JP7125598B2 - ポリイミド粉体の製造方法 - Google Patents
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Description
下記式(1)で示される繰り返し単位を有するポリイミドと、溶剤とを、含むポリイミド溶液を噴霧し、溶剤を含む第1のポリイミド粉体を形成する噴霧工程と、
前記第1のポリイミド粉体を減圧下、加熱乾燥し、実質的に溶剤を含まないポリイミド粉体を得る加熱乾燥工程を含む、
第2のポリイミド粉体の製造方法。
前記繰り返し単位中のR1が、式(2)で表される2価の有機基である、発明1の第2のポリイミド粉体の製造方法。
式(2)で表される2価の有機基が、以下のいずれかの2価の有機基である、発明2の第2のポリイミド粉体の製造方法。
前記繰り返し単位中のR1が、式(3)で表される2価の有機基である、発明1~3の第2のポリイミド粉体の製造方法。
式(3)で表される2価の有機基が、以下のいずれかの2価の有機基である、発明4の第2のポリイミド粉体の製造方法。
前記繰り返し単位中のR2が、以下のいずれかの4価の有機基である、発明1~5の第2のポリイミド粉体の製造方法。
溶剤が、アミド系溶剤、エーテル系溶剤、芳香族系溶剤、ハロゲン系溶剤、ラクトン系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤およびグリコールエーテル系溶剤からなる群から選ばれる少なくとも一つの溶剤を含む溶剤である、発明1~6の第2のポリイミド粉体の製造方法。
ポリイミド溶液が、さらにイミド化剤を含むポリイミド溶液である、発明1~7の第2のポリイミド粉体の製造方法。
イミド化剤が、ピリジン、キノリン、ピコリンおよびトリエチルアミンからなる群から選ばれるイミド化触媒と、無水酢酸または無水プロピオン酸から選ばれる脱水剤を含むイミド化剤である、発明8の第2のポリイミド粉体の製造方法。
噴霧工程に、多流体ノズルを備える噴霧装置を用いる、発明1~9の第2のポリイミド粉体の製造方法。
加熱乾燥工程の加熱温度が、30℃以上、350℃以下である、発明1~10の第2のポリイミド粉体の製造方法。
加熱乾燥工程の圧力が、0.013KPa以上、50KPa以下である、発明1~11の第2のポリイミド粉体の製造方法。
加熱乾燥工程に、箱型乾燥機、バンド乾燥機、トンネル乾燥機、回転乾燥機、流動層乾燥機、気流乾燥機、円盤乾燥機および逆円錐乾燥機からなる群から選ばれる乾燥装置を用いる、発明1~12の第2のポリイミド粉体の製造方法。
ポリイミド粉体のメジアン径が、0.1マイクロメートル以上、100マイクロメートル以下である、発明1~13の第2のポリイミド粉体の製造方法。
下記式(1)で示される繰り返し単位を有する、実質的に溶剤およびイミド化剤を含まないポリイミド粉体。
前記繰り返し単位中のR2が、以下のいずれかの4価の有機基である。)
重量平均分子量が、5000以上、500000以下である、発明15のポリイミド粉体。
メジアン径が、0.1マイクロメートル以上、100マイクロメートル以下である、発明15または発明16のポリイミド粉体。
本発明の第2のポリイミド粉体の製造方法において使用する、HFIP基含有ポリイミドは式(1)で表される繰り返し単位を含むポリイミドである。(式(1)で表される繰り返し単位を有するポリイミドをポリイミド(1)と呼ぶことがある。)
本発明の第2のポリイミド粉体の製造方法において、HFIP基含有ポリイミド溶液が含むポリイミド(1)において、その繰り返し単位(1)が含有する2価の有機基R1は、1つ以上の芳香環を有し、2つの結合手は同一または異なる芳香環に存在し、HFIP基の少なくとも1つはその芳香環に結合する。芳香環としてはベンゼン環が好ましく、HFIP基が結合する芳香環が主鎖を形成することが好ましい。R1は、溶剤に溶解しHFIP基含有ポリイミド溶液を得るために、以下の式(2)~(3)で表される2価の有機基のいずれかであることが好ましい。
本発明の第2のポリイミド粉体の製造方法において、HFIP基含有ポリイミド溶液が含むポリイミド(1)において、その繰り返し単位(1)が含有する4価の有機基R2は、脂環、芳香環およびアルキレン基からなる群より選ばれる少なくとも一種を含有すればよく、特に限定されない。この4価の有機基は、構造中にフッ素原子、塩素原子、酸素原子、硫黄原子または窒素原子を含有していてもよい。また、構造中に水素原子を有する場合には、その水素原子の一部または全部が、アルキル基、フルオロアルキル基、カルボキシル基、ヒドロキシ基またはシアノ基で置換されていてもよい。
