ところで、上述した特許文献1、2の装置では、実装装置に用いるテープフィーダの検査を自動で行うことができるが、この検査前にテープフィーダのメンテナンスを行うことがある。このテープフィーダのメンテナンスは、オペレータが手作業で行っていた。メンテナンス工程には、駆動部の洗浄やグリス給油などが含まれるが、手作業で行っていたため、品質にばらつきが生じることがあった。このため、メンテナンス後にテープフィーダの検査を行うと、検査結果に影響することがあった。
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、メンテナンスの品質のばらつきをより抑制することができるフィーダ保守装置及びフィーダ保守装置の制御方法を提供することを主目的とする。
本発明は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明のフィーダ保守装置は、
部品を基板に実装する実装装置に用いられるフィーダを装着する装着部と、
前記フィーダの駆動部に対して潤滑剤を供給する潤滑剤供給部と、
前記フィーダから該フィーダの情報を取得する取得部と、
前記取得したフィーダの情報に基づいて前記装着されたフィーダの駆動部に前記潤滑剤を供給するよう前記潤滑剤供給部を制御する制御部と、
を備えたものである。
この装置では、装着部に装着されたフィーダからこのフィーダの情報を取得し、取得したフィーダの情報に基づいてフィーダの駆動部に潤滑剤を供給するよう潤滑剤供給部を制御する。このように、フィーダ保守装置が潤滑剤の供給を行うため、作業者が行うのに比して、メンテナンスの品質のばらつきをより抑制することができる。
本発明のフィーダ保守装置において、前記フィーダは、テープを送り出す送出機構と、前記テープより剥がされた封止部材を送り出す部材処理機構とを備えており、前記潤滑剤供給部は、前記送出機構の前記駆動部及び前記部材処理機構の前記駆動部のうち1以上に対して前記潤滑剤を供給するものとしてもよい。この装置では、メンテナンスを要する駆動部に対して潤滑剤を供給するため、駆動部に対するメンテナンスの品質のばらつきをより抑制することができる。ここで、駆動部には、例えば、モータやギアなどが含まれるものとしてもよい。
本発明のフィーダ保守装置は、前記装着されたフィーダと前記潤滑剤供給部とを相対的に移動させる供給部移動機構を備え、前記制御部は、前記取得したフィーダの情報に基づいて前記フィーダと前記潤滑剤供給部との位置関係が所定の保守位置となるよう前記供給部移動機構を制御したのち、前記潤滑剤を供給するよう前記潤滑剤供給部を制御するものとしてもよい。この装置では、メンテナンス対象のフィーダに応じた位置にてメンテナンス処理を行うことができる。ここで、供給部移動機構は、固定された潤滑剤供給部に対してフィーダを移動するものとしてもよいし、固定されたフィーダに対して潤滑剤供給部を移動するものとしてもよいし、両者を移動するものとしてもよい。
本発明のフィーダ保守装置は、前記フィーダの所定部を清掃する清掃部、を備え、前記制御部は、前記取得したフィーダの情報に基づいて前記装着されたフィーダの所定部を清掃するよう前記清掃部を制御するものとしてもよい。この装置では、フィーダの所定部の清掃をも行うため、作業者が行うのに比して、メンテナンスの品質のばらつきを更に抑制することができる。
本発明のフィーダ保守装置は、部品を基板に実装する実装装置に用いられるフィーダを装着する装着部と、前記フィーダの所定部を清掃する清掃部と、前記フィーダから該フィーダの情報を取得する取得部と、前記取得したフィーダの情報に基づいて前記装着されたフィーダの所定部を清掃するよう前記清掃部を制御する制御部と、を備えたものである。
この装置では、装着部に装着されたフィーダからこのフィーダの情報を取得し、取得したフィーダの情報に基づいて装着されたフィーダの所定部を清掃するよう清掃部を制御する。この装置では、フィーダ保守装置がフィーダの所定部の清掃を行うため、作業者が行うのに比して、メンテナンスの品質のばらつきをより抑制することができる。
本発明のフィーダ保守装置において、前記フィーダは、テープを送り出す送出機構と、前記テープより剥がされた封止部材を送り出す部材処理機構とを備えており、前記清掃部は、前記送出機構の前記所定部及び前記部材処理機構の前記所定部のうち1以上を清掃するものとしてもよい。この装置では、メンテナンスを要する送出機構や部材処理機構の所定部を清掃するため、これらの所定部に対するメンテナンスの品質のばらつきをより抑制することができる。ここで、送出機構の所定部には、例えば、フィーダのスプロケット部が含まれるものとしてもよい。また、部材処理機構の所定部には、例えば、封止部材を挟み込んで送り出すローラ部が含まれるものとしてもよい。
本発明のフィーダ保守装置において、前記フィーダは、テープを送り出す送出機構と、前記テープより剥がされた封止部材を送り出す部材処理機構とを備えており、前記清掃部は、前記送出機構の送出部及び/又は前記部材処理機構の送出部をエアにより清掃するエア洗浄部を有するものとしてもよい。この装置では、エアによって送出部に存在するほこりなどの異物を除去することができる。このとき、前記清掃部は、前記送出部にエアを吹き付けるエア供給部と、前記送出部を介したエアを吸い取る吸引部とを有しているものとしてもよい。この装置では、エア供給部によってエアを供給し、吸引部によってほこりなどの異物を回収することができる。
