本発明の好適な実施形態を図面を参照しながら以下に説明する。図1は、フィーダ保守システム10の概略説明図である。図2は、フィーダ60の概略説明図である。図3は、フィーダ60Bの概略説明図である。図4は、フィーダ保守装置11のフィーダ装着部13の説明図である。図5は、フィーダ保守装置11のフィーダ装着部13の説明図である。図6、バックラッシュ検査部51の説明図である。図7は、フィーダ保守装置11バックラッシュ検査部51の説明図である。図7は、フィーダ保守装置11の構成を表すブロック図である。本実施形態のフィーダ保守システム10は、管理コンピュータ(PC)1と、フィーダ保守装置11とを備えている。管理PC1は、フィーダ保守装置11で扱う情報などを管理するPCである。フィーダ保守装置11は、部品を基板に実装する実装装置に装着されるフィーダ60,60Bなどの保守、検査を行う装置である。フィーダ保守装置11は、複数種のフィーダを装着可能にフィーダ装着部13が構成されている。ここでは、フィーダ60及びフィーダ60Bを一例とし、主としてフィーダ60を用いて説明する。なお、本実施形態において、左右方向(X軸)、前後方向(Y軸)及び上下方向(Z軸)は、図1~3に示した通りとする。
フィーダ60は、図示しない実装装置に装着され、部品を採取してXY方向に移動する実装ユニットへ部品を供給するものである。フィーダ60は、実装装置に装着される際には、部品を収容しているテープを巻いたリール79(図2参照)が軸回転可能に装着される。フィーダ60は、図2、7に示すように、コントローラ61と、記憶部62と、コネクタ63と、リール装着部64と、送出機構65と、部材処理機構70と、スプライシングセンサ75とを備える。コントローラ61は、フィーダ60の全体を制御するものである。記憶部62は、例えばフラッシュメモリなどであり、フィーダ60に関する情報、例えば、フィーダ60の種別情報や識別情報、装着されているリール79の情報、リールに保持されている部品の情報などが記憶される。コネクタ63は、実装装置のコネクタや、フィーダ保守装置11のコネクタへ接続され、これらの制御部と通信可能とするものである。リール装着部64は、リール79を取外可能に装着するものである。
送出機構65は、リール79から引き出されたテープを送り出す機構である。この送出機構65は、スプロケット67と、第1ギア機構68と、第1駆動モータ69とを備えている。なお、スプロケット67の外歯が露出しているフィーダ60の先端の上部周辺をスプロケット部66と称する。スプロケット67は、外歯車の一種であり、リール79から巻きほどかれたテープを後方へ繰り出す役割を果たす。第1ギア機構68は、第1駆動モータ69の駆動力をスプロケット67へ伝える機構であり、大小複数のギアにより構成されている。第1駆動モータ69は、スプロケット67を回転駆動するモータであり、ステッピングモータとしてもよい。部材処理機構70は、ボトムテープから剥がされたトップフィルム(封止部材)を送り出して廃棄する機構である。部材処理機構70は、送出ローラ71と、第2ギア機構72と、第2駆動モータ73とを備えている。送出ローラ71は、トップテープを挟持して外部へ送り出すローラである。第2ギア機構72は、第2駆動モータ73の駆動力を送出ローラ71へ伝える機構であり、1以上のギアを有する。第2駆動モータ73は、送出ローラ71を回転駆動するモータであり、ステッピングモータとしてもよい。
図示しないテープは、長手方向に所定ピッチでキャビティ(凹部)が形成されたボトムテープと、各キャビティにそれぞれ部品Pが収容された状態でボトムテープの表面を覆うトップフィルムとにより構成されている。トップフィルムは、実装装置の部品供給位置の手前でボトムテープから剥がされ、フィルムガイドに沿って移動したのち、部材処理機構70の送出ローラ71に挟持されて外部へ送り出され、廃棄される。ボトムテープには、テープの長手方向に沿って並ぶ送り穴が更に形成されている。送り穴には、スプロケット67の外歯がはまり込む。テープは、フィーダ60の左右両側に設けられた前後方向に延びるガイド枠76(図2、6参照)に沿って移動する。ガイド枠76には、基準位置としての円形の基準マーク77が形成されている。実装装置やフィーダ保守装置11は、テープの送り穴(又はキャビティ)と基準マーク77との位置関係に基づいて、テープの送り量の誤差や第1ギア機構68のバックラッシュなどを求めるよう設定されている。
スプライシングセンサ75は、テープの結合部を検出するセンサである。フィーダ60では、テープの使用末期において、使用中のテープ終端と新たなリールのテープ先端とを繋ぎ合わせて固定する処理(スプライシング処理)を行うことがある。このフィーダ60では、スプライシングセンサ75により結合部を検出するものとし、新たなリール79の管理を継続して行うことができる。スプライシング処理は、金属の固定部材を用いるものとし、このスプライシングセンサ75は、金属を検出するセンサとして構成されている。
次に、フィーダ60Bについて、図3を用いて説明する。フィーダ60Bは、基本的な構造はフィーダ60と同様であるため、同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略する。フィーダ60Bは、送出機構65Bと、部材処理機構70Bとを備える。送出機構65Bは、スプロケット67Bを含むスプロケット部66Bと、第1ギア機構68Bと、第1駆動モータ69Bとを備えている。また、部材処理機構70Bは、送出ローラ71Bと、第2ギア機構72Bとを備えている。第2ギア機構72Bは、第1駆動モータ69Bに歯合している。即ち、フィーダ60Bでは、第2駆動モータを第1駆動モータ69Bが兼ねており、1つの駆動モータを備えた構成となっている。第2ギア機構72Bには、ギアのほか、ベルト駆動部も含まれている。