以上の中でも、ポリイミド(1)は、特に好ましくは、以下のいずれかの繰り返し単位を含有するものである。
ポリイミド(1)の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは、5000以上、500000以下であり、特に好ましくは10000以上、200000以下である。分子量が5000未満では、ポリイミド(1)粉体の製造が容易ではなくなる傾向があり、500000より大きいと溶剤に溶け難くなる傾向がある。本発明において、重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィ(GPC)により測定し、標準ポリスチレン検量線を用いポリスチレン換算して得られる値である。
HFIP基含有ポリイミド溶液が含む溶剤としては、ポリイミド(1)の前駆体であるポリアミック酸の合成時の縮重合反応において除熱等のために用いる縮重合溶剤を挙げことができる。または、HFIP基含有ポリイミド溶液を噴霧する際の濃度調製のための希釈溶剤を挙げることができる。
本発明の第2のポリイミド粉体の製造方法に用いる縮重合溶剤は、ポリイミド(1)の前駆体であるポリアミック酸およびポリイミド(1)を溶解し、前記縮重合反応を阻害しないものであれば特に限定されない。例えば、アミド系溶剤、エーテル系溶剤、芳香族系溶剤、ハロゲン系溶剤、ラクトン系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤、またはグリコールエーテル系溶剤が挙げられ、これらは単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
アミド系溶剤としては、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、ヘキサメチルリン酸トリアミド、またはN-メチル-2-ピロリドン(NMP)を例示することができる。
エーテル系溶剤としては、テトラヒドロフラン(以下、THFと呼ぶことがある。)を例示することができる。
芳香族系溶剤としては、ベンゼン、アニソール、ジフェニルエーテル、ニトロベンゼン、ベンゾニトリル、p-クロロフェノール、またはキシレンを例示することができる。
ハロゲン系溶剤としては、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、または1,1,2,2-テトラクロロエタンを例示することができる。
ラクトン系溶剤としては、γ-ブチロラクトン(GBL)、γ-バレロラクトン、δ-バレロラクトン、γ-カプロラクトン、ε-カプロラクトン、またはα-メチル-γ-ブチロラクトンを例示することができる。
ケトン系溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、またはメチルイソブチルケトンを例示することができる。
アルコール類としては、n-ブチルアルコールを例示することができる。
グリコールエーテル類としては、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、または2-ブトキシエタノールを例示することができる。
希釈溶剤としては、縮重合溶剤中のポリイミド(1)が析出しない溶剤であればよく、極性溶剤を挙げることができる。極性溶剤としては、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc、沸点165℃)、N-メチルピロリドン(NMP、沸点202℃)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF、沸点153℃)、γ-ブチロラクトン(GBL、沸点204℃)、テトラヒドロフラン(THF、沸点108.4℃)を例示することができる。希釈量は、粘度によるが縮重合後のポリイミド(1)溶液の全質量に対して、1質量%以上、99質量%以下である。1質量%より少ないと粘度調整の効果がなく、99質量%より多くする必要はない。
