JP7129831B2 - フェライト系ステンレス鋼用溶接ワイヤ、隅肉溶接方法及び自動車排気部品の製造方法 - Google Patents

フェライト系ステンレス鋼用溶接ワイヤ、隅肉溶接方法及び自動車排気部品の製造方法 Download PDF

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本発明は、ガスメタルアーク溶接に適用されるフェライト系ステンレス鋼用溶接ワイヤに関する。詳しくは、Ar+Oを主成分とするシールドガスを用いたガスメタルアーク溶接により部品を重ね隅肉溶接する際に、重ねられた母材板間にギャップを有する場合であっても部品の内部に溶鋼が飛散しにくいフェライト系ステンレス鋼用溶接ワイヤ、隅肉溶接方法及び自動車排気部品の製造方法に関する。
フェライト系ステンレス鋼は、オーステナイト系ステンレス鋼に比べて安価であるとともに、熱膨張係数が小さく熱歪を抑制できるため、自動車排気系部品、家電製品、給湯器、厨房機器などに幅広く適用されている。
一般に、これらの部品をガスメタルアーク溶接する際には、異物の発生量が極力少ないことが好ましい。このため、Ca含有量を規制して溶接アークを安定化させ、スパッタを低減させたフェライト系ステンレス鋼溶接ワイヤが提案されている(特許文献1)。また、「S+5Al+5O+Ca+10Mg」(元素記号は、フェライト系ステンレス鋼溶接ワイヤに含まれる当該元素の含有率(質量%)を示す。)で定義される値が一定の範囲内になるように組成を制御することによって耐スパッタ性を向上させたフェライト系ステンレス鋼溶接ワイヤも提案されている(特許文献2)。
特開平9-192879号公報 特開2014-46358号公報
ところで、近年の自動車には燃費向上や環境負荷低減などのために様々な制御機器が設けられているが、エキゾーストマニホールドなどの自動車排気系部品をAr+Oを主成分とするシールドガスを用いたガスメタルアーク溶接により重ね隅肉溶接した際に排気系部品内部に異物が付着する問題がある。この異物は、稼働中に剥離して各種制御機器に混入すると作動不良を引き起こしてしまうため、発生を防止する必要がある。このような問題は、特許文献1および2で対象としているスパッタとは異なるものであり、新たな解決技術の開発が望まれている。
本発明は、上記背景を鑑みてなされたものであり、Ar+Oを主成分とするシールドガスを用いたガスメタルアーク溶接により部品を重ね隅肉溶接する際に、重ねられた母材板間にギャップを有する場合であっても部品の内面側に異物が発生しにくいフェライト系ステンレス鋼用溶接ワイヤ、また、当該溶接ワイヤを用いた隅肉溶接方法及び自動車排気部品の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、種々の化学成分を有するフェライト系ステンレス鋼ソリッドワイヤを用いてガスメタルアーク溶接による水平重ね隅肉溶接試験を行い、高速度カメラによる解析などから部品の内面側に異物が発生する原因を鋭意検討した。
その結果、図1に示すように、ワイヤ3の先端の溶滴4と溶融池5とが接触して短絡を生じた際に、部品を構成する重ねられた2枚の母材板1、2同士のギャップ部8を通して部品の内面側9へ前記溶融池5の一部が飛散することを特定した。尚、溶融池5は、母材板1、2の溶融成分及びワイヤ3の溶融成分の混合体である。
短絡を生じた際には、ギャップ部8に存在する溶融池5が突沸して爆発的に蒸発するため、その爆発力によって溶融池5の一部が押し出されて、前記押し出された溶融池5の一部がギャップ部8から内面側9へ飛散する(以下、前記飛散した溶融池5の一部を「溶鋼7」という)。
図1に示すように、特許文献1、2に記載されているスパッタ6はトーチ側の部品表面10に付着するものであるが、内面側9への溶鋼7の飛散とは異なるものである。ギャップ部8に存在する溶融池5の一部が溶鋼7として部品の内面側9へ飛散する原因は、溶接過程において生じる短絡現象により引き起こされる爆発に起因するものであり、短絡現象は溶接ワイヤの成分により決定される溶融現象に起因する。
