分が位置しており、
    前記樹脂製ヒートシンクは、前記金属部材との接合部表面が平面状であるベース部分を有し、
    前記金属部材に接合され、かつ、前記金属部材の強度を補強するための補強用樹脂部材をさらに備え、
    前記補強用樹脂部材は、前記金属部材の面に骨組状に形成されている金属樹脂接合板。
  2. 請求項1に記載の金属樹脂接合板であって、
    前記熱伝導性樹脂部材は樹脂および熱伝導性フィラーを含む金属樹脂接合板。
  3. 請求項2に記載の金属樹脂接合板であって、
    前記熱伝導性フィラーは、金属窒化物、金属酸化物、金属水酸化物、金属炭化物、および金属炭酸化物からなる群から選択される少なくとも1種の金属化合物系熱伝導性フィラーを含む金属樹脂接合板。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の金属樹脂接合板であって、
    前記金属部材は、前記補強用樹脂部材との接合部表面に微細凹凸構造を有しており、
    前記微細凹凸構造に前記補強用樹脂部材の一部分が位置している金属樹脂接合板。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の金属樹脂接合板であって、
    前記樹脂製ヒートシンクの内部に、内部を放熱用媒体が流れる配管を有する金属樹脂接合板。
  6. 請求項5に記載の金属樹脂接合板であって、
    前記配管が金属製配管である金属樹脂接合板。
  7. 請求項6に記載の金属樹脂接合板であって、
    前記金属製配管は前記樹脂製ヒートシンクに接合されており、
    前記金属製配管は前記樹脂製ヒートシンクとの接合部表面に微細凹凸構造を有しており、
    前記微細凹凸構造に前記樹脂製ヒートシンクを構成する熱伝導性樹脂部材の一部分が位置している金属樹脂接合板。
  8. 請求項1乃至7のいずれか一項に記載の金属樹脂接合板であって、
    前記金属部材は開口部を有し、
    前記樹脂製ヒートシンクは前記金属部材の開口部にはめ込まれている金属樹脂接合板。
  9. 請求項1乃至8のいずれか一項に記載の金属樹脂接合板であって、
    前記金属樹脂接合板は筐体が展開された展開図状の平面構造である金属樹脂接合板。
  10. 請求項1乃至9のいずれか一項に記載の金属樹脂接合板を有する筐体。
  11. 請求項10に記載の筐体と、前記筐体に収容された電子部品とを備える電子装置。
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