本発明の一態様の加熱調理器は、加熱部と、前記加熱部を制御する制御部と、を含む本体ユニットと、前記本体ユニットの上方に配置されるトップユニットと、を備える。前記トップユニットは、貫通孔が形成されるベースと、前記ベースの天面から前記天面に鉛直に突出するダイヤル式操作デバイスと、を含む。前記ダイヤル式操作デバイスは、前記貫通孔に挿入され、回転に応じた信号を前記制御部に出力するエンコーダと、前記エンコーダと前記貫通孔との隙間に配置されたシール部材と、前記エンコーダおよび前記シール部材の、前記天面から露呈した部分の外周を覆うキャップユニットと、を含む。前記天面より上方において、前記シール部材の外周面には、外方に突出し、前記キャップユニットの内周面と接触する突起部が設けられている。
このような態様によれば、ベースとキャップユニットの間から液体が侵入してきた場合、シール部材の側面に沿って、液体が上昇することがあるが、シール部材の突起部によって液体の侵入経路が阻害される。したがって、液体がエンコーダまで到達しにくくなり、加熱調理器の信頼性を向上させることができる。
また、前記シール部材は、前記天面に対して鉛直な軸を中心とする筒状であり、前記シール部材は、前記軸を中心とする筒状の小径部と、前記小径部の上端に配置され、前記軸を中心とする筒状の大径部と、を含み、前記突起部は、前記大径部の一部であってもよい。
このような態様によれば、エンコーダの全周をシール部材が囲うことにより、液体がエンコーダの全周において、到達しにくくなる。これにより、加熱調理器の信頼性を高めることができる。
また、前記キャップユニットは、前記エンコーダおよび前記シール部材の、前記天面から露呈した前記部分の前記外周を覆うキャップ部材と、前記キャップ部材の外周を覆うダイヤルノブと、を含み、前記ダイヤルノブは、前記キャップ部材から着脱可能に構成されてもよい。
このような態様によれば、ダイヤルノブの下方に付着した汚れなどを、ダイヤルノブを取り外すことで容易に取り除くことができる。
また、前記ベースの下方には、前記ダイヤル式操作デバイスを支持する支持部が配置され、前記支持部の上面には凹部が設けられ、前記シール部材の下面には前記凹部と組み合わされる凸部が設けられていてもよい。
このような態様によれば、シール部材とベースとの間に侵入した液体が、万一、ベースの貫通孔を通ってベースの下方まで到達した場合も、シール部材の凸部によって、エンコ
ーダ側への液体の侵入経路を阻害できる。また、支持部の凹部によって侵入した液体を受け止めることができる。したがって、エンコーダが浸水することを抑制でき、加熱調理器の信頼性を高めることができる。
また、前記ダイヤル式操作デバイスは、前記天面に対して進退する可動部と、前記可動部の進退によりON/OFFが切り替わるスイッチと、を含んでもよい。
このような態様によれば、ひとつのダイヤル式操作デバイスに複数の機能を持たせることができる。したがって、加熱調理器のスペースを有効活用できる。
また、前記シール部材上に配置され、前記エンコーダの外周面に固定された固定部を備えてもよい。
このような態様によれば、エンコーダがプッシュ式である場合も、エンコーダの高さ方向の位置決めができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る誘導加熱調理器の上面図である。また、図2は、誘導加熱調理器の側面図である。さらに、図3は、誘導加熱調理器の分解斜視図である。
図1~図3に示すように、本実施の形態に係る誘導加熱調理器10は、筐体12と、筐体12の上側に配置されるトッププレート14と、トッププレート14の外周縁を保持して筐体12に取り付けられるトップフレーム16と、トッププレート14の下方に配置されるように筐体12に収容された第1および第2の加熱部18A、18Bとを有する。トッププレート14とトップフレーム16とで、トップユニット15を構成する。
筐体12は、図3に示すように、例えば金属材料から作製され、上側に開口12aを備えるボックス状である。
トッププレート14は、図1に示すように、例えば四角形状のガラス板から作製され、誘導加熱調理器10の加熱対象である調理容器W1、W2が載置される平坦な載置面14aを備える。また、トッププレート14は、図3に示すように、筐体12の開口12aを覆うように、筐体12の上側に配置されている。
トップフレーム16は、図1および図3に示すように、例えば金属材料から作製された部材であって、トッププレート14の外周縁を保持するように取り付けられている。また、トップフレーム16は、筐体12とビス締めにより取り付けられる。