そして、溶鋼7の飛散を防止するためには溶接ワイヤ3に含有されるS、O、Al、Ca、Mgを規定して「0.04<10S+O-2Al-15(Ca+Mg)」を満たすように制御することが有効であることを本発明者らは見出した。本発明は、上記の知見をもとになされたものであり、その要旨とするところは下記の通りである。
(1)質量%で、C:0.003~0.040%、Si:0.05~1.00%、Mn:0.05~1.00%、S:0.0050~0.0200、Cr:13.0~20.0%、Al:0.001~0.010%、Ca:0.0001~0.0010%、Mg:0.0001~0.0010%、O:0.0020~0.0200%、N:0.003~0.040%を含有して「0.04<10S+O-2Al-15(Ca+Mg)」を満たし、P:0.04%以下に制限され、残部がFeおよび不可避的不純物からなることを特徴とするフェライト系ステンレス鋼溶接用ソリッドワイヤ。
(2)質量%で、Ni:0.01~2.00%、Mo:0.01~3.00%、Cu:0.05~1.00%、Nb:0.20~0.80%、Ti:0.002~0.500%、B:0.0001~0.0030%、Co:0.05~1.00%、Ta:0.04~0.50%、V:0.05~1.00%、W:0.05~0.50%、Zr:0.0004~0.1000%、Sn:0.01~2.50%、REM:0.0004~0.0500%の1種または2種以上を含有することを特徴とする(1)に記載のフェライト系ステンレス鋼溶接用ソリッドワイヤ。
(3)隅肉溶接用の前記(1)または(2)に記載のフェライト系ステンレス鋼溶接用ソリッドワイヤ。
(4)自動車排気部品用の前記(1)~(3)のうちいずれかに記載のフェライト系ステンレス鋼溶接用ソリッドワイヤ。
(5)(1)~(4)のうちいずれかに記載のフェライト系ステンレス鋼溶接用ソリッドワイヤを用いて重ね隅肉溶接を行うことを特徴とする隅肉溶接方法。
(6)(5)に記載の隅肉溶接方法を含むことを特徴とする自動車排気部品の製造方法。
本発明によれば、フェライト系ステンレス鋼を適用した自動車排気系部品をAr+Oを主成分とするシールドガスを用いたガスメタルアーク溶接により重ね隅肉溶接する際に、部品の内面側にスパッタの発生しにくいフェライト系ステンレス鋼用溶接ワイヤを提供できる。
重ね隅肉溶接においてスパッタおよび溶鋼飛散が生じる際の模式図。
[基本的な元素成分]
まず、本発明のフェライト系ステンレス鋼用溶接ワイヤの基本的な元素成分の限定理由について述べる。なお、以下の%は「質量%」を意味する。
C:0.003~0.040%
Cは溶接部の強度を確保する目的で一定量を含有させることが必要であるため、下限を0.003%とした。一方、Cr系炭化物を析出させて耐食性を低下させる元素であるため、上限を0.040%とした。
Si:0.05~1.00%
Siは脱酸元素であるとともに、溶融池の湯流れ性を向上させる元素であるため、下限を0.05%とした。しかしながら、その含有量が1.00%を超えると溶接部の延性が低下するため、上限を1.00%とした。好ましくは0.80%以下であり、より好ましくは0.50%以下である。
Mn:0.05~1.00%
Mnは脱酸元素として作用するが、その含有量が0.05%未満では効果が十分に発揮されないため、下限を0.05%とした。一方、1.0%を超えて含有させると溶接部の延性が低下するため、上限を1.00%とした。好ましくは0.80%以下であり、より好ましくは0.50%以下である。
S:0.0050~0.0200%
Sは本発明において最も重要な元素であり、溶鋼の表面張力を著しく低下させて、溶接ワイヤからの溶滴離脱を促進させ、短絡を防止して溶接部品の内部への溶鋼飛散を防止する作用がある。この効果は0.0050%未満では十分に得られないため、下限を0.0050%とした。一方、その含有量が0.0200%を超えると溶接高温割れが発生しやすくなるばかりか、溶接部の延性が低下するため、上限を0.0200%とした。好ましくは、0.015%である。
Cr:13.0~20.0%
Crはフェライト生成元素であり、不働態皮膜を形成して溶接金属に耐食性を付与する主要元素である。13.0%未満では十分な耐食性が得られないため、下限を13.0%とした。一方、20.0%を超えて含有させても耐食性の向上はさほど得られず、コストの上昇を招くため、上限を20.0%とした。
Al:0.001~0.010%