次に、フィーダ60,60Bを保守検査するフィーダ保守装置11について説明する。フィーダ保守装置11は、図1、4~7に示すように、カバー12と、フィーダ装着部13と、第1駆動モータ14と、第2駆動モータ15と、位置調整機構16と、挿入部17とを備えている。また、フィーダ保守装置11は、潤滑剤供給部20,24,29と、供給部移動機構23,27と、エア洗浄部30,40,49と、液体洗浄部34,44と、清掃部移動機構38,39,48と、部材移動機構43と、検査ユニット50と、制御部80とを備えている。
カバー12は、フィーダ装着部13上を覆う部材であり、フィーダ60をフィーダ装着部13に装着する際には開放され、フィーダ60の保守検査の実行時には閉鎖される。フィーダ装着部13は、部品を基板に実装する実装装置に用いられるフィーダ60やフィーダ60Bを装着するものであり、コネクタ63と接続する図示しない接続部が配設されている。第1駆動モータ14は、フィーダ60の送出機構65側のギアを駆動するモータであり、装置の後部右側に配設されている(図4参照)。この第1駆動モータ14の先端には、送出機構65に係合する駆動ピン53を備えている。この駆動ピン53は、第1ギア機構68のギアに形成された穴部に挿入される。この状態で、第1駆動モータ14は、第1ギア機構68のギアを回転駆動することができる。第2駆動モータ15は、フィーダ60の部材処理機構70側のギアを駆動するモータであり、装置の前部左側に配設されている(図5参照)。この第2駆動モータ15は、第1駆動モータ14と同様に駆動ピンを備えている。
位置調整機構16は、フィーダ装着部13に装着されたフィーダ60と、潤滑剤供給部及び清掃部とを相対的に移動させるものである。この位置調整機構16は、装置後部側(フィーダ60の前部側)にて、第1駆動モータ14や潤滑剤供給部20,29、エア洗浄部30、液体洗浄部34などを前後方向に移動させるものである。なお、本実施形態では、説明の便宜のため、フィーダ60を清掃するエア洗浄部30,40や液体洗浄部34,44などを清掃部と総称する。フィーダ保守装置11では、フィーダ60の部材処理機構70に対向する構成は基準位置として前後方向には移動させず、送出機構65に対向する構成を前後方向に移動させる。こうして、フィーダ保守装置11では、フィーダの各構成に対して潤滑剤供給部や清掃部を対向させ、潤滑剤の供給や各構成の清掃などを複数種のフィーダに対処可能になっている。位置調整機構16は、装置の前後方向に形成されたガイド部材と、保守処理を行う構成(潤滑剤供給部及び清掃部)が配設されガイド部に導かれて移動するスライダと、スライダを移動させるアクチュエータとにより構成される。なお、フィーダ保守装置11では、例えば、スプロケット67や送出ローラ71など、潤滑剤による滑りや異物の粘着などを防ぐことを要する、潤滑剤を付着させない構成に対してはエアにより洗浄する。また、フィーダ保守装置11では、例えば、第1ギア機構68や第2ギア機構72など、潤滑剤により潤滑させる構成に対しては洗浄液により洗浄する。
潤滑剤供給部20は、フィーダ60の送出機構65の駆動部(第1ギア機構68)に対して潤滑剤(例えば、グリスや潤滑油)を供給するものである(図4参照)。なお、図4,5では、各種供給管などは、他の構成を表示させる関係で、その一部のみを示した。また、図4,5では、カバー部材などは、他の構成を表示させる関係で、その一部又は全部を省略した。また、図4,5では、供給される潤滑剤、エア、洗浄液などは、供給側に実線矢印を付し、これらが回収される側には点線矢印を付した。潤滑剤供給部20は、潤滑剤供給管21と、シリンダ22と、残量センサ22a(図7参照)と、図示しない位置決め部材とを備えている。潤滑剤供給管21は、樹脂製の柔軟性を有する部材で形成されている。シリンダ22は、外部から供給された潤滑剤を収容し、エア圧力を利用して潤滑剤供給管21からこの潤滑剤を吐出させるものである。残量センサ22aは、シリンダ内に収容され潤滑剤を押圧するピストン部材の位置などに基づいて潤滑剤の残量を検出するものである。この残量センサ22aは、接触式のセンサとしてもよいし、光学的又は磁気的など非接触式のセンサとしてもよい。位置決め部材は、潤滑剤供給管21を挿入し固定支持する部材である。この位置決め部材には、潤滑剤供給管21が挿入され、所定の潤滑剤供給位置に潤滑剤供給管21の先端を導く貫通孔が形成されている。この位置決め部材は、第1ギア機構68のギアの動きが妨げられない位置に潤滑剤供給管21の先端が固定されるように調整されている。この潤滑剤供給部20は、供給部移動機構23に配設されている。供給部移動機構23は、潤滑剤供給部20を所定の保守位置と所定の退避位置とに移動させるものである。この供給部移動機構23は、装置の左右方向に形成されたガイド部材と、潤滑剤供給部20が配設されガイド部に導かれて移動するスライダと、スライダを移動させるアクチュエータとにより構成される。また、潤滑剤供給部29(図4参照)は、第1ギア機構68に対して潤滑剤を供給するものであり、潤滑剤供給管、シリンダ及び位置決め部材などを備えるが、潤滑剤供給部20と同様であるものとしてその具体的な説明を省略する。
