JP7127790B1 - 水炊き用スープの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来に比してあっさりとしたコク感のある旨みを向上させた水炊き用スープの製造方法等を実現すること。【解決手段】第1の鍋に鶏骨、玉ネギ、人参、ピューレ漬けトマト、および、水を入れて沸騰させて1時間程度煮立てる「段階A」と、第1の鍋の中の鶏骨を潰す「段階C」と、鶏骨を潰した後、更に2時間程度煮立てる「段階D」と、最初から3時間程度経過して得られたスープを濾して第2の鍋に入れ、これに昆布を加えて加熱し沸騰直前に当該昆布を取り出す「段階F」と、第2の鍋を30分程度、冷却する「段階G」と、を含み、「ピューレ漬けトマト」は、「トマト」の皮を湯剥きしたものを裏漉しした「トマトピューレ」に、その皮を湯剥きした「トマト」を漬けたものである、水炊き用スープの製造方法である。【選択図】図1

Description

本発明は、水炊き用スープの製造方法に関する。
従来から各種のスープの製造方法が提案されていた。例えば、山羊の骨をお湯で沸騰させ、このお湯から取り出した山羊の骨を冷水で綺麗に洗い、洗った山羊の骨を、香味野菜とお湯と共に強火で3時間煮立てながらアクをとり、更に、この煮立てた後に水を追加して中火で6~7時間煮出しながらアクを取り、この煮出しの後にスープを濾しとり、この濾し取った残りの材料に再び水を加え、中火で6~7時間煮出しながらアクを取り、この煮出しの後のスープを濾し取って「山羊をベースとしたスープ」を製造する提案があった(特許文献1参照。)。
確かに、この方法によれば山羊の旨みを損なうことなしに「ちゃんぽん」等に使用可能なスープを得ることが可能であった。
また、即席スープ中に発酵調味料、野菜類本来の固有の風味を味わうことができるようにするために、「コーン、かぼちゃ、ジャガイモ、ニンジン、トマトから選ばれる1種以上の野菜類、および/または醤油、味噌から選ばれる1種以上の発酵調味料を含有する即席スープであって、糖アルコールおよび/またはデキストリンと、食用油脂を15~65重量%、水分を5~25重量%、乳化剤を含有し、即席スープ50gに対して清水250gを添加し、ハンドホイッパーを用いて25℃、120rpmで3分間攪拌混合し、その後5分間静置した際に、油相の分離が確認できない特性を有する」即席スープも提案されていた(特許文献2参照。)。
確かに、この提案によれば、野菜類の香味を長期間にわたって安定に保持され、かつ、発酵調味料のまろやかな風味を得られる即席スープを得ることができるが、この提案で用いる「コーン、カボチャ、ジャガイモ、ニンジン、トマト」を含む野菜類は、「当該野菜を粉砕用具で粉砕してペースト状としたり、加熱や減圧等の処理により水分含量を10質量%以下にしたり、野菜から熱水等で抽出され、小麦粉やデキストリン等と一体となり粉末化された野菜エキス粉末にする」等の複雑な加工を施すことが必要であった。
特開2004-261094号公報(第2-9頁、第1図) 特開2014-124145号公報(第4-11頁)
ところで「水炊き」と称される料理があり、この「水炊き」は、素材を水のみで煮る調理方法にその名称が由来しており、基本的に、塩、醤油等の調味料は使用しない。例えば、福岡等では鶏肉を主材としており、ぶつ切りの鶏を水から煮ることによって、「水炊き」と称されている。この「水炊き」の調理においては、如何にして、具材本来の旨みを引き立てつつ「くどくない旨み」の有るスープを製造するかが調理のポイントであるところ、簡素な製造工程にてあっさりとしたコク感のある旨みを向上させた水炊き用スープを製造する提案は殆どなされていなかった。
本発明は、発明者の鋭意努力により創作されたものであって、従来に比してあっさりとしたコクのある旨みを向上させ、その製造工程も簡素である水炊き用スープの製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明は、第1の鍋に鶏骨、玉ネギ、人参、ピューレ漬けトマト、および、水を入れ沸騰させて60分から90分煮立てる工程と、
前記第1の鍋の中の前記鶏骨を潰す工程と、
前記鶏骨を潰した後、更に90分から120分煮立てる工程と、
最初から150分から210分経過して得られたスープを濾して第2の鍋に入れ、これに昆布を加えて加熱して沸騰直前に前記昆布を取り出す工程と、
前記第2の鍋を30分から40分、冷却する工程と、を含み、
前記ピューレ漬けトマトは、