本発明のフィーダ保守装置において、前記フィーダは、テープを送り出す送出機構と、前記テープより剥がされた封止部材を送り出す部材処理機構とを備えており、前記清掃部は、前記送出機構の駆動部及び/又は前記部材処理機構の駆動部を洗浄液により清掃する液体洗浄部を有するものとしてもよい。この装置では、送出機構や部材処理機構の駆動部を洗浄液によってより適切に清掃することができる。このとき、前記清掃部は、前記駆動部に洗浄液を供給する洗浄液供給部と、前記駆動部を介した洗浄液を回収する回収部とを有しているものとしてもよい。この装置では、洗浄液供給部によって洗浄液を供給し、回収部によって洗浄後の洗浄液を回収することができる。
本発明のフィーダ保守装置は、前記装着されたフィーダと前記清掃部とを相対的に移動させる清掃部移動機構を備え、前記制御部は、前記取得したフィーダの情報に基づいて前記フィーダと前記清掃部との位置関係が所定の清掃位置となるよう前記清掃部移動機構を制御したのち、前記フィーダの所定部を清掃するよう前記清掃部を制御するものとしてもよい。この装置では、メンテナンス対象のフィーダに応じた位置にてメンテナンス処理を行うことができる。ここで、清掃部移動機構は、固定された清掃部に対してフィーダを移動するものとしてもよいし、固定されたフィーダに対して清掃部を移動するものとしてもよいし、両者を移動するものとしてもよい。
本発明のフィーダ保守装置は、前記フィーダでの前記テープの送り精度を検査する送り精度検査部と、前記フィーダでの前記テープを送る機構のトルク検査部と、前記フィーダでの前記テープのスプライシング部を検出する検出センサを検査するスプライシング検査部とのうち1以上を有する検査ユニットと、前記フィーダの所定部を清掃する清掃部と、を備え、前記制御部は、前記フィーダの所定部を清掃するよう前記清掃部を制御したのち、前記検査ユニットによる検査を実行させるものとしてもよい。この装置では、清掃部でフィーダを清掃したのち検査ユニットでフィーダの検査を実行する。したがって、この装置では、メンテナンスの品質のばらつきをより抑制した状態でフィーダの検査を行うことができるため、より適切な検査結果を得ることができる。
本発明のフィーダ保守装置の制御方法は、部品を基板に実装する実装装置に用いられるフィーダを装着する装着部と、前記フィーダの駆動部に対して潤滑剤を供給する潤滑剤供給部とを備えるフィーダ保守装置をコンピュータが制御する制御方法であって、(a)前記フィーダから該フィーダの情報を取得するステップと、(b)前記取得したフィーダの情報に基づいて前記装着されたフィーダの駆動部に前記潤滑剤を供給するよう前記潤滑剤供給部を制御するステップと、を含むものである。
この制御方法では、装着部に装着されたフィーダからこのフィーダの情報を取得し、取得したフィーダの情報に基づいて装着されたフィーダの駆動部に潤滑剤を供給するよう潤滑剤供給部を制御する。この制御方法では、フィーダ保守装置が潤滑剤の供給を行うため、作業者が行うのに比して、メンテナンスの品質のばらつきをより抑制することができる。なお、この制御方法において、上述したいずれかのフィーダ保守装置の処理を実行するステップを追加してもよいし、上述したいずれかのフィーダ保守装置の構成を採用してもよい。
本発明のフィーダ保守装置の制御方法は、
部品を基板に実装する実装装置に用いられるフィーダを装着する装着部と、前記フィーダの所定部を清掃する清掃部と、を備えるフィーダ保守装置をコンピュータが制御する制御方法であって、
(a)前記フィーダから該フィーダの情報を取得するステップと、
(b)前記取得したフィーダの情報に基づいて前記装着されたフィーダの所定部を清掃するよう前記清掃部を制御するステップと、
を含むものである。
この制御方法では、装着部に装着されたフィーダからこのフィーダの情報を取得し、取得したフィーダの情報に基づいて装着されたフィーダの所定部を清掃するよう清掃部を制御する。この装置では、フィーダ保守装置がフィーダの所定部の清掃を行うため、作業者が行うのに比して、メンテナンスの品質のばらつきをより抑制することができる。なお、この制御方法において、上述したいずれかのフィーダ保守装置の処理を実行するステップを追加してもよいし、上述したいずれかのフィーダ保守装置の構成を採用してもよい。
本発明の好適な実施形態を図面を参照しながら以下に説明する。図1は、フィーダ保守システム10の概略説明図である。図2は、フィーダ60の概略説明図である。図3は、フィーダ60Bの概略説明図である。図4は、フィーダ保守装置11のフィーダ装着部13の説明図である。図5は、フィーダ保守装置11のフィーダ装着部13の説明図である。図6は、フィーダ保守装置11の構成を表すブロック図である。本実施形態のフィーダ保守システム10は、フィーダ保守装置11と、管理コンピュータ(PC)90とを備えている。フィーダ保守装置11は、部品を基板に実装する実装装置に装着されるフィーダ60,60Bなどの保守、検査を行う装置である。フィーダ保守装置11は、複数種のフィーダを装着可能にフィーダ装着部13が構成されている。ここでは、フィーダ60及びフィーダ60Bを一例とし、主としてフィーダ60を用いて説明する。管理PC90は、フィーダ保守装置11で扱う情報などを管理するPCである。なお、本実施形態において、左右方向(X軸)、前後方向(Y軸)及び上下方向(Z軸)は、図1~3に示した通りとする。
