[画像形成装置]
図1は画像形成装置1を示す断面図である。画像形成装置1はイメージリーダー2とプリンタ3を有している。イメージリーダー2は原稿やテストチャートなどを読み取る読み取り手段である。光源23は原稿台ガラス22上に置かれた原稿21に光を照射する。光学系24は原稿21から反射光をCCDセンサ25に導き、結像させる。CCDはチャージカップルドデバイスの略称である。CCDセンサ25はレッド、グリーン、ブルーのラインセンサを有しており、レッド、グリーン、ブルーの色成分信号を生成する。画像処理部28はCCDセンサ25により得られた画像データに画像処理(例:シェーディング補正)を実行し、プリンタ3のプリンタ制御部29に出力する。
プリンタ3の画像形成部10は画像情報に応じたトナー画像をシートPに形成する電子写真方式の画像形成エンジンである。画像形成部10は、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、Bk(ブラック)の各色のトナー画像を形成する四つのステーションを有している。なお、本発明は単色画像を形成するモノクロプリンタにも適用可能である。図1が示すように、画像形成部10は左側から順にY、M、C、Bkの各色に対応した4つの感光ドラム11を備えている。各感光ドラム11の周囲にはローラ状の帯電器12、露光器13、現像器14、一次転写器17、ドラムクリーナ15などが配置される。ここで、感光ドラム11、帯電器12およびドラムクリーナ15はプロセスカートリッジ50として一体化されている。プロセスカートリッジ50は画像形成装置1に対して着脱可能である。また、画像形成装置1は、トナー画像が形成される中間転写ベルト31、中間転写ベルト31上のトナー画像をシートPへ転写する二次転写器27、シートPにトナー画像を定着させる定着器40を備える。なお、中間転写ベルト31は三つのローラ34、36、37に掛け回されており、ローラ37が矢印方向へ回転することによって所定方向へ回転する。中間転写ベルト31にはベルトクリーナ35が設けられる。
ここで、画像形成装置1の各ユニットの構成が説明される。感光ドラム11は表面に感光層が形成されたアルミシリンダである。感光ドラム11は感光体として機能する。帯電器12は、例えば、帯電電圧が供給される金属ワイヤ、帯電ローラ、或いは帯電ブラシを有する。露光器13の構成は、レーザ光を発する光源と光源からのレーザ光を偏向する回転多面鏡を有する構成であってもよく、あるいは、レーザ光を発する複数の光源が感光ドラム11の軸線方向に並んで配置された構成であってもよい。軸線方向とは、感光ドラム11の回転軸と平行な方向である。軸線方向は以下では単にX方向と記述される。露光器13からのレーザ光は感光ドラム11を走査する。現像器14は現像剤を収容している。現像器14は感光ドラム11へ現像剤を供給するための現像ローラを有する。現像ローラの内部に設けられたマグネット141は、現像ローラの表面に現像剤を担持させる。なお、本実施例に記載された現像剤は、非磁性トナーと磁性キャリアとを含む二成分現像剤である。現像剤は、例えば、磁性トナーから構成される一成分現像剤であってもよい。一次転写器17は、例えば、一次転写電圧が供給される転写ローラ、又は転写ブレードである。一次転写器17が中間転写ベルト31を感光ドラム11へ押圧することによって、感光ドラム11と中間転写ベルト31との間にニップ部(一次転写ニップ部N1)が形成される。ドラムクリーナ15は、例えば、感光ドラム11の表面に当接する弾性材料からなるクリーニングブレード、又は、感光ドラム11表面に接触してトナーを回収するファーブラシである。二次転写器27は、例えば、二次転写電圧が供給される転写ローラ、又は複数のローラに掛け回された転写ベルトである。二次転写器27が中間転写ベルト31を押圧することによって、中間転写ベルト31と二次転写器27との間にニップ部(二次転写ニップ部N2)が形成される。ベルトクリーナ35は、例えば、中間転写ベルト31表面に当接するクリーニングブレード、或いは、中間転写ベルト31の表面に接触するファーブラシである。
以下、四つの色を代表してブラックのトナー画像を形成する手順が説明される。なお、他色のトナー画像を形成する手順はブラックのトナー画像を形成する手順と同様であるので、その詳細な説明は省略される。画像形成が開始されると、感光ドラム11は所定方向(矢印方向)に回転駆動される。帯電器12は感光ドラム11の表面を均一に帯電させる。露光器13は、プリンタ制御部29から出力される画像情報に応じて感光ドラム11の表面を露光し、静電潜像を形成する。現像器14は静電潜像にトナーを付着させて現像し、トナー画像を形成する。一次転写器17は感光ドラム11に担持されているトナー画像を中間転写ベルト31に一次転写する。ドラムクリーナ15は、一次転写ニップ部N1にて中間転写ベルト31へ転写されずに、感光ドラム11に残留したトナーを除去する。
給送カセット20はシートPを収容する。マルチ給送トレイ30にはシートPが載置されている。給送カセット20又はマルチ給送トレイ30から給送されたシートPはレジストローラ対26へ向けて搬送される。レジストローラ対26は、給送カセット20又はマルチ給送トレイ30から給送されたシートPを一旦止めて、中間転写ベルト31上のトナー画像がシートPの所望の位置へ転写されるように、シートPを二次転写ニップ部N2へ搬送する。シートPが二次転写ニップ部N2を通過している間に二次転写器27には二次転写電圧が印加される。これによって、二次転写器27は中間転写ベルト31上のトナー画像をシートPに二次転写する。なお、ベルトクリーナ35は、二次転写ニップ部N2にてシートPへ転写されずに、中間転写ベルト31上に残ったトナーを除去する。トナー画像が転写されたシートPは定着器40へ搬送される。定着器40はシートPに対してトナー画像を定着させる。
[帯電方式]
一般に、帯電器12の帯電方式としては、非接触帯電方式と接触式帯電方式の2種類がある。非接触帯電方式とは、感光ドラム11と非接触の帯電部材(金属ワイヤ)に高圧電圧を印加することで帯電部材から発生するコロナ放電により感光ドラム11を帯電させる方式である。しかし、コロナ放電は、オゾンや酸化窒素(NOx)などの放電生成物を発生させ、感光ドラム11の劣化や画像ボケの原因となる。また、放電生成物が帯電部材(金属ワイヤ)に付着すると、放電の不均一が発生し、画像に帯電不良が発生しうる。このため、帯電部材(金属ワイヤ)を清掃する清掃部材が必要である。接触帯電方式は、帯電器12の帯電部材(帯電ローラ)を感光ドラム11に接触させて感光ドラム11を帯電させる方式である。一般に、接触帯電方式の方が非接触帯電方式よりも印加電圧が低く、オゾンや酸化窒素(NOx)などの放電生成物の発生が非常に少ない。しかし、ドラムクリーナ15をすり抜けてきたトナーやトナーの外添剤が帯電部材(帯電ローラ)に付着したり、融着したりすると、帯電不良が発生しうる。
[交換部品]
本実施例に記載される画像形成装置1では、感光ドラム11、帯電器12およびドラムクリーナ15が一つのプロセスカートリッジ50に一体化されている。プロセスカートリッジ50が交換されることで、感光ドラム11、帯電器12およびドラムクリーナ15を速やかに交換することが可能となる。また、画像形成装置1では現像器14も画像形成装置1に対して脱着可能である。さらに、画像形成装置1では一次転写器17と中間転写ベルト31が転写ユニットを形成している。転写ユニットも画像形成装置1に対して脱着可能である。転写ユニットが交換されることで、一次転写器17と中間転写ベルト31を速やかに交換することが可能となる。さらに、ベルトクリーナ35も画像形成装置1に対して脱着可能である。このように、プロセスカートリッジ50、現像器14、転写ユニット、及びベルトクリーナ35を交換部品とすることで、ユーザおよびサービスマンによるメンテナンスの平易化とメンテナンス時間の短縮化が実現される。
[制御システム]
図2は画像形成装置1の制御システムを示している。画像形成装置1はネットワーク123を介して、PC124やサーバ128などのネットワーク機器と接続されている。PCはパーソナルコンピュータの略称である。サーバ128は、たとえば、画像形成装置1のメンテナンスを担当するサービス会社のコンピュータやメールサーバなどである。プリンタ制御部29はイメージリーダー2やプリンタ3を制御するコントローラである。プリンタ制御部29は、画像処理などを担当するプリンタコントローラと、画像形成部10などを制御するエンジン制御部とに分かれていてもよい。通信IF55はPC124などから印刷データを受信したり、画像形成装置1からPC124やサーバ128に情報を送信したりする通信回路である。IFはインターフェースの略称である。CPU60は画像形成装置1の各部を統括的に制御する制御回路や演算回路である。CPU60は記憶装置63に記憶されている制御プログラムを実行することで各種の機能を実現する。なお、CPU60の機能の一部またはすべてがASICやFPGAなどのハードウエアによって実現されてもよい。ASICは特定用途集積回路の略称である。FPGAはフィールドプログラマブルゲートアレイの略称である。表示装置61は様々な情報を表示する液晶画面を備える。入力装置62はコマンドを入力するためのボタンやテンキーを備える。記憶装置63はROMやRAMなどのメモリや、ハードディクスドライブなどの大容量記憶装置を含む。CPU60はイメージリーダー2などから転送された画像データをプリンタ3が印刷可能な画像データに変換する。CPU60はさらに階調補正を実行する。階調補正とは、プリンタエンジンにより形成されるべき画像の階調特性が理想的な階調特性になるように、画像データに含まれる画像信号値をルックアップテーブルに基づいて変換する処理である。次いで、CPU60は、露光器13から発せられるレーザ光を制御するためのレーザ制御信号を階調補正が実行された画像データに基づいて生成し、露光器13に出力する。
CPU60は様々な機能を実現するが、ここでは代表的な機能について説明される。チャート生成部64は、交換部品(異常箇所)を特定するためのテスト画像をシートP上に形成するよう、プリンタ3を制御する。テスト画像自体またはテスト画像が形成されたシートPはテストチャートと呼ばれる。帯電制御部65は帯電電源68から帯電器12に印加される帯電電圧を制御する。現像制御部66は現像電源69から現像器14に印加される現像電圧を制御する。転写制御部70は一次転写電源71から一次転写器17に印加される一次転写電圧、及び、二次転写電源72から二次転写器27に印加される二次転写電圧を制御する。診断部67はイメージリーダー2、又は画像形成装置1に接続された読取装置からテストチャートの読取結果(読取データ)を取得すると共に、読取データに基づいて交換部品を選択する。また、画像形成装置1はイメージリーダー2により読み取ったテストチャートの読取データを通信IF55によってサーバ128へ転送し、サーバ128において交換部品(異常箇所)が決定される構成であってもよい。この構成においては、診断部67は省略されてもよい。なお、ユーザやサービスマンがテストチャートを目視して交換部品(異常箇所)を特定する場合も、診断部67は省略されてもよい。