トマトの皮を湯剥きしたものを裏漉ししたトマトピューレに、その皮を湯剥きしたトマトを漬けたものである、水炊き用スープの製造方法である。
また、前記第2の鍋を30分から40分、冷却する工程は、
水が張ってある桶に前記第2の鍋を浮かべた状態にして、前記30分から40分、15℃程度の井戸水を前記桶に注ぎ続ける工程であることを特徴とする。
本発明によれば、従来に比してあっさりしたコクのある旨みを向上させ、その製造工程も簡素である水炊き用スープの製造方法を実現することができるという効果が得られる。

水炊き用スープの製造工程を説明するための流れ図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されず、本実施形態に対して種々の変形、変更等が可能である。
図1を参照して、本発明の実施形態の「水炊き用スープ」の製造方法(調理方法)の好適な例について説明する。なお、この「水炊き用スープ」の製造方法は、「室内の温度」、「室内の湿度」、「無加圧下」において実現可能であり、特別な環境下で「水炊き用スープ」の製造することは不要である。
(段階A)
先ず、鶏の骨である「鶏骨」、「玉ネギ」、「人参」、「ピューレ漬けトマト」、「水」を鍋に入れて沸騰させる。「鶏骨」は鶏の骨であれば良いが、「福岡県産の地鶏」の骨が最も好ましい。「ピューレ漬けトマト」は、トマト(有機栽培したトマトが好ましい)の皮を湯剥き(ゆむき)したものを裏漉しした「トマトピューレ」に、有機栽培されその皮を湯剥きされた丸ごとの「トマト」を漬けたものである。
特に、「トマトピューレ」は、肉厚で酸味の少ない長形のトマトの皮を湯剥きしたもの裏漉ししたものが最も好ましく、この「トマトピューレ」に漬ける丸ごとの「トマト」とともに、有機栽培されたイタリア産トマトを使用するのが最も好ましい。
また、「ピューレ漬けトマト」は、国産トマトを利用して「トマトピューレ」を作り、その皮を湯剥きした国産トマトを当該「トマトピューレ」に漬けたものを採用しても良いし、また、「トマトピューレ」および丸ごとの「トマト」として「イタリア」以外の外国産トマトを使用しても良い。
なお、丸ごとのトマトの数は、1個乃至複数個である。一例として、「ピューレ漬けトマト」が「400g」の時、「トマト」の固形量が「240g」、「トマトピューレ」が「160g」である。鍋は、例えば、上面が開放され外観が円筒形の「寸胴鍋」を使用する。なお、「ピューレ漬けトマト」以外の素材である「鶏骨」、「玉ネギ」、「人参」に対しては適切にカットし、または、丸ごとのままで鍋に入れれば良い。
つまり、段階Aにおいては、水炊き用スープの製造に必要な素材を総て鍋に入れて沸騰させる。ここで、本発明の特徴の一つは、新たに「ピューレ漬けトマト」を水炊き用スープ製造の素材として使用した点にある。なお、「トマト」は、リコピンを多く含んでおり、リコピンの抗酸化作用は非常に高いため、健康面、美容面等にも優れた「水炊き用スープ」を製造することができる。また、「トマト」を「トマトピューレ」漬けすることにより、リコピンを体内に一層迅速に吸収させることも可能となる。
(段階B)
次に、段階Bにおいては、アク取り用の調理器具を使用して「アク」を取りながら「1時間程度」、鍋の中の水を煮立てる。ここで「1時間程度」とは「大体1時間」を意味し、具体例は「60分から90分」である。
(段階C)
そして、「1時間程度」煮立てると、「鶏骨」である「福岡県産の地鶏」の骨が柔らかくなるので、大きな「しゃもじ」である「大しゃもじ」で鶏骨を丹念に潰していく。ここで「大しゃもじ」は、全長が例えば「105cm」程度の長さの大きな「しゃもじ」である。
(段階D)
次に、「鶏骨」である「福岡県産の地鶏」の骨を潰した後も「大しゃもじ」で鍋の中の水を攪拌しながら、さらに2時間程度煮立てる。ここで「2時間程度」とは「大体2時間」を意味し、具体例は「90分から120分」である。
(段階E)
合計で「3時間程度」煮立てると、素材を入れた水からスープを得ることができ、そのスープ量は最初の水の量の「70(%)」程度まで減り、スープが「乳白色」になっている。この「乳白色」は、「福岡県産の地鶏」の骨がスープの成分になっていることによる。ここで、「3時間程度」は「大体3時間」であり、具体例は「150分から210分」である
(段階F)