フィーダ60は、図示しない実装装置に装着され、部品を保持してXY方向に移動する実装ユニットへ部品を供給するものである。フィーダ60は、実装装置に装着される際には、部品を収容しているテープを巻いたリール79(図2参照)が軸回転可能に装着される。フィーダ60は、図2、6に示すように、コントローラ61と、記憶部62と、コネクタ63と、リール装着部64と、送出機構65と、部材処理機構70と、スプライシングセンサ75とを備える。コントローラ61は、フィーダ60の全体を制御するものである。記憶部62は、例えばフラッシュメモリなどであり、フィーダ60に関する情報、例えば、フィーダ60の種別情報や識別情報、装着されているリール79の情報、リールに保持されている部品の情報などが記憶される。コネクタ63は、実装装置のコネクタや、フィーダ保守装置11のコネクタへ接続され、これらの制御部と通信可能とするものである。リール装着部64は、リール79を取外可能に装着するものである。
送出機構65は、リール79から引き出されたテープを送り出す機構である。この送出機構65は、スプロケット67と、第1ギア機構68と、第1駆動モータ69とを備えている。なお、スプロケット67の外歯が露出しているフィーダ60の先端の上部周辺をスプロケット部66と称する。スプロケット67は、外歯車の一種であり、リール79から巻きほどかれたテープを後方へ繰り出す役割を果たす。第1ギア機構68は、第1駆動モータ69の駆動力をスプロケット67へ伝える機構であり、大小複数のギアにより構成されている。第1駆動モータ69は、スプロケット67を回転駆動するモータであり、ステッピングモータとしてもよい。部材処理機構70は、ボトムテープから剥がされたトップフィルム(封止部材)を送り出して廃棄する機構である。部材処理機構70は、送出ローラ71と、第2ギア機構72と、第2駆動モータ73とを備えている。送出ローラ71は、トップテープを挟持して外部へ送り出すローラである。第2ギア機構72は、第2駆動モータ73の駆動力を送出ローラ71へ伝える機構であり、1以上のギアを有する。第2駆動モータ73は、送出ローラ71を回転駆動するモータであり、ステッピングモータとしてもよい。
図示しないテープは、長手方向に所定ピッチでキャビティ(凹部)が形成されたボトムテープと、各キャビティにそれぞれ部品Pが収容された状態でボトムテープの表面を覆うトップフィルムとにより構成されている。トップフィルムは、実装装置の部品供給位置の手前でボトムテープから剥がされ、フィルムガイドに沿って移動したのち、部材処理機構70の送出ローラ71に挟持されて外部へ送り出され、廃棄される。ボトムテープには、テープの長手方向に沿って並ぶ送り穴が更に形成されている。送り穴には、スプロケット67の外歯がはまり込む。テープは、フィーダ60の左右両側に設けられた前後方向に延びるガイド枠76(図2参照)に沿って移動する。ガイド枠76には、基準位置としての円形の基準マーク77が形成されている。実装装置やフィーダ保守装置11は、テープの送り穴と基準マーク77との位置関係に基づいて、テープの送り量の誤差を求めるよう設定されている。
スプライシングセンサ75は、テープの結合部を検出するセンサである。フィーダ60では、テープの使用末期において、使用中のテープ終端と新たなリールのテープ先端とを繋ぎ合わせて固定する処理(スプライシング処理)を行うことがある。このフィーダ60では、スプライシングセンサ75により結合部を検出するものとし、新たなリール79の管理を継続して行うことができる。スプライシング処理は、金属の固定部材を用いるものとし、このスプライシングセンサ75は、金属を検出するセンサとして構成されている。
次に、フィーダ60Bについて、図3を用いて説明する。フィーダ60Bは、基本的な構造はフィーダ60と同様であるため、同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略する。フィーダ60Bは、送出機構65Bと、部材処理機構70Bとを備える。送出機構65Bは、スプロケット67Bを含むスプロケット部66Bと、第1ギア機構68Bと、第1駆動モータ69Bとを備えている。また、部材処理機構70Bは、送出ローラ71Bと、第2ギア機構72Bとを備えている。第2ギア機構72Bは、第1駆動モータ69Bに歯合している。即ち、フィーダ60Bでは、第2駆動モータを第1駆動モータ69Bが兼ねており、1つの駆動モータを備えた構成となっている。第2ギア機構72Bには、ギアのほか、ベルト駆動部も含まれている。
次に、フィーダ60,60Bを保守検査するフィーダ保守装置11について説明する。フィーダ保守装置11は、図1、4~6に示すように、カバー12と、フィーダ装着部13と、第1駆動モータ14と、第2駆動モータ15と、位置調整機構16とを備えている。また、フィーダ保守装置11は、潤滑剤供給部20,24,29と、供給部移動機構23,27と、エア洗浄部30,40,49と、液体洗浄部34,44と、清掃部移動機構38,39,48と、部材移動機構43と、検査ユニット50と、制御部80とを備えている。
カバー12は、フィーダ装着部13上を覆う部材であり、フィーダ60をフィーダ装着部13に装着する際には開放され、フィーダ60の保守検査の実行時には閉鎖される。フィーダ装着部13は、部品を基板に実装する実装装置に用いられるフィーダ60やフィーダ60Bを装着するものであり、コネクタ63と接続する図示しない接続部が配設されている。第1駆動モータ14は、フィーダ60の送出機構65側のギアを駆動するモータであり、装置の後部右側に配設されている(図4参照)。この第1駆動モータ14は、図示しない係合部を備えている。この係合部は、第1ギア機構68のギアに形成された穴部に挿入される。この状態で、第1駆動モータ14は、第1ギア機構68のギアを回転駆動することができる。第2駆動モータ15は、フィーダ60の部材処理機構70側のギアを駆動するモータであり、装置の前部左側に配設されている(図5参照)。この第2駆動モータ15は、第1駆動モータ14と同様に係合部を備えている。