HFIP基含有ポリイミド溶液が含む、ポリイミド(1)の製造方法について説明する。ポリイミド(1)の製造方法は、以下に示す様に、式(1A)で表されるHFIP基含有ジアミンと、下記式(1B)で表されるテトラカルボン酸二無水物とを原料化合物とし、有機溶剤中で縮重合してポリアミック酸を得て、次いで該ポリアミック酸を脱水閉環させてイミド化することでポリイミド(1)を得る方法を挙げることができる。
3-1.式(1A)で表されるHFIP基含有ジアミンと、式(1B)で表されるテトラカルボン酸二無水物
以下、式(1A)で表されるHFIP基含有ジアミンと、式(1B)で表されるテトラカルボン酸二無水物を用いたポリアミック酸の製造について説明する。
ポリイミド(1)は、前記縮重合反応で得られたポリアミック酸を脱水閉環させイミド化することにより得られる。脱水閉環は、加熱するか、イミド化剤を添加することで行う。
前記イミド化触媒としては、有機塩基を挙げることができる。有機塩基としては、三級アミンが好ましい。三級アミンとしては、ピリジン、ピコリン、キノリンまたはトリエチルアミンを例示することができる。
本発明の第2のポリイミド粉体の製造方法は、ポリイミド(1)と溶剤、またはポリイミド(1)と溶剤とイミド化剤を含むポリイミド溶液を噴霧し、溶剤を含む第1のポリイミド粉体を形成する噴霧工程と、前記第1のポリイミド粉体を乾燥装置内減圧下、加熱乾燥し、実質的に溶剤を含まない加熱乾燥工程とを含む。即ち、本発明の第2のポリイミド粉体の製造方法は、ポリイミド溶液に伴われる溶剤およびイミド化剤を実質的に残存しない(含まない)第2のポリイミド粉体を得ることができる。
本発明の第2のポリイミド粉体の製造方法に係る噴霧工程で用いる噴霧装置は、第1のポリイミド粉体が得られれば、特に限定されず、市販される噴霧乾燥機(スプレードライヤ)を用いることができる。スプレードライヤを用いれば、加熱した気体中に、ポリイミド溶液を噴霧して溶剤、あるいは溶剤およびイミド化剤を除去し、第1のポリイミド粉体を得ることができる。スプレードライヤは、ポリイミド溶液を噴霧するための圧力ノズルと、ポリイミド溶液を噴霧し溶剤を除去するための、常圧(大気圧、約101.325kPa)の加熱した気体で満たされた室を備える。
前記噴霧工程で得られた第1のポリイミド粉体を減圧下で加熱乾燥する加熱乾燥工程は、第1のポリイミド粉体から溶剤およびイミド化剤を含む不純物を除去し、実質的に溶剤およびイミド化剤を含まない第2のポリイミド粉体を得ることができればよく、減圧乾燥機を用いる。
本発明の第2のポリイミド粉体の製造方法において、ポリイミド粉体のメジアン径は、0.1マイクロメートル以上、100マイクロメートル以下であることが好ましい。メジアン径が0.1マイクロメートル未満では、ポリマー粉体の凝集が起こる、または、取扱いが困難となる虞があり、100マイクロメートルより大きいと、加熱乾燥工程時に溶剤の除去が困難となる虞があるため、好ましくない。
本発明の第2のポリイミド粉体の製造方法によって、以下の式(1)で示される繰り返し単位を有する、実質的に溶剤およびイミド化剤を含まないポリイミド粉体が得られる。なお、本発明のポリイミド粉体の製造方法およびポリイミド粉体において、実質的に溶剤を含まないとは、ポリイミド粉体全量に対して、溶剤が1質量%以下であることを言う。実質的にイミド化剤を含まないとは、ポリイミド粉体全量に対して、イミド化剤が0.1質量%未満であることを言う。
前記繰り返し単位中のR2が、以下のいずれかの4価の有機基である。
1-1.調製例1
[ポリイミド(A)のDMAc溶液の調製]
窒素導入管および攪拌翼を備えた容量2Lの三口フラスコに、以下に示すHFIP-pPD、55.0g(201mmol)、DSDA、35.9g(100mmol)、および6FDA、44.6g(100mmol)を加え、溶剤としてDMAc、358gを加えた後、窒素雰囲気下、室温で攪拌しポリアミック酸を含む反応液を得た。
ポリイミド(A)のDMAc溶液のゲル・パーミエーション・クロマトグラフィ(以下、GPCと呼ぶことがある)による分子量の測定結果は、Mw=122000、Mw/Mn=3.1であった。Mwは重量平均分子量、Mnは数平均分子量である。Mw/Mnは分散度であった。
[ポリイミド(B)のDMAc溶液の調製]
窒素導入管および攪拌翼を備えた容量2Lの三口フラスコに、以下に示すHFIP-mT、80.0g(147mmol)、BTDA、47.4g、(147mmol)を加え、溶剤としてDMAcを237g加えた後、窒素雰囲気下、室温で攪拌しポリアミック酸を含む反応液を得た。