[テストチャート]
交換部品が交換時期に到達すると、出力画像に縦スジが発生する。あるいは、交換部品に異常が生じると、出力画像に縦スジが発生する。縦スジとは、シートPの搬送方向と平行に延在する直線状の画像である。ベルトクリーナ35に異常が生じている場合、ベルトクリーナ35によって除去されるべきトナーがベルトクリーナ35の異常箇所をすり抜けて、二次転写ニップ部N2においてシートPへ転写される。これによりシートPに縦スジが表れる。ドラムクリーナ15に異常が生じている場合も、同様に、ドラムクリーナ15によって除去されるべきトナーがドラムクリーナ15の異常箇所をすり抜けて、シートPへ転写され、シートPに縦スジが表れる。しかしながら、縦スジが発生する原因がベルトクリーナ35やドラムクリーナ15の異常である場合、出力画像がシートPに形成される度に縦スジが毎回発生するとは限らない。ベルトクリーナ35またはドラムクリーナ15に大量のトナーが回収された状態でなければ、ベルトクリーナ35またはドラムクリーナ15をすり抜けるトナーの量はごくわずかである。そのため、シートPへ転写されない検知用画像が形成された後、或いは多量にトナーを消費する高濃度画像が形成された後の数ページ分の出力画像にしか縦スジは生じない。従って、縦スジを発生させる原因がベルトクリーナ35またはドラムクリーナ15にあったとしても、これらに十分なトナーが供給されていなければ、テストチャート上に縦スジが顕在化しない。そこで、ベルトクリーナ35またはドラムクリーナ15を交換すべきか否かを判定するための画像形成装置1の制御方法が提案される。とりわけ、ベルトクリーナ35またはドラムクリーナ15に起因した縦スジがテストチャート上で顕在化しやすくなるように画像形成装置1が制御される。このテストチャートをユーザやサービスマンが目視したり、イメージリーダー2に読み取らせたりすることで、交換部品(異常箇所)が特定される。
また、テストチャートは、像担持体の帯電電位がそれぞれ異なり、かつ露光が適用されずに形成された複数のパターン画像(以下、アナログパターンと記載)を含んでもよい。これにより、ベルトクリーナ35またはドラムクリーナ15だけでなく、露光器13、現像器14、帯電器12についても交換すべきかどうかが判別可能となる。
テストチャートのサイズとしてA4サイズ(幅方向長さ297mm、搬送方向長さ210mm)が採用されるが、これは一例に過ぎない。画像形成装置1に対して通紙可能な最大のサイズが選択されると、たとえば、帯電器12や現像器14においてX方向の端部に生じたスジも検出可能となろう。このように、画像形成装置1で印刷可能な最大サイズのシートが採用されれば、交換備品を精度良く特定することが可能となろう。なお、テストチャートの枚数は1枚であってもよいし、複数枚であってもよい。本実施例では様々な種類のテストチャートが例示されているが、そのすべてが常に必要となるわけではない。つまり、ユーザまたはメンテナンス担当者が特定したいと希望する交換部品の種類に応じてテストチャートの数は増減する。
図3は例示的なテストチャート701~704を示している。矢印Yはトナー画像の搬送方向(Y方向)を示している。なお、矢印YはシートPの搬送方向でもある。矢印Xは搬送方向に直交する方向(X方向)を示している。テストチャート701~704の各サイズはA4サイズである。テストチャート701はベルトクリーナ35またはドラムクリーナ15の交換の必要性を判断するために使用されるテストチャートである。テストチャート701は、パターン画像が形成されない白地部WD、WTを含む。白地部WDは、ドラムクリーナ15の交換の必要性を判断するためのスジが発生しうる領域である。ドラムクリーナ15を交換すべきときに白地部WDにスジが顕在化するよう、CPU60は、プリンタ3によってトナーパッチPDを形成する。CPU60は、ドラムクリーナ15をすり抜けたトナーパッチPDが二次転写ニップ部N2を通過するタイミングと、テストチャート701が二次転写ニップ部N2を通過するタイミングとが重なるように、レジストローラ対26によってテストチャート701の搬送を制御する。例えば、CPU60は、前述の各タイミングが重なるように、レジストローラ対26がテストチャート701を二次転写ニップ部N2へ搬送し始めるタイミングを制御する。また、例えば、CPU60は、前述の各タイミングが重なるように、レジストローラ対26によるテストチャート701の搬送速度を制御する。トナーパッチPDの形成位置は、例えば、二次転写ニップ部N2においてテストチャート701の白地部WDが中間転写ベルト31に接触する位置よりも感光ドラム11の一周長Ldだけ離れている。感光ドラム11は図1に示す矢印方向へ回転することでトナー画像を搬送する。そこで、感光ドラム11のn回目の周回でトナーパッチPDが感光ドラム11に形成され、n+一回目の周回で白地部WDに対応する感光ドラム11上の領域にはトナー画像が形成されない。つまり、感光ドラム11上においてトナーパッチPDの位置と白地部WDの位置とは一致している。
白地部WTは、ベルトクリーナ35の交換の必要性を判断するためのスジが発生しうる領域である。ベルトクリーナ35を交換すべきときに白地部WTにスジが顕在化するよう、CPU60は、プリンタ3によってトナーパッチPTを形成する。CPU60は、ベルトクリーナ35をすり抜けたトナーパッチPTが二次転写ニップ部N2を通過するタイミングと、テストチャート701が二次転写ニップ部N2を通過するタイミングとが重なるように、レジストローラ対26によってテストチャート701の搬送を制御する。例えば、CPU60は、前述の各タイミングが重なるように、レジストローラ対26がテストチャート701を二次転写ニップ部N2へ搬送し始めるタイミングを制御する。また、例えば、CPU60は、前述の各タイミングが重なるように、レジストローラ対26によるテストチャート701の搬送速度を制御する。トナーパッチPTの形成位置は、例えば、二次転写ニップ部N2においてテストチャート701の白地部WTが中間転写ベルト31に接触する位置よりも中間転写ベルト31の一周長Lbだけ離れている。中間転写ベルト31は図1に示す矢印方向へ回転することでトナー画像を搬送する。そこで、中間転写ベルト31のn´回目の周回でトナーパッチPTが中間転写ベルト31に形成され、n´+一回目の周回で白地部WTに対応する中間転写ベルト31上の領域にはトナー画像が形成されない。つまり、中間転写ベルト31上においてトナーパッチPTの位置と白地部WTの位置とは一致している。なお、1枚のテストチャート701を用いてドラムクリーナ15とベルトクリーナ35の異常を判定する場合、トナーパターンPTの形成位置とトナーパターンPDとの形成位置との関係は図3に示すような関係となる。図3において、X方向はシート搬送方向に直交する方向を示し、Y方向はシート搬送方向を示す。
図面において参照符号の末尾に付与されているYMCBkの各文字は、ドラムクリーナ15の交換を判断するために使用されるトナーパッチPDを形成するために使用されるトナーの色を示している。ここで、トナーパッチPDを形成する際に使用されるトナーの色は単色(YMCBkのいずれか一色)である。これは、交換されるべき部品がどの色のステーションに存在するかを特定するためである。たとえば、白地部WDYにイエローのスジが形成されれば、イエロー用のステーションにおけるドラムクリーナ15の交換が必要であることが判明する。
トナーパッチPTおよび各色のトナーパッチPDの搬送方向の長さは、たとえば、10mmである。搬送方向の長さが10mm以上であれば、白地部において縦スジの検出が可能となる。なお、感光ドラム11の外径は30mmであり、その外周(周長)は約94.2mmである。トナーパッチの搬送方向の長さが長すぎると、テストチャート701上でYMCBkの4色分のトナーパッチPD(白地部WD)が重なってしまう。たとえば、白地部WDYと白地部WDMが重なってしまうと、イエローの縦スジとマゼンタの縦スジとが重なってしまい、一見してどの色のドラムクリーナ15を交換すべきかを判断することが困難となりうる。そのため、YMCBkの4色分の白地部WDが重ならないように、4色分のトナーパッチPDの長さと形成位置とが決定されてもよい。
白地部WTおよび白地部WDは、パターン画像が形成されない白地部でなくてもよい。つまり、白地部WTおよび白地部WDにパターン画像が形成されてもよい。ただし、白地部WTおよび白地部WDにパターン画像が形成されると、背景と縦スジとの間の輝度差が小さくなるため、スジ検出性能が低下しうる。よって、白地部WTおよび白地部WDにパターン画像が形成されなければ、スジ検出性能が良好となろう。また、トナーの消費量も削減されよう。
白地部WT(トナーパッチPT)および白地部WD(トナーパッチPD)のX方向の長さは、画像形成装置1で形成可能なトナー画像の最大長であってもよい。ただし、本実施例では、トナーパッチPT、PDを形成するために、デジタルパターンDと共通の画像形成方法が用いられる。そのため、トナーパッチPT、PDのX方向の長さはデジタルパターンDのX方向の長さと同じである。白地部WTおよび白地部WDは同一のシート上に形成される必要はない。また、白地部WTおよび白地部WDの両方が常に形成される必要もない。たとえば、ベルトクリーナ35の交換の是非を知りたい場合、白地部WTがテストチャート701に形成されればよい。イエロートナー用のドラムクリーナ15の交換の是非を知りたい場合、白地部WDYがテストチャート701に形成されればよい。