位置調整機構16は、フィーダ装着部13に装着されたフィーダ60と、潤滑剤供給部及び清掃部とを相対的に移動させるものである。この位置調整機構16は、装置後部側(フィーダ60の前部側)にて、第1駆動モータ14や潤滑剤供給部20,29、エア洗浄部30、液体洗浄部34などを前後方向に移動させるものである。なお、本実施形態では、説明の便宜のため、フィーダ60を清掃するエア洗浄部30,40や液体洗浄部34,44などを清掃部と総称する。フィーダ保守装置11では、フィーダ60の部材処理機構70に対向する構成は基準位置として前後方向には移動させず、送出機構65に対向する構成を前後方向に移動させる。こうして、フィーダ保守装置11では、フィーダの各構成に対して潤滑剤供給部や清掃部を対向させ、潤滑剤の供給や各構成の清掃などを複数種のフィーダに対処可能になっている。位置調整機構16は、装置の前後方向に形成されたガイド部材と、保守処理を行う構成(潤滑剤供給部及び清掃部)が配設されガイド部に導かれて移動するスライダと、スライダを移動させるアクチュエータとにより構成される。なお、フィーダ保守装置11では、例えば、スプロケット67や送出ローラ71など、潤滑剤による滑りや異物の粘着などを防ぐことを要する、潤滑剤を付着させない構成に対してはエアにより洗浄する。また、フィーダ保守装置11では、例えば、第1ギア機構68や第2ギア機構72など、潤滑剤により潤滑させる構成に対しては洗浄液により洗浄する。
潤滑剤供給部20は、フィーダ60の送出機構65の駆動部(第1ギア機構68)に対して潤滑剤(例えば、グリスや潤滑油)を供給するものである(図4参照)。なお、図4,5では、各種供給管などは、他の構成を表示させる関係で、その一部のみを示した。また、図4,5では、カバー部材などは、他の構成を表示させる関係で、その一部又は全部を省略した。また、図4,5では、供給される潤滑剤、エア、洗浄液などは、供給側に実線矢印を付し、これらが回収される側には点線矢印を付した。潤滑剤供給部20は、潤滑剤供給管21と、シリンダ22と、図示しない位置決め部材とを備えている。潤滑剤供給管21は、樹脂製の柔軟性を有する部材で形成されている。シリンダ22は、外部から供給された潤滑剤を収容し、エア圧力を利用して潤滑剤供給管21からこの潤滑剤を吐出させるものである。位置決め部材は、潤滑剤供給管21を挿入し固定支持する部材である。この位置決め部材には、潤滑剤供給管21が挿入され、所定の潤滑剤供給位置に潤滑剤供給管21の先端を導く貫通孔が形成されている。この位置決め部材は、第1ギア機構68のギアの動きが妨げられない位置に潤滑剤供給管21の先端が固定されるように調整されている。この潤滑剤供給部20は、供給部移動機構23に配設されている。供給部移動機構23は、潤滑剤供給部20を所定の保守位置と所定の退避位置とに移動させるものである。この供給部移動機構23は、装置の左右方向に形成されたガイド部材と、潤滑剤供給部20が配設されガイド部に導かれて移動するスライダと、スライダを移動させるアクチュエータとにより構成される。また、潤滑剤供給部29(図4参照)は、第1ギア機構68に対して潤滑剤を供給するものであり、潤滑剤供給管、シリンダ及び位置決め部材などを備えるが、潤滑剤供給部20と同様であるものとしてその具体的な説明を省略する。
潤滑剤供給部24は、フィーダ60の部材処理機構70の駆動部(第2ギア機構72)に対して潤滑剤を供給するものである(図5参照)。潤滑剤供給部24は、潤滑剤供給管25と、シリンダ26と、図示しない位置決め部材とを備えている。潤滑剤供給部24の各構成は、潤滑剤供給部20と同様であるものとし、ここではその説明を省略する。この潤滑剤供給部24は、供給部移動機構27に配設されている。供給部移動機構27は、潤滑剤供給部24を所定の保守位置と所定の退避位置とに移動させるものである。この供給部移動機構27は、装置の左右方向に形成されたガイド部材と、潤滑剤供給部24が配設されガイド部に導かれて移動するスライダと、スライダを移動させるアクチュエータとにより構成される。
エア洗浄部30は、送出機構65のスプロケット部66(送出部)をエアにより清掃するものである。エア洗浄部30は、スプロケット部66にエアを吹き付けることにより、スプロケット部66に付着したほこりなどの異物(例えば、トップフィルムの一部分、これを接着した接着剤の粉など)を除去するものである。このエア洗浄部30は、エア供給部31と、吸引部32とを備える。エア供給部31は、その下方の側面に穴が形成された、フィーダ60のガイド枠76に沿うよう配置された管状部材である。エア供給部31には、エア供給管が接続されており、このエア供給管を介して図示しないコンプレッサからエアが供給される。吸引部32は、スプロケット部66を介したエアを吸い取るものであり、スプロケット部66の上部を覆うカバーと、カバーに接続された吸引管とを備えている。吸引管は、図示しない真空発生器に接続されている。エア供給部31は、供給部移動機構23に配設されており、この供給部移動機構23により清掃位置と退避位置とに移動される。吸引部32は、清掃部移動機構39(図5参照)に配設されており、この清掃部移動機構39により清掃位置と退避位置とに移動される。清掃部移動機構39は、装置の左右方向に形成されたガイド部材と、吸引部32が配設されガイド部に導かれて移動するスライダと、スライダを移動させるアクチュエータとにより構成される。