潤滑剤供給部24は、フィーダ60の部材処理機構70の駆動部(第2ギア機構72)に対して潤滑剤を供給するものである(図5参照)。潤滑剤供給部24は、潤滑剤供給管25と、シリンダ26と、残量センサ26aと(図7参照)、図示しない位置決め部材とを備えている。潤滑剤供給部24の各構成は、潤滑剤供給部20と同様であるものとし、ここではその説明を省略する。この潤滑剤供給部24は、供給部移動機構27に配設されている。供給部移動機構27は、潤滑剤供給部24を所定の保守位置と所定の退避位置とに移動させるものである。この供給部移動機構27は、装置の左右方向に形成されたガイド部材と、潤滑剤供給部24が配設されガイド部に導かれて移動するスライダと、スライダを移動させるアクチュエータとにより構成される。
エア洗浄部30は、送出機構65のスプロケット部66(送出部)をエアにより清掃するものである。エア洗浄部30は、スプロケット部66にエアを吹き付けることにより、スプロケット部66に付着したほこりなどの異物(例えば、トップフィルムの一部分、これを接着した接着剤の粉など)を除去するものである。このエア洗浄部30は、エア供給部31と、吸引部32とを備える。エア供給部31は、その下方の側面に穴が形成された、フィーダ60のガイド枠76に沿うよう配置された管状部材である。エア供給部31には、エア供給管が接続されており、このエア供給管を介して図示しないコンプレッサからエアが供給される。吸引部32は、スプロケット部66を介したエアを吸い取るものであり、スプロケット部66の上部を覆うカバーと、カバーに接続された吸引管とを備えている。吸引管は、図示しない真空発生器に接続されている。エア供給部31は、供給部移動機構23に配設されており、この供給部移動機構23により清掃位置と退避位置とに移動される。吸引部32は、清掃部移動機構39(図5参照)に配設されており、この清掃部移動機構39により清掃位置と退避位置とに移動される。清掃部移動機構39は、装置の左右方向に形成されたガイド部材と、吸引部32が配設されガイド部に導かれて移動するスライダと、スライダを移動させるアクチュエータとにより構成される。エア洗浄部30の吸引管には、異物を除去するエアフィルタ18が配設されている。
液体洗浄部34は、送出機構65の第1ギア機構68(駆動部)を洗浄液により清掃するものである。この液体洗浄部34は、第1ギア機構68に付着した古い潤滑剤を洗浄液により除去するものである。この液体洗浄部34は、液体供給部35と、エア供給部36と、回収部37とを備える。液体供給部35には、洗浄液供給管が接続されており、この洗浄液供給管を介して図示しないタンクから洗浄液が供給される。なお、このタンクには、洗浄液の残量を検出する接触式又は非接触式の洗浄液量センサ35aが配設されている。エア供給部36には、エア供給管が接続されており、このエア供給管を介して図示しないコンプレッサからエアが供給される。液体洗浄部34は、エア供給部36から吐出されるエアにより洗浄液を吐出口から第1ギア機構68のギアに噴霧する。洗浄液は、潤滑剤を溶解可能な有機溶媒を含むものとする。有機溶媒としては、例えば、アルコールやアセトン、イソヘキサンなどが挙げられる。回収部37は、第1ギア機構68を介した洗浄液を回収するものであり、吐出口を囲むように配置された受け部材と、受け部材に接続された回収管とを備えている。回収管は、図示しない真空発生器に接続されている。液体洗浄部34の回収管には、異物を除去する廃液フィルタ19が配設されている。この液体洗浄部34は、清掃部移動機構38に配設されており、この清掃部移動機構38により清掃位置と退避位置とに移動される。清掃部移動機構38は、装置の左右方向に形成されたガイド部材と、液体洗浄部34が配設されガイド部に導かれて移動するスライダと、スライダを移動させるアクチュエータとにより構成される。
エア洗浄部40は、部材処理機構70の送出ローラ71(送出部)をエアにより清掃するものである。エア洗浄部40は、送出ローラ71にエアを吹き付けることにより、送出ローラ71に付着したほこりなどの異物(例えば、トップフィルムの一部分や、これを接着した接着剤の粉など)を除去するものである。このエア洗浄部40は、エア供給部41と、吸引部42とを備える。エア供給部41には、エア供給管が接続されており、このエア供給管を介して図示しないコンプレッサからエアが供給される。吸引部42は、送出ローラ71を介したエアを吸い取るものであり、送出ローラ71を覆う図示しないカバーと、カバーに接続された吸引管とを備えている。吸引管は、図示しない真空発生器に接続されている。エア洗浄部40の吸引管には、異物を除去するエアフィルタ18が配設されている。なお、エア洗浄部30、40のエアフィルタは、それぞれに配設されてもよいし、共通のものが1つ配設されていてもよい。
液体洗浄部44は、部材処理機構70の第2ギア機構72(駆動部)を洗浄液により清掃するものである(図5参照)。この液体洗浄部44は、液体供給部45と、エア供給部46と、回収部47とを備える。液体供給部45、エア供給部46及び回収部47は、それぞれ液体供給部35、エア供給部36及び回収部37と同様の構成であるものとして、ここでは具体的な説明を省略する。液体洗浄部44の回収管には、異物を除去する廃液フィルタ19が配設されている。なお、液体洗浄部34、44の廃液フィルタは、それぞれに配設されてもよいし、共通のものが1つ配設されていてもよい。この液体洗浄部44は、清掃部移動機構48に配設されており、この清掃部移動機構48により清掃位置と退避位置とに移動される。清掃部移動機構48は、装置の左右方向に形成されたガイド部材と、液体洗浄部44が配設されガイド部に導かれて移動するスライダと、スライダを移動させるアクチュエータとにより構成される。