段階Eにて得られた乳白色のスープを別の鍋に「調理用濾し具」を使用して濾し、この別の鍋に昆布を加え、再度、火にかけ沸騰直前に昆布を取り出す。なお、一般的な「調理用濾し具」に「業務用クッキングペーパ」を敷いてスープを別の鍋に濾し取ると、クッキングペーパによって、スープの旨みに不要な成分を取り除くことができ、スープの旨みを一層効果的に別の鍋に濾し取ることができる点などから好ましい。
また、最初から鍋に昆布を入れることはせずに、別の鍋に濾して得られたスープに昆布を入れて沸騰する直前にその昆布を取り出すのは、昆布の「エグミ」が出ないようにするためである。ここで、「エグミ」とは、舌にまとわりつくような苦さや不快な苦い味のことを指す。
昆布を取り出したスープは乳白色である。段階Fにおいて、スープの量が例えば、最初の「67(%)」程度になる。この段階Fにて使用する別の鍋は、段階Aにて使用する鍋と同形の寸胴鍋でも良いし別形状のものでも良い。要するに、得られたスープを濾したものを溜めることができる調理用鍋であれば良い。
(段階G)
そして、昆布を取り出した上記の別の鍋を、水を張った桶に入れ、例えば「15℃」程度の井戸水を流水として当該流水を桶に注入し続け、30分程度かけて急速に冷却させる。ここで「30分程度」とは「大体30分」を意味し、具体例は「30分から40分」である。
桶は、一例として上方が開放された円筒状の外観を呈しており、桶の高さは例えば「82cm」である。一例として上記の別の鍋の高さよりも「7cm」程度低く、桶の平面視の円形の直径は、上記別の鍋の平面視の円形の直径よりも大きい。「桶の深さ」、「桶に張る水の量」、「製造した水炊き用スープを収容した上記の別の鍋の重さ」等の関係を適切に設定しておくことにより、水を張った桶の内部に、上記の別の鍋が浮かんだ状態にすることができる。これによれば、上記の別の鍋の表面の略全体が流水により冷却されるので、上記別の鍋に収容されている水炊き用スープを急激に冷却することが可能となる。
なお、桶の形状は上記のものには限られず、上面が開放された四角柱等の外観を呈していても良い。要するに、水を張った桶の内部に上記の別の鍋が浮かんだ状態で収まるものであれば、当該桶の形状には何ら制限はない。
また、必ずしも井戸水を流水として使用する必要は無く水道水等を使用しても良いが、水道水の水温は季節によって変化するところ、井戸水の水温は一年を通して安定しているので、水炊き用スープの品質を一層安定的に製造可能となる。なお、発明者が使用した井戸水の温度は「15℃」程度であるので、沸騰したスープを一年中、急速に冷却することができる。
このようにスープを急速に冷却することにより、食中毒の原因となるサルモネラ菌等の雑菌の繁殖を防止し衛生面で優れた効果を得られるとともに、旨み成分に悪影響を与える他の雑菌等の発生も防止する効果を得ることができる。
以上のようにして、従来に比べて旨みに富んだ乳白色の「水炊き用スープ」を製造することが可能になる。そして、製造された「水炊き用スープ」を小分けにして、液漏れしないビニール製等の袋に詰めて小分け販売(通販を含む)することも可能になる。
本発明者は、鋭意試作を繰り返した。その結果、好適に旨み成分を得る事ができる場合における各素材の量は、次のようになる事を試作の繰り返しで確認した。「水:50リットル」に対して、「福岡県産の地鶏の鶏骨」は、「15kg~16kg」、「玉ネギ」は、「1000g~1050g」、「人参」は、「500g~550g」、「ピューレ漬けトマト」は、「400g~410g」、「乾燥昆布」は、「60g~70g」程度である。
(従来品と本発明との比較)
以下に示す表1は、従来品と本発明との「グルタミン酸」の比較結果を示したものである。従来品は、本発明の素材から「トマトピューレ漬けトマト」を除いただけのものであり、製造工程に変わりは無いため従来品にとって有利な条件で比較した。なお、この比較結果は、民間の検査機関である「株式会社 日本食品機能分析研究所(福岡県福岡市)」によって検査された客観的なものである。
Figure 0007127790000002
グルタミン酸は、従来品の場合には、スープ100g中に「22mg」存在するのに対して、本発明品には、スープ100g中に「26mg」存在することが確認された。グルタミン酸の含有量は、実に「18(%)」も向上された。旨み成分の主要素である「グルタミン酸」の含有量が向上されて、旨みのある水炊き用スープが製造可能になることが、客観的な実験データによっても裏付けされた。