ポリイミド(B)のDMAc溶液のGPCによる分子量の測定結果は、Mw=138000、Mw/Mn=2.0であった。
[ポリイミド(C)のDMAc溶液の調製]
窒素導入管および攪拌翼を備えた容量2Lの三口フラスコに、以下に示すHFIP-MDA、90.0g(170mmol)、BPDA、49.9g(170mmol)を加え、溶剤としてDMAc、371gを加えた後、窒素雰囲気下、室温で攪拌しポリアミック酸を含む反応液を得た。
ポリイミド(C)のDMAc溶液のGPCによる分子量の測定結果は、Mw=136000、Mw/Mn=1.8であった。
[ポリイミド(D)のDMAc溶液の調製]
窒素導入管および攪拌翼を備えた容量2Lの三口フラスコに、以下に示すHFIP-mTBを27.2g(50mmol)、BPDAを14.7g(50mmol)加え、溶剤としてDMAcを72.4g加えた後、窒素雰囲気下、室温で攪拌しポリアミック酸を含む反応液を得た。
ポリイミド(D)のDMAc溶液のGPCによる分子量の測定結果は、Mw=149000、Mw/Mn=2.6であった。
[ポリイミド(E)のDMAc溶液の調製]
窒素導入管および攪拌翼を備えた容量2Lの三口フラスコに、以下に示すHFIP-mTB、33.3g(61mmol)、6FDA、27.2g(61mmol)を加え、溶剤としてDMAcを62g加えた後、窒素雰囲気下、室温で攪拌しポリアミック酸を含む反応液を得た。
ポリイミド(E)のDMAc溶液のGPCによる分子量の測定結果は、Mw=102000、Mw/Mn=2.2であった。
[ポリイミド(F)のDMAc溶液の調製]
窒素導入管および攪拌翼を備えた容量2Lの三口フラスコに、以下に示すHFIP-MDAを26.5g(50mmol)、ODPAを15.1g(50mmol)を加え、溶剤としてDMAc、123g加えた後、窒素雰囲気下、室温で攪拌しポリアミック酸を含む反応液を得た。
ポリイミド(F)のDMAc溶液のGPCによる分子量の測定結果は、Mw=113000、Mw/Mn=3.3であった。
2-1.実施例1
[ポリイミド溶液(A)の噴霧]
調製例1で得られたポリイミド溶液(A)を、ポリイミド(A)の濃度が5質量%になるようにDMAcで希釈した後、噴霧機(藤崎電機株式会社製、機種MDL-015、噴霧方式、4流体ノズル)を用いて、送液流量20g/min、ノズルガス圧力0.5MPa、入口温度175℃の条件で噴霧し、ポリイミド(A)の粉体を得た(以下、ポリイミド粉体(A)と呼ぶことがある)。第1のポリイミド粉体(A)のメジアン径は、7μmであった。
得られた第1のポリイミド粉体(A)30.8gを棚段乾燥機(東京理科器械株式会社製、機器名VOS-451SD)に入れ、200℃、2Torr(0.2666kPa)に減圧し5時間加熱乾燥し、第2のポリイミド粉体(A-1)を得た。
[ポリイミド溶液(B)の噴霧]
調製例2で得られたポリイミド溶液(B)を、ポリイミド(B)の濃度が5質量%になるようにDMAcで希釈した後、実施例1と同じ噴霧機を用い、同様の条件で噴霧しポリイミド(B)の粉体を得た(以下、第1のポリイミド粉体(B)と呼ぶことがある)。第1のポリイミド粉体(B)のメジアン径は、7μmであった。
[第1のポリイミド粉体(B)の加熱乾燥]
前記第1のポリイミド粉体(B)31.3gを、実施例1と同じ棚段乾燥機に入れ、180℃、2Torr(0.2666kPa)に減圧し5時間加熱乾燥し、第2のポリイミド粉体(B-1)を得た。
[第1のポリイミド溶液(B)の加熱乾燥]
前記第1のポリイミド粉体(B)1.2gを、実施例1と同じ棚段乾燥機に入れ、200℃、50Torr(6.666KPa)に減圧し5時間加熱乾燥し、第2のポリイミド粉体(B-2)を得た。
[ポリイミド溶液(C)の噴霧]
調製例3で得られたポリイミド溶液(C)を、ポリイミド(C)の濃度が5質量%になるようにDMAcで希釈した後、実施例1と同じ噴霧機を用い、同様の条件で噴霧しポリイミド(C)の粉体を得た(以下、第1のポリイミド粉体(C)と呼ぶことがある)。第1のポリイミド(C)のメジアン径は、7μmであった。
[第1のポリイミド粉体(C)の加熱乾燥]
前記第1のポリイミド粉体(C)30.8gを、実施例1と同じ棚段乾燥機に入れ、200℃、2Torr(0.2666kPa)に減圧し5時間加熱乾燥し、第2のポリイミド粉体(C-1)を得た。
[第1のポリイミド粉体(C)の加熱乾燥]