次に、本実施例では、ベルトクリーナ35またはドラムクリーナ15以外の交換部品を特定するためのテストチャート702~704が説明される。テストチャート702~704には、デジタルパターンD、アナログパターンA1、A2が含まれる。デジタルパターンDは露光が適用されて形成されるトナー画像である。アナログパターンA1は、第一の帯電電位が適用され、かつ、露光が適用されずに形成されるトナー画像である。アナログパターンA2は、第一の帯電電位と異なる第二の帯電電位が適用され、かつ、露光が適用されずに形成されるトナー画像である。テストチャート702~704にも白地部Wが形成されている。参照符号の末尾に付与されているYMCBkは、各パターンを形成するために使用されるトナーの色を示している。各パターンが形成される際に使用されるトナーの色は単色であり、YMCBkのいずれか一色である。これは、交換されるべき部品がどの色のステーションに存在するかを特定するためである。たとえば、イエローのスジが見つかれば、イエローに関連した部品が交換部品(異常箇所)として特定される。各パターンの搬送方向の長さは、たとえば、30mmである。これは、パターンの長さが30mm以上であれば、パターン画像が形成された領域において、縦スジの検出が可能だからである。
デジタルパターンDのX方向の長さは画像形成装置1で形成可能な全域の長さよりは若干短く、デジタルパターンDのX方向の両端には余白領域が設けられている。一方、アナログパターンA1、アナログパターンA2のX方向の長さはシートPのX方向の長さと同じであり、余白は形成されない。
図3が示す4つのデジタルパターンDは露光器13により露光されて形成された露光像(トナー画像)である。アナログパターンA1は、露光器13による露光が実行されず、帯電器12による感光ドラム11の帯電電位が第一帯電電位に設定されて形成された非露光像(トナー画像)である。アナログパターンA2は、露光器13による露光が実行されず、帯電器12による感光ドラム11の帯電電位が第一帯電電位よりも十分に低い第二帯電電位に設定されて形成された非露光像(トナー画像)である。第二帯電電位はほぼ0[V]であってもよい。なお、ここでの「高い」や「低い」という用語は絶対値での電位における高低を意味している。帯電器12が原因となるスジと現像器14が原因となるスジの出現の仕方は、アナログパターンA1とアナログパターンA2との間で異なる。つまり、アナログパターンA1に発生したスジとアナログパターンA2に発生したスジとを比較すれば、スジの原因が帯電器12にあるのか現像器14にあるのかが判別可能である。
ここで、図4を用いて帯電器12による帯電処理を行わずに画像を形成する方法が説明される。図4は接触帯電方式における印加電圧Vinと感光ドラム11の帯電電位Vdとの関係を示している。帯電制御部65が帯電器12の帯電部材に印加する印加電圧Vinを放電開始電圧Vth以下に設定すると、感光ドラム11の帯電電位Vdがほぼ0[V]になる。このように印加電圧Vinを放電開始電圧Vth(例:400[V])以下の電圧(例:0[V])に設定することで、感光ドラム11の帯電電位がほぼ0[V]に制御される。
アナログパターンA2への帯電器12の影響をさらに低減させるために感光ドラム11の表面の電荷が除去されてもよい。たとえば、ドラムクリーナ15により清掃された感光ドラム11の表面に対して前露光光源から除電のための光照射が実行されてもよい。非接触帯電方式が用いられる場合、帯電制御部65が金属ワイヤに電流を流さないように帯電電源68を制御することで、感光ドラム11に帯電処理が適用されなくてもよい。
図5(A)はデジタルパターンDを形成する際に帯電器12によって帯電した感光ドラム11上におけるX方向の位置における電位を示している。図5(B)はシートPに形成されるデジタルパターンDの濃度dDと白地部Wの濃度d0を示している。濃度d0はシートPの下地(白地)の光学濃度である。
帯電制御部65は、感光ドラム11の表面における帯電電位がVd_Dになるように帯電電源68を制御し、帯電器12に感光ドラム11を帯電させる。露光器13は、チャート生成部64により生成された画像データにしたがって感光ドラム11の表面を露光する。その結果、感光ドラム11の表面のうち露光された部分の電位がVl_Dに変化する。現像制御部66は現像器14の現像スリーブの電位が現像バイアスである直流電位Vdc_Dとなるように現像電源69を制御する。Vdc_Dは、帯電電位Vd_Dと露光部の電位Vl_Dとの間に設定される。デジタルパターンDの両端に設けられた余白mは露光されない。そのため、余白mの電位はVd_Dに維持される。このように非露光部である余白mには、かぶりとり電圧Vbが形成される。かぶりとり電圧Vbにより、余白mにはトナーが付着しないようになる。デジタルパターンDの画像信号値は50%に設定される。これは光学濃度で0.6の画像に相当する(つまり、dD=0.6)。このような中間調のパターンは、ベタのパターンと比較して、縦スジの検出精度を高くする。
図5(C)は第一のアナログパターンA1を形成する際に帯電器12によって帯電した感光ドラム11上におけるX方向の位置における電位を示している。図5(D)はシートPに形成されるアナログパターンA1の濃度dA1を示している。アナログパターンA1を形成すべく、チャート生成部64からの指示に従って帯電制御部65は帯電電源68を制御し、感光ドラム11の表面の電位が帯電電位Vd_A1に調整される。チャート生成部64からの指示に従って現像制御部66は現像電源69を制御し、現像器14の現像スリーブの電位を現像バイアスVdc_A1に調整する。現像バイアスVdc_A1は帯電電位Vd_A1よりも高い現像電位である。なお、チャート生成部64は露光器13にレーザ光の照射を行わせない。これにより、感光ドラム11と現像スリーブとの間には電位差として現像電圧Vc_A1が生じる。つまり、アナログパターンA1に対応した静電潜像が形成され、現像器14から供給されたトナーにより感光ドラム11上にトナー画像が形成される。図5(C)が示すように、アナログパターンA1では、露光が適用されないため、X方向の位置によらず一定の現像電圧Vc_A1が形成される。よって、アナログパターンA1の両端には余白が形成されない。また、露光が適用されないため中間調処理を行うことはできない。そこで、本実施例では、アナログパターンA1の各色の光学濃度が0.6になるように、現像制御部66が現像電源69を制御して現像電圧Vc_A1を調整する。図5(D)が示すように、シートPには光学濃度dA1(=0.6)のアナログパターンA1が形成される。
図5(E)は第二のアナログパターンA2を形成する際に帯電器12によって帯電した感光ドラム11上におけるX方向の位置における電位を示している。図5(F)はシートPに形成されるアナログパターンA2の濃度dA2を示している。アナログパターンA2を形成すべく、チャート生成部64からの指示に従って帯電制御部65は帯電電源68を制御する。これにより、感光ドラム11の表面の電位が帯電電位Vd_A2(例:ほぼ0[V])に調整される。チャート生成部64からの指示に従って現像制御部66は現像電源69を制御する。これにより、現像器14の現像スリーブの電位が現像バイアスVdc_A2に調整される。現像バイアスVdc_A2は帯電電位Vd_A2よりも高い電位である。なお、チャート生成部64は露光器13にレーザ光の照射を行わせない。これにより、感光ドラム11と現像スリーブとの間には現像電圧Vc_A2が形成される。つまり、アナログパターンA2に対応した静電潜像が形成され、現像器14から供給されたトナーにより感光ドラム11上にトナー画像が形成される。図5(E)が示すように、アナログパターンA2では、露光が適用されないため、X方向の位置によらず一定の現像電圧Vc_A2が形成される。よって、アナログパターンA2の両端には余白が形成されない。また、露光が適用されないため中間調処理を行うことはできない。そこで、本実施例では、アナログパターンA2の各色の光学濃度が0.6になるように、現像制御部66が現像電源69を制御して現像電圧Vc_A2を調整する。図5(F)が示すように、シートPには光学濃度dA2(=0.6)のアナログパターンA2が形成される。
ここで、アナログパターンA2を形成するための第二の帯電電位Vd_A2(例:ほぼ0[V])は、アナログパターンA1を形成するための帯電電位Vd_A1よりも低く設定される(|Vd_A1|>|Vd_A2|)。この結果、アナログパターンA1と比較してアナログパターンA2では、画像不良に対する帯電器12の寄与率が低減する。なお、現像制御部66は、現像電源69を制御して現像電圧Vc_A1と同じとなるように現像電圧Vc_A2を調整する。これによりアナログパターンA2の各色の光学濃度が0.6になる。
本実施例では、アナログパターンA1の現像電圧Vc_A1とアナログパターンA2の現像電圧Vc_A2はそれぞれ等しくなるように調整される。これにより、アナログパターンA1の光学濃度とアナログパターンA2の光学濃度が等しくなる。しかし、アナログパターンA1の現像電圧Vc_A1とアナログパターンA2の現像電圧Vc_A2は異なってもよい。
なお、非接触帯電方式が用いられる場合、帯電電源68が金属ワイヤに流す電流の量を変えることで、感光ドラム11の帯電電位が調整される。これにより、非接触帯電方式でもアナログパターンA1とアナログパターンA2が形成される。
一例として、デジタルパターンDの光学濃度と、2種類のアナログパターンA1、A2の光学濃度が一致する場合(dD=dA1=dA2)について説明された。しかし、デジタルパターンDの光学濃度と、2種類のアナログパターンA1、A2の光学濃度を一致させる必要はない。これらの濃度を一致させない場合、濃度が異なるスジに対して、濃度の差を補正してスジの程度を比較する必要がある。
[クリーナの起因したスジを顕在化させるためのトナーパッチを形成する方法]
図6が示すように、トナーパッチPDと白地部WDとの距離は感光ドラム11の一周長Ldに一致する。白地部WDを形成するタイミングから所定時間遡ったタイミングにトナーパッチPDが感光ドラム11上に形成される。所定時間は、感光ドラム11が一回転するために必要となる時間である。トナーパッチPDは、画像信号値を100%に設定することで形成されるデジタルパターンであってもよい。画像信号値はトナー画像の光学濃度を決定するための信号であり、画像信号値が100%に設定されるとトナー画像の光学濃度は最大値となる。最大値とは、画像形成装置1で形成可能なトナー画像の光学濃度範囲における最大値である。これにより最も多くのトナーがドラムクリーナ15へ供給されることになり、スジが顕在化しやすくなる。このようにトナーパッチPDによりドラムクリーナ15へ供給されるトナーの量が多いほど、ドラムクリーナ15の不良を検出するためには有利である。しかし、トナーパッチPDを過剰に供給しすぎると、ドラムクリーナ15へ過剰な負荷がかかってしまう。また、看過されるべき軽微な不良も検出されてしまう。したがって、トナーパッチPDを形成するための画像信号値は100%よりも低くてもよい。
