[第1実施形態]
以下、図1~図4を参照して、第1実施形態に係るドライバドリル1について説明する。なお、本実施形態では、取り外し可能に装着された先端工具(図示略)を回転駆動する回転工具、より詳細には、先端工具によって穿孔作業を遂行可能な穿孔工具として、電動式のドライバドリル1を例示する。
まず、ドライバドリル1の概略構成について説明する。図1に示すように、ドライバドリル1の外郭は、工具本体10によって形成されている。工具本体10は、本体ハウジング11と、ハンドル15とを含む。本体ハウジング11は、所定の駆動軸A1に沿って延在し、モータ2および駆動機構3を収容している。駆動軸A1の延在方向における本体ハウジング11の一端部からは、先端工具(図示略)を着脱可能なチャック37が駆動軸A1に沿って突出している。ハンドル15は、使用者による把持が可能に構成されており、本体ハウジング11から駆動軸A1に交差する方向(概ね直交する方向)に突出している。ハンドル15の基端部(本体ハウジング11に接続する端部)には、使用者による押圧操作(引き操作)が可能なトリガ153が設けられている。また、ハンドル15の突出側の端部(先端部)には、バッテリ装着部157を介して、充電式のバッテリ9が取り外し可能に装着されている。
なお、以下では、説明の便宜上、駆動軸A1の延在方向をドライバドリル1の前後方向と規定し、チャック37が配置されている側を前側、反対側を後側と規定する。また、駆動軸A1に直交し、ハンドル15の延在方向に対応する方向を上下方向と規定し、本体ハウジング11側を上側、突出端側(バッテリ9が着脱される側)を下側と規定する。また、前後方向および上下方向に直交する方向を左右方向と規定する。
以下、ドライバドリル1の物理的構成の詳細について説明する。
ドライバドリル1は、ドリルモードおよびドライバモードという2つの動作モードを有する。ドリルモードは、先端工具の一例であるドリルビットを回転駆動することで、被加工物への穿孔作業を行う動作モードである。ドライバモードは、先端工具の別の一例であるドライバビットを回転駆動することでネジの締結作業を行う動作モードである。図1に示すように、本体ハウジング11の前端部には、駆動軸A1周りに回転可能なモード切替リング117が設けられている。使用者は、モード切替リング117の回転操作により、ドライバドリル1の動作モードを切り替えることができる。
本体ハウジング11の内部構造について説明する。図1に示すように、本体ハウジング11には、駆動源としてのモータ2と、モータ2の動力によって先端工具を駆動するように構成された駆動機構3とが収容されている。
本実施形態では、モータ2として、三相ブラシレス直流(DC)モータが採用されている。モータ2は、三相コイルを有するステータ21と、永久磁石を有するロータ23と、ロータ23から延設され、ロータ23と一体的に回転するモータシャフト25とを備えている。モータ2は、本体ハウジング11の後端部内に配置されており、モータシャフト25の回転軸は、駆動軸A1上を延在する。
本実施形態の駆動機構3は、遊星減速機31と、クラッチ機構33と、スピンドル35と、チャック37とを含む。駆動機構3の構成自体は周知であるため、簡単に説明する。
遊星減速機31は、3段の遊星ギア機構を含む減速機構として構成され、モータ2の前側に配置されている。遊星減速機31は、モータシャフト25から入力されたトルクを増大させ、スピンドル35に出力する。これにより、スピンドル35は、駆動軸A1周りに回転駆動される。チャック37は、スピンドル35と一体的に回転するように、スピンドル35に同軸状に連結されている。なお、本体ハウジング11の上面には、変速レバー311が設けられている。変速レバー311は、前後方向に移動可能に配置されており、遊星減速機31の切替機構(図示略)に連結されている。変速レバー311の位置が切り替えられると、切替機構を介して遊星減速機31の減速比(つまり、スピンドル35の回転数)が切り替えられる。クラッチ機構33は、遊星減速機31の前側に配置されている。クラッチ機構33は、動作モードとしてドライバモードが選択されている場合、遊星減速機31から出力されるトルクが設定された閾値に達すると、スピンドル35へのトルク伝達を遮断するように構成されている。トルクの閾値は、本体ハウジング11の前端部に設けられたトルク調整リング115の回転操作により設定される。
ハンドル15およびその内部構造について説明する。図1に示すように、ハンドル15は、概ね上下方向に延在する筒状の把持部151と、把持部151の下端部に接続し、ハンドル15の下端部を構成する矩形箱状のコントローラ収容部155とを含む。
トリガ153は、把持部151の上端部の前側に設けられている。把持部151内には、トリガスイッチ154が収容されている。トリガスイッチ154は、常時にはオフ状態で維持され、トリガ153の押圧操作に応じてオン状態とされる。トリガスイッチ154は、オン状態とされた場合、図示しない配線を介して、トリガ153の操作量に応じた信号をコントローラ5に出力するように構成されている。
コントローラ収容部155内には、モータ2の駆動制御等、ドライバドリル1の各種動作を制御するように構成されたコントローラ5が収容されている。なお、コントローラ5は、ケース50内に配置されたメイン基板に搭載されている。なお、本実施形態では、コントローラ5は、CPU501、ROM502、RAM503、タイマ504、メモリ(詳細には、不揮発性メモリ)505を含むマイクロコンピュータとして構成されている(図2参照)。また、本実施形態では、メイン基板には、加速度センサ71も搭載されている。加速度センサ71は、工具本体10と一体的に動くコントローラ5の加速度を検出し、図示しない配線を介して、加速度の検出値を示す信号をコントローラ5に出力するように構成されている。
更に、コントローラ収容部155の上部には、使用者による外部操作が可能な操作部73が設けられている。詳細な図示は省略するが、操作部73は、各種情報の入力を受け付ける押しボタンを有する。なお、操作部73は、押しボタンに代えて、使用者の外部操作が可能なスライドレバー、タッチパッド等を備えていてもよい。操作部73は、図示しない配線を介してコントローラ5に接続されており、入力された情報を示す信号をコントローラ5に出力するように構成されている。コントローラ収容部155の下端部には、バッテリ装着部157が設けられている。バッテリ装着部157の構成自体は周知であるため、ここでの説明は省略する。
ドライバドリル1の電気的構成について説明する。
図2に示すように、コントローラ5には、三相インバータ51、ホールセンサ53、電流検出アンプ55、トリガスイッチ154、加速度センサ71、および操作部73が電気的に接続されている。
三相インバータ51は、6つの半導体スイッチング素子を用いた三相ブリッジ回路を備えている。ホールセンサ53は、モータ2の各相に対応して配置される3つのホール素子を備えており、ロータ23の回転位置を示す信号を、コントローラ5に出力するように構成されている。コントローラ5は、ホールセンサ53から入力された信号(ロータ23の回転位置)に応じて、三相インバータ51を介してモータ2への通電を制御する。本実施形態では、コントローラ5は、三相インバータ51を介してモータ2を波駆動するように構成されており、各相端子の印加電圧はロータ23の回転位置に応じて変化する。また、本実施形態では、コントローラ5は、トリガスイッチ154からの信号(トリガ153の操作量)に応じてPMW(パルス幅変調)信号を生成し、三相インバータ51に出力することで、スイッチング素子をPMW制御する。その結果、トリガ153の操作量に応じて、モータ2へ印加される実質的な電圧、つまりモータ2の回転数が調整される。電流検出アンプ55は、モータ2に流れる電流をシャント抵抗によって電圧に変換し、更にアンプによって増幅した信号をコントローラ5に出力する。