前記第1のポリイミド粉体(C)2.0gを、実施例1と同じ棚段乾燥機に入れ、200℃、20Torr(2.666kPa)に減圧し7時間加熱乾燥し、第2のポリイミド粉体(C-2)を得た。
[ポリイミド溶液(D)の噴霧]
前述の調製例4で得られたポリイミド溶液(D)を、ポリイミド(D)の濃度が5質量%になるようにDMAcで希釈した後、実施例1と同じ噴霧機を用い、同様の条件で噴霧しポリイミド(D)の粉体を得た(以下、第1のポリイミド粉体(D)と呼ぶことがある)。第1のポリイミド粉体(D)のメジアン径は、5μmであった。
得られた第1のポリイミド粉体(D)14.3gを実施例1と同じ棚段乾燥機に入れ、200℃、20Torr(2.666kPa)に減圧し5時間加熱乾燥し、第2のポリイミド粉体(D-1)を得た。
[ポリイミド溶液(F)の噴霧]
前述の調製例6で得られたポリイミド溶液(F)を、ポリイミド(F)の濃度が5質量%になるようにDMAcで希釈した後、実施例1と同じ噴霧機を用い、同様の条件で噴霧しポリイミド(F)の粉体を得た(以下、第1のポリイミド粉体(F)と呼ぶことがある)。第1のポリイミド粉体(F)のメジアン径は、5μmであった。
得られた第1のポリイミド粉体(F)13.9gを実施例1と同じ棚段乾燥機に入れ、200℃、20Torr(2.666kPa)に減圧しで5時間加熱乾燥し、第2のポリイミド粉体(F-1)を得た。
[GPC測定]
ポリイミド粉体の分子量を前記調製例と同じ高速GPC装置で測定した。
ポリイミド粉体中の溶剤(DMAc)、イミド化触媒(ピリジン)、脱水剤(無水酢酸)、脱水剤の残渣(酢酸)およびポリイミド含有量を、核磁気共鳴スペクトル、1H-NMR(基準物質:TMS、測定溶媒:重DMSO、観測周波数:400MHz、測定温度:室温、積算回数:32回、測定装置:日本電子株式会社製、AL400)の積分値から算出した。
ポリイミド粉体にDMAc、NMP、THFまたはアセトンを加えて、固形分濃度を20質量%に調製し、目視にて溶解性を評価した。
表1に、得られた第2のポリイミド粉体の分子量、第2のポリイミド粉体に対する溶剤であるDMAc、イミド化触媒であるピリジン、脱水剤である無水酢酸、脱水剤の残渣である酢酸の含有量、および希釈溶剤として用いる4種類の有機溶剤、DMAc、NMP、THFおよびアセトンに対する溶解性を示す。なお、有機溶剤溶解性は、ポリイミド粉体が4種類の全てに完全に溶解した場合を「溶解」、いずれかの有機溶剤においてポリイミド粉体の残渣が認められる場合を「不溶」と記載した。
3-1.比較例1
[ポリイミド溶液の貧溶媒への滴下]
調製例2で得たポリイミド溶液(B)を、ポリイミド(B)の濃度が10質量%になるようにDMAcで希釈した後、この溶液100gを、水2200gに、攪拌しながら、ゆっくりと滴下し、沈殿物を濾過しポリイミド粉体を得た。
前記ポリイミド粉体1.0gを、実施例1と同じ棚段乾燥機に入れ、200℃、7Torr(0.933kPa)に減圧し24時間加熱乾燥した。
[ポリイミド溶液の貧溶媒への滴下]
調製例4~5で調製したポリイミド溶液(D)、(E)の各々の25gを、メタノール250gと水250gを混合した溶液に、攪拌しながら、ゆっくりと滴下し、沈殿物を濾過しポリイミド粉体を得た。
前記ポリイミド粉体、各々1.0gを、実施例1と同じ棚段乾燥機に入れ、100℃、20Torr(2.666kPa)に減圧し12時間加熱乾燥した。得られたポリイミド粉体の分子量、溶剤およびイミド化剤の含有量を、実施例1~5と同様に測定した。
[ポリイミド溶液の貧溶媒への滴下]
調製例1~3で調製したポリイミド溶液(A)~(C)各々100gを、メタノール2000gに攪拌しながら、ゆっくりと滴下した。ポリイミド溶液(A)およびポリイミド溶液(C)の沈殿物を濾過しポリイミド粉体を得た(比較例4、6)。ポリイミド溶液(B)を用いた場合、得られた沈殿物は、ゲル状の粘性液体となり、ポリイミド粉末は得られなかった(比較例5)。
前記ポリイミド粉体、各々1.0gを、実施例1と同じ棚段乾燥機に入れ、200℃、2Torr(0.2666kPa)に減圧し12時間加熱乾燥した。得られたポリイミド粉体は、極性溶剤であるDMAc、NMP、THFおよびアセトンに溶解しなかった。
[ポリイミド溶液の貧溶媒への滴下]
調製例1及び3で調製したポリイミド溶液(A)、(C)の各々の100gを、メタノール2000gに、攪拌しながら、ゆっくりと滴下した。ポリイミド溶液(A)、(C)の沈殿物を濾過しポリイミド粉体を得た。