エア洗浄部49は、装置の後方左側に配設されており、フィーダ60の左側から第1ギア機構68をエアにより清掃するものである。このエア洗浄部49は、エア供給部49aと、吸引部49bとを備えるが、エア洗浄部40と同様であるものとしてその具体的な説明を省略する。このエア洗浄部49は、清掃部移動機構39に配設され、清掃位置と退避位置とに移動される。
検査ユニット50は、図7に示すように、バックラッシュ検査部51と、送り精度検査部54と、トルク検査部55と、スプライシング検査部57と、検査部移動機構59と、により構成されている。バックラッシュ検査部51は、送出機構65でのバックラッシュ値を測定、検査するユニットである。バックラッシュ検査部51は、バックラッシュ値に基づいて、ギア機構の噛み合いが正常か否かやギア機構の摩耗度合いなどを検査する。このバックラッシュ検査部51は、撮像部52と、第1駆動モータ14(駆動ピン53)と、挿入部17とにより構成されている。撮像部52は、スプロケット部66を上方から撮像するデジタルカメラとして構成されている(図6参照)。第1駆動モータ14は、駆動ピン53を介して送出機構65を外部から回転駆動する。挿入部17は、基準テープ90を装置の後方(フィーダ60の先端側)からスプロケット部66へ挿入するものである。基準テープ90は、例えば、変形しにくい部材、例えば、金属薄板により形成されていてもよく、図6に示すように、送り穴91と、キャビティ92とが形成されている。送り穴91には、スプロケット67の歯が挿入される。キャビティ92は、実装装置において使用されるテープと同様に、部品を収容する有底の穴部である。送り精度検査部54は、送出機構65でのテープの送り精度を検査するものである。この送り精度検査部54は、撮像部52と、挿入部17とにより構成されたユニットである。送り精度検査部54は、基準テープ90を第1駆動モータ69により所定量だけ送り出したときの画像を撮像し、理論的な送り量と、撮像されて実測された送り量とに基づいて送り精度を求める。送り精度検査部54は、この送り精度に基づいて、送出機構65が正常に動作しているか否かを検査する。バックラッシュ検査部51及び送り精度検査部54は、検査部移動機構59に配設されており、検査部移動機構59により検査位置と退避位置とに移動される。検査部移動機構59は、装置の前後方向に形成されたガイド部材と、撮像部52が配設されガイド部に導かれて移動するスライダと、スライダを移動させるアクチュエータとにより構成される。
トルク検査部55は、送出機構65(例えば第1ギア機構68やスプロケット67)の駆動負荷を測定するものであり、トルク検出部56を備えている。トルク検出部56は、例えば、供給部移動機構23に配設されており、供給部移動機構23により検査位置と退避位置とに移動される。トルク検査部55は、トルク検出部56が第1ギア機構68に接続されたあと第1駆動モータ69を駆動することにより得られるトルク検出部56からの出力値に基づいて第1ギア機構68やスプロケット67の駆動負荷を検査する。スプライシング検査部57は、スプライシングセンサ75を検査するものであり、疑似部材58を備えている。疑似部材58は、スプライシングに用いられる部材(金属)により形成されている。疑似部材58は、部材移動機構43に配設されており、部材移動機構43により検査位置と退避位置とに移動される。この疑似部材58は、かぎ爪形状を有し、部材移動機構43の移動に伴い、スプライシングセンサ75の側面に疑似部材58の縦面が当接すると、かぎ爪の先端がスプライシングセンサ75に当接する(図4参照)。スプライシング検査部57は、疑似部材58がスプライシングセンサ75に当接した際のセンサの出力値に基づいてスプライシングセンサ75が正常に作動するか否かを検査する。
制御部80は、図7に示すように、CPU82を中心とするプログラマブルロジックコントローラ(PLC)として構成されており、装置全体を制御する。この制御部80は、フィーダ装着部13に装着されたフィーダ60からコネクタ63を介してフィーダ60の情報を取得する。フィーダ60の情報には、例えば、フィーダ60の種別の情報や、フィーダ60の識別情報などが含まれる。また、制御部80は、HDDやフラッシュメモリなどの記憶部83を備えている。記憶部83には、履歴情報84が記憶されている。履歴情報84は、フィーダ保守装置11の保守実行内容が含まれている。例えば、履歴情報84には、潤滑剤供給部20,24,29での潤滑剤の供給回数や、残量センサ22a、26aからの残量値、エア洗浄部40、49での洗浄回数、液体洗浄部34、44での洗浄回数、洗浄液量センサ35aからの残量値、エアフィルタ18や廃液フィルタ19の使用回数、基準テープ90や駆動ピン53の使用回数、などが含まれている。