液体洗浄部34は、送出機構65の第1ギア機構68(駆動部)を洗浄液により清掃するものである。この液体洗浄部34は、第1ギア機構68に付着した古い潤滑剤を洗浄液により除去するものである。この液体洗浄部34は、液体供給部35と、エア供給部36と、回収部37とを備える。液体供給部35には、洗浄液供給管が接続されており、この洗浄液供給管を介して図示しないタンクから洗浄液が供給される。エア供給部36には、エア供給管が接続されており、このエア供給管を介して図示しないコンプレッサからエアが供給される。液体洗浄部34は、エア供給部36から吐出されるエアにより洗浄液を吐出口から第1ギア機構68のギアに噴霧する。洗浄液は、潤滑剤を溶解可能な有機溶媒を含むものとする。有機溶媒としては、例えば、アルコールやアセトン、イソヘキサンなどが挙げられる。回収部37は、第1ギア機構68を介した洗浄液を回収するものであり、吐出口を囲むように配置された受け部材と、受け部材に接続された回収管とを備えている。回収管は、図示しない真空発生器に接続されている。この液体洗浄部34は、清掃部移動機構38に配設されており、この清掃部移動機構38により清掃位置と退避位置とに移動される。清掃部移動機構38は、装置の左右方向に形成されたガイド部材と、液体洗浄部34が配設されガイド部に導かれて移動するスライダと、スライダを移動させるアクチュエータとにより構成される。
エア洗浄部40は、部材処理機構70の送出ローラ71(送出部)をエアにより清掃するものである。エア洗浄部40は、送出ローラ71にエアを吹き付けることにより、送出ローラ71に付着したほこりなどの異物(例えば、トップフィルムの一部分や、これを接着した接着剤の粉など)を除去するものである。このエア洗浄部40は、エア供給部41と、吸引部42とを備える。エア供給部41には、エア供給管が接続されており、このエア供給管を介して図示しないコンプレッサからエアが供給される。吸引部42は、送出ローラ71を介したエアを吸い取るものであり、送出ローラ71を覆う図示しないカバーと、カバーに接続された吸引管とを備えている。吸引管は、図示しない真空発生器に接続されている。
液体洗浄部44は、部材処理機構70の第2ギア機構72(駆動部)を洗浄液により清掃するものである(図5参照)。この液体洗浄部44は、液体供給部45と、エア供給部46と、回収部47とを備える。液体供給部45、エア供給部46及び回収部47は、それぞれ液体供給部35、エア供給部36及び回収部37と同様の構成であるものとして、ここでは具体的な説明を省略する。この液体洗浄部44は、清掃部移動機構48に配設されており、この清掃部移動機構48により清掃位置と退避位置とに移動される。清掃部移動機構48は、装置の左右方向に形成されたガイド部材と、液体洗浄部44が配設されガイド部に導かれて移動するスライダと、スライダを移動させるアクチュエータとにより構成される(図示せず)。
エア洗浄部49は、装置の後方左側に配設されており、フィーダ60の左側から第1ギア機構68をエアにより清掃するものである。このエア洗浄部49は、エア供給部49aと、吸引部49bとを備えるが、エア洗浄部40と同様であるものとしてその具体的な説明を省略する。このエア洗浄部49は、清掃部移動機構39に配設され、清掃位置と退避位置とに移動される。
検査ユニット50は、送り精度検査部51と、トルク検査部54と、スプライシング検査部57と、検査部移動機構59と、により構成されている。送り精度検査部51は、フィーダ60でのテープの送り精度を検査するものである。この送り精度検査部51は、撮像部52と、基準テープ挿入部とを備えている。撮像部52は、スプロケット部66を上方から撮像するデジタルカメラとして構成されている。基準テープ挿入部は、基準テープを装置の後方(フィーダ60の先端側)からスプロケット部66へ挿入するものである。基準テープは、例えば、変形しにくい部材、例えば、金属薄板により形成されているものとしてもよい。送り精度検査部51は、基準テープを第1駆動モータ69により所定量だけ送り出したときの画像を撮像し、理論的な送り量と、撮像されて実測された送り量とに基づいて送り精度を求める。送り精度検査部51は、この送り精度に基づいて、送出機構65が正常に動作しているか否かを検査する。送り精度検査部51は、検査部移動機構59に配設されており、検査部移動機構59により検査位置と退避位置とに移動される。検査部移動機構59は、装置の前後方向に形成されたガイド部材と、撮像部52が配設されガイド部に導かれて移動するスライダと、スライダを移動させるアクチュエータとにより構成される(図示せず)。トルク検査部54は、フィーダ60のテープを送る機構(例えば第1ギア機構68やスプロケット67)の駆動負荷を測定するものであり、トルク検出部55を備えている。トルク検出部55は、例えば、供給部移動機構23に配設されており、供給部移動機構23により検査位置と退避位置とに移動される。