図6が示すシーケンスにおいて、時刻t1は、トナーパッチPDを形成された領域が一回目に一次転写器17を通過するタイミングである。つまり、時刻t1は一次転写ニップ部N1をトナーパッチPDが通過するタイミングである。このときの一次転写電圧1Tr_PDを調整することによって、トナーパッチPDによりドラムクリーナ15に供給されるトナーの量が制御される。
図7(A)はトナーパッチPDによりドラムクリーナ15へ供給されるトナー量と一次転写電圧1Trとの関係を示す。図6において一点鎖線で示された一次転写電圧1Tr_D[V]の場合、トナー量は少ない。一次転写電圧1Tr_Dは通常の画像形成で使用される一次転写電圧である。図6において実線で示された一次転写電圧は0[V]であるが、このときにトナー量は多くなる。0[V]はジャム処理の際に使用される一次転写電圧である。図6において点線で示された一次転写電圧1Tr_PD[V]の場合、ドラムクリーナ15へ供給されるトナーの量TnPDは、TnDとTn0との間の値になる。
そこで、トナーパッチPDが一次転写ニップ部N1を一回目に通過するときの一次転写電圧は第1の一次転写電圧である0[V]に制御される。これにより、トナーパッチPDは中間転写ベルト31に転写されず、感光ドラム11上に留まり、ドラムクリーナ15に搬送される。
トナーパッチPDが一次転写ニップ部N1を二回目に通過するときの一次転写電圧は第2の一次転写電圧である1Tr_Dに制御される。これにより、感光ドラム11上に留まったトナーパッチPDのうち、ドラムクリーナ15により除去されなかったスジ状のトナーが中間転写ベルト31に転写される。
このように、トナーパッチPDが一次転写ニップ部N1を一回目に通過する場合にトナーパッチPDが感光ドラム11から中間転写ベルト31へ転写されることを抑制するような第1の電圧が一次転写電圧として設定される。また、トナーパッチPDが一次転写ニップ部N1を二回目に通過する場合にはドラムクリーニング不良が原因のスジが感光ドラム11から中間転写ベルト31へ転写されるような第2の電圧に一次転写電圧が設定される。本実施例では、テストチャート701に相当する、感光ドラム11上の領域が一次転写器17を通過する際に、転写制御部70は一次転写電圧を1Tr_Dに設定する。これにより、縦スジが中間転写ベルト31を介してテストチャート701の白地部WDに転写されやすくなる。
図8が示すように、トナーパッチPTと白地部WTとの距離は中間転写ベルト31の一周長Lbに一致する。白地部WTを形成するタイミングから所定時間遡ったタイミングにトナーパッチPTが感光ドラム11上に形成される。所定時間は、中間転写ベルト31が一回転するために必要となる時間である。トナーパッチPTの色は多次色(混色)である。つまり、YMCBkのトナー色のうち二つ以上を混色することでトナーパッチPTが形成される。チャート生成部64は多次色のトナー量の最大値に相当する画像信号値を選択し、トナーパッチPTをデジタルパターンとして形成する。本実施例では、チャート生成部64は、イエローの画像信号値を100%に設定し、かつ、マゼンタの画像信号値を100%に設定する。これにより、レッドのトナーパッチPTが中間転写ベルト31上に形成される。トナーパッチPTによりベルトクリーナ35へ供給されるトナーの量が多いほど、ベルトクリーナ35の不良を検出するには有利である。しかし、ベルトクリーナ35に対してトナーを過剰に供給しすぎると、ベルトクリーナ35に過剰な負荷がかかる。また、看過されるべき軽微な不良も検出されてしまう。したがって、トナーパッチPTを形成するための各トナー色の画像信号値は100%よりも低くてもよい。
図8において、トナーパッチPTが二次転写器27を通過する時刻t1’における二次転写電圧に依存して、トナーパッチPTによりベルトクリーナ35に供給されるトナーの量は制御可能である。時刻t1’はトナーパッチPTを形成された中間転写ベルト31上の所定領域が一回目に二次転写器27を通過するタイミングである。つまり、時刻t1’はトナーパッチPTが二次転写ニップ部N2を一回目に通過するタイミングである。この所定領域(トナーパッチPT)が二回目に二次転写器27を通過するタイミングで白地部WTがシートPに形成される。
図7(B)はベルトクリーナ35へ供給されるトナーパッチPTのトナー量と二次転写電圧2Trとの関係を示す。図8において一点鎖線で示されたように二次転写電圧が2Tr_D[V]に設定された場合、トナー量は少なくなる。2Tr_Dは通常の画像形成に使用される二次転写電圧である。図8において実線が示すように二次転写電圧が2Tr_PT[V]に設定されてもよい。この場合、ベルトクリーナ35へ供給されるトナー量は多くなる。2Tr_PTはジャム処理の際に使用される二次転写電圧である。
トナーパッチPTが二次転写ニップ部N2を一回目に通過するときの二次転写電圧は第1の二次転写電圧である2Tr_PTに制御される。これにより、トナーパッチPTが二次転写器27に付着しにくくなり、中間転写ベルト31に留まるようになる。
トナーパッチPTが二次転写ニップ部N2を二回目に通過するときの二次転写電圧は第2の二次転写電圧である2Tr_PTに制御される。これにより、ベルトクリーナ35により除去しきれなかったトナーがスジ状のトナー画像となり、シートに転写されるようになる。
このように、トナーパッチPTが二次転写ニップ部N2を一回目に通過する場合に第1の二次転写電圧(2Tr_PT)が二次転写電圧として設定される。第1の二次転写電圧(2Tr_PT)はトナーパッチPTが中間転写ベルト31からシートへ転写されることを抑制するような電圧である。トナーパッチPTが二次転写ニップ部N2を二回目に通過する場合には第2の二次転写電圧(2Tr_D)が二次転写電圧として設定される。第2の二次転写電圧(2Tr_D)はベルトクリーニング不良が原因のスジが中間転写ベルト31からシートへ転写されるような電圧である。つまり、縦スジがテストチャート701の白地部WTに転写されやすくなる。二次転写部とは二次転写器27と中間転写ベルト31とのニップ部(二次転写ニップ部N2)である。
[縦スジ]
図9を用いて、本実施例の画像形成装置1で発生する画像エラーの一つである縦スジが説明される。図9は縦スジの種類、交換部品または対処方法、白地部の状態、スジが発生するパターンの色を示している。さらに、図9は、デジタルパターン及びアナログパターンの各々においてスジ発生の有無、帯電処理が適用されずに形成されるアナログパターンA2において帯電不良に起因したスジが発生しないことを示している。なお、スジが存在しない正常部よりも濃度が薄くなるスジは白スジと呼ばれる。正常部に対して濃度が濃くなるスジは黒スジと呼ばれる。
●現像コート不良に起因したスジ
図9が示す現像コート不良スジとは、現像コートが不十分で発生する縦スジである。図10(A)および図10(B)は現像コート不良に起因したスジが発生する要因を示す図である。現像コートとは現像スリーブ142の表面に現像剤を均一の厚さで付着させることをいう。現像スリーブ142の内部には現像剤担持体として機能するマグネット141が設けられている。現像スリーブ142は回転自在に現像容器143に支持されている。最近接部145は現像スリーブ142と感光ドラム11との距離が最も近い部分である。現像スリーブ142の回転方向において最近接部145よりも上流側に規制ブレード146が設けられている。規制ブレード146は、現像スリーブ142に対する距離が一定となるように配置されており、最近接部145に供給される二成分現像剤の量を規制する。
図10(B)が示すように、ホコリや髪の毛などの異物148が現像スリーブ142と規制ブレード146との間に詰まることがある。この場合、異物148が現像剤の流れを妨げてしまう。図10(C)が示すように、現像スリーブ142上に現像剤が担持されない非コート領域151が発生する。非コート領域151には現像剤が存在しない。そのため、感光ドラム11の表面のうち非コート領域151に対向する部分には現像剤が供給されない。よって感光ドラム11の表面には一直線の連続する縦スジ152が発生する。図9が示すように、このような現像コート不良スジを解消するために交換すべきユニットは現像器14である。
さらに、図9を用いて、現像コートの不良で発生する白スジの特徴が説明される。まず、現像コート不良スジ(白スジ)は、パターン画像が形成されない白地部W、WDおよびWTには発生しない。そして、現像コート不良スジが検出されたパターンの色から、現像コート不良を発生している現像器14が特定される。
図11(A)はデジタルパターンDを形成したときの感光ドラム11のX方向の位置における電位を示している。図11(B)はデジタルパターンDを形成したときのシートPのX方向の位置における光学濃度を示している。図11(C)はアナログパターンA1を形成したときの感光ドラム11のX方向の位置における電位を示している。図11(D)はアナログパターンA1を形成したときのシートPのX方向の位置における光学濃度を示している。図11(E)はアナログパターンA2を形成したときの感光ドラム11のX方向の位置における電位を示している。図11(F)はアナログパターンA2を形成したときのシートPのX方向の位置における光学濃度を示している。これらが示すように、現像コート不良スジは現像スリーブ142上に現像剤が供給されないことに起因する。したがって、デジタルパターンD、アナログパターンA1およびアナログパターンA2のすべてで縦スジが発生する。さらに、アナログパターンA1に発生するスジの濃度とアナログパターンA2に発生するスジの濃度に差はない。
●露光不良に起因したスジ
次に、図9に示した露光不良に起因した白スジについて説明する。図12(A)は露光不良に起因した白スジの発生メカニズムを示す図である。露光器13から出力されるレーザ光が通過する光路には防塵ガラス132が設けられている。防塵ガラス132の一部に髪の毛やトナーなどの異物135が付着すると、感光ドラム11の表面に照射されるレーザ光が遮られてしまう。つまり、感光ドラム11の表面のうち異物135によってレーザ光が照射されなかった部分の静電潜像の電位が低下し、縦スジが発生する。この縦スジは、トナーの付着量が減少することで発生するため、白スジとなる。露光不良に起因した白スジを低減するための対処方法は、防塵ガラス132の清掃作業を行うか、露光器13を交換することである。
図9を用いて露光不良に起因した白スジの特徴が説明される。まず、露光不良白スジは、パターン画像が形成されない白地部Wには発生しない。そして、露光不良白スジが検出されたデジタルパターンDの色から、露光不良を発生している露光器13が特定される。