管理PC1は、図1に示すように、制御部2と、記憶部3と、通信部5とを備えている。制御部2は、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、処理プログラムを記憶するROM、作業領域として用いられるRAMなどを備えている。また、管理PC1は、作業者が各種指令を入力するキーボード及びマウス等の入力デバイスと、各種情報を表示するディスプレイとを備えている。管理PC1の記憶部3には、実装装置の実装処理に用いられるフィーダに関するデータベースであるフィーダ情報4などが記憶されている。
次に、こうして構成された本実施形態のフィーダ保守システム10の動作、特に、フィーダ保守装置11の動きについて説明する。図8は、制御部80のCPU82により実行されるフィーダ清掃検査処理ルーチンの一例を表すフローチャートである。このルーチンは、制御部80に記憶され、作業者による清掃検査開始指示により実行される。清掃検査処理では、フィーダ60の洗浄、潤滑剤の供給及びフィーダ60の検査が一連の処理として実行される。このルーチンが開始されると、CPU82は、まず、履歴情報84を取得し(ステップS100)、消耗品の中にエラーがあるか否かを判定する(ステップS110)。この判定は、各種の消耗品に設定されている、清掃検査処理を禁止する閾値(許容範囲)を超えたものがあるか否か、あるいは、残量センサ22aなどの残量値が所定値を下回っているか否かに基づいて行われる。フィーダ保守装置11では、警告を表示する警告閾値と、清掃検査処理を禁止する禁止閾値とが使用回数として設定されている(後述図9参照)。CPU82は、消耗品の測定値である残量値と使用回数とのうちいずれかが許容範囲を超えた場合にエラーがあると判定する。また、CPU82は、許容範囲を超えた消耗品が1つでもある場合にエラーがあると判定する。CPU82は、詳しくは後述するが、残量値や使用回数などを履歴情報84として管理している。
消耗品にエラーがあるときには、CPU82は、消耗品画面を図示しないモニターに表示し(ステップS120)、フィーダ取り外しの指示画面を表示してこのルーチンを終了する。このように、CPU82は、消耗品の取り替えや補充を要する際には、清掃検査処理を実行しないのである。図9は、消耗品画面100の一例を示す説明図である。消耗品画面100には、状態表示欄101、警告値入力欄102、検査禁止値入力欄103、メンテナンス回数表示欄104、リセット入力欄105などを含む。フィーダ保守装置11において、消耗品としては、清掃部に関して洗浄液、エアフィルタ18及び廃液フィルタ19があり、潤滑剤供給部に関して潤滑剤があり、検査部に関して駆動ピン53、基準テープ90などがある。状態表示欄101は、各消耗品の現在の状態を「OK」、「WARNING」、{ERROR}として表す欄である。警告値入力欄102は、消耗品が「WARNING」状態であるのを判定する警告閾値が入力される欄であり、作業者が入力可能である。警告閾値は、洗浄、潤滑剤の供給、検査を行う消耗品の取り替えや補充を要することを報知すべきタイミングとなる値に経験的に定められるものとしてもよい。検査禁止値入力欄103は、消耗品が「ERROR」状態であるのを判定する禁止閾値が入力される欄であり、作業者が入力可能である。禁止閾値は、洗浄、潤滑剤の供給、検査を行うことができない値に経験的に定められるものとしてもよい。メンテナンス回数表示欄104は、フィーダの清掃検査処理(メンテナンス)が行われた使用回数を表示する欄である。リセット入力欄105は、メンテナンス回数をリセットする際に押下されるリセットボタンが配置されている欄である。作業者は、消耗品画面100を確認することにより、フィーダ保守装置11の状態を知ることができる。
ステップS110で消耗品にエラーがない場合、即ち、消耗品が「OK」か「WARNING」のいずれかのみであるときには、CPU82は、その旨の消耗品画面100を表示し(ステップS130)、清掃検査処理を実行する(ステップS140~S280)。清掃検査処理では、CPU82は、フィーダ装着部13に装着されたフィーダ60からフィーダ情報を取得する(ステップS140)。フィーダ情報には、このフィーダの種別の情報や識別情報などが含まれる。次に、CPU82は、フィーダの種別に応じた清掃位置に清掃部を移動させる(ステップS150)。ここでは、CPU82は、位置調整機構16や清掃部移動機構38,39,43,48などを制御し、エア洗浄部30,40,49や液体洗浄部34,44などを清掃位置に移動させる。次に、CPU82は、エア洗浄部30,40により、エアでの清掃処理を実行させる(ステップS160)。このとき、CPU82は、エア供給部31,41,49aにエアを供給させると共に、吸引部32,42,49bによりエアを吸引させる。すると、フィーダ60では、エアが吹き付けられたスプロケット部66や送出ローラ71などに付着した異物が取り除かれる。次に、CPU82は、液体洗浄部34,44により、洗浄液での清掃処理を実行させる(ステップS170)。このとき、CPU82は、液体供給部35,45に洗浄液を供給させると共にエア供給部36,46にエアを供給させ、更に、回収部37,47により洗浄液を回収させる。すると、フィーダ60では、洗浄液が吹き付けられた第1ギア機構68や第2ギア機構72から、古くなった潤滑剤などが取り除かれる。清掃用のエアや洗浄液の供給量は、実験等により経験的に取得した好適な値を適宜設定するものとすればよい。