以下、コントローラ5によるドライバドリル1の動作制御の概要について説明する。
本実施形態では、コントローラ5(詳細には、CPU501)は、先端工具に加えられる負荷(モータ2に加えられる負荷ともいえる)に対応する情報(指標値、物理量)(以下、単に負荷情報という)を監視し、負荷情報に応じて、モータ2への通電角を制御するように構成されている。これは、モータ2の動作特性を、通電角に応じて変化させるためである。具体的には、通電角を小さくすると、モータ2の出力トルクが上昇する一方で、モータ2の回転数は低下する。反対に、通電角を大きくすると、モータ2の出力トルクが低下する一方で、モータ2の回転数は上昇する。そこで、本実施形態では、コントローラ5は、通電角を120度または150度に設定可能とされており、先端工具に加えられる負荷が比較的大きい場合には、モータ2の出力トルクを優先して、通電角を、より小さい120度に設定する。反対に、先端工具に加えられる負荷が比較的小さい場合には、コントローラ5は、モータ2の回転数(先端工具の高速駆動)を優先して、通電角を、より大きい150度に設定する。
以下の説明では、120度の通電角で駆動すること、および150度の通電角で駆動することを、夫々、高トルクモード駆動および低トルクモード駆動とも称する。なお、上述のように、本実施形態では、トリガ153の操作量に応じて回転数が制御されるが、トリガ153の操作量が同じ場合には、高トルクモード駆動時の方が、低トルクモード駆動時よりも出力トルクが高く、モータ2の回転数が低いことになる。
なお、三相ブラシレスモータでは、モータ2に加えられる負荷が大きくなるほど、モータ2の電流が増大するとともに、モータ2の回転数が低下することは周知である。また、このとき、モータ2の電流の増大に応じてバッテリ9の電流も増大するとともに、バッテリ9の電圧が低下することも周知である。よって、コントローラ5が監視する負荷情報としては、例えば、モータ2の電流値、モータ2の回転数、バッテリ9の電流値、バッテリ9の電圧値を好適に採用することができる。詳細は後述するが、本実施形態では、負荷情報として、電流検出アンプ55によって検出されるモータ2の電流値が採用されている。コントローラ5は、モータ2の駆動中、電流検出アンプ55によって検出されるモータ2の電流値を監視し、電流値が所定の閾値を超えるか否かに応じて、通電角を120度と150度の間で変更する。なお、このようなモータ2の通電角の設定方法は、例えば、国際公開WO2012/108415に開示されている。
また、本実施形態では、コントローラ5(詳細には、CPU501)は、負荷情報と、工具本体10の駆動軸A1周りの回転状態に対応する情報(指標、物理量)(以下、単に回転状態情報という)を監視し、これらの情報に基づいて、先端工具のロックに起因して工具本体10に過度な回転が生じるか否か(キックバック発生の可能性)を判断するように構成されている。そして、過度な回転が生じる(キックバック発生の可能性が比較的高い)と判断すると、モータ2の駆動を停止することで、先端工具の回転駆動を停止させるように構成されている。
本実施形態では、上述のように、電流検出アンプ55によって検出されるモータ2の電流値が、負荷情報として用いられる。また、回転状態情報としては、例えば、速度、加速度、角速度、角加速度を好適に採用することができる。本実施形態では、加速度センサ71によって検出される加速度が、回転状態情報として用いられる。詳細は後述するが、コントローラ5は、これらの情報に基づいて、先端工具のロックに起因する過度な回転が生じるか否かを判断する。なお、このような過度な回転の判断方法は、例えば、特開2011―93073号公報、特開2013―244581号公報に開示されている。
以下、図3~図5を参照して、コントローラ5(詳細には、CPU501)によって実行されるモータ2の駆動制御処理の詳細と、処理中のドライバドリル1の具体的な動作について説明する。なお、モータ2の駆動制御処理は、トリガ153が引き操作され、トリガスイッチ154がオン状態とされると開始され、モータ2の駆動が停止されると終了される。なお、以下の説明および図では、処理中の各「ステップ」を「S」と簡略表記する。
図3に示すように、処理が開始されると、CPU501は、三相インバータ51を介してモータ2に通電し、トリガ153の操作量に応じた回転数でモータ2の駆動を開始する(S100)。なお、本実施形態では、通電角の初期値は150度に設定されており、モータ2は、低トルクモードで駆動される。CPU501は、電流検出アンプ55から出力される信号に基づいて、モータ2の電流値を特定し(S200)、更に、加速度センサ71から出力される信号に基づいて、加速度の検出値を特定する(S300)。
CPU501は、S200で特定されたモータ2の電流値に基づいて、モータ2への通電角を設定する通電角設定処理を行う(S400)。図4に示すように、通電角設定処理では、CPU501は、電流値が閾値よりも大きいか否かを判断する(S401)。そして、電流値が閾値よりも大きい場合(S401:YES)、つまり、先端工具およびモータ2に加えられる負荷が比較的大きい場合には、通電角を120度に設定する(S402)。一方、電流値が閾値以下の場合(S401:NO)、つまり、先端工具およびモータ2に加えられる負荷が比較的小さい場合には、通電角を150度に設定する(S403)。以降、CPU501は、設定した通電角でモータ2を駆動する。なお、S401で電流値と比較される閾値は、予め定められ、例えば、ROM502またはメモリ505に記憶されていればよい。なお、S402またはS403において、通電角がその時点で設定されている角度から変更される場合には、進角もあわせて変更されることが好ましい。具体的な進角の値は、ドライバドリル1の構造、機能、要求特性に応じて予め設定され、通電角に対応付けて、例えば、ROM502またはメモリ505に記憶されていればよい。
図3に示すように、CPU501は、通電角設定処理に続き、S200で特定されたモータ2の電流値と、S300で特定された加速度に基づいて、工具本体10の回転状態を推定する回転状態推定処理を行う(S500)。なお、本実施形態では、工具本体10の回転の開始から加速度の検出を経て、工具本体10が停止するまでに回転すると予想される角度(以下、予想回転角度という)が、工具本体10の過度な回転状態、言い換えると過度な回転の度合いを示す指標値の一例として算出される。なお、この予想回転角度の算出方法は、特開2013―244581号公報に開示されている方法と基本的に同じである。