図13(A)はデジタルパターンDを形成したときの感光ドラム11のX方向の位置における電位を示している。図13(B)はデジタルパターンDを形成したときのシートPのX方向の位置における光学濃度を示している。図13(C)はアナログパターンA1を形成したときの感光ドラム11のX方向の位置における電位を示している。図13(D)はアナログパターンA1を形成したときのシートPのX方向の位置における光学濃度を示している。図13(E)はアナログパターンA2を形成したときの感光ドラム11のX方向の位置における電位を示している。図13(F)はアナログパターンA2を形成したときのシートPのX方向の位置における光学濃度を示している。
図13(A)や図13(B)が示すように、白スジは露光不良(露光光量が少なくなること)が原因で発生する。デジタルパターンDでは、感光ドラム11のX方向の位置の一部において表面電位がVl_Dよりも高くなることで露光不良白スジが発生する。一方、図13(C)ないし図13(F)が示すように、アナログパターンA1、A2は露光が適用されずに形成されるため、露光不良白スジが発生しない。
●帯電不良に起因したスジ
本実施例の帯電器12は帯電部材を感光ドラム11に接触させて帯電を行う接触帯電方式を採用している。接触帯電方式では、感光ドラム11の表面のうちX方向のある位置でクリーニングが不十分となることで、シリコンなどの外添剤が帯電部材に付着しうる。図14(A)は感光ドラム11の表面電位(帯電電位)を示す図である。図14(B)は画像信号と光学濃度との関係を示す図である。図14(A)が示すように、感光ドラム11の表面のうちX方向における一部の位置において帯電部材の抵抗が大きくなり、その位置の帯電電位が高くなる。抵抗が大きくなったX方向の領域は高抵抗化部と呼ばれる。帯電電位が高くなると、図14(B)が示すように、感光ドラム11のX方向の位置を同じ画像信号を用いて露光しても、高抵抗化部の濃度は正常部の濃度よりも低くなり、白スジが発生する。
一方、感光ドラム11の表面のうちX方向の一部の位置においてクリーニング不良が発生すると、トナーが帯電部材に付着することがある。帯電部材の表面のうちトナーが付着した部分の抵抗は小さくなる。帯電部材は耐久により徐々に高抵抗化するが、帯電部材の表層が剥れることでも帯電部材の抵抗が部分的に小さくなる。その結果、図14(A)が示すように、X方向の一部の領域で部分的に帯電部材の抵抗が小さくなり、帯電電位が低くなる。この部分は低抵抗化部と呼ばれる。帯電電位が低くなると、図14(B)が示すように、感光ドラム11のX方向の位置を同じ画像信号を用いて露光しても、低抵抗化部の濃度は正常部の濃度よりも高くなり、黒スジが発生する。
図9を用いて帯電不良スジの特徴が説明される。まず、帯電不良スジは、パターン画像が形成されない白地部Wには発生しない。そして、露光不良スジが検出されたパターンの色から、帯電不良の起こった帯電器12が特定される。
図15(A)はデジタルパターンDを形成したときの感光ドラム11上でのX方向の位置における電位を示している。図15(B)はデジタルパターンDを形成したときのシートPのX方向の位置における光学濃度を示している。図15(C)はアナログパターンA1を形成したときの感光ドラム11のX方向の位置における電位を示している。図15(D)はアナログパターンA1を形成したときのシートPのX方向の位置における光学濃度を示している。図15(E)はアナログパターンA2を形成したときの感光ドラム11上でのX方向の位置における電位を示している。図15(F)はアナログパターンA2を形成したときのシートPのX方向の位置における光学濃度を示している。
図15(A)や図15(B)が示すように、デジタルパターンDではX方向において露光された感光ドラム11の一部の位置における帯電電位がVl_Dとは異なる。帯電電位がVl_Dよりも低い位置では黒スジが発生し、帯電電位がVl_Dよりも高い位置では白スジが発生する。図15(C)や図15(D)が示すように、アナログパターンA1でも、X方向の一部で帯電電位がVd_A1とは異なるため、黒スジや白スジが発生する。帯電不良は帯電部材の抵抗差に起因して発生するため、帯電器12の帯電電位を低下させすることで帯電不良が低減する。図15(E)や図15(F)が示すように、アナログパターンA2は、帯電処理を適用されずに形成されるため、帯電不良に起因したスジが発生しなくなる。
●中間転写ベルトの塑性変形に起因したスジ
次に、図9が示す中間転写ベルト31の塑性変形に起因したスジについて説明される。長期の使用により中間転写ベルト31の内面が削れて粉が発生しうる。転写ユニットを構成する部品の一部などがローラ36、37の表面に付着することがある。図12(B)が示すように、中間転写ベルト31の一部が凸形状に塑性変形する。この部分は凸形状部311と呼ばれる。このように中間転写ベルト31に凸形状部311が発生すると、凸形状部311の両側は感光ドラム11やシートPと接触しにくくなる。よって、両側部分はシートPに対してトナー画像を二次転写しにくくなり、白スジが発生する。凸形状部311はシートPに対して多くのトナーを二次転写するため、黒スジが発生する。よって、中間転写ベルト31の塑性変形によるスジを解消するために交換すべき部品は中間転写ユニットである。なお、白スジとは白色のスジではなく濃度が薄くなる(トナーが少なくなる)淡スジのことである。また、黒スジとは濃度が濃くなる(トナーが多くなる)濃スジのことである。
図9を用いて塑性変形に起因したスジの特徴が説明される。塑性変形に起因したスジは、パターン画像が形成されない白地部Wには発生しない。塑性変形に起因したスジは、すべての色のパターンに発生しうる。なぜなら、塑性変形に起因したスジは二次転写部で発生するためである。また、露光の有無や帯電電位とは無関係であるため、デジタルパターンDだけでなく、アナログパターンA1、A2でもスジが発生する。
●感光ドラムのクリーニング不良に起因したスジ
感光ドラム11のクリーニング不良に起因したスジは黒スジとなる。ドラムクリーナ15は、稀に、感光ドラム11を摺擦するブレードの一部が欠損することがある。除去部材としてのブレードの一部が欠損した場合、この欠損部分は、感光ドラム11上に残ったトナーを掻き取ることができない。これが黒スジの原因となる。そのため、黒スジの色から、クリーニング不良が発生したドラムクリーナ15が特定される。たとえば、イエローステーションのドラムクリーナ15でクリーニング不良が発生すると、イエローの黒スジが発生する。また、クリーニング不良に伴う黒スジは白地部WDにほぼ一直線状のスジとして発生する。よって、感光ドラム11のクリーニング不良に伴う黒スジを低減するために交換すべき部品はプロセスカートリッジ50である。このようにドラムクリーナ15を含むアセンブリユニットが交換部品となる。
図9を用いてドラムクリーニング不良に起因したスジの特徴が説明される。ドラムクリーニング不良に起因してスジが発生するため、パターン画像が形成されない白地部WDにもスジが発生する。白地部WDに発生するスジの色は、ドラムクリーナ15に蓄積されたトナーの色と同じ色である。よってこのスジは単色のスジとなる。スジは画像を形成していない色でも発生するため、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの全ての色のパターンで発生する。たとえば、イエローステーションのドラムクリーナ15が欠損すると、シートPの搬送方向の全域にわたってイエローのスジが発生する。
しかし、ブレードの一部が欠損していたとしても、スジが発生しないことがある。図16(A)はブレードの一部が欠損したドラムクリーナ15に対してトナーが供給されていないことを示している。この場合、欠損部分を通り抜けるトナーがほぼないので、テストチャートにはスジが発生しない。
一方、図16(B)が示すように、本実施例ではトナーパッチPDによってトナーがドラムクリーナ15に供給される。そのため、トナーがドラムクリーナ15のブレード欠損部分を通過し、スジ状の画像Xが再び一次転写ニップ部N1へ搬送される。スジ状の画像Xは一次転写ニップ部N1において感光ドラム11から中間転写ベルト31に転写され、二次転写ニップ部N2において中間転写ベルト31からテストチャート701の白地部WDに転写される。よって、白地部WDにスジが顕在化する。なお、ファーブラシに欠損があっても、同様に、スジが顕在化する。
●中間転写ベルトのクリーニング不良に起因したスジ
図9を用いて中間転写ベルト31のクリーニング不良に起因して発生する黒スジについて説明される。ベルトクリーナ35は、稀に、中間転写ベルト31を摺擦する除去部材としてのブレードの一部が欠損することがある。ベルトクリーナ35のブレードの一部が欠損した場合、この欠損部分は、中間転写ベルト31上に残存しているトナーを掻き取ることができない。そのために黒スジが発生する。このタイプのスジの色は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各トナーが混ざった色(混色)となりうる。また、中間転写ベルト31のクリーニング不良に起因して発生する黒スジを低減するために交換すべきユニットはベルトクリーナ35である。
図9を用いて中間転写ベルト31のクリーニング不良に起因したスジの特徴が説明される。ベルトクリーニング不良が原因であるため、パターン画像が形成されない白地部W、WTにもスジが発生する。そして、白地部W、WTに発生するスジはベルトクリーナ35に蓄積されたトナーによるものなので、スジの色はイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの混色となりうる。
しかし、ベルトクリーナ35のブレードの一部が欠損していたとしても、スジが発生しないことがある。図16(C)はブレードの一部が欠損したベルトクリーナ35に対してトナーが供給されていないことを示している。この場合、欠損部分を通り抜けるトナーがほぼないので、テストチャートにはスジが発生しない。
一方、図16(D)が示すように、本実施例ではトナーパッチPTによってトナーがベルトクリーナ35に供給される。そのため、トナーがベルトクリーナ35のブレード欠損部分を通過し、スジ状の画像Xが再び二次転写ニップ部N2へ搬送される。スジ状の画像Xは二次転写ニップ部N2において中間転写ベルト31からテストチャート701の白地部WTに転写される。よって、白地部WTにスジが顕在化する。なお、ファーブラシに欠損があっても、同様に、スジが顕在化する。本実施例では、図16(D)が示すように、テストチャートにスジ状の画像を顕在化させるため、パターンが形成される。このパターンがベルトクリーナ35へトナーを供給する。そして、ベルトクリーナ35に欠損があれば、テストチャート上に、中間転写ベルト31のクリーニング不良に起因したスジが発生する。