次に、CPU82は、フィーダの種別に応じた保守位置に潤滑剤供給部20,24を移動させる(ステップS180)。ここでは、CPU82は、供給部移動機構23,27などを制御し、潤滑剤供給管21,25などを保守位置に移動させる。次に、CPU82は、潤滑剤供給部20,24により、第1ギア機構68や第2ギア機構72への潤滑剤の供給処理を行わせる(ステップS190)。この処理では、CPU82は、第1駆動モータ14を駆動させ、第1ギア機構68を回転させながら、潤滑剤供給部20や潤滑剤供給部29から所定間隔で間欠的に潤滑剤を吐出させる。また、CPU82は、第2駆動モータ15を駆動させ、第2ギア機構72を回転させながら、潤滑剤供給部24から所定間隔で間欠的に潤滑剤を吐出させる。第1ギア機構68や第2ギア機構72は、回転の継続に伴い、その全体に潤滑剤が行き亘る。潤滑剤の吐出量及び吐出間隔は、実験等により経験的に取得した好適な値を適宜設定するものとすればよい。
フィーダ60の自動清掃及び潤滑剤の自動供給が済むと、CPU82は、検査ユニット50にフィーダ60の検査を実行させる(ステップS200~S230)。まず、CPU82は、バックラッシュ検査部51により、送出機構65のバックラッシュ値を測定し、送出機構65が正常に動作するかを把握するバックラッシュ検査処理を実行させる(ステップS200)。図10は、バックラッシュ測定処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、制御部80に記憶され、CPU82により実行される。このルーチンを開始すると、CPU82は、まずバックラッシュ検査部51が退避位置から検査位置に来るように検査部移動機構59を制御し、挿入部17により基準テープ90をフィーダ60のスプロケット部66へ挿入させる(ステップS300)。次に、CPU82は、第1駆動モータ14を駆動し、測定するスプロケット67の歯が測定位置へ位置するようスプロケット67を回転駆動させる(ステップS310)。フィーダ保守装置11では、スプロケット67の複数箇所でバックラッシュ値を測定するよう設定されている。ここでは、図6に示すように、スプロケット67の120°ごとの3箇所で測定するものとする。
スプロケット67の歯が測定位置に位置すると、CPU82は、スプロケット67を第1歯数だけ第1方向へ送らせ、撮像部52によりスプロケット部66(基準マーク77及び送り穴91)を撮像させ(第1画像)、画像処理を行う(ステップS320)。ここでは、第1歯数が1歯に設定され、第1方向がスプロケット67の逆送り方向(図6の前方向)に設定されている。CPU82は、第1画像の送り穴91の位置をこの測定位置での基準位置とする。次に、CPU82は、第1駆動モータ14を駆動し、スプロケット67を第1歯数だけ第1方向へ送らせたのち、スプロケット67を第2歯数だけ第1方向と異なる第2方向へ送らせる(ステップS330)。ここでは、第2歯数が1歯に設定され、第1方向がスプロケット67の順送り方向(図6の後方向)に設定されている。次に、CPU82は、撮像部52によりスプロケット部66(基準マーク77及び送り穴91)を撮像させ(第2画像)、画像処理を行う(ステップS340)。CPU82は、第2画像の送り穴91の位置をこの測定位置でのずれ位置とする。次に、CPU82は、所定箇所(ここでは3箇所)で撮像を実行したか否かを判定し(ステップS350)、所定箇所すべてで撮像を実行していないときには、ステップS310以降の処理を実行する。即ち、CPU82は、次の測定歯が測定位置に来るようスプロケット67を回転駆動し、スプロケット67を1歯後退させて第1画像を撮像し、更に、1歯後退させ1歯前進させて第2画像を撮像する。
一方、ステップS350で、所定箇所で撮像を実行したときには、CPU82は、バックラッシュ値を撮像画像により算出する(ステップS360)。バックラッシュ値は、第1画像と第2画像の送り穴91の位置のずれ量の平均値として求めるものとする。例えば、第1画像における基準マーク77と送り穴91との距離を基準距離Lとして説明する(図6参照)。送出機構65が正常に動作するときは、第2画像の送り穴91の位置ずれは、ほぼない。これに対して、送出機構65の第1ギア機構68やスプロケット67にガタが生じたり、摩耗が生じた場合は、基準距離Lに対してずれが生じる(L1,L2)。バックラッシュ値は、このずれ量である。続いて、CPU82は、求めたバックラッシュ値が閾値を超えたか否かを判定する(ステップS370)。この閾値は、送出機構65の動作のずれとして許容できる範囲の値に経験的に求めるものとする。バックラッシュ値が閾値を超えていないときには、CPU82は、測定結果としてエラー無しの情報を記憶部83に記憶し(ステップS380)、このルーチンを終了する。一方、バックラッシュ値が閾値を超えているときには、CPU82は、測定結果としてエラーありの情報を記憶部83に記憶し(ステップS390)、このルーチンを終了する。