Alは脱酸元素として作用するが、0.001%未満ではその効果は少ない。このため、下限を0.001%とした。一方、0.010%を超えて含有させると溶接部の延性が低下するとともに、スパッタが発生しやすくなる。このため、上限を0.010%とした。好ましくは0.005%以下である。
Ca:0.0001~0.0010%
Caは脱酸元素として作用するが、0.0001%未満ではその効果は少ない。このため、下限を0.0001%とした。一方、0.0010%を超えて含有させると著しくスパッタ発生量が増大するため、上限を0.0010%とした。好ましくは0.0005%以下であり、より好ましくは0.0003%以下である。
Mg:0.0001~0.0010%
Mgは脱酸元素として作用するが、0.0001%未満ではその効果は少ない。このため、下限を0.0001%とした。一方、0.0010%を超えて含有させると著しくスパッタ発生量が増大するため、上限を0.0010%とした。好ましくは0.0005%以下であり、より好ましくは0.0003%以下である。
O:0.0020~0.0200%以下
OはSと同様に溶鋼の表面張力を低下させて溶接ワイヤからの溶滴離脱を促進させ、短絡を防止してスパッタ発生量を低減させる作用があるが、0.0020%以下ではその効果は少ない。したがって、下限を0.0020%とした。一方、0.0200%を超えて含有させると酸化物が多量に形成されて、溶接金属の延性、靭性が損なわれてしまう。したがって、その上限を0.0200%とした。
N:0.003~0.040%
Nは溶接部の強度を確保するために一定量を含有させることが必要であるため、下限を0.003%とした。一方、その含有量が0.040%を超えるとCr窒化物を析出させて、溶接金属の耐食性を劣化させるため、上限を0.040%とした。
[選択的成分]
以上を本発明のフラックス入りワイヤの基本成分とするが、以下の成分を本発明のフェライト系ステンレス鋼用溶接ワイヤに選択的に添加できる。以下に、選択的な元素成分の限定理由について述べる。なお、以下の%は「質量%」を意味する。
Ni:0.01~2.00%
Niはオーステナイト生成元素であり、溶接金属の延性、靭性を向上させるため、必要に応じて含有させてもよい。ただし、0.01%未満ではその効果は少ないため、下限を0.01%とした。一方で、過剰に含有させるとマルテンサイト相の生成を促進し、溶接金属の耐割れ性が低下するため、上限を2.00%とした。
Mo:0.01~3.00%
Moはフェライト生成元素であり、耐食性および高温強度を高めるため、必要に応じて含有させてもよい。ただし、0.01%未満ではその効果は少ないため、下限を0.01%とした。一方、過剰に含有させると溶接金属の延性が低下するため、上限を3.00%とした。好ましくは2.00%以下であり、さらに好ましくは1.50%以下である。
Cu:0.05~1.00%
Cuは溶接金属の耐食性および高温強度を高めるため、必要に応じて含有させてもよい。ただし、0.05%未満ではその効果は少ないため、下限を0.05%とした。一方、過剰に含有させても上記の効果は飽和するとともに、溶接金属の延性が低下しやすくなるため、上限を1.00%とした。
Nb:0.20~0.80%
NbはC、Nと結合して安定化させ、Cr炭化物やCr窒化物の析出を抑制することにより、耐食性を高める元素である。ただし、0.20%未満ではその効果は少ないため、下限を0.20%とした。一方、過剰に含有させると溶接高温割れが発生しやすくなるため、上限を0.80%とした。
Ti:0.002~0.500%
TiもNbと同様の作用によって、耐食性を高める元素である。ただし、0.002%未満ではその効果は少ないため、下限を0.002%とした。一方、過剰な添加は溶接部の延性を低下させるため、上限を0.500%とした。
B:0.0001~0.0030%
Bは溶接金属の結晶粒微細化を促進させて靭性を向上させる効果があるため、必要に応じて含有させてもよい。ただし、0.0001%未満ではその効果は少ないため、下限を0.0001%とした。一方、0.0030%を超えて含有させても上記の効果は飽和してしまうため、上限を0.0030%とした。
Co:0.05~1.00%