トルク検査部54は、トルク検出部55が第1ギア機構68に接続されたあと第1駆動モータ69を駆動することにより得られるトルク検出部55からの出力値に基づいて第1ギア機構68やスプロケット67の駆動負荷を検査する。スプライシング検査部57は、スプライシングセンサ75を検査するものであり、疑似部材58を備えている。疑似部材58は、スプライシングに用いられる部材(金属)により形成されている。疑似部材58は、部材移動機構43に配設されており、部材移動機構43により検査位置と退避位置とに移動される。この疑似部材58は、かぎ爪形状を有し、部材移動機構43の移動に伴い、スプライシングセンサ75の側面に疑似部材58の縦面が当接すると、かぎ爪の先端がスプライシングセンサ75に当接する(図4参照)。スプライシング検査部57は、疑似部材58がスプライシングセンサ75に当接した際のセンサの出力値に基づいてスプライシングセンサ75が正常に作動するか否かを検査する。
制御部80は、CPU82を中心とするプログラマブルロジックコントローラ(PLC)として構成されており、装置全体を制御する。この制御部80は、フィーダ装着部13に装着されたフィーダ60からコネクタ63を介してフィーダ60の情報を取得する取得部としての機能を有する。フィーダ60の情報には、例えば、フィーダ60の種別の情報や、フィーダ60の識別情報などが含まれる。また、制御部80は、取得したフィーダ60の情報に基づいて、フィーダ60の駆動部と潤滑剤供給部20,24,29との位置関係が所定の保守位置となるよう位置調整機構16や供給部移動機構23,27を制御する機能を有する。また、制御部80は、駆動部に潤滑剤を供給するよう潤滑剤供給部20,24,29を制御する機能を有する。更に、制御部80は、取得したフィーダ60の情報に基づいて、フィーダ60と清掃部との位置関係が所定の清掃位置となるよう清掃部移動機構38,39,43,48を制御する機能を有する。また、制御部80は、フィーダ60を清掃するよう清掃部を制御する機能を有する。更にまた、制御部80は、フィーダ60の所定部を清掃したのち、検査ユニット50による検査を実行させる機能を有する。
管理PC90は、図1に示すように、制御部91と、HDD92と、通信部94とを備えている。制御部91は、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、処理プログラムを記憶するROM、作業領域として用いられるRAMなどを備えている。また、管理PC90は、作業者が各種指令を入力するキーボード及びマウス等の入力デバイスと、各種情報を表示するディスプレイとを備えている。管理PC90のHDD92には、実装装置の実装処理に用いられるフィーダに関するデータベースであるフィーダ情報93などが記憶されている。
次に、こうして構成された本実施形態のフィーダ保守システム10の動作、特に、フィーダ保守装置11の動きについて説明する。図7は、制御部80のCPU82により実行されるフィーダ清掃検査処理ルーチンの一例を表すフローチャートである。このルーチンは、制御部80に記憶され、作業者による清掃検査開始指示により実行される。このルーチンが開始されると、CPU82は、まず、フィーダ装着部13に装着されたフィーダ60からフィーダ情報を取得する(ステップS100)。フィーダ情報には、このフィーダの種別の情報や識別情報などが含まれる。
次に、CPU82は、フィーダの種別に応じた清掃位置に清掃部を移動させる(ステップS110)。ここでは、CPU82は、位置調整機構16や清掃部移動機構38,39,43,48などを制御し、エア洗浄部30,40,49や液体洗浄部34,44などを清掃位置に移動させる。次に、CPU82は、エア洗浄部30,40により、エアでの清掃処理を実行させる(ステップS120)。このとき、CPU82は、エア供給部31,41,49aにエアを供給させると共に、吸引部32,42,49bによりエアを吸引させる。すると、フィーダ60では、エアが吹き付けられたスプロケット部66や送出ローラ71などに付着した異物が取り除かれる。次に、CPU82は、液体洗浄部34,44により、洗浄液での清掃処理を実行させる(ステップS130)。このとき、CPU82は、液体供給部35,45に洗浄液を供給させると共にエア供給部36,46にエアを供給させ、更に、回収部37,47により洗浄液を回収させる。すると、フィーダ60では、洗浄液が吹き付けられた第1ギア機構68や第2ギア機構72から、古くなった潤滑剤などが取り除かれる。清掃用のエアや洗浄液の供給量は、実験等により経験的に取得した好適な値を適宜設定するものとすればよい。
次に、CPU82は、フィーダの種別に応じた保守位置に潤滑剤供給部20,24を移動させる(ステップS140)。ここでは、CPU82は、供給部移動機構23,27などを制御し、潤滑剤供給管21,25などを保守位置に移動させる。次に、CPU82は、潤滑剤供給部20,24により、第1ギア機構68や第2ギア機構72への潤滑剤の供給処理を行わせる(ステップS150)。この処理では、CPU82は、第1駆動モータ14を駆動させ、第1ギア機構68を回転させながら、潤滑剤供給部20や潤滑剤供給部29から所定間隔で間欠的に潤滑剤を吐出させる。また、CPU82は、第2駆動モータ15を駆動させ、第2ギア機構72を回転させながら、潤滑剤供給部24から所定間隔で間欠的に潤滑剤を吐出させる。第1ギア機構68や第2ギア機構72は、回転の継続に伴い、その全体に潤滑剤が行き亘る。潤滑剤の吐出量及び吐出間隔は、実験等により経験的に取得した好適な値を適宜設定するものとすればよい。