バックラッシュ測定処理を終了すると、CPU82は、送り精度検査部54により送出機構65のテープの送り精度検査処理を実行させる(ステップS210)。この処理では、CPU82は、第1駆動モータ69を駆動させ、基準テープの移動状態を撮像部52に撮像させる。そして、CPU82は、例えば、基準マーク77と基準テープ90の送り穴91との位置関係により送出機構65の送り量の誤差を求める処理を行う。次に、CPU82は、第1駆動モータ69を駆動させ、トルク検出部56によりトルク検査処理を実行させる(ステップS220)。この処理では、CPU82は、第1ギア機構68などの駆動負荷をトルク検出部56で検出する。続いて、CPU82は、スプライシング検査部57によりスプライシングセンサ75の検査処理を実行させる(ステップS230)。この処理では、CPU82は、部材移動機構43を駆動させ、疑似部材58の先端をスプライシングセンサ75の上部に位置させ、スプライシングセンサ75からの検出信号を取得する。そして、CPU82は、フィーダ60の識別情報に対応づけて検査結果を記憶すると共に、行った検査内容に応じて履歴情報84を更新させる(ステップS240)。検査結果は、各フィーダ毎にデータベースとして記憶する。また、例えば、フィーダ60Bでは部材処理機構側に第2駆動モータがないなど、フィーダの種別に応じて清掃及び潤滑剤供給が異なるため、履歴情報84には、そこで行われた清掃、潤滑剤供給の内容を記録する。
続いて、CPU82は、フィーダ60が検査合格に該当するか否かを判定する(ステップS250)。CPU82は、例えば、バックラッシュ検査で算出したバックラッシュ値が所定の閾値内にあるか否かに基づいてこの検査をクリアできたか否かを判定する。また、CPU82は、送り精度検査で求めた送り量の誤差が、所定の許容範囲内にあるか否かに基づいて、この検査をクリアできたか否かを判定する。また、CPU82は、トルク検査で求めた駆動負荷が所定の許容範囲内にあるか否かに基づいて、この検査をクリアできたか否かを判定する。また、CPU82は、スプライシング検査でスプライシングセンサ75から検出信号を受けたか否かに基づいて、この検査をクリアできたか否かを判定する。CPU82は、これらの検査をすべてクリアできたと判定した場合にフィーダ60が検査合格に該当すると判定し、いずれか1以上の検査がクリアできなかった場合にフィーダ60が検査合格に該当しないと判定する。ステップS250でフィーダ60が検査合格である場合は、CPU82は、検査合格の画面をディスプレイに表示させる(ステップS260)。一方、ステップS250でフィーダ60が検査合格でない場合は、CPU82は、検査不合格の項目を含む画面をディスプレイに表示させる(ステップS270)。そして、CPU82は、フィーダ60を取り外す旨の指示画面をディスプレイに表示させ(ステップS280)、各構成を退避位置に移動させ、このルーチンを終了する。
フィーダ60の検査が合格でなかった場合、作業者は、フィーダ60の保守作業を実行する。例えば、バックラッシュ検査や送り精度検査が不合格である場合は、作業者は、送出機構65を分解し、組み直す処理を行ったり、第1ギア機構68を交換したりする。この作業によって、第1ギア機構68やスプロケット67のギアの噛み合いが改善されることがある。また、トルク検査が不合格である場合は、作業者は、第1駆動モータ69の分解清掃や第1駆動モータ69の交換を行う。また、スプライシングセンサ検査が不合格である場合、作業者は、スプライシングセンサ75の分解清掃を行ったり、スプライシングセンサ75の交換を行う。この作業により、フィーダ60が正常に動作するようになる。
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態のフィーダ装着部13が本発明の装着部に相当し、バックラッシュ検査部51が測定部に相当し、制御部80が制御部に相当し、潤滑剤供給部20,24,29が潤滑剤供給部に相当し、エア洗浄部30,40,49及び液体洗浄部34、44が清掃部に相当する。なお、本実施形態では、フィーダ保守装置11の動作を説明することにより本発明のフィーダ保守装置の制御方法の一例も明らかにしている。
以上説明した本実施形態のフィーダ保守装置11では、清掃部によりフィーダ60の送出機構65を含む所定部(スプロケット部66、部材処理機構70など)を清掃し、バックラッシュ検査部51(測定部)により、送出機構65のバックラッシュを測定する。このように、フィーダ保守装置11がフィーダ60の清掃を行うため、作業者が行うのに比して、メンテナンスの品質のばらつきをより抑制することができる。また、フィーダ保守装置11が送出機構65のバックラッシュを測定するため、フィーダの送出機構65に関する保守をより確実に行うことができる。
また、フィーダ保守装置11において、バックラッシュ検査部51は、送出機構65の複数位置でバックラッシュを測定するため、1つの位置で測定するのに比してフィーダ60の送出機構65に関する保守をより確実に行うことができる。なお、バックラッシュ検査部51は、処理の簡略化と測定の正確性を考慮すると、送出機構の3箇所で測定を行うことが好ましい。更に、フィーダ保守装置11において、バックラッシュ検査部51は、送出機構65を第1歯数だけ第1方向へ送り出したあと、送出機構65を第1歯数以下の第2歯数だけ第1方向と反対方向である第2方向へ送り出し、送り出した移動量によりバックラッシュを測定する。このフィーダ保守装置11では、比較的簡易な方法により、送出機構65のバックラッシュを測定することができる。フィーダ保守装置11では、第1歯数は1であり、第2歯数は1であるため、より少ない移動量でバックラッシュを測定することができる。