なお、トップフレーム16は、例えば調理容器から吹きこぼれた液体がトッププレート14から流れ落ちないように、また、調理容器自体がトッププレート14から滑り落ちないように、トッププレート14の載置面14aに比べて高い位置に頂部を備えて堤防(ストッパ)として機能する。
第1および第2の加熱部18A、18Bは、図3に示すように、例えば調理容器W1、W2を誘導加熱する誘導加熱コイルであって、トッププレート14の下方に左右方向に並んだ状態で配置されている。本実施の形態の場合、第1および第2の加熱部18A、18Bは、これらの加熱を制御する制御基板20に搭載され、その制御基板20が筐体12内に収容されている。第1および第2の加熱部18A、18Bと、制御基板20と、筐体12とで、本体ユニット19が構成されている。
なお、本実施の形態の場合、図3に示すように、魚などの食材を収容して加熱するグリル庫22が、筐体12に搭載されている。グリル扉22aを前方に引き出すことにより、グリル庫22内に食材を投入することができる。
図1~図3に示すように、第1および第2の加熱部18A、18Bの加熱をユーザが調節するための操作パネル30が、誘導加熱調理器10に設けられている。
図1~図3に示すように、誘導加熱調理器10の操作パネル30は、トップフレーム16の前側部16aに設けられている。具体的には、トップフレーム16の前側部16aが備える頂面16bにユーザによって操作される操作デバイスやユーザに情報を提示する表示デバイスを設けることにより、操作パネル30は構成されている。
図4は、誘導加熱調理器の操作パネルを示している。図4に示すように、操作パネル30(すなわちトップフレーム16の前側部16aにおける頂面16b)には、第1の加熱部18Aの加熱を調節するための第1のダイヤル式操作デバイス32A、第2の加熱部18Bの加熱を調節するための第2のダイヤル式操作デバイス32B、およびグリル庫22内の加熱を調節するための第3のダイヤル式操作デバイス32Cが設けられている。第1~第3のダイヤル式操作デバイス32A~32Cの構成は、実質的に同一であるため、第1のダイヤル式操作デバイス32Aのみについて説明を行う。なお、第1~第3のダイヤル式操作デバイス32A~32Cを総称する場合は、ダイヤル式操作デバイス32とする。
図5は、ダイヤル式操作デバイスの断面図である。図6は、ダイヤル式操作デバイスの分解斜視図である。ダイヤル式操作デバイスは、トップフレーム16の頂面16bに鉛直に突出するように配置される。図5に示すように、トップフレーム16の頂面16bの下方には、キートップ17とよばれる平板が配置されている。キートップ17は、ダイヤル式操作デバイスを支持する。ダイヤル式操作デバイスの下部は、頂面16bに設けられた貫通孔16cおよびキートップ17に設けられた貫通孔17bに挿入されている。
図5、図6に示すように、ダイヤル式操作デバイスは、ロータリーエンコーダ36と、シール部材40と、ナット42と、皿ばね44と、キャップ部材38と、ダイヤルノブ34と、を備える。
ロータリーエンコーダ36は、回転中心線CRを中心に回転する。回転中心線CRは、頂面16bに鉛直な仮想線である。ロータリーエンコーダ36は、回転量に対応する信号を制御基板20に出力する。
ロータリーエンコーダ36は、入力軸36aと、入力軸36aの下部の外周に配置され、入力軸36aを軸受けする本体部36bと、を備える。本体部36bの上部の外周には、ねじ部36cが形成されている。入力軸36aは、回転中心線CRを中心に回転する。入力軸36aは、頂面16bに対して鉛直に進退可能である。入力軸36aの下面には、スイッチが配置されている。入力軸36aを進退させことでスイッチのON/OFFを切り替えることができる。
ロータリーエンコーダ36の本体部36bは、頂面16bの貫通孔16cおよびキートップ17の貫通孔17bに挿入され、ナット42によって位置が固定されている。ロータリーエンコーダ36の材料は金属である。
シール部材40は、液体Lの侵入を抑制するために用いられる。さらに、本実施の形態のシール部材40は、貫通孔16cとロータリーエンコーダ36との隙間を埋め、貫通孔
16cとロータリーエンコーダ36との絶縁距離を保つために用いられる。シール部材40は、本体部36bの外周を覆うように配置されている。シール部材40の形状は、回転中心線CRを中心とする円筒状である。つまり、シール部材40は、回転中心線CRを中心線とする貫通孔が設けられている。
シール部材40は、回転中心線CRを中心とする円筒状の小径部40aと、小径部40aの上端に配置され、回転中心線CRを中心とする円筒状の大径部40bと、を有する。言い換えると、シール部材40の外周面は、外方に突出する円環状の突起部を有しており、この突起部は、大径部40bの一部に相当する。突起部は、キャップ部材38の内周面と接触する。つまり、大径部40bの外周面は、キャップ部材38の内周面と接触する。小径部40aの下面には、下方に突出する凸部40cが形成されている。凸部40cは、キートップ17の上面に形成された環状溝17aに組み合わされる。凸部40cの形状は環状である。シール部材40の材料は絶縁性の高い材料であり、たとえば樹脂である。具体的には、材料はポリアセタールである。小径部40a、大径部40b、および凸部40cは、一体成形されている。