フィーダ60の自動清掃及び潤滑剤の自動供給が済むと、CPU82は、検査ユニット50にフィーダ60の検査を実行させる(ステップS160~S180)。まず、CPU82は、送り精度検査部51により送出機構65のテープの送り精度検査処理を実行させる(ステップS160)。この処理では、CPU82は、まず、送り精度検査部51が退避位置から検査位置に来るように検査部移動機構59を制御する。次に、CPU82は、基準テープ挿入部によりフィーダ60の先端部に基準テープを挿入させ、第1駆動モータ14を駆動して基準テープをスプロケット部66へ送り込む。次に、CPU82は、第1駆動モータ69を駆動させ、基準テープの移動状態を撮像部52に撮像させる。そして、CPU82は、例えば、基準マーク77と基準テープの送り穴との位置関係により送出機構65の送り量の誤差を求める処理を行う。
次に、CPU82は、第1駆動モータ69を駆動させ、トルク検出部55によりトルク検査処理を実行させる(ステップS170)。この処理では、CPU82は、第1ギア機構68などの駆動負荷をトルク検出部55で検出する。続いて、CPU82は、スプライシング検査部57によりスプライシングセンサ75の検査処理を実行させる(ステップS180)。この処理では、CPU82は、部材移動機構43を駆動させ、疑似部材58の先端をスプライシングセンサ75の上部に位置させ、スプライシングセンサ75からの検出信号を取得する。そして、CPU82は、フィーダ60の識別情報に対応づけて検査結果を記憶する(ステップS190)。検査結果は、各フィーダ毎にデータベースとして記憶する。
次に、CPU82は、フィーダ60が検査合格に該当するか否かを判定する(ステップS200)。CPU82は、例えば、送り精度検査で求めた送り量の誤差が、所定の許容範囲内にあるか否かに基づいて、この検査をクリアできたか否かを判定する。また、CPU82は、トルク検査で求めた駆動負荷が所定の許容範囲内にあるか否かに基づいて、この検査をクリアできたか否かを判定する。また、CPU82は、スプライシング検査でスプライシングセンサ75から検出信号を受けたか否かに基づいて、この検査をクリアできたか否かを判定する。CPU82は、これらの検査をすべてクリアできたと判定した場合にフィーダ60が検査合格に該当すると判定し、いずれか1以上の検査がクリアできなかった場合にフィーダ60が検査合格に該当しないと判定する。ステップS200でフィーダ60が検査合格である場合は、CPU82は、検査合格の画面を管理PC90のディスプレイに表示させる(ステップS210)。一方、ステップS200でフィーダ60が検査合格でない場合は、CPU82は、検査不合格の項目を含む画面を管理PC90のディスプレイに表示させる(ステップS220)。そして、CPU82は、フィーダ60を取り外す旨の指示画面を管理PC90のディスプレイに表示させ(ステップS230)、各構成を退避位置に移動させ、このルーチンを終了する。
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態のフィーダ装着部13が本発明の装着部に相当し、制御部80が取得部及び制御部に相当し、潤滑剤供給部20,24,29が潤滑剤供給部に相当し、エア洗浄部30,40,49及び液体洗浄部34、44が清掃部に相当する。また、送出機構65が送出機構に相当し、部材処理機構70が部材処理機構に相当し、位置調整機構16及び供給部移動機構23,27が供給部移動機構に相当し、位置調整機構16及び清掃部移動機構38,39,48が清掃部移動機構に相当し、トップフィルムが封止部材に相当する。また、第1ギア機構68及び第1駆動モータ69が送出機構の駆動部に相当し、第2ギア機構72及び第2駆動モータ73が部材処理機構の駆動部に相当し、スプロケット部66が送出機構の送出部に相当し、送出ローラ71が部材処理機構の送出部に相当する。また、エア洗浄部30,40,49がエア洗浄部に相当し、エア供給部31,41,49aがエア供給部に相当し、吸引部32,42,49bが吸引部に相当する。また、液体洗浄部34,44が液体洗浄部に相当し、液体供給部35,45及びエア供給部36,46が洗浄液供給部に相当し、回収部37,47が回収部に相当する。また、送り精度検査部51が送り精度検査部に相当し、トルク検査部54がトルク検査部に相当し、スプライシング検査部57がスプライシング検査部に相当し、スプライシングセンサ75が検出センサに相当する。なお、本実施形態では、フィーダ保守装置11の動作を説明することにより本発明のフィーダ保守装置の制御方法の一例も明らかにしている。
以上説明した本実施形態のフィーダ保守装置11では、CPU82が、フィーダ装着部13に装着されたフィーダ60からこのフィーダの情報を取得し、取得したフィーダの情報に基づいて、フィーダ60の駆動部に潤滑剤を供給するよう潤滑剤供給部20,24,29を制御する。このように、フィーダ保守装置が潤滑剤の供給を行うため、作業者が行うのに比して、メンテナンスの品質のばらつきをより抑制することができる。また、CPU82は、潤滑剤供給部により、送出機構65の駆動部及び部材処理機構70の駆動部に対して潤滑剤を供給するため、駆動部に対するメンテナンスの品質のばらつきをより抑制することができる。更に、CPU82は、潤滑剤供給部20,24,29が所定の保守位置となるよう位置調整機構16や供給部移動機構23,27を制御したのち、潤滑剤を供給させるため、メンテナンス対象のフィーダに応じた位置にてメンテナンス処理を行うことができる。