図5に示すように、回転状態推定処理では、CPU501はまず、使用者が工具本体10を保持する力に対応する情報の一例としての保持トルクを推定する(S501)。なお、保持トルクとは、工具本体10を保持する使用者によって、工具本体10に加えられるトルク(抵抗トルク)であって、工具本体10に加えられる外力(外部からの抵抗力)ともいえる。CPU501は、モータ2の既知の特性に基づき、モータ2の電流値から、モータトルクを得ることができる。また、加速度センサ71から出力された単位時間ごとの加速度を演算処理することで、角加速度を得ることができる。CPU501は、慣性モーメント、角加速度、モータトルク、および保持トルクの間の所定の関係から、保持トルクを推定することができる。なお、使用者の保持トルクは、工具本体10と使用者との位置関係等に応じて短い時間で大きく変化しうるため、ここでは、短い積分時間を用いて保持トルクの積分値を推定する。
更に、CPU501は、予想回転角度を推定する(S502)。予想回転速度は、すでに回転している角度、モータ2への通電を停止するまでに回転する角度、モータ2への通電停止後に回転する角度の合算値である。なお、すでに回転している角度は、角加速度を適宜演算処理することで得られる。また、モータ2への通電を停止するまでに回転する角度は、工具本体10が、角加速度の積分値として得られる角速度で等速運動するとして、停止までに要する時間から推定することができる。モータ2への通電停止後に回転する角度は、角速度で運動中の工具本体10が、S501で得られた使用者の保持トルクによって停止するとして、慣性モーメント、角速度、および保持トルクの間の所定の関係から推定することができる。
図3に示すように、CPU501は、回転状態推定処理(S500)の後、予想回転速度に基づいて、先端工具のロックに起因する工具本体10の過度な回転が生じるか否かを判断する(S600)。より詳細には、CPU501は、予想回転速度が閾値よりも大きい場合には、過度な回転が生じると判断し(S600:YES)、トリガスイッチ154の状態にかかわらず、強制的にモータ2の駆動を停止する(S800)。なお、このとき、CPU501は、モータ2への通電を停止するのみならず、モータ2を電気的に制動することが好ましい。なお、S600で予想回転角度と比較される過度な回転に関する判断用の閾値は、予め定められ、例えば、ROM502またはメモリ505に記憶されていればよい。
一方、CPU501は、予想回転速度が閾値以下の場合には、過度な回転が生じていないと判断し(S600:NO)、トリガスイッチ154がオフ状態か否かを判断する(S700)。トリガスイッチ154がオン状態の場合(S700:NO)、CPU501は、S200の処理に戻る。トリガスイッチ154がオン状態の間、CPU501は、モータ2の電流値と加速度を監視し、過度な回転が生じなければ、先端工具への負荷に応じて高トルクモードと低トルクモードとを適宜切り替えながら、モータ2の駆動を継続する。この間、先端工具が回転駆動される。トリガスイッチ154がオフ状態とされると(S700:YES)、CPU501は、モータ2の駆動を停止する(S800)。
以上に説明したように、本実施形態のドライバドリル1は、工具本体10と、ブラシレスモータであるモータ2と、先端工具に加えられる負荷に対応するモータ電流値を検出する電流検出アンプ55と、工具本体10の駆動軸A1周りの回転状態に対応する加速度を検出する加速度センサ71と、ドライバドリル1の動作を制御するコントローラ5(CPU501)とを備えている。CPU501は、モータ電流値に応じてモータ2への通電角を設定することで、モータ2の出力トルクおよび回転数を制御する。また、電流検出アンプ55によって検出されたモータ電流値は、加速度センサ71によって検出された加速度と共に、先端工具のロックに起因する工具本体10の過度な回転が生じるか否かの判断にも利用される。CPU501は、モータ電流値と加速度に基づいて、工具本体10の過度な回転の可能性の適切な判断を行うことができる。このように、本実施形態のドライバドリル1では、2つの検出器(電流検出アンプ55と加速度センサ71)を用いて、工具本体10の過度な回転の可能性の適切な判断のみならず、先端工具に加えられる負荷に応じたモータ2の出力トルクおよび回転数の制御が可能な合理的な構成が実現されている。
[第2実施形態]
以下、図6を参照して、第2実施形態に係るドライバドリルについて説明する。本実施形態のドライバドリルの物理的構成および電気的構成は、第1実施形態のドライバドリル1(図1および図2参照)と実質的に同一であるが、コントローラ5(CPU501)によって行われるモータ2の駆動制御処理の内容の一部が、第1実施形態とは異なっている。よって、以下では、第1実施形態と同一の構成および処理の内容については、同じ符号およびステップ番号を付して、適宜、説明および図示を省略または簡略化し、主に、処理の内容において異なる点について説明する。この点については、これ以降の実施形態でも同様である。
まず、本実施形態におけるモータ2の駆動制御の概要について説明する。本実施形態でも、第1実施形態と同様、CPU501は、モータ2の電流値に基づいて通電角を設定し、モータ2を駆動するとともに、電流値および加速度に基づいて、過度な回転が生じるか否かを判断するように構成されている。更に、本実施形態では、CPU501は、モータ2の駆動中に、通電角の設定履歴に基づいて、過度な回転が生じるか否かの判断に用いられる閾値を変更するように構成されている。このため、CPU501は、通電角設定処理を行う度に、通電角の設定結果を記憶するように構成されている。
以下、本実施形態におけるモータ2の駆動制御処理の詳細について説明する。図6に示すように、トリガスイッチ154がオン状態とされて処理が開始されると、CPU501は、低トルクモードでモータ2の駆動を開始する(S100)。そして、モータ2の電流値および加速度を特定し、更に、電流値に基づいて通電角を設定する(S200、S300、S400)。本実施形態では、RAM503には、通電角の設定履歴として、通電角設定処理の実行回数と、通電角が120度に設定された回数が記憶される記憶エリアが設けられている。なお、本実施形態では、処理の開始時にRAM503は初期化され、いずれの回数も初期値のゼロとされる。CPU501は、通電角設定処理の後、RAM503に記憶された、通電角設定処理の実行回数および120度に設定された回数を更新することで、設定履歴を更新する(S411)。
更に、CPU501は、通電角設定処理の実行回数に対し、通電角が120度に設定された回数の割合、つまり、通電角が120度に設定された頻度(以下、高トルクモード頻度という)を算出し(S412)、高トルクモード頻度を閾値と比較する(S413)。なお、S413で用いられる閾値は、予め定められ、例えば、ROM502またはメモリ505に記憶されていればよい。高トルクモード頻度が閾値以下の場合(S413:NO)、CPU501は、S600で予想回転角度と比較される閾値(過度な回転の判断用の閾値)を、第1閾値に設定する(S414)。高トルクモード頻度が閾値よりも高い場合(S413:YES)、CPU501は、過度な回転の判断用の閾値を、第2閾値に設定する(S415)。なお、S414またはS415で設定された過度な回転の判断用の閾値は、RAM503の所定の記憶エリアに記憶される。
なお、過度な回転の判断用の第2閾値は、第1閾値よりも大きい値である。第1閾値は、比較的力が弱い使用者(つまり、比較的小さい保持トルクしか発揮できない使用者)を考慮して設定された初期値である。よって、第1閾値に基づく過度な回転の判断基準は、比較的低い。これに対し、第2閾値は、比較的力が強い使用者(つまり、比較的大きい保持トルクを定常的に発揮できる使用者)を考慮して設定されているため、第2閾値に基づく過度な回転の判断基準は、比較的高い。つまり、第2閾値に基づく判断では、第1閾値に基づく判断に比べると、過度な回転が生じると判断されにくくなる。