ナット42は、ロータリーエンコーダ36の高さ方向の位置決めおよび固定をするために用いられる。ナット42は、シール部材40の上面に配置される。本実施の形態では、ナット42は、小径部40aの上面に配置される。ナット42は、回転中心線CRを中心とする貫通孔を有しており、内周面には、ロータリーエンコーダ36のねじ部36cと組み合わさるように溝が掘られている。ナット42の材料は、剛性の高い材料であり、例えば金属製である。具体的には、材料は炭素鋼である。
皿ばね44は、ナット42の下方で、かつシール部材40の小径部40a上方の間に配置されることで、ロータリーエンコーダ36をナット42で強固に固定するために用いられる。皿ばね44の形状は、回転中心線CRを中心とする貫通孔を有した環状である。皿ばね44は、皿ばね44の下面とシール部材40の小径部40aの上面との距離が部分的に異なるように、曲げ加工が施されている。皿ばね44の材料は、曲げ加工で折れにくい金属である。具体的には、皿ばね44の材料はステンレス鋼である。
キャップ部材38は、ダイヤルノブ34を取り外した場合でも金属のロータリーエンコーダ36が露出しないように設けられている。キャップ部材38は、ロータリーエンコーダ36およびシール部材40の、頂面16bから露呈した部分の外周を覆うように配置されている。
キャップ部材38は、大径部38c、小径部38d、連結部38e、天面部38f、および目印38gを有している。大径部38cは回転中心線CRを中心とする円筒状である。大径部38cはシール部材40の大径部40bの直径よりも大きい。小径部38dは大径部38cよりも上方に配置される。小径部38dは回転中心線CRを中心とする円筒状であり、小径部38dの外周の一部は、平坦部38aで構成される。平坦部38aは、回転中心線CRに平行な面を有する。平坦部38aにより、小径部38dの回転中心線CRに垂直な断面はD字状である。小径部38dの直径(平坦部38aが無いと仮定した場合の直径)は大径部38cの直径より小さい。連結部38eは大径部38cの上端と小径部38dの下端と繋ぐように設けられる。連結部38eは円盤状である。天面部38fは、小径部38dの上端において、小径部38dの上部を覆うように設けられる。
また、大径部38cの内周面は、シール部材40の大径部40bの外周面と接触している。これにより、ダイヤルノブ34の下部から侵入した液体Lがキャップ部材38の内側に入るのを抑制できる。また、大径部38cの下部における内周面には、大径部38cの径方向内側に向けて突出する突起38bが設けられている。突起38bは、突起38bの
上面とシール部材40の大径部40bの下面とが対向する位置に配置されている。突起38bが大径部40bに引っかかることで、キャップ部材38は、ユーザが手で容易に取り外せなくなる。本実施の形態では、突起38bは大径部38cの内周全体に設けられているのではなく、内周の一部に設けられている。これにより、ユーザはキャップ部材38を手で取り外すことが容易ではないが、工具を用いて、突起38bと大径部40bとの係合を外すことにより、キャップ部材38を取り外すことができる。
連結部38eの上面には、目印38gが設けられている。目印38gは、連結部38eを介して、突起38bと対応する位置に設けられている。これにより、キャップ部材38の外観から突起38bの位置が把握できる。したがって、目印38gを工具でつまみ、キャップ部材38を取り外すことができる。目印38gは平板状の突起である。目印38gは、大径部38cの径方向と回転中心線CRに平行な方向に平行な面を有する。キャップ部材38の材料は、絶縁性のある樹脂材料であり、例えばポリプロピレンである。突起38b、大径部38c、小径部38d、連結部38e、天面部38fおよび目印38gは一体成形されている。
ダイヤルノブ34は、ユーザがダイヤルノブ34をつまんで操作するために用いられる。ダイヤルノブ34は、回転中心線CRを中心とする円筒形状である。ダイヤルノブ34の内部は、キャップ部材38の大径部38cと小径部38dと目印38gとがそれぞれ組み合わさる溝を有しており、キャップ部材38の上方に配置される。ダイヤルノブ34は、ユーザが操作するカバー34a、カバー34aの内側に配置されるつまみ34b、および板ばね34cを有している。