前記ポリイミド粉体、各々1.0gを、実施例1と同じ棚段乾燥機に入れ、100℃、20Torr(2.666kPa)に減圧し12時間加熱乾燥した。
[ポリイミド溶液の加熱減圧乾燥・粉砕によるポリイミド粉体の製造]
調製例6で調製したポリイミド溶液(F)にDMAcを加え、ポリイミド(F)の濃度が20質量%になるように調製し、この溶液100gを、ナス型フラスコに入れ、100℃、25Torr(3.333kPa)に減圧し2時間減圧乾燥した。得られた固形分をミキサーに入れ、1分間粉砕し、ポリイミド粉体を得た。
実施例1~7と同様に得られたポリイミド粉体の評価を行った。
表2に、用いたポリイミド溶液の種類、得られた各ポリイミド粉体の分子量、ポリイミド粉体に対する溶剤であるDMAc、イミド化剤であるピリジン、無水酢酸および酢酸の含有量、および希釈溶剤として用いる有機溶剤としてのDMAc、NMP、THFおよびアセトンに対する溶解性を示す。なお、ポリイミド粉体が得られたものを「可」、得られなかったものを「否」とした。
表1に示す、実施例1、2、4、6および7で得られた実質的に溶剤およびイミド化剤を含まない各々の第2のポリイミド粉体(A-1)、(B-1)、(C-1)、(D-1)および(F-1)を密閉容器内で25℃下、1月間保管した後、分子量を測定した。その結果、これらのポリイミド粉末の分子量の低下は認められなかった。
Claims (17)
- 溶剤が、アミド系溶剤、エーテル系溶剤、芳香族系溶剤、ハロゲン系溶剤、ラクトン系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤およびグルコールエーテル系溶剤からなる群から選ばれる少なくとも一つの溶剤を含む溶剤である、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の第2のポリイミド粉体の製造方法。
- ポリイミド溶液が、さらにイミド化剤を含むポリイミド溶液である、請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の第2のポリイミド粉体の製造方法。
- イミド化剤が、ピリジン、キノリン、ピコリンおよびトリエチルアミンからなる群から選ばれるイミド化触媒と、無水酢酸または無水プロピオン酸から選ばれる脱水剤を含むイミド化剤である、請求項8に記載の第2のポリイミド粉体の製造方法。
- 噴霧工程に、多流体ノズルを備える噴霧装置を用いる、請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の第2のポリイミド粉体の製造方法。
- 加熱乾燥工程の加熱温度が、30℃以上、350℃以下である、請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の第2のポリイミド粉体の製造方法。
- 加熱乾燥工程の圧力が、0.013KPa以上、50KPa以下である、請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載の第2のポリイミド粉体の製造方法。
- 加熱乾燥工程に、箱型乾燥機、バンド乾燥機、トンネル乾燥機、回転乾燥機、流動層乾燥機、気流乾燥機、円盤乾燥機および逆円錐乾燥機からなる群から選ばれる乾燥装置を用いる、請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載の第2のポリイミド粉体の製造方法。
- ポリイミド粉体のメジアン径が、0.1マイクロメートル以上、100マイクロメートル以下である、請求項1乃至請求項13のいずれか1項に記載の第2のポリイミド粉体の製造方法。
- 下記式(1)で示される繰り返し単位を有する、ポリイミド粉体全量に対して溶剤が1質量%以下であり、ポリイミド粉体全量に対してイミド化剤が0.1質量%未満である、実質的に溶剤およびイミド化剤を含まないポリイミド粉体。
前記繰り返し単位中のR2が、以下のいずれかの4価の有機基である。)
- 重量平均分子量が、5000以上、500000以下である、請求項15に記載のポリイミド粉体。
- メジアン径が、0.1マイクロメートル以上、100マイクロメートル以下である、請求項15または請求項16に記載のポリイミド粉体。
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