CPU501は、その後、回転状態推定処理において予想回転角度を推定し(S500)、S414またはS415で設定された閾値(第1閾値または第2閾値)との比較結果に応じて、過度な回転が生じるか否かを判断する(S600)。そして、過度な回転は生じていないと判断し(S600:NO)、トリガスイッチ154がオフ状態でなければ(S700:NO)、S200の処理に戻る。過度な回転が生じると判断した場合には(S600:YES)モータ2の駆動を停止する(S800)。また、過度な回転は生じていないがトリガスイッチ154がオフ状態とされた場合も(S700:YES)、モータ2の駆動を停止する(S800)。
以上に説明したように、本実施形態では、CPU501は、モータ2への通電角を、120度または150度に設定可能である。また、CPU501は、モータ電流値および加速度に基づいて、工具本体10の回転度合いを示す指標値としての予想回転角度を算出し、予想回転角度が閾値を超える場合に、先端工具のロックに起因する工具本体10の過度な回転が生じると判断する。更に、CPU501は、ドライバドリル1の使用状態に関する情報として、先端工具およびモータ2への負荷に応じて設定される通電角(詳細には、通電角が120度に設定された頻度である高トルクモード頻度)を監視しており、高トルクモード頻度に基づいて、過度な回転が生じるか否かの判断基準(具体的には、過度な回転の判断用の閾値)を変更する。
通電角が120度に設定される場合、先端工具には、150度に設定される場合よりも大きい負荷が加えられている状態である。つまり、高トルクモード頻度は、実際に作業が遂行される時間に対し、先端工具に加えられる負荷が比較的大きい時間の割合に概ね対応するといえる。よって、本実施形態の処理によれば、先端工具に加えられる負荷の状況に応じて、過度な回転が生じる可能性の判断基準を柔軟に変更することができる。特に、本実施形態では、CPU501は、高トルクモード頻度が閾値を超える場合、予想回転角度用の閾値を、初期値である第1閾値よりも大きい第2閾値に変更する。高トルクモード頻度が高くなるほど、先端工具に加えられる負荷が比較的大きい時間の割合が大きくなるといえる。このような場合、使用者が、先端工具に高負荷がかかる作業に耐えうるだけの保持力を、ある程度定常的に発揮できると推定できる。このため、本実施形態では、このような場合に、予想回転角度用の閾値を、初期値である第1閾値よりも大きい第2閾値とすることで、過度な回転が生じる可能性の判断基準を高くし、作業性を高めることができる。
なお、通電角設定処理の実行回数が少ない場合には、高トルクモード頻度は、使用者が定常的な高負荷作業に耐えうる力を有するか否かを正確に反映できない可能性がある。よって、通電角設定処理の実行回数が所定の閾値以下の場合には、CPU501は、予想回転角度用の閾値を、一律に第1閾値(初期値)に設定してもよい。そして、通電角設定処理の実行回数が所定の閾値を超えたら、上述のように、S413~S415の処理で高トルクモード頻度に応じて過度な回転の判断用の閾値を設定してもよい。
また、本実施形態では、通電角の設定履歴は、一度のモータ2の駆動制御処理の間だけRAM503に記憶されている。つまり、高トルクモード頻度は、一回の作業中の通電角の設定履歴に基づいて算出されている。しかしながら、通電角の設定履歴は、ドライバドリル1に電源が投入されている間(つまり、バッテリ9が装着されている間)、RAM503に記憶されてもよい。この場合、CPU501は、過去の複数回の作業に亘る設定履歴に基づいて、閾値を適宜変更することができる。また、CPU501は、S411において、通電角の設定履歴を、RAM503ではなく、メモリ505に記憶させてもよい。この場合、一旦電源が落とされても、メモリ505には、それよりも前の通電角の設定履歴が残されることになる。この場合、CPU501は、操作部73が外部操作され、操作部73から出力された履歴消去の指示を示す信号を認識した場合、設定履歴を消去すればよい。
[第3実施形態]
以下、図7を参照して、第3実施形態に係るモータ2の駆動制御処理について説明する。
まず、本実施形態におけるモータ2の駆動制御の概要について説明する。本実施形態でも、第1実施形態と同様、CPU501は、モータ2の電流値に基づいて通電角を設定し、モータ2を駆動するとともに、電流値および加速度に基づいて、過度な回転が生じるか否かを判断するように構成されている。更に、本実施形態では、CPU501は、過度な回転に関する判断履歴に基づいて、高トルクモード駆動時(通電角が120度の時)のモータ2の出力を変更するように構成されている。このため、CPU501は、過度な回転が生じるか否かの判断を行う度に、その判断結果を記憶するように構成されている。
以下、本実施形態におけるモータ2の駆動制御処理の詳細について説明する。図7に示すように、トリガスイッチ154がオン状態とされて処理が開始されると、CPU501は、低トルクモードでモータ2の駆動を開始する(S100)。
CPU501は、過去に過度な回転と判断された頻度(以下、単に過度な回転頻度という)を算出する(S101)。本実施形態では、メモリ505には、過度な回転に関する判断履歴として、判断処理(S600)の実行回数と、過度な回転と判断された回数が記憶される記憶エリアが設けられている。CPU501は、記憶エリアを参照し、判断処理の実行回数に対し、過度な回転と判断された回数の割合を、過度な回転頻度として算出する。そして、過度な回転頻度を閾値と比較する(S102)。なお、S102で用いられる閾値は、予め定められ、例えば、ROM502またはメモリ505に記憶されていればよい。過度な回転頻度が閾値よりも高い場合(S102:YES)、CPU501は、高トルクモード駆動時の出力を、規定出力よりも低い出力に設定する(S103)。ここでは、例えば、規定出力に対して予め定められた比率だけ低い出力が設定されればよい。一方、過度な回転頻度が閾値以下の場合には(S102:NO)、CPU501は、高トルクモード駆動時の出力を規定出力に設定する(S104)。なお、S102~S104の処理は、過度な回転に関する判断処理の実行回数が所定の閾値を超えた場合にのみ行われてもよい。
CPU501は、S103またはS104の処理の後、モータ2の電流値、加速度を特定し(S200、S300)、通電角設定処理(S400)、回転情報推定処理(S500)を行う。CPU501は、回転情報推定処理で推定された予想回転角度に基づき、過度な回転が生じると判断した場合(S600:YES)、メモリ505に記憶された、判断処理の実行回数および過度な回転と判断された回数を更新することで、判断履歴を更新する(S601)。そして、モータ2の駆動を停止する(S800)。一方、過度な回転が生じていないと判断した場合(S600:NO)、CPU501は、メモリ505に記憶された、判断処理の実行回数のみを更新することで、判断履歴を更新する(S602)。そして、トリガスイッチ154がオフ状態でなければ(S700:NO)、S200の処理に戻る。トリガスイッチ154がオフ状態とされると(S700:NO)、CPU501は、モータ2の駆動を停止する(S800).