また、CPU82は、フィーダの情報に基づいてフィーダ60の所定部を清掃するよう清掃部を制御するため、作業者が行うのに比して、メンテナンスの品質のばらつきを更に抑制することができる。更に、CPU82は、送出機構65のスプロケット部66(送出部)及び部材処理機構70の送出ローラ71(送出部)をエアにより清掃するため、エアによって送出部に存在するほこりなどの異物を除去することができる。更にまた、エア洗浄部30,40,49は、送出部を介したエアを吸い取る吸引部32,42,49bを有しているため、異物を回収することができる。そして、CPU82は、送出機構65の駆動部や部材処理機構70の駆動部を洗浄液により清掃するため、駆動部をより適切に清掃することができる。そしてまた、液体洗浄部34,44は、回収部37,47を有するため、洗浄後の洗浄液を回収することができる。そして更に、CPU82は、取得したフィーダの情報に基づいて清掃部が所定の清掃位置となるよう位置調整機構16や清掃部移動機構38,39,43,48を制御したのち、フィーダ60の所定部を清掃するため、メンテナンス対象のフィーダに応じた位置にてメンテナンス処理を行うことができる。
また、CPU82は、フィーダ60の所定部を清掃するよう清掃部を制御し、フィーダ60の駆動部に潤滑剤を与えたのち、検査ユニット50による検査を実行させるため、メンテナンスの品質のばらつきをより抑制した状態でフィーダの検査を行うことができ、より適切な検査結果を得ることができる。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
例えば、上述した実施形態では、送出機構65の駆動部及び部材処理機構70の駆動部の両方に潤滑剤を供給するものとしたが、いずれか一方に行うものとしてもよいし、いずれか一方に代えて、又はこれらに加えて、他の構成に潤滑剤を供給するものとしてもよいし、これら両方を省略してもよい。例えば、フィーダ保守装置11は、フィーダ60に対して清掃処理のみを行う装置として構成してもよいし、フィーダ60に対して潤滑剤供給処理のみを行う装置としてもよい。この場合、装置が行わない処理は、作業者が行うものとしてもよい。なお、潤滑剤の塗布は、作業者の技術によりばらつきが出やすいため、できるだけ装置で行うことが好ましい。
上述した実施形態では、潤滑剤供給部20、24,29を移動する供給部移動機構23,27を備えるものとして説明したが、これらのいずれか1以上を省略してもよい。また、潤滑剤供給部20、24,29は、清掃部移動機構38,39,43,48のいずれかに配設され、供給部移動機構のいずれか1以上を省略するものとしてもよい。また、供給部移動機構は、潤滑剤供給部を移動するものとしたが、フィーダ60と潤滑剤供給部との相対的位置関係を変更するものとすればこれに限定されず、フィーダ60を移動するものとしてもよいし、フィーダ60と潤滑剤供給部とを移動するものとしてもよい。
上述した実施形態では、清掃部は、送出機構65の送出部及び部材処理機構70の送出部の両方を清掃するものとしたが、いずれか一方を清掃するものとしてもよいし、いずれか一方に代えて、又はこれらに加えて、他の構成をも清掃するものとしてもよいし、これら両方の清掃を省略してもよい。なお、フィーダ60の清掃は、手間がかかる作業であるため、できるだけ装置で行うことが好ましい。
上述した実施形態では、エア洗浄部30,40,49や液体洗浄部34,44(清掃部)を移動する清掃部移動機構38,39,43,48を備えるものとして説明したが、これらのいずれか1以上を省略してもよい。また、これら清掃部は、供給部移動機構23,27のいずれかに配設され、清掃部移動機構のいずれか1以上を省略するものとしてもよい。また、清掃部移動機構は、清掃部を移動するものとしたが、フィーダ60と清掃部との相対的位置関係を変更するものとすればこれに限定されず、フィーダ60を移動するものとしてもよいし、フィーダ60と清掃部とを移動するものとしてもよい。
上述した実施形態では、フィーダ保守装置11は、検査ユニット50を備えるものとしたが、これを省略してもよい。この装置においても、メンテナンスの品質のばらつきをより抑制することはできる。また、検査ユニット50は、送り精度検査部51、トルク検査部54及びスプライシング検査部57から構成されるものとしたが、このうち1以上を省略してもよいし、これに代えて又はこれに加えて他の検査部を有するものとしてもよい。
上述した実施形態では、フィーダ60を保守対象として説明したが、特にこれに限定されない。例えば、保守対象がフィーダ60Bであるものとしてもよい。フィーダ装着部13にフィーダ60Bが装着されると、CPU82は、コネクタ63を介してフィーダ60Bのフィーダ情報を取得し、これに基づいて位置調整機構16を制御する。また、フィーダ60Bは、部材処理機構70Bの部位の左側に保守対象の構成がないことから、CPU82は、フィーダ情報に基づいて、第2駆動モータ15、潤滑剤供給部24及び液体洗浄部44(図5参照)を休止させるものとする。そして、上述したフィーダ60と同様に、清掃処理、潤滑剤供給処理を行い、検査処理を実行させる。この装置においても、メンテナンスの品質のばらつきをより抑制することができる。
上述した実施形態では、本発明をフィーダ保守装置11として説明したが、フィーダ保守装置11の制御方法や、この制御方法を実現するプログラムとしてもよい。