Coは、溶接金属の高温強度や耐酸化性を向上させる元素であり、必要に応じて含有させてもよい。ただし、0.05%未満ではその効果は少ないため、下限を0.05%とした。一方、過剰な添加はコストの上昇を招くため上限を1.00%とした。
Ta:0.04~0.50%
TaはNbと同じく周期律表のVa族元素であり、類似の性質を有する。すなわち、C、Nと結合して安定化させ、Cr炭化物やCr窒化物の析出を抑制することにより、耐食性を高める元素である。ただし、0.04%未満ではその効果は少ないため、下限を0.04%とした。一方、過剰に含有させてもその効果は飽和するとともに、溶接金属の延性が低下するため、上限を0.50%とした。
V:0.05~1.00%
VはC、Nと結合してV炭化物、V窒化物を形成し、Cr炭化物の析出を抑制して耐食性を向上させるが、0.05%未満ではその効果は少ないため、下限を0.05%とした。一方、過剰に含有させると溶接金属の延性が低下するため、上限を1.00%とした。
W:0.05~0.50%
Wは耐食性および高温強度を高める元素であり、必要に応じて含有させてもよい。ただし、0.05%未満ではその効果は少ないため、下限を0.05%とした。一方、その含有量が0.50%を超えると溶接金属の延性が低下するため、上限を0.50%とした。
Zr:0.0004~0.1000%
Zrは溶接金属の結晶粒微細化を促進させる元素であり、必要に応じて含有させてもよい。ただし、0.0004%未満ではその効果は少ないため、下限を0.0004%とした。一方、0.1000%を超えて含有させてもその効果は飽和してしまうため、上限を0.1000%とした。
Sn:0.01~2.50%
Snは耐食性を高めるのに有効な元素であり、必要に応じて含有させてもよい。ただし、0.01%未満ではその効果は少ないため、下限を0.01%とした。一方、過剰に含有させると熱間加工性が著しく低下するため、上限を2.50%とした。
REM:0.0004~0.0500%
REM(希土類元素)は、熱間加工性を向上させる元素であり、必要に応じて含有させてもよい。ただし、0.0004%未満ではその効果は少ないため、下限を0.0004%とした。一方、過剰に含有させると溶接金属の靭性が低下するため、上限は0.0500%であり、好ましくは0.0300%以下である。なお、「REM」とは、Sc、Yおよびランタノイドの合計17元素の総称であり、REMの含有量とはREMのうちの1種または2種以上の元素の合計含有量を指す。また、REMは一般的にミッシュメタルに含有されるため、ミッシュメタルの形で添加してREMの含有量が上記の範囲になるように含有させてもよい。
[不可避的不純物]
P:0.04%以下
Pは原料から鋼中に混入する不可避的不純物であり、その含有量が多くなると溶接高温割れを生じやすくなるとともに、溶接部の延性が低下するため、上限を0.04%以下とした。
上記で説明した以外の各元素についても、本発明の効果を損なわない範囲で含有しても良い。その化学成分について本発明では特に規定するものではないが、一般的な不純物元素であるZn、Bi、Pb、Se、Sb、Ga等は可能な限り低減することが好ましい。これらの元素は、本発明の課題を解決する限度の範囲にて制御されるが、Zn≦0.01%、Bi≦0.01%、Pb≦0.01%、Se≦0.01%、Sb≦0.05%、Ga≦0.05%の範囲内に制限される限り、これらの1種以上が含有されていても良い。
また、通電性やアークスタート性を向上させるため、本発明の効果を損なわない範囲で溶接ワイヤ表面にCuめっきのみ、またはNiとCuめっきを施しても良い。
[隅肉溶接方法]
本発明においては、金属板の隅肉継手に適用できる溶接方法のうち、溶接ワイヤを用いるアーク溶接、例えばMIG、MAG、TIG溶接に適用できる。
[自動車排気部品の製造方法]
エキゾーストマニホールド、フロントパイプ、フレキシブルパイプ、触媒コンバータ、センターパイプ、メインマフラー、テールエンドパイプの溶接個所に、本発明のフェライト系ステンレス鋼溶接用ソリッドワイヤを用いて、前述した隅肉溶接方法を適用することによって、自動車排気部品を製造することができる。