カバー34aは、回転中心線CRを中心とする円筒形状であり、カバー34aの内側は、つまみ34bと組みわせることができる形状になっている。カバー34aの材料は、剛性の高い材料であり、例えば金属製である。具体的には、材料はアルミである。
つまみ34bは、回転中心線CRを中心とする位置で、カバー34aの内側に配置される。つまみ34bは、キャップ部材の全体を覆う。つまみ34bは、キャップ部材38から取り外すことができる。また、つまみ34bは、キャップ部材38の平坦部38aと板ばね34cが接触するように、板ばね34cを保持する。つまみ34bは、絶縁性のある樹脂材料であり、例えばポリブチレンテレフタレートである。
板ばね34cは、キャップ部材38の平坦部38aと接触するように配置されている。板ばね34cは、長手方向、つまり回転中心線CRに平行な方向が湾曲した面を有する。板ばね34cの湾曲した面が、キャップ部材38の平坦部38aと接触することで、摩擦が生じ、つまみ34bとキャップ部材38の嵌合を高めている。板ばね34cの材料は、剛性の高い材料であり、例えば金属製である。具体的には、材料はステンレスである。
ユーザがダイヤルノブ34を回転させると、ロータリーエンコーダ36は、その回転量に応じた信号を制御基板20に向かって出力する。制御基板20上の回路やプロセッサが、受け取った信号に基づいて、すなわちダイヤルノブ34の回転量に基づいて、そのダイヤルノブ34に対応する第1および第2の加熱部18A、18Bの出力またはグリル庫22内の加熱を制御する。
本実施の形態の場合、第1~第3のダイヤル式操作デバイス32A~32Cは、第1および第2の加熱部18A、18Bとグリル庫22における加熱時間を設定できるように構成されている(すなわちタイマー設定機能を備える)。具体的には、ダイヤルノブ34をユーザが回転させると、制御基板20上の回路やプロセッサが、ダイヤルノブ34の回転量に対応するカウント時間を設定し、そのカウント時間からゼロに向かってカウントし始
め、ゼロになると加熱を停止する。
加熱を調節するための第1~第3のダイヤル式操作デバイス32A~32Cをタイマー設定可能な状態に切り替えるために(すなわち加熱調節機能からタイマー設定機能に切り替えるために)、図4に示すように、操作パネル30(すなわちトップフレーム16の前側部16aにおける頂面16b)には、そのための操作ボタン46A~46Cが設けられている。操作ボタン46A~46Cがユーザによって押されると、第1~第3のダイヤル式操作デバイス32A~32Cの機能が、加熱調節機能からタイマー設定機能に切り替わる。
また、タイマー設定機能について、長時間のカウント時間を設定できるように、第1~第3のダイヤル式操作デバイス32A~32Cは、ダイヤルノブ34(本実施の形態の場合には、ロータリーエンコーダ36の入力軸36a)が無制限に回転可能に構成されてもよい。
なお、ダイヤルノブ34が無制限に回転する場合、ユーザは、ダイヤルノブ34を見ただけでは、第1および第2の加熱部18A、18Bの現在の加熱レベルを知ることができない。そのために、図4に示すように、現在の加熱レベルをユーザに提示するためのインジケータ48A、48Bが、操作パネル30(すなわちトップフレーム16の前側部16aにおける頂面16b)に設けられている。
図4に示すように、インジケータ48A、48Bは、対応するダイヤルノブ34を部分的に囲むようにトップフレーム16の前側部16aにおける頂面16bに設けられた複数のLED50を有する。LED50は、複数の異なるレベルの輝度で点灯することができる。インジケータ48A、48Bは、第1および第2の加熱部18A、18Bの加熱レベルを、点灯するLED50の個数と、その点灯するLED50それぞれの輝度レベルとによって表現する。例えば、LED50が10個あって各LED50が3段階の輝度レベルで点灯する場合、インジケータ48A、48Bは、加熱レベルを30段階で表現することができる。これにより、LED50の輝度が変わらない場合に比べて、LED50の総数を少なくすることができる。なお、操作パネル30(すなわちトップフレーム16の前側部16aにおける頂面16b)であって、第3のダイヤル式操作デバイス32Cのダイヤルノブ34の周囲にも、インジケータ48A、48Bと同様の構成のインジケータが配置されてもよい。このインジケータによって、グリル庫22における加熱レベルをユーザに提示してもよい。