このようにして、過度な回転の判断処理が行われる度に、S601またはS602で、判断履歴がメモリ505に記憶される。なお、本実施形態では、操作部73に対する外部操作に応じて、操作部73から履歴消去の指示を示す信号が出力され、CPU501がその信号を認識した場合、CPU501はメモリ505に記憶された判断履歴を消去する。よって、判断履歴が消去されない限り、CPU501は、過去の判断履歴に基づいて算出される過度な回転頻度に応じて、適宜、高トルクモード駆動時の出力を変更する。
以上に説明したように、本実施形態では、CPU501は、通電角を120度または150度に設定可能であって、過度な回転に関する判断履歴、より詳細には、過去に過度な回転と判断された頻度(過度な回転頻度)に基づいて、通電角が120度に設定されている時(高トルクモード駆動時)のモータ2の出力を変更する。過度な回転に関する判断履歴は、使用者が有する本質的な力の強さをある程度反映すると考えられる。よって、本実施形態の処理によれば、通電角が120度に設定されている場合、つまり、先端工具に加えられる負荷が比較的大きい場合の出力を、使用者の力に応じて、柔軟に変更することができる。
特に、本実施形態では、CPU501は、過度な回転頻度が閾値を超える場合、通電角が120度に設定されている時(高トルクモード駆動時)のモータ2の出力を、初期値としての規定出力よりも小さくする。過度な回転と判断された頻度が高くなるほど、使用者の本質的な力が比較的小さいと推定することができる。本実施形態の処理によれば、使用者の力がある程度小さいと推定される場合には、先端工具に加えられる負荷が比較的大きいときの出力を小さくすることで、安全性を高めることができる。
また、本実施形態では、使用者は、操作部73に履歴消去の指示を入力することで、CPU501に、メモリ505に記憶された過度な回転に関する判断履歴を消去させることができる。例えば、ドライバドリル1が複数の使用者によって共用される場合、使用者が使用開始時に判断履歴を消去すれば、その使用者の使用時の判断履歴のみに基づいて判断基準の変更が行われる。つまり、使用者毎の判断基準のカスタマイズも可能となる。
[第4実施形態]
以下、図8を参照して、第4実施形態に係るモータ2の駆動制御処理について説明する。
まず、本実施形態におけるモータ2の駆動制御の概要について説明する。本実施形態でも、第1実施形態と同様、CPU501は、モータ2の電流値に基づいて通電角を設定し、モータ2を駆動するとともに、電流値および加速度に基づいて、過度な回転が生じるか否かを判断するように構成されている。但し、本実施形態では、CPU501は、通電角が120度に設定された高トルクモード駆動時にのみ、過度な回転の判断処理を行う。
以下、本実施形態におけるモータ2の駆動制御処理の詳細について説明する。図8に示すように、トリガスイッチ154がオン状態とされて処理が開始されると、CPU501は、低トルクモードでモータ2の駆動を開始する(S100)。そして、モータ2の電流値および加速度を特定し、更に、電流値に基づいて通電角を設定する(S200、S300、S400)。
CPU501は、通電角設定処理で設定された通電角が120度であるか否かを判断する(S421)。通電角が120度の場合(S421:YES)、つまり、モータ2が高トルクモードで駆動されている場合には、CPU501は、回転状態推定処理を行い(S500)、得られた予想回転速度に基づいて、過度な回転が生じるか否かを判断する(S600)。そして、過度な回転が生じると判断した場合(S600:YES)、モータ2の駆動を停止する(S800)。過度な回転が生じていないと判断した場合(S600:NO)、トリガスイッチ154の状態に応じて(S700)、S200の処理に戻る、あるいはモータ2の駆動を停止する(S800)。一方、通電角設定処理で設定された通電角が150度である場合(S421:NO)、CPU501は、回転状態推定処理(S500)を行わず、トリガスイッチ154がオフ状態であるか否かの判断処理に移行する(S700)。そして、トリガスイッチ154がオン状態であれば(S700:NO)、S200の処理に戻る。
以上に説明したように、本実施形態では、CPU501は、通電角を120度または150度に設定可能であって、通電角が120度に設定されている場合にのみ、工具本体10の過度な回転が生じるか否かを判断する。通電角が150度に設定される場合には、120度に設定される場合に比べて、先端工具に加えられる負荷は小さいため、先端工具のロックは発生しにくい。よって、通電角が150度に設定されている場合には、過度な回転に関する判断を省略することで、CPU501の処理効率を高めることができる。
[第5実施形態]
以下、図9~図12を参照して、第5実施形態に係るモータ2の駆動制御処理について説明する。
まず、本実施形態におけるモータ2の駆動制御の概要について説明する。本実施形態では、CPU501は、モータ2の電流値に基づいて通電角を設定し、モータ2を駆動するとともに、電流値および加速度に基づいて、過度な回転が生じるか否かを判断するように構成されている。但し、本実施形態では、過度な回転に関する判断は、予想回転角度を用いない方法で行われる。具体的には、CPU501は、先端工具のロックに起因する過度な回転状態に対応する指標値としての電流値および加速度が、夫々に対して定められた閾値を超えた場合、先端工具のロックに起因する過度な回転が生じると判断するように構成されている。なお、この判断方法は、特開2011―93073号公報に開示されている方法と基本的に同じである。本実施形態では、この判断における判断基準が、ドライバドリル1の使用状態に関する情報としての保持トルクの履歴に基づいて適宜変更される。このため、CPU501は、保持トルクを推定する度に、保持トルクを記憶するように構成されている。
以下、本実施形態におけるモータ2の駆動制御処理の詳細について説明する。図9に示すように、トリガスイッチ154がオン状態とされて処理が開始されると、CPU501は、低トルクモードでモータ2の駆動を開始する(S100)。そして、モータ2の電流値および加速度を特定し、更に、電流値に基づいて、通電角を設定する(S200、S300、S400)。
CPU501は、電流値および加速度に基づいて、保持トルクを推定する(S501)。本実施形態では、メモリ505には、保持トルクの履歴として、保持トルクの推定値が累積的に記憶される記憶エリアが設けられている。CPU501は、得られた保持トルクの推定値を記憶エリアに記憶させることで、保持トルクの履歴を更新する(S511)。更に、CPU501は、記憶されている保持トルクの推定値の平均値(以下、平均保持トルクという)を算出する(S512)。
CPU501は、算出された平均保持トルクに応じて、過度な回転が生じるか否かの判断に用いられる判断基準を設定する(S513)。平均保持トルクが小さいほど、使用者の本質的な力は弱く、平均保持トルクが大きくなるほど、使用者の力は強いと考えられる。そこで、本実施形態では、CPU501は、平均保持トルクが大きくなるほど、過度な回転の判断基準を高く設定する。つまり、平均保持トルクが大きくなるほど、過度な回転が生じると判断されにくくする。
具体的には、CPU501は、予めROM502またはメモリ505に記憶された対応関係情報を参照して、判断用の閾値を設定する。ここでいう対応関係情報とは、平均保持トルクと閾値との対応関係を規定する情報である。図10~図12は、本実施形態で採用可能な対応関係情報を模式的に例示するものである。図10は、平均保持トルクが大きくなるにつれて、閾値が、最小値から最大値まで比例的(線形)に大きくなる例である。図11は、平均保持トルクが大きくなるにつれて、閾値が、最小値から最大値まで二次関数的(非線形)に大きくなる例である。図12は、平均保持トルクが大きくなるにつれて、閾値が、最小値から最大値まで段階的に大きくなる例である。なお、S513では、電流値および加速度の夫々の閾値のうち、少なくとも一方が設定されればよい。つまり、電流値および加速度のうち一方の閾値は固定値として変更されなくてもよい。