表1-1及び表1-2に作製したフェライト系ステンレス鋼溶接用ソリッドワイヤの発明例および比較例の化学組成を示す。これらのワイヤは、50kg真空溶解炉にて溶解し、鋼塊をφ5.5mmまで熱間線材圧延を行った後、φ1.2mmまで冷間伸線加工を施して溶接ワイヤを作製した。
表2に化学組成を示す板厚1.9mmのフェライト系ステンレス鋼を母材とし、表1のワイヤを用いて水平重ね隅肉MIG溶接を実施した。その際、部品の内面側へのスパッタ飛散を再現するために、重ねた2枚の板間に約1.0mmのギャップを設けて試験を行った。ビード長さは10cmであり、溶接条件は、溶接電流:170A、溶接電圧:20V、溶接速度:80cm/min、98%Ar+2%Oシールドガス流量:15L/min、トーチ角度:45°とした。
溶接後、試験片の裏面側に設置した受け板および試験片裏面に付着したスパッタの個数を目視にてカウントし、その個数が2個以下の場合は◎、5個以下の場合は○、6個以上の場合には×とした。この結果を化学成分とあわせて表1-1及び表1-2に示す。
Figure 0007129831000001
Figure 0007129831000002
Figure 0007129831000003
本発明例では、いずれの溶接ワイヤでもスパッタ発生量が5個以下と良好な結果が得られており、比較例よりも非常に優れた結果が得られた。
以上の実施例から明らかなように、本発明により、Ar+Oを主成分とするシールドガスを用いたガスメタルアーク溶接により部品を重ね隅肉溶接する際に、部品の内部にスパッタの発生しにくいフェライト系ステンレス鋼用溶接ワイヤを提供することができ、産業上極めて有用である。燃費向上や環境負荷低減などのため自動車に搭載される制御機器、例えばエキゾーストマニホールドなどの自動車排気系部品、等に利用できる。
1・・・部品(母材)
2・・・部品(母材)
3・・・溶接ワイヤ
4・・・溶滴
5・・・溶融池
6・・・スパッタ
7・・・溶鋼飛散
8・・・ギャップ部
9・・・内面側
10・・・トーチ側の部品表面

Claims (6)

  1. 質量%で、
    C:0.003~0.040%、
    Si:0.05~1.00%、
    Mn:0.05~1.00%、
    S:0.0050~0.0200%、
    Cr:13.0~20.0%、
    Al:0.001~0.010%、
    Ca:0.0001~0.0005%、
    Mg:0.0001~0.0010%、
    O:0.0020~0.0200%、
    N:0.003~0.040%
    Nb:0.20~0.80%
    を含有して「0.04<10S+O-2Al-15(Ca+Mg)」を満たし、
    P:0.04%以下に制限され、
    残部がFeおよび不可避的不純物からなることを特徴とするフェライト系ステンレス鋼溶接用ソリッドワイヤ。
    ここで、上記数式中のS、O、Al、Ca、Mgは、各元素の含有量を質量%で表した値を意味する。
  2. 質量%で、
    Ni:0.01~2.00%、
    Mo:0.01~3.00%、
    Cu:0.05~1.00%
    i:0.002~0.500%、
    B:0.0001~0.0030%、
    Co:0.05~1.00%、
    Ta:0.04~0.50%、
    V:0.05~1.00%、
    W:0.05~0.50%、
    Zr:0.0004~0.1000%、
    Sn:0.01~2.50%、
    REM:0.0004~0.0500%
    の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載のフェライト系ステンレス鋼溶接用ソリッドワイヤ。
  3. 隅肉溶接用の請求項1または2に記載のフェライト系ステンレス鋼溶接用ソリッドワイヤ。
  4. 自動車排気部品用の前記請求項1~3のうちいずれか1項に記載のフェライト系ステンレス鋼溶接用ソリッドワイヤ。
  5. 請求項1~4のうちいずれか1項に記載のフェライト系ステンレス鋼溶接用ソリッドワイヤを用いて重ね隅肉溶接を行うことを特徴とする隅肉溶接方法。
  6. 請求項5に記載の隅肉溶接方法を含むことを特徴とする自動車排気部品の製造方法。
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