また、本実施の形態の場合、第1および第2の加熱部18A、18Bの加熱レベル、それに加えてグリル庫22内の温度を数値でユーザに提示するために、図4に示すように、操作パネル30(すなわちトップフレーム16の前側部16aにおける頂面16b)に、表示デバイス52A~52Cが設けられている。表示デバイス52A、52Bは、第1および第2の加熱部18A、18Bの加熱レベルを数値で表示する。また、表示デバイス52Cは、グリル庫22内の温度を数値で表示する。なお、表示デバイス52A、52Bに、第1および第2の加熱部18A、18Bとトッププレート14との間に設けられた温度センサ(図示せず)の検出温度、すなわち加熱温度を表示してもよい。また、表示デバイス52A~52Cは、加熱レベルや温度以外の情報、例えばタイマーの残り時間を表示してもよい。様々な情報や多くの情報を表示するために、例えば加熱レベル、加熱温度、およびタイマーの残り時間全てを表示するために、表示デバイス52A~52Cは液晶表示デバイスが好ましい。
さらに、本実施の形態の場合、前述のとおり、ロータリーエンコーダ36の入力軸36aが、本体部36bに対して回転中心線CRの延在方向に進退するように、ロータリーエ
ンコーダ36が構成されている。したがって、第1~第3のダイヤル式操作デバイス32A~32Cは、押しボタン構造を備える。具体的には、そのダイヤルノブ34がトップフレーム16の前側部16aにおける頂面16bに対して進退するように構成されている。ダイヤルノブ34がユーザによって押されると、制御基板20上の回路やプロセッサは、例えば、第1および第2の加熱部18A、18B、グリル庫22の加熱を停止させる。ダイヤル式操作デバイスが押しボタンとしても機能することにより、別途、押しボタンをトップフレーム16の前側部16aにおける頂面16bに設ける必要がなくなる。
図2および図3に示すように、調理容器が載置されるトッププレート14の載置面14aは、前後方向および左右方向、すなわち水平方向に広がる面である。一方、第1~第3のダイヤル式操作デバイス32A~32Cが設けられているトップフレーム16の前側部16aにおける頂面16bは、水平面ではなく傾斜面である。
具体的には、図2に示すように、トップフレーム16の前側部16aにおける頂面16bは、トッププレート14の載置面14aに比べて高い位置から前方に向かって下がるように傾斜する傾斜面である。このように、第1~第3のダイヤル式操作デバイス32A~32Cが設けられる頂面16bを傾斜させる理由について、比較例を挙げて説明する。
図8は、比較例におけるトップフレームの前側部における頂面を示す図である。
図8に示すように、比較例の加熱調理器のトップフレーム116の前側部116aにおける頂面116bは、トッププレート14の載置面14aと同様に、水平方向に広がる面である。このような頂面116bに対して、ダイヤル式操作デバイスのダイヤルノブ134が配置されている。なお、図中においては、本実施の形態の誘導加熱調理器10における頂面16bとダイヤルノブ34が二点鎖線で示されている。
図8に示すように、水平方向に広がる頂面116bに設けられている比較例のダイヤルノブ134の前側部は、前傾している頂面16bに設けられている本実施の形態のダイヤルノブ34の前側部に比べて高所に位置する。具体的には、比較例のダイヤルノブ134の頂面の前側部は、本実施の形態のダイヤルノブ34の頂面の前側部に比べて、ΔHだけ高所に位置する。
そのため、比較例のダイヤルノブ134の場合、調理容器をトッププレート14の載置面14aにユーザが載置するときに、その調理容器がダイヤルノブ134の前側部に対して接触する(引っ掛かる)可能性が高い(本実施の形態のダイヤルノブ34に比べて)。例えば、水が入った調理容器をトッププレート14の載置面14aにユーザが載置するときにその調理容器がダイヤルノブ134に接触すると、ユーザは調理容器内の水をまき散らす可能性がある。
このような接触の可能性を低減するために、本実施の形態の場合、第1~第3のダイヤル式操作デバイス32A~32Cが設けられるトップフレーム16の前側部16aにおける頂面16bは前傾している。これにより、本実施の形態は、ユーザによってトッププレート14の載置面14aに載置される調理容器とダイヤルノブ34との接触の可能性を低減している。
調理容器とダイヤルノブ34との接触の可能性をより低減するために、ダイヤルノブ34は、その少なくとも半分を、トップフレーム16の前側部16aにおける頂面16bの前側半分に設けるのが好ましい。本実施の形態の場合、図1に示すように、ダイヤルノブ34は、頂面16bにおける上端と下端との間の中心線CLに比べて前側の頂面16bの部分をダイヤルノブ34の回転中心線CRが通過するように、その頂面16bに設けられ
ている。
また、本実施の形態の場合、調理容器、特に、図1に示すように、上方視で誘導加熱調理器10の外部まで突出する長い柄Whを備えるフライパンなど調理容器W1、W2が使用されることを考慮して、第1および第2のダイヤル式操作デバイス32A、32Bの設置位置が決められている。