[交換部品の特定処理]
図17を用いて交換部品を特定するためのテストチャート701~704の作成処理と交換部品の特定処理が説明される。CPU60は、入力装置62から交換部品の特定指示またはテストチャート701~704の作成指示が入力されると、以下の処理を実行する。
S101でCPU60(チャート生成部64)はプリンタ3を制御してテストチャート701~704を作成する。
●テストチャート701
テストチャート701には、ドラムクリーナ15の欠損部分を通過したスジ状の画像とベルトクリーナ35の欠損部分を通過したスジ状の画像とが1枚のシートに転写される必要がある。しかし、感光ドラム11が1回転する時間は、中間転写ベルト31が1回転する時間よりも短い。従って、テストチャート701の作成処理においては、先ず、トナーパッチPTがトナーパッチPDよりも先に形成される。
チャート生成部64は、トナーパッチPTを形成するために、イエローステーションとマゼンタステーションの帯電器12に帯電電位Vd_Dを設定し、イエローステーションとマゼンタステーションの現像器14に現像電位Vdc_Dを設定する。チャート生成部64は転写制御部70によって一次転写電圧に1Tr_Dを設定する。そして、チャート生成部64は、イエローステーションとマゼンタステーションの露光器13にトナーパッチPTを形成するための画像信号を出力する。これにより、イエロートナーとマゼンタトナーとを混色したトナーパッチPTが中間転写ベルト31上に形成される。チャート生成部64は、転写制御部70によって二次転写電圧を2Tr_PTに設定する。これによって、トナーパッチPTは二次転写ニップ部N2を通過してベルトクリーナ35へ搬送される。そして、ベルトクリーナ35にトナーが供給される。ベルトクリーナ35に欠損部分があれば、トナーパッチPTが形成されていた領域がベルトクリーナ35の清掃位置を通過しても、当該領域にスジ状の画像が残る。チャート生成部64は、トナーパッチPTが二次転写ニップ部N2を通過した後に、転写制御部70によって二次転写電圧を2Tr_Dに制御する。これによって、前述の領域が再び二次転写ニップ部N2を通過するときに、ベルトクリーニング不良が原因のスジ状の画像が中間転写ベルト31からシートP(テストチャート701)に転写される。
また、チャート生成部64は、トナーパッチPDYを形成するために、イエローステーションの帯電器12に帯電電位Vd_Dを設定し、イエローステーションの現像器14に現像電位Vdc_Dを設定する。チャート生成部64は転写制御部70によって一次転写電圧を0に設定する。そして、チャート生成部64は、イエローステーションの露光器13にトナーパッチPDYを形成するための画像信号を出力する。これにより、イエローのステーションがトナーパッチPDYを形成される。同様に、トナーパッチPDM、PDC、PDBkも形成される。トナーパッチPDY、PDM、PDC、PDBkは、一次転写ニップ部N1を通過してドラムクリーナ15へ搬送される。これによって、ドラムクリーナ15にトナーが供給される。ドラムクリーナ15に欠損部分があれば、トナーパッチPDY、PDM、PDC、PDBkが形成されていた領域がドラムクリーナ15の清掃位置を通過しても、当該領域にスジ状の画像が残る。チャート生成部64は、トナーパッチPDY、PDM、PDC、PDBkが一次転写ニップ部N1を通過した後に、転写制御部70によって一次転写電圧を1Tr_Dに制御する。これによって、前述の領域が再び一次転写ニップ部N1を通過するときに、当該領域のスジ状の画像が中間転写ベルト31へ転写される。そして、チャート生成部64は、転写制御部70によって二次転写電圧を2Tr_Dに制御する。これによって、ドラムクリーニング不良が原因のスジ状の画像が中間転写ベルト31からシートP(テストチャート701)の白地部WDに転写される。
●テストチャート702
チャート生成部64は、デジタルパターンDYを形成するために、イエローステーションの帯電器12に帯電電位Vd_Dを設定する。また、チャート生成部64は、イエローステーションの現像器14に現像電位Vdc_Dを設定する。さらに、チャート生成部64は、イエローステーションの露光器13にデジタルパターンDYを形成するための画像信号を出力する。これにより、デジタルパターンDYが形成される。同様に、デジタルパターンDM、DC、DBkが形成される。
●テストチャート703
次に、CPU60はアナログパターンA1Yを形成するために、各色のステーションの帯電器12に帯電電位Vd_A1を設定する。また、チャート生成部64は、各色のステーションの現像器14に現像電位Vdc_A1を設定する。これにより、アナログパターンA1Y、A1M、A1C、A1Bkが形成される。
●テストチャート704
次に、CPU60はアナログパターンA2Yを形成するために、各色のステーションの帯電器12に帯電電位Vd_A2を設定する。また、チャート生成部64は、各色のステーションの現像器14に現像電位Vdc_A2を設定する。これにより、アナログパターンA2Y、A2M、A2C、A2Bkが形成される。以上によりテストチャート701~704が形成され、画像形成装置1の排出トレイに排出される。なお、テストチャート701~704をユーザまたはサービスマンが目視により交換部品を特定する場合は、以下の処理が省略される。
S102でCPU60(診断部67)はイメージリーダー2を制御し、テストチャート701~704を読み取る。診断部67は、テストチャート701~704を載置して読取開始ボタンを押すことを操作者に促すガイダンスを表示装置61に表示してもよい。テストチャート701~704の読取結果は記憶装置63に格納される。
S103でCPU60(診断部67)はテストチャート701~704の読取結果からスジを検出する。たとえば、診断部67は読取結果である画像データを解析し、スジを検出するための特徴量を取得してもよい。読取結果にはRGBの輝度値が含まれており、診断部67はR画像、G画像、B画像に読取結果を分割して、色ごとに個別に解析を実行する。つまり、診断部67は、R画像、G画像、B画像の各々の画像データについて縦スジを検出する。なお、診断部67はR画像、G画像、B画像をY画像、M画像、C画像、K画像に変換してから各色について縦スジを検出してもよい。診断部67は、画像データの縦方向(テストチャート701~704の搬送方向やイメージリーダー2のスキャン方向)に並んだ複数の画素の輝度値の平均値を演算する。これは、イメージリーダー2で重畳された電気的なノイズを低減するためである。
本実施例では、白地部WD、WTの幅(搬送方向の長さ)が10mmであることから、10mmに相当する複数の画素に平均化が適用される。一方、デジタルパターンD、アナログパターンA1、A2では、各色のパターンの幅(短手方向の長さ)が30mmであることから、30mmに相当する複数の画素に平均化が適用される。診断部67は、パターンの長手方向に沿って輝度値(縦方向での平均値)の傾きを補正する傾き補正処理を行う。これによりイメージリーダー2やパターン画像の濃度ムラの影響が低減される。診断部67は、パターンの輝度値において一様な部分(正常部)に対して輝度値の差がある画素群(領域)を検出する。たとえば、診断部67は、長手方向においてパターンの平均輝度値と長手方向におけるパターンの各位置の輝度値(傾き補正された輝度値)との差分(輝度差)を算出する。診断部67は、輝度差が予め定められた閾値(例:平均値の20%)を超える画素群を縦スジとして検出する。診断部67は、正常部の輝度よりも輝度が低い(濃度が高い)スジを黒スジと判別し、逆に輝度が高い(濃度が低い)スジを白スジと判別してもよい。診断部67は、スジが検出されたX方向の位置およびY方向の位置、スジの色、輝度差などをスジの特徴量として記憶装置63に格納する。なお、スジの位置は白地部W、WT、WD、デジタルパターンD、アナログパターンA1、A2のどこでスジが発生しているかを示している。スジの色は、交換部品を特定するのに役立つ。アナログパターンA1におけるスジについての輝度差とアナログパターンA2におけるスジについての輝度差はスジが良化しているどうかを判定するのに役立つ。
S104でCPU60(診断部67)はテストチャート701~704の読取結果(スジの検出結果)に基づきスジの原因と交換部品(または対処方法)を特定する。たとえば、診断部67は記憶装置63に記憶したスジの特徴量に基づき白地部W、WT、WDやYMCBkのパターンごとにスジの有無やスジの色(単色(YMCBk)/混色など)を判別する。診断部67は、この判別結果と、原因および交換部品を特定するための特定条件とを比較することで、原因および交換部品を特定する。診断部67は画像形成装置1の異常箇所を検出する検出手段として機能する。
S105でCPU60(診断部67)は交換部品や対処方法を示すメッセージを表示装置61に表示したり、通信IF55を介してPC124やサーバ128に送信したりする。
図18は交換部品や対処方法を示すメッセージの一例を示している。この例では、テストチャート701~704に縦スジ(搬送方向に延在するスジ)が発生していることや、原因を示すコード、交換部品の名称などの情報が含まれている。ユーザやサービスマンはメッセージを参照することで、スジの原因や交換部品を容易に理解することができる。なお、縦スジが検出されなければ、診断部67は画像形成装置1が正常であることを示すメッセージを表示装置61に表示する。このように、具体的な情報で縦スジの発生および交換部品がわかるため、ユーザおよびサービスマン等が交換部品を容易に理解できるようになる。
[交換部品の特定処理の詳細]
図19は交換部品や対処方法を特定する処理の詳細を示すフローチャートである。CPU60(診断部67)は、X方向の位置ごと(例:1mmごと)に縦スジを検出する。このため、複数のX方向の位置で縦スジが検出されることもあろう。また、複数の縦ジスの原因がそれぞれ異なることもある。したがって、CPU60(診断部67)はスジごとに原因と交換部品を特定する。なお、スジの発生原因を特定することで、交換部品が特定されてもよい。図19が示す各判定処理は、交換部品や原因を特定するための特定条件の集合体でもある。
S200でCPU60(診断部67)は記憶装置63から特徴量を読み出し、白地部W、WD、WTのいずれかにスジが無いかどうかを判定する。テストチャート701~704における白地部W、WD、WTの座標は既知である。CPU60はスジの位置と白地部W、WD、WTの座標とを比較することで、白地部W、WD、WTにおけるスジの有無を判別する。白地部W、WD、WTのいずれかにスジが有れば、CPU60はS201に進む。