CPU501は、S200、S300で特定された電流値および加速度を夫々の閾値と比較して、過度な回転が生じるか否かを判断する(S610)。電流値および加速度がいずれも閾値以下の場合、CPU501は、過度な回転は生じていないと判断し(S610:NO)、トリガスイッチ154がオフ状態でなければ(S700:NO)、S200の処理に戻る。電流値および加速度がいずれも閾値よりも大きい場合には、CPU501は、過度な回転が生じると判断し(S610:YES)、モータ2の駆動を停止する(S800)。トリガスイッチ154がオフ状態とされた場合も(S700:YES)、CPU501は、モータ2の駆動を停止する(S800)。
なお、本実施形態では、CPU501は、操作部73から出力された履歴消去の指示を示す信号を認識した場合、メモリ505に記憶された保持トルクの履歴を消去するように構成されている。よって、保持トルクの履歴が消去されない限り、CPU501は、保持トルクの履歴に基づいて算出される平均保持トルクに応じて、適宜、過度な回転に関する判断用の閾値を変更することになる。
以上に説明したように、本実施形態では、CPU501は、電流検出アンプ55によって検出されたモータ2の電流値および加速度センサ71によって検出された加速度が、夫々の閾値を超えた場合、先端工具のロックに起因する工具本体10の過度な回転が生じると判断する。よって、本実施形態における工具本体10の過度な回転に関する判断基準(判断方法)は第1実施形態と異なるが、本実施形態でも、2つの検出器(電流検出アンプ55と加速度センサ71)を用いて、工具本体10の過度な回転の可能性の適切な判断のみならず、先端工具に加えられる負荷に応じたモータ2の出力トルクおよび回転数の制御が可能な合理的な構成が実現されている。
また、本実施形態では、CPU501は、ドライバドリル1の使用状態に関する情報として、使用者による工具本体の保持力に対応する情報である保持トルクを監視するとともに、保持トルクの履歴をメモリ505に記憶させる。そして、保持トルクの履歴に基づいて算出される平均保持トルクに基づいて、過度な回転に関する判断基準(具体的には、モータ2の電流値および加速度の夫々の閾値のうち少なくとも一方)を変更する。先端工具がロックされると、工具本体10に反動トルクが作用するが、この反動トルクへの耐力は、使用者の保持力と対応する。本実施形態の処理によれば、平均保持トルクに応じて判断基準が変更されるため、使用者の保持力に応じて、過度な回転に関する柔軟な判断が可能となる。特に、本実施形態では、CPU501は、平均保持トルクが低くなるほど判断基準(閾値)を低くし、平均保持トルクが高くなるほど判断基準(閾値)を高くする。これにより、使用者の保持力が弱くなるほど安全性を高め、保持力が強くなるほど作業性を高めることができる。
特に、本実施形態では、CPU501は、保持トルクの履歴に基づいて算出される平均保持トルクに基づいて判断基準を変更する。これにより、一時的な工具本体10の保持力よりも使用者が本質的に有する力を重視した判断基準の最適化を図ることが可能となる。また、保持トルクの履歴はメモリ505に記憶されるため、操作部73から履歴消去の指示に応じて消去される。よって、第3実施形態と同様、複数の使用者によって共用される場合、使用者が使用開始時に判断履歴を消去すれば、その使用者の使用時の判断履歴のみに基づいて判断基準の変更が行われることになる。
なお、本実施形態では、平均保持トルクに基づいて判断基準が変更されているが、平均保持トルクに代えて、S501で算出された保持トルク自体に応じて判断基準が変更されてもよい。この場合、使用者の保持力の変化に応じて、過度な回転に関する柔軟な判断を実現することができる。具体的には、図9に示すモータ2の駆動制御処理において、保持トルクの履歴更新(S511)および平均保持トルクの算出(S512)は省略されればよい。そして、S513では、CPU501は、S501で算出された保持トルクの推定値に応じて判断基準を変更すればよい。この場合も、CPU501は、図10~図12に示す例と同様、保持トルクの推定値が低くなるほど閾値が低くなるように規定された対応関係情報を参照して、電流値および加速度の夫々の閾値のうち、少なくとも一方を設定すればよい。
[第6実施形態]
以下、図13~図16を参照して、第6実施形態に係るモータ2の駆動制御処理について説明する。
まず、本実施形態におけるモータ2の駆動制御の概要について説明する。本実施形態では、CPU501は、モータ2の電流値に基づいて通電角を設定し、モータ2を駆動するとともに、電流値および加速度に基づいて、過度な回転が生じるか否かを判断するように構成されている。なお、本実施形態における判断方法は、第5実施形態と同じである。一方、第5実施形態とは異なり、本実施形態では、この判断における判断基準(閾値)が、モータ2の連続運転時間に基づいて適宜変更される。
以下、本実施形態におけるモータ2の駆動制御処理の詳細について説明する。図13に示すように、トリガスイッチ154がオン状態とされて処理が開始されると、CPU501は、低トルクモードでモータ2の駆動を開始する(S100)。CPU501は、モータ2の連続運転時間を計測するため、タイマ504をリセットし、計時を開始する(S111)。CPU501は、モータ2の電流値および加速度を特定し、更に、電流値に基づいて、通電角を設定する(S200、S300、S400)。
CPU501は、タイマ504によって計測されたモータ2の連続運転時間(駆動開始からの経過時間)に応じて、過度な回転が生じるか否かの判断に用いられる判断基準を設定する(S521)。モータ2の運転時間は、使用者がドライバドリル1を保持してトリガ153を引き操作し続けている作業時間に対応する。よって、一般的には、運転時間が長くなるほど、使用者の疲労が増加し、工具本体10の保持力は低下する傾向にあると考えられる。そこで、本実施形態では、CPU501は、連続運転時間が長くなるほど、過度な回転の判断基準を低く設定する。つまり、連続運転時間が長くなるほど、過度な回転が生じると判断されやすくする。
具体的には、CPU501は、予めROM502またはメモリ505に記憶された対応関係情報を参照して、判断用の閾値を設定する。ここでいう対応関係情報とは、連続運転時間と閾値との対応関係を規定する情報である。図14~図16は、本実施形態において採用可能な対応関係情報を模式的に例示するものである。図14は、連続運転時間が長くなるにつれて、閾値が、最大値から最小値まで比例的(線形)に小さくなる例である。図15は、連続運転時間が長くなるにつれて、閾値が、最大値から最小値まで非線形に小さくなる例である。図16は、連続運転時間が長くなるにつれて、閾値が、最大値から最小値まで段階的に小さくなる例である。なお、第5実施形態と同様、S521では、電流値および加速度のうち、少なくとも一方の閾値が設定されればよい。
CPU501は、S200、S300で特定された電流値および加速度を夫々の閾値と比較して、過度な回転が生じるか否かを判断する(S610)。電流値および加速度がいずれも閾値以下の場合、CPU501は、過度な回転は生じていないと判断し(S610:NO)、トリガスイッチ154がオフ状態でなければ(S700:NO)、S200の処理に戻る。電流値および加速度がいずれも閾値よりも大きい場合には、CPU501は、過度な回転が生じると判断し(S610:YES)、モータ2の駆動を停止する(S800)。トリガスイッチ154がオフ状態とされた場合も(S700:YES)、CPU501は、モータ2の駆動を停止する(S800)。