具体的には、図1に示すように、フライパンなどの長い柄Whを備える調理容器W1、W2を使用する場合、ユーザは、その長い柄Whが誘導加熱調理器10の前後方向に延在しないように、すなわち前後方向に対して非平行になるように、その調理容器W1、W2をトッププレート14に載置することが多い。これは、ユーザ自身とその調理容器W1、W2の長い柄Whとの接触を回避するためである。
このことを考慮し、第1および第2のダイヤル式操作デバイス32A、32Bは(そのダイヤルノブ34)は、図1に示すように、上方視で第1および第2の加熱部18A、18Bの中心C1、C2を通過して前後方向に延在する第1および第2の仮想直線VL1、VL2に対してオーバーラップしている。すなわち、フライパンなどの調理容器W1、W2の長い柄Whが存在する可能性が低い位置に、ダイヤルノブ34が設けられている。逆の観点から言えば、ダイヤルノブ34により、前後方向以外の方向に長い柄Whが延在するような調理容器W1、W2のトッププレート14の載置面14aに対する載置を、ユーザに促している。
また、第1および第2の仮想直線VL1、VL2に対してダイヤルノブ34がオーバーラップしているため、第1および第2の加熱部18A、18Bの実質的に前方に、対応するダイヤルノブ34が存在することになる。その結果、調理容器W1、W2がトッププレート14に載置されているとき(すなわち、第1および第2の加熱部18A、18Bの上方に配置されているとき)、その調理容器に対する加熱を調節することができるダイヤルノブを、ユーザは直感的にすぐに知ることができる。
それに加えて、本実施の形態の場合、第1および第2のダイヤル式操作デバイス32A、32Bそれぞれのダイヤルノブ34は、互いに接近するように配置されている。すなわち、上方視で、第1および第2のダイヤル式操作デバイス32A、32Bそれぞれのダイヤルノブ34の回転中心線CRが、第1および第2の仮想直線VL1、VL2の間に位置する。これにより、第1および第2の加熱部18A、18Bの両方を同時に使用している場合、2つのダイヤルノブ34間をユーザの指が素早く移動することができ、ユーザの使用性が向上する。
また、本実施の形態の場合、第3のダイヤル式操作デバイス32Cのダイヤルノブ34は、第1および第2のダイヤル式操作デバイス32A、32Bそれぞれのダイヤルノブ34の間に配置されている。これにより、第1および第2の加熱部18A、18Bの上方に調理容器W1、W2が載置される場合に、調理容器W1、W2の柄が第3のダイヤル式操作デバイス32Cのダイヤルノブ34に接触する可能性を低減できる。また、3つのダイヤルノブ34間の距離が短くなるため、ユーザの指が素早く移動することができ、ユーザの使用性が向上する。
また、本実施の形態の誘導加熱調理器10(加熱調理器の一例)は、第1の加熱コイル18A、第2の加熱コイル18B(加熱部の一例)と、第1の加熱コイル18A、第2の加熱コイル18Bを制御する制御基板20(制御部の一例)と、を含む本体ユニット19と、本体ユニット19の上方に配置されるトップユニット15(トップユニットの一例)を備える。
トップユニット15は、貫通孔16cが形成されるトップフレーム16(ベースの一例)と、トップフレーム16の頂面16b(天面の一例)から、トップフレーム16の頂面16bに鉛直に突出するダイヤル式操作デバイス32を含んでいる。
ダイヤル式操作デバイス32は、トップフレーム16の貫通孔16cに挿入され、回転に応じた信号を制御基板20に出力するロータリーエンコーダ36(エンコーダの一例)と、ロータリーエンコーダ36とトップフレーム16の貫通孔16cとの隙間に配置されたシール部材40と、ロータリーエンコーダ36およびシール部材40の、トップフレーム16の天面から露呈した部分の外周を覆うキャップ部材38およびダイヤルノブ34(キャップユニットの一例)を含んでいる。
トップフレーム16の頂面16bより上方において、シール部材40の外周面には、外方に突出し、キャップ部材38の内周面と接触する突起部が設けられている。本実施の形態では、突起部は、大径部40bの外側であって、小径部40aより突出した部分である。
このような態様によれば、トップフレーム16の頂面16bとシール部材40の間から液体Lが侵入してきた場合、シール部材40の小径部40aの側面に沿って、液体Lが上昇することがあるが、シール部材40の大径部40bで構成される突起部によって液体Lはシール部材40の上方を乗り越えにくくなる。したがって、液体Lの侵入経路が阻害される。その結果、液体Lがロータリーエンコーダ36まで到達しにくくなり、加熱調理器の信頼性を向上させることができる。