また、「イノシン酸」の含有量も上述した民間の検査機関により検査した所、従来品の場合には、スープ100g中に「3mg」存在するのに対して、本発明品には、スープ100g中に「1mg」存在することが確認された。このことは、「水炊き用スープ」に求められる具材本来の旨みを引き立てるために、主として肉、魚等に含まれる「イノシン酸」が強くなり過ぎないように鋭意試作により若干抑制させたものである。つまり、「イノシン酸」は主として肉、魚に含まれるため、「イノシン酸」を鋭意試作により若干抑制させて、野菜等に多く含まれる「グルタミン酸」を上手く引き出し野菜風味を引き立たせ「旨みの中にもあっさりとしたコク感」のある水炊き用スープを実現できた。
このように、(1)「水炊き用スープ」の素材に「ピューレ漬けトマト」を使用すること、(2)別の鍋に一旦スープを濾したものを溜めて、これに昆布を入れて沸騰直前に昆布を取り出すこと、(3)昆布が取り出された別の鍋を流水(例えば地下水)で「30分から40分」冷却すること、などの種々の特徴を有する本発明の製造方法により、新規に素材に採用した「ピューレ漬けトマト」と特異の製造方法との相乗効果が発揮されて、従来品に比べてあっさりとしたコク感のある旨みを有する「水炊き用スープ」を製造することが可能になる。
また、本発明の特徴的な素材である「ピューレ漬けトマト」の下ごしらえ(下準備)は、「トマト」の皮を湯剥きして裏漉して「ピューレ」にその皮を湯剥きした丸ごとの「トマト」を漬けておく程度に留まるので、従来技術のように、「トマトを粉砕用具で粉砕してペースト状としたり、トマトに対する加熱や減圧等の処理により水分含量を10質量%以下にしたり、トマトから水分を抽出させデキストリン等と一体として粉末化してトマトエキス粉末とする」などの複雑なものではない。
また、他の野菜である「玉ネギ」、「人参」等の下ごしらえは、適切にカットすれば良いだけであり、下ごしらえも極めて簡素であり、本発明の水炊き用スープの製造工程は全体的に極めて簡素である。
以上説明してきたように、本発明は、水炊き料理のためのスープとして使用することができる。

Claims (2)

  1. 第1の鍋に鶏骨、玉ネギ、人参、ピューレ漬けトマト、および、水を入れ沸騰させて60分から90分煮立てる工程と、
    前記第1の鍋の中の前記鶏骨を潰す工程と、
    前記鶏骨を潰した後、更に90分から120分煮立てる工程と、
    最初から150分から210分経過して得られたスープを濾して第2の鍋に入れ、これに昆布を加えて加熱して沸騰直前に前記昆布を取り出す工程と、
    前記第2の鍋を30分から40分、冷却する工程と、を含み、
    前記ピューレ漬けトマトは、
    トマトの皮を湯剥きしたものを裏漉ししたトマトピューレに、その皮を湯剥きしたトマトを漬けたものである、水炊き用スープの製造方法。
  2. 請求項1に記載の水炊き用スープの製造方法において、
    前記第2の鍋を30分から40分、冷却する工程は、
    水が張ってある桶に前記第2の鍋を浮かべた状態にして、前記30分から40分、15℃程度の井戸水を前記桶に注ぎ続ける工程であることを特徴とする水炊き用スープの製造方法。
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博多水炊き さもんじ オンラインショップ, INTERNET ARCHIVE: WAYBACK MACHINE [ONLINE], JPN7022003024, 19 April 2021 (2021-04-19), ISSN: 0004813195 *
博多水炊き さもんじ オンラインショップ, Internet Archive: Wayback Machine [online],2021年04月19日,https://web.archive.org/web/20210419142949/https://www.samonji.com/onlineshop/,[2022年6月23日検索]
覚書 私のデトックススープ, [クックパッド] 簡単おいしいみんなのレシピが369万品[ONLINE], JPN7022003023, 17 August 2017 (2017-08-17), ISSN: 0004813196 *
覚書 私のデトックススープ, [クックパッド] 簡単おいしいみんなのレシピが369万品[online],2017年08月17日,https://cookpad.com/recipe/4668857?view=single,更新日2017.8.17,[検索日:2022.6.23]

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