S201でCPU60(診断部67)はスジの色が混色かどうかを判定する。スジの色が混色であればCPU60はS202に進む。S202でCPU60(診断部67)は、スジの原因を中間転写ベルト31のクリーニング不良と判別し、ベルトクリーナ35を交換部品に特定する。一方で、スジの色がYMCBkいずれかの単色であればCPU60はS203に進む。S203でCPU60(診断部67)はスジの原因を感光ドラム11のクリーニング不良と判別し、スジの色に対応したプロセスカートリッジ50を交換部品に特定する。S200で白地部W、WD、WTにおいてスジが検出されなければ、CPU60はS204に進む。
S204でCPU60(診断部67)は記憶装置63から特徴量を読み出し、デジタルパターンDY~DBkにスジが存在するかどうかを判定する。テストチャート701~704におけるデジタルパターンDY~DBkの座標は既知である。CPU60はスジの位置とデジタルパターンDY~DBkの座標とを比較することで、デジタルパターンDY~DBkにおけるスジの有無を判別する。デジタルパターンDY~DBkのいずれにもスジがなければ、CPU60はS205に進む。S205でCPU60(診断部67)は交換部品がない(正常)と特定する。一方で、CPU60はデジタルパターンDY~DBkのいずれかにスジを検出すると、S206に進む。
S206でCPU60(診断部67)は記憶装置63から特徴量を読み出し、スジが特定色で発生しているかどうかを判定する。これはスジが全色(デジタルパターンDY~DBkのすべて)で発生しているかどうかを判定することと同じである。スジが全色で発生していれば、CPU60はS207に進む。S207でCPU60(診断部67)はスジの原因を中間転写ベルト31の塑性変形と判別し、中間転写ベルト31を含む転写ユニットを交換部品に特定する。一方で、スジが特定色でのみ発生していれば、CPU60はS208に進む。
S208でCPU60(診断部67)はスジが発生しているデジタルパターンDの色と同じ色のアナログパターンA1にスジが発生しているかどうかを判定する。アナログパターンA1にスジがなければ、CPU60はS209に進む。S209でCPU60(診断部67)は、スジの原因を露光不良と判別し、スジの色に対応した露光器13を交換部品に特定する。なお、CPU60は、スジの色に対応した露光器13の清掃を対処方法として特定してもよい。スジが発生しているデジタルパターンDの色と同じ色のアナログパターンA1にスジが発生していれば、CPU60はS210に進む。
S210でCPU60(診断部67)は、記憶装置63から特徴量を読み出し、アナログパターンA2にスジが無いかどうかを判定する。アナログパターンA2にスジが存在すれば、CPU60はS211に進む。S211でCPU60(診断部67)は、スジの色に対応した現像器を交換部品として特定する。アナログパターンA2にスジが無ければ、CPU60はS212に進む。S212でCPU60(診断部67)は帯電不良をスジの原因として特定し、帯電器12を含むプロセスカートリッジ50を交換部品として特定する。また、交換部品は、スジの色に対応した交換部品である。たとえば、イエローのアナログパターンA1にスジがあるものの、イエローのアナログパターンA2にスジがなければ、イエローを担当しているプロセスカートリッジ50が交換部品として特定される。
このようにCPU60はテストチャート701~704を作成し、テストチャート701~704に発生したスジを分析することでスジの原因と交換部品を特定する。また、CPU60はスジの原因や交換部品を示すメッセージを表示装置61などに出力してもよい。これのより、ユーザやサービスマンがスジの原因や交換部品を容易に認識できるようになる。そのため、メンテナンスに必要な作業時間(ダウンタイム)が大幅に短縮されよう。また、スジに関与した部品が特定されるため、スジに関与していない部品まで交換されることはなくなるであろう。よって、メンテナンス時間に加えてメンテナンスコストも削減されよう。スジの原因や交換部品を示すメッセージはネットワークを介してサービスマンのサーバ128に送信されてもよい。サービスマンは事前に交換部品を把握できるため、交換部品を確実に携帯してメンテナンスを行うことができる。図19が示すスジの原因や交換部品等を特定する処理はユーザやサービスマンがテストチャート701~704を目視して実行してもよい。ここでは、カラープリンタが一例として採用されているが、モノクロプリンタに本実施例が適用されてもよい。
図3が示すテストチャート701~704は一例に過ぎない。テストチャート701~704における白地部W、WD、白地部WT、デジタルパターンD、アナログパターンA1、A2の順序は他の順序であってもよい。テストチャートには、白地部WDまたは白地部WTがあれば十分であり、テストチャートに白地部W、デジタルパターンD、アナログパターンA1、A2は省略されてもよい。つまり、白地部W、WD、WT、デジタルパターンD、アナログパターンA1、A2のうち、操作者が交換の必要性を判断したい考える交換部品に関連したパターンを含むテストチャートが作成さればよい。
縦スジ以外の画像エラーの例としては、シートPの搬送方向に直交した方向に回転部品の回転周期に応じて発生する横スジや回転部品に傷がついて発生する画像傷がある。テストチャート701の搬送方向の長さを、横スジや画像傷の原因となる回転部品の長さ以上とすること、横スジや画像傷なども検出可能となる。横スジや画像傷の特徴と、その特徴に対応する部品とを対応付けた特定条件が記憶装置63に格納されていてもよい。この場合、CPU60は検出された横スジや画像傷の特徴と特定条件とを比較することで交換部品を特定する。
[実施例2]
実施例1では、白地部Wに発生するスジの色に依存してどのクリーナが交換されるべきかが判断されている。つまり、診断部67は、スジが単色であればスジの色に一致するドラムクリーナ15にスジの原因があると判定する。診断部67は、スジの色が混色であればベルトクリーナ35にスジの原因があると判定する。
しかし、スジの程度が小さい場合には、検出されるスジの輝度値が小さくなり、単色であるか混色であるかを判断することが困難となる。また、診断部67は、ブラック単色のスジと、トナーが混色し形成されたブラックのスジとを、スジの検出値で切り分けることができない。
そこで、実施例2では、CPU60は、スジが検出され検出位置に基づき、ドラムクリーナ15とベルトクリーナ35のどちらを交換すべきか、および、どのトナー色を担当するドラムクリーナ15を交換すべきかを判定する。このように白地部W、WD、WTに発生したスジの色を認識できない場合にも交換部品が特定可能となる。なお、実施例1の図19のS201~S203を除き、実施例2は実施例1と同様である。よって、すでに説明された部分は省略される。
[白地部Wにおいてスジが検出された位置に基づく交換部品の特定処理]
図20は交換部品とスジの検出位置との関係を示している。この関係は記憶装置63に記憶され、CPU60によって参照可能とされてもよい。図21は交換部品の特定処理を示すフローチャートである。図19のS201~S203が図21ではS2101~S2103に置換されている。
・S2101でCPU60(診断部67)はスジの検出された位置が白地部WTかどうかを判定する。白地部WTでスジが検出されると、CPU60はS2102に進む。
・S2102でCPU60(診断部67)は、図20が示すように、ベルトクリーナ35を交換部品として特定する。一方で、白地部WTでスジが検出されていない場合、CPU60はS2103に進む。
・S2103でCPU60(診断部67)はスジの検出位置に対応したカートリッジを交換部品に特定する。図20が示すように、白地部WDYでスジが検出された場合、診断部67はイエロートナー用のドラムクリーナ15を交換部品として特定する。白地部WDMでスジが検出された場合、診断部67はマゼンタトナー用のドラムクリーナ15を交換部品として特定する。白地部WDCでスジが検出された場合、診断部67はシアントナー用のドラムクリーナ15を交換部品として特定する。白地部WDBkでスジが検出された場合、診断部67はブラックトナー用のドラムクリーナ15を交換部品として特定する。
このように、診断部67は、スジの検出位置に基づき交換部品を特定できる。よって、スジの色が認識不可能であったとしても、交換部品が特定可能となる。
[実施例3]
実施例2では、どの白地部でスジが検出されたかに依拠して、何れの色のドラムクリーナ15が交換されるべきかと、ベルトクリーナ35を交換すべきかと、が判定されている。図22(A)が示すように、クリーナに起因したスジの長さは、クリーナの消耗や欠損の程度が大きいほど長くなる。この例ではテストチャート701においてイエロー用のドラムクリーナ15にそれぞれ程度の異なる三つの不良が生じたことを示している。三つの不良の程度はそれぞれ異なっている。スジSt1は大きな不良によって発生したスジである。スジSt2は中程度の不良によって発生したスジである。スジSt3は小さな不良によって発生したスジである。テストチャート701の搬送方向においてスジSt1の長さが最も長く、スジSt3の長さが最も短い。テストチャート701の搬送方向においてスジの長さは、パッチPDの長さよりも短くなることもある。スジSt3の発生位置は、スジSt1、St2の発生位置よりも遅延した位置(後方の位置)である。
スジの長さがパッチPDの長さと異なったり、スジの発生位置がパッチPDに対応する位置と異なったりする理由は、ドラムクリーナ15のブレードでパッチPDを構成しているトナーが堰き止められて徐々にドラムクリーナ15を通過するためである。この現象はベルトクリーナ35についても同様に発生する。
実施例2ではスジの位置に基づいて交換部品が特定されている。この特定手法が厳格に適用されると、スジSt1により交換部品としてイエローのドラムクリーナ15とマゼンタのドラムクリーナ15との両方が特定されてしまう。また、スジSt3により交換部品としてマゼンタのドラムクリーナ15が特定されてしまう。
図22(B)は実施例3にかかるテストチャート701と交換部品の特定手法を示している。パッチPDに対する白地部として拡幅型白地部WideWDが採用されている。テストチャート701におけるパッチPDの長さに対して、拡幅型白地部WideWDの長さは長い。たとえば、イエローの感光ドラム11に起因したスジSt1~St3はいずれも拡幅型白地部WideWDY内に位置している。よって、CPU60は、スジSt1~St3に基づきイエローの感光ドラム11を交換部品として正しく特定できる。