更にまた、フィーダ保守装置11は、フィーダ60の駆動部に対して潤滑剤を供給する潤滑剤供給部20,24,29を備え、制御部80は、潤滑剤供給部20,24,29をも制御する。このフィーダ保守装置11では、フィーダ保守装置11が潤滑剤の供給を行うため、作業者が行うのに比して、メンテナンスの品質のばらつきをより抑制することができる。そして、フィーダ保守装置11は、フィーダ60でのテープ(収容部材)の送り精度を検査する送り精度検査部54と、フィーダ60でのテープを送り出す第1駆動モータ69(駆動部)のトルクを検査するトルク検査部55と、フィーダ60でのテープのスプライシング部を検出するスプライシングセンサ75を検査するスプライシング検査部57を有する検査ユニット50を備え、制御部80は、検査ユニット50をも制御する。このフィーダ保守装置11では、送出機構65のバックラッシュ測定のほか、検査ユニット50でフィーダ60の種々の検査を実行することができるため、フィーダの保守処理をより十分に行うことができる。そしてまた、制御部80は、清掃部にフィーダ60の所定部を清掃させ、潤滑剤供給部に駆動部へ潤滑剤を供給させたのち、検査ユニット50にバックラッシュを測定させると共に、送り精度検査、トルク検査及びスプライシング検査を実行させる。このフィーダ保守装置11では、フィーダ60の清掃及び測定、検査など多様な保守処理を自動で行うことができる。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
例えば、上述した実施形態では、検査ユニット50は、送り精度検査部54、トルク検査部55、トルク検出部56及びスプライシング検査部57を備えるものとしたが、特にこれに限定されず、これらのうち1以上を省略してもよいし、これらに代えて他の検査部を備えるものとしてもよい。この装置では、バックラッシュ検査部51は備えるため、バックラッシュ値の測定は少なくとも行うことができる。また、上述した実施形態では、潤滑剤供給部20,24,29を備えるものとしたが、これらのうち1以上を省略するものとしてもよい。この装置では、少なくとも清掃部を備えるので、フィーダ60の清掃を行うことはできる。
上述した実施形態では、バックラッシュ検査部51は、送出機構65のスプロケット67の3箇所でバックラッシュ値の測定を行うものとしたが、2箇所以上でおこなうものとすれば、特に3箇所に限定されず、2箇所や4箇所で行ってもよい。
上述した実施形態では、バックラッシュ検査部51は、測定時に送る第1歯数を1とし、第2歯数を1としたが、バックラッシュを測定できるものとすれば、特にこれに限定されず、経験に基づくなどして任意の数に設定することができる。例えば、第2歯数は、第1歯数以下の歯数としてもよい。また、バックラッシュ検査部51は、第1方向をテープの逆送り方向とし、第2方向をテープの順送り方向としたが、バックラッシュを測定できるものとすれば、特にこれに限定されず、第1方向をテープの順送り方向とし、第2方向をテープの逆送り方向としてもよい。
上述した実施形態では、清掃、潤滑剤の供給及び各種検査を一連の処理として行うものとして説明したが、特にこれに限定されない。例えば、制御部80は、清掃部によりフィーダ60の所定部を清掃するよう清掃部を制御したのち、送出機構65のバックラッシュを測定するようバックラッシュ検査部51を制御するメンテナンスモードと、清掃を実行せずに送出機構65のバックラッシュを測定するようバックラッシュ検査部51を制御する検査モードとを実行するものとしてもよい。制御部80は、作業者からの入力に基づいて、メンテナンスモードと検査モードとを切り替えるものとしてもよいし、検査回数や経過時間などに基づいてメンテナンスモードと検査モードとを切り替えるものとしてもよい。この装置ではメンテナンスモードと検査モードとを切り替えて実行することができる。
上述した実施形態では、フィーダ60を保守対象として説明したが、特にこれに限定されない。例えば、保守対象がフィーダ60Bであるものとしてもよい。フィーダ装着部13にフィーダ60Bが装着されると、CPU82は、コネクタ63を介してフィーダ60Bのフィーダ情報を取得し、これに基づいて位置調整機構16を制御する。また、フィーダ60Bは、部材処理機構70Bの部位の左側に保守対象の構成がないことから、CPU82は、フィーダ情報に基づいて、第2駆動モータ15、潤滑剤供給部24及び液体洗浄部44(図5参照)を休止させるものとする。そして、上述したフィーダ60と同様に、清掃処理、潤滑剤供給処理を行い、検査処理を実行させる。この装置においても、メンテナンスの品質のばらつきをより抑制することができる。
上述した実施形態では、フィーダ保守装置11は、清掃、潤滑剤供給及び検査の順で行うものとして説明したが、特にこれに限定されない。例えば、フィーダ保守装置11は、検査を行ったのちに、清掃、潤滑剤供給を行ってもよい。この装置では、先にフィーダ60の検査を行うので、清掃及び潤滑剤供給が無駄にならない。また、メンテナンスの品質のばらつきをより抑制することができる。
上述した実施形態では、フィーダ保守システム10は、管理PC1及びフィーダ保守装置11を備えるものとしたが、特にこれに限定されず、管理PC1の機能をフィーダ保守装置11が備えるものとしてもよい。また、管理PC1及びフィーダ保守装置11が本発明のフィーダ保守装置であるものとしてもよい。
上述した実施形態では、本発明をフィーダ保守装置11として説明したが、フィーダ保守装置11の制御方法や、この制御方法を実現するプログラムとしてもよい。このフィーダ保守装置11の制御方法及びプログラムは、上述したフィーダ保守装置11の種々の態様を採用してもよいし、また、上述したフィーダ保守装置11の各機能を実現するようなステップを追加してもよい。