以上に説明したように、本実施形態では、CPU501は、ドライバドリル1の使用状態に関する情報として、モータ2の運転時間に関する情報である連続運転時間を監視する。そして、連続運転時間に応じて、判断基準を変更する。使用者による工具本体10の保持力は、常に一定ではなく、時間とともに変化しうるものである。本実施形態の処理によれば、モータ2の連続運転時間、つまり、ドライバドリル1による連続作業時間に応じて判断基準が変更されるため、連続運転時間の変化に応じて、過度な回転に関する柔軟な判断が可能となる。特に、本実施形態では、CPU501は、連続運転時間が長くなるほど判断基準(閾値)を低くすることで、安全性を高めることができる。
なお、本実施形態では、連続運転時間に応じて判断基準が変更されているが、連続運転時間に代えて、運転頻度(単位時間当たりの運転時間)に応じて判断基準が変更されてもよい。この場合も、CPU501は、図14~図16に示す例と同様、運転頻度が高くなるほど閾値が低くなるように規定された対応関係情報を参照して、電流値および加速度の夫々の閾値のうち、少なくとも一方を設定すればよい。
[第7実施形態]
以下、図17および図18を参照して、第7実施形態に係るモータ2の駆動制御処理について説明する。
まず、本実施形態におけるモータ2の駆動制御の概要について説明する。本実施形態では、CPU501は、モータ2の電流値に基づいて通電角を設定し、モータ2を駆動するとともに、電流値および加速度に基づいて、過度な回転が生じるか否かを判断するように構成されている。なお、本実施形態における判断方法は、第5実施形態と同じである。一方、第5実施形態とは異なり、本実施形態では、この判断における判断基準(閾値)が、ドライバドリル1(工具本体10)の姿勢に基づいて適宜変更される。
以下、本実施形態におけるモータ2の駆動制御処理の詳細について説明する。図17に示すように、トリガスイッチ154がオン状態とされて処理が開始されると、CPU501は、低トルクモードでモータ2の駆動を開始する(S100)。CPU501は、モータ2の電流値および加速度を特定し、更に、電流値に基づいて、通電角を設定する(S200、S300、S400)。
CPU501は、加速度に基づいて、工具本体10の姿勢を推定する(S531)。加速度センサ71は重力加速度も検出している。よって、CPU501は、加速度の検出値に基づいて、例えば、重力方向に対する加速度センサ71の検出軸の傾斜角度、ひいては重力方向に対する駆動軸A1の傾斜角度(以下、工具本体角度という)を、重力方向を基準とした工具本体10の姿勢として推定することができる。
CPU501は、工具本体角度に応じて、過度な回転が生じるか否かの判断に用いられる基準を設定する(S532)。工具本体10が、前端側(チャック37側)が上を向く姿勢とされた場合、横向きや下向きの場合に比べ、使用者は疲労しやすく、工具本体10の保持力は低下する傾向にあると考えられる。そこで、本実施形態では、CPU501は、工具本体10の姿勢が上向きに近づくほど、過度な回転の判断基準を低く設定する。つまり、工具本体10の姿勢が上向きに近づくほど、過度な回転が生じると判断されやすくする。
具体的には、CPU501は、予めROM502またはメモリ505に記憶された対応関係情報を参照して、判断用の閾値を設定する。ここでいう対応関係情報とは、工具本体角度と閾値との対応関係を規定する情報である。図18は、本実施形態において採用可能な対応関係情報の一例を模式的に示している。この対応関係情報では、駆動軸A1が水平方向に延在するときの傾斜角度が0度、駆動軸A1が鉛直方向(重力方向)に延在するときの傾斜角度が90度と定義されている。そして、工具本体角度が、0度から鉛直方向下向きに90度までの範囲に対応する閾値は、一律で所定値Lと規定されている。鉛直方向上向きに90度に対応する閾値は、所定値Lの二分の一の値(0.5L)と規定されている。0度から鉛直方向上向きに90度までの間の範囲に対応する閾値は、所定値Lと所定値Lの二分の一の値の間で変化する。なお、第5実施形態と同様、S532では、電流値および加速度のうち、少なくとも一方の閾値が設定されればよい。
CPU501は、S200、S300で特定された電流値および加速度を夫々の閾値と比較して、過度な回転が生じるか否かを判断する(S610)。電流値および加速度がいずれも閾値以下の場合、CPU501は、過度な回転は生じていないと判断し(S610:NO)、トリガスイッチ154がオフ状態でなければ(S700:NO)、S200の処理に戻る。電流値および加速度がいずれも閾値よりも大きい場合には、CPU501は、過度な回転が生じると判断し(S610:YES)、モータ2の駆動を停止する(S800)。トリガスイッチ154がオフ状態とされた場合も(S700:YES)、CPU501は、モータ2の駆動を停止する(S800)。
以上に説明したように、本実施形態では、CPU501は、ドライバドリル1の使用状態に関する情報として、工具本体10の姿勢に関する情報である工具本体角度を監視する。そして、工具本体角度に応じて、判断基準を変更する。使用者による工具本体10の保持力は、常に一定ではなく、作業中の使用者の姿勢に応じて変化しうるものである。本実施形態の処理によれば、使用者の作業姿勢に対応する工具本体10の姿勢に応じて判断基準が変更されるため、使用者の作業姿勢に応じて、過度な回転に関する柔軟な判断が可能となる。特に、本実施形態では、CPU501は、工具本体の姿勢が上向きに近づくほど判断基準を低くすることで、安全性を高めることができる。
上記実施形態の各構成要素と本発明の各構成要素の対応関係を以下に示す。ドライバドリル1は、「回転工具」の一例である。工具本体10は、「工具本体」の一例である。モータ2は、「モータ」の一例である。コントローラ5(詳細には、CPU501)は、「判断部」、「監視部」、「基準変更部」、「記憶制御部」、「履歴消去部」の夫々に対応する一例である。RAM503およびメモリ505は、夫々、「記憶装置」の一例である。
なお、上記実施形態は単なる例示であり、本発明に係る穿孔工具は、例示されたドライバドリル1に限定されるものではない。例えば、下記に例示される変更を加えることができる。なお、これらの変更は、これらのうちいずれか1つのみ、あるいは複数が、実施形態に示すドライバドリル1、あるいは各請求項に記載された発明と組み合わされて採用されうる。
例えば、上記実施形態では、回転工具の一例として、ドライバドリル1が挙げられているが、本発明は、先端工具を回転駆動するように構成された他の電動工具に適用されてもよい。具体的には、穿孔作業を遂行可能な穿孔工具(例えば、震動ドリル、ハンマドリル)、切断作業を遂行可能な切断工具(例えば、丸鋸)、または研削作業を遂行可能な研削工具(例えば、グラインダ)が挙げられる。
先端工具のロックに起因する工具本体10の過度な回転が生じるか否かの判断方法は、上記実施形態で例示した方法に限られない。例えば、回転状態情報のみに基づく判断方法が採用されてもよい。例えば、ドライバドリル1は、駆動軸A1から互いに異なる距離に配置された2つの加速度センサを備えていてもよい。この場合、CPU501は、2つの加速度センサによって夫々に検出された加速度に基づいて、過度な回転の可能性を判断することができる。このような判断方法は、例えば、特開2017-001115号公報に開示されている。