シール部材40は、トップフレーム16の頂面16bに対して鉛直な回転中心線CR(軸の一例)を中心とする円筒状(筒状の一例)である。シール部材40は、回転中心線CRを中心とする円筒状の小径部40aと、小径部40aの上端に配置され、トップフレーム16の回転中心線CRを中心とする円筒状の大径部40bを含んでおり、突起部は、大径部40bの一部である。
このような態様によれば、ロータリーエンコーダ36の全周をシール部材40が囲うことにより、液体Lがロータリーエンコーダ36の全周において、到達しにくくなる。これにより、加熱調理器の信頼性を高めることができる。
キャップユニットは、キャップ部材38とダイヤルノブ34を含む。キャップ部材38は、それぞれトップフレーム16の天面から露呈したロータリーエンコーダ36およびシール部材の外周を覆う。ダイヤルノブ34は、キャップ部材38の外周を覆う。ダイヤルノブ34は、キャップ部材38から着脱可能な構成となっている。
このような態様によれば、ダイヤルノブ34の下方に付着した汚れなどを、ダイヤルノブ34をキャップ部材38から取り外すことで容易に取り除くことができる。
トップフレーム16の下方には、ダイヤル式操作デバイス32を支持するキートップ17(支持部の一例)が配置され、キートップ17の上面には環状溝17a(凹部の一例)が設けられ、シール部材40の下面にはキートップ17の環状溝17aと組み合わされる凸部40c(凸部の一例)が設けられている。
このような態様によれば、シール部材40とトップフレーム16との間に侵入した液体Lが、万一、貫通孔16cを通ってトップフレーム16の下方まで到達した場合も、シール部材40の凸部40cによって、液体Lの侵入経路を阻害できる。また、キートップ1
7の環状溝17aによって、侵入した液体Lを受け止めることができる。したがって、ロータリーエンコーダ36が浸水することを抑制でき、加熱調理器の信頼性を高めることができる。
ダイヤル式操作デバイス32は、トップフレーム16の頂面16bに対して進退するロータリーエンコーダ36の入力軸36aと、入力軸36aの進退によりON/OFFが切り替わるスイッチを含んでいる。
このような態様によれば、ひとつのダイヤル式操作デバイス32に複数の機能を持たせることができる。したがって、加熱調理器のスペースを有効活用できる。
シール部材40の大径部40bの上方には、ナット42(固定部の一例)配置されている。ナット42は、ロータリーエンコーダ36のねじ部36cに固定される。
このような態様によれば、ロータリーエンコーダ36がプッシュ式である場合も、ロータリーエンコーダ36の高さ方向の位置決めができる。
以上のような本実施の形態によれば、調理容器を加熱する複数の加熱部が左右方向に並び、その加熱部それぞれの加熱を調節するためのダイヤルノブが複数個存在する誘導加熱調理器において、調理容器とダイヤルノブとの接触の可能性を低減することができる。
以上、上述の実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されない。
例えば、上述の実施の形態の場合、第1~第3のダイヤル式操作デバイス32A~32Cは、第1および第2の加熱部18A、18Bの加熱レベルの調節、グリル庫22内の温度の調節、タイマーの設定のために使用されている。しかしながら、本発明の実施の形態はこれに限らない。例えば、左右方向に並んで配置される第1および第2の加熱部18A、18Bの後方に、第3の加熱部を有し、第3の加熱部の加熱の調節をするために、第3のダイヤル式操作デバイス32Cが使用されてもよい。さらに、グリル庫22も備えている場合には、グリル庫22の加熱の調節と第3の加熱部の加熱の調節のために、第3のダイヤル式操作デバイスが兼用で使用されてもよい。この場合、操作ボタン46cは、グリル庫22と第3の加熱部の加熱制御を切り替えるためのボタンであってもよいし、あるいは操作パネル30に、切り替えのためのボタンをさらに追加してもよい。
例えば、誘導加熱調理器が調理対象に対して最適な調理プログラム(加熱温度や加熱時間などの加熱条件を含むプログラム)をユーザに提供するように構成されている場合、複数の中の調理プログラムをユーザが選択するために第1~第3のダイヤル式操作デバイス32A~32Cが使用されてもよい。
例えば、表示デバイスに調理プログラムの名称(例えば、調理対象(材料)の名称など)が表示されている状態で、ユーザがダイヤル式操作デバイスのダイヤルノブを回転させると、表示デバイスに表示されている調理プログラムの名称が他の調理プログラムの名称に変更される。ユーザが所望する調理プログラムの名称が表示デバイスに表示されている状態で、数秒待つと、誘導加熱調理器は、その調理プログラムに基づいて加熱部の加熱またはグリル庫内の温度を制御する。もしくは、ユーザが所望する調理プログラムの名称が表示デバイスに表示されている状態で、ダイヤルノブがユーザによって押されることで、所望の調理プログラムがスタートする仕様でもよい。