なお、YMCBkのそれぞれの拡幅型白地部WideWDが、隣接した他の拡幅型白地部WideWDと重なってしまうと、スジの位置に基づき交換部品を正確に特定することは困難となってしまう。そこで、チャート生成部64は、パッチPDM、PDC、PDBkの形成開始位置をそれぞれ拡幅型白地部WideWDM、WideWDC、WideWDBkの形成開始位置に応じてずらす。ただし、パッチPDと拡幅型白地部WideWDとの距離は感光ドラム11の周長Ldに維持される。
このように実施例3はテストチャート701におけるパッチPDの形成位置と、拡幅型白地部WideWDの位置および長さを工夫することで、実施例2よりもさらに正確に交換部品を特定できる。なお、パッチPTに対応する白地部WTについても同様に拡幅型白地部が採用可能である。
[実施例4]
実施例4は実施例1~3から導き出されるより上位の技術思想である。感光ドラム11および中間転写ベルト31は回転体の一例である。とりわけ、感光ドラム11は回転駆動される感光体の一例である。中間転写ベルト31は像担持体の一例である。YMCBkの各ステーションはトナー画像を形成する画像形成手段の一例である。つまり、ステーションは、像担持体や感光体に現像剤を用いて画像を形成する画像形成手段の一例である。レジストローラ対26はシートを搬送する搬送手段の一例である。一次転写器17や二次転写器27は回転体に形成されたトナー画像を所定部材(例:中間転写ベルト31、シートP)に転写する転写手段の一例である。とりわけ、二次転写ニップ部N2は像担持体に形成された画像がシートへ転写される転写部の一例である。ドラムクリーナ15やベルトクリーナ35は所定部材に転写されずに回転体に残存したトナーを清掃する清掃手段の一例である。ベルトクリーナ35は転写部において像担持体からシートへ転写されずに、像担持体に残留した現像剤を除去する除去部材の一例である。CPU60は画像形成手段および転写手段を制御する制御手段の一例である。図3などを用いて説明されたように、CPU60は回転体のn回転目で画像形成手段を制御してトナー画像を回転体の所定領域に形成し、清掃手段に当該トナー画像を清掃させる。さらに、CPU60は回転体のn+1回転目で画像形成手段を制御して回転体の所定領域にトナー画像を形成しないことで交換部品を特定するためのテストチャート(例:テストチャート701)を形成する。つまり、CPU60は画像形成装置の異常箇所を検出するために用いるテストチャートを作成する処理を実行する制御手段である。CPU60はこの処理が実行される場合、画像形成手段によってパターン画像を形成させ、パターン画像が転写部を通って除去部材により除去されるように像担持体を回転させる。さらに、CPU60は、パターン画像が転写された位置を含む像担持体上の領域が再び転写部を通過する期間とシートが転写部を通過する期間とが重なるように、搬送手段を制御する。このように、テストチャートを形成する前に予めトナー画像を回転体に形成し、それを清掃手段に清掃させることで、清掃手段に起因する画像不良がテストチャート上に顕在化しやすくなる。つまり、n回転目で回転体の所定領域に形成されるトナー画像は画像不良を顕在化させるためのトナー画像である。
図16が示すように、画像形成手段は、n回転目で、回転体上でトナー画像が形成された所定領域に、n+1回転目でトナー画像を形成しないことで、テストチャートにスジ状の画像の検出領域(例:白地部WD、WT)を形成する。CPU60は縦スジを顕在化させるためのパッチPDを形成したタイミングから感光ドラム11が一回転したタイミングに白地部WDを形成する。つまり、パッチPDの形成開始時刻と、白地部WDの形成開始時刻との時間差は、感光ドラム11の一回転に要する時間である。白地部WDの形成開始時刻から、感光ドラム11の一回転に要する時間だけ前の時刻に、パッチPDが形成される。
同様に、CPU60は縦スジを顕在化させるためのパッチPTを形成したタイミングから中間転写ベルト31が一回転したタイミングに白地部WTを形成する。つまり、パッチPTの形成開始時刻と、白地部WTの形成開始時刻との時間差は、中間転写ベルト31の一回転に要する時間である。白地部WTの形成開始時刻から、中間転写ベルト31の一回転に要する時間だけ前の時刻に、パッチPTが形成される。
CPU60の診断部67は、テストチャートにおける検出領域に発生したスジ状の画像の検出結果に基づき交換部品を特定する特定手段の一例である。テストチャート701はイメージリーダー2により読み取られて診断部67で使用されてもよいが、人間がテストチャート701を目視して交換部品を特定してもよい。
実施例1で説明されたように、診断部67は、テストチャート701における検出領域に発生したスジ状の画像の色に基づき交換部品が特定されてもよい。実施例2、3で説明されたように、診断部67は、テストチャートに発生したスジ状の画像の発生位置に基づき交換部品を特定してもよい。図3を用いて説明されたように、回転体の回転方向におけるトナー画像(例:パッチPD、PT)の長さと、回転体の回転方向における検出領域(例:白地部WD,WT)の長さは基本的に一致していてもよい。
図22(B)が示すように、回転体の回転方向における検出領域の長さは回転体の回転方向におけるトナー画像の長さよりも長くてもよい。これにより、スジの長さの違いやスジの遅延が発生しても、診断部67は交換部品を適切に特定できる。
テストチャート703は、第一帯電電位が適用されかつ露光が適用されずに形成されたトナー画像である第一非露光像を有していてもよい。テストチャート704は第一帯電電位と異なる第二帯電電位が適用されかつ露光が適用されずに形成されたトナー画像である第二非露光像とを有してもよい。
像担持体のn回転目で像担持体に形成されるトナー画像は単色のトナー画像であるが、中間転写体のm回転目で中間転写体に形成されるトナー画像は複数のトナー色を混色したトナー画像であってもよい。これにより、ドラムクリーナ15とベルトクリーナ35とのどちらに問題があるかを診断部67が特定しやすくなろう。
転写制御部70は像担持体のn回転目で像担持体と一次転写手段とのニップ部(一次転写ニップ部N1)を像担持体の所定領域に形成されたトナー画像が通過する際の一次転写条件を当該トナー画像が中間転写体に付着しにくくなる条件に設定してもよい。これにより、縦スジを顕在化させるためのトナーをドラムクリーナ15へ供給しやすくなる。また、中間転写ベルト31が汚れにくくなろう。転写制御部70は像担持体のn+1回転目で像担持体と一次転写手段とのニップ部(一次転写ニップ部N1)を像担持体の所定領域が通過する際の一次転写条件を所定領域に形成されたトナー画像のうち第一清掃手段により清掃しきれなかったトナーが中間転写体に転写されやすくなる条件に設定する。これによりスジがテストチャート上で顕在化しやすくなる。
転写制御部70は中間転写体のm回転目で中間転写体と二次転写手段とのニップ部(二次転写ニップ部N2)を中間転写体の所定領域に形成されたトナー画像が通過する際の二次転写条件を当該トナー画像が二次転写手段に付着しにくくなる条件に設定する。これにより、縦スジを顕在化させるためのトナーをベルトクリーナ35へ供給しやすくなる。また、二次転写器27が汚れにくくなろう。転写制御部70は中間転写体のm+1回転目で中間転写体と二次転写手段とのニップ部(二次転写ニップ部N2)を中間転写体の所定領域が通過する際の二次転写条件を所定領域に形成されたトナー画像のうち第二清掃手段により清掃しきれなかったトナーがテストチャートとなるシートに転写されやすくなる条件に設定する。これによりスジがテストチャート上で顕在化しやすくなる。
診断部67は、読取装置から取得されたテストチャートに関する読取データに基づいて画像形成装置の異常箇所を検出する検出手段の一例である。診断部67は、読取データに基づいてテストチャートからスジ状の画像を検出し、スジ状の画像の検出結果に基づいて画像形成装置の異常箇所を検出する。診断部67は、読取データに基づいてテストチャートからスジ状の画像が検出された場合、除去部材の異常を検出する。CPU60は、パターン画像が転写部を通過する場合、転写部を第1の転写条件に基づいて制御する。CPU60は、パターン画像の領域が再び転写部を通過する場合、転写部を第1の転写条件と異なる第2の転写条件に制御する。二次転写電源72は転写部へ転写電圧を供給する供給手段の一例である。CPU60は、パターン画像が転写部を通過する場合、像担持体の現像剤がシートへ転写されないように、供給手段から転写部へ第1転写電圧を供給する。CPU60は、パターン画像の領域が再び転写部を通過する場合、像担持体の現像剤がシートへ転写されるように、供給手段から転写部へ第2転写電圧を供給する。
一次転写ニップ部N1は感光体に形成された画像が転写体へ転写される一次転写ニップ部の一例である。ドラムクリーナ15は一次転写ニップ部において感光体から転写体へ転写されずに、感光体に残留した現像剤を除去する除去部材の一例である。二次転写ニップ部N2は転写体へ転写された画像がシートへ転写される二次転写ニップ部の一例である。CPU60は、画像形成装置の異常箇所を検出するために用いるテストチャートを作成する処理を実行する。この処理が実行された場合、CPU60は、画像形成手段によってパターン画像を形成させ、一次転写ニップ部を第1転写条件に制御し、パターン画像が一次転写ニップ部を通って除去部材により除去されるように感光体を回転させる。CPU60は、パターン画像が形成された位置を含む感光体の第1領域が再び一次転写ニップ部を通過する期間に一次転写ニップ部を第1転写条件と異なる第2転写条件に制御する。さらに、CPU60、一次転写ニップ部において感光体の第1領域と接触した転写体の第2領域が二次転写ニップ部を通過する期間と、シートが二次転写ニップ部を通過する期間とが重なるように、搬送手段を制御する。
診断部67は、読取装置から取得されたテストチャートに関する読取データに基づいて画像形成装置の異常箇所を検出する検出手段の一例である。診断部67は、読取データに基づいてテストチャートからスジ状の画像を検出し、スジ状の画像の検出結果に基づいて画像形成装置の異常箇所を検出する。診断部67は、読取データに基づいてテストチャートからスジ状の画像が検出された場合、除去部材の異常を検出することを特徴とする。一次転写電源71は一次転写ニップ部へ転写電圧を供給する供給手段の一例である。CPU60は、第1転写条件に基づいて供給手段から一次転写ニップ部へ第1転写電圧を供給する。さらに、CPU60は、第2転写条件に基づいて供給手段から一次転写ニップ部へ第1転写電圧よりも転写される現像剤の量が増加するような第2転写電圧を供給する。