また、負荷情報および回転状態情報に基づく判断方法が採用される場合、負荷情報および回転状態情報として、モータ2の電流値および加速度以外の情報が用いられてもよい。モータ2の電流値に代えて、例えば、モータ2の回転数、バッテリ9の電流値、またはバッテリ9の電圧値が採用されてもよい。モータ2の回転数は、ホールセンサ53によって検出することができる。また、バッテリ9の電流値、またはバッテリ9の電圧値が採用される場合には、適宜、コントローラ5に検出値を示す信号を出力するように構成された検出回路が設けられればよい。加速度に代えて、例えば、工具本体10の速度、角速度、または角加速度が採用されてもよい。加速度センサ71に代えて、速度センサ、角速度センサ、または角加速度センサが設けられてもよい。
負荷情報と回転状態情報に基づいて、工具本体10の過度な回転の可能性を判断する方法は、第1~第4実施形態で例示した方法や、第5~第7実施形態で例示した方法に限られない。例えば、負荷情報と回転状態情報に基づいて、予想回転角度とは別の、先端工具のロックに起因する過度な回転状態に対応する指標値が算出されてもよい。また、例えば、保持トルクの履歴、モータ2の連続運転時間、および工具本体角度のうち少なくとも1つが、予想回転角度の推定に加味されてもよい。具体的には、例えば、予想回転角度の算出に、保持トルク(または平均保持トルク)や連続運転時間に対応する重み付け係数が導入されてもよい。そして、この係数が、保持トルク(平均保持トルク)が小さくなるほど(連続運転時間が長くなるほど)大きい予想回転角度が算出されるように変更されることで、判断基準が変更されてもよい。この場合、予想回転角度と比較される閾値は変更されないが、保持トルク(平均保持トルク)が小さくなるほど(連続運転時間が長くなるほど)、判断基準が低くなる。
第1~第7実施形態では、先端工具に加えられる負荷に対応する負荷情報(具体的には、電流検出アンプ55によって検出されたモータ2の電流値)に基づいて、ブラシレスDCモータであるモータ2の通電角が設定される。そして、この負荷情報は、先端工具のロックに起因する過度な回転が生じるか否かの判断や、ドライバドリル1の使用状態に関する情報として、過度な回転に関する判断基準の変更にも活用されている。しかしながら、負荷情報に基づく通電角の設定処理(図3のS400)は、省略されてもよい。また、モータ2は、直流電源ではなく、交流電源を電源入力とするブラシレスモータであってもよい。また、モータ2はブラシを有するモータであってもよい。
第1実施形態~第7実施形態で例示されたモータ2の駆動制御処理は、それらの一部が互いに入れ替えられてもよいし、互いに組み合わせられてもよい。また、上記実施形態の閾値や指標値、対応関係情報は、あくまでも例示であり、例えば、処理の一部の入れ替えや組み合わせに応じて適宜変更されうるものである。また、RAM503やメモリ505に履歴として記憶される情報も、適宜変更されうる。
上記実施形態では、モータ2の駆動制御処理がCPU501によって実行される例が挙げられているが、CPU501に代えて、他の種類の制御回路、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuits)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのプログラマブル・ロジック・デバイスが採用されてもよい。また、モータ2の駆動制御処理は、複数の制御回路で分散処理されてもよい。
上記実施形態の駆動制御処理は、典型的には、CPU501が、ROM502またはメモリ505に記憶されたプログラムを実行することにより実現される。図19のドライバドリル100のように、外部記憶装置79に有線または無線を介して接続可能なコネクタ75を備える場合には、プログラムは、外部記憶装置(例えば、メモリカード、USBメモリ、その他のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体)79に記憶されていてもよい。また、通電角の設定履歴、保持トルクの履歴、過度な回転に関する判断履歴、運転時間の履歴等が、外部記憶装置79に記憶されてもよい。バッテリ9が、バッテリ装着部157を介してコントローラ5に接続可能なメモリを有する場合、これらの履歴は、バッテリ9のメモリに記憶されてもよい。この場合、外部記憶装置79またはバッテリ9がドライバドリル100から取り外されて、別のドライバドリル100に接続されることで、外部記憶装置79またはバッテリ9のメモリに記憶された履歴を、別のドライバドリル100で利用することが可能となる。これにより、例えば、使用者がドライバドリル100を買い替えた場合でも、新しいドライバドリル100において、過去の使用履歴に基づく最適な判断基準が設定可能となる。
更に、本発明および上記実施形態の趣旨に鑑み、以下の態様が構築される。以下の態様は、これらのうちいずれか1つのみ、あるいは複数が、実施形態および上述の変形例に示すドライバドリル1、100、または各請求項に記載された発明と組み合わされて採用されうる。
[態様1]
前記モータの駆動を制御するモータ制御部を更に備え、
前記モータ制御部は、前記判断部によって前記過度な回転が生じると判断した場合、前記モータによる前記先端工具の駆動を停止するように構成されている。
コントローラ5(CPU501)は、本態様における「モータ制御部」の一例である。
[態様2]
前記工具本体の前記駆動軸周りの回転状態に対応する回転状態情報を検出するように構成された検出器を更に備え、
前記判断部は、少なくとも前記回転状態情報に基づいて、前記過度な回転に対応する指標値を算出し、前記指標値と基準値との比較結果に基づいて前記過度な回転が生じるか否かを判断するように構成されており、
前記基準変更部は、前記基準値、または、前記指標値の算出に用いられる係数を変更することで前記判断基準を変更するように構成されている。
加速度センサ71は、本態様の「検出器」の一例である。
[態様3]
前記使用状態に関する情報と、前記基準値または前記係数との対応関係を規定する対応関係情報を記憶する記憶装置を更に備え、
前記基準変更部は、前記対応関係情報を参照して、前記基準値または前記係数を変更するように構成されている。
ROM502またはメモリ505は、本態様の「記憶装置」の一例である。
[態様4]
前記先端工具に加えられる負荷に対応する第1情報を検出するように構成された第1検出器と、
前記駆動軸周りの前記工具本体の回転状態に対応する第2情報を検出するように構成された第2検出器とを更に備え、
前記判断部は、前記第1情報および前記第2情報に基づいて、前記先端工具のロックに起因する前記工具本体の過度な回転が生じるか否かを判断するように構成されている。
[態様5]
前記監視部は、前記第1情報および前記第2情報に基づいて、前記保持力を推定するように構成されている。
[態様6]
前記基準変更部は、前記保持力が低くなるほど、前記判断基準を低くするように構成されている。
[態様7]
前記基準変更部は、前記運転時間が長くなるほど、前記判断基準を低くするように構成されている。
[態様8]
前記第2検出器は、前記第2情報として、加速度を検出するように構成され、
前記監視部は、前記加速度に基づいて、前記工具本体の姿勢として、重力方向を基準とした前記工具本体の傾斜角度を算出するように構成されている。
[態様9]
前記基準変更部は、前記工具本体の前記姿勢が上向きに近づくほど、前記判断基準を低くするように構成されている。
[態様10]
使用者による外部操作が可能に構成され、前記履歴を消去する指示の入力を受け付ける操作部を更に備え、
前記履歴消去部は、前記指示の入力に応じて、前記履歴を消去するように構成されている。
[態様11]
前記モータの駆動を制御するモータ制御部を更に備え、
前記モータは、ブラシレスDCモータであって、
前記モータ制御部は、前記第1情報に基づいて、前記モータへの通電角を設定するように構成されている。