また例えば、ダイヤル式操作デバイスは、誘導加熱調理器に組み込まれている時計の時間合わせに使用されてもよい。
さらに、上述の実施の形態の場合、図4に示すように、第1および第2の加熱部18A、18Bとグリル庫22それぞれに対して1つずつ表示デバイス52A~52Cが設けられている。しかしながら、本発明の実施の形態はこれに限らない。例えば、1つの表示デバイスの表示画面を3つの領域に分け、各領域に第1および第2の加熱部18A、18Bとグリル庫22それぞれの情報を表示してもよい。
また、上述の実施の形態では、誘導加熱式の加熱部の数を二つとしたが、三つ以上であってもよい。その場合は、複数の加熱部のうち、最も左側と最も右側に配置される二つの加熱部を第1の加熱部18A、第2の加熱部18Bとして本実施の形態を適用してもよい。誘導加熱調理器の左右端部に配置される加熱部上方には、長い柄を有する調理容器が載置されることが多い。したがって本実施の形態の構成により調理容器とダイヤルノブとの接触の可能性を低減することで、ユーザの使用性が向上する。
また、上述の実施の形態では、加熱調理器の一例として誘導加熱調理器を例に挙げたが、加熱調理器の加熱方式は、誘導加熱式に限らない。たとえば、ガス火を用いた加熱調理器において、本実施の形態のダイヤル式操作デバイス32を適用してもよい。
また、図5では、シール部材40の大径部40bで構成される突起部は、頂面16bに対して水平に、外方へ突出するように設けられる例を示しているが、突起部が突出する向きは、頂面16bに対して水平に限られない。たとえば、突起部の下面が、大径部40bの径方向外方に向かって下方に下がるように形成されてもよい。また、突起部の下面が、大径部40bの径方向外方に向かって上方に上がるように形成されてもよい。ただし、液体Lの侵入を防ぐ観点では、突起部の下面が、頂面16bに対して水平、または、大径部40bの径方向外方に向かって下方に下がるように形成されることがより好ましい。
また、上述の実施の形態では、シール部材40の大径部40bで構成される突起部の形状を環状とすることにより、ロータリーエンコーダ36の全周にわたって浸水を抑制できるが、突起部の形状は環状に限らない。つまり、突起部の形状は、たとえば円弧状であってもよい。また、突起部の数は、複数であってもよい。一または複数の突起部が円弧状の場合、全ての突起部の中心角の合計は、180度以上であることが好ましい。これにより、ロータリーエンコーダ36の少なくとも半周以上において、浸水を抑制できる。
また、上述の実施の形態では、シール部材40の小径部40a、大径部40b、および凸部40cは一体成形されている。これにより部品点数を低減できる。しかし、シール部材40は、いくつかの部品を組み合わせて形成されていてもよい。たとえば、シール部材40は、別部材から構成された小径部40a、大径部40b、および凸部40cで形成されてもよい。これにより、シール部材40の高さを調整しやすくなる。また、シール部材40を種々の形状に設計変更しやすくなる。
また、上述の実施の形態では、凸部40cの形状は環状である。これによりロータリーエンコーダ36の全周にわたって、液体Lの侵入を阻害できる。しかし、環状凸部の形状は環状でなくてもよい。例えば、凸部の形状は、円弧状であってもよい。凸部の数は複数であってもよい。凸部の形状が円弧状の場合、全ての凸部の中心角の合計は、180度以上であることが好ましい。これにより、ロータリーエンコーダ36の少なくとも半周以上において、浸水を抑制できる。
また、上述の実施の形態では、ダイヤル式操作デバイス32は、トップフレーム16上方に配置されるものとした。これにより貫通孔16cの加工が容易にできる。しかし、ダイヤル式操作デバイス32は、トッププレート14の上方に配置されてもよい。これによ
り、デザイン性が向上できる。つまり、本発明のベースとは、トップフレーム16であってもよく、トッププレート14であってもよい。
また、上述の実施の形態では、トップフレーム16の前側部16aにおける頂面16bは傾斜面とした。これにより、調理容器とダイヤルノブ34との接触の可能性できる。しかし、頂面16bが水平面である場合も、本実施の形態のダイヤル操作デバイス32を適用することができる。
また上述の実施の形態では、キャップユニットとして、ダイヤルノブ34と、キャップ部材38とを含むものを例に挙げた。これにより、ダイヤルノブ34を取り外すことができるが、ダイヤルノブ34とキャップ部材38とが一体であってもよい。
また、上述の形態では、第1~第3のダイヤル式操作デバイス32A~32Cの構造を全て同じとしたが、少なくとも一つが異なっていてもよい。